説明

樹脂製フェンダーパネルの取付構造

【課題】フェンダーパネル前部の前方、又は、フードパネルと平行な方向への変形は規制せずに、所望な方向への変形を規制する樹脂製フェンダーパネルの取付構造を提供する。
【解決手段】車両の車輪の上方に配置され、車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネル10と樹脂製フェンダーパネル10に隣接するフード34とを備えた車両の樹脂製フェンダーパネル10の取付構造であって、樹脂製フェンダーパネル10の前部を下方から支えるフェンダーパネルブラケット14を車体側に設け、フェンダーパネルブラケット14は、略水平なフェンダーパネル受け止め部15a、または、樹脂製フェンダーパネル10におけるフード34との合わせ部10aに略平行な傾斜型下支え面33aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製フェンダーパネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製のフェンダーパネルを車両組み立てラインで車体骨格と同時に塗装する際、塗装炉内の温度が高温になることから、熱によりフェンダーパネルが軟化して変形してしまう。このため、変形時の変形の方向を所望の方向に規制するために、専用のスライドクリップやワッシャー等を用いてフェンダーパネルを車体骨格に取付け、塗装炉から出て冷却された際、元の形状に収縮できるようにしている。このような技術の一例が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】実公平6−18858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フェンダーパネルの前部であってバンパフェイシャとの合い沿い部分が車体骨格から離れた位置にあったり、または、専用のスライドクリップやワッシャー等を設置するだけのスペースを確保することが困難であったりすると、専用のスライドクリップやワッシャー等を設置できない場合がある。この場合、塗装炉での加熱時にフェンダーパネルの前部が下方へと伸びて、塗装炉から出て冷却された際も自重により元の位置まで収縮することができないため、フェンダーパネル全体に歪みを生じることとなる。
【0005】
このことから、本発明は、フェンダーパネル前部の前方、又は、フードパネルと平行な方向への変形は規制せずに、所望な方向への変形は規制する樹脂製フェンダーパネルの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に対応)は、
車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、
前記下支え手段は、略水平な受け面を有し、
前記樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を
前記受け面に沿った方向には許容すると共に、前記受け面に交差する方向には、前記樹脂製フェンダーパネルを前記受け面に当接させて規制する
ことを特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に対応)は、
車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルと、
前記樹脂製フェンダーパネルに隣接するフードと
を備えた車両の樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、
前記下支え手段は、前記樹脂製フェンダーパネルにおける前記フードとの合わせ部に略平行な受け面を有し、
前記樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を
前記受け面に沿った方向には許容すると共に、前記受け面に交差する方向には、前記樹脂製フェンダーパネルを前記受け面に当接させて規制する
ことを特徴とする
【0008】
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に対応)は、第1の発明又は第2の発明に記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、前記樹脂製フェンダーパネルには、前記受け面に当接する当接部近傍に、前記樹脂製フェンダーパネルを前記下支え手段に固定する取付部が設けられることを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決するための第4の発明(請求項4に対応)は、第3の発明に記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、前記下支え手段と取付部とは、ボルトを設置するボルト設置孔を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するための第5の発明(請求項5に対応)は、第3の発明又は第4の発明に記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、前記下支え手段と前記取付部とは、塗装後に結合することを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するための第6の発明(請求項6に対応)は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかに記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、前記下支え手段は、車体骨格と一体成形されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、前記樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、前記下支え手段は、略水平な受け面を有し、前記樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を前記受け面に沿った方向には許容すると共に、前記受け面に交差する方向には、前記樹脂製フェンダーパネルを前記受け面に当接させて規制することにより、塗装時にフェンダーパネルの前部が下方に延びることを防ぐことができるため、塗装後のフェンダーパネルの変形をコントロールすることができる。
【0013】
第2の発明によれば、車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルと、樹脂製フェンダーパネルに隣接するフードとを備えた車両の樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、下支え手段は、樹脂製フェンダーパネルにおけるフードとの合わせ部に略平行な受け面を有し、樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を受け面に沿った方向には許容すると共に、受け面に交差する方向には、樹脂製フェンダーパネルを受け面に当接させて規制することにより、変形をフードとの合わせ部延在方向に促し、フード方向への変形を回避させることで、フードとの干渉を回避することができる。
【0014】
第3の発明によれば、第1の発明又は第2の発明による効果に加え、樹脂製フェンダーパネルには、受け面に当接する当接部近傍に、樹脂製フェンダーパネルを下支え手段に固定する取付部が設けられることにより、構造を簡易にすることができるため、製造コストを削減することができる。
【0015】
第4の発明によれば、第3の発明による効果に加え、下支え手段と取付部は、ボルトを設置するボルト設置孔を備えることにより、塗装時のフェンダーパネルの膨張を考慮する必要がないため、専用のスライドクリップやワッシャー等が不要となるので、コストを削減することができる。
【0016】
第5の発明によれば、第3の発明又は第4の発明による効果に加え、下支え手段と取付部とは、塗装後に結合することにより、塗装時にはフェンダーパネル前部を下方以外の方向、又は、フードパネルと平行な方向に自由に変形させて、塗装後は下支え手段と取付部とを確実に結合することができる。
【0017】
第6の発明によれば、第1の発明乃至第5の発明による効果に加え、下支え手段は、車体骨格と一体成形されることにより、下支え手段は、車体骨格との結合強度を高めることができ、また、部品点数を減らすことができるため、コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の一実施例について、図1から図5を用いて説明する。図1は実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の側面図、図2は実施例1に係るフェンダーパネルブラケットの斜視図、図3は実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のフェンダーパネル取付け前の側面図、図4は実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のエンジンルーム内から見た斜視図、図5は実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の斜視図、図6は実施例2に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の斜視図、図7は実施例2に係るフェンダーパネルブラケットの側面図、図8は実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車幅方向内側から見た斜視図、図9は実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車両前方から見た側面図である。なお、図中、Frは車両前方方向、Inは車室内方向、Upは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0019】
以下、本実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の概要について説明する。
図5に、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の側面図を示す。図5に示すように、自動車の前部側面には車体の外板をなすフェンダーパネル10が設置されている。本実施例では、フェンダーパネル10は樹脂により形成する。フェンダーパネル10の前部の下部側には、バンパフェイシャ11が取り付けられており、フェンダーパネル10の前部の上部側にはヘッドランプ12が取り付けられている。
【0020】
バンパフェイシャ11の内側には、バンパフェイシャ11を補強するバンパリンフォースメント13が設置されている。フェンダーパネル10の前部の下部は、このバンパリンフォースメント13の端部に取付けられたフェンダーパネルブラケット14により支持されている。
【0021】
また、バンパフェイシャ11の端部は、フェンダーパネルブラケット14に支持されたフェンダーパネル10の前部の下部に嵌め込まれることで、フェンダーパネル10の表面とバンパフェイシャ11の表面とは連続した面を形成している。
【0022】
次に、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の要部の構成について説明する。
図2に示すように、フェンダーパネルブラケット14には、上方に向かって折り返されたフック状の下支えフック部15が設けられている。この下支えフック部15の両側には、フェンダーパネル10とフェンダーパネルブラケット14とを結合するボルトを設置するボルト設置孔16が設けられている。
【0023】
フェンダーパネルブラケット14の下支えフック部15が設けられたフック面17の前方の面18の上部は、下支えフック15が伸びる方向とは反対側の方向に折り返されて、バンパリンフォースメント13に取り付く前部取り付け腕部19となっている。また、フック面17の下部及びの後方の面20の下部は、下支えフック15が伸びる方向とは反対側の方向に折り返されて、バンパリンフォースメント13に取り付く後部取り付け腕部21となっている。
【0024】
前部取付腕部19の後方側の端部は下方に向かって折り返され、バンパリンフォースメント13に取り付けられる際の前部取り付け部22となっている。また、後部取付腕部21の前方側の端部は下方に向かって折り返され、バンパリンフォースメント13に取り付けられる際の後部取り付け部23となっている。
本実施例では、フェンダーパネルブラケット14が、課題を解決するための手段に記載する下支え手段である。
【0025】
図3に示すように、フェンダーパネルブラケット14は、バンパリンフォースメント13の端部の上側の位置に設置される。この位置は、略ヘッドランプ12とホイルハウス28の間にあたる。
【0026】
図4に示すように、フェンダーパネルブラケット14は、前部取付腕部19と後部取付腕部21とが、バンパリンフォースメント13を挟み込むように設置される。前部取付腕部19の前部取付部22とバンパリンフォースメント13の前方を向いた側面、及び、後部取付腕部21の後部取付部23とバンパリンフォースメント13の後方を向いた側面は、溶接により結合される。
【0027】
図1に示すように、フェンダーパネル10の前部の下部には、バンパフェイシャ11の端部を嵌め込んでバンパフェイシャ11を取り付けるためのバンパフェイシャ嵌合部24が設けられている。このバンパフェイシャ嵌合部24の下部には、フェンダーブラケット14と結合する部分であるフェンダーパネルブラケット結合部25となっている。このフェンダーパネルブラケット結合部25は、フェンダーパネルブラケットと対応した形状に形成されている。
本実施例では、フェンダーパネルブラケット結合部25が課題を解決するための手段に記載する取付部である。
【0028】
フェンダーパネルブラケット結合部25の間の部分は中央が凹部26となっている。この凹部26の下端面26aは、下支えフック15の水平方向に伸びる部分であるフェンダーパネル受け止め部15aと接して受け止められている。このフェンダーパネル受け止め部15aは、フェンダーパネルブラケット結合部25の凹部26の厚みよりも車幅方向の幅が広くなっている。これにより、下支えフック15は、凹部26を余裕を持って受け止めている。
本実施例では、フェンダーパネル受け止め部15aが課題を解決するための手段に記載する受け面である。
【0029】
また、フェンダーパネルブラケット結合部25には、フェンダーパネルブラケット14とフェンダーパネルブラケット結合部25とをボルトにより結合する際、ボルトが貫通できるようにフェンダーパネルブラケット14に設けられたボルト設置孔16(図2参照)と対応する位置にボルト貫通孔27が設けられている。
【0030】
このように、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造によれば、車両の車輪の上方に配置され、車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネル10の取付構造であって、樹脂製フェンダーパネル10の前部を下方から支えるフェンダーパネルブラケット14を車体側に設け、フェンダーパネルブラケット14は、略水平なフェンダーパネル受け止め部15aを有し、樹脂製フェンダーパネル10が熱変形する方向をフェンダーパネル受け止め部15aに沿った方向には許容すると共に、フェンダーパネル受け止め部15aに交差する方向には、樹脂製フェンダーパネル10をフェンダーパネル受け止め部15aに当接させて規制することにより、塗装時にフェンダーパネル10の前部が下方に延びることを防ぐことができるため、塗装後のフェンダーパネル10の変形をコントロールすることができる。
【0031】
また、フェンダーパネルブラケット14とフェンダーパネルブラケット結合部25は、ボルトを設置するボルト設置孔を備えることにより、塗装時のフェンダーパネルの膨張を考慮する必要がないため、専用のスライドクリップやワッシャー等が不要となるので、コストを削減することができる。
【0032】
また、フェンダーパネルブラケット14とフェンダーパネルブラケット結合部25とは、塗装後に結合することにより、塗装時にはフェンダーパネル10の前部を下方以外の方向に自由に変形させて、塗装後はフェンダーパネルブラケット14とフェンダーパネルブラケット結合部25とを確実に結合することができる。
【実施例2】
【0033】
以下、本実施例2に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造について説明する。本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造は、実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のフェンダーパネルブラケット、及び、フェンダーパネルブラケット結合部の構造を変更したものである。すなわち、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造は、実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のフェンダーパネルブラケット、及び、フェンダーパネルブラケット結合部以外の構造については略同様である。
【0034】
図6に、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の斜視図である。図6に示すように、本実施例に係るフェンダーパネル10のフェンダーパネルブラケット結合部30は、実施例1に係るフェンダーパネルブラケット結合部25(図1参照)とフェンダーパネルブラケット結合部凹部26(図1参照)とが一体になった構造となっており、これを一体型フェンダーパネルブラケット結合部30と呼ぶ。
【0035】
具体的には、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30は、フェンダーパネル10の前部下部の角部に設けられたバンパフェイシャ嵌合部24の下部に下方に向け延びるように設けられている。一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の形状は、下端面31が傾斜した形状になっており、この傾斜はフードパネル(図示省略)の傾斜と略平行になっている。一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の中央部にはボルトを設置するためのボルト貫通孔32が設置されている。
【0036】
一体型フェンダーパネルブラケット結合部30は、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30を受け止める面(以下、傾斜型下支え面33a)が傾斜した傾斜型フェンダーパネルブラケット33で受け止められる。この傾斜型フェンダーパネルブラケット33の傾斜型下支え面33aは、フード34とフェンダーパネル10との合わせ面10aと略平行となっている。また、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の下端面31は、傾斜型下支え面33aと略平行になっている。すなわち、フード34とフェンダーパネル10との合わせ面10aと、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の下端面31とは、略平行になっている。
【0037】
図7に本実施例に係る傾斜型フェンダーパネルブラケット33の側面図を示す。図7に示すように、傾斜型フェンダーパネルブラケット33の略中央部には、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30(図6参照)に設けられたボルト貫通孔32(図6参照)と対応する位置にボルト貫通孔33bが設けられている。これらボルト貫通孔32,33bにボルトを通して一体型フェンダーパネルブラケット結合部30と傾斜型フェンダーパネルブラケット33とを結合する。すなわち、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造では、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30が実施例1のフェンダーパネルブラケット結合部25(図1参照)とフェンダーパネルブラケット結合部凹部26(図1参照)の役割を果たしている。
【0038】
このように、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造によれば、車両の車輪の上方に配置され、車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネル10と、樹脂製フェンダーパネル10に隣接するフード34とを備えた車両の樹脂製フェンダーパネル10の取付構造であって、樹脂製フェンダーパネル10の前部を下方から支える傾斜型フェンダーパネルブラケット33を車体側に設け、傾斜型フェンダーパネルブラケット33は、樹脂製フェンダーパネル10におけるフード34との合わせ部10aに略平行な傾斜型下支え面33aを有し、樹脂製フェンダーパネル10が熱変形する方向を傾斜型下支え面33aに沿った方向には許容すると共に、傾斜型下支え面33aに交差する方向には、樹脂製フェンダーパネル10を傾斜型下支え面33aに当接させて規制することにより、変形をフード34との合わせ部10aの延在方向に促し、フード34方向への変形を回避させることで、フード34との干渉を回避することができる。
【0039】
また、樹脂製フェンダーパネル10には、傾斜型下支え面33aに当接する一体型フェンダーパネルブラケット結合部下端面31近傍に、樹脂製フェンダーパネル10を傾斜型フェンダーパネルブラケット33に固定する一体型フェンダーパネルブラケット結合部30が設けられることにより、構造を簡易にすることができるため、製造コストを削減することができる。
【実施例3】
【0040】
以下、本実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造について説明する。本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造は、実施例2に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の傾斜型フェンダーパネルブラケット33、及び、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の構造を変更したものである。
【0041】
具体的には、傾斜型フェンダーパネルブラケット33の傾斜型下支え面33aを水平にし、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30の下端面31も水平にした。ここで、本実施例に係るフェンダーパネルブラケットを水平型フェンダーパネルブラケット40(図8参照)と呼ぶ。また、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造は、実施例2に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の傾斜型フェンダーパネルブラケット33、及び、一体型フェンダーパネルブラケット結合部30以外の構造については略同様である。
【0042】
図8に本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車幅方向内側から見た斜視図を示す。図8に示すように、本実施例に係るフェンダーパネルブラケット40は、車体骨格41の車幅方向外側の前端部下部に下方に向け延びるように設けられている。すなわち、本実施例に係るフェンダーパネルブラケット40は車体骨格41に一体に形成されている。また、フェンダーパネルブラケット40の中央部にはボルトを設置するためのボルト貫通孔40bが設置されている。
【0043】
図9に実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車両前方から見た側面図を示す。図9に示すように、本実施例に係る水平型フェンダーパネルブラケット40は、フェンダーパネルブラケット結合部を受け止める面40aが水平となっている。これに伴い一体型フェンダーパネルブラケット結合部30(図6参照)の下端面の形状も水平とする。
【0044】
このように、本実施例に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造によれば、水平型フェンダーパネルブラケット40は車体骨格41と一体成形されることにより、水平型フェンダーパネルブラケット40は車体骨格41との結合強度を高めることができ、また、部品点数を減らすことができるため、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の側面図である。
【図2】実施例1に係るフェンダーパネルブラケットの斜視図である。
【図3】実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のフェンダーパネル取り付け前の側面図である。
【図4】実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造のエンジンルーム内から見た斜視図である。
【図5】実施例1に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の斜視図である。
【図6】実施例2に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の斜視図である。
【図7】実施例2に係るフェンダーパネルブラケットの側面図である。
【図8】実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車幅方向内側から見た斜視図である。
【図9】実施例3に係る樹脂製フェンダーパネルの取付構造の車両前方から見た側面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 フェンダーパネル
11 バンパフェイシャ
12 ヘッドランプ
13 バンパリンフォースメント
14 フェンダーパネルブラケット(下支え手段)
15 下支えフック部
15a フェンダーパネル受け止め部(受け面)
16 ボルト設置孔
17 フック面
19 前部取り付け腕部
21 後部取り付け腕部
22 前部取り付け部
23 後部取り付け部
24 バンパフェイシャ嵌合部
25 フェンダーパネルブラケット結合部(取付部)
26 フェンダーパネルブラケット結合部凹部(当接部)
27 ボルト貫通孔
28 ホイルハウス
30 一体型フェンダーパネルブラケット結合部(取付部)
31 一体型フェンダーパネルブラケット結合部下端面(当接部)
32 ボルト貫通孔
33 傾斜型フェンダーパネルブラケット(下支え手段)
33a 傾斜型下支え面(受け面)
34 フード
40 水平型フェンダーパネルブラケット(下支え手段)
41 車体骨格

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、
前記下支え手段は、略水平な受け面を有し、
前記樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を
前記受け面に沿った方向には許容すると共に、前記受け面に交差する方向には、前記樹脂製フェンダーパネルを前記受け面に当接させて規制する
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。
【請求項2】
車両の車輪の上方に配置され、前記車両の側面側の外板をなし、樹脂により成形される樹脂製フェンダーパネルと、
前記樹脂製フェンダーパネルに隣接するフードと
を備えた車両の樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記樹脂製フェンダーパネルの前部を下方から支える下支え手段を車体側に設け、
前記下支え手段は、前記樹脂製フェンダーパネルにおける前記フードとの合わせ部に略平行な受け面を有し、
前記樹脂製フェンダーパネルが熱変形する方向を
前記受け面に沿った方向には許容すると共に、前記受け面に交差する方向には、前記樹脂製フェンダーパネルを前記受け面に当接させて規制する
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記樹脂製フェンダーパネルには、前記受け面に当接する当接部近傍に、前記樹脂製フェンダーパネルを前記下支え手段に固定する取付部が設けられる
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記下支え手段と取付部とは、ボルトを設置するボルト設置孔を備える
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。
【請求項5】
請求項3又は請求項4のいずれかに記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記下支え手段と前記取付部とは、塗装後に結合する
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する樹脂製フェンダーパネルの取付構造であって、
前記下支え手段は、車体骨格と一体成形される
ことを特徴とする樹脂製フェンダーパネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−261458(P2007−261458A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90299(P2006−90299)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】