説明

樹脂製チューブ及び挿入マーク形成装置

【課題】継手の挿入口に完全に挿入することが可能な樹脂製チューブを提供する。
【解決手段】樹脂製チューブ20を連結する継手2に形成された挿入口19に樹脂製チューブ20を適正に挿入可能な樹脂製チューブ20であって、該継手2の挿入口19に挿入すべき深さに対応した該樹脂製チューブ20の先端からの位置に挿入マーク30が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手に着脱自在に挿入される樹脂製チューブ及び該樹脂製チューブの所定位置に挿入マークを形成する挿入マーク形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚みに形成された後、ダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
研削装置はウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに研削水を供給しながらウエーハを研削する研削手段と、チャックテーブルにウエーハを搬送する搬送手段と、チャックテーブルから研削済みのウエーハを搬出する搬出手段と、搬出されたウエーハに洗浄水を供給して洗浄する洗浄手段とから概ね構成されていて、ウエーハを所望の厚みに加工することができる。
【0004】
また、ダイシング装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハに切削水を供給しながらウエーハを切削する切削手段と、チャックテーブルにウエーハを搬送する搬送手段と、チャックテーブルから切削済みのウエーハを搬出する搬出手段と、搬出されたウエーハに洗浄水を供給して洗浄する洗浄手段とから概ね形成されていて、ウエーハを個々のデバイスに高精度に分割することができる。
【0005】
このような研削装置、ダイシング装置等の加工装置には、所要箇所にエアを供給するエア配管、所要箇所に水を供給する水配管、所要箇所に吸引力を伝達する吸引配管等が張り巡らされており、これらの配管は主に樹脂製チューブから形成されている(例えば、特開平1−205950号公報及び特開昭55−112761号公報参照)。
【0006】
これらの樹脂製チューブは水、エア等の流体の漏れを防止するためにシール性をもって継手に連結され、複数の樹脂製チューブを継手を介して接続することにより、必要長さの配管が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−205950号公報
【特許文献2】特開昭55−112761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、装置を組み立てる際に数多くの樹脂製チューブを継手を介して接続する必要があるが、継手の挿入口に樹脂製チューブが不完全に挿入されるとシール性が低下して、エア漏れ、水漏れ等の流体の漏れが生じるという問題がある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、継手の挿入口に完全に挿入可能な樹脂製チューブ及び該樹脂製チューブの所定位置に挿入マークを形成可能な挿入マーク形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明によると、樹脂製チューブを連結する継手に形成された挿入口に樹脂製チューブを適正に挿入可能な樹脂製チューブであって、該継手の挿入口に挿入すべき深さに対応した該樹脂製チューブの先端からの位置に挿入マークが形成されていることを特徴とする樹脂製チューブが形成される。
【0011】
請求項2記載の発明によると、樹脂製チューブを連結する継手に形成された挿入口に樹脂製チューブを適正な深さで挿入可能な挿入マークを形成する挿入マーク形成装置であって、該継手の挿入口に挿入すべき深さに対応した深さと該樹脂製チューブが挿入可能な直径を有する挿入穴を備えた補助治具と、該補助治具の該挿入穴中に挿入された該樹脂製チューブに対して該挿入穴の開口位置で挿入マークを形成するマーク形成手段と、を具備したことを特徴とする挿入マーク形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂製チューブによると、継手の挿入口に挿入すべき深さに対応した樹脂製チューブの先端からの位置に挿入マークが形成されているので、挿入マークが形成されている深さまで継手の挿入口に樹脂製チューブを挿入すれば、確実に樹脂製チューブが継手に挿入されて水、エア等の流体の漏れを防止することができる。
【0013】
また、所定深さの挿入穴を有する補助治具及びマーク形成手段とから構成される挿入マーク形成装置によると、樹脂製チューブの適正な位置に挿入マークを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】樹脂製チューブが挿入された継手の断面図である。
【図2】挿入マーク形成装置の説明図である。
【図3】図3(A)は樹脂製チューブを継手に挿入する様子を示す斜視図、図3(B)は樹脂製チューブが継手に挿入された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、樹脂製チューブが挿入された継手の断面図が示されている。継手2は該略直角に曲げられたボディ4と、ボディ4の一端部4aに回転可能に装着されたねじ7を有する打込みハーフ6を含んでいる。ボディ4と打込みハーフ6との間にはOリング8が介装されている。
【0016】
ボディ4の他端部4bにはパッキン10と、コレット12と、チャック(ロック爪)14と、ガイドリング16と、リリースブッシュ18が配設されており、樹脂製チューブ20が継手2の挿入口19にいっぱいに挿入されて、その先端20aがボディ4の段差部5に当接している。
【0017】
このように、先端20aがボディ4の段差部5に当接するまで樹脂製チューブ20が継手2の挿入口19にいっぱいに挿入された状態では、パッキン10により継手2のシールが確実に達成される。この状態では、コレット14の作用によりチャック12が樹脂製チューブ20の外周に確実に食いついているため、樹脂製チューブ20を継手2から引き抜くことはできない。
【0018】
樹脂製チューブ20を継手2から引き抜くためには、リリースブッシュ18を右方向に引張り、チャック12の食いつきを解放する。これにより、樹脂製チューブ20を継手2から引き抜くことができる。
【0019】
上述したように、樹脂製チューブ20を継手2の挿入口19内に完全に挿入すると、継手2のシール機能が十分達成されるが、樹脂製チューブ20が継手2の挿入口19に不完全に挿入された場合には、パッキン10が樹脂製チューブ20の外周に完全に当接せずに、継手2のシール機能が低下する場合がある。本発明はこのような樹脂製チューブ20の不完全挿入を防止するためになされたもので、以下図2及び図3を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0020】
まず、図2を参照して、挿入マーク形成装置22について説明する。挿入マーク形成装置22は、継手2の挿入口19に挿入すべき深さに対応した深さと、樹脂製チューブ20が挿入可能な直径を有する挿入穴26を備えた補助治具24を含んでいる。
【0021】
図2(A)に示すように、樹脂製チューブ20を補助治具24の挿入穴26中に矢印Aで示すようにいっぱいに(挿入穴26の底に当接するまで)挿入する。この状態で、マジックインキ等の挿入マーク形成手段28により、挿入穴26の開口26aの位置で樹脂製チューブ20に挿入マーク30を書き込む。
【0022】
このように挿入マーク30の形成された樹脂製チューブ20を補助治具24から引き抜き、図3(A)に示すように、樹脂製チューブ20を矢印A方向に継手2Aの挿入穴19中に挿入する。
【0023】
挿入マーク30の形成位置は継手2Aに挿入すべき深さに対応しているため、図3(B)に示すように、樹脂製チューブ20を挿入マーク30の位置まで継手2Aの挿入口19に挿入することにより、樹脂製チューブ20が継手2A内に適正に挿入されたと判断することができる。尚、継手2Aの挿入口構造は図1に示した継手2の挿入口構造と同一であるものとする。
【符号の説明】
【0024】
2,2A 継手
4 ボディ
10 パッキン
12 チャック
14 コレット
16 ガイドリング
18 リリースブッシュ
19 挿入口
20 樹脂製チューブ
24 補助治具
26 挿入穴
28 挿入マーク形成手段
30 挿入マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製チューブを連結する継手に形成された挿入口に樹脂製チューブを適正に挿入可能な樹脂製チューブであって、
該継手の挿入口に挿入すべき深さに対応した該樹脂製チューブの先端からの位置に挿入マークが形成されていることを特徴とする樹脂製チューブ。
【請求項2】
樹脂製チューブを連結する継手に形成された挿入口に樹脂製チューブを適正な深さで挿入可能な挿入マークを形成する挿入マーク形成装置であって、
該継手の挿入口に挿入すべき深さに対応した深さと該樹脂製チューブが挿入可能な直径を有する挿入穴を備えた補助治具と、
該補助治具の該挿入穴中に挿入された該樹脂製チューブに対して該挿入穴の開口位置で挿入マークを形成するマーク形成手段と、
を具備したことを特徴とする挿入マーク形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−241844(P2011−241844A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111642(P2010−111642)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】