説明

樹脂硬化装置

【課題】簡単な構造で常に搬送テープに一定の張力をかけることができる。
【解決手段】内部に通された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する炉体を有する樹脂硬化装置である。前記炉体のテープ入口とテープ出口とを連通する加熱管を備えた。当該加熱管は、前記炉体内に挿入された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する複数の水平管部と、隣接する2つの水平管部に接続されて前記搬送テープを折り返す接続部とを備え、当該接続部が、一方の水平管部からの搬送テープを掛け渡して反転させるローラ部と、当該ローラ部に振り子の原理で一定の付勢力をかけて搬送テープに設定値の張力をかける張力設定部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の搬送テープ上の素子を封止した樹脂を加熱して硬化させる樹脂硬化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のテープ上の素子を封止した樹脂を加熱して硬化させる樹脂硬化装置は一般に知られている。この樹脂硬化装置としては特許文献1がある。この特許文献1の樹脂硬化装置を概説する。
【0003】
樹脂硬化装置は、図2,3に示すように主に、筐体1と、この筐体1の上に設けられた炉体2とから構成されている。炉体2には、素子3を封止するために樹脂4がこの素子を覆って塗布された搬送テープ5が、炉体2内に供給されるテープ入口6と、搬送テープ5の送り方向を反転させる反転ローラ7,8と、炉体内に配置され樹脂を加熱し硬化させる後述の加熱硬化手段と、搬送テープ5を炉体2外へ排出するテープ出口9とを備えている。
【0004】
加熱硬化手段は、搬送テープ5が水平に移動する水平搬送路に配置される水平搬送路用発熱体11,12,13と、反転ローラ7,8によって搬送テープ5が折り返される搬送状態変更区域であって反転ローラ7,8から見て下方位置に配置される搬送状態変更部用発熱体14,15とを備えて構成され、各発熱体によって搬送テープ5を加熱する。
【0005】
炉体2の上側には、炉体2内の空気を外部に排出する排気ブロア16が取り付けられている。
【0006】
また、前記樹脂硬化装置と同様の装置が、特許文献2及び特許文献3にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−240048号公報
【特許文献2】特公平8−2538号公報
【特許文献3】特開2001−127084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来の樹脂硬化装置では、搬送テープ5に一定のテンションをかける場合は、反転ローラ7,8を横方向(図炉体2の左右方向)にスライドさせる。反転ローラ7,8を横方向にスライドさせることで、搬送テープ5を張って一定のテンションをかけるようになっている。
【0009】
しかし、この場合、反転ローラ7,8をスライドさせるためのレール等が必要になり、構造が複雑になる。図2では1つの反転ローラで搬送テープ5を反転させているため、この反転ローラをレールで支持してスライドさせるが、構造が複雑になる。上下に二つの反転ローラを並べて配設した状態では、レールで上下二つの反転ローラを支持する構造はさらに複雑になる。この結果、製造コストも嵩んでしまう。
【0010】
また、レールで反転ローラをスライドさせる場合、搬送テープ5に常に一定の張力をかけるのが容易でない。
【0011】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、簡単な構造で常に搬送テープに一定の張力をかけることができることができる樹脂硬化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために、本願発明に係る樹脂硬化装置は、内部に通された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する炉体を有する樹脂硬化装置において、前記炉体のテープ入口とテープ出口とを連通する加熱管を備え、当該加熱管が、前記炉体内に挿入された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する複数の水平管部と、隣接する2つの水平管部に接続されて前記搬送テープを折り返す接続部とを備え、当該接続部が、一方の水平管部からの搬送テープを掛け渡して反転させるローラ部と、当該ローラ部に振り子の原理で一定の付勢力をかけて搬送テープに設定値の張力をかける張力設定部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
張力設定部によって、搬送テープを掛け渡して反転させるローラ部に振り子の原理で一定の付勢力をかけて搬送テープに設定値の張力をかけるため、搬送テープを常に設定値の張力で張ることができ、熱源との距離を正確に保て、正確な加熱処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る加熱管の最下段水平管部を示す正面断面図である。
【図2】従来の樹脂硬化装置を示す正面断面図である。
【図3】従来の樹脂硬化装置を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる加熱管を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる最下段水平管部の側面断面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる反転ローラを示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる中段水平管部のテープ用レール部を示す正面断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる正面扉を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる正面扉を示す側面図である。
【図10】第1変形例を示す正面図である。
【図11】第2変形例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る温度測定装置について説明する。図1は本実施形態に係る加熱管の最下段水平管部を示す正面断面図、図4は加熱管を示す正面図、図5は最下段水平管部の側面断面図、図6は反転ローラを示す正面図、図7は中段水平管部のテープ用レール部を示す正面断面図、図8は正面扉を示す斜視図、図9は正面扉を示す側面図である。
【0016】
本実施形態に係る樹脂硬化装置の全体構成は、上述した従来の樹脂硬化装置とほぼ同様であるため、同一部材には同一符号を付して、ここではその説明を省略する。本発明の樹脂硬化装置は、炉体2内の改良に関するものである。このため、本実施形態では炉体2内の構造を中心に説明する。
【0017】
本実施形態に係る樹脂硬化装置の炉体2には、図4に示すように、1本の加熱管21が装着されている。この加熱管21は、炉体2のテープ入口6とテープ出口9とを接続して、外部から挿入された搬送テープ5を内部に通して搬送テープ5上の樹脂4を加熱処理した後、テープ出口9から外部に排出する。
【0018】
加熱管21は、2回折り返して3段に構成している。即ち、3段に積層した加熱炉となっている。この加熱管21は、5つのユニットから構成されている。具体的には加熱管21は、テープ入口6から挿入された搬送テープ5の樹脂4を最初に加熱処理する最下段水平管部22と、最下段水平管部22内の搬送テープ5を折り返して中段水平管部24に通す下部接続部23と、最下段水平管部22に続いて樹脂4を加熱処理する中段水平管部24と、中段水平管部24内の搬送テープ5を折り返して上段水平管部26に通す上部接続部25と、中段水平管部24に続いて樹脂4を加熱処理する上段水平管部26とから構成されている。これら5つのユニットは、ネジ等によって互いに着脱可能に構成されている。炉体2内には、最下段水平管部22と中段水平管部24と上段水平管部26とが炉体2側のフレームに固定され、下部接続部23と上部接続部25は、最下段水平管部22等に連結されることで固定されている。なお、ここでは加熱管21を3段に構成したが、炉体2の寸法や加熱工程の長さ等の諸条件に応じて、4段以上に構成する場合もある。
【0019】
最下段水平管部22は、図1,5に示すように、保温筒30と、テープ用レール部31と、加熱板32と、引出用レール33と、フィルタ34とから構成されている。なお、図1においては、異なる幅の2種類の搬送テープ5をレール部に通した状態を示しているが、実際の加熱処理では、2種類の搬送テープ5のうちのいずれか一方のみが通されることになる。図7においても同様である。
【0020】
保温筒30は、閉ざされた搬送テープ5の加熱空間を形成するための部材である。保温筒30は、筒状の断熱材で構成され、その一方がテープ入口6に接続されて、内部にテープ用レール部31と加熱板32とを収納している。これにより、保温筒30は、その内部のみが加熱されて、テープ入口6から挿入された搬送テープ5及び樹脂4が置かれた環境を設定の温度に維持する。保温筒30は、下側筒部30Aと、上側筒部30Bとからなり、下側筒部30Aにテープ用レール部31と加熱板32とが取り付けられている。
【0021】
下側筒部30Aは、その断面が四角形皿状に形成され、その両側上端部が内側に折り曲げられてフランジ部30Cが形成されている。このフランジ部30Cに取付金具30Dを介して加熱板32が取り付けられている。フランジ部30Cの上側には、テープ用レール部31を支持するための支持板30Iが取り付けられている。
【0022】
上側筒部30Bは、断面が逆さまの四角形皿状に形成され、下側筒部30Aに着脱可能に取り付けられている。上側筒部30Bは肉厚の断熱材で構成され、加熱室30E内の熱が外部に極力漏れないようにしている。上側筒部30Bは、メンテナンス時に下側筒部30Aから取り外される。
【0023】
テープ用レール部31は、加熱管21内に搬送テープ5を通す際に、当該搬送テープ5を支持して案内するための装置である。このテープ用レール部31は、複数の異なる幅のテープを支持できるように、複数のレール部から構成されている。即ち、テープ用レール部31は、複数のテープ幅に合わせた複数のレール部を積層して構成されている。ここでは、2段構造の例を示している。即ち、テープ用レール部31は、狭い幅のテープを支持する狭幅テープ用レール部36と、広い幅のテープを支持する広幅テープ用レール部37と、これらの間を設定間隔に支持するレール部間スペーサ38とから構成されて、2段構造になっている。
【0024】
狭幅テープ用レール部36は、下側を覆う下板39と、上側を覆う上板40と、これらの間に設けられたスペーサ41とから構成されている。これらの部材は、搬送テープ5の両側に位置して左右対称に一対ずつ設けられている。
【0025】
下板39は、搬送テープ5をその下側から直接支持するための部材である。下板39は、水平板部39Aと、傾斜板部39Bと、テープ支持用突部39Cとから構成されている。
【0026】
水平板部39Aは、スペーサ41と当接して下板39全体を支持するための板材である。水平板部39Aは、テープ用レール部31の全長と同じ長さの平坦な帯状に形成され、水平に配設されている。一対の水平板部39Aの互いの内側端の間隔は、搬送テープ5の幅よりも狭く設定されて、搬送テープ5の幅方向両端部をその下側から支持するようになっている。この水平板部39Aの上側面にスペーサ41が当接される。
【0027】
傾斜板部39Bは、搬送テープ5が撓んだときにその下側から支持するための部材である。傾斜板部39Bは水平板部39Aと一体的に取り付けられている。傾斜板部39Bは、水平板部39Aの内側端から下方へ傾斜させて設けられている。傾斜板部39Bの傾斜角度は、搬送テープ5の撓み得る限度に合わせて設定されている。ここでは、傾斜板部39Bは、水平板部39Aから30度傾斜させて形成されている。
【0028】
テープ支持用突部39Cは、搬送テープ5の幅方向両端部の下側面に直接当接して搬送テープ5を支持するための部材である。テープ支持用突部39Cは、一対の水平板部39Aの内側端又は水平板部39Aと傾斜板部39Bの境界部に設けられている。テープ支持用突部39Cは、この内側端又は境界部に、下板39の全長に亘って設けられている。テープ支持用突部39Cは、水平板部39Aの内側端等に一列に並んだ複数の突起で構成されている。テープ支持用突部39Cを突起で構成することで、搬送テープ5の幅方向両端部をその長手方向に一列に点接触で支持するようになっている。点接触で支持することで、小さい摩擦抵抗で搬送テープ5をスムーズに搬送する。
【0029】
上板40は、上面板部40Aと側面板部40Bとから構成されている。上面板部40Aは、下板39に直接支持された搬送テープ5をその上方から間接的に支持するための部材である。上面板部40Aは、下板39の上方に設定間隔を空けて設けられ、搬送テープ5の上方を覆って搬送テープ5が狭幅テープ用レール部36から脱落しないように間接的に支持している。上面板部40Aは、平坦な帯状に形成され、下板39の水平板部39Aの上側にスペーサ41を挟んで設けられている。一対の上面板部40Aは、その内側の間隔が、搬送テープ5の幅よりも僅かに狭くなる寸法に設定されている。具体的には、上面板部40Aは、下板39の水平板部39Aとほぼ同じ寸法に設定されている。これにより、一対の上面板部40Aが、搬送テープ5の幅方向両端部を覆ってその上側を間接的に支持している。
【0030】
側面板部40Bは、上面板部40Aに一体的に設けられ、上面板部40Aの外側端部から下方へ垂下して形成されている。側面板部40Bは、後述するレール部間スペーサ38及び広幅テープ用レール部37を覆う寸法に設定されている。これにより、一対の側面板部40Bが、テープ用レール部31の両側を覆って、狭幅テープ用レール部36自身、レール部間スペーサ38及び広幅テープ用レール部37を保護している。
【0031】
スペーサ41は、下板39と上板40との間を設定間隔に保つと共に、搬送テープ5を規制するための部材である。スペーサ41は、所定の厚さを有して構成され、下板39と上板40との間隔を、例えば2mm程度に保っている。この下板39と上板40との間隔は、搬送テープ5の厚さや遊び等を考慮して設定される。一対のスペーサ41の間隔は、これらの間に挿入される搬送テープ5の幅に合わせて設定される。即ち、一対のスペーサ41の間隔は、搬送テープ5の幅よりも少し広い程度に設定される。この一対のスペーサ41によって、搬送テープ5の長手方向(搬送方向)への移動を許容すると共に、幅方向(横方向)へのズレを抑えている。
【0032】
広幅テープ用レール部37の基本的な構成は、上述した狭幅テープ用レール部36と同様である。即ち、広幅テープ用レール部37は、下板43と、上板44と、スペーサ45とから構成されている。これらは幅の広い搬送テープ5の寸法に合わせて設定され、その両側に一対ずつ設けられている。
【0033】
下板43は、搬送テープ5をその下側から直接支持するための部材で、水平板部43Aと、傾斜板部43Bと、テープ支持用突部43Cとから構成されている。これらの部材は、基本的な構成は狭幅テープ用レール部36の下板39の水平板部39A、傾斜板部39B及びテープ支持用突部39Cと同様であるが、その寸法は、幅の広い搬送テープ5に合わせて設定されている。即ち、各部材の間隔を、狭幅テープ用レール部36の各部材に比べて広くして、幅の広い搬送テープ5に合わせている。
【0034】
上板44は、下板43に直接支持された搬送テープ5をその上方から間接的に支持するための部材で、下板43の上方に設定間隔を空けて設けられ、搬送テープ5の上方を覆って搬送テープ5が広幅テープ用レール部37から脱落しないように間接的に支持している。上板44は、狭幅テープ用レール部36の上板40の上面板部40Aと同様に構成されている。
【0035】
スペーサ45は、下板43と上板44との間を設定間隔に保つと共に、幅の広い搬送テープ5を規制するための部材で、所定の厚さを有して構成されている。一対のスペーサ45の間隔は、幅の広い搬送テープ5に合わせて設定される。
【0036】
レール部間スペーサ38は、狭幅テープ用レール部36と広幅テープ用レール部37との間を設定間隔に維持するための部材である。レール部間スペーサ38の厚さは、保温筒30の内径や加熱板32との間隔等を考慮して設定されている。
【0037】
これら狭幅テープ用レール部36、広幅テープ用レール部37及びレール部間スペーサ38は、通しボルト46で一体的に固定されている。この通しボルト46は、広幅テープ用レール部37等の全長に亘って一定間隔毎に複数本設けられている。さらに、通しボルト46は、保温筒30の下側筒部30Aの支持板30Iに取り付けられて、テープ用レール部31を下側筒部30Aに固定している。
【0038】
加熱板32は、搬送テープ5の樹脂4を加熱するための熱源である。加熱板32は、電熱線等を用いて板状に構成され、テープ用レール部31の下側に配設されている。加熱板32は、テープ用レール部31の全長とほぼ同じ長さの1枚の板材(電熱線の板材等)又はほぼ同じ長さになるように組み合わせた複数枚の板材(電熱線の板材等)で構成されている。これにより、テープ用レール部31に配設された搬送テープ5を設定温度で加熱するようになっている。板状の加熱板32はその上下両側面から発熱する。このため、加熱板32のうち搬送テープ5に面する側が、輻射熱と、空気を介した熱伝導とによる加熱で、搬送テープ5と反対側が、空気を介した熱伝導による加熱で、搬送テープ5(樹脂4)全体が設定温度になるように加熱する。
【0039】
加熱板32は、各段ともテープの下側に設けられ、1段目及び3段目と、2段目とが反対面を加熱する。
【0040】
さらに、加熱板32は、保温筒30の内部を上下に分割している。具体的には、保温筒30の下側筒部30Aのフランジ部30Cに取付金具30Dを介して加熱板32が取り付けられることで、加熱板32を境にして、保温筒30の内部を上下に分割している。これにより、保温筒30のうち加熱板32の上部が加熱室30E、下部が予熱室30Fとなっている。加熱室30Eにテープ用レール部31が配設されている。予熱室30Fは空洞になっており、この空洞の予熱室30Fを空気が流れる間に加熱板32によって加熱されて、加熱室30Eに流入するようになっている。下側筒部30Aのうちフィルタ34の近傍の下側には、炉体2内の空気が予熱室30Fに流入する入口30G(図5参照)が設けられている。予熱室30Fのうち入口30Gと反対側(図5の左側)の端部に位置する加熱板32には、予熱室30Fで予熱された空気が加熱室30Eに流入する出口30Hが設けられている。この予熱室30Fは、保温筒30内に流入する炉体2内の空気を加熱することで、加熱室30E内に流入する空気を予め加熱すると共に、保温筒30内の熱が外部に伝わって炉体2内を無駄に加熱するのを防止している。即ち、炉体2内の冷却と喚起を同時に行っている。
【0041】
引出用レール33は、最下段水平管部22を、メンテナンスのために、炉体2内から外部に引き出すための装置である。引出用レール33は、図4,5に示すように、レール部33Aと、スライダ33Bとから構成されている。レール部33Aは、炉体2の骨組みであるフレーム2Aに取り付けられている。さらに、レール部33Aは、最下段水平管部22の出し入れ方向に配設されている。スライダ33Bは、最下段水平管部22の下側面に取り付けられ、レール部33Aにスライド可能に支持されている。これにより、メンテナンスの際に、最下段水平管部22を炉体2から外部に、作業者が手で引き出すことができるようになっている。
【0042】
フィルタ34は、加熱管21内の異物をろ過するための装置である。
【0043】
このフィルタ34は、箱部34Aと、濾材34Bとから構成されている。箱部34Aは、保温筒30の下流側端部の加熱室30Eを拡大して形成されている。この箱部34Aは、排気ブロア16に配管34Cで接続され、加熱管21内の空気が炉体2の外部に排出されるようになっている。
【0044】
濾材34Bは、箱部34A内に充填されて、加熱管21内の異物を濾し取る。濾材34Bは、主に樹脂4から発生したアウトガス中の粘性の高い異物を濾し取る。濾材34Bとしては、濾し取る対象に合わせて材料を選択する。ここでは、粘性の高い異物に合わせて金網を用いる。排気ブロア16で加熱管21内の空気が引かれる際に、最下段水平管部22の加熱室30E、下部接続部23、中段水平管部24、上部接続部25、上段水平管部26内の空気が引かれて、アウトガスが効率的に外部に排出される。
【0045】
下部接続部23は、最下段水平管部22と中段水平管部24とを接続する装置である。下部接続部23は、図4,6に示すように、反転ローラ51と、保温カバー52とから構成されている。
【0046】
反転ローラ51は、最下段水平管部22内を通された搬送テープ5を、一定のテンションをかけた状態で反転させて中段水平管部24に通すための装置である。反転ローラ51は、搬送テープ5が掛け渡された状態で、振り子の原理によって搬送テープ5に一定のテンションをかけている。具体的には、反転ローラ51は、揺動棒部54と、下側ローラ部55と、上側ローラ部56と、張力設定部57とから構成されている。
【0047】
揺動棒部54は、下側ローラ部55及び上側ローラ部56を支持して揺動するための棒材である。この揺動棒部54は、その基端部が炉体2側に軸支された回転軸58によって保温カバー52に回動可能に支持されて、上端部が左右(搬送テープ5の長手方向に沿う方向)に揺動するように構成されている。
【0048】
下側ローラ部55及び上側ローラ部56は、搬送テープ5をその移動を許容して反転させるためのローラである。下側ローラ部55及び上側ローラ部56は、揺動棒部54に設定間隔をあけてそれぞれ取り付けられている。この下側ローラ部55と上側ローラ部56の間隔は、最下段水平管部22内の搬送テープ5の位置と、中段水平管部24内の搬送テープ5の位置とに合わせて設定される。
【0049】
張力設定部57は、下側ローラ部55及び上側ローラ部56に一定の付勢力をかけて、搬送テープ5に設定値の張力をかけるための装置である。張力設定部57は、支持棒部60と、おもり61とから構成されている。
【0050】
支持棒部60は、揺動棒部54を直接回動させるための棒材である。支持棒部60は、縦方向に配設された揺動棒部54の中間位置から水平方向に延出して設けられている。おもり61は、支持棒部60を介して揺動棒部54に回動方向へ一定の付勢力をかけるための部材である。揺動棒部54に一定の付勢力をかけることで、搬送テープ5に一定のテンションをかけている。
【0051】
おもり61は、支持棒部60の先端部に垂下されている。このおもり61は、搬送テープ5にかけるテンションの大きさに合わせた重さに調整される。これにより、搬送テープ5に常に一定のテンションがかかるようになっている。
【0052】
保温カバー52は、反転ローラ51を覆って放熱を防ぎ、この部分での温度低下を防止するための部材である。保温カバー52は、その内部に反転ローラ51を収納した状態で、最下段水平管部22と中段水平管部24とにそれぞれ取り付けられて、これら最下段水平管部22と中段水平管部24とを連通している。
【0053】
中段水平管部24は、図4,7に示すように、最下段水平管部22とほぼ同様の構成を有している。具体的には、中段水平管部24は、保温筒63と、テープ用レール部64と、加熱板(図示せず)とから構成されている。なお、最下段水平管部22の引出用レール33とフィルタ34は設けられていない。
【0054】
保温筒63は、閉ざされた搬送テープ5の加熱空間を形成するための部材である。保温筒63は、最下段水平管部22の保温筒30とほぼ同様の構成を有している。即ち、保温筒63は、筒状の断熱材で構成され、その内部にテープ用レール部64と加熱板とを収納している。保温筒63は、最下段水平管部22の保温筒30と同様に、下側筒部(図示せず)と、上側筒部63Aとからなり、下側筒部にテープ用レール部64と加熱板とが取り付けられている。これら下側筒部及び上側筒部63Aは、最下段水平管部22の下側筒部30A及び上側筒部30Bと同様の構成を有している。加熱板も、最下段水平管部22の加熱板32と同様の構成を有している。
【0055】
テープ用レール部64は、図7に示すように、狭幅テープ用レール部36と広幅テープ用レール部37とが上下逆になっている以外は、最下段水平管部22のテープ用レール部31と同様である。
【0056】
この中段水平管部24は、その上流側端部が下部接続部23に接続され、下流側端部が上部接続部25に接続されている。これにより、最下段水平管部22で加熱された搬送テープ5が、上下反転した状態で中段水平管部24に流入して、この中段水平管部24内で加熱されて上部接続部25に流出する。
【0057】
なお、保温筒63の下部(最下段水平管部22の保温筒30の下部の予熱室30Fに対応する空間)は、最下段水平管部22の入口30G及び出口30Hを設けた予熱室30Fと異なり、空気の流れない断熱空間となっている。この空間は、最下段水平管部22の予熱室30Fと同様の予熱室としても良い。最も熱効率の良い態様になるように、断熱空間にしたり、予熱室にしたりする。
【0058】
上部接続部25は、下部接続部23とほぼ同様の構成を有している。具体的には、上部接続部25は、図4に示すように、中段水平管部24と上段水平管部26とを接続する装置である。上部接続部25は、下部接続部23と同様に、反転ローラ(図示せず)と、保温カバー66とから構成されている。
【0059】
反転ローラは、中段水平管部24内を通された搬送テープ5を、一定のテンションをかけた状態で反転させて上段水平管部26に通すための装置である。反転ローラは、搬送テープ5が掛け渡された状態で、振り子の原理によって搬送テープ5に一定のテンションをかけている。具体的には、反転ローラは、下部接続部23の反転ローラ51と同様に、揺動棒部、下側ローラ部、上側ローラ部及び張力設定部(いずれも図示せず)とから構成されている。これらの部材は、下部接続部23の反転ローラ51の各部材と同様であって、左右対称の構成になっている。
【0060】
上段水平管部26は、中段水平管部24とほぼ同様の構成を有している。具体的には、上段水平管部26は、保温筒67と、テープ用レール部(図示せず)と、加熱板(図示せず)とから構成されている。これらの部材は、最下段水平管部22の保温筒30、テープ用レール部31及び加熱板32と同様である。
【0061】
この上段水平管部26は、その上流側端部が上部接続部25に接続され、下流側端部が炉体2のテープ出口9に接続されている。これにより、中段水平管部24で加熱された搬送テープ5が、上下反転した状態で上段水平管部26に通されて、この上段水平管部26内で加熱されてテープ出口9から炉体2の外部に搬出する。上段水平管部26内の下部空間は、中段水平管部24と同様に、最も熱効率の良い態様になるように、断熱空間にしたり、予熱室にしたりする。
【0062】
正面扉71は、炉体2を開閉するための扉である。正面扉71は、図8,9に示すように、炉体2の扉解放時に省スペース化が図れるように、下方向スライド式を採用している。具体的には、正面扉71は、扉板72と、水平スライド機構73と、垂直スライド機構74とから構成されている。扉板72は、炉体2の前面を覆う板材である。扉板72は、炉体2の前面の全体を覆う大きさに設定され、扉板72を下方へずらすことで炉体2の前面全体を開放できるようになっている。
【0063】
水平スライド機構73は、扉板72を支持して水平方向(炉体2に対する前後方向)に僅かにずらすための機構である。水平スライド機構73によって扉板72が水平にずらされて、扉板72を閉めたり開いたりする。水平スライド機構73は、水平スライド棒76と、水平スライド支持ブロック77とから構成されている。水平スライド棒76は、扉板72の裏面に一体的に設けられ、この扉板72を支持している。水平スライド棒76は、扉板72の裏面の4つの角に近い4箇所の位置にそれぞれ設けられている。水平スライド支持ブロック77は、水平スライド棒76をスライド可能に支持する部材である。
【0064】
水平スライド棒76が水平スライド支持ブロック77によって水平方向にスライドすることで、扉板72が炉体2に対して前後方向にずれるようになっている。水平スライド支持ブロック77は、垂直スライド機構74に取り付けられている。
【0065】
垂直スライド機構74は、扉板72を垂直方向にずらすための機構である。垂直スライド機構74によって扉板72を下方へずらすことで、炉体2内を開放してメンテナンス等を行い、扉板72を上方へずらすことで炉体2内を閉じる。垂直スライド機構74は、垂直スライド棒78と、垂直スライドブロック79とから構成されている。垂直スライド棒78は、炉体2側に平行に2本取り付けられている。この垂直スライド棒78は、水平スライド機構73の水平スライド棒76の間隔に合わせて配設されている。垂直スライド棒78は、垂直スライドブロック79をスライド可能に支持している。垂直スライドブロック79は、水平スライド支持ブロック77を支持して垂直方向にスライドするための部材である。垂直スライドブロック79は、水平スライド支持ブロック77及び水平スライド棒76を介して扉板72を垂直方向にスライド可能に支持している。
【0066】
このように、扉板72と、水平スライド機構73と、垂直スライド機構74とからなる正面扉71は、水平方向の移動が少なくて垂直方向にずれることで、炉体2を開閉する。
【0067】
以上のように構成された樹脂硬化装置は、次のようにして使用される。
【0068】
素子3を封止した樹脂4を表面に備えた搬送テープ5が、テープ入口6から炉体2内に挿入されると、搬送テープ5は加熱管21に通される。加熱管21では、まず最下段水平管部22のテープ用レール部31の狭幅テープ用レール部36か広幅テープ用レール部37に挿入される。
【0069】
搬送テープ5がこのテープ用レール部31に支持されて移動する間に、加熱室30E内で樹脂4が加熱処理される。このとき、保温筒30で覆われた加熱室30E内は、設定温度になるように調整されている。具体的には、加熱板32の上側に位置する加熱室30Eが、加熱板32の輻射熱と、空気を介した熱伝導とによって搬送テープ5の樹脂4を加熱する。さらに、排気ブロア16でフィルタ34の部分から加熱管21内が吸引される際に、炉体2内の空気が入口30Gから予熱室30Fに流入してこの予熱室30Fで暖められて、出口30Hから加熱室30Eに流入する。これにより、加熱室30Eが設定温度に保たれ、周囲の加熱された空気と輻射熱で樹脂4が効率的に加熱される。
【0070】
下部接続部23では、最下段水平管部22からの搬送テープ5が反転されて中段水平管部24のテープ用レール部64に通される。さらに、ここでは、おもり61で下側ローラ部55、上側ローラ部56が付勢されて、搬送テープ5に一定のテンションがかけられている。これにより、搬送テープ5が撓むことなく加熱板32と一定の距離をおいて各レール部内を通されて、樹脂4が設定温度で加熱処理される。下部接続部23では、反転ローラ51が保温カバー52で覆われているため、この下部接続部23の部分で温度が低下するのを防いで、搬送テープ5の樹脂4が冷えないようにしている。
【0071】
中段水平管部24では、最下段水平管部22と同様にして、中段水平管部24での設定温度で加熱処理される。上部接続部25では、下部接続部23と同様にして、搬送テープ5に一定のテンションがかけられると共に、この上部接続部25の部分で温度が低下して搬送テープ5の樹脂4が冷えないようにしている。上段水平管部26でも最下段水平管部22と同様にして、上段水平管部26での設定温度で加熱処理される。なお、最下段水平管部22と中段水平管部24と上段水平管部26とで、加熱する設定温度がそれぞれ異なる場合と同じ場合があり、それぞれの設定温度で加熱処理される。
【0072】
この加熱工程において、特に最下段水平管部22でアウトガスが発生しやすいが、このガスは、フィルタ34を介して排気ブロア16で吸引されて、炉体2の外部に排気される。フィルタ34で吸引される際に、異物は濾材34Bで濾し取られる。
【0073】
上段水平管部26を通過した搬送テープ5は、テープ出口9から炉体2の外部に排出され、外部の巻き取りローラに巻き取られたり、下流側の処理工程に送られたりする。
【0074】
一方、メンテナンスを行うときは、正面扉71の扉板72を水平スライド機構73によって手前に引いて炉体2から外して、垂直スライド機構74で扉板72を下方へずらす。これにより、樹脂硬化装置全体の重心移動がほとんどない状態で、炉体2内を開放することができる。
【0075】
次いで、最下段水平管部22をメンテナンスするときは、最下段水平管部22を炉体2側に固定している部分を外すと共に、最下段水平管部22と下部接続部23とを外して、引出用レール33で最下段水平管部22を炉体2の外部に引き出す。引き出した最下段水平管部22から、保温筒30の下側筒部30Aを上側筒部30Bから外してテープ用レール部31を開く。メンテナンス終了後は、上側筒部30Bを下側筒部30Aに取り付けて、最下段水平管部22を炉体2内へ押し戻して、下部接続部23と連結し、メンテナンスを終了する。
【0076】
下部接続部23をメンテナンスするときは、下部接続部23を最下段水平管部22と中段水平管部24とから外して炉体2から外部に取り出す。または、下部接続部23の保温カバー52を取り外して、反転ローラ51のメンテナンスを行う。
【0077】
中段水平管部24及び上段水平管部26については、必要に応じて炉体2から取り出す。即ち、中段水平管部24の場合は、下部接続部23と上部接続部25を外して中段水平管部24を炉体2側から取り外し、炉体2の外部に取り出す。取り出す必要がない場合は、保温筒63の下側筒部を取り外して内部のメンテナンスを行う。
【0078】
上部接続部25をメンテナンスするときは、前記下部接続部23と同様にして行う。
【0079】
上段水平管部26をメンテナンスするときは、前記中段水平管部24と同様にして行う。
【0080】
以上のように、張力設定部57によって、搬送テープ5を掛け渡して反転させる下側ローラ部55、上側ローラ部56に振り子の原理で一定の付勢力をかけて搬送テープ5に設定値の張力をかけるため、搬送テープ5を常に設定値の張力で張ることができる。これにより、加熱板32との距離を正確に保て、正確な加熱処理を行うことができる。
【0081】
加熱管21を、最下段水平管部22、下部接続部23、中段水平管部24、上部接続部25及び上段水平管部26の5つのユニットに分けて、個別にメンテナンスを行うことができるようにしたため、メンテナンス時の作業性が向上する。各ユニットの組立性、メンテナンス性が向上する。
【0082】
テープ用レール部31を狭幅テープ用レール部36と広幅テープ用レール部37とから構成したため、2種類の幅の搬送テープ5を、部品交換なしに用いることができる。これにより、搬送テープ5の樹脂4の熱硬化処理作業の効率化を図ることができる。
【0083】
炉体2内に加熱管21を設け、保温筒30及び保温カバー52等によって、加熱管21の内部だけを加熱して、炉体2内には極力熱を放出しないようにしているため、熱効率が向上する。さらに、炉体2内を無駄に加熱しないため、内部の部品の熱による問題を防止することができる。
【0084】
正面扉71は、水平方向の移動が少なくて垂直方向にずれることで、炉体2を開閉するため、省スペースでかつ重心の移動も少なく、安定して開閉することができる。
【0085】
前記テープ用レール部31等が、搬送テープ5の下側を覆う下板39等と、搬送テープ5の上側を覆う上板40等と、これらの間に設けられたスペーサ41等とから構成され、これらの部材が、搬送テープ5の両側に位置して左右対称に一対ずつ設けられて、搬送テープ5を幅方向両側から支持するため、横ずれを抑えてスムーズに搬送することができる。
【0086】
下板39等が、搬送テープ5が撓んだときにその下側から支持する傾斜板部39B等を設けたので、搬送テープ5が撓んでも、確実に支持することができる。
【0087】
さらに、搬送テープ5の幅方向両端部の下側面に直接当接して搬送テープ5を支持するテープ支持用突部39Cを備えたので、搬送テープ5に点接触して摩擦抵抗を低減し、スムーズに搬送することができる。
【0088】
炉体2のテープ入口6とテープ出口9とを連通する加熱管21を備え、この加熱管21内のみを加熱するようにしたため、搬送テープ5の樹脂4を効率的に加熱することができると共に、炉体2内の加熱管21以外の部品に対する熱の問題を解消することができる。
【0089】
加熱管21を、最下段水平管部22と、下部接続部23と、中段水平管部24と、上部接続部25と、上段水平管部26とから構成してこれらをユニット化し、最下段水平管部22を炉体2の外部に引き出す引出用レール33を備えたので、個々にメンテナンスを行うことができ、メンテナンスの作業性が大幅に向上する。
【0090】
最下段水平管部22にフィルタ34を備えたので、加熱管21内のアウトガスを効率的に吸引して外部に排出することができると共に、アウトガスに含まれる異物を濾し取って、周囲への付着を防止することができる。
【0091】
加熱管21が、閉ざされた搬送テープ5の加熱空間を形成するため、搬送テープ5の樹脂4を効率的に熱処理することができる。
【0092】
保温筒30が、その内部に加熱板32を収納されて2つの部屋に分割されて加熱室30Eと予熱室30Fを形成しているため、予熱室30Fで暖められた空気が加熱室30Eに流入して、これまで外部に放出していた加熱板32から予熱室30F側に伝わる熱を効率的に使うことができ、熱効率が向上する。
【0093】
加熱板32が、輻射熱で搬送テープ5を加熱するため、熱伝導による加熱と相まって、効率的に搬送テープ5の樹脂4を加熱することができる。
【0094】
炉体2の正面扉71を、扉板72と、水平スライド機構73と、垂直スライド機構74とから構成して、炉体2の前面に僅かに扉板72を引き出して下方へずらすため、省スペースでかつ重心の移動も少なく、安定して開閉することができる。
【0095】
以上の各構成要素の組み合わせによって、全体として樹脂硬化処理の作業性を大幅に向上させることができる。
【0096】
[変形例]
(1)前記各実施形態では、テープ支持用突部39Cを設けて、搬送テープ5を点接触で支持するようにしたが、テープ支持用突部39Cの代わりに、下板39の長手方向に凸条を設けて、搬送テープ5を線接触で支持するようにしてもよい。小さい接触面積で搬送テープ5を支持できれば、摩擦抵抗が小さくなって、搬送テープ5をスムーズに搬送することができる。
【0097】
(2)前記実施形態では、張力設定部57をおもり61を用いて構成したが、スプリング等の他の付勢手段を用いても良い。例えば、図10に示すように、揺動棒部54をスプリング81で付勢しても良い。これにより、搬送テープ5に常に一定のテンションをかけることができる。揺動棒部54に紐をつけ、この紐をプーリで垂下したおもりで引っ張って一定のテンションをかけるようにしてもよい。
【0098】
(3)前記実施形態では、テープ用レール部31を、狭幅テープ用レール部36と広幅テープ用レール部37の2段構造にしたが、狭い幅のテープ及び広い幅のテープに対応するレール部を3段以上積層して構成してもよい。使用する搬送テープ5の種類に応じて3段以上積層しておけば、部品交換をしなくて、全ての搬送テープ5に対応することができ、作業性が大幅に向上する。
【0099】
(4)前記実施形態では、テープ支持用突部39Cを用いて搬送テープ5を支持したが、図11に示すように、ボールチェーンレール82を設けても良い。このボールチェーンレール82は、ボール支持板83にその全長に亘ってボール84をチェーン状に複数配設して構成されている。これによっても、搬送テープ5を点接触で支持することができ、小さい摩擦抵抗で、搬送テープ5をスムーズに搬送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、帯状の搬送テープ上の樹脂を加熱して硬化させる樹脂硬化装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1:筐体、2:炉体、3:素子、4:樹脂、5:搬送テープ、6:テープ入口、7,8:反転ローラ、9:テープ出口、21:加熱管、22:最下段水平管部、23:下部接続部、24:中段水平管部、25:上部接続部、26:上段水平管部、30:保温筒、31:テープ用レール部、32:加熱板、33:引出用レール、34:フィルタ、36:狭幅テープ用レール部、37:広幅テープ用レール部、38:レール部間スペーサ、39:下板、39A:水平板部、39B:傾斜板部、39C:テープ支持用突部、40:上板、41:スペーサ、43:下板、44:上板、45:スペーサ、46:通しボルト、51:反転ローラ、52:保温カバー、54:揺動棒部、55:下側ローラ部、56:上側ローラ部、57:張力設定部、58:回転軸、60:支持棒部、61:おもり、63:保温筒、64:テープ用レール部、71:正面扉、72:扉板、73:水平スライド機構、74:垂直スライド機構、76:水平スライド棒、77:水平スライド支持ブロック、78:垂直スライド棒、79:垂直スライドブロック、81:スプリング、82:ボールチェーンレール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する炉体を有する樹脂硬化装置において、
前記炉体のテープ入口とテープ出口とを連通する加熱管を備え、
当該加熱管が、前記炉体内に挿入された搬送テープ上の樹脂を加熱処理する複数の水平管部と、隣接する2つの水平管部に接続されて前記搬送テープを折り返す接続部とを備え、
当該接続部が、一方の水平管部からの搬送テープを掛け渡して反転させるローラ部と、当該ローラ部に振り子の原理で一定の付勢力をかけて搬送テープに設定値の張力をかける張力設定部とを備えたことを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂硬化装置において、
前記ローラ部が揺動棒部に支持され、
前記張力設定部が、前記揺動棒部を直接回動させる支持棒部と、当該支持棒部に垂下されて前記揺動棒部を回動方向に付勢して前記搬送テープに一定の張力をかけるおもりとを備えて構成されたことを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂硬化装置において、
前記おもりが、前記搬送テープにかける張力の大きさに合わせた重さに調整されることを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項4】
請求項2に記載の樹脂硬化装置において、
前記揺動棒部が、その基端部を回動可能に支持されて、前記おもりによって前記揺動棒部が基端部を中心に回動して前記搬送テープに一定の張力をかけることを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂硬化装置において、
前記張力設定部が、前記揺動棒部を直接回動方向に付勢して前記搬送テープに一定の張力をかけるスプリングを備えて構成されたことを特徴とする樹脂硬化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−240983(P2010−240983A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92326(P2009−92326)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(390031037)日本フェンオール株式会社 (33)
【Fターム(参考)】