説明

樹脂成形品の製造方法

【課題】 熱硬化性の樹脂を用いて磁石部品をインサート成形する場合において、熱硬化性の樹脂を硬化するための加熱処理工程を経た後における磁石部品の熱減磁を抑える。
【解決手段】 金型1のキャビティ内にガイドにより位置決めした状態で配置された磁石部品2を熱硬化性の樹脂によりインサート成形する。インサート成形の後、熱硬化性の樹脂を硬化する加熱処理工程を行う。そして、この加熱処理工程の際に、磁石部品2の近傍に磁性体5を配置する。磁性体5は、例えば磁石部品2の着磁方向に配置する。また、磁性体5として、例えば永久磁石を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類金属磁石等の磁石部品を樹脂中にインサート成形する樹脂成形品の製造方法関するものであり、特に、磁石部品の減磁を抑えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品の分野においては、電子部品や機構部品をインサート成形することが広く行われており、これら部品を一体に組み込むことで、樹脂成形品に様々な機能を付加することが可能になる。ここで、インサート成形は、金型内に部品を配置して、樹脂を注入するだけでよく、電子部品や機構部品等が一体化された樹脂成形品を簡単に作製することができ、工数削減やコストダウンに有効な方法である。
【0003】
近年、電子機器等の小型化の進展に伴い、機器内に組み込む部品に対しても小型化が要求されており、前記樹脂成形品においても例外ではない。そして、樹脂成形品を小型化するためには、成型品の樹脂厚を極力削減することが必要になり、その成形に際しては、先ず、強度の確保が課題となる。
【0004】
このような状況から、例えば樹脂中にフィラーを添加することで、樹脂成形品の強度を確保する試みがなされている(特許文献1等を参照)。特許文献1は、レンズホルダの成形に関するものであるが、レンズホルダを形状異方性を有するフィラー入り樹脂によって成形すると共に、フィラーが中心軸の軸線方向に配向されるようにしている。これにより、寸法精度に優れ、かつ薄く軽量でも機械的剛性の高いレンズホルダが提供できるとしている。
【特許文献1】特開平6−27360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品として磁石部品をインサート成形する場合においては、例えば熱硬化性の樹脂を用いて成形を行うと、成形後にエージングと称される加熱処理工程が必要である。この加熱処理工程は、前記熱硬化性の樹脂の硬化を促進するために行うものであるが、この間、インサートされた磁石部品も高温に晒されることになり、その結果、磁石部品が減磁するという現象が見られる。また、熱可塑性の樹脂を用いて成形を行った場合にも、例えば特に高い寸法精度を要求される場合等には熱処理を行うことがあり、やはり前記減磁が起こる場合がある。このように磁石部品が熱減磁すると、磁石部品の磁気的な特性が低下し、本来の磁石性能を発揮することができず、樹脂成形品としての機能も損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明は、樹脂を用いて磁石部品をインサート成形する場合において、加熱処理工程を経た後にも磁石部品の熱減磁を抑えることが可能で、磁石部品の磁気的な特性を維持し得る樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明の樹脂成形品の製造方法は、金型のキャビティ内にガイドにより位置決めした状態で配置された磁石部品を樹脂によりインサート成形する成形工程と、前記インサート成形の後、加熱処理工程を有する樹脂成形品の製造方法であって、前記加熱処理工程の際に、前記磁石部品の近傍に磁性体を配置することを特徴とする。
【0008】
例えば熱硬化性の樹脂を用いた樹脂成形品の作製においては、成形工程や樹脂をエージングする加熱処理工程の際に磁石部品に熱が加わる。ここで、成形工程では、金型温度は有る程度高い温度に設定されるが、実際に磁石部品と接触する樹脂の温度はそれほど高くはなく、また時間も短いことから、磁石部品の磁気特性に大きく影響することはない。一方、加熱処理工程では、樹脂部分に均等に熱を加える必要があり、これにインサートされる磁石部品にも高い温度が加わることになる。また、エージング時間は成形時間に比べると遙かに長く、前記高い温度が長時間加わることになる。その結果、磁石部品において、いわゆる熱減磁が起こり、磁気特性が劣化する原因になる。
【0009】
そこで、本発明においては、前記加熱処理工程において、前記磁石部品の近傍に磁性体を配置し、前記熱減磁を抑えることとする。一般に、磁石においては、パーミアンス係数が小さいと減磁され易いことが知られている。そして、前記パーミアンス係数は、同じ材質の磁石の場合、着磁方向における寸法と垂直方向の寸法の比率と相関関係にあり、前記寸法比率が小さいとパーミアンス係数も小さく、減磁し易いことになる。前記のように、磁石部品の近傍に磁性体、例えば磁石を着磁方向を揃えて配置すると、磁石部品の着磁方向における寸法が見掛け上、拡大される形になり、前記パーミアンス係数も見掛け上、大きくなる。したがって、前記磁石部品は減磁し難くなり、前記加熱処理時の熱減磁が抑えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱硬化性の樹脂を硬化するための加熱処理工程を経た後にも磁石部品の熱減磁を抑えることができ、高磁気特性の樹脂成形品を製造することが可能である。また、本発明においては、磁性体を配置するだけで、製造工程には何らの変更を加える必要がないので、生産性を低下することもなく、装置構成上、大きな変更は不要であるので、設備投資等の点でも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した樹脂成形品の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
実際の樹脂成形品は、様々な形状をしており、部品の配置等も多様であるが、本実施形態においては、最も簡単なモデルを使用してその基本概念を説明する。また、磁石部品についても、希土類金属磁石を例にして説明するが、これに限らず、種々の磁石によって形成される磁石部品全般に適用可能であることは言うまでもない。
【0013】
先ず、本実施形態において磁石部品として使用する希土類金属磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とするものであり、磁気特性に非常に優れるという特徴を有することから、小型化、高性能化を図る上で有用である。希土類金属磁石2の組成は、用途等に応じて任意に選択すればよく、例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bの他、保磁力等の特性改善を目的として、例えばAl等の元素を添加してもよい。これらの元素の他、不可避的不純物又は微量添加物として、例えば炭素や酸素等が含有されていてもよい。
【0014】
成形に際しては、先ず、図1に示すように、例えば直方体形状を有する金型1のキャビティ内に部品2を配置し、いわゆるインサート成形を行う。本例の場合、金型1の底面1aに複数のガイド3が設けられており、これらガイド3によって磁石部品2の当該底面1aにおける面内方向での位置決めがなされる。
【0015】
ガイド3は、本例の場合、磁石部品2の4隅に対応して4箇所に設けられており、各ガイド3は、例えば図2に示すように、部品2の周面を支持する立ち上がり壁3aと、部品2の底面を支持する載置面3bとから構成されている。したがって、インサートされる磁石部品2は、前記ガイド3の載置面3bによって高さ方向の位置決めがされ、前記立ち上がり壁3aによって面内方向の移動が規制される。
【0016】
成形工程では、前記金型1のキャビティ内に磁石部品2を挿入配置して、熱硬化性の樹脂を注入した後、冷却固化する。前記の金型構造の場合、金型1のキャビティ内において、磁石部品2をガイド3に載置し、樹脂(熱硬化性の樹脂)の注入を行う。
【0017】
前記成形工程では、金型1を180℃程度に加熱し、この中に熱硬化性の樹脂を注入する。注入する樹脂の温度は、樹脂の種類によっても異なるが、例えばフェノール樹脂の場合、90℃程度である。したがって、金型に接した樹脂は局部的に、また瞬間的に金型温度付近まで上昇するが、樹脂全体として、特に磁石周囲の樹脂温度が金型温度まで達することは無いので、磁石部品2の熱減磁は考慮しなくても問題にならない。
【0018】
成形工程の後、前記磁石部品2がインサート成形された樹脂成形品を金型1から取り出す。ただし、この段階では樹脂が完全に硬化されているわけではないので、次に、加熱処理工程(いわゆるエージング)を行う。
【0019】
加熱処理工程は、例えば所定の温度に加熱した炉の中に前記取り出した樹脂成形品を入れ、所定時間加熱し、熱硬化性の樹脂の硬化を促進し、完全に硬化した状態とする。エージングの条件としては、例えば180℃で、3時間程度、加熱処理を行う。このとき、樹脂中にインサートされた磁石部品2に対しても樹脂と同じ温度が加わることになる。例えば、エージング条件を前記180℃、3時間とした場合、磁石部品2も180℃でほぼ3時間加熱されることになる。このような高い温度が長時間に亘り磁石部品2に加わると、熱減磁による性能の低下が問題になるおそれがある。
【0020】
そこで、本発明においては、この加熱処理工程に際して、磁石部品2の近傍、すなわち樹脂成形品の近傍に磁性体を配置し、見掛け上、磁石部品2の寸法(したがってパーミアンス係数)を大きくすることで、前記熱減磁を抑えることとする。
【0021】
図3は、前記磁性体の配置状態の例を示すものである。これらの例では、磁石部品2をインサート成形した樹脂成形体4の近傍に、磁性体5を配置し、加熱処理工程を行うようにしている。ここで、前記磁性体5としては、前記磁石部品2の磁束を通し、磁気回路を構成するものであれば如何なるものであってもよいが、磁性体5を永久磁石とすることで、より一層の効果を得ることができる。
【0022】
前記磁性体5の配置としては、磁石部品2の近傍、すなわち樹脂成形体4の近傍であれば如何なる位置であってもよいが、できる限り磁性体5と磁石部品2の距離を近づけることが好ましい。したがって、樹脂成形品4に対して磁性体5がほぼ接するように配置することが好ましい。
【0023】
また、前記磁性体5は、前記磁石部品2の着磁方向における寸法を拡大するように配置するのが有効である。これは、減磁のメカニズムに照らしても明らかである。先にも述べたように、磁石の着磁方向における寸法が小さいと、パーミアンス係数も小さくなり、減磁が起こり易くなる。したがって、減磁を抑えるためには、磁石の着磁方向における寸法を拡大するように磁性体5を配置することが有効になる。
【0024】
例えば、図3(a)に示すように、磁石部品2の着磁方向(図中、矢印方向)が磁石部品2の厚さ方向で有る場合、いずれか一方の磁極と対向するように磁性体5を配置すれば、磁石部品2の厚さ方向における見掛け上の寸法を拡張することができる。さらに、図3(b)に示すように、磁石部品2の着磁方向(厚さ方向:図中、矢印方向)の両側に磁性体5を配置すれば、見掛け上の寸法をより一層拡大することが可能である。
【0025】
また、前記の通り、磁性体5として永久磁石を配置することも有効である。この場合には、磁石部品2の磁極方向と磁性体(永久磁石)5の磁極方向とを一致させて配置し、例えば図3(c)に示すように、磁性体5のN極を磁石部品2のS極を対向させて配置すれば、磁石寸法を拡大したことになり、前記減磁に対して有効に機能する。
【0026】
前記磁性体5は、前記の原理に鑑みれば、その寸法が大きいほど減磁に対して有効に作用することになるが、加熱処理工程を効率的に行うことを考えると、あまり大きくすることは現実的でない。例えば、加熱処理工程を炉の中に入れて行う場合、前記磁性体5の寸法が大きくなると、炉の中に入れられる樹脂成形体4の数が減り、加熱処理工程に長時間を要することになる。
【0027】
したがって、前記磁性体5の寸法には、自ずと限度があり、加熱処理工程の効率等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば図4に示すような配列は、加熱処理工程の効率化と、熱減磁の効果的な抑制とを両立する上で有効な配列と言える。すなわち、図4に示す例では、磁石部品2が厚さ方向(図中、矢印方向)に着磁されているとして、この磁石部品2の着磁方向に樹脂成形品4を配列し、その間に磁性体5を介在させている。このような配列とすることで、前記磁性体5を介して配列される樹脂成形体4の複数の磁石部品2が磁気的に結合された形となり、全体の寸法が大幅に拡張されてパーミアンス係数が著しく大きくなり、熱減磁し難くなる。
【0028】
以上が本発明の樹脂成形品の製造方法における磁性体配置に関する基本的な考えであるが、磁石部品2としてNd−Fe−B系等の希土類金属磁石を用いた場合には、特に本発明による熱減磁の低減が有効に働く。
【0029】
Nd−Fe−B系等の希土類金属磁石はフェライト磁石に比べて特に熱減磁の影響を受けやすい。何故なら、保磁力Hcjの温度係数が負であり、高温ほどHcjが小さくなってしまうため、熱減磁が起きやすくなり、加熱処理にて磁気特性の劣化が問題となってしまう。一方、フェライト磁石はHcjの温度係数が正であり、高温ほどHcjが大きくなるため、200℃近傍の加熱温度では熱減磁が起こらない。したがって、一体成形品を加熱処理しても、磁気特性が低下することは無い。したがって、Nd−Fe−B系磁石等の希土類金属磁石は、他の材料の磁石に比べ熱減磁しやすい材料であり、熱減磁対策が重要となる。
【0030】
以上のように、本発明においては、熱硬化性の樹脂をエージング(加熱処理)する際に、磁石部品2の近傍に磁性体5を配置し、磁石部品2の見掛け上の寸法を拡大するようにしているので、磁石部品2の熱減磁を抑えることができ、高磁気特性の樹脂成形品を製造することが可能である。また、磁性体を配置するだけで、製造工程には何らの変更を加える必要がないので、生産性を低下することもなく、装置構成上大きな変更も不要であるので、多額の設備投資等も不要である。
【実施例】
【0031】
以下においては、実際に樹脂成形品を成形し、本発明の効果を確かめた。
【0032】
実施例1
先ず、インサート成形に使用するNd−Fe−B系の希土類金属磁石を、通常の粉末冶金の手法により、2つ作製した。希土類金属磁石13は10mm×10mm×3mmなる寸法で形成され、厚さ方向(図5における上下方向。)に配向されており、表面にはNiめっきを施した。また、着磁方向は図5(a)中、矢印の方向である。この2つの磁石を図5(a)に示すように、対向する面間隔を11mmとして配置し、磁石間の中心点の磁束密度を測定した。なお中心点は測定用のホール素子を磁石間の垂直方向[図5(a)中、YおよびZ方向]に対しては測定値が最大値となるところの位置とし、着磁方向[図5(a)中、X方向]に対しては測定値が最小値となる位置を中心点とした。
【0033】
続いて、上記2つの磁石をインサート部品とし、インサート成形を行った。本実施例において作製した樹脂成形品の形状を図5(b)に示す。この樹脂成形品11は、樹脂部12中に2つの希土類金属磁石13を磁性部品としてインサート成形したものである。前記樹脂成形品11は、樹脂部12が大きく2つに分割されて間に空間が形成されており、これらが筐体状に連結された構造を有し、分割された樹脂部12にそれぞれ1つの希土類金属磁石13がインサート成形されている。希土類金属磁石13は、金型に設けられたガイドによって位置決めされており、したがって、樹脂部12には、ガイドに対応してガイド孔14が形成されている。2つの磁石に挟まれた内側の樹脂部の厚さ[図5(b)中、A部およびB部]は各々1.5mmであり、2つに分割されて間に空間は8mmの幅をもっている。したがって、2つの磁石の内側表面間の距離は11mmである。
【0034】
注入する樹脂としては、ガラスフィラーを40質量%充填した熱硬化性のフェノール樹脂(ノボラック)を用いた。
【0035】
図2に示すガイドが設けられた金型を用い、希土類金属磁石13を挿入配置し、図5(b)において、図中左端側に前記2分割された部分に対応してゲートを2箇所設け、ここから(矢印J方向から)樹脂を注入して成形工程を行った。金型温度は180℃、樹脂温度は90℃とした。
【0036】
成形工程の後、樹脂が固化してから金型から取り出し、図5(c)に示すように、2つの磁石間の中心位置にて磁束密度を測定した。中心点の位置は前述と同様の方法にて求めた。次に、180℃にて3時間エージング(加熱処理)を行った。エージングに際しては、図6に示すように、2分割された樹脂部12間の空間に磁性体15として10mm×10mm×8mmの形状の鉄ブロックを配置した。この鉄ブロックは、2つの磁石の磁力により、磁石の10mm×10mmの面と対向して吸着固定することができた。
【0037】
エージング後、得られた樹脂成形品について、インサートされた希土類金属磁石13の磁気特性を成形後の測定と同様に測定した。評価はインサート成形後、及びエージング処理後の磁束密度からインサート成形前の2つの磁石間の中心位置の磁束密度を除して求めた。結果を表1に示すが、インサート成形前に比べてエージング処理後は90.3%の磁束密度を得ることができ、ほとんど磁気特性の低下は認められないことが判明した。また、インサート成形後の磁束密度はインサート成形前に比べて99.2%とほとんど熱減磁していないことが確認された。
【0038】
実施例2
実施例1と同様に樹脂成形品を作製し、評価した。ただし、磁性体15として、10mm×10mm×8mmの形状のSmCo系磁石を用い、希土類金属磁石13と極を一致させて配置した。得られた樹脂成形品について、インサートされた希土類金属磁石13の磁気特性を測定したところ、表1に示すように、インサート成形前に比べて磁束密度は98.4%であり、ほとんど磁気特性の低下は認められず、また、実施例1に比べて、さらに磁気特性の低下が抑えられていることが判明した。
【0039】
比較例
実施例1と同様に樹脂成形品を成形したが、磁性体15を配置することなくエージングを行った。インサートされた希土類金属磁石13の磁気特性を測定したところ、表1に示すように、インサート成形前に比べて、磁束密度は83.6%と明らかに磁気特性の低下が認められた。
【0040】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】成形装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】金型に設けられたガイドの形状例を示す要部概略斜視図である。
【図3】磁性体の配置例を示すものであり、(a)は樹脂成形体の一側面にのみ磁性体を配置した例を示す概略平面図、(b)は磁石部品を挟んで樹脂成形体の両側に磁性体を配置した例を示す概略平面図、(c)は磁性体として永久磁石を配置した例を示す概略平面図である。
【図4】磁性体を介して樹脂成形体を配列した例を示す概略平面図である。
【図5】(a)は成形前の希土類金属磁石に対する磁気特性の測定を示す概略平面図、(b)は実施例及び比較例で作製した樹脂成形品の形状を示す概略平面図、(c)は樹脂成形品に対する磁気特性の測定を示す平面図である。
【図6】実施例における磁性体の配置状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 金型、1a 金型面、2 磁石部品、3 ガイド、3a 立ち上がり壁、3b 載置面、4 樹脂成形品、5 磁性体、11 樹脂成形品、12 樹脂部、13 希土類金属磁石、14 ガイド孔、15 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型のキャビティ内にガイドにより位置決めした状態で配置された磁石部品を樹脂によりインサート成形する成形工程と、前記インサート成形の後、加熱処理工程を有する樹脂成形品の製造方法であって、
前記加熱処理工程の際に、前記磁石部品の近傍に磁性体を配置することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記磁性体は、前記磁石部品の着磁方向に配置することを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記磁性体として永久磁石を配置し、前記磁石部品の磁極方向と前記配置される永久磁石の磁極方向を略一致させることを特徴とする請求項2記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
前記磁石部品が希土類金属磁石であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−272793(P2006−272793A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96336(P2005−96336)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】