機密保護画像を含む文書
原本を原本の複写から区別できるようにする機密保護画像を含む文書。文書は、隠された導電性トレース及び接点を持つ画像を含むことができる。文書は、接点と接触する複数のプローブに電圧を加えることにより原本であるかどうかの検証を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月10日に出願した米国仮出願第60/417,750号明細書、第60/417,751号明細書、第60/417,752号明細書、第60/417,753号明細書、第60/417,754号明細書、第60/417,755号明細書、第60/417,756号明細書、第60/417,757号明細書、第60/417,758号明細書のそれぞれの利益を主張する、2003年10月9日に出願したPCT出願US03/32159の一部継続出願である。本出願は、2003年1月29日に出願した米国仮出願第60/443,288号明細書、2003年1月29日に出願した米国仮出願第60/443,289号明細書、(不明)年1月に出願した米国仮出願第(不明)号明細書の利益を主張する。上記の出願はそれぞれ、参照により全部本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、文書保護方法及び製品に関するものであり、より具体的には、それらの文書の作られた複写と容易に区別できる原本を印刷し、取得するための方法及び製品に関するものである。この文書保護方法及び製品では、さらに、ドキュメント・リーダーにより原本の検出を行うこともできる。
【背景技術】
【0003】
例えば、これまでに、貨幣などの重要書類又は金融証書の偽造を阻止し、それらの文書から作成を試みられた不正複写を容易に原本と区別できる、多くの方法及び製品が開発されてきた。これらの方法及び製品のほとんどは、シルク、和紙、及びハイ・コンタクト・ラグ・ペーパーなどの高品質媒体への印刷又はリソグラフィにより原本を作成することを伴う。原本の印刷は、白黒(B&W)又はカラーのいずれかで行うことができ、カラーの場合は、スポット・カラー、カラー背景、及び/又は多色刷りである。カラーの場合、美的価値、認識の容易さ、及びもともとの目的である、従来手段による複写の防止に原本に対し多色を使用する傾向があった。B&Wであろうとカラーであろうと、価値のある原本の共通印刷プロセスは、とりわけ、インタリオ及びグラビアである。本出願で言及されているこれらのプロセス及び他のプロセスは、当業ではよく知られており、したがって詳しく説明しない。
【0004】
偽造などを阻止するための従来技術による有用な実施例のほとんどは、明確なモアレ・パターンとともに、又は原本上の裸眼では見えない、又はほとんど見えない「潜像」の印とともに複写が作成されるようにすることを目的としている。「潜像」という用語は、ここでは、写真の分野で化学反応による処理の後に現像される目に見えない像の意味ではなく、裸眼にはほとんど見えないように原本に印刷されている印を示すために使用されている。
【0005】
文書保護を行うための従来技術におけるこれらの開発及びその他の開発は、特許文献において開示されている(例えば、すべてRalph.C Wickerの1991年5月28日に出願した米国特許第5,018,767号明細書、1993年3月16日に出願した米国特許第5,193,853号明細書、1972年7月11日に出願した米国特許第3,675,948号明細書および1979年3月13日に出願した米国特許第4,143,967号明細書およびともにWilliam H.Mowryらの1980年10月14日に出願した米国特許第4,227,720号明細書および1982年1月12日に出願した米国特許第4,310,180号明細書ならびにMowryらの1992年9月22日に出願した米国特許第5,149,140号明細書およびJohn R.Volpeの1996年1月30日に出願した米国特許第5,487,567号明細書)。これらの特許はすべて、原本から文書の複写を区別できるようにする方法及び製品を実現するためのさまざまな手段を開示しており、例えば、「大きな点と小さな点のパターン」、「密線間パターン」、及び細かく変化する間隔及び/又は角度で原本上にスクリーン印刷され、不正複写に対し非常によく目立つモアレ・パターン効果を生み出す意図を持つ像又は印を使用する。本明細書では、「印刷」、「印刷された」、及び「印刷する」という単語は、使用される手法に関係なく原本の制作を指すために使用され、「複写」及び「複写する」という単語は、原本から複写を制作することを指すために使用される。
【0006】
しかし、複写機及びコンピュータ・スキャナ・プリンタ技術は、文書保護における従来技術の発展以来、なおいっそう高度化していることはよく知られている。複写技術の目標は、まだ達成されていないとしても、特にデスクトップ・パブリッシングなどでは、原本と変わらないくらいの複写を得ることであった。カラー文書に「見たとおりのものが結果に反映される」ことは、複写機及び走査入力デバイスを含む複写機器においては非常に達成できる状況にあり、デスクトップ・コンピュータでさえも、PANTONE.RTM.Color Matching Systemなどの複写と色度標準とのカラー・マッチングを含む、色再現では十分に高度なものとなっている。
【0007】
文書保護方法及び製品のすべてではないとしても多くが、複写機及びコンピュータ再現技術のこのような改善以前に開発されており、複写機のスキャナと原本上のセキュリティ・パターンとの間の正確な線変動を無効にする連続階調画像の効果を出すため焦点を「ぼかして」文書を故意に複写する「写真」設定を持つ特にカラー複写機におけるより新しい色再現技術では有効でないことがわかっている。複写機及びプリンタの進歩が限られていた時点で開発された文書保護の従来の手法は、現在又はまもなく利用可能になるさまざまな形態の複写機/複写印刷機及びコンピュータ・スキャナ/出力機器に対し高い信頼性を維持しながら機能することはありえない。
【0008】
したがって、文書の機密保護及び安全性のために、文書保護の分野におけるさらなる改善が見られることが必須であったが、これは、特に、複写と原本と容易に区別できなければ重要な原本の複写又は複製を防止する必要がある場合にそうである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の問題を克服し、文書の機密保護を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
画像を伴う文書は、第1の線数及び第1の色で印刷された背景部分、第2の線数及び第2の色で印刷された第1の画像部分、及び第2の線数及び第3の色で印刷された第2の画像部分を含むことができ、組み合わせた画像において、第1の画像部分及び第2の画像部分は、第1の色と実質的に同じ色で表示される。文書内で、第1の画像部分は、印刷線、ドット又はスポットを含むことができ、第2の画像部分は、第1の画像部分の隣接する印刷線ドット又はスポット間に配置された印刷線ドット又はスポットを含む。文書内で、第1の画像部分は、第1及び第2の画像部分の組み合わされた画像の5%から95%の間の密度で印刷することができる。複写デバイス又は走査デバイスにより文書が再現される場合、第1の画像部分及び第2の画像部分の領域内にソリッド・トーナル・カラーを実質的に第1の色と同じ色で再現し、それによって、第1の画像部分及び第2の画像部分を再現しないようにできる。
【0011】
画像を伴う文書は、第1の角度及び第1の色の印刷線ドット又はスポットを持つ背景部分、第1の色と実質的に同じ色及び第1の角度と異なる角度の印刷線ドット又はスポットを持つ画像部分を含むことができ、文書が複写又は走査デバイスにより再現される場合、ソリッド・トーナル・カラーを、第1の色と実質的に同じ色で画像部分の領域内に再現し、それによって、第1の画像部分を再現しないようにできる。文書内で、背景部分及び画像部分のうちの少なくとも一方は、線数2.54cm(1インチ)当たり約175本を超える線数で印刷できる。
【0012】
画像を伴う文書は、第1の角度及び第1の線数の印刷線ドット又はスポットを持つ背景部分、第2の角度及び第2の線数の印刷線ドット又はスポットを持つ画像部分を含むことができ、第1の線数は、第2の線数の少なくとも2倍は大きい。文書内で、第1の線数は、2.54cm(1インチ)当たり約175本よりも大きい場合がある。文書内で、画像部分により形成される画像は、実質的に隠すことができ、また文書が複写又は走査デバイスにより再現される場合、画像部分により形成される画像は再現された文書内に実質的に隠されない。
【0013】
文書を原本として認証する装置は、文書上に含まれる画像を拡大することができる拡大ユニットと、拡大ユニットにより拡大された画像を走査し、文書上に含まれる電子形式の画像を作成することができる走査ユニットと、その電子形式を受け取り、文書の再現が複写又は走査デバイスにより行われる場合に再現されない所定の機密保護画像が文書に含まれるかどうかを判定し、所定の秘密保護画像が検出されない場合にその文書は原本ではないと判断するマイクロプロセッサとを備えることができる。装置では、マイクロプロセッサは、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較し、マイクロプロセッサは、文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定することができる。装置は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するディスプレイを備えることができる。
【0014】
文書を原本として認証する方法は、文書について複写又は走査デバイスにより文書の再現が行われる場合に再現されない所定の機密保護画像の有無を検討するステップと、所定の機密保護画像が文書内に存在しない場合にその文書は原本ではないと判定するステップとを含むことができる。この方法は、さらに、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較するステップ、及び文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定するステップを含むことができる。この方法は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するステップを含むことができる。
【0015】
コンピュータ可読媒体は、文書について複写又は走査デバイスにより文書の再現が行われる場合に再現されない所定の機密保護画像の有無を検討するステップと、所定の機密保護画像が文書内に存在しない場合にその文書は原本ではないと判定するステップとを含む文書を原本として認証する方法をコンピュータに実行させる命令を格納できる。コンピュータ可読媒体では、この方法は、さらに、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較するステップ、及び文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定するステップを含むことができる。コンピュータ可読媒体では、この方法は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するステップを含むことができる。
【0016】
随伴する図面は、説明とともに、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成するが、本発明の原理を説明するために使用される。図面は以下で説明される。
【実施例】
【0017】
図1は、一般的に人間の目には隠されている機密保護潜像2を持つ文書1を例示する図である。図1では、背景領域3は、高い線数で印刷されるのが好ましい。画像2は、所定の密度により第1の色4で印刷され、さらに所定の密度により第2の色5で印刷される。その結果、画像2は人間の目には第3の色として映る。背景領域3は、第3の色又は第3の色に似た色で印刷され、そのため、画像2は人間の目にははっきりとしない。
【0018】
画像2は、所定のピッチ及び太さを持つ線6を印刷することなど、第1の色4を印刷することにより形成することができる。その後、第2の色5を、画像2のネガ画像を使用するなどして、所定のピッチ及び太さの線5の間に第2の色を入れた線7を印刷することなどにより印刷することができる。当業者であれば、線6及び7は、レーザプリンタなどを使用することなどにより、1回の印刷処理作業で印刷できることを理解するであろう。さらに、例示のため2色のみについて説明しているが、当業者であれば、6色以上を含む、2色よりも多い色を使用できることを理解するであろう。
【0019】
線6及び7の密度は、ピッチ(線間の距離)、線6と7の太さを制御するか、又は線6及び7を印刷するために使用される、インクなどの、媒体の密度を制御することにより、制御することが好ましい。線6及び7の密度は、線6及び7に対し選択された色、媒体の密度、線の太さ、及び画像2の所望の見かけに応じて、5%から95%までの範囲とすることができる。一実施例では、線6に対し赤色、線7に対し緑色として、線6及び7のそれぞれについて50%の密度を使用することができる。さらに、一実施例では、線6及び7は、背景3を印刷するために使用される角度と異なる角度で印刷することもできる。
【0020】
画像2は、2色を明示するために画像を拡大するか、又は2色のうちの1色を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。文書1がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像2は実質的に複写で再現されない。特に、文書1の複写は、原本1と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域3を含み、画像2を含まない。画像2の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0021】
図2は、人間の目には隠されているように見える機密保護潜像14を持つ文書10を例示する図である。図2に例示されているように、文書10は、2.54cm(1インチ)約175本以上などの高線数の線12を含む背景領域11を持つのが好ましい。線12は、着色しているのが好ましい。画像14は、ほぼ同じ線数であるが、線12とは異なる角度の線を含むのが好ましい。線12及び/又は15は、線、ドット、又はスポットでよい。
【0022】
図2の概念の実装例では、線12は、2.54cm(1インチ)当たり280本の線数、角度30度、青色で印刷することができ、線14は、2.54cm(1インチ)当たり280本の線数、角度45度、青色で印刷することができる。
【0023】
画像14は、線15を明示するために画像を拡大するか、又は線15を明示するために線12を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。文書10がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像14は実質的に複写で再現されない。特に、文書10の複写は、原本10と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域11を含み、画像14を含まない。画像14の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0024】
図3は、潜像22を持つ文書20を例示する図である。文書20は、2.54cm(1インチ)当たり175本以上などの第1の線数、及び所定の角度で印刷されるのが好ましい背景領域21を含む。画像22は、背景領域21の線数よりも小さい線数で印刷されるのが好ましい。領域21内の線24の線数は、画像22内の線23のスクリーン線数の2倍以上であるのが好ましい。領域21内の線数は、画像22内の線23の線数よりも少なくとも3倍多いのが、より好ましい。線22の角度は、線24の角度と少なくとも5度だけ異なる角度であるのが好ましい。線24及び23の幅は、文書の連続的な見てくれのよい外観を与えるように選択することができる。線24及び23は、両方とも、同じ色を持つのが好ましい。
【0025】
図3に例示されている原理を使用する機密保護文書の実装例では、背景領域21内の線24は、2.54cm(1インチ)当たり少なくとも175本の線数、好ましくは、2.54cm(1インチ)当たり少なくとも300本の線数、45度の角度で線幅0.00635cm(0.0025インチ)を持つことができ、画像14内の線23は、2.54cm(1インチ)当たり100〜133本の線数、好ましくは、30度の角度で2.54cm(1インチ)当たり95本の線数を持つことができる。
【0026】
図4は、複数の高線数部分と低線数部分を持つ専用機密保護画像33を含む文書30を例示している。図4に例示されているように、文書30は、背景領域31を持つのが好ましい。画像33は、高線数から低線数の範囲の線35を含む第1のセグメント34及び低線数から高線数の範囲の線37を含む第2のセグメント36を含むことが好ましい。第1及び第2のセグメント34及び36のそれぞれについて2つのセグメントが示されているが、いずれかのセグメント34及び36について1つのセグメントを含む、任意の個数のセグメントを使用することができる。セグメント34及び36のそれぞれの線数は、直線的又は非直線的に連続して、又はセグメント34及び36のそれぞれの一方の端点から反対側の端点まで一段ずつ変化することができる。線35及び37はそれぞれ、黒で、又は任意の色で印刷することができる。
【0027】
画像33が従来の複写又は走査デバイスにより再現された場合、再現された画像はモアレ・パターンなどの著しい歪みを示すのが好ましい。
【0028】
図5は、バー・コードの形の潜像43を含む文書40を例示する。図5に例示されているように、文書40は、所定の線数及び所定の角度の線42を含む背景領域41を含む。画像43は、バー・コード・リーダーにより読み取り可能な情報を含むことができるバー・コードを形成することができる複数のバー44を含むのが好ましい。バー44は、所定の線数の線45を含むのが好ましく、これは、線42と同じ線数とすることができる。線45は、図3の構造で説明されているように、線42と異なる角度で印刷できるのが好ましいか、又は線45及び42は、図2及び図1の構造で説明されているように類似の色で印刷することができる。再現することができないバー・コード潜像を実現する適当な手法を使用することができる。図5の概念による構造例では、線42及び45は、それぞれ、2.54cm(1インチ)当たり150から400本の範囲の線数である、同じ線数で印刷することができる。
【0029】
画像43は、線45を明示するために画像を拡大するか、又は線45を明示するために線42を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。その後、バー・コード・リーダーで、バー・コードを検出し、バー・コードから情報を読み取ることができる。バー・コードにより与えられる情報は、文書識別情報又はその他の機密保護情報を含むことができる。
【0030】
文書40がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像43は実質的に複写で再現されない。特に、文書40の複写は、原本40と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域41を含み、画像43を含まない。画像43の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0031】
図6は、パターンを引き起こす歪み又はモアレを含む画像52を含む文書50を例示する。図6に例示されているように、文書50は、背景部分51を含む。画像52は、所定の線数の線57を含む背景部分53及び所定の線数57よりも多い又は少ない可能性のあるさまざまな線数を持つ複数の部分54、55、及び56を含むのが好ましい。例えば、部分54、55、及び56の線数は、2.54cm(1インチ)当たり約175本以上などの1つ又は複数の高い線数で印刷できるが、背景部分53は、2.54cm(1インチ)当たり約100〜135本などの低い線数で印刷することができる。代替えとして、多線数部分は、ある領域内の高線数から高線数領域の隣の領域内の低線数までの範囲とすることができる。
【0032】
図7A及び図7Bは、媒体上に含まれる情報の再現を実質的に停止する媒体上に印刷されている画像を例示している。図7Aに例示されているよう、紙などの媒体701は、スキャナ、ファクス機、及びレーザー・コピー機と干渉するのが好ましい印刷画像702及び703を含む。印刷画像702により表される印刷画像の第1の集合は、ネガ形式の黒などの暗色で印刷することができる。その後、印刷画像703により表される印刷画像の第2の集合は、第1の印刷画像702のコンタクト・ポジティブであるのが好ましく、銀色インクなどの反射インクで印刷することができる。代替えとして、図7Bに例示されているように、これらの色のうちの1つを、無地色画像706として媒体705のすべてにわたって印刷することができる。その後、それぞれ、第1の画像の形態に応じて、ネガ形式又はポジ形式の画像の第2の色を、画像706の上に印刷することができる。図7A及び7Bの両方において、媒体702及び705を再現すると、それぞれ、黒色複写を生じ、媒体702及び705上の情報はそれぞれ読み取り不能になる。
【0033】
当業者であれば、図1〜7Bで説明されている任意の数の機密保護画像を単一の文書上に別々に又は組み合わせて提示することができる。図8Aは、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52を含む文書100を例示している。図8Bは、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52を含む識別カード200を例示している。
【0034】
版下は、その版下の一部に機密保護画像を貼り付けて、原本を複写と区別できるようにすることができる。
【0035】
図9は、文書100又はカード200内の機密保護画像を検出するために使用することができる読み取りデバイスの構成例を示している。図9に例示されているように、機密保護画像1007を含む文書1001は、拡大した画像を走査ユニット1003に供給する拡大ユニット1002により拡大することができる。機密保護画像1007は、図1〜5に例示されている手法の1つ又は複数に従って形成することができる。拡大ユニット1002は、当業者に知られているように従来の拡大デバイスとすることができ、また走査ユニット1003と一体となるように形成されるか、又は走査ユニット1003とは無関係なものとすることもできる。拡大ユニット1002を使用すると、光学的拡大及び/又はデジタル方式による拡大が可能であり、これは当業者には知られている。好ましい拡大デバイスは、文書画像の100%未満を文書画像の最大1000%まで拡大する機能を備える。
【0036】
走査ユニット1003は、写真のデジタル画像を供給するか、又はテキスト走査からの電子ワードプロセッサ文書を供給することができる走査ユニットを含む、従来の任意のタイプの走査ユニットとすることができる。走査ユニット1003は、写真及びテキスト・スキャナ、写真コピー機、ファクシミリとともに使用するのに好適なタイプのものとすることができる。走査ユニット1003は、デジタル表現などの文書1001及び機密保護画像1007の走査結果の走査表現を生成し、この情報をマイクロプロセッサ1004に供給することが好ましい。走査ユニット1003は、マイクロプロセッサへの送信に先立って走査表現を格納しておくために使用することができる、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、書き込み可能CDドライブなどの1つ又は複数の記憶デバイス(図には示されていない)を含むことができる。
【0037】
マイクロプロセッサ1004は、文書1001、特に機密保護画像1007の走査表現を処理する。マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサ1004に関連するメモリ内にすでに格納されている原本の表現と突き合わせて文書の走査表現を比較する検証ソフトウェアを含むのが好ましい。代替えとして、マイクロプロセッサ1004は、Webサイト又は安全な通信リンクなどを通じて、離れた場所から原本の表現を取り出すこともできる。マイクロプロセッサ1005は、この比較の結果をディスプレイ1005に供給することができる。
【0038】
マイクロプロセッサ1004は、さらに、有効な文書又はIDカードが検出されたときにユーザに対しアクセス権を与えるようにアクセス・デバイスに命令を送ることもできる。当業者であれば、アクセス・デバイスは、防護ドアを通じての部屋又は建物へのアクセス及び安全なアクセス・ポート又はファイヤウォールを通じてのデータベース上に格納されている情報へのアクセスを含むか、又は単に、金融取引を完了するためのアクセスを含むだけでよいことを理解するであろう。走査文書1004が原本でないとマイクロプロセッサ1004が判断した場合に、アクセスが拒絶されることが好ましい。
【0039】
図10は、図9に示されている読み取りデバイスを使用して有効な原本を検出する方法例を示している。図10に例示されているように、文書1001の走査表現及び対応する原本の表現は、ステップS1でマイクロプロセッサにより取り出される。ステップS2で例示されているように、マイクロプロセッサ1004は、文書1001の走査表現を調査して、所定の機密保護画像が走査文書内に存在するかどうかを判定し、所定の機密保護画像は、図3の原理に従って構成された画像などの文書の複写内に再現されることを予期されていない機密保護潜像である画像であることが好ましい。所定の機密保護画像が文書1001内に存在しない場合、ステップS2でNOであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本でないと判定し、「COPY」又は「INVALID」又は類似の命令を表示するようにディスプレイ1005に命令することができる。
【0040】
所定の機密保護画像が文書1001内に存在する場合、マイクロプロセッサ1004は、その文書が原本であることを指示するか、又はセキュリティを高めた対策として、マイクロプロセッサ1004は、ステップS3に例示されているように、走査文書1001のレイアウトを分析することができる。レイアウトの分析は、印刷画像、つまり可視画像と潜像の両方の配置の分析、白黒領域を含む色の分析、及び/又は画像の線の線数、ピッチ、及び/又は角度の分析を含むことができる。走査文書1001のレイアウトは、ステップS4に例示されているように、原本の予期されるレイアウトと比較される。走査文書1001のレイアウトが原本の予期されるレイアウトと一致しない場合、ステップS4でNOであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本でないと判定し、「COPY」又は「INVALID」又は類似の命令を表示するようディスプレイ1005に命令することができる。このレイアウトが予期されるレイアウトと一致する場合、ステップS4でYESであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本である、又は有効な文書であると判定し、「ORIGINAL」又は「VALID」又は類似の命令を表示するようディスプレイ1005に命令することができる。
【0041】
図11は、文書上に形成されたバー・コード画像を読み取るためのデバイス例を示している。図11に例示されているように、文書2001は、人間の目には隠されているバー・コード画像2007を含むのが好ましい。拡大ユニット1002は、バー・コード画像2007を拡大し、拡大された画像をバー・コード・リーダー2003に供給するのが好ましい。バー・コード・リーダー2003は、複数の実質的に平行な線を読み取り、複数の実質的に平行な線のピッチ、線数、及び太さのうちの少なくとも1つを検出することができる従来のバー・コード・リーダーであるのが好ましい。バー・コード・リーダー2003は、検出された情報をマイクロプロセッサ2004に供給し、このマイクロプロセッサは、検出された情報を使用して、バー・コード画像2007に記録されている情報の内容を判別する。記録されている情報は、識別カードを文書2001として使用する個人の名前など文書2007の信憑性及び同一性の情報を含むのが好ましい。
【0042】
マイクロプロセッサは、バー・コード2007を帯びた文書2001を図10に例示されているのと同じ方法で認証することができ、その場合、バー・コード2007及びバー・コード2007により記録されている対応する情報は、ステップS2で検出された機密保護画像の1つであるのが好ましい。例えば、セキュリティを高めた対策として、バー・コード2007を他の機密保護画像とともに、また文書2007のレイアウトとともに使用して、文書2007が原本であるか、又は有効な文書であるかを判定することができる。この方法では、偽造文書又は複写文書は、その中のバー・コード2007が正常に再現されている可能性があるとしても、アクセスは拒絶される。
【0043】
図9及び11のそれぞれに例示されているアーキテクチャは、単一のデバイス又は複数のデバイス内に全体として含まれるようにでき、また図9及び11のアーキテクチャに関連する機能は、プログラム可能なソフトウェアにより実行することができる。さらに、図10に例示されているオペレーションは、ROM又はRAM又は他のメモリなど、それぞれマイクロプロセッサ1004又は2004に関連付けられた内蔵又は外付けメモリ(図に示されていない)上のプログラム可能なソフトウェアにより実行することができる。図10に例示されているオペレーションを実行するソフトウェアは、コンピュータ可読媒体でデータの形で具現化することができる。本開示の範囲内のコンピュータ可読媒体は、適切に構成されたコンピュータ又は移動体通信デバイス及び、限定はしないが、読み込み可能/書き込み可能光ディスク、磁気ディスク、読み込み可能/書き込み可能カード、磁気テープ、有線又は無線の電気的伝送信号、又は電気及び/又は電磁信号を使用するデータの光伝送を含む、コンピュータ又はステーションの関連する周辺デバイスにより読み取り可能な形態で情報を搬送することが可能である、物理的な、又は形而上学的な任意の媒体を含む。プログラム可能なソフトウェアに関連するデータは、パケット化されたデジタル・データの形態とすることができる。
【0044】
図12は、文書100上の導電性画像1200の例を示しており、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52も含む。導電性画像1200の例は、導電性トレース1202により接続される、少なくとも2つの接触領域1201を含むのが好ましい。好ましい構成では、接触領域1201及び導電性トレース1202は、画像の要素であること及び/又は埋め込まれていることにより視界から隠されるか、又はわかりにくくなるようにできる。導電性画像1200は、文書の有効性を検証するために使用することができる。当業者であれば、接触領域1201及び導電性トレース1202は、金属製パッド、金属片、導電性インク、又は適当な導体材料などの適当な導電性媒体で作ることができる。
【0045】
図13は、文書を検証するために導電性画像1200とともに使用できる読み取りデバイス例1300を示している。読み取りデバイスは、ペンの形状であるのが好ましい。読み取りデバイス例1300は、電線1303の間に電圧を掛けて導電性トレース1200を持つ有効な文書100にプローブを差した場合に電流がプローブ1304に流れるようにするコントローラ1301を含むのが好ましい。プローブが接触領域1201上に、領域毎に1本ずつ置かれると、供給される電流はプローブ1304の1つ、接触領域1201の1つ、導電性トレース1202を通り、他の接触領域を通って他のプローブへと流れ、再び、電線1303を通ってコントローラ1301に戻る、つまり、1つの電気回路を完成するのが好ましい。電流が一方のプローブ1304から他方のプローブへ導電性トレース1202内を通って流れる場合に点灯し、有効な文書であることを示す、インジケータ・ライト1302が用意されるのが好ましい。当業者であれば、インジケータ・ライト1302は、十分な大きさの電流又は電圧を受けたときに点灯する、1つ又は複数の単色LED、又は複数の色のLEDで構成できることを理解するであろう。例えば、読み取りデバイス1300上の作動スイッチ(図に示されていない)が押されると、回路が完成している(有効な文書が検出されている)場合には緑色に点灯し、回路が完成していない(文書が有効でない)場合には赤色に点灯するか、まったく点灯しない。
【0046】
当業者であれば、さらに、インジケータ・ライト1302は、導電性トレースの電流又は電圧の大きさ又は測定された抵抗値など受けた電流に基づくさまざまな属性を表示することができる、従来の電圧計などのインジケータ・ディスプレイで置き換えることができ、またそれらの値はどれも、文書が有効であるかどうかを判定するために使用することができることを理解するであろう。
【0047】
図14及び15は、文書の違法デスクトップ・パブリッシングを検出し阻止する実施例を示している。図14に例示されているように、走査ユニット1403により走査される文書1401は、機密保護画像1407を含むことができる。機密保護画像は、本出願の図1〜9に関連して説明されている原理に従って作成される画像とするのが好ましい。マイクロプロセッサ1404は、メモリ1412内に、米国通貨(例えば、米国100ドル紙幣)などの禁止画像のリストを格納するのが好ましく、また所定の隠されている、又は隠されていない機密保護画像、禁止画像又は禁止画像の選択された部分のレイアウト、禁止画像上の隠されている、又は隠されていない作品又はバー・コード、禁止画像の所定の部分又は全部の線密度、線種(例えば、線、ドット、スポット)、線パターン、及び線色などの線特徴のうちの少なくとも1つなど、禁止画像の複数の属性を格納するのが好ましい。
【0048】
マイクロプロセッサは、図15のステップS151に例示されているように、Webベースのサーバ1420からインターネットを通じて、又はハード・ドライブ、CD、DVD、又はフロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、メモリ・カード/スティック又は有線及び/又は無線通信などの内部又は外部ソースから画像を受け取ることができる。ステップS152に例示されているように、受け取った画像は、その画像が画像を禁止画像に指定する所定の機密保護画像を含んでいるかどうかを判定するため評価される。画像が所定の機密保護画像を含まない場合、ステップS152でNOであり、ステップS153に例示されているように、上記の禁止文書に一意に関連付けられていることが好ましい1つ又は複数の所定の属性の存在を検出することにより文書が評価される。画像が再現すべき禁止画像であると判定されない場合、マイクロプロセッサ1404は、画像を印刷する命令をプリンタ1414に送る。
【0049】
禁止画像が検出された場合、ステップS152及びS154でYESであり、マイクロプロセッサ1404は、プリンタ1414が文書を再現するのを抑制し、違法活動の試みを記述した違法活動文書化情報をメモリ1412上のログに格納するのが好ましい。違法活動文書化は、捜査当局がデータベースを開いて、違法活動を調査できるようにメモリ1412内に保持されるのが好ましい。格納された違法活動文書化情報は、文書の画像、文書の画像のソースの識別(例えば、Webサーバ、スキャナなどからの)、コンピュータ識別及びユーザ・アドレスなどのユーザ識別、及び違法活動が試みられた日時など、再現が試みられた文書の識別を含むことができる。違法活動文書化は、さらに、Webアドレスなどの電子メール及びインターネットからの違法文書の経路、及びユーザが特定のWebサイトに費やした時間の長さ、スクリーン・ネーム、及び文書の出所であるサーバの識別を含むこともできる。Webサイトをホスティングするサーバは、同じプログラムを持つ、又は専用ガード・チップを持つなどの同様にプログラムされたマイクロプロセッサを含むのが好ましい。ユーザがインターネットにログオンした場合、マイクロプロセッサ1404は、さらに、通信ソフトウェア又はデバイス1410を使用してユーザが知らないうちに、又はユーザが開始することなく捜査当局のサーバ1421に接続することにより捜査当局との暗黙の通信を開始し、違法活動文書化情報を送信するようにもできる。ユーザがインターネットにログオンしない場合、マイクロプロセッサ1404では、次回又は後でログオン・オペレーションが実行されたときに通信を行わせるのが好ましい。マイクロプロセッサ1404では、さらに、違法オペレーションが検出されたときに他のコンピュータから文書を受け取った場合に、このマイクロプロセッサが常駐するコンピュータ(図に示されていない)をシャットダウンする、及び/又はこのコンピュータに電子メールシステムをシャットダウンさせることもできる。
【0050】
本発明は、本発明の精神又は本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形式で実現することが可能である。したがって、本発明の実施例は、あらゆる点において、例示を目的とし、制約を目的としていないと考えられ、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、付属の請求項により示され、それ故請求項の意味及び等価性の範囲内にあるすべての変更は本明細書に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】機密保護潜像を持つ文書を例示する図である。
【図2】人間の目には隠されている機密保護潜像を持つ文書の他の実施例を例示する図である。
【図3】潜像を含む文書の他の実施例を例示する図である。
【図4】専用機密保護潜像を含む文書を例示する図である。
【図5】バー・コードの形の潜像を含む文書を例示する図である。
【図6】パターンを引き起こす歪み又はモアレを含む画像52を含む文書50を例示する図である。
【図7A】媒体上に含まれる情報の再現を禁止する安全媒体例を示す図である。
【図7B】媒体上に含まれる情報の再現を禁止する安全媒体例を示す図である。
【図8A】複数の機密保護画像を含む文書を例示する図である。
【図8B】複数の機密保護画像を含む文書を例示する図である。
【図9】文書中の機密保護画像を検出するための読み取りデバイス例を示す図である。
【図10】図9の読み取りデバイス例を使用して文書が原本であることを認証する方法例を示す図である。
【図11】バー・コードを潜像として検出することができるバー・コード・リーダー例を示す図である。
【図12】導電性画像例を含む文書を例示する図である。
【図13】導電性画像で文書を検証するための検証デバイス例を示す図である。
【図14】文書の違法公開を検出するための装置例を示す図である。
【図15】文書の違法公開を検出するための方法例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月10日に出願した米国仮出願第60/417,750号明細書、第60/417,751号明細書、第60/417,752号明細書、第60/417,753号明細書、第60/417,754号明細書、第60/417,755号明細書、第60/417,756号明細書、第60/417,757号明細書、第60/417,758号明細書のそれぞれの利益を主張する、2003年10月9日に出願したPCT出願US03/32159の一部継続出願である。本出願は、2003年1月29日に出願した米国仮出願第60/443,288号明細書、2003年1月29日に出願した米国仮出願第60/443,289号明細書、(不明)年1月に出願した米国仮出願第(不明)号明細書の利益を主張する。上記の出願はそれぞれ、参照により全部本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、文書保護方法及び製品に関するものであり、より具体的には、それらの文書の作られた複写と容易に区別できる原本を印刷し、取得するための方法及び製品に関するものである。この文書保護方法及び製品では、さらに、ドキュメント・リーダーにより原本の検出を行うこともできる。
【背景技術】
【0003】
例えば、これまでに、貨幣などの重要書類又は金融証書の偽造を阻止し、それらの文書から作成を試みられた不正複写を容易に原本と区別できる、多くの方法及び製品が開発されてきた。これらの方法及び製品のほとんどは、シルク、和紙、及びハイ・コンタクト・ラグ・ペーパーなどの高品質媒体への印刷又はリソグラフィにより原本を作成することを伴う。原本の印刷は、白黒(B&W)又はカラーのいずれかで行うことができ、カラーの場合は、スポット・カラー、カラー背景、及び/又は多色刷りである。カラーの場合、美的価値、認識の容易さ、及びもともとの目的である、従来手段による複写の防止に原本に対し多色を使用する傾向があった。B&Wであろうとカラーであろうと、価値のある原本の共通印刷プロセスは、とりわけ、インタリオ及びグラビアである。本出願で言及されているこれらのプロセス及び他のプロセスは、当業ではよく知られており、したがって詳しく説明しない。
【0004】
偽造などを阻止するための従来技術による有用な実施例のほとんどは、明確なモアレ・パターンとともに、又は原本上の裸眼では見えない、又はほとんど見えない「潜像」の印とともに複写が作成されるようにすることを目的としている。「潜像」という用語は、ここでは、写真の分野で化学反応による処理の後に現像される目に見えない像の意味ではなく、裸眼にはほとんど見えないように原本に印刷されている印を示すために使用されている。
【0005】
文書保護を行うための従来技術におけるこれらの開発及びその他の開発は、特許文献において開示されている(例えば、すべてRalph.C Wickerの1991年5月28日に出願した米国特許第5,018,767号明細書、1993年3月16日に出願した米国特許第5,193,853号明細書、1972年7月11日に出願した米国特許第3,675,948号明細書および1979年3月13日に出願した米国特許第4,143,967号明細書およびともにWilliam H.Mowryらの1980年10月14日に出願した米国特許第4,227,720号明細書および1982年1月12日に出願した米国特許第4,310,180号明細書ならびにMowryらの1992年9月22日に出願した米国特許第5,149,140号明細書およびJohn R.Volpeの1996年1月30日に出願した米国特許第5,487,567号明細書)。これらの特許はすべて、原本から文書の複写を区別できるようにする方法及び製品を実現するためのさまざまな手段を開示しており、例えば、「大きな点と小さな点のパターン」、「密線間パターン」、及び細かく変化する間隔及び/又は角度で原本上にスクリーン印刷され、不正複写に対し非常によく目立つモアレ・パターン効果を生み出す意図を持つ像又は印を使用する。本明細書では、「印刷」、「印刷された」、及び「印刷する」という単語は、使用される手法に関係なく原本の制作を指すために使用され、「複写」及び「複写する」という単語は、原本から複写を制作することを指すために使用される。
【0006】
しかし、複写機及びコンピュータ・スキャナ・プリンタ技術は、文書保護における従来技術の発展以来、なおいっそう高度化していることはよく知られている。複写技術の目標は、まだ達成されていないとしても、特にデスクトップ・パブリッシングなどでは、原本と変わらないくらいの複写を得ることであった。カラー文書に「見たとおりのものが結果に反映される」ことは、複写機及び走査入力デバイスを含む複写機器においては非常に達成できる状況にあり、デスクトップ・コンピュータでさえも、PANTONE.RTM.Color Matching Systemなどの複写と色度標準とのカラー・マッチングを含む、色再現では十分に高度なものとなっている。
【0007】
文書保護方法及び製品のすべてではないとしても多くが、複写機及びコンピュータ再現技術のこのような改善以前に開発されており、複写機のスキャナと原本上のセキュリティ・パターンとの間の正確な線変動を無効にする連続階調画像の効果を出すため焦点を「ぼかして」文書を故意に複写する「写真」設定を持つ特にカラー複写機におけるより新しい色再現技術では有効でないことがわかっている。複写機及びプリンタの進歩が限られていた時点で開発された文書保護の従来の手法は、現在又はまもなく利用可能になるさまざまな形態の複写機/複写印刷機及びコンピュータ・スキャナ/出力機器に対し高い信頼性を維持しながら機能することはありえない。
【0008】
したがって、文書の機密保護及び安全性のために、文書保護の分野におけるさらなる改善が見られることが必須であったが、これは、特に、複写と原本と容易に区別できなければ重要な原本の複写又は複製を防止する必要がある場合にそうである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の問題を克服し、文書の機密保護を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
画像を伴う文書は、第1の線数及び第1の色で印刷された背景部分、第2の線数及び第2の色で印刷された第1の画像部分、及び第2の線数及び第3の色で印刷された第2の画像部分を含むことができ、組み合わせた画像において、第1の画像部分及び第2の画像部分は、第1の色と実質的に同じ色で表示される。文書内で、第1の画像部分は、印刷線、ドット又はスポットを含むことができ、第2の画像部分は、第1の画像部分の隣接する印刷線ドット又はスポット間に配置された印刷線ドット又はスポットを含む。文書内で、第1の画像部分は、第1及び第2の画像部分の組み合わされた画像の5%から95%の間の密度で印刷することができる。複写デバイス又は走査デバイスにより文書が再現される場合、第1の画像部分及び第2の画像部分の領域内にソリッド・トーナル・カラーを実質的に第1の色と同じ色で再現し、それによって、第1の画像部分及び第2の画像部分を再現しないようにできる。
【0011】
画像を伴う文書は、第1の角度及び第1の色の印刷線ドット又はスポットを持つ背景部分、第1の色と実質的に同じ色及び第1の角度と異なる角度の印刷線ドット又はスポットを持つ画像部分を含むことができ、文書が複写又は走査デバイスにより再現される場合、ソリッド・トーナル・カラーを、第1の色と実質的に同じ色で画像部分の領域内に再現し、それによって、第1の画像部分を再現しないようにできる。文書内で、背景部分及び画像部分のうちの少なくとも一方は、線数2.54cm(1インチ)当たり約175本を超える線数で印刷できる。
【0012】
画像を伴う文書は、第1の角度及び第1の線数の印刷線ドット又はスポットを持つ背景部分、第2の角度及び第2の線数の印刷線ドット又はスポットを持つ画像部分を含むことができ、第1の線数は、第2の線数の少なくとも2倍は大きい。文書内で、第1の線数は、2.54cm(1インチ)当たり約175本よりも大きい場合がある。文書内で、画像部分により形成される画像は、実質的に隠すことができ、また文書が複写又は走査デバイスにより再現される場合、画像部分により形成される画像は再現された文書内に実質的に隠されない。
【0013】
文書を原本として認証する装置は、文書上に含まれる画像を拡大することができる拡大ユニットと、拡大ユニットにより拡大された画像を走査し、文書上に含まれる電子形式の画像を作成することができる走査ユニットと、その電子形式を受け取り、文書の再現が複写又は走査デバイスにより行われる場合に再現されない所定の機密保護画像が文書に含まれるかどうかを判定し、所定の秘密保護画像が検出されない場合にその文書は原本ではないと判断するマイクロプロセッサとを備えることができる。装置では、マイクロプロセッサは、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較し、マイクロプロセッサは、文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定することができる。装置は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するディスプレイを備えることができる。
【0014】
文書を原本として認証する方法は、文書について複写又は走査デバイスにより文書の再現が行われる場合に再現されない所定の機密保護画像の有無を検討するステップと、所定の機密保護画像が文書内に存在しない場合にその文書は原本ではないと判定するステップとを含むことができる。この方法は、さらに、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較するステップ、及び文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定するステップを含むことができる。この方法は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するステップを含むことができる。
【0015】
コンピュータ可読媒体は、文書について複写又は走査デバイスにより文書の再現が行われる場合に再現されない所定の機密保護画像の有無を検討するステップと、所定の機密保護画像が文書内に存在しない場合にその文書は原本ではないと判定するステップとを含む文書を原本として認証する方法をコンピュータに実行させる命令を格納できる。コンピュータ可読媒体では、この方法は、さらに、文書のレイアウトを原本のレイアウトと比較するステップ、及び文書のレイアウトが原本のレイアウトに対応している場合にその文書は原本であると判定するステップを含むことができる。コンピュータ可読媒体では、この方法は、さらに、文書が原本であると判定したかどうかを示すメッセージを表示するステップを含むことができる。
【0016】
随伴する図面は、説明とともに、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成するが、本発明の原理を説明するために使用される。図面は以下で説明される。
【実施例】
【0017】
図1は、一般的に人間の目には隠されている機密保護潜像2を持つ文書1を例示する図である。図1では、背景領域3は、高い線数で印刷されるのが好ましい。画像2は、所定の密度により第1の色4で印刷され、さらに所定の密度により第2の色5で印刷される。その結果、画像2は人間の目には第3の色として映る。背景領域3は、第3の色又は第3の色に似た色で印刷され、そのため、画像2は人間の目にははっきりとしない。
【0018】
画像2は、所定のピッチ及び太さを持つ線6を印刷することなど、第1の色4を印刷することにより形成することができる。その後、第2の色5を、画像2のネガ画像を使用するなどして、所定のピッチ及び太さの線5の間に第2の色を入れた線7を印刷することなどにより印刷することができる。当業者であれば、線6及び7は、レーザプリンタなどを使用することなどにより、1回の印刷処理作業で印刷できることを理解するであろう。さらに、例示のため2色のみについて説明しているが、当業者であれば、6色以上を含む、2色よりも多い色を使用できることを理解するであろう。
【0019】
線6及び7の密度は、ピッチ(線間の距離)、線6と7の太さを制御するか、又は線6及び7を印刷するために使用される、インクなどの、媒体の密度を制御することにより、制御することが好ましい。線6及び7の密度は、線6及び7に対し選択された色、媒体の密度、線の太さ、及び画像2の所望の見かけに応じて、5%から95%までの範囲とすることができる。一実施例では、線6に対し赤色、線7に対し緑色として、線6及び7のそれぞれについて50%の密度を使用することができる。さらに、一実施例では、線6及び7は、背景3を印刷するために使用される角度と異なる角度で印刷することもできる。
【0020】
画像2は、2色を明示するために画像を拡大するか、又は2色のうちの1色を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。文書1がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像2は実質的に複写で再現されない。特に、文書1の複写は、原本1と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域3を含み、画像2を含まない。画像2の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0021】
図2は、人間の目には隠されているように見える機密保護潜像14を持つ文書10を例示する図である。図2に例示されているように、文書10は、2.54cm(1インチ)約175本以上などの高線数の線12を含む背景領域11を持つのが好ましい。線12は、着色しているのが好ましい。画像14は、ほぼ同じ線数であるが、線12とは異なる角度の線を含むのが好ましい。線12及び/又は15は、線、ドット、又はスポットでよい。
【0022】
図2の概念の実装例では、線12は、2.54cm(1インチ)当たり280本の線数、角度30度、青色で印刷することができ、線14は、2.54cm(1インチ)当たり280本の線数、角度45度、青色で印刷することができる。
【0023】
画像14は、線15を明示するために画像を拡大するか、又は線15を明示するために線12を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。文書10がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像14は実質的に複写で再現されない。特に、文書10の複写は、原本10と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域11を含み、画像14を含まない。画像14の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0024】
図3は、潜像22を持つ文書20を例示する図である。文書20は、2.54cm(1インチ)当たり175本以上などの第1の線数、及び所定の角度で印刷されるのが好ましい背景領域21を含む。画像22は、背景領域21の線数よりも小さい線数で印刷されるのが好ましい。領域21内の線24の線数は、画像22内の線23のスクリーン線数の2倍以上であるのが好ましい。領域21内の線数は、画像22内の線23の線数よりも少なくとも3倍多いのが、より好ましい。線22の角度は、線24の角度と少なくとも5度だけ異なる角度であるのが好ましい。線24及び23の幅は、文書の連続的な見てくれのよい外観を与えるように選択することができる。線24及び23は、両方とも、同じ色を持つのが好ましい。
【0025】
図3に例示されている原理を使用する機密保護文書の実装例では、背景領域21内の線24は、2.54cm(1インチ)当たり少なくとも175本の線数、好ましくは、2.54cm(1インチ)当たり少なくとも300本の線数、45度の角度で線幅0.00635cm(0.0025インチ)を持つことができ、画像14内の線23は、2.54cm(1インチ)当たり100〜133本の線数、好ましくは、30度の角度で2.54cm(1インチ)当たり95本の線数を持つことができる。
【0026】
図4は、複数の高線数部分と低線数部分を持つ専用機密保護画像33を含む文書30を例示している。図4に例示されているように、文書30は、背景領域31を持つのが好ましい。画像33は、高線数から低線数の範囲の線35を含む第1のセグメント34及び低線数から高線数の範囲の線37を含む第2のセグメント36を含むことが好ましい。第1及び第2のセグメント34及び36のそれぞれについて2つのセグメントが示されているが、いずれかのセグメント34及び36について1つのセグメントを含む、任意の個数のセグメントを使用することができる。セグメント34及び36のそれぞれの線数は、直線的又は非直線的に連続して、又はセグメント34及び36のそれぞれの一方の端点から反対側の端点まで一段ずつ変化することができる。線35及び37はそれぞれ、黒で、又は任意の色で印刷することができる。
【0027】
画像33が従来の複写又は走査デバイスにより再現された場合、再現された画像はモアレ・パターンなどの著しい歪みを示すのが好ましい。
【0028】
図5は、バー・コードの形の潜像43を含む文書40を例示する。図5に例示されているように、文書40は、所定の線数及び所定の角度の線42を含む背景領域41を含む。画像43は、バー・コード・リーダーにより読み取り可能な情報を含むことができるバー・コードを形成することができる複数のバー44を含むのが好ましい。バー44は、所定の線数の線45を含むのが好ましく、これは、線42と同じ線数とすることができる。線45は、図3の構造で説明されているように、線42と異なる角度で印刷できるのが好ましいか、又は線45及び42は、図2及び図1の構造で説明されているように類似の色で印刷することができる。再現することができないバー・コード潜像を実現する適当な手法を使用することができる。図5の概念による構造例では、線42及び45は、それぞれ、2.54cm(1インチ)当たり150から400本の範囲の線数である、同じ線数で印刷することができる。
【0029】
画像43は、線45を明示するために画像を拡大するか、又は線45を明示するために線42を選択的に選り分ける読み取りデバイスを使用して検出することができる。その後、バー・コード・リーダーで、バー・コードを検出し、バー・コードから情報を読み取ることができる。バー・コードにより与えられる情報は、文書識別情報又はその他の機密保護情報を含むことができる。
【0030】
文書40がカラーコピー機などの従来の複写又は走査デバイスにより複写又は走査される場合、画像43は実質的に複写で再現されない。特に、文書40の複写は、原本40と同じ色調であっても、文書全体にわたって背景領域41を含み、画像43を含まない。画像43の有無を利用して、文書が原本であるか複写であるかをそれぞれ判定することができる。
【0031】
図6は、パターンを引き起こす歪み又はモアレを含む画像52を含む文書50を例示する。図6に例示されているように、文書50は、背景部分51を含む。画像52は、所定の線数の線57を含む背景部分53及び所定の線数57よりも多い又は少ない可能性のあるさまざまな線数を持つ複数の部分54、55、及び56を含むのが好ましい。例えば、部分54、55、及び56の線数は、2.54cm(1インチ)当たり約175本以上などの1つ又は複数の高い線数で印刷できるが、背景部分53は、2.54cm(1インチ)当たり約100〜135本などの低い線数で印刷することができる。代替えとして、多線数部分は、ある領域内の高線数から高線数領域の隣の領域内の低線数までの範囲とすることができる。
【0032】
図7A及び図7Bは、媒体上に含まれる情報の再現を実質的に停止する媒体上に印刷されている画像を例示している。図7Aに例示されているよう、紙などの媒体701は、スキャナ、ファクス機、及びレーザー・コピー機と干渉するのが好ましい印刷画像702及び703を含む。印刷画像702により表される印刷画像の第1の集合は、ネガ形式の黒などの暗色で印刷することができる。その後、印刷画像703により表される印刷画像の第2の集合は、第1の印刷画像702のコンタクト・ポジティブであるのが好ましく、銀色インクなどの反射インクで印刷することができる。代替えとして、図7Bに例示されているように、これらの色のうちの1つを、無地色画像706として媒体705のすべてにわたって印刷することができる。その後、それぞれ、第1の画像の形態に応じて、ネガ形式又はポジ形式の画像の第2の色を、画像706の上に印刷することができる。図7A及び7Bの両方において、媒体702及び705を再現すると、それぞれ、黒色複写を生じ、媒体702及び705上の情報はそれぞれ読み取り不能になる。
【0033】
当業者であれば、図1〜7Bで説明されている任意の数の機密保護画像を単一の文書上に別々に又は組み合わせて提示することができる。図8Aは、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52を含む文書100を例示している。図8Bは、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52を含む識別カード200を例示している。
【0034】
版下は、その版下の一部に機密保護画像を貼り付けて、原本を複写と区別できるようにすることができる。
【0035】
図9は、文書100又はカード200内の機密保護画像を検出するために使用することができる読み取りデバイスの構成例を示している。図9に例示されているように、機密保護画像1007を含む文書1001は、拡大した画像を走査ユニット1003に供給する拡大ユニット1002により拡大することができる。機密保護画像1007は、図1〜5に例示されている手法の1つ又は複数に従って形成することができる。拡大ユニット1002は、当業者に知られているように従来の拡大デバイスとすることができ、また走査ユニット1003と一体となるように形成されるか、又は走査ユニット1003とは無関係なものとすることもできる。拡大ユニット1002を使用すると、光学的拡大及び/又はデジタル方式による拡大が可能であり、これは当業者には知られている。好ましい拡大デバイスは、文書画像の100%未満を文書画像の最大1000%まで拡大する機能を備える。
【0036】
走査ユニット1003は、写真のデジタル画像を供給するか、又はテキスト走査からの電子ワードプロセッサ文書を供給することができる走査ユニットを含む、従来の任意のタイプの走査ユニットとすることができる。走査ユニット1003は、写真及びテキスト・スキャナ、写真コピー機、ファクシミリとともに使用するのに好適なタイプのものとすることができる。走査ユニット1003は、デジタル表現などの文書1001及び機密保護画像1007の走査結果の走査表現を生成し、この情報をマイクロプロセッサ1004に供給することが好ましい。走査ユニット1003は、マイクロプロセッサへの送信に先立って走査表現を格納しておくために使用することができる、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、書き込み可能CDドライブなどの1つ又は複数の記憶デバイス(図には示されていない)を含むことができる。
【0037】
マイクロプロセッサ1004は、文書1001、特に機密保護画像1007の走査表現を処理する。マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサ1004に関連するメモリ内にすでに格納されている原本の表現と突き合わせて文書の走査表現を比較する検証ソフトウェアを含むのが好ましい。代替えとして、マイクロプロセッサ1004は、Webサイト又は安全な通信リンクなどを通じて、離れた場所から原本の表現を取り出すこともできる。マイクロプロセッサ1005は、この比較の結果をディスプレイ1005に供給することができる。
【0038】
マイクロプロセッサ1004は、さらに、有効な文書又はIDカードが検出されたときにユーザに対しアクセス権を与えるようにアクセス・デバイスに命令を送ることもできる。当業者であれば、アクセス・デバイスは、防護ドアを通じての部屋又は建物へのアクセス及び安全なアクセス・ポート又はファイヤウォールを通じてのデータベース上に格納されている情報へのアクセスを含むか、又は単に、金融取引を完了するためのアクセスを含むだけでよいことを理解するであろう。走査文書1004が原本でないとマイクロプロセッサ1004が判断した場合に、アクセスが拒絶されることが好ましい。
【0039】
図10は、図9に示されている読み取りデバイスを使用して有効な原本を検出する方法例を示している。図10に例示されているように、文書1001の走査表現及び対応する原本の表現は、ステップS1でマイクロプロセッサにより取り出される。ステップS2で例示されているように、マイクロプロセッサ1004は、文書1001の走査表現を調査して、所定の機密保護画像が走査文書内に存在するかどうかを判定し、所定の機密保護画像は、図3の原理に従って構成された画像などの文書の複写内に再現されることを予期されていない機密保護潜像である画像であることが好ましい。所定の機密保護画像が文書1001内に存在しない場合、ステップS2でNOであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本でないと判定し、「COPY」又は「INVALID」又は類似の命令を表示するようにディスプレイ1005に命令することができる。
【0040】
所定の機密保護画像が文書1001内に存在する場合、マイクロプロセッサ1004は、その文書が原本であることを指示するか、又はセキュリティを高めた対策として、マイクロプロセッサ1004は、ステップS3に例示されているように、走査文書1001のレイアウトを分析することができる。レイアウトの分析は、印刷画像、つまり可視画像と潜像の両方の配置の分析、白黒領域を含む色の分析、及び/又は画像の線の線数、ピッチ、及び/又は角度の分析を含むことができる。走査文書1001のレイアウトは、ステップS4に例示されているように、原本の予期されるレイアウトと比較される。走査文書1001のレイアウトが原本の予期されるレイアウトと一致しない場合、ステップS4でNOであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本でないと判定し、「COPY」又は「INVALID」又は類似の命令を表示するようディスプレイ1005に命令することができる。このレイアウトが予期されるレイアウトと一致する場合、ステップS4でYESであり、マイクロプロセッサ1004は、走査文書1001が原本である、又は有効な文書であると判定し、「ORIGINAL」又は「VALID」又は類似の命令を表示するようディスプレイ1005に命令することができる。
【0041】
図11は、文書上に形成されたバー・コード画像を読み取るためのデバイス例を示している。図11に例示されているように、文書2001は、人間の目には隠されているバー・コード画像2007を含むのが好ましい。拡大ユニット1002は、バー・コード画像2007を拡大し、拡大された画像をバー・コード・リーダー2003に供給するのが好ましい。バー・コード・リーダー2003は、複数の実質的に平行な線を読み取り、複数の実質的に平行な線のピッチ、線数、及び太さのうちの少なくとも1つを検出することができる従来のバー・コード・リーダーであるのが好ましい。バー・コード・リーダー2003は、検出された情報をマイクロプロセッサ2004に供給し、このマイクロプロセッサは、検出された情報を使用して、バー・コード画像2007に記録されている情報の内容を判別する。記録されている情報は、識別カードを文書2001として使用する個人の名前など文書2007の信憑性及び同一性の情報を含むのが好ましい。
【0042】
マイクロプロセッサは、バー・コード2007を帯びた文書2001を図10に例示されているのと同じ方法で認証することができ、その場合、バー・コード2007及びバー・コード2007により記録されている対応する情報は、ステップS2で検出された機密保護画像の1つであるのが好ましい。例えば、セキュリティを高めた対策として、バー・コード2007を他の機密保護画像とともに、また文書2007のレイアウトとともに使用して、文書2007が原本であるか、又は有効な文書であるかを判定することができる。この方法では、偽造文書又は複写文書は、その中のバー・コード2007が正常に再現されている可能性があるとしても、アクセスは拒絶される。
【0043】
図9及び11のそれぞれに例示されているアーキテクチャは、単一のデバイス又は複数のデバイス内に全体として含まれるようにでき、また図9及び11のアーキテクチャに関連する機能は、プログラム可能なソフトウェアにより実行することができる。さらに、図10に例示されているオペレーションは、ROM又はRAM又は他のメモリなど、それぞれマイクロプロセッサ1004又は2004に関連付けられた内蔵又は外付けメモリ(図に示されていない)上のプログラム可能なソフトウェアにより実行することができる。図10に例示されているオペレーションを実行するソフトウェアは、コンピュータ可読媒体でデータの形で具現化することができる。本開示の範囲内のコンピュータ可読媒体は、適切に構成されたコンピュータ又は移動体通信デバイス及び、限定はしないが、読み込み可能/書き込み可能光ディスク、磁気ディスク、読み込み可能/書き込み可能カード、磁気テープ、有線又は無線の電気的伝送信号、又は電気及び/又は電磁信号を使用するデータの光伝送を含む、コンピュータ又はステーションの関連する周辺デバイスにより読み取り可能な形態で情報を搬送することが可能である、物理的な、又は形而上学的な任意の媒体を含む。プログラム可能なソフトウェアに関連するデータは、パケット化されたデジタル・データの形態とすることができる。
【0044】
図12は、文書100上の導電性画像1200の例を示しており、図1〜7に関連して説明されている、複数の機密保護画像1、10、20、30、40、及び52も含む。導電性画像1200の例は、導電性トレース1202により接続される、少なくとも2つの接触領域1201を含むのが好ましい。好ましい構成では、接触領域1201及び導電性トレース1202は、画像の要素であること及び/又は埋め込まれていることにより視界から隠されるか、又はわかりにくくなるようにできる。導電性画像1200は、文書の有効性を検証するために使用することができる。当業者であれば、接触領域1201及び導電性トレース1202は、金属製パッド、金属片、導電性インク、又は適当な導体材料などの適当な導電性媒体で作ることができる。
【0045】
図13は、文書を検証するために導電性画像1200とともに使用できる読み取りデバイス例1300を示している。読み取りデバイスは、ペンの形状であるのが好ましい。読み取りデバイス例1300は、電線1303の間に電圧を掛けて導電性トレース1200を持つ有効な文書100にプローブを差した場合に電流がプローブ1304に流れるようにするコントローラ1301を含むのが好ましい。プローブが接触領域1201上に、領域毎に1本ずつ置かれると、供給される電流はプローブ1304の1つ、接触領域1201の1つ、導電性トレース1202を通り、他の接触領域を通って他のプローブへと流れ、再び、電線1303を通ってコントローラ1301に戻る、つまり、1つの電気回路を完成するのが好ましい。電流が一方のプローブ1304から他方のプローブへ導電性トレース1202内を通って流れる場合に点灯し、有効な文書であることを示す、インジケータ・ライト1302が用意されるのが好ましい。当業者であれば、インジケータ・ライト1302は、十分な大きさの電流又は電圧を受けたときに点灯する、1つ又は複数の単色LED、又は複数の色のLEDで構成できることを理解するであろう。例えば、読み取りデバイス1300上の作動スイッチ(図に示されていない)が押されると、回路が完成している(有効な文書が検出されている)場合には緑色に点灯し、回路が完成していない(文書が有効でない)場合には赤色に点灯するか、まったく点灯しない。
【0046】
当業者であれば、さらに、インジケータ・ライト1302は、導電性トレースの電流又は電圧の大きさ又は測定された抵抗値など受けた電流に基づくさまざまな属性を表示することができる、従来の電圧計などのインジケータ・ディスプレイで置き換えることができ、またそれらの値はどれも、文書が有効であるかどうかを判定するために使用することができることを理解するであろう。
【0047】
図14及び15は、文書の違法デスクトップ・パブリッシングを検出し阻止する実施例を示している。図14に例示されているように、走査ユニット1403により走査される文書1401は、機密保護画像1407を含むことができる。機密保護画像は、本出願の図1〜9に関連して説明されている原理に従って作成される画像とするのが好ましい。マイクロプロセッサ1404は、メモリ1412内に、米国通貨(例えば、米国100ドル紙幣)などの禁止画像のリストを格納するのが好ましく、また所定の隠されている、又は隠されていない機密保護画像、禁止画像又は禁止画像の選択された部分のレイアウト、禁止画像上の隠されている、又は隠されていない作品又はバー・コード、禁止画像の所定の部分又は全部の線密度、線種(例えば、線、ドット、スポット)、線パターン、及び線色などの線特徴のうちの少なくとも1つなど、禁止画像の複数の属性を格納するのが好ましい。
【0048】
マイクロプロセッサは、図15のステップS151に例示されているように、Webベースのサーバ1420からインターネットを通じて、又はハード・ドライブ、CD、DVD、又はフロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、メモリ・カード/スティック又は有線及び/又は無線通信などの内部又は外部ソースから画像を受け取ることができる。ステップS152に例示されているように、受け取った画像は、その画像が画像を禁止画像に指定する所定の機密保護画像を含んでいるかどうかを判定するため評価される。画像が所定の機密保護画像を含まない場合、ステップS152でNOであり、ステップS153に例示されているように、上記の禁止文書に一意に関連付けられていることが好ましい1つ又は複数の所定の属性の存在を検出することにより文書が評価される。画像が再現すべき禁止画像であると判定されない場合、マイクロプロセッサ1404は、画像を印刷する命令をプリンタ1414に送る。
【0049】
禁止画像が検出された場合、ステップS152及びS154でYESであり、マイクロプロセッサ1404は、プリンタ1414が文書を再現するのを抑制し、違法活動の試みを記述した違法活動文書化情報をメモリ1412上のログに格納するのが好ましい。違法活動文書化は、捜査当局がデータベースを開いて、違法活動を調査できるようにメモリ1412内に保持されるのが好ましい。格納された違法活動文書化情報は、文書の画像、文書の画像のソースの識別(例えば、Webサーバ、スキャナなどからの)、コンピュータ識別及びユーザ・アドレスなどのユーザ識別、及び違法活動が試みられた日時など、再現が試みられた文書の識別を含むことができる。違法活動文書化は、さらに、Webアドレスなどの電子メール及びインターネットからの違法文書の経路、及びユーザが特定のWebサイトに費やした時間の長さ、スクリーン・ネーム、及び文書の出所であるサーバの識別を含むこともできる。Webサイトをホスティングするサーバは、同じプログラムを持つ、又は専用ガード・チップを持つなどの同様にプログラムされたマイクロプロセッサを含むのが好ましい。ユーザがインターネットにログオンした場合、マイクロプロセッサ1404は、さらに、通信ソフトウェア又はデバイス1410を使用してユーザが知らないうちに、又はユーザが開始することなく捜査当局のサーバ1421に接続することにより捜査当局との暗黙の通信を開始し、違法活動文書化情報を送信するようにもできる。ユーザがインターネットにログオンしない場合、マイクロプロセッサ1404では、次回又は後でログオン・オペレーションが実行されたときに通信を行わせるのが好ましい。マイクロプロセッサ1404では、さらに、違法オペレーションが検出されたときに他のコンピュータから文書を受け取った場合に、このマイクロプロセッサが常駐するコンピュータ(図に示されていない)をシャットダウンする、及び/又はこのコンピュータに電子メールシステムをシャットダウンさせることもできる。
【0050】
本発明は、本発明の精神又は本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形式で実現することが可能である。したがって、本発明の実施例は、あらゆる点において、例示を目的とし、制約を目的としていないと考えられ、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、付属の請求項により示され、それ故請求項の意味及び等価性の範囲内にあるすべての変更は本明細書に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】機密保護潜像を持つ文書を例示する図である。
【図2】人間の目には隠されている機密保護潜像を持つ文書の他の実施例を例示する図である。
【図3】潜像を含む文書の他の実施例を例示する図である。
【図4】専用機密保護潜像を含む文書を例示する図である。
【図5】バー・コードの形の潜像を含む文書を例示する図である。
【図6】パターンを引き起こす歪み又はモアレを含む画像52を含む文書50を例示する図である。
【図7A】媒体上に含まれる情報の再現を禁止する安全媒体例を示す図である。
【図7B】媒体上に含まれる情報の再現を禁止する安全媒体例を示す図である。
【図8A】複数の機密保護画像を含む文書を例示する図である。
【図8B】複数の機密保護画像を含む文書を例示する図である。
【図9】文書中の機密保護画像を検出するための読み取りデバイス例を示す図である。
【図10】図9の読み取りデバイス例を使用して文書が原本であることを認証する方法例を示す図である。
【図11】バー・コードを潜像として検出することができるバー・コード・リーダー例を示す図である。
【図12】導電性画像例を含む文書を例示する図である。
【図13】導電性画像で文書を検証するための検証デバイス例を示す図である。
【図14】文書の違法公開を検出するための装置例を示す図である。
【図15】文書の違法公開を検出するための方法例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を伴う文書であって、
前記画像に含まれる第1の接触領域と、
前記画像に含まれ、前記第1の接触領域に接続される導電性トレースと、
前記画像に含まれ、前記導電性トレースに接続される第2の接触領域とを含む画像を伴う文書。
【請求項2】
前記第1の接触領域、前記導電性トレース、及び前記第2の接触領域のうちの少なくとも1つが前記画像の非導電性部分によりわかりにくくされる請求項1に記載の文書。
【請求項3】
導電性画像を含む文書の妥当性を確認するための装置であって、
前記導電性画像のそれぞれの接触部分と接触するように構成されている複数の電気接点と、
前記複数の電気接点間に電圧を掛けるように構成されたコントローラと、
電流が前記導電性画像を通じて前記複数の接点間を通る場合に有効な文書であるという指示を与えるように構成されたディスプレイとを備える装置。
【請求項4】
前記ディスプレイはライトを備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電気接点、前記コントローラ、及び前記ディスプレイは、単一の筐体に収納される請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記導電性画像は、所定の抵抗を有する導電体を持ち、前記文書は、所定の抵抗、所定の電圧、又は所定の電流のうちの少なくとも1つが前記コントローラにより測定された場合に原本であると判定される請求項3に記載の装置。
【請求項1】
画像を伴う文書であって、
前記画像に含まれる第1の接触領域と、
前記画像に含まれ、前記第1の接触領域に接続される導電性トレースと、
前記画像に含まれ、前記導電性トレースに接続される第2の接触領域とを含む画像を伴う文書。
【請求項2】
前記第1の接触領域、前記導電性トレース、及び前記第2の接触領域のうちの少なくとも1つが前記画像の非導電性部分によりわかりにくくされる請求項1に記載の文書。
【請求項3】
導電性画像を含む文書の妥当性を確認するための装置であって、
前記導電性画像のそれぞれの接触部分と接触するように構成されている複数の電気接点と、
前記複数の電気接点間に電圧を掛けるように構成されたコントローラと、
電流が前記導電性画像を通じて前記複数の接点間を通る場合に有効な文書であるという指示を与えるように構成されたディスプレイとを備える装置。
【請求項4】
前記ディスプレイはライトを備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電気接点、前記コントローラ、及び前記ディスプレイは、単一の筐体に収納される請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記導電性画像は、所定の抵抗を有する導電体を持ち、前記文書は、所定の抵抗、所定の電圧、又は所定の電流のうちの少なくとも1つが前記コントローラにより測定された場合に原本であると判定される請求項3に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−521721(P2006−521721A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502889(P2006−502889)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001360
【国際公開番号】WO2004/068421
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505284873)ドキュメント セキュリティー システムズ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001360
【国際公開番号】WO2004/068421
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505284873)ドキュメント セキュリティー システムズ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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