説明

樹脂成形品の製造方法

【課題】 円環状の外周部11と軸部13とがウェブ14で一体化された樹脂歯車や樹脂プーリーなどの樹脂成形品1の製造において、樹脂成形品1の寸法精度、特に真円度を高めることが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂成形品1を射出成形する際のピンゲート32をウェブ成形部に設ける場合において、ゲート32が外周部寄りに設けられる場合にはピンゲート先端が成形品中心方向に向かって傾斜するように設けて、射出された樹脂が成形品中心方向に偏向して流れるようにする。あるいは、ゲート33が軸部寄りに設けられる場合にはピンゲート先端が成形品半径方向外側に向かって傾斜するように設け、射出された樹脂が成形品半径方向外側に偏向して流れるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂歯車や樹脂プーリーなどといった合成樹脂成形品の射出成形製造方法に関する。特に、成形品外周部に円環状のリムが形成され、成形品中央部に軸部(ボスなど)が形成されて、リムと軸部の間が円盤状のウェブによって接続された樹脂歯車や樹脂プーリーを、射出成形により精度良く製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂歯車やプーリーを合成樹脂の射出成形により製造することは広く行われている。これら樹脂歯車はプリンター装置などのOA機器に使用され、印刷精度の向上や騒音防止のために、高い寸法精度が要求されている一方、射出成形により能率的に生産することが求められている部品であり、樹脂プーリーについても同様の要求がある。
【0003】
このような樹脂歯車や樹脂プーリーを射出成形により形成すべく、ウェブの部分にピンゲートを同心円状に配置した場合、特許文献1に記載されたような成形品精度上の課題が存在することが知られている。即ち、ウェブに同心円状等間隔に配置されたピンゲートから樹脂がキャビティに射出・充填される過程で、図7に示すように、成形品の外周部において、周方向でゲートに対応する位置では樹脂が充填されるタイミングが早くなるとともに保圧も高めとなり、一方周方向でゲートとゲートの間(即ちウェルド部)に対応する位置では樹脂が充填されるタイミングが遅くなるとともに保圧も低めとなる。その結果、図11に示すような、ゲートに対応する部分が成形品外方に向けて張り出すような傾向の寸法劣化を生じ、成形品の外周部の真円度が低下してしまう。
【0004】
特許文献1においては、ゲート位置に対応して、溝深さや幅が連続的または断続的に変化する高分子樹脂材料流動規制機構(樹脂の流れを規制可能な一種の絞り構造)をウェブ形成部分に導入することによって、上記課題を解決することが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、同種の課題に対し、複数のピンゲートから溶融樹脂をキャビティに射出する部分に、キャビティに射出した溶融樹脂に対して円周方向に沿った流れ成分を与える流動方向規制部を設けることにより、発生するウエルドラインの成形品精度への影響を低減させて高精度の成形品を作製することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−132542号公報
【特許文献2】特開2006−240038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ピンゲートをウェブに配置した場合の樹脂成形品の真円度悪化の課題は、特に、ピンゲートを樹脂成形品の外周部に寄せて配置する必要がある場合には、特に顕在化しやすいものであり、更なる改善が求められている。図11には、ピンゲートPを樹脂成形品外周部に寄せて配置した場合に、成形品の外周部形状が多角形状になって真円度が悪化する傾向を破線で示している。また、ピンゲートを樹脂成形品の軸部に寄せて配置する必要がある場合にも、同様に、軸部特にボス穴内周面の精度劣化を招くことになって、その改善が求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、樹脂歯車や樹脂プーリーなどの樹脂成形品の製造において、樹脂成形品の寸法精度、特に真円度を高めることが可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、樹脂成形品の射出成形による製造に際し、ピンゲートをウェブに設ける場合において、ゲートが外周部寄りに設けられる場合にはピンゲート先端が成形品中心方向に向かって傾斜するように、あるいは、ゲートが軸部寄りに設けられる場合にはピンゲート先端が成形品半径方向外側に向かって傾斜するように設けると、上記目的が達成できることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、円環状の外周部と回転軸となる軸部と円盤状のウェブによって一体に成形された樹脂成形品を射出成形により製造する方法であって、樹脂成形品の形状に対応したキャビティを有すると共に、キャビティに樹脂を供給するピンゲートがウェブ成形領域に配置された金型を準備する工程と、ピンゲートから樹脂をキャビティ内に射出して樹脂を硬化させた後に金型から樹脂成形品を取り出す射出成形工程とを備え、金型準備工程において、前記ピンゲートをウェブの外周部寄り領域に配置すると共に、前記ピンゲートの先端部をその中心軸が成形品の中心方向に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品中心方向に偏向して流れるようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、円環状の外周部と回転軸となる軸部と円盤状のウェブによって一体に成形された樹脂成形品を射出成形により製造する方法であって、樹脂成形品の形状に対応したキャビティを有すると共に、キャビティに樹脂を供給するピンゲートがウェブ成形領域に配置された金型を準備する工程と、ピンゲートから樹脂をキャビティ内に射出して樹脂を硬化させた後に金型から樹脂成形品を取り出す射出成形工程とを備え、金型準備工程において、前記ピンゲートをウェブの軸部寄り領域に配置すると共に、前記ピンゲートの先端部をその中心軸が成形品の半径方向外側に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品の半径方向外側に偏向して流れるようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法である(請求項2)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ピンゲート先端部の中心軸を成形品の中心方向に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品中心方向に偏向して流れるようにすることにより、成形品外周部における周方向ゲート位置と周方向ウェルド位置との間で樹脂到達のタイミングや保圧力の程度が均質化されて、ピンゲートを成形品外周部寄りに設ける場合であっても、樹脂成形品外周部の真円度などの精度劣化を抑制あるいは防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明によれば、ピンゲート先端部の中心軸を成形品の半径方向外側に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品の半径方向外側に偏向して流れるようにすることにより、成形品軸部における周方向ゲート位置と周方向ウェルド位置との間で樹脂到達のタイミングや保圧力の程度が均質化されて、ピンゲートを成形品軸部寄りに設ける場合であっても、樹脂成形品軸部の真円度などの精度劣化を抑制あるいは防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製造方法により製造される樹脂歯車を示す図である。
【図2】本発明の製造方法に使用される金型の構造を示す模式図である。
【図3】本発明の製造方法に使用される金型のピンゲート先端部の形状を示す模式図である。
【図4】本発明の製造方法の射出成形工程において樹脂の射出後に型開きした状態を示す模式図である。
【図5】本発明の製造方法の射出成形工程において成形品を取り出した状態を示す模式図である。
【図6】本発明の製造方法の射出成形工程における樹脂の充填過程を示す図である。
【図7】従来の製造方法の射出成形工程における樹脂の充填過程を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の製造方法に使用される金型の構造を示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態の製造方法に使用される金型のピンゲート先端部の形状を示す模式図である。
【図10】本発明の製造方法に使用される金型のピンゲート先端部の別の形状を示す模式図である。
【図11】従来の製造方法における精度悪化の傾向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、樹脂歯車を例にして、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる製造方法の第1実施形態により製造される樹脂歯車1の形状を示す図である。この樹脂歯車1は、合成樹脂の射出成形により形成され、プリンターやコピー機やメーターなどの歯車伝達機構に用いられる。
樹脂歯車1の外周部には、円環状のリム11が形成され、リム11の外周部には、ハスバ歯車の歯部12が形成されている。また、樹脂歯車1の中央部に設けられた軸部には、ボス13が設けられており、ボス13の内周面に図示しないシャフトを勘合して樹脂歯車1の回転軸が構成される。軸部たるボス13と外周部たるリム11とは、略円盤状のウェブ14により互いに一体化されている。
【0016】
リム11やボス13はウェブ14よりも回転軸方向の厚み寸法が大きくされており、円盤状のウェブ14から、回転軸方向に円環状のリム11やボス13が突出するようにされている。換言すれば、ウェブ14の部分が肉盗みされている。ウェブ14の一方の面(図では上面側)には、樹脂歯車1を射出成形する際に樹脂を射出したゲート部分の痕跡(ゲート痕16)がある。樹脂歯車1においては、ゲート痕16,16は、ウェブ14の半径方向略中央部よりも外周部たるリム11に寄った領域に、換言すれば、軸部よりも外周部に近い領域に、同心円上に等間隔で設けられている。
【0017】
ゲート痕16,16は、射出成形工程において樹脂が射出されるピンゲートの痕跡であって、樹脂歯車1を精度良く成形する目的のため、好ましくは同心円状に等間隔で配置され、本実施形態においては6個のゲート痕が配置されている。ゲート痕即ちピンゲートの数は、成形品精度向上の観点からはより多い方が好ましいが、金型製造上の制約なども考慮して、通常は2個〜20個程度とされる。
【0018】
樹脂歯車1は、射出成形に適した熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂やポリアミド樹脂などの汎用合成樹脂や、ポリアセタール樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのエンジニアリングプラスチックなどによって成形される。これら樹脂材料に充填材や補強繊維を練りこんでも良い。
【0019】
以下上記樹脂歯車1を射出成形するための、本発明の製造方法の工程について説明する。
まず、射出成形に使用する金型を準備する。図2は射出工程に用いられる成形金型の構造を示す模式図であり、成形金型は図の上下方向に型開き可能な上金型2と下金型3の一対で構成される。樹脂歯車1はこれら金型により、一方の側面と反対側の側面が形成される。図2には一対の金型2,3を型閉じした状態を示す。
【0020】
上金型2は、樹脂歯車1の外周面(歯部)と、側面の上側半分と、ボス13の内周面を形成する金型であり、樹脂歯車1の形状と合致するように金型内面の形状が形成されている。上金型2は上金型本体21にピン22などを一体化して構成され、エジェクタピン23,23が樹脂歯車のウェブ14に対向する位置に、スライド可能に設けられている。
【0021】
一方、下金型3は、樹脂歯車1の残りの外面(下側半分の側面)を形成する金型であり、樹脂歯車1の下面の形状と合致するように金型内面形状が形成されている。下金型3では、樹脂を射出するためのピンゲート32、32が下金型本体部31に設けられている。ピンゲート32,32は、ウェブを成形する部分(すなわちウェブ成形領域)の半径方向略中央部よりもリムを成形する部分に寄った領域に、換言すれば、成形体の軸部よりも外周部に近い領域に、同心円上に等間隔で設けられている。
【0022】
そしてピンゲートは、ピンゲート32,32が金型のキャビティCに接続される部分(即ちピンゲート先端部)において、ピンゲート先端部が成形品の中心方向に向かって傾斜するように、すなわち、ピンゲートの中心軸がピンゲート内部から金型のキャビティに向うにつれて成形品の中心軸方向に向かうように傾斜して、設けられている。図3には、図2の左側に示したピンゲートの先端部を拡大して示す。
【0023】
特に本実施形態においては、図3に示すように、ゲート先端部が傾斜したテーパ面状に形成され、ゲート先端部の成形品半径方向内側の面32aがウェブの成形面と略垂直とされるとともに、ゲート先端部の成形品半径方向外側の面32bがウェブ成形面に向かうにつれて半径方向内側に向かうように傾斜した面とされている。そして、ゲート先端部は、キャビティとの接続部に向かって徐々に断面が小さくなるようなテーパ形状とされている。
以上のような金型を準備して、射出成形工程に供する。
【0024】
射出成形工程においては、図2に示すように、上金型2と下金型3とを型閉じした状態で、樹脂歯車1の外面形状に対応したキャビティCを形成して、かかる状態で、ゲート32,32を通じてキャビティに溶融樹脂を射出して、樹脂歯車1の射出成形が行われる。樹脂の射出の後、冷却・固化を行い、その後、樹脂歯車1を取り出す。
【0025】
樹脂歯車1の取り出しに際しては、まず、上金型2と下金型3と相対移動させて、型開きする。型開きに際しては、上金型2と樹脂歯車1との間の離型抵抗が高くなるようにして、樹脂歯車1が上金型2の側に残存するようにする(図4)。
【0026】
型開き後、上金型2に設けられたエジェクタピン23,23をスライドさせて、樹脂歯車1を上金型2から取り出す(図5)。以上のようにして、樹脂歯車1を射出成形して、金型2,3から樹脂歯車1を円滑に取り出すことができる。
【0027】
本発明の作用効果について説明する。
本発明の樹脂成形体製造方法においては、ピンゲート先端部が特定の位置で特定の方向に傾斜して設けられているため、樹脂をキャビティ内に射出する際の樹脂の流動状態を制御して、外周部や軸部に樹脂が充填されるタイミングや保圧状況を均質化することができる。
【0028】
即ち、本実施形態においては、ピンゲートの先端部が半径方向内側に向かって傾斜するように形成されているので、ピンゲート32からキャビティCに射出される樹脂の流れが、成形品半径方向内側に向かって強調されたような樹脂流動となる。本実施形態においては、このようなピンゲートが外周部寄りの領域に設けられているので、キャビティC内の樹脂の流れや充填の様子は、図6に示したような形態となる。図6では、樹脂が広がっていく状況を、樹脂充填過程の各時刻における樹脂の先端ラインとして模式的に示している。なお、このようなラインは、成形された成形品の表面において観察可能となる場合もある。
【0029】
一方、図7には、ゲート先端が傾斜せずにまっすぐにウェブ形成領域に接続された従来のピンゲートによる、キャビティ内の樹脂の流れや充填の様子を示す。
【0030】
両図の対比により明らかなように、本実施形態(図6)においては、樹脂の流れが成形品半径方向内側に向かって強調されて、キャビティ内で成形品の中心方向に偏向して流れるようになるために、特に成形品外周部側を充填する樹脂の流れがゆっくりしたものとなりつつ、外周側の周方向の充填のタイミングもそろうようになり、保圧のばらつきも抑制される。これに対し、図7の従来の形態によれば、樹脂はゲートから同心円状に広がるために、成形品外周部において、周方向ゲート位置Gでは樹脂の到達が早く、一方周方向ウェルド位置Wでは樹脂の到達が遅くなって、樹脂の充填のタイミングや保圧にばらつきが生じる。
【0031】
従って、本実施形態によれば、成形品外周部における周方向ゲート位置(G)と周方向ウェルド位置(W)との間で樹脂到達のタイミングや保圧力の程度が均質化されて、ピンゲートを成形品外周部寄りに設けた場合であっても、樹脂成形品外周部の真円度などの精度劣化を抑制あるいは防止することができる。
【0032】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変を加えて実施することもできる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0033】
図8には、本発明の別の実施形態として、ピンゲート33,33を軸部寄りに設けた例を示す。この実施形態においては、ピンゲート33,33が成形品のウェブ成形領域において軸部側に寄った位置に設けられて、かつ、ピンゲート先端部33aの中心軸が成形品半径方向外側に向けて傾斜する、即ち、その中心軸がピンゲートの側からキャビティの側に向かうにつれて成形品の半径方向外側に向かうように傾斜して設けられている点において第1実施形態(図2)と異なるが、他の点は同様である。
【0034】
また、図9には、図8の左側のピンゲート33の先端部付近を拡大して示すが、本実施形態においては、ピンゲート先端部33aは略円筒状に形成されて、その内径は先端部の長さ方向にわたって同じである。
【0035】
本実施形態においては、ピンゲートの先端部が半径方向外側に向かって傾斜するように形成されているので、ピンゲートからキャビティに射出される樹脂の流れが、成形品半径方向外側に向かって強調されたような樹脂流動となり、キャビティ内で成形品の半径方向外側に偏向して流れるようにるために、特に成形品軸部側を充填する樹脂の流れがゆっくりしたものとなりつつ、軸部側における周方向の樹脂充填のタイミングもそろうようになり、保圧のばらつきも抑制される。
【0036】
従って、第2実施形態によれば、成形品軸部側における周方向ゲート位置(G)と周方向ウェルド位置(W)との間で樹脂到達のタイミングや保圧力の程度が均質化されて、ピンゲートを成形品軸部寄りに設けた場合であっても、樹脂成形品軸部の真円度などの精度劣化を抑制あるいは防止することができる。
【0037】
本発明は、さらに改変を加えて実施することも可能である。例えば、ピンゲート先端部の内径変化の様態は、第1実施形態のように、ピンゲート側からキャビティ側に向かうにつれて縮径するようなテーパ形状とすることもでき、あるいは、第2実施形態のように、径変化しない円筒状の形状とすることもできる。あるいは、図10に示すように、ピンゲート先端部33a’をピンゲート側からキャビティC側に向かうにつれて拡径するようなテーパ形状とすることもできる。その他、ピンゲート先端部の形状を円形断面でなく楕円状の断面としたり、多角形状断面とすることもできる。
【0038】
ピンゲート先端部の中心軸が成形品半径方向外側あるいは中心方向に向けて傾斜していれば、本発明の効果は得られるので、これらピンゲート先端の形状は、ゲートカットのしやすさやゲートの加工の容易性などを考慮して適宜選択すればよい。
【0039】
また本発明の実施において使用される樹脂は、熱可塑性樹脂に限定されず、熱硬化性樹脂やゴム材料であっても良い。
【0040】
また、本発明により製造される樹脂成形品の形態も、種々の形状の樹脂歯車や樹脂プーリなど、多様な形態をとることが可能であり、特に、真円度が重要となるような円環状の外周部や軸部を有する樹脂成形品の形態であれば、本発明が効果的に適用される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、樹脂プーリーや樹脂歯車を射出成形によって成形する際の、真円度などの寸法精度の悪化を防止しすることができる。得られる樹脂成形品はプリンター装置やコピー機などの歯車伝達機構やベルト伝達機構の構成部品として使用することができ、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0042】
1 樹脂歯車
11 リム
12 歯部
13 ボス
14 ウェブ
16 ゲート痕
2 上金型
21 金型本体
23 エジェクタピン
3 下金型
32 ピンゲート
33 ピンゲート
C キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の外周部と回転軸となる軸部と円盤状のウェブによって一体に成形された樹脂成形品を射出成形により製造する方法であって、
樹脂成形品の形状に対応したキャビティを有すると共に、キャビティに樹脂を供給するピンゲートがウェブ成形領域に配置された金型を準備する工程と、
ピンゲートから樹脂をキャビティ内に射出して樹脂を硬化させた後に金型から樹脂成形品を取り出す射出成形工程とを備え、
金型準備工程において、前記ピンゲートをウェブの外周部寄り領域に配置すると共に、前記ピンゲートの先端部をその中心軸が成形品の中心方向に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品中心方向に偏向して流れるようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
円環状の外周部と回転軸となる軸部と円盤状のウェブによって一体に成形された樹脂成形品を射出成形により製造する方法であって、
樹脂成形品の形状に対応したキャビティを有すると共に、キャビティに樹脂を供給するピンゲートがウェブ成形領域に配置された金型を準備する工程と、
ピンゲートから樹脂をキャビティ内に射出して樹脂を硬化させた後に金型から樹脂成形品を取り出す射出成形工程とを備え、
金型準備工程において、前記ピンゲートをウェブの軸部寄り領域に配置すると共に、前記ピンゲートの先端部をその中心軸が成形品の半径方向外側に向かって傾斜するように設け、射出成形工程において射出された樹脂がキャビティ内で成形品の半径方向外側に偏向して流れるようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−178027(P2011−178027A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44501(P2010−44501)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】