説明

樹脂組成物

【課題】
熱硬化性・UV硬化性樹脂組成物の最適化により、耐擦傷性、表面硬度、高屈折率性、およびメガネレンズ成形品への密着性に優れたメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】
フルオレン骨格を有する化合物と、フルオレン骨格を有さないアクリレートと、粒子状金属酸化物と、光重合開始剤とを含有してなるメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物である。また、前記の粒子状金属酸化物の平均粒子径が1〜100nmである上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物に関し、さらに詳細には、メガネレンズの一部または全面を被覆することで、メガネレンズに優れたハードコート性を与える樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有する化合物は、光学特性や耐熱性などにおいて優れた機能を発揮する物質である。例えば、特開2005−162785号公報にはフルオレン骨格を有する化合物と熱可塑性樹脂とで構成された樹脂組成物が記載されている。また、フルオレン骨格を有する化合物をプラスチックレンズ成形品そのものの材料とすることも知られている(特開平11−183709号公報)。
しかし、メガネレンズのハードコート性(耐擦傷性)を高めるべく、メガネレンズ表面を被覆するハードコート材の用途では、フルオレン骨格を有する化合物の好適な化学構造や相補的に機能する化合物の選定が明確ではなかった。特に、熱硬化性樹脂やUV硬化性樹脂を用いたメガネレンズ用ハードコート材において、この傾向は顕著であった。例えば、特開2003−206363号公報でハードコート材を被覆したメガネレンズが記載されているが、当該公報にはフルオレン骨格を有する化合物の好適な構造については記載が無い。
さらに、従来のメガネレンズ用ハードコート材においては、ハードコート性、高い光学特性(高屈折率)およびメガネレンズ成形品への密着性などが十分ではなかった。
【特許文献1】特開2005−162785号公報
【特許文献2】特開平11−183709号公報
【特許文献3】特開2003−206363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、フルオレン骨格を有する化合物などを含有する熱硬化性・UV硬化性樹脂組成物を最適化することで、耐擦傷性、表面硬度、高屈折率性、メガネレンズ成形品への密着性に優れたメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物を見出した。本発明はこうした知見に基づき、メガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、フルオレン骨格を有する化合物と、フルオレン骨格を有さないアクリレートと、粒子状金属酸化物と、光重合開始剤とを含有してなるメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物に関する。
また、固形分の全量を基準として、前記のフルオレン骨格を有さないアクリレートが1〜80重量%、前記のフルオレン骨格を有する化合物が1〜80重量%、粒子状金属酸化物が10〜80重量%、光重合開始剤が1〜20重量%で含有される上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。
次に、前記のフルオレン骨格を有する化合物が、下記式(1)で示される化合物である上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。
式(1)
【化1】



(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に非反応性基または反応性基を示す。ただし、R1
〜R4のいずれかは反応性基であるものとする。k1およびk2はそれぞれ独立に1〜5の整数を示し、k3およびk4はそれぞれ独立に0または1〜5の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ独立に0または1〜4の整数を示す。)
さらに、式(1)で示される化合物において、R1〜R4のいずれかが、アクリロイル基、エーテル基、モルホリン基、アミノ基、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる置換基を少なくとも1つ有することを特徴とする上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。
【0005】
次に、前記の粒子状金属酸化物の平均粒子径が1〜100nmである上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。さらに、前記の粒子状金属酸化物が五酸化アンチモンである上記のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物が好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以下の効果を奏する。
(A) 本発明の樹脂組成物をメガネレンズに被覆することで、ハードコート性、耐擦傷性、表面硬度、高屈折率性およびメガネレンズ成形品への密着性を高める。
(B) 特に、超高屈折率型プラスチックメガネレンズや高屈折率型メガネレンズにおいて、上記(A)の効果を顕著に発揮する。
(C) UV硬化性樹脂を使用することでメガネレンズの被覆工程を短縮し、作業性や経済性を向上できる。
(D) メガネレンズの軽量化や装着性向上に寄与し、ファッション性やデザインの自由度を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物は、メガネレンズの一部または全面に被覆することで、メガネレンズにハードコート性を与える樹脂組成物である。
ハードコート性とは、メガネレンズ成形体の表面硬度を補い、耐擦傷性を向上せしめる性質をいう。本発明の樹脂組成物によってメガネレンズ成形品よりも高硬度な被膜を付与することとなる。
さらに、該樹脂組成物は、高屈折率性やメガネレンズ成形品への密着性にも優れている。
【0008】
メガネレンズには、矯正用レンズやサングラス用レンズがある。矯正用レンズとしては、ガラスレンズ、超高屈折率プラスチックレンズ、高屈折率プラスチックレンズおよび低屈折率プラスチックレンズなどがある。本発明においては、超高屈折率プラスチックレンズおよび高屈折率プラスチックレンズが好ましい。
【0009】
本発明のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物は、フルオレン骨格を有する化合物と、フルオレン骨格を有さないアクリレートと、粒子状金属酸化物と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明を構成するフルオレン骨格を有する化合物は、下記式(1)で示される。
式(1)
【化2】



(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に非反応性基または反応性基を示す。ただし、R1
〜R4のいずれかは反応性基であるものとする。k1およびk2はそれぞれ独立に1〜5の整数を示し、k3およびk4はそれぞれ独立に0または1〜5の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ独立に0または1〜4の整数を示す。)
【0011】
フルオレン骨格を有する化合物の具体例としては、フルオレン、フルオレノン、2−アセトアミドフルオレン、2−アセチルフルオレン、2−アミノフルオレン、9−ブロモフルオレン、9−ブロモ−9−フェニルフルオレン、2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジ(アセトアミド)フルオレン、2,7−ジアセチルフルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどがある。
【0012】

式(1)の非反応性基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などの炭素数5〜10のシクロアルキル基、好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基、さらに好ましくは炭素数5〜6のシクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)などの炭素数6〜10のアリール基、好ましくは炭素数6〜8のアリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などの炭素数6〜10のアリール−アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基など);アシル基(アセチル基などの炭素数1〜6のアシル基);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などの炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基);N,N−二置換アミノ基[例えば、炭化水素基で置換されたアミノ基(ジメチルアミノ基などのN,N−ジアルキルアミノ基(炭素数1〜6)など)];ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。
【0013】
式(1)の反応性基としては、例えば、活性水素を含有する基(活性水素含有基)、この活性水素含有基を通じて得られる基などが挙げられる。活性水素含有基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、N−モノ置換アミノ基(例えば、炭化水素基で置換されたアミノ基[メチルアミノ基などのN−モノアルキルアミノ基(炭素数1〜6)など])、カルボキシル基などが挙げられ、ヒドロキシル基、アミノ基、又はN−モノ置換アミノ基が好ましい。特に、ヒドロキシル基またはアミノ基が好ましい。
【0014】
活性水素含有基を通じて得られる基としては、前記活性水素含有基(特に、ヒドロキシル基、アミノ基)の活性水素を通じて得られる基が挙げられる。このような基としては、特に限定されないが、ヒドロキシル基又はアミノ基の活性水素を通じて得られる基、例えば、−[X−(R13−O)n−Y](式中、R13は、アルキレン基であり、基Xは、酸素原子(エーテル基)又はイミノ基であり、Yは水素原子、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基であり、nは0又は1以上の整数を示す。ただし、nが0であるとき、Yは水素原子でない)などが挙げられる。
【0015】
式(1)のR5および/またはR6は、アルキレン基であることが好ましい。アルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜4のアルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、炭素数2〜3のアルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。なお、R5は、対応する活性水素含有基R1(又はR2〜R4)において、同一又は互いに異なるアルキレン基であってもよいが、通常、同一である。
【0016】
アルキレンオキシ単位の置換数(又は付加数)nは、同一又は異なって、0又は1〜15程度の範囲から選択でき、例えば、0又は1〜12、好ましくは0又は1〜8、さらに好ましくは0又は1〜6、特に0又は1〜4程度であってもよい。なお、nが2以上の場合、ポリアルコキシ基(ポリアルキレンオキシ基)は、同一のアルキレン基で構成されていてもよく、異種のアルキレン基(例えば、エチレン基とプロピレン基)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のアルキレン基で構成されている場合が多い。
【0017】
式(1)で示されるフルオレン骨格を有する化合物において、R1〜R4のいずれかが反応性基であることが好ましい。特に、R1およびR3のいずれか一方と、R2およびR4のいずれか一方とが、反応性基であることが多い。また式(1)のR1〜R4のいずれかが、アクリロイル基、エーテル基、モルホリン基、アミノ基、水酸基およびカルボキシル基を有することが好ましい。
【0018】
式(1)で示される具体的なフルオレン化合物には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類又はその誘導体、9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類又はその誘導体などが含まれる。
式(1)の9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、多価フェノールのフルオレン、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類[特に、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類[特に、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン]などが例示できる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類の誘導体としては、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類又はそのアルキレンオキシド付加体のグリシジルエーテル、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類又はそのアルキレンオキシド付加体の(メタ)アクリレートなどがある。
【0019】
9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類又はその誘導体9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応する化合物、すなわち、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類のヒドロキシル基が、アミノ基又はN−置換アミノ基である化合物などである。
また、9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類の誘導体としては、上記9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体、このアルキレンオキシド付加体のグリシジルエーテルおよび前記アルキレンオキシド付加体の(メタ)アクリレートなどが含まれる。
【0020】
これらのフルオレン骨格を有する化合物は、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ、エポキシアクリレートまたはビニルエーテルなどの骨格を有して、UV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂として用いられる。
なお、式(1)で示すフルオレン骨格を有する化合物については、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報、特開平2005−162785号公報に詳しい。
【0021】
また、フルオレン骨格を有する化合物には、下記式(2)で表される化合物などがある。
式(2)
【化3】



(式中、R7〜R10は、それぞれ独立に炭素数1〜6の置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していても芳香族基を示す。R11およびR12は、それぞれ独立に反応性基または非反応性基とする。ただし、R11およびR12のいずれかは反応性基であるものとする。)

式(2)中のnは、1以上の整数を示す。特にnは、1〜10の整数が好ましく、1〜3の整数が好ましい。nが1〜3のとき式(2)で表されるフルオレン骨格を有する化合物はモノマーまたはオリゴマーとなる。
【0022】
R7〜R10は、それぞれ独立に炭素数1〜6の置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していても芳香族基を示す。
【0023】
R11およびR12は、それぞれ独立に反応性基または非反応性基を示す。ただし、R11およびR12のいずれかは反応性基であるものとする。
式(2)中の反応性基および非反応性基は、前記の式(1)における反応性基および比反応性基と同様である。R11およびR12の双方または一方が、アクリロイル基を有することが好ましい。
【0024】
フルオレン骨格は芳香族環を中心に構成されるため屈折率が高く、特にカルド構造は芳香族環を多数有する為に高い屈折率を比較的容易に得ることが出来る。
また、カルド構造は立体障害のために、フルオレン骨格部分と主鎖方向がねじれ位置関係となり、中心の炭素原子部の結合角の自由度が高くなる。通常、電子線や紫外線等の活性エネルギー線による硬化では、急激な反応による体積収縮から生じる内部歪みが基材とハードコート間の剥離のエネルギーになるとされているが、結合角の自由度が剥離エネルギーを吸収、或いは解放する事に役立っていると考えられる。本発明のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物において、こうした知見によりハードコート/基材(メガネレンズ用成形体)間の接着性を向上させていると推測される。
本発明では、これらのカルド構造に更に極性の高い水酸基、カルボキシル基やアミノ基などを導入し基材との接着性を向上させている。また、アクリロイル基を導入し紫外線もしくは電子線による反応性を付与する事も有益である。
【0025】
本発明を構成するフルオレン骨格を有さないアクリレートは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化してハードコート皮膜を形成し、ハードコート性、スチールウール等に対する耐擦傷性、高温度、高湿度等に対する耐性を付与し、更にはハードコート皮膜の屈折率をコントロールする。
これらに使用されるアクリレートとしてはアルキル系(メタ)アクリレート、アルキレングリコール系(メタ)アクリレート、カルボキシル基と不飽和二重結合とを有する化合物、水酸基を有する(メタ)アクリル系化合物、窒素含有(メタ)アクリル系化合物などがある。更にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のアクリル系オリゴマーが使用出来る。また、単官能および/または多官能のアクリレートを適宜使用することができる。
【0026】
このような(メタ)アクリレート化合物として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシ]フェニル]プロパン、1,6−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−ヘキサンジオール等の2官能(メタ)アクリレート、若しくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス[(メタ)アクリロキシエチル]等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
ウレタンアクリレートとしては、一般的な芳香族系或いは脂肪族系のウレタン(メタ)アクリレートが上げられる。一例を挙げると、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の(メタ)アクリレートが有る。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては一般的な芳香族系或いは脂肪族系のエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。一例を挙げると、ビスフェノールAエポキシ、ビスフェノールFエポキシ、ノボラックエポキシ、リン酸系エポキシ等の(メタ)アクリレートが有る。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては一般的なポリエステル(メタ)アクリレートの他、脂肪酸変性タイプ、塩素化ポリエステル等が有る。
その他の一般的な(メタ)アクリル系オリゴマーも使用することが出来る。一例を挙げると、変性ポリエーテル(メタ)アクリレート、アミン変性(メタ)アクリレート、更にはアルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーが使用できる。
【0028】
本発明を構成する粒子状金属酸化物について説明する。粒子状金属酸化物は、ハードコート性を有する被膜の耐擦傷性向上、屈折率のコントロール、耐熱性向上などの目的に使用される。
粒子状金属酸化物としては、フッ化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、酸化セリウム、ジルコニア、五酸化アンチモン、アルミナなどがある。なかでも五酸化アンチモンが好ましい。また、これらを単独または併用で含有しても良い。
これらの粒子状金属酸化物は、被膜の透明性を損なわないものであれば状態を限定されることはない。ただし、作業性、透明性および本発明の目的の点からはコロイド状に分散したゾルが好ましい。
【0029】
本発明を構成する粒子状金属酸化物の配合量は、ハードコート性樹脂組成物の固形分の全量を基準として、10〜80重量%の範囲内であることが好ましい。粒子状金属酸化物の配合量が10重量%未満の場合には、ハードコート性を有する被膜の硬度向上、屈折率のコントロール、耐熱性向上などの効果が少なくなり、80重量%を超える場合にはハードコート層の成膜性の低下等を生じる。
【0030】
本発明を構成する粒子状金属酸化物の粒子径は1〜100nmが好ましい。これらの粒子径は、例えば動的光散乱式粒径分布測定装置、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置、DMA(Differential Mobility Analyzer)等で測定する事が出来る。粒子径が100nmを超えると透過、反射光の散乱が増大し、濁度(ヘイズ)が上昇するため好ましくない。さらには粒子径が、1〜50nmの範囲であることが好ましい。
【0031】
次に、本発明を構成する光重合開始剤について説明する。ハードコート層を紫外線により硬化させる場合は、光重合開始剤を加える。
光重合開始剤としては、光励起によってビニル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物などが使用できる。
【0032】
具体的にはモノカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル−エネタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシエチル)メタアンモニウム蓚酸塩、2−/4−イソ−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9Hチオキサントン−2−イロキシ−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、ベンゾイルメチレン−3−メチルナフト(1,2−d)チアゾリンなどが挙げられる。
【0033】
ジカルボニル化合物としては、1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2,1,1]ヘプタン−2,3−ジオン、ベンザイル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート、4−フェニルベンザイルなどが挙げられる。
【0034】
アセトフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−スチリルプロパン−1−オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、1−フェニル−1,2プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノ−プロパノニル)−9−ブチルカルバゾールなどが挙げられる。
【0035】
ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、などが挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−n−プロピルフェニル−ジ(2,6−ジクロロベンゾイル)ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
アミノカルボニル化合物としては、メチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート2−nブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアミル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、4,4’−ビス−4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス−4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,5’−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノンなどが挙げられる。
【0036】
本発明を構成する光重合開始剤は上記化合物に限定されず、紫外線により重合を開始させる能力があればどのようなものでも構わない。これらは単独または併用して用いることができる。
光重合開始剤の使用量は特に制限されないが、被硬化物の固形分の全量を基準として1〜20重量%の範囲内で使用することが好ましい。
また、増感剤として公知の有機アミンなどを加えることもできる。
【0037】
また、必要に応じて溶剤染料、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フィラーなど様々な添加剤を添加することができる。
なお、ハードコート性樹脂組成物は必要に応じて溶剤を加えても良い。使用される溶剤としては、様々な公知の有機溶剤を用いることができる。例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、メトキシブタノール、ブチルセロソルブ等のエーテル系、エタノール、イソプロピルアルコール、nブチルアルコール等のアルコール系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル系等である。これらは単独または併用で含めることが出来る。
そして溶剤を添加した際には、硬化処理の前にオーブン等にて溶剤を揮発させる事が好ましい。
【0038】
本発明のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物において、固形分の全部量を基準として、前記のフルオレン骨格を有さないアクリレートが1〜80重量%、前記のフルオレン骨格を有する化合物が1〜80重量%、粒子状金属酸化物が10〜80重量%、光重合開始剤が1〜20重量%で含有されることが好ましい。
【0039】
フルオレン骨格を有さないアクリレートとフルオレン骨格を有する化合物、更に粒子状金属酸化物の比率は、要求性能によって好適な比率が決定される。一般的にはフルオレン骨格を有さないアクリレートによって皮膜硬度を向上させ、フルオレン骨格を有する化合物によって接着性と屈折率を向上させる。更に粒子状金属酸化物は皮膜硬度と屈折率を向上させるが、過剰量の使用は被膜をもろくし、又均一な塗膜形成を阻害し、透明性も劣化させる。
したがって、本発明のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物には、前記のフルオレン骨格を有さないアクリレートが1〜80重量%、前記のフルオレン骨格を有する化合物が1〜80重量%、粒子状金属酸化物が10〜80重量%で含有されることが好ましい。
光重合開始剤の使用する最適量は、組み合わせる組成、紫外線照射量によって変動するが、被硬化物の固形分に対して1〜20重量%の範囲内で使用することが好ましい。1重量%未満では硬化反応が進まず、また、20重量%を超えると残留未反応物が増加する傾向にあるため、いずれの場合もハードコート皮膜の硬度が低下する可能性が有る。
【0040】
本発明のプラスチック成形品とは、ハードコート性樹脂組成物を被覆する前のメガネレンズをいう。このメガネレンズはガラスレンズやプラスチックレンズがあるが、安全性や軽量化を考慮すると、プラスチック成形体からなる樹脂性レンズが好ましい。
メガネレンズ用樹脂製レンズは、(ジエチレングリコールビスアクリルカーボネート)CR−39、アクリル(ハロゲン原子含有ビスフェノールA系、硫黄原子含有系など)、ポリウレタン、チオウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレートなどの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を材料として実用化されている。特にポリカーボネートのような熱可塑性樹脂が経済性や成形性の点で好ましい。また、屈折率が1.60を超える高屈折率レンズには熱可塑性樹脂で対応することが困難な為、熱硬化型が好適に使用される。
成形方法については公知の方法を用いてよい。例えば、上記の熱可塑性樹脂を熱成形し、研削することで任意の形状のメガネレンズ成形品を得ることができる。
或いは液状原料を型の中に注入し熱硬化する注型法が選択される。注型法は熱硬化による架橋反応の結果、物理的・化学的強度に優れたレンズを得ることが出来る。又、長時間かけて反応、冷却させるため生産性は劣るものの、重合歪みが少なく、光学歪みの少ないレンズが得られる利点もある。
【0041】
メガネレンズ成形品に対するハードコート性樹脂組成物の被覆について説明する。被覆・塗布方法としては公知のコーティング作業で用いられる方法を使用できる。例えば、浸漬塗装法、流し塗り法、スピンコート法などが好ましい。
上記いずれの方法でコートした場合でも望ましいコーティング膜厚にコントロールする必要がある。ハードコートとして好ましい膜厚は1〜10μmである。膜厚をコントロールする方法としては、例えばスピンコート法の場合、スピンコートの回転速度と回転時間、ハードコート性樹脂組成物の粘度、或いは希釈溶剤の種類と固形分%、更に温度などを考慮して決定しなくてはならない。
ハードコート性樹脂組成物が溶剤を含む場合には、被覆後に温風乾燥を行う。温風温度はコートされるレンズの熱変形を防止するためにレンズ温度が温風によってガラス転移点を超えない事が重要であり120℃以下が好ましい。従って温度による乾燥よりは風量による乾燥を優先させる事が好ましい。
乾燥後、ハードコート性樹脂組成物に紫外線を照射し硬化させる。
紫外線による硬化は熱硬化と比較して、短時間でしかも低温で硬化する等の優位点があり、特に高温に弱いプラスチックレンズ等には好適である。
照射する紫外線の光量は紫外線積算光量系にて測定され、ハードコート性樹脂組成物によって異なるが、好ましい光量は50〜1000mJ/cmである。照射エネルギーが過剰になるとハードコート塗膜やレンズの黄変を招く事がある。一方、照射エネルギーの不足は十分なハードコート性を得ることが出来ない。
ハードコート被膜とレンズの屈折率に差が有ると、光の干渉縞が発生してレンズの外観を損ない商品価値が低下する為、ハードコート被膜の屈折率はレンズに近いほど好ましい。
なお、ハードコート層は非常に堅い皮膜となるので、レンズの耐衝撃性、破損防止の為にレンズとハードコート層の間に柔軟な衝撃緩衝層を設けても良い。
メガネレンズ成形品を被覆する範囲については用途に応じて決定でき、一部あるいは全面を被覆してもよい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0043】
合成例1
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコに9、9−Bis(3,4−dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride(JFEケミカル株式会社製、商品名 BPAF)100.0g、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン0.08g(和光純薬
工業株式会社製)、シクロヘキサノン100.4gを仕込み85℃まで昇温した。次いで触媒として1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃で5時間撹拌し、スチレンオキサイド(ダイセル化学株式会社製、商品名 STO)52.4g、シクロヘキサノン33.4gを加え、次いで触媒として、ジメチルベンジルアミン(和光純薬株式会社製)1.21gを加え、85℃で6時間撹拌し、室温まで冷却して反応を終了した。この反応溶液は淡黄色透明で固形分60%、数平均分子量(MN)690、重量平均分子量(MW)1,100であった。
【0044】
合成例2
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコに9、9−Bis(3,4−dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride(JFEケミカル株式会社製、商品名 BPAF)100.0g、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン0.08g(和光純薬工業株式会社製)、シクロヘキサノン100.4gを仕込み85℃まで昇温した。次いで触媒として1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃で5時間撹拌し、Phenyl Glycidyl Ether(ナガセケムテックス株式会社製、商品名 EX−141)65.5g、シクロヘキサノン42.1gを加え、次いで触媒として、ジメチルベンジルアミン(和光純薬株式会社製)1.21gを加え、85℃で6時間撹拌し、室温まで冷却して反応を終了した。この反応溶液は淡黄色透明で固形分60%、数平均分子量(MN)750、重量平均分子量(MW)1,000であった。
【0045】
合成例3
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコに9、9−Bis(3,4−dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride(JFEケミカル株式会社製、商品名 BPAF)100.0g、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン0.08g(和光純薬工業株式会社製)、シクロヘキサノン100.4gを仕込み85℃まで昇温した。次いで触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃で5時間撹拌し、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(三光株式会社製 商品名 OPP-G)129.5g、シクロヘキサノン84.8gを加え、次いで触媒として、ジメチルベンジルアミン(和光純薬株式会社製)1.21gを加え、85℃で6時間撹拌し、室温まで冷却して反応を終了した。この反応溶液は淡黄色透明で固形分60%、数平均分子量(MN)960、重量平均分子量(MW)1,200であった。
得られた合成物の屈折率、鉛筆硬度を表1に示す。
【表1】

【0046】
表2の組成に従って、実施例1〜3および比較例1〜3の樹脂組成物を作製し、以下の方法でコーティングし、ハードコート性、屈折率測定、成形品への密着性を試験した。
【0047】
「コーティング方法」
(スピンコート条件)
試験用ハードコート液2ccをポリカーボネート板の中心部付近に滴下し、直ぐに2000rpmで30秒間回転させ、均一にコートする。
(乾燥条件)
次にコート済み板を80℃で1分間オーブンに入れ乾燥させる。
(紫外線硬化条件)
次に乾燥済み板に紫外線照射しハードコートを硬化させる。
紫外線照射条件は、高圧水銀ランプにて、積算光量300mJ/cmとする。
【0048】
「ハードコート性試験」
上記のハードコート済みポリカーボネート板を用いて試験した。
(耐擦傷性)
スチールウール#0000、荷重1.5kg、5往復の条件にてハードコート面をこすり、評価する。傷が全く無い物を○、5本程度を△、それ以上を×と評価する。
(密着性)
ハードコート面にカッターにて1mm間隔で10×10の碁盤目状にカットを入れ、その部分をセロハンテープにて剥離試験を行う。
評価は、剥離部分の数/100で表示する。
【0049】
「屈折率測定」
PETフィルム上にハードコートとして膜厚5〜7μmになるようにコートし、前記乾燥、硬化条件にてサンプルを作成する。屈折率は25℃、湿度60%の環境にてアッベの屈折率計で測定する。
【0050】
【表2】

【0051】
実施例1〜3および比較例1〜3の屈折率、ハードコート性(耐擦傷性、密着性)の結果を表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオレン骨格を有する化合物と、フルオレン骨格を有さないアクリレートと、粒子状金属酸化物と、光重合開始剤とを含有してなるメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。
【請求項2】
固形分の全量を基準として、前記のフルオレン骨格を有さないアクリレートが1〜80重量%、前記のフルオレン骨格を有する化合物が1〜80重量%、粒子状金属酸化物が10〜80重量%、光重合開始剤が1〜20重量%で含有されることを特徴とする請求項1記載のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。
【請求項3】
前記のフルオレン骨格を有する化合物が、下記式(1)で示される化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。
式(1)
【化1】



(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に非反応性基または反応性基を示す。ただし、R1
〜R4のいずれかは反応性基であるものとする。k1およびk2はそれぞれ独立に1〜5の整数を示し、k3およびk4はそれぞれ独立に0または1〜5の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ独立に0または1〜4の整数を示す。)
【請求項4】
式(1)で示される化合物において、R1〜R4のいずれかが、アクリロイル基、エーテル基、モルホリン基、アミノ基、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる置換基を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。
【請求項5】
前記の粒子状金属酸化物の平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。
【請求項6】
前記の粒子状金属酸化物が五酸化アンチモンであることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載のメガネレンズ用ハードコート性樹脂組成物。


【公開番号】特開2009−133880(P2009−133880A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65682(P2006−65682)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】