樹脂塗布装置
【課題】液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産すること。
【解決手段】本実施の形態に係る樹脂塗布装置1は、シートSを保持するステージ602及びステージ602の上方にてワークWを保持する押圧部604を有し、液状樹脂を塗布したシートSにワークWを押し込み、ワークWにシートSを貼着する貼着装置600と、ロールシートRから引き出されたシートSをシート供給部700からステージ602に搬送するシート搬送部800と、カセット収容部100の搬入側のカセット4からワークWを取り出し、ワーク検出部400にてワークWの位置及び向きを検出した後に押圧部604に搬送すると共に、貼着装置600からシート付きワークWを取り出し、シート切断部500にてワークWの外形に沿ってシートSを切断した後にカセット収容部100の搬出側のカセット5に収容するワーク搬送部200、300とを備えた。
【解決手段】本実施の形態に係る樹脂塗布装置1は、シートSを保持するステージ602及びステージ602の上方にてワークWを保持する押圧部604を有し、液状樹脂を塗布したシートSにワークWを押し込み、ワークWにシートSを貼着する貼着装置600と、ロールシートRから引き出されたシートSをシート供給部700からステージ602に搬送するシート搬送部800と、カセット収容部100の搬入側のカセット4からワークWを取り出し、ワーク検出部400にてワークWの位置及び向きを検出した後に押圧部604に搬送すると共に、貼着装置600からシート付きワークWを取り出し、シート切断部500にてワークWの外形に沿ってシートSを切断した後にカセット収容部100の搬出側のカセット5に収容するワーク搬送部200、300とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、樹脂塗布装置に関し、特に、ウェーハメイキング工程において半導体ウェーハに液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハメイキング工程では、例えば、シリコン等の円柱状のインゴットがワイヤソーによってスライスされて、基板状のウェーハ(ワーク)が形成される。スライスされたワークには、スライス時にうねりや反り等が生じるが、片面に液状樹脂が塗布されて平坦面が形成される。液状樹脂が塗布された平坦面には、ワークのハンドリングを容易とするシートが貼り付けられて、このシート面を基準として研削されることで、平坦な薄板状に形成される。
【0003】
従来、ワークの片面に液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置として、液状樹脂をワークの片面に均一に塗布するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の樹脂塗布装置は、液状樹脂を塗布したシート上にワークを載置し、押圧パッドに対向するステージ上にワークを搬送する。そして、樹脂塗布装置は、ステージ上にワークを吸着保持した状態で、押圧パッドによりワークをシートに押し付けることで、ワークの片面に液状樹脂を均一に押し広げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような樹脂塗布装置では、加工前のワークの搬入から加工済みのシート付きワークの搬出までの一連の作業のさらなる効率化が求められている。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができる樹脂塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の樹脂塗布装置は、ワークを吸着保持可能な押圧面を有する押圧部と、前記押圧面に対向して配設され、シートの下面を保持するステージと、前記ステージに保持された前記シートの上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部と、前記押圧面を前記ステージに対して接近及び離反させる移動部と、前記ステージの下側に配設され、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂に光を照射する発光部と、を有し、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂を前記押圧面に保持したワークで上から押圧し前記液状樹脂をワーク下面に広げる樹脂塗布装置であって、ロール状に巻かれた前記シートを引き出して切断するシート供給部と、前記シート供給部で切断された前記シートを前記ステージ上に搬送するシート搬送部と、ワークを複数収容したカセットを収容するカセット収容部と、ワークが前記押圧面に受け渡される前にワークの水平方向の位置と向きを検出するワーク検出部と、前記液状樹脂によってワークが貼り付けられたシートを前記ワークの外形に沿って切断するシート切断部と、前記カセットと前記ワーク検出部と前記押圧面とシート切断部との間でワークの搬送を行うワーク搬送部とを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、押圧部、ステージ、樹脂供給部、移動部、発光部、シート供給部、シート搬送部、カセット収容部、ワーク検出部、シート切断部、ワーク搬送部を協働させることにより、加工前のワークの搬入から加工済みのシート付きワークの搬出までの一連の作業が効率的に実施される。例えば、カセット収容部に収容されたカセットからワーク検出部にワークが搬送され、ワーク検出部においてワークの水平方向の位置及び向きが検出される。位置及び向きが検出されたワークは、押圧部に搬送され、押圧面に対して精度よく位置付けられる。また、シート供給部から引き出されたシートがステージ上に搬送され、押圧面に保持されたワークとステージ上のシートとが対向される。押圧面に保持されたワークは、液状樹脂が供給されたシートに押し付けられてシートに貼着される。ワークにシートが貼着されると、発光部の発光により液状樹脂が硬化され、シート付きのワークがシート切断部に搬送される。シート付きのワークは、シート切断部においてワークの外形に沿って余分なシートが除去され、カセットに収容される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る樹脂塗布装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るカセット収容部の斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るカセット収容部の断面模式図である。
【図4】本実施の形態に係る外部ドア及び内部ドアの開閉動作の説明図である。
【図5】本実施の形態に係る貼着装置の断面模式図である。
【図6】本実施の形態に係る貼着装置の貼着動作の説明図である。
【図7】本実施の形態に係る押圧センサの測定値と移動部の移動開始からの経過時間との一般的な関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る押圧センサの測定結果の一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る保持板−ステージ間の隙間の変化に対する圧力センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る貼着装置のセットアップ作業の説明図である。
【図11】本実施の形態に係るシート供給部の側面模式図である。
【図12】本実施の形態に係る第一、第二のエアブロー部の拡大図である。
【図13】本実施の形態に係るロールシート支持部の部分断面模式図である。
【図14A】本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【図14B】本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【図15】本実施の形態に係るロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作の説明図である。
【図16】本実施の形態に係るロールシートの変化に対する光センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。
【図17】本実施の形態に係るステージの模式図である。
【図18】本実施の形態に係るシート搬送部の断面模式図である。
【図19】本実施の形態に係るシート搬送部によるシートの貼り付け動作の説明図である。
【図20】変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作の説明図である。
【図21】他の変形例に係るステージの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る樹脂塗布装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る樹脂塗布装置は、図1に示す構成に限定されない。樹脂塗布装置は、ワークの片面に液状樹脂を塗布するものであれば、どのような構成を有していてもよい。なお、図1においては、説明の便宜上、樹脂塗布装置の外部筐体を破線で示している。
【0012】
図1に示すように、樹脂塗布装置1は、研削加工の前段に配置されており、ワークWの下面に液状樹脂が塗布されたシートSを貼着するように構成されている。この樹脂塗布装置1は、ステージ602に吸着保持されたシートSに液状樹脂を供給し、ステージ602の上方にて押圧部604に保持されたワークWをシートSに対して上方から押し付けるように動作する。樹脂塗布装置1は、シートSに対してワークWを押し付けることで、下面の全域に液状樹脂を行き渡らせている。
【0013】
ワークWは、デバイスパターンが形成される前のものであり、円柱状のインゴットをワイヤソーで切断することにより得られる。ワークWの下面には、ワイヤソーによる切断時に発生するうねりや反り等を吸収するために液状樹脂が貼着される。ワークWは、カセット4に収容された状態で樹脂塗布装置1に搬入される。
【0014】
なお、ワークWは、シリコンウェーハ(Si)、ガリウムヒソ(GaAs)、シリコンカーバイド(SiC)等のウェーハに限定されるものではない。例えば、セラミック、ガラス、サファイヤ(Al2O3)系の無機材料基板、板状金属や樹脂の延性材料、ミクロンオーダーからサブミクロンオーダの平坦度(TTV: total thickness variation)が要求される各種加工材料をワークとしてもよい。なお、ここでいう平坦度とは、ワークWの被研削面を基準面として厚み方向を測定した高さのうち、最大値と最小値との差を示している。また、シートSは、例えば、ポリエチレンテレフタラート等の弾性を有する柔らかい材料であればよい。
【0015】
樹脂塗布装置1は、X軸方向に延在する直方体状の外部筐体2を有している。外部筐体2の後端部には、上下2段のカセット台103(図2参照)を有するカセット収容部100が設けられている。上段のカセット台103には、加工前のワークWを収容する搬入側のカセット4が載置される。下段のカセット台103には、シートS付きのワークWを収容する搬出側のカセット5が載置される。外部筐体2内において、カセット収容部100の前方には、カセット4、5に対してワークWの搬入及び搬出を行う第一のワーク搬送部(ワーク搬送部)200が設けられている。
【0016】
第一のワーク搬送部200の前方空間は、コラム部605の背面に支持されたベース台3により上下に分けられている。ベース台3の上面には、加工前のワークWの位置及び向きを検出するワーク検出部400が設けられている。ベース台3の下面には、ワークWに貼着されたシートSをワークWの外形に沿って切断するシート切断部500が設けられている。第一のワーク搬送部200は、加工前のワークWを上段のカセット4内からワーク検出部400に搬送し、シートS付きのワークWをシート切断部500から下段のカセット5内に搬送する。
【0017】
ワーク検出部400及びシート切断部500の前方には、ワークWに対して液状樹脂を塗布する貼着装置600が設けられている。貼着装置600は、シートSを吸着保持するステージ602と、ステージ602の上方においてワークWを吸着保持する押圧部604とを有している。ステージ602の近傍には、ステージ602上のシートSに対して光硬化性の液状樹脂を供給する樹脂供給部603が設けられている。貼着装置600は、液状樹脂が供給されたシートSに対し、ワークWを保持した押圧部604を近付けることで貼着動作する。また、貼着装置600の基台601内には、ステージ602を介して液状樹脂に光を照射する発光部636(図5参照)が設けられている。
【0018】
ワーク検出部400及びシート切断部500の側方には、ワーク検出部400と貼着装置600との間、及び貼着装置600とシート切断部500との間でワークWを搬送する第二のワーク搬送部(ワーク搬送部)300が設けられている。第二のワーク搬送部300は、加工前のワークWをワーク検出部400から押圧部604に搬送し、シートS付きのワークWをステージ602からシート切断部500に搬送する。貼着装置600の前方には、貼着装置600に対してシートSを供給するシート供給部700が設けられている。シート供給部700は、ロールシートRから繰り出されたシートSを所定長で切断する。
【0019】
シート供給部700の側方には、シート供給部700からのシートSを貼着装置600に搬送するシート搬送部800が設けられている。シート搬送部800は、シート供給部700において所定長で切断されたシートSを保持して、ステージ602上に搬送する。また、外部筐体2には、樹脂塗布装置1の各部を統括制御する制御部6が設けられている。制御部6は、樹脂塗布装置1の各種処理を実行するプロセッサや、メモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。
【0020】
このように構成された樹脂塗布装置1では、搬入側のカセット4から加工前のワークWが貼着装置600に搬送されると共に、シート供給部700からシートSが貼着装置600に搬送される。そして、貼着装置600においてワークWと液状樹脂が塗布されたシートSとが貼り合わされ、シートS付きのワークWがシート切断部500に搬送される。シート付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿ってシートSが切断され、搬出側のカセット5に搬送される。
【0021】
以下、樹脂塗布装置を構成する各部分について個別に説明する。まず、カセット収容部について全体構成について説明する。図2は、本実施の形態に係るカセット収容部の斜視図である。なお、図2において、説明の便宜上、カセット収容部の筐体部分を破線で示している。
【0022】
図2に示すように、カセット収容部100は、樹脂塗布装置1に対するカセット4の搬入口及び搬出口として動作する。カセット収容部100は、外部筐体2の後端側の側壁部を構成する収容部本体101を有している。収容部本体101には、カセット用の左右一対の収容部屋102が上下2段で形成されている。上段の2部屋には、それぞれ搬入側のカセット4が収容され、下段の2部屋には、それぞれ搬出側のカセット5が収容される。各収容部屋102は、樹脂塗布装置1の内側と外側とを連ねており、装置内側の開口端を介してカセット4、5に対するワークWが出し入れされ、装置外側の開口端を介してカセット4、5が搬入及び搬出される。
【0023】
各収容部屋102の底面には、カセット4、5が載置されるカセット台103が設けられている。カセット台103は、各収容部屋102において上下2段のスライド板104、105により装置外側に向かってスライド可能に取り付けられている。収容部本体101には、各収容部屋102の装置外側の開口を開閉する4つのスライド式の外部ドア106と、各収容部屋102の装置内側の開口を開閉する4つのスライド式の内部ドア107とが設けられている。各外部ドア106は、樹脂塗布装置1の外部に面した収容部本体101の側面に取り付けられ、オペレータによって手動で開閉される。各内部ドア107は、樹脂塗布装置1の内部に面した収容部本体101の側面に取り付けられ、樹脂塗布装置1の動作に合わせて自動で開閉される。
【0024】
上段の収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107は、上方へのスライドにより開状態となり、下方へのスライドにより閉状態となる。下段の収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107は、上方へのスライドにより閉状態となり、下方へのスライドにより開状態となる。したがって、上下左右に隣接する他のカセット台103に干渉することなく各カセット台103に載置されたカセット4、5に個別にアクセスすることが可能となる。また、収容部本体101には、各外部ドア106及び各内部ドア107を閉状態でロックするロック機構が設けられている。ロック機構は、対応する外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合に、いずれか他方を閉状態でロックする。
【0025】
図3を参照して、カセット収容部の詳細構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るカセット収容部の断面模式図である。
【0026】
図3に示すように、カセット台103は、各収容部屋102の底面に対しスライド可能に配置された上下2段のスライド板104、105を有している。下段のスライド板104は、各収容部屋102の底面に対して、装置外側に向かってスライド可能に係合されている。上段のスライド板105は、下段のスライド板104に対して、装置外側に向かってスライド可能に係合されている。カセット台103は、第一のワーク搬送部200をカセット4内に侵入可能な前位置と、この前位置よりも内部ドア107から離れた後ろ位置との間をスライド移動可能に構成されている。
【0027】
より詳細には、下段のスライド板104における内部ドア107側の一端部111が、収容部屋102の装置内側の開口端とこの開口端から装置外側に離間した離間位置との間で、収容部屋102の底面上を移動される。また、上段のスライド板105における内部ドア107側の一端部112が、下段のスライド板104の一端部111とこの一端部111から装置外側に離間した離間位置との間で、下段のスライド板104上を移動される。このため、カセット台103は、装置外側に向かって大きく引き出され、オペレータによるカセット4、5の搬入作業及び搬出作業の作業性が向上される。
【0028】
外部ドア106は、収容部本体101の外側面に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。外部ドア106は、オペレータによる手動操作により開閉される。上段の外部ドア106は、収容部屋102の装置外側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から上方に離間した収容部屋102の装置外側の開口端を開く開位置に位置付けられる。下段の外部ドア106は、収容部屋102の装置外側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から下方に離間した収容部屋102の装置外側の開口端を開く開位置に位置付けられる。
【0029】
内部ドア107は、収容部本体101の内側面に対して、上下方向にスライド可能に取り付けられている。内部ドア107は、樹脂塗布装置1の動作に合わせて自動で開閉される。上段の内部ドア107は、収容部屋102の装置内側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から上方に離間した収容部屋102の装置内側の開口端を開く開位置に位置付けられる。下段の内部ドア107は、収容部屋102の装置内側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から下方に離間した収容部屋102の装置内側の開口端を開く開位置に位置付けられる。
【0030】
また、上段の外部ドア106及び内部ドア107には、上端部にロック用の係合穴113が形成されている。下段の外部ドア106及び内部ドア107には、下端部にロック用の係合穴113が形成されている。
【0031】
このように、本実施の形態に係るカセット収容部100では、内部ドア107及び外部ドア106が横2列上下2段に設けられると共に、上下方向に開閉される。このため、カセット収容部100の左右方向の寸法を小さくすることができ、樹脂塗布装置1におけるカセット収容部100の専有面積を抑えることができ、複数の加工装置が横並びに配置される工場等でのオペレータの移動範囲を狭めて、オペレータにかかる負担を軽減することができる。
【0032】
ロック機構は、各外部ドア106及び各内部ドア107のそれぞれに対応して、収容部本体101に設けられたロックピン114及びドアセンサ115を有している。上段のロックピン114は、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の上端部に対応して配置されている。上段のドアセンサ115は、上段のロックピン114の近傍において、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の上端部から上方に外れて配置されている。下段のロックピン114は、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の下端部に対応して配置されている。下段のドアセンサ115は、下段のロックピン114の近傍において、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の下端部から下方に外れて配置されている。
【0033】
ロックピン114は、ドアセンサ115の検出に応じて、不図示のソレノイド等により収容部本体101の外側面及び内側面に対して出没可能に設けられている。ロックピン114は、不図示のリターンスプリングにより収容部本体101内側に付勢されており、ソレノイドが通電されることでリターンスプリングの付勢力に抗して収容部本体101外に突出する。ロックピン114は、外部ドア106及び内部ドア107の係合穴113に係合することで、外部ドア106及び内部ドア107を閉状態でロックする。
【0034】
ドアセンサ115は、例えば、光センサであり、外部ドア106及び内部ドア107に遮蔽されることで、外部ドア106及び内部ドア107の開状態を検出する。外部ドア106用のドアセンサ115は、外部ドア106の開状態を検出すると、同じ収容部屋の内部ドア107用のロックピン114に向けて駆動電流を供給する。逆に、内部ドア107用のドアセンサ115は、内部ドア107の開状態を検出すると、同じ収容部屋の外部ドア106用のロックピン114に向けて駆動電流を供給する。
【0035】
このように、ロック機構は、外部ドア106用のドアセンサ115による外部ドア106の検出に応じて、同じカセット台103に対応する内部ドア107用のロックピン114に内部ドア107をロックさせる。また、ロック機構は、内部ドア107用のドアセンサ115による内部ドア107の検出に応じて、同じカセット台103に対応する外部ドア106用のロックピン114に外部ドア106をロックさせる。このため、外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が閉位置からスライドすると、いずれか他方が閉位置からスライドすることがなく、オペレータの作業の安全性が向上される。
【0036】
図4を参照して、外部ドア及び内部ドアの開閉動作について説明する。図4は、本実施の形態に係る外部ドア及び内部ドアの開閉動作の説明図である。なお、図4においては、上段の外部ドア及び内部ドアの開閉動作について説明するが、下段の外部ドア及び内部ドアも同様である。
【0037】
図4(a)に示すように、初期状態では、外部ドア106及び内部ドア107が閉位置に位置付けられている。この場合、外部ドア106用のロックピン114が外部ドア106の係合穴113に位置合わせされ、内部ドア107用のロックピン114が内部ドア107の係合穴113に位置合わせされている。各ロックピン114は、リターンスプリングの付勢力によって収容部本体101内に付勢されており、対応する係合穴113から離間されている。
【0038】
図4(b)に示すように、オペレータによって外部ドア106が上方(開位置)に向けてスライドされると、外部ドア106によって外部ドア106用のドアセンサ115が遮蔽される。外部ドア106用のドアセンサ115が遮蔽されると、外部ドア106の開状態が検出され、内部ドア107用のロックピン114を囲むソレノイドに駆動電流が通電される。そして、内部ドア107用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力に抗して駆動され、内部ドア107の係合穴113内にロックピン114が突出する。これにより、内部ドア107がロックピン114によって閉状態でロックされる。
【0039】
次に、オペレータによりカセット台103が外部に引き出されて、カセット台103にフロントドアが開放されたカセット4が載置される。このとき、樹脂塗布装置1の内側と外側とが内部ドア107によって仕切られるため、オペレータの作業の安全性が確保される。そして、オペレータによって外部ドア106が閉位置までスライドされると、外部ドア106用のドアセンサ115が露出され、内部ドア107用のロックピン114を囲むソレノイドに対する駆動電流の通電が停止される。そして、内部ドア107用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力により収容部本体101側に押し戻され、内部ドア107の係合穴113からロックピン114が退避する。これにより、閉状態の内部ドア107がアンロックされる。
【0040】
図4(c)に示すように、第一のワーク搬送部200によるワークWの取り出し時には、内部ドア107が上方(開位置)に向けてスライドされ、内部ドア107によって内部ドア107用のドアセンサ115が遮蔽される。内部ドア107用のドアセンサ115が遮蔽されると、内部ドア107の開状態が検出され、外部ドア106用のロックピン114を囲むソレノイドに駆動電流が通電される。そして、外部ドア106用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力に抗して駆動され、外部ドア106の係合穴113内にロックピン114が突出する。これにより、外部ドア106がロックピン114によって閉状態でロックされる。
【0041】
この構成により、第一のワーク搬送部200によるワークWの取り出し時に、オペレータによって外部ドア106が開けられることがないため、オペレータの作業の安全性が確保される。次に、第一のワーク搬送部200によりカセット4から全てのワークWが取り出されると、内部ドア107が閉位置までスライドされて内部ドア107用のドアセンサ115が露出され、外部ドア106用のロックピン114を囲むソレノイドに対する駆動電流の通電が停止される。そして、外部ドア106用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力により収容部本体101側に押し戻され、外部ドア106の係合穴113からロックピン114が退避する。これにより、閉状態の外部ドア106がアンロックされる。
【0042】
なお、本実施の形態では、上段のカセット台103に搬入側のカセット4、下段のカセット台103に搬出側のカセット5をそれぞれ載置したが、これに限定されない。上段のカセット台103に搬出側のカセット5、下段のカセット台103に搬入側のカセット4を載置してもよい。また、搬入側のカセット4と、搬出側のカセット5を左右のカセット台103で分けて載置してもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、カセット用の左右一対の収容部屋を上下2段で4つ形成したが、収容部屋の数は適宜変更可能である。収容部屋を、2つだけ形成してもよいし、4つ以上形成してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、収容部屋に外部ドア106を設けたが、外部ドア106を設けなくてもよい。また、外部ドア106は、スライド式のドアに限定されず、旋回式のドアでもよい。また、外部ドア106は、手動で開閉される構成に限定されず、半自動で開閉される構成でもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、カセット台103を上下2段のスライド板104、105で引き出す構成としたが、1つのスライド板で引き出す構成としてもよい。また、下段のカセット台103だけを装置外側に引き出し、上段のカセット台103を装置外側に引き出さない構成としてもよい。また、カセット4は、外部ドア106の開位置へのスライドに伴って、装置外側に引き出されてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、ロック機構は、ドアセンサ115とロックピン114とにより外部ドア106及び内部ドア107をロックしたが、これに限定されない。ロック機構は、同じ収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合に、いずれか他方を閉状態でロックすればよい。
【0047】
また、本実施の形態では、収容部本体101にロック機構を設けたが、ロック機構を設けない構成としてもよい。また、ロック機構を設ける場合には、少なくとも内部ドア107が開状態の場合に、外部ドア106を閉状態でロックすればよい。
【0048】
図1に戻り、第一のワーク搬送部、ワーク検出部、第二のワーク搬送部、シート切断部について説明する。図1に示すように、第一のワーク搬送部200は、外部筐体2の底壁部に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール201上に支持され、ボールねじ式の移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。また、第一のワーク搬送部200は、上下方向に移動可能な支持台202と、支持台202上に設けられた多節リンク機構203と、多節リンク機構203の先端に設けられたワーク保持部204とを有している。
【0049】
支持台202は、不図示のZ軸モータにより上下動し、ワーク保持部204の高さ方向を位置合わせする。多節リンク機構203は、3節リンクで構成されており、ワーク保持部204の水平方向を位置合わせする。第一のワーク搬送部200は、ボールねじ式の移動機構、支持台202、多節リンク機構203の駆動が制御されることにより、搬入側のカセット4とワーク検出部400との間、シート切断部500と搬出側のカセット5との間でワークWを搬送する。
【0050】
ワーク検出部400は、第一のワーク搬送部200によりワークWが仮置きされる仮置きテーブル401と、仮置きテーブル401上のワークWを撮像する撮像部402とを有している。仮置きテーブル401は、ワークWよりも小径な円板状に形成されている。撮像部402は、L字状のアーム部403を介して仮置きテーブル401の上方に支持され、仮置きテーブル401上のワークW全体を撮像範囲に収めるように配置されている。撮像部402は、ワークWの外形を読み取り、ワークWの画像データを制御部6に出力する。制御部6は、ワークWの水平方向における向きや中心位置を算出する。
【0051】
第二のワーク搬送部300は、外部筐体2の底壁部に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール301上に支持され、ボールねじ式の移動機構によりX軸方向に移動可能に構成されている。また、第二のワーク搬送部300は、第一のワーク搬送部200と同様に支持台302、多節リンク機構303、ワーク保持部304とを有している。第二のワーク搬送部300は、ワーク検出部400の検出結果に応じてボールねじ式の移動機構、支持台302、多節リンク機構303の駆動が制御されることにより、ワーク検出部400と押圧部604との間、ステージ602とシート切断部500との間でワークWを適切な搬送位置に位置付ける。
【0052】
シート切断部500は、ベース台3の下部に取り付けられた回転台501と、回転台501の外周面から外方に突出したカッター502とを有している。回転台501は、Z軸回りに回転可能、かつZ軸方向に移動可能に形成されている。カッター502は、ワークWの外形寸法に合わせて、刃の位置が調整されている。シート切断部500は、下方に配置されたシートS付きのワークWに対して、回転台501のZ軸方向の移動によりシートSに対する切り込み深さを調整し、回転台501の回転によりシートSをワークWの外形に沿って切断する。
【0053】
図1及び図5を参照して、貼着装置について詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る貼着装置の断面模式図である。
【0054】
図1及び図5に示すように、貼着装置600は、略直方体状の基台601を有している。基台601上面の略前半部には、保護用のシートSを吸着保持するステージ602が設置されている。ステージ602は、石英ガラス等の透光性材料によって円板状に形成されている。ステージ602の上面中央には、上面視円形状の凹部651が形成されている。ステージ602は、この凹部651の段差を利用して、シートSのしわを消すように引き伸ばしつつ吸着する。ステージ602の近傍には、シートS上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部603が設けられている。
【0055】
樹脂供給部603は、貼着装置600の動作に合わせて、基台601上面においてシートSの中央位置と、中央位置から退避した退避位置との間で旋回可能に取り付けられている。液状樹脂としては、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂が用いられ、例えば、50〜30000[MPa]程度の粘度を有する樹脂が選択される。樹脂供給部603は、基台601内に設けられた不図示の樹脂タンクに接続されており、樹脂タンクから汲み上げられた液状樹脂をシートS上面に供給する。
【0056】
基台601上面の略後半部には、ステージ602の上方に押圧部604を支持するコラム部605が立設されている。コラム部605の前面には、押圧部604をステージ602に対して接近及び離反させる移動部606が設けられている。移動部606は、Z軸方向に平行な一対のガイドレール611と、一対のガイドレール611にスライド可能に設置されたZ軸テーブル612とを有している。Z軸テーブル612は、ボールねじ式の移動機構によりZ軸方向に移動可能に構成されている。Z軸テーブル612の前面には、支持部613を介して押圧部604が支持されている。
【0057】
押圧部604は、支持部613の下部に取り付けられたベース部材621を有している。ベース部材621の下面には、上面視円形状の凹部622が形成されている。ベース部材621の凹部622には、押圧板623が抜け止め状態で収容されている。押圧板623の下面には、ワークWを吸着保持する保持板624が取り付けられている。保持板624には、ワークWを吸着保持する吸引口が形成されている。吸引口は、貼着装置600内に設けられた流路631を介して気体吸引部632に接続されている。気体吸引部632は、流路631を介して保持板624の吸引口に吸引力を発生させる。
【0058】
保持板624の吸引口と気体吸引部632との間の流路631には、流路631内の圧力を測定する圧力センサ633が設けられている。圧力センサ633は、保持板624の吸着力の低下や、吸引口からのワークWの外れ(位置ズレ)等を検出する。押圧部604は、保持板624に保持したワークWを液状樹脂Lが供給されたシートSに押し付けるように動作する。すなわち、保持板624のワークWを保持する保持面は、シートSに対してワークWを押圧する押圧面634となっている。この構成により、ワークWの下面の全域に液状樹脂が均一に広げられる。
【0059】
また、ベース部材621の凹部622の内底面と押圧板623の上面との間には、押圧センサ635が設けられている。押圧センサ635は、保持板624及び押圧板623を介して、液状樹脂から押圧面634に作用する圧力の変化を測定する。押圧面634に作用する圧力は、液状樹脂LがワークWの外縁に向かって押し広げられるのに伴って増加し、ワークWの外縁から食み出ると低下し始める。貼着装置600は、この特性を利用して、押圧力の変化に応じて移動部606の駆動量を調整することで、液状樹脂LをワークWの外縁まで行き渡らせている。
【0060】
なお、貼着装置600は、例えば、押圧センサ635によって予め設定された閾値以上の圧力が検出された時点で、移動部606による押圧部604の駆動を停止してもよい。また、貼着装置600は、例えば、押圧センサ635によって圧力の低下が検出された時点で、移動部606による押圧部604の駆動を停止してもよい。このように、本実施の形態に係る貼着装置600は、液状樹脂の圧力の変化に応じて押圧部604の押し込み量が調整される。よって、押圧面634とステージ602上面との間隔に応じて押圧部604の押し込み量が調整される場合のように、ワークWやシートSの寸法誤差、樹脂の塗布量の誤差等によって液状樹脂の塗布範囲がばらつくことがない。つまり、樹脂貼り付けにおいて、樹脂が貼り付けられていない箇所があると研削時にワークWの割れ等が発生する場合が考えられ、はみ出る樹脂の量が多すぎると樹脂が無駄になるだけでなく、はみ出した部分は酸素阻害のために十分に紫外線で硬化出来ずに搬送・研削時に問題となる。さらに、はみ出しすぎた樹脂が研削時に巻き込まれ、研削異常を誘発する可能性もあることもある。これらを考慮すると、樹脂はワークWの全面に過不足なく貼り付けられている状態又はワークWより若干はみ出している状態が望ましいと考えられ、圧力によって押圧部604の押し込み量を調整すれば、この様な望ましい貼付状態を維持することが出来る。
【0061】
基台601内には、ステージ602に向かって紫外光等の光を照射する発光部636が設置されている。発光部636は、ステージ602を介して照射した光により液状樹脂Lを硬化させることで、ワークWとシートSとの間に樹脂膜を形成する。発光部636による照射は、押圧部604による押し付け動作の完了後、すなわち、押圧部604がワークWから離れた後に実施される。これにより、ワークWに内部応力を残留させずにワークWに対して樹脂膜を形成することができる。
【0062】
また、貼着装置600には、保持板624とステージ602との間隔を検出する間隔検出手段が設けられている。間隔検出手段は、ステージ602に向けて保持板624の吸引口からエアを噴射した状態で、ステージ602に保持板624を近付け、流路631内の圧力変化を測定することで、保持板624とステージ602との間隔を検出する。間隔検出手段は、貼着装置600に設けられた流路631を介して吸引口に接続された気体供給部637と、上記した制御部6のプロセッサ及びメモリ等とを含んで構成される。
【0063】
圧力センサ633は、ワークWの吸着時に流路631内の吸気圧を測定するものと兼用されており、間隔検出時に流路631内の排気圧も測定可能に構成されている。また、メモリには、保持板624とステージ602との間隔の変化に対する流路631内の圧力変化を表すマップが記憶されている。このマップは、予め吸引口からエアを噴射した状態で、ステージ602に向けて保持板624を近付けながら、圧力センサ633により流路631内の圧力を測定することで生成される。プロセッサは、メモリに記憶されたマップと圧力センサ633の測定結果とに基づいて、保持板624とステージ602との間隔を算出する。
【0064】
貼着装置600は、間隔検出手段によって保持板624とステージ602との間隔を検出することで、稼働前のメンテナンス時における押圧部604のセットアップ作業を実施する。貼着装置600は、圧力センサ633を流路631内の吸気圧を測定するセンサとして使用する他、背圧センサとしても使用している。このため、保持板624におけるワークWの吸着用に用いられる既存の流路631及び圧力センサ633を利用して、セットアップ機構を構成することができる。このように、本実施の形態に係る貼着装置600は、位置センサ等を新たに設ける必要がなく、安価かつ簡易な構成によりセットアップ作業を実施することができる。
【0065】
図6及び図7を参照して、貼着装置の貼着動作について説明する。図6は、本実施の形態に係る貼着装置の貼着動作の説明図である。図7は、本実施の形態に係る押圧センサの測定値と移動部の移動開始からの経過時間との一般的な関係を示す図である。なお、図7では、縦軸が押圧センサの測定値、横軸が移動部の移動開始からの経過時間をそれぞれ示す。
【0066】
図6(a)に示すように、初期状態では、ステージ602上にシートSが吸着保持され、ステージ602の上方にワークWを保持した押圧部604が位置付けられる。シートSの中央には、樹脂供給部603によって供給された液状樹脂Lの液溜まりが形成されている。この状態から、ワークWにより液状樹脂Lの液溜まりを押し潰すように、移動部606により押圧部604が下方に移動される。
【0067】
図6(b)に示すように、押圧部604が下方に移動され、ワークWが液状樹脂Lに接触されると、ワークWによって液状樹脂が押し潰され、液状樹脂LがワークWの下面に沿って広がり始める。このとき、押圧部604に設けられた押圧センサ635により、液状樹脂LからワークWを介して押圧面634に作用する圧力変化が測定され始める。図7に示すように、この初期状態から図6(b)に対応する時点t1の間では、ワークWと液状樹脂Lとの接触により、押圧面634に作用する荷重(圧力)がなだらかに増加される。
【0068】
図6(c)に示すように、図6(b)に示す状態から押圧部604がさらに下方に移動されると、ワークWによって液状樹脂Lがさらに押し潰され、液状樹脂LがワークWの外縁の手前まで押し広げられる。図7に示すように、図6(b)に対応する時点t1から図6(c)に対応する時点t2の間では、液状樹脂LのワークWの外縁への広がりに伴って、押圧面634に作用する荷重がさらに増加する。
【0069】
図6(d)に示すように、図6(c)に示す状態から押圧部604がさらに下方に移動されると、ワークWによって液状樹脂Lがさらに押し潰され、液状樹脂LがワークWの外縁から僅かに食み出される。このとき、押圧部604に設けられた押圧センサ635により、液状樹脂LからワークWを介して押圧面634に作用する圧力の減少が測定される。図7に示すように、図6(c)に対応する時点t2から図6(d)に対応する時点t3の間では、液状樹脂LがワークWの外縁に達するまでは押圧面634に作用する荷重が増加し、液状樹脂LがワークWの外縁から食み出した時点で押圧面634に作用する荷重が減少する。
【0070】
このように、押圧面634に作用する荷重は、液状樹脂LがワークWの外縁に達した時点を頂点として変化する。よって、この頂点手前に予め閾値を設けて、押圧センサ635により閾値以上の荷重が検出された時点で、移動部606による押圧部604の移動を停止してもよい。例えば、時点t2に対応する荷重に閾値を設けて、時点t2で押圧部604の移動を停止させる。これにより、ワークWの外縁付近まで液状樹脂Lを広げ、ワークWの略全域に液状樹脂Lを行き渡らせることができる。
【0071】
また、押圧面634に作用する荷重が頂点を境に低下するため、押圧センサ635によって直前に検出した荷重に対して荷重の低下が検出された時点で、移動部606による押圧部604の移動を停止してもよい。例えば、荷重が低下し始めた時点t3で押圧部604の移動を停止させる。これにより、ワークWの外縁から僅かに食み出す程度に液状樹脂Lを広げ、ワークWの下面の全域に液状樹脂Lを行き渡らせることができる。なお、圧力の変化を示すグラフの曲線形状は樹脂の塗布量や粘度、樹脂を押し広げる面積によって変化する。
【0072】
図8を参照して、押圧センサの測定結果の一例について具体的に説明する。図8は、本実施の形態に係る押圧センサの測定結果の一例を示す図である。なお、図8では、縦軸が押圧センサの測定値、横軸が移動部の移動開始からの経過時間をそれぞれ示す。
【0073】
貼着装置600による貼着動作を実施し、2〜4インチ程のウェーハの全面に、100〜1000μm程の厚みの膜が形成される量の樹脂(粘度1500CPS程度)を塗布し、押圧センサ635により押圧面634に作用する荷重を測定した場合に、図8に示すような測定結果が得られる。なお、ここでは、移動部606による押圧部604の移動速度を0.1[mm/sec]とし、押圧センサ635の測定頻度を100[msec]に1回とした。0[sec]から25[sec]の間では、荷重が0[kN]から0.1[kN]になだらかに増加する。25[sec]から28[sec]の間では、荷重が0.1[kN]から1.3[kN]に急激に増加する。28[sec]以降は、荷重が1.3[kN]から急激に減少する。
【0074】
この測定結果から、1.3[kN]の荷重が測定された時点で、液状樹脂LがワークWの外縁に到達されることがわかる。また、1.2[kN]の荷重が測定された時点でも、1.3[kN]の荷重が検出された時点と、押圧部604の移動位置にほとんど差が生じていない。よって、移動部606の停止条件として、閾値を1.2[kN]に設定することで、液状樹脂LがワークWの略外縁に到達した時点で、移動部606の駆動を停止させることができる。
【0075】
図9及び図10を参照して、貼着装置のセットアップ作業について説明する。図9は、本実施の形態に係る保持板−ステージ間の隙間の変化に対する圧力センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。図10は、本実施の形態に係る貼着装置のセットアップ作業の説明図である。なお、図9では、縦軸が圧力センサの測定値、横軸が保持部とステージとの隙間をそれぞれ示す。
【0076】
セットアップ作業に先だって、吸引口からエアを噴射した状態で、保持板624とステージ602との間隔を変化させながら流路631内の圧力を測定したところ、図9に示すマップが生成された。なお、ここでは、気体供給部637からのエアの供給流量を25[L/min]とし、保持板624−ステージ602間の隙間を10[μm]間隔で狭めて圧力センサ633による測定を実施した。マップに示すように、圧力センサ633の測定値は、保持板624がステージ602に近づくのに伴って増加する。貼着装置600は、このマップを参照して、ステージ602からの保持板624の所望の高さを基準位置として設定することで、セットアップ作業を実施する。
【0077】
具体的には、図10(a)に示すように、ステージ602から十分に離間した位置に保持板624を位置付け、気体供給部637によって吸引口からエアを噴射させる。このとき、保持板624−ステージ602間の隙間が広いため、吸引口から噴射されるエアの逃げ道が確保され、流路631内の圧力が低く保たれている。この状態から、移動部606を駆動して保持板624をステージ602に向けて接近させると、保持板624−ステージ602間の隙間が徐々に狭くなる。このため、吸引口から噴射されるエアの逃げ道が狭くなり、流路631内の圧力が増加し始める。
【0078】
図10(b)に示すように、マップ上で保持板624−ステージ602間の所望の隙間に対応する圧力が、圧力センサ633によって測定されると、移動部606の駆動が停止される。このときのステージ602からの保持板624の高さ位置が押圧方向における基準位置として設定される。例えば、保持板624−ステージ602間の所望の隙間が10[μm]の場合には、圧力センサ633によって96[kPa]が測定された時点で移動部606の駆動が停止され、このときのステージ602からの押圧部604の高さが基準位置として設定される(図9参照)。
【0079】
なお、本実施の形態では、ポーラス材等により保持板624を形成してもよい。すなわち、保持板624に形成される吸引口は、ポーラス材に設けられる細かな孔により形成されてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、押圧センサ635が押圧板623とベース部材621との間に設けられたが、これに限定されない。押圧センサ635は、液状樹脂からの押圧面634に作用する圧力を測定可能であれば、どの位置に設けられてもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、押圧センサ635により液状樹脂から押圧面634が受ける圧力を測定したが、これに限定されない。押圧センサ635は、保持板624の押圧面634に設けられて、液状樹脂からワークWが受ける圧力を測定してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、液状樹脂を光硬化性樹脂としたが、これに限定されない。液状樹脂は、シートSにワークWを貼着可能な樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂でもよい。また、液状樹脂は、完全に液状な状態に限定されるものではなく、ゲル状の固体を含むものである。
【0083】
また、本実施の形態では、樹脂供給部603を基台601に対して旋回可能に取り付けたが、これに限定されない。樹脂供給部603は、シートSに対して液状樹脂を供給可能であれば、どのような構成でもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、押圧部604としてベース部材621に押圧板623及び保持板624を設けた構成としたが、これに限定されない。押圧部604は、ワークWを吸着保持する押圧面634を有していればよい。
【0085】
また、本実施の形態では、移動部606にボールねじ式の移動機構を設けたが、これに限定されない。移動部606は、ステージ602に対して押圧面634を離反及び接近させる構成であればよい。
【0086】
また、本実施の形態では、流路631内の吸気圧と排気圧とを単一の圧力センサ633で測定したが、これに限定されない。貼着装置600に吸気用の圧力センサと排気用の圧力センサとを設けてもよい。また、圧力センサ633の代わりに、流体特性の変化を測定可能なセンサを用いてもよく、例えば、流量センサを用いてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、保持板624−ステージ602間の隙間と流路631内の圧力との関係をマップ形式でメモリに記憶する構成としたが、これに限定されない。メモリは、保持板624−ステージ602間の隙間と流路631内の圧力との関係を表すデータを記憶すればよく、例えば、保持板624とステージ602との隙間と流路631内の圧力との関係をテーブル形式で記憶してもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、セットアップ作業時に、気体供給部637によりステージ602にエアを吹き付ける構成としたが、これに限定されない。気体供給部637は、ステージ602に向けて吹き付け可能な気体であれば、どのような気体を吹き付けてもよい。
【0089】
図11を参照して、シート供給部について詳細に説明する。図11は、本実施の形態に係るシート供給部の側面模式図である。図12は、本実施の形態に係る第一、第二のエアブロー部の拡大図である。
【0090】
図11に示すように、シート供給部700は、ロールシートRからシートSを引き出して、所定長で切断するように動作する。ロールシートRは、シートSを筒701に巻き付けて構成される。シートSは、例えば、50[μm]程度の厚みを有するポリエチレンテレフタラートのフィルムである。シートSは、上記のフィルムに限定されるものではなく、各種用途に応じて適宜変更してもよい。筒701は、例えば、ポリエチレンにより形成された直径3インチの樹脂管である。筒701は、上記の樹脂管に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等により形成された樹脂管でもよいし、紙管でもよい。
【0091】
シート供給部700は、ロールシートRがセットされるロールシート支持部702と、ロールシートRからシートSを引き出すシート引き出し部703とを備えている。ロールシート支持部702とシート引き出し部703との間には、第一、第二の従動ローラ704、705、挟持部706によってシートSの搬送経路が形成されている。ロールシート支持部702は、ロールシートRの筒701に挿通され、ロールシートRを筒701の伸長方向を回転軸として回転可能に支持している。ロールシート支持部702は、筒701を内側から固定可能に構成されており、ロールシートRと一体的に回転される。
【0092】
また、ロールシート支持部702には、搬送方向に対して順送り回転方向に回転する際に、張力付与部707により制動力(逆送り回転方向の回転力)が付与されている。張力付与部707は、ロールシート支持部702に制動力を付与することにより、ロールシートRから引き出されるシートSに張力を作用させている。ロールシート支持部702に加わるトルクは、一定の力でシートSを引き出す場合であっても、ロールシートRの直径に応じて変化する。このため、張力付与部707は、シートSに適度な張力が作用するように、ロールシートRの直径の変化に合わせて制動力を調整する。
【0093】
第一、第二の従動ローラ704、705は、搬送経路においてロールシート支持部702の下流に配置されている。第一、第二の従動ローラ704、705は、それぞれロールシートRから引き出されたシートSの表面に転接する。搬送経路において、第一、第二の従動ローラ704、705間には、第一、第二のエアブロー部708、709が配置されている。第一のエアブロー部708は、シートSの表面に対面し、エアの吹き付けによってシートSの表面側の異物を除去する。第二のエアブロー部709は、シートSの裏面に対面し、エアの吹き付けによってシートSの裏面側の異物を除去する。
【0094】
図12に示すように、第一、第二のエアブロー部708、709は、吹き付け側の流路721と吸引側の流路722とが形成されたブロック723を有している。流路721の吹き出し付近は、急激に狭められており、シートSに吹き付けられる気体の流速を高めている。この流路721の吹き出し付近の隙間は、50〜500[μm]が好ましく、50〜200[μm]がより好ましい。本実施の形態では、流路721の吹き出し付近の隙間は100[μm]に設定されている。
【0095】
ブロック723は、シートSに近接して配置される。ブローをしていない状態でのブロック723とシートSとの隙間は、0〜100[μm]が好ましく、0〜50[μm]がより好ましい。本実施の形態では、ブローをしていない状態でのブロック723とシートSとの隙間が0[μm]に設定されている。ブロック723とシートSとの隙間が0[μm]に設定された場合でも、ブローを行うことでシートSの張力とブローの風量によって一定の隙間が形成され、数十[μm]程度の異物を除去することが可能である。
【0096】
第一、第二のエアブロー部708、709は、吹き付け側の流路721にエアを送り込み、吸引側の流路722からエアを吸引することで、矢印A1に示すようなエアの流れを生じさせる。吹き付け側の流路721から吹き出したエアは、ブロック723とシートSとの隙間で異物を取り込みつつ、吸引側の流路722を介して排出される。このように、第一、第二のエアブロー部708、709によりシートSの両面が洗浄される。
【0097】
図11に戻り、第二の従動ローラ705の下流には、挟持部706が配置されている。挟持部706は、上側プレート714と下側プレート715とによりシートSを上下から挟み込むように動作する。上側プレート714は、水平面を有する板材により形成されており、搬送経路の上方に位置する駆動部716のロッド717に取り付けられている。下側プレート715は、水平面を有する板材により形成されており、搬送経路の下方に位置する駆動部718のロッド719に取り付けられている。上側プレート714及び下側プレート715は、ロッド717、719の駆動によりそれぞれ上下動される。
【0098】
上側プレート714及び下側プレート715は、シートSの引き出し及び切断に応じて適切な高さに移動する。具体的には、上側プレート714及び下側プレート715は、シート引き出し部703によりシートSの前端が把持される上段位置731と、後述するカット部711によりシートSが切断される下段位置732との間で上下方向に移動する(図14参照)。なお、上側プレート714及び下側プレート715の動作の詳細については、後述する。
【0099】
挟持部706の下流には、カット部711が配置されている。カット部711は、シートSを搬送方向に直交する幅方向に切断するカッター735と、シートSの裏面を吸着保持する保持部736とを有している。カッター735及び保持部736は、シートSの搬送経路を挟んで上下方向で対向するように配置されている。カッター735は、シートSの上方に位置し、カッター移動部746によりシートSの幅方向の一端側から他端側に移動可能に構成されている。保持部736は、シートSの下方に位置し、シートSの幅方向に延在する長尺状に形成されている。
【0100】
保持部736は、シートSの裏面を吸着保持する保持面737を有している。保持面737は、水平に形成されており、下段位置に移動した下側プレート715の上面と略面一となっている。保持面737には、カッター502の刃先を逃がす逃げ溝738が保持部736の延在方向に沿って形成されている。また、保持面737において逃げ溝738を挟んだ両側には、複数の吸引口739が逃げ溝738に沿って形成されている。複数の吸引口739は、不図示の流路を介してエアの吸引源及び供給源に接続されている。
【0101】
カット部711は、シート切断時には、引き出されたシートSを複数の吸引口739の吸引によって保持面737に吸着し、逃げ溝738内においてカッター移動部746の駆動によってカッター735の刃先を逃げ溝738に沿ってスライド移動させることでシートSを切断する。これにより、シートSを保持面737に保持させたまま、シートSを切断することができる。また、カット部711は、シート引き出し時には、複数の吸引口739からのエアの吹き付けによってシートSと保持面737との接触を抑制する。このエアの吹き付けにより、シート引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れが防止される。
【0102】
シート引き出し部703は、シートSの前端を把持する把持部741と、把持部741をロッド717、719の駆動方向に対して傾斜方向に移動させる移動部742とを有している。移動部742は、水平面Pに対して傾けて設置された支持台743と、支持台743上においてX軸方向に平行なガイドレール744と、ガイドレール744にスライド可能に設置されたスライダ745とを有している。スライダ745は、ボールねじ式の移動機構により傾斜方向に移動可能に構成されている。スライダ745の上面には、ベースプレート751が取り付けられている。
【0103】
把持部741は、ベースプレート751に立設された固定プレート752を有している。固定プレート752は、ベースプレート751の後端から立ち上がり、前方側に折り曲げられ、先端部753がさらに下方に折り曲げられて形成されている。また、把持部741は、固定プレート752の先端部753に対して接近及び離反する可動プレート754を有している。可動プレート754は、側面視逆L字状に折り曲げられており、固定プレート752の先端部753に対向する平板部755を有している。可動プレート754は、ベースプレート751の後端側に設置された駆動部756のロッド757に取り付けられている。
【0104】
把持部741は、固定プレート752の先端部753に対して可動プレート754の平板部755を接近させてシートSの前端を把持し、固定プレート752の先端部753から可動プレート754の平板部755を離反させてシートSの前端を解放する。また、把持部741は、前方位置761に向かって斜め上方に移動してシートSの前端を把持し、シートSの前端を把持した状態で後方位置762に向かって斜め下方に移動して、ロールシートRからシートSを引き出す(図14参照)。
【0105】
このとき、把持部741によるシートSの把持高さは、前方位置761ではカット部711の上方の上段位置731に略一致し、後方位置762ではカット部711によりシートSが切断される下段位置732に略一致する。すなわち、把持部741は、前方位置761では保持部736に衝突しないようにシートSを把持し、前方位置761から後方位置762に移動することで、シートSの裏面をカット部711の保持面737に面一となるようにシートSを引き出している。
【0106】
また、ロールシート支持部702の近傍には、ロールシートRの直径を検出する直径検出部712が配置されている。直径検出部712は、例えば、発光部765の周囲に受光部766を設けた反射型の光センサ767と、上記した制御部6のメモリとを有している。光センサ767は、ロールシートRの直径の変化に伴う受光量の変化を測定する。メモリには、例えば、受光量とロールシートRの直径との関係を表すマップが記憶されている。このマップは、予めロールシートRの直径を変化させながら、光センサ767による受光量を測定することで生成される。
【0107】
ロールシートRの直径が小さくなると、光センサ767とロールシートRの外周面との距離が広がるので、光センサ767によって測定される受光量が低下する。また、ロールシートRからシートが全て引き出されると、筒701の反射率とシートSの反射率との違いから光センサ767によって測定される受光量が大きく変化する。直径検出部712は、これらの特性を利用して、メモリに記憶されたマップと光センサ767の測定結果とに基づいて、ロールシートRの直径及びシートSの有無を検出する。
【0108】
直径検出部712によって検出されたロールシートRの直径は、張力付与部707に通知される。張力付与部707は、ロールシートRの直径に応じて制動力を調整することで、シートSに対して適度な張力を発生させる。また、直径検出部712によって検出されたシートSの有無は、監視部768に通知される。監視部768は、ロールシートRからシートSが無くなったことを検知するとアラームを発する。
【0109】
図13を参照して、ロールシート支持部の詳細構成について説明する。図13は、本実施の形態に係るロールシート支持部の部分断面模式図である。
【0110】
図13に示すように、ロールシート支持部702は、円板状の突き当て板771の板面に突設された棒状の軸部772を有している。ロールシートRは、筒701内に軸部772が挿通されて、突き当て板771に突き当てられるようにロールシート支持部702に支持される。軸部772は、中空に形成されており、内部に駆動ロッド773が軸方向に進退可能に設けられている。また、軸部772には、駆動ロッド773の進退により筒701の内側からロールシートRをロック及びアンロックする一対の爪部774が設けられている。
【0111】
軸部772には、駆動ロッド773を進退可能に収容する収容空間776が形成されている。収容空間776は、軸部772の先端部に形成された挿通孔777、及び軸部772の外周部に形成された一対の長孔781を介して外部に連なっている。軸部772は、先端の挿通孔777を介して駆動ロッド773の先端部778を突出可能とし、外周面の一対の長孔781を介して一対の爪部774を筒701の内面に当接可能としている。また、軸部772には、収容空間776の基端側に連なるエアの供給空間783が形成されている。
【0112】
供給空間783は、収容空間776に駆動ロッド773が収容されることで密閉される。駆動ロッド773は、供給空間783へのエアの供給により、先端部778を軸部772外に突出させる退出方向に移動する。また、駆動ロッド773は、供給空間783へのエアの供給停止により、オペレータの手動によって先端部778を挿通孔777内に収容する進入方向に移動可能となっている。このとき、駆動ロッド773の進入位置は、収容空間776と供給空間783との間にて、軸部772の内周面から突出した環状ブロック775に当接することで規制される。
【0113】
駆動ロッド773は、小径に形成された先端部778と、先端部778よりも大径に形成された前方部785、中間部786、後方部787とを有している。先端部778は、駆動ロッド773の退出方向への移動時に、挿通孔777を介して軸部772の先端面から突出される。先端部778の突出部分は、ロールシートRのロックを解除するアンロック用の操作部として機能する。前方部785及び後方部787は、軸部772内に形成された円柱状の支持面788、789の内径寸法に対して略同寸法の外径寸法を有し、支持面788、789により進退方向に摺動可能に支持される。
【0114】
中間部786は、軸部772に対して開閉可能に取り付けられた一対の爪部774の間に配置されている。中間部786の前方部785側には、駆動ロッド773の進入方向に向かって大径となるテーパ面791が形成されている。テーパ面791が駆動ロッド773と共に進退することにより、一対の爪部774の先端側を挟んで対向するテーパ面791と筒701の内面との間隔が変化する。
【0115】
一対の爪部774は、一対の長孔781に対応して収容空間776内に配置され、一対の長孔781の後方において軸部772に揺動可能に支持されている。一対の爪部774は、揺動可能に揺動支点796に支持された基端部から前方に延びるアーム部792と、アーム部792の先端部に設けられたローラ部793とを有している。アーム部792は、先端部から基端部に向かって幅狭になるように形成され、基端部から軸部772の径方向内側に延びる係止部794を有している。ローラ部793は、中間部786のテーパ面791に転接される。
【0116】
駆動ロッド773が退出方向に移動されると、テーパ面791によりローラ部793が外方に押し込まれ、アーム部792が長孔781を介して筒701側に向う外側に揺動される。これにより、一対の爪部774が筒701の内面に当接してロールシートRをロックする。また、駆動ロッド773が進入方向に移動されると、中間部786の後端面795により係止部794が進入方向に押し込まれ、アーム部792が駆動ロッド773側に向う内側に揺動される。これにより、一対の爪部774が筒701の内面から離間してロールシートRをアンロックする。なお、ロールシート支持部702によるロールシートRのロック及びアンロックの詳細については後述する。
【0117】
図14A及び図14Bを参照して、シート供給部によるシート切断動作について説明する。図14A及び図14Bは、本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【0118】
図14A(a)に示すように、上側プレート714及び下側プレート715が、下段位置732においてシートSを挟持している。この場合、シートSの前端は、カット部711(保持部736)の保持面737上に位置されている。また、把持部741が、固定プレート752の先端部753と可動プレート754の平板部755とを離間させた状態で後方位置762に待機している。このとき、把持部741の高さが、下段位置732でシートSの前端を把持可能な高さに合わせられている。
【0119】
次に、図14A(b)に示すように、上側プレート714及び下側プレート715が、シートSを挟持した状態で上段位置731に向かって矢印A2方向に移動する。これにより、シートSの前端がカット部711の保持面737の上方に移動される。次に、図14A(c)に示すように、把持部741が、前方位置761に向かって斜め上方(矢印A3方向)に移動される。把持部741が前方位置761に位置付けられると、固定プレート752の先端部753と可動プレート754の平板部755との間にシートSの前端が位置付けられる。
【0120】
次に、図14B(d)に示すように、可動プレート754の平板部755が固定プレート752の先端部753に接近(矢印A4方向)されて、固定プレート752と可動プレート754とによりシートSの前端が把持される。このように、前方位置761では、把持部741の高さが上段位置731でシートSを把持可能な高さに合わせられている。
【0121】
次に、図14B(e)に示すように、下側プレート715が下段位置732に向かって矢印A5方向に移動することでシートSの挟持が解除されると共に、把持部741が後方位置762に向かって斜め下方(矢印A6方向)に移動されることでシートSが引き出される。このとき、把持部741は、シートSの把持位置の高さを上段位置731から下段位置732まで変えながら移動する。また、シートSの引き出し時には、保持面737に形成された複数の吸引口739からシートSに対してエアが吹き付けられる。このエアの吹き付けによってシートSの引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れが防止される。
【0122】
次に、図14B(f)に示すように、シートSの引き出しが完了すると、複数の吸引口739により保持面737にシートSが吸着され、シート搬送部800が把持部741と保持面737との間に引き出されたシートSを上方から保持する。そして、シート搬送部800によりシートSが保持された状態で、カッター735が保持面737に形成された逃げ溝738に沿ってスライドし、搬送方向に直交する幅方向でシートSを切断する。逃げ溝738に沿って逃げ溝738を挟んだ両側に形成された複数の吸引口739がシートSを保持した状態で切断を行うので安定した切断が可能となる。
【0123】
シートSが切断されると、把持部741によるシートSの把持が解除され、シート搬送部800によりシートSがステージ602に搬送される。このとき、上側プレート714が下段位置732に移動することでシートSが挟持され、図14A(a)に示す状態に戻る。このように、本実施の形態では、把持部741が前方位置761から後方位置762に向かって斜め後方に移動することで、シートSが高さを変えながら引き出される。よって、把持部741を斜め方向の1軸方向に移動させればよく、前後方向及び上下方向の2軸方向に移動させる構成と比較して、安価かつ簡易な構成によりシートSを引き出すことができる。
【0124】
図15を参照して、ロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作について説明する。図15は、本実施の形態に係るロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作の説明図である。
【0125】
図15(a)に示すように、ロールシートRのアンロック時には、駆動ロッド773が軸部772の収容空間776の奥方に押し込まれており、軸部772の内周面に設けられた環状ブロック775に当接されている。一対の爪部774は、係止部794に中間部786の後端面795が当接され、矢印A7に示すように、アーム部792の先端側を駆動ロッド773の外周面に押し付けている。このとき、アーム部792の先端部に設けられたローラ部793は、テーパ面791の小径側に転接されている。
【0126】
このロールシートRのアンロック状態で、供給空間783にエアが供給されると、駆動ロッド773が退出方向に移動し始める。駆動ロッド773が退出方向に向かって移動し始めると、ローラ部793がテーパ面791上を小径側から大径側に移動する。これにより、アーム部792が、矢印A8に示すように、揺動支点796を中心として筒701側に揺動する。そして、図15(b)に示すように、駆動ロッド773が、完全に退出方向に押し出されると、アーム部792の先端側が長孔781を介して筒701の内面とテーパ面791との間に噛み込まれる。
【0127】
この構成により、筒701の内面がアーム部792に押圧され、アーム部792によって筒701の内側からロールシートRがロックされる。この場合、アーム部792は、矢印A8の揺動方向に示すように、突き当て板771に向かう斜め方向から筒701の内面に当接する。よって、ロールシートRが突き当て板771に突き当てられた状態で、一対の爪部774によりロックされる。また、ロールシートRのロック状態では、アンロック用の操作部となる駆動ロッド773の先端部778が、軸部772の挿通孔777を介して外部に突出される。
【0128】
このロック状態で、供給空間783へのエアの供給が停止された後、オペレータにより軸部772から突出した駆動ロッド773の先端部778が押圧されると、駆動ロッド773が進入方向に移動し始める。駆動ロッド773が進入方向に向かって移動し始めると、ロールシートRの筒701の内面とテーパ面791との間からアーム部792の先端側の噛み込みが外れる。そして、図15(a)に示すように、駆動ロッド773が完全に進入方向に押し込まれると、中間部786の後端面795が一対の爪部774の係止部794に当接する。この係止部794に対する後端面795の当接により、アーム部792が、矢印A7に示すように揺動支点796を中心として駆動ロッド773側に揺動する。
【0129】
この構成により、筒701の内面からアーム部792が完全に離間され、ロールシートRがアンロックされる。このように、オペレータの手動操作によりアンロックされるため、エアの供給停止等により自動的にロックが解除されることがない。よって、ロールシートRのアンロック時には、オペレータの操作が必ず加わるため、オペレータの意図しないロールシートRのアンロックを抑制できる。
【0130】
図16を参照して、直径検出部によるロールシートの直径検出処理について説明する。図16は、本実施の形態に係るロールシートの変化に対する光センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。なお、図16では、ロールシートはPETフィルム、筒はポリエチレン製である。また、縦軸が受光量に応じた光センサの測定電圧、横軸が光センサから測定対象までの距離をそれぞれ示す。
【0131】
図16に示すように、シート供給部700の駆動に先だって、測定対象との距離を変化させながら、光センサ767の測定電圧を測定したところ、実線W1、破線W2の測定結果が得られた。ここで、実線W1がロールシートRを測定対象とした場合の測定結果であり、破線W2が筒701のみを測定対象とした場合の測定結果である。実線W1に示すように、光センサ767の受光面とロールシートRの外周面との距離が離れるに伴い、光センサ767の受光量に応じた測定電圧が低下する。図の例では、光センサ767の受光面とロールシートRの外周面との距離が96[mm]から160[mm]に増加すると、測定電圧が5.0[V]から1.4[V]に低下している。
【0132】
また、破線W2に示すように、光センサ767の受光面と筒701の外周面との距離が離れるに伴い、光センサ767の受光量に応じた測定電圧が低下する。図の例では、光センサ767の受光面と筒701の外周面との距離が45[mm]から160[mm]に増加すると、測定電圧が2.4[V]から1.2[V]に低下している。このように、筒701は、シートSに比べて反射率が低いため、ロールシートRを測定対象にする場合と比較して測定電圧が低くなる。マップは、制御部6のメモリに記憶される。
【0133】
シート供給部700の駆動時には、直径検出部712は、メモリに記憶されたマップを参照して、ロールシートRからの反射光の受光量に基づいてロールシートRの直径を検出する。直径検出部712は、検出したロールシートRの直径を張力付与部707に出力する。この構成により、張力付与部707は、ロールシートRの直径に応じてロールシート支持部702に加わるトルクが変化する場合でも、シートSに対して適度な張力を発生させるように制動力を調整できる。これにより、シートSに掛る張力が大きすぎてシートSが伸びたり、把持部741によるシートSの引き出し時に負荷が掛って動作が不安定なる等の問題が回避される。また、シートSに掛る張力が小さすぎてとシートSが弛み、シートSのカットが適切に行われない等の問題が回避される。
【0134】
また、直径検出部712は、メモリに記憶されたマップを参照して、ロールシートRと筒701との反射率の違いからシートSの有無を検出する。この場合、直径検出部712は、シートSが無くなる直前のロールシートRに対する測定電圧と、そのときの筒701に対する測定電圧との間に閾値を設定する。そして、直径検出部712は、光センサ767により閾値以下の測定電圧が測定されたときに、シートSが無くなったことを検出する。図の例では、160[mm]でシートSが無くなるため、1.3[V]に閾値を設定することで、シートSの有無が検出される。
【0135】
直径検出部712は、シートSの有無を監視部768に通知する。監視部768は、ロールシートRからシートSが無くなったことを検知するとアラームを発し、オペレータに対してロールシートRの交換作業を促す。
【0136】
なお、本実施の形態では、受光量とロールシートRとの関係をマップ形式でメモリに記憶する構成としたが、これに限定されない。メモリは、受光量とロールシートRとの関係を表すデータを記憶すればよく、例えば、受光量とロールシートRとの関係をテーブル形式で記憶してもよい。
【0137】
また、本実施の形態では、直径検出部712が反射型の光センサ767の受光量に基づいてロールシートRの直径を検出したが、光センサに限定されない。直径検出部712は、ロールシートRの直径に応じた物理量を測定可能なセンサを有すればよく、例えば、ロードセルを設けてロールシートRの重量からロールシートRの直径を検出してもよい。この場合、ロードセルをロールシート支持部702に設けるようにする。
【0138】
また、本実施の形態では、筒701をロールシートRよりも反射率の低い材質で形成したが、これに限定されない。シートSの有無を検出する場合には、筒701は、ロールシートRと異なる反射率を有すればよく、例えば、ロールシートRよりも反射率の高い材質で形成してもよい。
【0139】
また、本実施の形態では、張力付与部707によりロールシート支持部702に対して逆送り回転方向の回転力を与えて、シートSに張力を付与したが、これに限定されない。張力付与部707は、シートSに適度な張力を付与する構成であればよく、例えば、ロールシート支持部702に摩擦力を作用させる構成としてもよい。
【0140】
また、本実施の形態では、光センサ767として発光部636の周囲に受光部766を設ける構成としたが、これに限定されない。光センサ767は、受光部766の周囲に発光部636を設ける構成としてもよい。
【0141】
また、本実施の形態では、光センサ767からの出力を張力付与部707及び監視部768に通知する構成としたが、これに限定されない。光センサ767からの出力を制御部6に通知し、制御部6を介して張力付与部707及び監視部768に通知してもよい。
【0142】
また、本実施の形態では、一対の爪部774によりロールシートRをロールシート支持部702にロックしたが、これに限定されない。ロールシート支持部702は、ロールシートRをロックする構成であれば、どのような構成を有してもよい。
【0143】
また、本実施の形態では、第一、第二のエアブロー部708、709によりシートSにエアを噴射してシートSを洗浄したが、これに限定されない。第一、第二のエアブロー部708、709は、エア以外の気体を噴射してシートSを洗浄してもよい。
【0144】
また、本実施の形態では、吸引口739からのエアの吹き付けによって、シートSの引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れを防止したが、これに限定されない。シートSの引き出し時にシートSと保持面737とが摺れない場合には、吸引口739からエアを吹き付けなくてもよい。
【0145】
また、本実施の形態では、シート引き出し部703は、把持部741にシートSの前端を把持させた状態で、把持部741をスライドすることでロールシートRからシートSを引き出す構成としたが、これに限定されない。シート引き出し部703は、ロールシートRからシートSを引き出し可能な構成であれば、どのように構成されてもよい。
【0146】
図1、図17及び図18を参照して、ステージ及びシート搬送部について詳細に説明する。図17は、本実施の形態に係るステージの模式図である。なお、図17において、(a)がステージの上面模式図、(b)が(a)のB1−B1断面図である。図18は、本実施の形態に係るシート搬送部の断面模式図である。
【0147】
図17に示すように、ステージ602は、透光性材料により円板状に形成されており、上面の外周領域を除いて中央領域に凹部651が設けられている。ステージ602上面は、凹部651によって段状に形成され、外周領域に第一の保持面652、凹部651の内底面に第二の保持面653、凹部651の内周面に第一の保持面652から第二の保持面653に至る側面654がそれぞれ形成される。第一の保持面652には、シートSの外周領域を吸引保持する2つの第一の吸引口655が同心円状に形成されている。第二の保持面653と側面654との角部には、シートSの中央領域を吸引する環状の第二の吸引口(吸引口)656が形成されている。
【0148】
第一の吸引口655は、ステージ602内部に形成された流路を介して不図示の吸引源に接続される。第二の吸引口656は、ステージ602内部に形成された流路を介して吸引源に接続される。また、第二の吸引口656に連なる流路には大気開放弁が設けられている。ステージ602は、第一の吸引口655の吸引によって第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着保持する。このとき、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657(図17(b)参照)が形成される。ステージ602は、第二の吸引口656によって、この閉空間657からエアを吸引することでシートSを第二の保持面653に貼り付ける。
【0149】
シートSは、閉空間657からエアが吸引されると、第一の保持面652と第二の保持面653との段差によって引き伸ばされつつ第二の保持面653に沿って密着される。第二の保持面653は、第二の吸引口656が形成された外周縁を除いて平坦に形成されているため、シートSに対する密着性が高められると共に、発光部636(図5参照)から照射される光の錯乱を無くすことができる。よって、ワークWに対して平坦な樹脂面を形成できる。
【0150】
また、大気開放弁が開放され、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入されることで、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、本実施の形態に係るステージ602は、シートSを第二の保持面653に対して気密に貼り付けると共に、第二の保持面653に貼り付けられたシートSを容易に剥がすことができる。
【0151】
図1に示すように、シート搬送部800は、外部筐体2の底壁部に配置された基台801内から突出した搬送アーム部802と、搬送アーム部802の先端に設けられたシート保持部803とを有している。搬送アーム部802は、基台801内に設けられた不図示の移動機構によりX軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。シート保持部803は、上面視矩形状に形成されており、シートSを保持する保持面を有している。シート搬送部800は、基台801内の移動機構によりシート供給部700とステージ602との間でシートSを搬送する。
【0152】
図18に示すように、シート保持部803には、下面の外周領域を除いて中央領域に凹部811が形成されている。シート保持部803の下面の外周領域は、保持面812となっており、シートSの外周領域を吸引保持する吸引口813が形成されている。吸引口813は、シート保持部803の内部に形成された流路を介して不図示の吸引源に接続される。凹部811には、伸縮材により形成された膨張膜(膨張部)814が取り付けられている。膨張膜814は、凹部811の内底面に対して僅かに隙間を空けて取り付けられる。
【0153】
凹部811の内底面には、膨張膜814の中央部分に向けてエアを供給する供給口816が形成されている。供給口816は、シート保持部803の内部に形成された流路を介して不図示の供給源に接続される。膨張膜814は、供給口816を介してエアが供給されることで、中央部分から膨らみ始めてドーム状に膨張する。シート保持部803は、ステージ602上の第一の保持面652にシートSを保持させた状態で、膨張膜814をドーム状に膨張させることで、シートSの中央部分をステージ602の第二の保持面653に押し付ける。
【0154】
そして、第二の保持面653に押し付けられたシートSは、上記したように第二の吸引口656の吸引により第二の保持面653に吸着される。このとき、シートSの中央部分が第二の保持面653に押し付けられているため、シートSの中央から外方に向かって気泡を押し出すようにして第二の保持面653に密着される。よって、シートSとステージ602との間に気泡が入り込むことが抑制され、第二の保持面653とシートSとの密着性が高められる。
【0155】
図19を参照して、シートの貼り付け動作について説明する。図19は、本実施の形態に係るシート搬送部によるシートの貼り付け動作の説明図である。
【0156】
図19(a)に示すように、シート保持部803は、シート供給部700からシートSを受け取り、シートSをステージ602の上方に位置付ける。この場合、シートSは、吸引口813により保持面812に外周領域を保持された状態で搬送される。シート保持部803は、シートSを保持した状態で下方に移動し、ステージ602の第一の保持面652上にシートSを載置する。ステージ602は、シートSが載置されると、第一の吸引口655により第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着する。このとき、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657が形成される。
【0157】
次に、図19(b)に示すように、ステージ602の第一の保持面652にシートSの外周領域が吸着されると、シート保持部803が吸引口813によるシートSの保持を解除する。そして、シート保持部803が供給口816から膨張膜814に向けてエアを供給し、膨張膜814をドーム状に膨らませる。これにより、シートSの中央部分が、ステージ602の第二の保持面653に押し付けられる。
【0158】
次に、図19(c)に示すように、ステージ602が、第二の吸引口656により閉空間657からエアを吸引して、シートSを第二の保持面653に貼り付ける。このとき、シートSは、凹部651の段差によってしわが引き伸ばされつつ、膨張膜814によって中央部分から外側に向かって気泡を押し出すようにして押し広げられる。シートSは、押し出された気泡が第二の吸引口656により吸引されることで、内側から外側に向って徐々に第二の保持面653に密着される。このため、シートSとステージ602との間に気泡が入り込むことが抑制される。ステージ602にシートSが貼り付けられると、ステージ602上からシート保持部803が離れ、シートSに対して上記したワークWの貼着動作が実施される。
【0159】
次に、図19(d)に示すように、ワークWの貼着動作が終了すると、ステージ602が、第二の吸引口656からのエアの吸引を停止し、閉空間657内を大気に開放する大気開放弁を解放する。大気開放弁の開放により、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入し、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、第二の保持面653にシートSが気密に貼り付けられる場合でも、第二の保持面653から容易にシートSを剥がすことができる。
【0160】
なお、本実施の形態では、シート保持部803に膨張膜814を設けたが、これに限定されない。シート保持部803は、シートSを保持可能に形成されていればよく、例えば、図20に示すように、膨張膜814を設けずに、下面全域に保持面812が形成されていてもよい。
【0161】
以下、図20を参照して、変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作について説明する。図20は、変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作の説明図である。なお、ここでは、同一の名称については同一の符号を付して説明する。
【0162】
図20(a)に示すように、シート保持部803は、シート供給部700からシートSを受け取り、シートSをステージ602の上方に位置付ける。この場合、シートSは、吸引口813により保持面812に保持された状態で搬送される。シート保持部803は、シートSを保持した状態で下方に移動し、ステージ602の第一の保持面652上にシートSを載置する。ステージ602は、シートSが載置されると、第一の吸引口655により第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着する。
【0163】
次に、図20(b)に示すように、ステージ602の第一の保持面652にシートSの外周領域が吸着されると、シート保持部803が吸引口813によるシートSの保持を解除する。次に、図20(c)に示すように、ステージ602は、第二の吸引口656により、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657からエアを吸引して、シートSを第二の保持面653に貼り付ける。このとき、シートSは、凹部651の段差によってしわが引き伸ばされて第二の保持面653に密着される。ステージ602にシートSが貼り付けられると、ステージ602上からシート保持部803が離れ、シートSに対して上記したワークWの貼着動作が実施される。
【0164】
次に、図20(d)に示すように、ワークWの貼着動作が終了すると、ステージ602が、第二の吸引口656からのエアの吸引を停止し、閉空間657内を大気に開放する大気開放弁を解放する。大気開放弁の開放により、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入し、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、第二の保持面653にシートSが気密に貼り付けられる場合でも、第二の保持面653から容易にシートSを剥がすことができる。
【0165】
また、本実施の形態では、ステージ602の第二の保持面653が平坦に形成されたが、これに限定されない。第二の保持面653は、第二の吸引口656に至る溝が形成されていてもよい。例えば、図21に示すように、ステージ602に第二の保持面653の中心を通るように溝901を形成してもよい。図21においては、(a)がステージの上面模式図、(b)が(a)のB2−B2断面図を示している。この構成より、発光部636(図5参照)から照射される光の錯乱を低くした状態で、第二の保持面653とシートSとの間の気泡混入が低減され、シートSの吸着力を高めることができる。この場合、溝901は、第二の保持面653上において、第二の吸引口656に連なる構成であれば、どのように形成されていれもよい。
【0166】
なお、本実施の形態では、第二の吸引口656に連なる流路に大気開放弁が設けられたが、これに限定されない。第二の吸引口656からの吸引によってシートSが第二の保持面653に対して吸着されれば、大気開放弁が設けられない構成としてもよい。
【0167】
また、本実施の形態では、シートSが第一の吸引口655により第一の保持面652に吸着保持されるが、これに限定されない。第一の保持面652にシートSの外周領域が保持されればよく、例えば、クランプ機構等によりシートSの外周領域が第一の保持面652に機械的に保持してもよい。
【0168】
また、本実施の形態では、シートSが第二の吸引口656により第二の保持面653に吸着保持されるが、これに限定されない。第二の保持面653は、シートSの中央領域を吸着保持する構成であればよく、例えば、第二の保持面653と側面654との角部に形成された複数の孔により構成されてもよい。
【0169】
また、本実施の形態では、第二の保持面653と側面654との角部に第二の吸引口656を形成したが、これに限定されない。第二の吸引口656は、少なくとも第二の保持面653及び側面654の一方に形成されていればよい。
【0170】
ここで、図1を参照して、樹脂塗布装置1による全体的な動作の流れについて説明する。まず、稼働前のメンテナンス時に、貼着装置600によるセットアップ作業が実施される。これにより、押圧部604による押圧操作時の基準位置が設定される。樹脂塗布装置1が駆動され、オペレータによってカセット収容部100に搬入側のカセット4が収容されると、第一のワーク搬送部200により搬入側のカセット4から加工前のワークWが取り出され、仮置きテーブル401に仮置きされる。このとき、外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合には、いずれか他方が閉状態でロックされ、オペレータの作業の安全性が確保されている。
【0171】
仮置きテーブル401上のワークWは、撮像部402により撮像され、制御部6において水平方向における向きや中心位置が算出される。撮像後のワークWは、算出された向きや中心位置に基づいて第二のワーク搬送部300によって押圧部604に受け渡され、押圧部604の押圧面634によってステージ602の上方で保持される。一方、ワークWの押圧部604への搬送に並行して、シート供給部700によりロールシートRからシートSが引き出される。シートSの引き出し時には、ロールシートRの直径の変化に応じて、シートSに対して適度な張力が作用するように調整される。
【0172】
シート供給部700により引き出されたシートSは、所定長で切断されてシート搬送部800によりステージ602上に搬送される。このとき、シート搬送部800に設けられた膨張膜814の膨張及びステージ602の凹部651により、シートSがステージ602に対して気密に貼り付けられる。ステージ602の上のシートSは、中央部分に樹脂供給部603から液状樹脂が供給される。そして、貼着装置600に対してシートS及びワークWが搬送されると、液状樹脂が供給されたシートSに対して押圧面634に保持されたワークWが押し付けられる。このとき、液状樹脂から押圧面634が受ける圧力の変化に応じて押圧部604の押し下げ量を調整する。これにより、液状樹脂がワークWの外縁まで行き渡る。
【0173】
シートSに対するワークWの押し付けが完了すると、発光部636からの光の照射により液状樹脂が硬化され、ワークWとシートSとの間に樹脂膜が形成される。このとき、シートSに対するワークWの押し付けが解除された状態で、液状樹脂が硬化されるため、ワークWに内部応力を残留させることがない。シートS付きのワークWは、第二のワーク搬送部300によりステージ602から取り出され、シート切断部500の下方に配置される。そして、シートS付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿って余分なシートSが取り除かれ、第一のワーク搬送部200によりシート切断部500から搬出側のカセット5に押し込まれる。
【0174】
以上のように、本実施の形態に係る樹脂塗布装置1によれば、カセット収容部100、ワーク搬送部200、300、ワーク検出部400、シート切断部500、貼着装置600、シート供給部700、シート搬送部800を協働させることにより、加工前のワークWの搬入から加工済みのシート付きワークWの搬出までの一連の作業が効率的に実施される。すなわち、カセット収容部100に収容されたカセット4からワーク検出部400にワークWが搬送され、ワーク検出部400においてワークWの水平方向の位置及び向きが検出される。位置及び向きが検出されたワークWは、押圧部604に搬送され、押圧面634に対して精度よく位置付けられる。また、シート供給部700から引き出されたシートSがステージ602上に搬送され、押圧面634に保持されたワークWとステージ602上のシートSとが対向される。押圧面634に保持されたワークWは、液状樹脂が供給されたシートSに押し付けられてシートSに貼着される。ワークWにシートSが貼着されると、発光部636の発光により液状樹脂が硬化され、シート付きのワークWがシート切断部500に搬送される。シート付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿って余分なシートSが除去され、カセット5に収容される。このように、一連の作業の効率化が図られることで、ワークWの生産性を向上できる。
【0175】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0176】
以上説明したように、本発明は、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができるという効果を有し、特に、ウェーハメイキング工程において半導体ウェーハに液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置に有用である。
【符号の説明】
【0177】
1 樹脂塗布装置
2 外部筐体
4、5 カセット
6 制御部
100 カセット収容部
200 第一のワーク搬送部(ワーク搬送部)
300 第二のワーク搬送部(ワーク搬送部)
400 ワーク検出部
500 シート切断部
600 貼着装置
602 ステージ
603 樹脂供給部
604 押圧部
606 移動部
634 押圧面
636 発光部
700 シート供給部
800 シート搬送部
W ワーク
S シート
R ロールシート
L 液状樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、樹脂塗布装置に関し、特に、ウェーハメイキング工程において半導体ウェーハに液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハメイキング工程では、例えば、シリコン等の円柱状のインゴットがワイヤソーによってスライスされて、基板状のウェーハ(ワーク)が形成される。スライスされたワークには、スライス時にうねりや反り等が生じるが、片面に液状樹脂が塗布されて平坦面が形成される。液状樹脂が塗布された平坦面には、ワークのハンドリングを容易とするシートが貼り付けられて、このシート面を基準として研削されることで、平坦な薄板状に形成される。
【0003】
従来、ワークの片面に液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置として、液状樹脂をワークの片面に均一に塗布するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の樹脂塗布装置は、液状樹脂を塗布したシート上にワークを載置し、押圧パッドに対向するステージ上にワークを搬送する。そして、樹脂塗布装置は、ステージ上にワークを吸着保持した状態で、押圧パッドによりワークをシートに押し付けることで、ワークの片面に液状樹脂を均一に押し広げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような樹脂塗布装置では、加工前のワークの搬入から加工済みのシート付きワークの搬出までの一連の作業のさらなる効率化が求められている。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができる樹脂塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の樹脂塗布装置は、ワークを吸着保持可能な押圧面を有する押圧部と、前記押圧面に対向して配設され、シートの下面を保持するステージと、前記ステージに保持された前記シートの上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部と、前記押圧面を前記ステージに対して接近及び離反させる移動部と、前記ステージの下側に配設され、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂に光を照射する発光部と、を有し、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂を前記押圧面に保持したワークで上から押圧し前記液状樹脂をワーク下面に広げる樹脂塗布装置であって、ロール状に巻かれた前記シートを引き出して切断するシート供給部と、前記シート供給部で切断された前記シートを前記ステージ上に搬送するシート搬送部と、ワークを複数収容したカセットを収容するカセット収容部と、ワークが前記押圧面に受け渡される前にワークの水平方向の位置と向きを検出するワーク検出部と、前記液状樹脂によってワークが貼り付けられたシートを前記ワークの外形に沿って切断するシート切断部と、前記カセットと前記ワーク検出部と前記押圧面とシート切断部との間でワークの搬送を行うワーク搬送部とを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、押圧部、ステージ、樹脂供給部、移動部、発光部、シート供給部、シート搬送部、カセット収容部、ワーク検出部、シート切断部、ワーク搬送部を協働させることにより、加工前のワークの搬入から加工済みのシート付きワークの搬出までの一連の作業が効率的に実施される。例えば、カセット収容部に収容されたカセットからワーク検出部にワークが搬送され、ワーク検出部においてワークの水平方向の位置及び向きが検出される。位置及び向きが検出されたワークは、押圧部に搬送され、押圧面に対して精度よく位置付けられる。また、シート供給部から引き出されたシートがステージ上に搬送され、押圧面に保持されたワークとステージ上のシートとが対向される。押圧面に保持されたワークは、液状樹脂が供給されたシートに押し付けられてシートに貼着される。ワークにシートが貼着されると、発光部の発光により液状樹脂が硬化され、シート付きのワークがシート切断部に搬送される。シート付きのワークは、シート切断部においてワークの外形に沿って余分なシートが除去され、カセットに収容される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る樹脂塗布装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るカセット収容部の斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るカセット収容部の断面模式図である。
【図4】本実施の形態に係る外部ドア及び内部ドアの開閉動作の説明図である。
【図5】本実施の形態に係る貼着装置の断面模式図である。
【図6】本実施の形態に係る貼着装置の貼着動作の説明図である。
【図7】本実施の形態に係る押圧センサの測定値と移動部の移動開始からの経過時間との一般的な関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る押圧センサの測定結果の一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る保持板−ステージ間の隙間の変化に対する圧力センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る貼着装置のセットアップ作業の説明図である。
【図11】本実施の形態に係るシート供給部の側面模式図である。
【図12】本実施の形態に係る第一、第二のエアブロー部の拡大図である。
【図13】本実施の形態に係るロールシート支持部の部分断面模式図である。
【図14A】本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【図14B】本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【図15】本実施の形態に係るロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作の説明図である。
【図16】本実施の形態に係るロールシートの変化に対する光センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。
【図17】本実施の形態に係るステージの模式図である。
【図18】本実施の形態に係るシート搬送部の断面模式図である。
【図19】本実施の形態に係るシート搬送部によるシートの貼り付け動作の説明図である。
【図20】変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作の説明図である。
【図21】他の変形例に係るステージの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る樹脂塗布装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る樹脂塗布装置は、図1に示す構成に限定されない。樹脂塗布装置は、ワークの片面に液状樹脂を塗布するものであれば、どのような構成を有していてもよい。なお、図1においては、説明の便宜上、樹脂塗布装置の外部筐体を破線で示している。
【0012】
図1に示すように、樹脂塗布装置1は、研削加工の前段に配置されており、ワークWの下面に液状樹脂が塗布されたシートSを貼着するように構成されている。この樹脂塗布装置1は、ステージ602に吸着保持されたシートSに液状樹脂を供給し、ステージ602の上方にて押圧部604に保持されたワークWをシートSに対して上方から押し付けるように動作する。樹脂塗布装置1は、シートSに対してワークWを押し付けることで、下面の全域に液状樹脂を行き渡らせている。
【0013】
ワークWは、デバイスパターンが形成される前のものであり、円柱状のインゴットをワイヤソーで切断することにより得られる。ワークWの下面には、ワイヤソーによる切断時に発生するうねりや反り等を吸収するために液状樹脂が貼着される。ワークWは、カセット4に収容された状態で樹脂塗布装置1に搬入される。
【0014】
なお、ワークWは、シリコンウェーハ(Si)、ガリウムヒソ(GaAs)、シリコンカーバイド(SiC)等のウェーハに限定されるものではない。例えば、セラミック、ガラス、サファイヤ(Al2O3)系の無機材料基板、板状金属や樹脂の延性材料、ミクロンオーダーからサブミクロンオーダの平坦度(TTV: total thickness variation)が要求される各種加工材料をワークとしてもよい。なお、ここでいう平坦度とは、ワークWの被研削面を基準面として厚み方向を測定した高さのうち、最大値と最小値との差を示している。また、シートSは、例えば、ポリエチレンテレフタラート等の弾性を有する柔らかい材料であればよい。
【0015】
樹脂塗布装置1は、X軸方向に延在する直方体状の外部筐体2を有している。外部筐体2の後端部には、上下2段のカセット台103(図2参照)を有するカセット収容部100が設けられている。上段のカセット台103には、加工前のワークWを収容する搬入側のカセット4が載置される。下段のカセット台103には、シートS付きのワークWを収容する搬出側のカセット5が載置される。外部筐体2内において、カセット収容部100の前方には、カセット4、5に対してワークWの搬入及び搬出を行う第一のワーク搬送部(ワーク搬送部)200が設けられている。
【0016】
第一のワーク搬送部200の前方空間は、コラム部605の背面に支持されたベース台3により上下に分けられている。ベース台3の上面には、加工前のワークWの位置及び向きを検出するワーク検出部400が設けられている。ベース台3の下面には、ワークWに貼着されたシートSをワークWの外形に沿って切断するシート切断部500が設けられている。第一のワーク搬送部200は、加工前のワークWを上段のカセット4内からワーク検出部400に搬送し、シートS付きのワークWをシート切断部500から下段のカセット5内に搬送する。
【0017】
ワーク検出部400及びシート切断部500の前方には、ワークWに対して液状樹脂を塗布する貼着装置600が設けられている。貼着装置600は、シートSを吸着保持するステージ602と、ステージ602の上方においてワークWを吸着保持する押圧部604とを有している。ステージ602の近傍には、ステージ602上のシートSに対して光硬化性の液状樹脂を供給する樹脂供給部603が設けられている。貼着装置600は、液状樹脂が供給されたシートSに対し、ワークWを保持した押圧部604を近付けることで貼着動作する。また、貼着装置600の基台601内には、ステージ602を介して液状樹脂に光を照射する発光部636(図5参照)が設けられている。
【0018】
ワーク検出部400及びシート切断部500の側方には、ワーク検出部400と貼着装置600との間、及び貼着装置600とシート切断部500との間でワークWを搬送する第二のワーク搬送部(ワーク搬送部)300が設けられている。第二のワーク搬送部300は、加工前のワークWをワーク検出部400から押圧部604に搬送し、シートS付きのワークWをステージ602からシート切断部500に搬送する。貼着装置600の前方には、貼着装置600に対してシートSを供給するシート供給部700が設けられている。シート供給部700は、ロールシートRから繰り出されたシートSを所定長で切断する。
【0019】
シート供給部700の側方には、シート供給部700からのシートSを貼着装置600に搬送するシート搬送部800が設けられている。シート搬送部800は、シート供給部700において所定長で切断されたシートSを保持して、ステージ602上に搬送する。また、外部筐体2には、樹脂塗布装置1の各部を統括制御する制御部6が設けられている。制御部6は、樹脂塗布装置1の各種処理を実行するプロセッサや、メモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。
【0020】
このように構成された樹脂塗布装置1では、搬入側のカセット4から加工前のワークWが貼着装置600に搬送されると共に、シート供給部700からシートSが貼着装置600に搬送される。そして、貼着装置600においてワークWと液状樹脂が塗布されたシートSとが貼り合わされ、シートS付きのワークWがシート切断部500に搬送される。シート付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿ってシートSが切断され、搬出側のカセット5に搬送される。
【0021】
以下、樹脂塗布装置を構成する各部分について個別に説明する。まず、カセット収容部について全体構成について説明する。図2は、本実施の形態に係るカセット収容部の斜視図である。なお、図2において、説明の便宜上、カセット収容部の筐体部分を破線で示している。
【0022】
図2に示すように、カセット収容部100は、樹脂塗布装置1に対するカセット4の搬入口及び搬出口として動作する。カセット収容部100は、外部筐体2の後端側の側壁部を構成する収容部本体101を有している。収容部本体101には、カセット用の左右一対の収容部屋102が上下2段で形成されている。上段の2部屋には、それぞれ搬入側のカセット4が収容され、下段の2部屋には、それぞれ搬出側のカセット5が収容される。各収容部屋102は、樹脂塗布装置1の内側と外側とを連ねており、装置内側の開口端を介してカセット4、5に対するワークWが出し入れされ、装置外側の開口端を介してカセット4、5が搬入及び搬出される。
【0023】
各収容部屋102の底面には、カセット4、5が載置されるカセット台103が設けられている。カセット台103は、各収容部屋102において上下2段のスライド板104、105により装置外側に向かってスライド可能に取り付けられている。収容部本体101には、各収容部屋102の装置外側の開口を開閉する4つのスライド式の外部ドア106と、各収容部屋102の装置内側の開口を開閉する4つのスライド式の内部ドア107とが設けられている。各外部ドア106は、樹脂塗布装置1の外部に面した収容部本体101の側面に取り付けられ、オペレータによって手動で開閉される。各内部ドア107は、樹脂塗布装置1の内部に面した収容部本体101の側面に取り付けられ、樹脂塗布装置1の動作に合わせて自動で開閉される。
【0024】
上段の収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107は、上方へのスライドにより開状態となり、下方へのスライドにより閉状態となる。下段の収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107は、上方へのスライドにより閉状態となり、下方へのスライドにより開状態となる。したがって、上下左右に隣接する他のカセット台103に干渉することなく各カセット台103に載置されたカセット4、5に個別にアクセスすることが可能となる。また、収容部本体101には、各外部ドア106及び各内部ドア107を閉状態でロックするロック機構が設けられている。ロック機構は、対応する外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合に、いずれか他方を閉状態でロックする。
【0025】
図3を参照して、カセット収容部の詳細構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るカセット収容部の断面模式図である。
【0026】
図3に示すように、カセット台103は、各収容部屋102の底面に対しスライド可能に配置された上下2段のスライド板104、105を有している。下段のスライド板104は、各収容部屋102の底面に対して、装置外側に向かってスライド可能に係合されている。上段のスライド板105は、下段のスライド板104に対して、装置外側に向かってスライド可能に係合されている。カセット台103は、第一のワーク搬送部200をカセット4内に侵入可能な前位置と、この前位置よりも内部ドア107から離れた後ろ位置との間をスライド移動可能に構成されている。
【0027】
より詳細には、下段のスライド板104における内部ドア107側の一端部111が、収容部屋102の装置内側の開口端とこの開口端から装置外側に離間した離間位置との間で、収容部屋102の底面上を移動される。また、上段のスライド板105における内部ドア107側の一端部112が、下段のスライド板104の一端部111とこの一端部111から装置外側に離間した離間位置との間で、下段のスライド板104上を移動される。このため、カセット台103は、装置外側に向かって大きく引き出され、オペレータによるカセット4、5の搬入作業及び搬出作業の作業性が向上される。
【0028】
外部ドア106は、収容部本体101の外側面に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。外部ドア106は、オペレータによる手動操作により開閉される。上段の外部ドア106は、収容部屋102の装置外側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から上方に離間した収容部屋102の装置外側の開口端を開く開位置に位置付けられる。下段の外部ドア106は、収容部屋102の装置外側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から下方に離間した収容部屋102の装置外側の開口端を開く開位置に位置付けられる。
【0029】
内部ドア107は、収容部本体101の内側面に対して、上下方向にスライド可能に取り付けられている。内部ドア107は、樹脂塗布装置1の動作に合わせて自動で開閉される。上段の内部ドア107は、収容部屋102の装置内側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から上方に離間した収容部屋102の装置内側の開口端を開く開位置に位置付けられる。下段の内部ドア107は、収容部屋102の装置内側の開口端を閉じる閉位置、及び閉位置から下方に離間した収容部屋102の装置内側の開口端を開く開位置に位置付けられる。
【0030】
また、上段の外部ドア106及び内部ドア107には、上端部にロック用の係合穴113が形成されている。下段の外部ドア106及び内部ドア107には、下端部にロック用の係合穴113が形成されている。
【0031】
このように、本実施の形態に係るカセット収容部100では、内部ドア107及び外部ドア106が横2列上下2段に設けられると共に、上下方向に開閉される。このため、カセット収容部100の左右方向の寸法を小さくすることができ、樹脂塗布装置1におけるカセット収容部100の専有面積を抑えることができ、複数の加工装置が横並びに配置される工場等でのオペレータの移動範囲を狭めて、オペレータにかかる負担を軽減することができる。
【0032】
ロック機構は、各外部ドア106及び各内部ドア107のそれぞれに対応して、収容部本体101に設けられたロックピン114及びドアセンサ115を有している。上段のロックピン114は、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の上端部に対応して配置されている。上段のドアセンサ115は、上段のロックピン114の近傍において、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の上端部から上方に外れて配置されている。下段のロックピン114は、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の下端部に対応して配置されている。下段のドアセンサ115は、下段のロックピン114の近傍において、閉位置に位置付けられた外部ドア106及び内部ドア107の下端部から下方に外れて配置されている。
【0033】
ロックピン114は、ドアセンサ115の検出に応じて、不図示のソレノイド等により収容部本体101の外側面及び内側面に対して出没可能に設けられている。ロックピン114は、不図示のリターンスプリングにより収容部本体101内側に付勢されており、ソレノイドが通電されることでリターンスプリングの付勢力に抗して収容部本体101外に突出する。ロックピン114は、外部ドア106及び内部ドア107の係合穴113に係合することで、外部ドア106及び内部ドア107を閉状態でロックする。
【0034】
ドアセンサ115は、例えば、光センサであり、外部ドア106及び内部ドア107に遮蔽されることで、外部ドア106及び内部ドア107の開状態を検出する。外部ドア106用のドアセンサ115は、外部ドア106の開状態を検出すると、同じ収容部屋の内部ドア107用のロックピン114に向けて駆動電流を供給する。逆に、内部ドア107用のドアセンサ115は、内部ドア107の開状態を検出すると、同じ収容部屋の外部ドア106用のロックピン114に向けて駆動電流を供給する。
【0035】
このように、ロック機構は、外部ドア106用のドアセンサ115による外部ドア106の検出に応じて、同じカセット台103に対応する内部ドア107用のロックピン114に内部ドア107をロックさせる。また、ロック機構は、内部ドア107用のドアセンサ115による内部ドア107の検出に応じて、同じカセット台103に対応する外部ドア106用のロックピン114に外部ドア106をロックさせる。このため、外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が閉位置からスライドすると、いずれか他方が閉位置からスライドすることがなく、オペレータの作業の安全性が向上される。
【0036】
図4を参照して、外部ドア及び内部ドアの開閉動作について説明する。図4は、本実施の形態に係る外部ドア及び内部ドアの開閉動作の説明図である。なお、図4においては、上段の外部ドア及び内部ドアの開閉動作について説明するが、下段の外部ドア及び内部ドアも同様である。
【0037】
図4(a)に示すように、初期状態では、外部ドア106及び内部ドア107が閉位置に位置付けられている。この場合、外部ドア106用のロックピン114が外部ドア106の係合穴113に位置合わせされ、内部ドア107用のロックピン114が内部ドア107の係合穴113に位置合わせされている。各ロックピン114は、リターンスプリングの付勢力によって収容部本体101内に付勢されており、対応する係合穴113から離間されている。
【0038】
図4(b)に示すように、オペレータによって外部ドア106が上方(開位置)に向けてスライドされると、外部ドア106によって外部ドア106用のドアセンサ115が遮蔽される。外部ドア106用のドアセンサ115が遮蔽されると、外部ドア106の開状態が検出され、内部ドア107用のロックピン114を囲むソレノイドに駆動電流が通電される。そして、内部ドア107用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力に抗して駆動され、内部ドア107の係合穴113内にロックピン114が突出する。これにより、内部ドア107がロックピン114によって閉状態でロックされる。
【0039】
次に、オペレータによりカセット台103が外部に引き出されて、カセット台103にフロントドアが開放されたカセット4が載置される。このとき、樹脂塗布装置1の内側と外側とが内部ドア107によって仕切られるため、オペレータの作業の安全性が確保される。そして、オペレータによって外部ドア106が閉位置までスライドされると、外部ドア106用のドアセンサ115が露出され、内部ドア107用のロックピン114を囲むソレノイドに対する駆動電流の通電が停止される。そして、内部ドア107用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力により収容部本体101側に押し戻され、内部ドア107の係合穴113からロックピン114が退避する。これにより、閉状態の内部ドア107がアンロックされる。
【0040】
図4(c)に示すように、第一のワーク搬送部200によるワークWの取り出し時には、内部ドア107が上方(開位置)に向けてスライドされ、内部ドア107によって内部ドア107用のドアセンサ115が遮蔽される。内部ドア107用のドアセンサ115が遮蔽されると、内部ドア107の開状態が検出され、外部ドア106用のロックピン114を囲むソレノイドに駆動電流が通電される。そして、外部ドア106用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力に抗して駆動され、外部ドア106の係合穴113内にロックピン114が突出する。これにより、外部ドア106がロックピン114によって閉状態でロックされる。
【0041】
この構成により、第一のワーク搬送部200によるワークWの取り出し時に、オペレータによって外部ドア106が開けられることがないため、オペレータの作業の安全性が確保される。次に、第一のワーク搬送部200によりカセット4から全てのワークWが取り出されると、内部ドア107が閉位置までスライドされて内部ドア107用のドアセンサ115が露出され、外部ドア106用のロックピン114を囲むソレノイドに対する駆動電流の通電が停止される。そして、外部ドア106用のロックピン114がリターンスプリングの付勢力により収容部本体101側に押し戻され、外部ドア106の係合穴113からロックピン114が退避する。これにより、閉状態の外部ドア106がアンロックされる。
【0042】
なお、本実施の形態では、上段のカセット台103に搬入側のカセット4、下段のカセット台103に搬出側のカセット5をそれぞれ載置したが、これに限定されない。上段のカセット台103に搬出側のカセット5、下段のカセット台103に搬入側のカセット4を載置してもよい。また、搬入側のカセット4と、搬出側のカセット5を左右のカセット台103で分けて載置してもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、カセット用の左右一対の収容部屋を上下2段で4つ形成したが、収容部屋の数は適宜変更可能である。収容部屋を、2つだけ形成してもよいし、4つ以上形成してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、収容部屋に外部ドア106を設けたが、外部ドア106を設けなくてもよい。また、外部ドア106は、スライド式のドアに限定されず、旋回式のドアでもよい。また、外部ドア106は、手動で開閉される構成に限定されず、半自動で開閉される構成でもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、カセット台103を上下2段のスライド板104、105で引き出す構成としたが、1つのスライド板で引き出す構成としてもよい。また、下段のカセット台103だけを装置外側に引き出し、上段のカセット台103を装置外側に引き出さない構成としてもよい。また、カセット4は、外部ドア106の開位置へのスライドに伴って、装置外側に引き出されてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、ロック機構は、ドアセンサ115とロックピン114とにより外部ドア106及び内部ドア107をロックしたが、これに限定されない。ロック機構は、同じ収容部屋102の外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合に、いずれか他方を閉状態でロックすればよい。
【0047】
また、本実施の形態では、収容部本体101にロック機構を設けたが、ロック機構を設けない構成としてもよい。また、ロック機構を設ける場合には、少なくとも内部ドア107が開状態の場合に、外部ドア106を閉状態でロックすればよい。
【0048】
図1に戻り、第一のワーク搬送部、ワーク検出部、第二のワーク搬送部、シート切断部について説明する。図1に示すように、第一のワーク搬送部200は、外部筐体2の底壁部に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール201上に支持され、ボールねじ式の移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。また、第一のワーク搬送部200は、上下方向に移動可能な支持台202と、支持台202上に設けられた多節リンク機構203と、多節リンク機構203の先端に設けられたワーク保持部204とを有している。
【0049】
支持台202は、不図示のZ軸モータにより上下動し、ワーク保持部204の高さ方向を位置合わせする。多節リンク機構203は、3節リンクで構成されており、ワーク保持部204の水平方向を位置合わせする。第一のワーク搬送部200は、ボールねじ式の移動機構、支持台202、多節リンク機構203の駆動が制御されることにより、搬入側のカセット4とワーク検出部400との間、シート切断部500と搬出側のカセット5との間でワークWを搬送する。
【0050】
ワーク検出部400は、第一のワーク搬送部200によりワークWが仮置きされる仮置きテーブル401と、仮置きテーブル401上のワークWを撮像する撮像部402とを有している。仮置きテーブル401は、ワークWよりも小径な円板状に形成されている。撮像部402は、L字状のアーム部403を介して仮置きテーブル401の上方に支持され、仮置きテーブル401上のワークW全体を撮像範囲に収めるように配置されている。撮像部402は、ワークWの外形を読み取り、ワークWの画像データを制御部6に出力する。制御部6は、ワークWの水平方向における向きや中心位置を算出する。
【0051】
第二のワーク搬送部300は、外部筐体2の底壁部に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール301上に支持され、ボールねじ式の移動機構によりX軸方向に移動可能に構成されている。また、第二のワーク搬送部300は、第一のワーク搬送部200と同様に支持台302、多節リンク機構303、ワーク保持部304とを有している。第二のワーク搬送部300は、ワーク検出部400の検出結果に応じてボールねじ式の移動機構、支持台302、多節リンク機構303の駆動が制御されることにより、ワーク検出部400と押圧部604との間、ステージ602とシート切断部500との間でワークWを適切な搬送位置に位置付ける。
【0052】
シート切断部500は、ベース台3の下部に取り付けられた回転台501と、回転台501の外周面から外方に突出したカッター502とを有している。回転台501は、Z軸回りに回転可能、かつZ軸方向に移動可能に形成されている。カッター502は、ワークWの外形寸法に合わせて、刃の位置が調整されている。シート切断部500は、下方に配置されたシートS付きのワークWに対して、回転台501のZ軸方向の移動によりシートSに対する切り込み深さを調整し、回転台501の回転によりシートSをワークWの外形に沿って切断する。
【0053】
図1及び図5を参照して、貼着装置について詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る貼着装置の断面模式図である。
【0054】
図1及び図5に示すように、貼着装置600は、略直方体状の基台601を有している。基台601上面の略前半部には、保護用のシートSを吸着保持するステージ602が設置されている。ステージ602は、石英ガラス等の透光性材料によって円板状に形成されている。ステージ602の上面中央には、上面視円形状の凹部651が形成されている。ステージ602は、この凹部651の段差を利用して、シートSのしわを消すように引き伸ばしつつ吸着する。ステージ602の近傍には、シートS上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部603が設けられている。
【0055】
樹脂供給部603は、貼着装置600の動作に合わせて、基台601上面においてシートSの中央位置と、中央位置から退避した退避位置との間で旋回可能に取り付けられている。液状樹脂としては、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂が用いられ、例えば、50〜30000[MPa]程度の粘度を有する樹脂が選択される。樹脂供給部603は、基台601内に設けられた不図示の樹脂タンクに接続されており、樹脂タンクから汲み上げられた液状樹脂をシートS上面に供給する。
【0056】
基台601上面の略後半部には、ステージ602の上方に押圧部604を支持するコラム部605が立設されている。コラム部605の前面には、押圧部604をステージ602に対して接近及び離反させる移動部606が設けられている。移動部606は、Z軸方向に平行な一対のガイドレール611と、一対のガイドレール611にスライド可能に設置されたZ軸テーブル612とを有している。Z軸テーブル612は、ボールねじ式の移動機構によりZ軸方向に移動可能に構成されている。Z軸テーブル612の前面には、支持部613を介して押圧部604が支持されている。
【0057】
押圧部604は、支持部613の下部に取り付けられたベース部材621を有している。ベース部材621の下面には、上面視円形状の凹部622が形成されている。ベース部材621の凹部622には、押圧板623が抜け止め状態で収容されている。押圧板623の下面には、ワークWを吸着保持する保持板624が取り付けられている。保持板624には、ワークWを吸着保持する吸引口が形成されている。吸引口は、貼着装置600内に設けられた流路631を介して気体吸引部632に接続されている。気体吸引部632は、流路631を介して保持板624の吸引口に吸引力を発生させる。
【0058】
保持板624の吸引口と気体吸引部632との間の流路631には、流路631内の圧力を測定する圧力センサ633が設けられている。圧力センサ633は、保持板624の吸着力の低下や、吸引口からのワークWの外れ(位置ズレ)等を検出する。押圧部604は、保持板624に保持したワークWを液状樹脂Lが供給されたシートSに押し付けるように動作する。すなわち、保持板624のワークWを保持する保持面は、シートSに対してワークWを押圧する押圧面634となっている。この構成により、ワークWの下面の全域に液状樹脂が均一に広げられる。
【0059】
また、ベース部材621の凹部622の内底面と押圧板623の上面との間には、押圧センサ635が設けられている。押圧センサ635は、保持板624及び押圧板623を介して、液状樹脂から押圧面634に作用する圧力の変化を測定する。押圧面634に作用する圧力は、液状樹脂LがワークWの外縁に向かって押し広げられるのに伴って増加し、ワークWの外縁から食み出ると低下し始める。貼着装置600は、この特性を利用して、押圧力の変化に応じて移動部606の駆動量を調整することで、液状樹脂LをワークWの外縁まで行き渡らせている。
【0060】
なお、貼着装置600は、例えば、押圧センサ635によって予め設定された閾値以上の圧力が検出された時点で、移動部606による押圧部604の駆動を停止してもよい。また、貼着装置600は、例えば、押圧センサ635によって圧力の低下が検出された時点で、移動部606による押圧部604の駆動を停止してもよい。このように、本実施の形態に係る貼着装置600は、液状樹脂の圧力の変化に応じて押圧部604の押し込み量が調整される。よって、押圧面634とステージ602上面との間隔に応じて押圧部604の押し込み量が調整される場合のように、ワークWやシートSの寸法誤差、樹脂の塗布量の誤差等によって液状樹脂の塗布範囲がばらつくことがない。つまり、樹脂貼り付けにおいて、樹脂が貼り付けられていない箇所があると研削時にワークWの割れ等が発生する場合が考えられ、はみ出る樹脂の量が多すぎると樹脂が無駄になるだけでなく、はみ出した部分は酸素阻害のために十分に紫外線で硬化出来ずに搬送・研削時に問題となる。さらに、はみ出しすぎた樹脂が研削時に巻き込まれ、研削異常を誘発する可能性もあることもある。これらを考慮すると、樹脂はワークWの全面に過不足なく貼り付けられている状態又はワークWより若干はみ出している状態が望ましいと考えられ、圧力によって押圧部604の押し込み量を調整すれば、この様な望ましい貼付状態を維持することが出来る。
【0061】
基台601内には、ステージ602に向かって紫外光等の光を照射する発光部636が設置されている。発光部636は、ステージ602を介して照射した光により液状樹脂Lを硬化させることで、ワークWとシートSとの間に樹脂膜を形成する。発光部636による照射は、押圧部604による押し付け動作の完了後、すなわち、押圧部604がワークWから離れた後に実施される。これにより、ワークWに内部応力を残留させずにワークWに対して樹脂膜を形成することができる。
【0062】
また、貼着装置600には、保持板624とステージ602との間隔を検出する間隔検出手段が設けられている。間隔検出手段は、ステージ602に向けて保持板624の吸引口からエアを噴射した状態で、ステージ602に保持板624を近付け、流路631内の圧力変化を測定することで、保持板624とステージ602との間隔を検出する。間隔検出手段は、貼着装置600に設けられた流路631を介して吸引口に接続された気体供給部637と、上記した制御部6のプロセッサ及びメモリ等とを含んで構成される。
【0063】
圧力センサ633は、ワークWの吸着時に流路631内の吸気圧を測定するものと兼用されており、間隔検出時に流路631内の排気圧も測定可能に構成されている。また、メモリには、保持板624とステージ602との間隔の変化に対する流路631内の圧力変化を表すマップが記憶されている。このマップは、予め吸引口からエアを噴射した状態で、ステージ602に向けて保持板624を近付けながら、圧力センサ633により流路631内の圧力を測定することで生成される。プロセッサは、メモリに記憶されたマップと圧力センサ633の測定結果とに基づいて、保持板624とステージ602との間隔を算出する。
【0064】
貼着装置600は、間隔検出手段によって保持板624とステージ602との間隔を検出することで、稼働前のメンテナンス時における押圧部604のセットアップ作業を実施する。貼着装置600は、圧力センサ633を流路631内の吸気圧を測定するセンサとして使用する他、背圧センサとしても使用している。このため、保持板624におけるワークWの吸着用に用いられる既存の流路631及び圧力センサ633を利用して、セットアップ機構を構成することができる。このように、本実施の形態に係る貼着装置600は、位置センサ等を新たに設ける必要がなく、安価かつ簡易な構成によりセットアップ作業を実施することができる。
【0065】
図6及び図7を参照して、貼着装置の貼着動作について説明する。図6は、本実施の形態に係る貼着装置の貼着動作の説明図である。図7は、本実施の形態に係る押圧センサの測定値と移動部の移動開始からの経過時間との一般的な関係を示す図である。なお、図7では、縦軸が押圧センサの測定値、横軸が移動部の移動開始からの経過時間をそれぞれ示す。
【0066】
図6(a)に示すように、初期状態では、ステージ602上にシートSが吸着保持され、ステージ602の上方にワークWを保持した押圧部604が位置付けられる。シートSの中央には、樹脂供給部603によって供給された液状樹脂Lの液溜まりが形成されている。この状態から、ワークWにより液状樹脂Lの液溜まりを押し潰すように、移動部606により押圧部604が下方に移動される。
【0067】
図6(b)に示すように、押圧部604が下方に移動され、ワークWが液状樹脂Lに接触されると、ワークWによって液状樹脂が押し潰され、液状樹脂LがワークWの下面に沿って広がり始める。このとき、押圧部604に設けられた押圧センサ635により、液状樹脂LからワークWを介して押圧面634に作用する圧力変化が測定され始める。図7に示すように、この初期状態から図6(b)に対応する時点t1の間では、ワークWと液状樹脂Lとの接触により、押圧面634に作用する荷重(圧力)がなだらかに増加される。
【0068】
図6(c)に示すように、図6(b)に示す状態から押圧部604がさらに下方に移動されると、ワークWによって液状樹脂Lがさらに押し潰され、液状樹脂LがワークWの外縁の手前まで押し広げられる。図7に示すように、図6(b)に対応する時点t1から図6(c)に対応する時点t2の間では、液状樹脂LのワークWの外縁への広がりに伴って、押圧面634に作用する荷重がさらに増加する。
【0069】
図6(d)に示すように、図6(c)に示す状態から押圧部604がさらに下方に移動されると、ワークWによって液状樹脂Lがさらに押し潰され、液状樹脂LがワークWの外縁から僅かに食み出される。このとき、押圧部604に設けられた押圧センサ635により、液状樹脂LからワークWを介して押圧面634に作用する圧力の減少が測定される。図7に示すように、図6(c)に対応する時点t2から図6(d)に対応する時点t3の間では、液状樹脂LがワークWの外縁に達するまでは押圧面634に作用する荷重が増加し、液状樹脂LがワークWの外縁から食み出した時点で押圧面634に作用する荷重が減少する。
【0070】
このように、押圧面634に作用する荷重は、液状樹脂LがワークWの外縁に達した時点を頂点として変化する。よって、この頂点手前に予め閾値を設けて、押圧センサ635により閾値以上の荷重が検出された時点で、移動部606による押圧部604の移動を停止してもよい。例えば、時点t2に対応する荷重に閾値を設けて、時点t2で押圧部604の移動を停止させる。これにより、ワークWの外縁付近まで液状樹脂Lを広げ、ワークWの略全域に液状樹脂Lを行き渡らせることができる。
【0071】
また、押圧面634に作用する荷重が頂点を境に低下するため、押圧センサ635によって直前に検出した荷重に対して荷重の低下が検出された時点で、移動部606による押圧部604の移動を停止してもよい。例えば、荷重が低下し始めた時点t3で押圧部604の移動を停止させる。これにより、ワークWの外縁から僅かに食み出す程度に液状樹脂Lを広げ、ワークWの下面の全域に液状樹脂Lを行き渡らせることができる。なお、圧力の変化を示すグラフの曲線形状は樹脂の塗布量や粘度、樹脂を押し広げる面積によって変化する。
【0072】
図8を参照して、押圧センサの測定結果の一例について具体的に説明する。図8は、本実施の形態に係る押圧センサの測定結果の一例を示す図である。なお、図8では、縦軸が押圧センサの測定値、横軸が移動部の移動開始からの経過時間をそれぞれ示す。
【0073】
貼着装置600による貼着動作を実施し、2〜4インチ程のウェーハの全面に、100〜1000μm程の厚みの膜が形成される量の樹脂(粘度1500CPS程度)を塗布し、押圧センサ635により押圧面634に作用する荷重を測定した場合に、図8に示すような測定結果が得られる。なお、ここでは、移動部606による押圧部604の移動速度を0.1[mm/sec]とし、押圧センサ635の測定頻度を100[msec]に1回とした。0[sec]から25[sec]の間では、荷重が0[kN]から0.1[kN]になだらかに増加する。25[sec]から28[sec]の間では、荷重が0.1[kN]から1.3[kN]に急激に増加する。28[sec]以降は、荷重が1.3[kN]から急激に減少する。
【0074】
この測定結果から、1.3[kN]の荷重が測定された時点で、液状樹脂LがワークWの外縁に到達されることがわかる。また、1.2[kN]の荷重が測定された時点でも、1.3[kN]の荷重が検出された時点と、押圧部604の移動位置にほとんど差が生じていない。よって、移動部606の停止条件として、閾値を1.2[kN]に設定することで、液状樹脂LがワークWの略外縁に到達した時点で、移動部606の駆動を停止させることができる。
【0075】
図9及び図10を参照して、貼着装置のセットアップ作業について説明する。図9は、本実施の形態に係る保持板−ステージ間の隙間の変化に対する圧力センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。図10は、本実施の形態に係る貼着装置のセットアップ作業の説明図である。なお、図9では、縦軸が圧力センサの測定値、横軸が保持部とステージとの隙間をそれぞれ示す。
【0076】
セットアップ作業に先だって、吸引口からエアを噴射した状態で、保持板624とステージ602との間隔を変化させながら流路631内の圧力を測定したところ、図9に示すマップが生成された。なお、ここでは、気体供給部637からのエアの供給流量を25[L/min]とし、保持板624−ステージ602間の隙間を10[μm]間隔で狭めて圧力センサ633による測定を実施した。マップに示すように、圧力センサ633の測定値は、保持板624がステージ602に近づくのに伴って増加する。貼着装置600は、このマップを参照して、ステージ602からの保持板624の所望の高さを基準位置として設定することで、セットアップ作業を実施する。
【0077】
具体的には、図10(a)に示すように、ステージ602から十分に離間した位置に保持板624を位置付け、気体供給部637によって吸引口からエアを噴射させる。このとき、保持板624−ステージ602間の隙間が広いため、吸引口から噴射されるエアの逃げ道が確保され、流路631内の圧力が低く保たれている。この状態から、移動部606を駆動して保持板624をステージ602に向けて接近させると、保持板624−ステージ602間の隙間が徐々に狭くなる。このため、吸引口から噴射されるエアの逃げ道が狭くなり、流路631内の圧力が増加し始める。
【0078】
図10(b)に示すように、マップ上で保持板624−ステージ602間の所望の隙間に対応する圧力が、圧力センサ633によって測定されると、移動部606の駆動が停止される。このときのステージ602からの保持板624の高さ位置が押圧方向における基準位置として設定される。例えば、保持板624−ステージ602間の所望の隙間が10[μm]の場合には、圧力センサ633によって96[kPa]が測定された時点で移動部606の駆動が停止され、このときのステージ602からの押圧部604の高さが基準位置として設定される(図9参照)。
【0079】
なお、本実施の形態では、ポーラス材等により保持板624を形成してもよい。すなわち、保持板624に形成される吸引口は、ポーラス材に設けられる細かな孔により形成されてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、押圧センサ635が押圧板623とベース部材621との間に設けられたが、これに限定されない。押圧センサ635は、液状樹脂からの押圧面634に作用する圧力を測定可能であれば、どの位置に設けられてもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、押圧センサ635により液状樹脂から押圧面634が受ける圧力を測定したが、これに限定されない。押圧センサ635は、保持板624の押圧面634に設けられて、液状樹脂からワークWが受ける圧力を測定してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、液状樹脂を光硬化性樹脂としたが、これに限定されない。液状樹脂は、シートSにワークWを貼着可能な樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂でもよい。また、液状樹脂は、完全に液状な状態に限定されるものではなく、ゲル状の固体を含むものである。
【0083】
また、本実施の形態では、樹脂供給部603を基台601に対して旋回可能に取り付けたが、これに限定されない。樹脂供給部603は、シートSに対して液状樹脂を供給可能であれば、どのような構成でもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、押圧部604としてベース部材621に押圧板623及び保持板624を設けた構成としたが、これに限定されない。押圧部604は、ワークWを吸着保持する押圧面634を有していればよい。
【0085】
また、本実施の形態では、移動部606にボールねじ式の移動機構を設けたが、これに限定されない。移動部606は、ステージ602に対して押圧面634を離反及び接近させる構成であればよい。
【0086】
また、本実施の形態では、流路631内の吸気圧と排気圧とを単一の圧力センサ633で測定したが、これに限定されない。貼着装置600に吸気用の圧力センサと排気用の圧力センサとを設けてもよい。また、圧力センサ633の代わりに、流体特性の変化を測定可能なセンサを用いてもよく、例えば、流量センサを用いてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、保持板624−ステージ602間の隙間と流路631内の圧力との関係をマップ形式でメモリに記憶する構成としたが、これに限定されない。メモリは、保持板624−ステージ602間の隙間と流路631内の圧力との関係を表すデータを記憶すればよく、例えば、保持板624とステージ602との隙間と流路631内の圧力との関係をテーブル形式で記憶してもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、セットアップ作業時に、気体供給部637によりステージ602にエアを吹き付ける構成としたが、これに限定されない。気体供給部637は、ステージ602に向けて吹き付け可能な気体であれば、どのような気体を吹き付けてもよい。
【0089】
図11を参照して、シート供給部について詳細に説明する。図11は、本実施の形態に係るシート供給部の側面模式図である。図12は、本実施の形態に係る第一、第二のエアブロー部の拡大図である。
【0090】
図11に示すように、シート供給部700は、ロールシートRからシートSを引き出して、所定長で切断するように動作する。ロールシートRは、シートSを筒701に巻き付けて構成される。シートSは、例えば、50[μm]程度の厚みを有するポリエチレンテレフタラートのフィルムである。シートSは、上記のフィルムに限定されるものではなく、各種用途に応じて適宜変更してもよい。筒701は、例えば、ポリエチレンにより形成された直径3インチの樹脂管である。筒701は、上記の樹脂管に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等により形成された樹脂管でもよいし、紙管でもよい。
【0091】
シート供給部700は、ロールシートRがセットされるロールシート支持部702と、ロールシートRからシートSを引き出すシート引き出し部703とを備えている。ロールシート支持部702とシート引き出し部703との間には、第一、第二の従動ローラ704、705、挟持部706によってシートSの搬送経路が形成されている。ロールシート支持部702は、ロールシートRの筒701に挿通され、ロールシートRを筒701の伸長方向を回転軸として回転可能に支持している。ロールシート支持部702は、筒701を内側から固定可能に構成されており、ロールシートRと一体的に回転される。
【0092】
また、ロールシート支持部702には、搬送方向に対して順送り回転方向に回転する際に、張力付与部707により制動力(逆送り回転方向の回転力)が付与されている。張力付与部707は、ロールシート支持部702に制動力を付与することにより、ロールシートRから引き出されるシートSに張力を作用させている。ロールシート支持部702に加わるトルクは、一定の力でシートSを引き出す場合であっても、ロールシートRの直径に応じて変化する。このため、張力付与部707は、シートSに適度な張力が作用するように、ロールシートRの直径の変化に合わせて制動力を調整する。
【0093】
第一、第二の従動ローラ704、705は、搬送経路においてロールシート支持部702の下流に配置されている。第一、第二の従動ローラ704、705は、それぞれロールシートRから引き出されたシートSの表面に転接する。搬送経路において、第一、第二の従動ローラ704、705間には、第一、第二のエアブロー部708、709が配置されている。第一のエアブロー部708は、シートSの表面に対面し、エアの吹き付けによってシートSの表面側の異物を除去する。第二のエアブロー部709は、シートSの裏面に対面し、エアの吹き付けによってシートSの裏面側の異物を除去する。
【0094】
図12に示すように、第一、第二のエアブロー部708、709は、吹き付け側の流路721と吸引側の流路722とが形成されたブロック723を有している。流路721の吹き出し付近は、急激に狭められており、シートSに吹き付けられる気体の流速を高めている。この流路721の吹き出し付近の隙間は、50〜500[μm]が好ましく、50〜200[μm]がより好ましい。本実施の形態では、流路721の吹き出し付近の隙間は100[μm]に設定されている。
【0095】
ブロック723は、シートSに近接して配置される。ブローをしていない状態でのブロック723とシートSとの隙間は、0〜100[μm]が好ましく、0〜50[μm]がより好ましい。本実施の形態では、ブローをしていない状態でのブロック723とシートSとの隙間が0[μm]に設定されている。ブロック723とシートSとの隙間が0[μm]に設定された場合でも、ブローを行うことでシートSの張力とブローの風量によって一定の隙間が形成され、数十[μm]程度の異物を除去することが可能である。
【0096】
第一、第二のエアブロー部708、709は、吹き付け側の流路721にエアを送り込み、吸引側の流路722からエアを吸引することで、矢印A1に示すようなエアの流れを生じさせる。吹き付け側の流路721から吹き出したエアは、ブロック723とシートSとの隙間で異物を取り込みつつ、吸引側の流路722を介して排出される。このように、第一、第二のエアブロー部708、709によりシートSの両面が洗浄される。
【0097】
図11に戻り、第二の従動ローラ705の下流には、挟持部706が配置されている。挟持部706は、上側プレート714と下側プレート715とによりシートSを上下から挟み込むように動作する。上側プレート714は、水平面を有する板材により形成されており、搬送経路の上方に位置する駆動部716のロッド717に取り付けられている。下側プレート715は、水平面を有する板材により形成されており、搬送経路の下方に位置する駆動部718のロッド719に取り付けられている。上側プレート714及び下側プレート715は、ロッド717、719の駆動によりそれぞれ上下動される。
【0098】
上側プレート714及び下側プレート715は、シートSの引き出し及び切断に応じて適切な高さに移動する。具体的には、上側プレート714及び下側プレート715は、シート引き出し部703によりシートSの前端が把持される上段位置731と、後述するカット部711によりシートSが切断される下段位置732との間で上下方向に移動する(図14参照)。なお、上側プレート714及び下側プレート715の動作の詳細については、後述する。
【0099】
挟持部706の下流には、カット部711が配置されている。カット部711は、シートSを搬送方向に直交する幅方向に切断するカッター735と、シートSの裏面を吸着保持する保持部736とを有している。カッター735及び保持部736は、シートSの搬送経路を挟んで上下方向で対向するように配置されている。カッター735は、シートSの上方に位置し、カッター移動部746によりシートSの幅方向の一端側から他端側に移動可能に構成されている。保持部736は、シートSの下方に位置し、シートSの幅方向に延在する長尺状に形成されている。
【0100】
保持部736は、シートSの裏面を吸着保持する保持面737を有している。保持面737は、水平に形成されており、下段位置に移動した下側プレート715の上面と略面一となっている。保持面737には、カッター502の刃先を逃がす逃げ溝738が保持部736の延在方向に沿って形成されている。また、保持面737において逃げ溝738を挟んだ両側には、複数の吸引口739が逃げ溝738に沿って形成されている。複数の吸引口739は、不図示の流路を介してエアの吸引源及び供給源に接続されている。
【0101】
カット部711は、シート切断時には、引き出されたシートSを複数の吸引口739の吸引によって保持面737に吸着し、逃げ溝738内においてカッター移動部746の駆動によってカッター735の刃先を逃げ溝738に沿ってスライド移動させることでシートSを切断する。これにより、シートSを保持面737に保持させたまま、シートSを切断することができる。また、カット部711は、シート引き出し時には、複数の吸引口739からのエアの吹き付けによってシートSと保持面737との接触を抑制する。このエアの吹き付けにより、シート引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れが防止される。
【0102】
シート引き出し部703は、シートSの前端を把持する把持部741と、把持部741をロッド717、719の駆動方向に対して傾斜方向に移動させる移動部742とを有している。移動部742は、水平面Pに対して傾けて設置された支持台743と、支持台743上においてX軸方向に平行なガイドレール744と、ガイドレール744にスライド可能に設置されたスライダ745とを有している。スライダ745は、ボールねじ式の移動機構により傾斜方向に移動可能に構成されている。スライダ745の上面には、ベースプレート751が取り付けられている。
【0103】
把持部741は、ベースプレート751に立設された固定プレート752を有している。固定プレート752は、ベースプレート751の後端から立ち上がり、前方側に折り曲げられ、先端部753がさらに下方に折り曲げられて形成されている。また、把持部741は、固定プレート752の先端部753に対して接近及び離反する可動プレート754を有している。可動プレート754は、側面視逆L字状に折り曲げられており、固定プレート752の先端部753に対向する平板部755を有している。可動プレート754は、ベースプレート751の後端側に設置された駆動部756のロッド757に取り付けられている。
【0104】
把持部741は、固定プレート752の先端部753に対して可動プレート754の平板部755を接近させてシートSの前端を把持し、固定プレート752の先端部753から可動プレート754の平板部755を離反させてシートSの前端を解放する。また、把持部741は、前方位置761に向かって斜め上方に移動してシートSの前端を把持し、シートSの前端を把持した状態で後方位置762に向かって斜め下方に移動して、ロールシートRからシートSを引き出す(図14参照)。
【0105】
このとき、把持部741によるシートSの把持高さは、前方位置761ではカット部711の上方の上段位置731に略一致し、後方位置762ではカット部711によりシートSが切断される下段位置732に略一致する。すなわち、把持部741は、前方位置761では保持部736に衝突しないようにシートSを把持し、前方位置761から後方位置762に移動することで、シートSの裏面をカット部711の保持面737に面一となるようにシートSを引き出している。
【0106】
また、ロールシート支持部702の近傍には、ロールシートRの直径を検出する直径検出部712が配置されている。直径検出部712は、例えば、発光部765の周囲に受光部766を設けた反射型の光センサ767と、上記した制御部6のメモリとを有している。光センサ767は、ロールシートRの直径の変化に伴う受光量の変化を測定する。メモリには、例えば、受光量とロールシートRの直径との関係を表すマップが記憶されている。このマップは、予めロールシートRの直径を変化させながら、光センサ767による受光量を測定することで生成される。
【0107】
ロールシートRの直径が小さくなると、光センサ767とロールシートRの外周面との距離が広がるので、光センサ767によって測定される受光量が低下する。また、ロールシートRからシートが全て引き出されると、筒701の反射率とシートSの反射率との違いから光センサ767によって測定される受光量が大きく変化する。直径検出部712は、これらの特性を利用して、メモリに記憶されたマップと光センサ767の測定結果とに基づいて、ロールシートRの直径及びシートSの有無を検出する。
【0108】
直径検出部712によって検出されたロールシートRの直径は、張力付与部707に通知される。張力付与部707は、ロールシートRの直径に応じて制動力を調整することで、シートSに対して適度な張力を発生させる。また、直径検出部712によって検出されたシートSの有無は、監視部768に通知される。監視部768は、ロールシートRからシートSが無くなったことを検知するとアラームを発する。
【0109】
図13を参照して、ロールシート支持部の詳細構成について説明する。図13は、本実施の形態に係るロールシート支持部の部分断面模式図である。
【0110】
図13に示すように、ロールシート支持部702は、円板状の突き当て板771の板面に突設された棒状の軸部772を有している。ロールシートRは、筒701内に軸部772が挿通されて、突き当て板771に突き当てられるようにロールシート支持部702に支持される。軸部772は、中空に形成されており、内部に駆動ロッド773が軸方向に進退可能に設けられている。また、軸部772には、駆動ロッド773の進退により筒701の内側からロールシートRをロック及びアンロックする一対の爪部774が設けられている。
【0111】
軸部772には、駆動ロッド773を進退可能に収容する収容空間776が形成されている。収容空間776は、軸部772の先端部に形成された挿通孔777、及び軸部772の外周部に形成された一対の長孔781を介して外部に連なっている。軸部772は、先端の挿通孔777を介して駆動ロッド773の先端部778を突出可能とし、外周面の一対の長孔781を介して一対の爪部774を筒701の内面に当接可能としている。また、軸部772には、収容空間776の基端側に連なるエアの供給空間783が形成されている。
【0112】
供給空間783は、収容空間776に駆動ロッド773が収容されることで密閉される。駆動ロッド773は、供給空間783へのエアの供給により、先端部778を軸部772外に突出させる退出方向に移動する。また、駆動ロッド773は、供給空間783へのエアの供給停止により、オペレータの手動によって先端部778を挿通孔777内に収容する進入方向に移動可能となっている。このとき、駆動ロッド773の進入位置は、収容空間776と供給空間783との間にて、軸部772の内周面から突出した環状ブロック775に当接することで規制される。
【0113】
駆動ロッド773は、小径に形成された先端部778と、先端部778よりも大径に形成された前方部785、中間部786、後方部787とを有している。先端部778は、駆動ロッド773の退出方向への移動時に、挿通孔777を介して軸部772の先端面から突出される。先端部778の突出部分は、ロールシートRのロックを解除するアンロック用の操作部として機能する。前方部785及び後方部787は、軸部772内に形成された円柱状の支持面788、789の内径寸法に対して略同寸法の外径寸法を有し、支持面788、789により進退方向に摺動可能に支持される。
【0114】
中間部786は、軸部772に対して開閉可能に取り付けられた一対の爪部774の間に配置されている。中間部786の前方部785側には、駆動ロッド773の進入方向に向かって大径となるテーパ面791が形成されている。テーパ面791が駆動ロッド773と共に進退することにより、一対の爪部774の先端側を挟んで対向するテーパ面791と筒701の内面との間隔が変化する。
【0115】
一対の爪部774は、一対の長孔781に対応して収容空間776内に配置され、一対の長孔781の後方において軸部772に揺動可能に支持されている。一対の爪部774は、揺動可能に揺動支点796に支持された基端部から前方に延びるアーム部792と、アーム部792の先端部に設けられたローラ部793とを有している。アーム部792は、先端部から基端部に向かって幅狭になるように形成され、基端部から軸部772の径方向内側に延びる係止部794を有している。ローラ部793は、中間部786のテーパ面791に転接される。
【0116】
駆動ロッド773が退出方向に移動されると、テーパ面791によりローラ部793が外方に押し込まれ、アーム部792が長孔781を介して筒701側に向う外側に揺動される。これにより、一対の爪部774が筒701の内面に当接してロールシートRをロックする。また、駆動ロッド773が進入方向に移動されると、中間部786の後端面795により係止部794が進入方向に押し込まれ、アーム部792が駆動ロッド773側に向う内側に揺動される。これにより、一対の爪部774が筒701の内面から離間してロールシートRをアンロックする。なお、ロールシート支持部702によるロールシートRのロック及びアンロックの詳細については後述する。
【0117】
図14A及び図14Bを参照して、シート供給部によるシート切断動作について説明する。図14A及び図14Bは、本実施の形態に係るシート供給部によるシート切断動作の説明図である。
【0118】
図14A(a)に示すように、上側プレート714及び下側プレート715が、下段位置732においてシートSを挟持している。この場合、シートSの前端は、カット部711(保持部736)の保持面737上に位置されている。また、把持部741が、固定プレート752の先端部753と可動プレート754の平板部755とを離間させた状態で後方位置762に待機している。このとき、把持部741の高さが、下段位置732でシートSの前端を把持可能な高さに合わせられている。
【0119】
次に、図14A(b)に示すように、上側プレート714及び下側プレート715が、シートSを挟持した状態で上段位置731に向かって矢印A2方向に移動する。これにより、シートSの前端がカット部711の保持面737の上方に移動される。次に、図14A(c)に示すように、把持部741が、前方位置761に向かって斜め上方(矢印A3方向)に移動される。把持部741が前方位置761に位置付けられると、固定プレート752の先端部753と可動プレート754の平板部755との間にシートSの前端が位置付けられる。
【0120】
次に、図14B(d)に示すように、可動プレート754の平板部755が固定プレート752の先端部753に接近(矢印A4方向)されて、固定プレート752と可動プレート754とによりシートSの前端が把持される。このように、前方位置761では、把持部741の高さが上段位置731でシートSを把持可能な高さに合わせられている。
【0121】
次に、図14B(e)に示すように、下側プレート715が下段位置732に向かって矢印A5方向に移動することでシートSの挟持が解除されると共に、把持部741が後方位置762に向かって斜め下方(矢印A6方向)に移動されることでシートSが引き出される。このとき、把持部741は、シートSの把持位置の高さを上段位置731から下段位置732まで変えながら移動する。また、シートSの引き出し時には、保持面737に形成された複数の吸引口739からシートSに対してエアが吹き付けられる。このエアの吹き付けによってシートSの引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れが防止される。
【0122】
次に、図14B(f)に示すように、シートSの引き出しが完了すると、複数の吸引口739により保持面737にシートSが吸着され、シート搬送部800が把持部741と保持面737との間に引き出されたシートSを上方から保持する。そして、シート搬送部800によりシートSが保持された状態で、カッター735が保持面737に形成された逃げ溝738に沿ってスライドし、搬送方向に直交する幅方向でシートSを切断する。逃げ溝738に沿って逃げ溝738を挟んだ両側に形成された複数の吸引口739がシートSを保持した状態で切断を行うので安定した切断が可能となる。
【0123】
シートSが切断されると、把持部741によるシートSの把持が解除され、シート搬送部800によりシートSがステージ602に搬送される。このとき、上側プレート714が下段位置732に移動することでシートSが挟持され、図14A(a)に示す状態に戻る。このように、本実施の形態では、把持部741が前方位置761から後方位置762に向かって斜め後方に移動することで、シートSが高さを変えながら引き出される。よって、把持部741を斜め方向の1軸方向に移動させればよく、前後方向及び上下方向の2軸方向に移動させる構成と比較して、安価かつ簡易な構成によりシートSを引き出すことができる。
【0124】
図15を参照して、ロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作について説明する。図15は、本実施の形態に係るロールシート支持部によるロールシートのロック動作及びアンロック動作の説明図である。
【0125】
図15(a)に示すように、ロールシートRのアンロック時には、駆動ロッド773が軸部772の収容空間776の奥方に押し込まれており、軸部772の内周面に設けられた環状ブロック775に当接されている。一対の爪部774は、係止部794に中間部786の後端面795が当接され、矢印A7に示すように、アーム部792の先端側を駆動ロッド773の外周面に押し付けている。このとき、アーム部792の先端部に設けられたローラ部793は、テーパ面791の小径側に転接されている。
【0126】
このロールシートRのアンロック状態で、供給空間783にエアが供給されると、駆動ロッド773が退出方向に移動し始める。駆動ロッド773が退出方向に向かって移動し始めると、ローラ部793がテーパ面791上を小径側から大径側に移動する。これにより、アーム部792が、矢印A8に示すように、揺動支点796を中心として筒701側に揺動する。そして、図15(b)に示すように、駆動ロッド773が、完全に退出方向に押し出されると、アーム部792の先端側が長孔781を介して筒701の内面とテーパ面791との間に噛み込まれる。
【0127】
この構成により、筒701の内面がアーム部792に押圧され、アーム部792によって筒701の内側からロールシートRがロックされる。この場合、アーム部792は、矢印A8の揺動方向に示すように、突き当て板771に向かう斜め方向から筒701の内面に当接する。よって、ロールシートRが突き当て板771に突き当てられた状態で、一対の爪部774によりロックされる。また、ロールシートRのロック状態では、アンロック用の操作部となる駆動ロッド773の先端部778が、軸部772の挿通孔777を介して外部に突出される。
【0128】
このロック状態で、供給空間783へのエアの供給が停止された後、オペレータにより軸部772から突出した駆動ロッド773の先端部778が押圧されると、駆動ロッド773が進入方向に移動し始める。駆動ロッド773が進入方向に向かって移動し始めると、ロールシートRの筒701の内面とテーパ面791との間からアーム部792の先端側の噛み込みが外れる。そして、図15(a)に示すように、駆動ロッド773が完全に進入方向に押し込まれると、中間部786の後端面795が一対の爪部774の係止部794に当接する。この係止部794に対する後端面795の当接により、アーム部792が、矢印A7に示すように揺動支点796を中心として駆動ロッド773側に揺動する。
【0129】
この構成により、筒701の内面からアーム部792が完全に離間され、ロールシートRがアンロックされる。このように、オペレータの手動操作によりアンロックされるため、エアの供給停止等により自動的にロックが解除されることがない。よって、ロールシートRのアンロック時には、オペレータの操作が必ず加わるため、オペレータの意図しないロールシートRのアンロックを抑制できる。
【0130】
図16を参照して、直径検出部によるロールシートの直径検出処理について説明する。図16は、本実施の形態に係るロールシートの変化に対する光センサの測定結果を表すマップの一例を示す図である。なお、図16では、ロールシートはPETフィルム、筒はポリエチレン製である。また、縦軸が受光量に応じた光センサの測定電圧、横軸が光センサから測定対象までの距離をそれぞれ示す。
【0131】
図16に示すように、シート供給部700の駆動に先だって、測定対象との距離を変化させながら、光センサ767の測定電圧を測定したところ、実線W1、破線W2の測定結果が得られた。ここで、実線W1がロールシートRを測定対象とした場合の測定結果であり、破線W2が筒701のみを測定対象とした場合の測定結果である。実線W1に示すように、光センサ767の受光面とロールシートRの外周面との距離が離れるに伴い、光センサ767の受光量に応じた測定電圧が低下する。図の例では、光センサ767の受光面とロールシートRの外周面との距離が96[mm]から160[mm]に増加すると、測定電圧が5.0[V]から1.4[V]に低下している。
【0132】
また、破線W2に示すように、光センサ767の受光面と筒701の外周面との距離が離れるに伴い、光センサ767の受光量に応じた測定電圧が低下する。図の例では、光センサ767の受光面と筒701の外周面との距離が45[mm]から160[mm]に増加すると、測定電圧が2.4[V]から1.2[V]に低下している。このように、筒701は、シートSに比べて反射率が低いため、ロールシートRを測定対象にする場合と比較して測定電圧が低くなる。マップは、制御部6のメモリに記憶される。
【0133】
シート供給部700の駆動時には、直径検出部712は、メモリに記憶されたマップを参照して、ロールシートRからの反射光の受光量に基づいてロールシートRの直径を検出する。直径検出部712は、検出したロールシートRの直径を張力付与部707に出力する。この構成により、張力付与部707は、ロールシートRの直径に応じてロールシート支持部702に加わるトルクが変化する場合でも、シートSに対して適度な張力を発生させるように制動力を調整できる。これにより、シートSに掛る張力が大きすぎてシートSが伸びたり、把持部741によるシートSの引き出し時に負荷が掛って動作が不安定なる等の問題が回避される。また、シートSに掛る張力が小さすぎてとシートSが弛み、シートSのカットが適切に行われない等の問題が回避される。
【0134】
また、直径検出部712は、メモリに記憶されたマップを参照して、ロールシートRと筒701との反射率の違いからシートSの有無を検出する。この場合、直径検出部712は、シートSが無くなる直前のロールシートRに対する測定電圧と、そのときの筒701に対する測定電圧との間に閾値を設定する。そして、直径検出部712は、光センサ767により閾値以下の測定電圧が測定されたときに、シートSが無くなったことを検出する。図の例では、160[mm]でシートSが無くなるため、1.3[V]に閾値を設定することで、シートSの有無が検出される。
【0135】
直径検出部712は、シートSの有無を監視部768に通知する。監視部768は、ロールシートRからシートSが無くなったことを検知するとアラームを発し、オペレータに対してロールシートRの交換作業を促す。
【0136】
なお、本実施の形態では、受光量とロールシートRとの関係をマップ形式でメモリに記憶する構成としたが、これに限定されない。メモリは、受光量とロールシートRとの関係を表すデータを記憶すればよく、例えば、受光量とロールシートRとの関係をテーブル形式で記憶してもよい。
【0137】
また、本実施の形態では、直径検出部712が反射型の光センサ767の受光量に基づいてロールシートRの直径を検出したが、光センサに限定されない。直径検出部712は、ロールシートRの直径に応じた物理量を測定可能なセンサを有すればよく、例えば、ロードセルを設けてロールシートRの重量からロールシートRの直径を検出してもよい。この場合、ロードセルをロールシート支持部702に設けるようにする。
【0138】
また、本実施の形態では、筒701をロールシートRよりも反射率の低い材質で形成したが、これに限定されない。シートSの有無を検出する場合には、筒701は、ロールシートRと異なる反射率を有すればよく、例えば、ロールシートRよりも反射率の高い材質で形成してもよい。
【0139】
また、本実施の形態では、張力付与部707によりロールシート支持部702に対して逆送り回転方向の回転力を与えて、シートSに張力を付与したが、これに限定されない。張力付与部707は、シートSに適度な張力を付与する構成であればよく、例えば、ロールシート支持部702に摩擦力を作用させる構成としてもよい。
【0140】
また、本実施の形態では、光センサ767として発光部636の周囲に受光部766を設ける構成としたが、これに限定されない。光センサ767は、受光部766の周囲に発光部636を設ける構成としてもよい。
【0141】
また、本実施の形態では、光センサ767からの出力を張力付与部707及び監視部768に通知する構成としたが、これに限定されない。光センサ767からの出力を制御部6に通知し、制御部6を介して張力付与部707及び監視部768に通知してもよい。
【0142】
また、本実施の形態では、一対の爪部774によりロールシートRをロールシート支持部702にロックしたが、これに限定されない。ロールシート支持部702は、ロールシートRをロックする構成であれば、どのような構成を有してもよい。
【0143】
また、本実施の形態では、第一、第二のエアブロー部708、709によりシートSにエアを噴射してシートSを洗浄したが、これに限定されない。第一、第二のエアブロー部708、709は、エア以外の気体を噴射してシートSを洗浄してもよい。
【0144】
また、本実施の形態では、吸引口739からのエアの吹き付けによって、シートSの引き出し時におけるシートSと保持面737との擦れを防止したが、これに限定されない。シートSの引き出し時にシートSと保持面737とが摺れない場合には、吸引口739からエアを吹き付けなくてもよい。
【0145】
また、本実施の形態では、シート引き出し部703は、把持部741にシートSの前端を把持させた状態で、把持部741をスライドすることでロールシートRからシートSを引き出す構成としたが、これに限定されない。シート引き出し部703は、ロールシートRからシートSを引き出し可能な構成であれば、どのように構成されてもよい。
【0146】
図1、図17及び図18を参照して、ステージ及びシート搬送部について詳細に説明する。図17は、本実施の形態に係るステージの模式図である。なお、図17において、(a)がステージの上面模式図、(b)が(a)のB1−B1断面図である。図18は、本実施の形態に係るシート搬送部の断面模式図である。
【0147】
図17に示すように、ステージ602は、透光性材料により円板状に形成されており、上面の外周領域を除いて中央領域に凹部651が設けられている。ステージ602上面は、凹部651によって段状に形成され、外周領域に第一の保持面652、凹部651の内底面に第二の保持面653、凹部651の内周面に第一の保持面652から第二の保持面653に至る側面654がそれぞれ形成される。第一の保持面652には、シートSの外周領域を吸引保持する2つの第一の吸引口655が同心円状に形成されている。第二の保持面653と側面654との角部には、シートSの中央領域を吸引する環状の第二の吸引口(吸引口)656が形成されている。
【0148】
第一の吸引口655は、ステージ602内部に形成された流路を介して不図示の吸引源に接続される。第二の吸引口656は、ステージ602内部に形成された流路を介して吸引源に接続される。また、第二の吸引口656に連なる流路には大気開放弁が設けられている。ステージ602は、第一の吸引口655の吸引によって第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着保持する。このとき、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657(図17(b)参照)が形成される。ステージ602は、第二の吸引口656によって、この閉空間657からエアを吸引することでシートSを第二の保持面653に貼り付ける。
【0149】
シートSは、閉空間657からエアが吸引されると、第一の保持面652と第二の保持面653との段差によって引き伸ばされつつ第二の保持面653に沿って密着される。第二の保持面653は、第二の吸引口656が形成された外周縁を除いて平坦に形成されているため、シートSに対する密着性が高められると共に、発光部636(図5参照)から照射される光の錯乱を無くすことができる。よって、ワークWに対して平坦な樹脂面を形成できる。
【0150】
また、大気開放弁が開放され、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入されることで、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、本実施の形態に係るステージ602は、シートSを第二の保持面653に対して気密に貼り付けると共に、第二の保持面653に貼り付けられたシートSを容易に剥がすことができる。
【0151】
図1に示すように、シート搬送部800は、外部筐体2の底壁部に配置された基台801内から突出した搬送アーム部802と、搬送アーム部802の先端に設けられたシート保持部803とを有している。搬送アーム部802は、基台801内に設けられた不図示の移動機構によりX軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。シート保持部803は、上面視矩形状に形成されており、シートSを保持する保持面を有している。シート搬送部800は、基台801内の移動機構によりシート供給部700とステージ602との間でシートSを搬送する。
【0152】
図18に示すように、シート保持部803には、下面の外周領域を除いて中央領域に凹部811が形成されている。シート保持部803の下面の外周領域は、保持面812となっており、シートSの外周領域を吸引保持する吸引口813が形成されている。吸引口813は、シート保持部803の内部に形成された流路を介して不図示の吸引源に接続される。凹部811には、伸縮材により形成された膨張膜(膨張部)814が取り付けられている。膨張膜814は、凹部811の内底面に対して僅かに隙間を空けて取り付けられる。
【0153】
凹部811の内底面には、膨張膜814の中央部分に向けてエアを供給する供給口816が形成されている。供給口816は、シート保持部803の内部に形成された流路を介して不図示の供給源に接続される。膨張膜814は、供給口816を介してエアが供給されることで、中央部分から膨らみ始めてドーム状に膨張する。シート保持部803は、ステージ602上の第一の保持面652にシートSを保持させた状態で、膨張膜814をドーム状に膨張させることで、シートSの中央部分をステージ602の第二の保持面653に押し付ける。
【0154】
そして、第二の保持面653に押し付けられたシートSは、上記したように第二の吸引口656の吸引により第二の保持面653に吸着される。このとき、シートSの中央部分が第二の保持面653に押し付けられているため、シートSの中央から外方に向かって気泡を押し出すようにして第二の保持面653に密着される。よって、シートSとステージ602との間に気泡が入り込むことが抑制され、第二の保持面653とシートSとの密着性が高められる。
【0155】
図19を参照して、シートの貼り付け動作について説明する。図19は、本実施の形態に係るシート搬送部によるシートの貼り付け動作の説明図である。
【0156】
図19(a)に示すように、シート保持部803は、シート供給部700からシートSを受け取り、シートSをステージ602の上方に位置付ける。この場合、シートSは、吸引口813により保持面812に外周領域を保持された状態で搬送される。シート保持部803は、シートSを保持した状態で下方に移動し、ステージ602の第一の保持面652上にシートSを載置する。ステージ602は、シートSが載置されると、第一の吸引口655により第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着する。このとき、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657が形成される。
【0157】
次に、図19(b)に示すように、ステージ602の第一の保持面652にシートSの外周領域が吸着されると、シート保持部803が吸引口813によるシートSの保持を解除する。そして、シート保持部803が供給口816から膨張膜814に向けてエアを供給し、膨張膜814をドーム状に膨らませる。これにより、シートSの中央部分が、ステージ602の第二の保持面653に押し付けられる。
【0158】
次に、図19(c)に示すように、ステージ602が、第二の吸引口656により閉空間657からエアを吸引して、シートSを第二の保持面653に貼り付ける。このとき、シートSは、凹部651の段差によってしわが引き伸ばされつつ、膨張膜814によって中央部分から外側に向かって気泡を押し出すようにして押し広げられる。シートSは、押し出された気泡が第二の吸引口656により吸引されることで、内側から外側に向って徐々に第二の保持面653に密着される。このため、シートSとステージ602との間に気泡が入り込むことが抑制される。ステージ602にシートSが貼り付けられると、ステージ602上からシート保持部803が離れ、シートSに対して上記したワークWの貼着動作が実施される。
【0159】
次に、図19(d)に示すように、ワークWの貼着動作が終了すると、ステージ602が、第二の吸引口656からのエアの吸引を停止し、閉空間657内を大気に開放する大気開放弁を解放する。大気開放弁の開放により、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入し、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、第二の保持面653にシートSが気密に貼り付けられる場合でも、第二の保持面653から容易にシートSを剥がすことができる。
【0160】
なお、本実施の形態では、シート保持部803に膨張膜814を設けたが、これに限定されない。シート保持部803は、シートSを保持可能に形成されていればよく、例えば、図20に示すように、膨張膜814を設けずに、下面全域に保持面812が形成されていてもよい。
【0161】
以下、図20を参照して、変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作について説明する。図20は、変形例に係るシート保持部を用いたシートの貼り付け動作の説明図である。なお、ここでは、同一の名称については同一の符号を付して説明する。
【0162】
図20(a)に示すように、シート保持部803は、シート供給部700からシートSを受け取り、シートSをステージ602の上方に位置付ける。この場合、シートSは、吸引口813により保持面812に保持された状態で搬送される。シート保持部803は、シートSを保持した状態で下方に移動し、ステージ602の第一の保持面652上にシートSを載置する。ステージ602は、シートSが載置されると、第一の吸引口655により第一の保持面652にシートSの外周領域を吸着する。
【0163】
次に、図20(b)に示すように、ステージ602の第一の保持面652にシートSの外周領域が吸着されると、シート保持部803が吸引口813によるシートSの保持を解除する。次に、図20(c)に示すように、ステージ602は、第二の吸引口656により、シートSと第二の保持面653と側面654とによって閉空間657からエアを吸引して、シートSを第二の保持面653に貼り付ける。このとき、シートSは、凹部651の段差によってしわが引き伸ばされて第二の保持面653に密着される。ステージ602にシートSが貼り付けられると、ステージ602上からシート保持部803が離れ、シートSに対して上記したワークWの貼着動作が実施される。
【0164】
次に、図20(d)に示すように、ワークWの貼着動作が終了すると、ステージ602が、第二の吸引口656からのエアの吸引を停止し、閉空間657内を大気に開放する大気開放弁を解放する。大気開放弁の開放により、第二の吸引口656からシートSと第二の保持面653との間にエアが流入し、シートSに作用する張力(復帰力)により第二の保持面653からシートSが剥がされる。このように、第二の保持面653にシートSが気密に貼り付けられる場合でも、第二の保持面653から容易にシートSを剥がすことができる。
【0165】
また、本実施の形態では、ステージ602の第二の保持面653が平坦に形成されたが、これに限定されない。第二の保持面653は、第二の吸引口656に至る溝が形成されていてもよい。例えば、図21に示すように、ステージ602に第二の保持面653の中心を通るように溝901を形成してもよい。図21においては、(a)がステージの上面模式図、(b)が(a)のB2−B2断面図を示している。この構成より、発光部636(図5参照)から照射される光の錯乱を低くした状態で、第二の保持面653とシートSとの間の気泡混入が低減され、シートSの吸着力を高めることができる。この場合、溝901は、第二の保持面653上において、第二の吸引口656に連なる構成であれば、どのように形成されていれもよい。
【0166】
なお、本実施の形態では、第二の吸引口656に連なる流路に大気開放弁が設けられたが、これに限定されない。第二の吸引口656からの吸引によってシートSが第二の保持面653に対して吸着されれば、大気開放弁が設けられない構成としてもよい。
【0167】
また、本実施の形態では、シートSが第一の吸引口655により第一の保持面652に吸着保持されるが、これに限定されない。第一の保持面652にシートSの外周領域が保持されればよく、例えば、クランプ機構等によりシートSの外周領域が第一の保持面652に機械的に保持してもよい。
【0168】
また、本実施の形態では、シートSが第二の吸引口656により第二の保持面653に吸着保持されるが、これに限定されない。第二の保持面653は、シートSの中央領域を吸着保持する構成であればよく、例えば、第二の保持面653と側面654との角部に形成された複数の孔により構成されてもよい。
【0169】
また、本実施の形態では、第二の保持面653と側面654との角部に第二の吸引口656を形成したが、これに限定されない。第二の吸引口656は、少なくとも第二の保持面653及び側面654の一方に形成されていればよい。
【0170】
ここで、図1を参照して、樹脂塗布装置1による全体的な動作の流れについて説明する。まず、稼働前のメンテナンス時に、貼着装置600によるセットアップ作業が実施される。これにより、押圧部604による押圧操作時の基準位置が設定される。樹脂塗布装置1が駆動され、オペレータによってカセット収容部100に搬入側のカセット4が収容されると、第一のワーク搬送部200により搬入側のカセット4から加工前のワークWが取り出され、仮置きテーブル401に仮置きされる。このとき、外部ドア106及び内部ドア107のいずれか一方が開状態の場合には、いずれか他方が閉状態でロックされ、オペレータの作業の安全性が確保されている。
【0171】
仮置きテーブル401上のワークWは、撮像部402により撮像され、制御部6において水平方向における向きや中心位置が算出される。撮像後のワークWは、算出された向きや中心位置に基づいて第二のワーク搬送部300によって押圧部604に受け渡され、押圧部604の押圧面634によってステージ602の上方で保持される。一方、ワークWの押圧部604への搬送に並行して、シート供給部700によりロールシートRからシートSが引き出される。シートSの引き出し時には、ロールシートRの直径の変化に応じて、シートSに対して適度な張力が作用するように調整される。
【0172】
シート供給部700により引き出されたシートSは、所定長で切断されてシート搬送部800によりステージ602上に搬送される。このとき、シート搬送部800に設けられた膨張膜814の膨張及びステージ602の凹部651により、シートSがステージ602に対して気密に貼り付けられる。ステージ602の上のシートSは、中央部分に樹脂供給部603から液状樹脂が供給される。そして、貼着装置600に対してシートS及びワークWが搬送されると、液状樹脂が供給されたシートSに対して押圧面634に保持されたワークWが押し付けられる。このとき、液状樹脂から押圧面634が受ける圧力の変化に応じて押圧部604の押し下げ量を調整する。これにより、液状樹脂がワークWの外縁まで行き渡る。
【0173】
シートSに対するワークWの押し付けが完了すると、発光部636からの光の照射により液状樹脂が硬化され、ワークWとシートSとの間に樹脂膜が形成される。このとき、シートSに対するワークWの押し付けが解除された状態で、液状樹脂が硬化されるため、ワークWに内部応力を残留させることがない。シートS付きのワークWは、第二のワーク搬送部300によりステージ602から取り出され、シート切断部500の下方に配置される。そして、シートS付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿って余分なシートSが取り除かれ、第一のワーク搬送部200によりシート切断部500から搬出側のカセット5に押し込まれる。
【0174】
以上のように、本実施の形態に係る樹脂塗布装置1によれば、カセット収容部100、ワーク搬送部200、300、ワーク検出部400、シート切断部500、貼着装置600、シート供給部700、シート搬送部800を協働させることにより、加工前のワークWの搬入から加工済みのシート付きワークWの搬出までの一連の作業が効率的に実施される。すなわち、カセット収容部100に収容されたカセット4からワーク検出部400にワークWが搬送され、ワーク検出部400においてワークWの水平方向の位置及び向きが検出される。位置及び向きが検出されたワークWは、押圧部604に搬送され、押圧面634に対して精度よく位置付けられる。また、シート供給部700から引き出されたシートSがステージ602上に搬送され、押圧面634に保持されたワークWとステージ602上のシートSとが対向される。押圧面634に保持されたワークWは、液状樹脂が供給されたシートSに押し付けられてシートSに貼着される。ワークWにシートSが貼着されると、発光部636の発光により液状樹脂が硬化され、シート付きのワークWがシート切断部500に搬送される。シート付きのワークWは、シート切断部500においてワークWの外形に沿って余分なシートSが除去され、カセット5に収容される。このように、一連の作業の効率化が図られることで、ワークWの生産性を向上できる。
【0175】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0176】
以上説明したように、本発明は、液状樹脂によってシートが貼着されたワークを効率よく生産することができるという効果を有し、特に、ウェーハメイキング工程において半導体ウェーハに液状樹脂を塗布する樹脂塗布装置に有用である。
【符号の説明】
【0177】
1 樹脂塗布装置
2 外部筐体
4、5 カセット
6 制御部
100 カセット収容部
200 第一のワーク搬送部(ワーク搬送部)
300 第二のワーク搬送部(ワーク搬送部)
400 ワーク検出部
500 シート切断部
600 貼着装置
602 ステージ
603 樹脂供給部
604 押圧部
606 移動部
634 押圧面
636 発光部
700 シート供給部
800 シート搬送部
W ワーク
S シート
R ロールシート
L 液状樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着保持可能な押圧面を有する押圧部と、
前記押圧面に対向して配設され、シートの下面を保持するステージと、
前記ステージに保持された前記シートの上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記押圧面を前記ステージに対して接近及び離反させる移動部と、
前記ステージの下側に配設され、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂に光を照射する発光部と、を有し、
前記シートの上面に供給された前記液状樹脂を前記押圧面に保持したワークで上から押圧し前記液状樹脂をワーク下面に広げる樹脂塗布装置であって、
ロール状に巻かれた前記シートを引き出して切断するシート供給部と、
前記シート供給部で切断された前記シートを前記ステージ上に搬送するシート搬送部と、
ワークを複数収容したカセットを収容するカセット収容部と、
ワークが前記押圧面に受け渡される前にワークの水平方向の位置と向きを検出するワーク検出部と、
前記液状樹脂によってワークが貼り付けられたシートを前記ワークの外形に沿って切断するシート切断部と、
前記カセットと前記ワーク検出部と前記押圧面とシート切断部との間でワークの搬送を行うワーク搬送部とを有することを特徴とする樹脂塗布装置。
【請求項1】
ワークを吸着保持可能な押圧面を有する押圧部と、
前記押圧面に対向して配設され、シートの下面を保持するステージと、
前記ステージに保持された前記シートの上面に液状樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記押圧面を前記ステージに対して接近及び離反させる移動部と、
前記ステージの下側に配設され、前記シートの上面に供給された前記液状樹脂に光を照射する発光部と、を有し、
前記シートの上面に供給された前記液状樹脂を前記押圧面に保持したワークで上から押圧し前記液状樹脂をワーク下面に広げる樹脂塗布装置であって、
ロール状に巻かれた前記シートを引き出して切断するシート供給部と、
前記シート供給部で切断された前記シートを前記ステージ上に搬送するシート搬送部と、
ワークを複数収容したカセットを収容するカセット収容部と、
ワークが前記押圧面に受け渡される前にワークの水平方向の位置と向きを検出するワーク検出部と、
前記液状樹脂によってワークが貼り付けられたシートを前記ワークの外形に沿って切断するシート切断部と、
前記カセットと前記ワーク検出部と前記押圧面とシート切断部との間でワークの搬送を行うワーク搬送部とを有することを特徴とする樹脂塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−143724(P2012−143724A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5161(P2011−5161)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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