説明

機械的および骨形成固定手段を備える外科用留め具

本願は、生体内での安定性および長期間の性能を最大限にするために機械的手段および骨形成手段(40)を組み合わせる、外科用留め具(20)の様々な実施形態を開示する。留め具は、一般に、頭部(21)および軸部(22)を備える。留め具(20)は、窓を有し、かつ、軸部に沿って1つまたは複数の開口部内へと続く通路を備える。骨空所充填材料が、係留を改善するために通路を通して軸部へと送達される。一実施形態では、骨形成手段(40)は、骨への付着を改善するために留め具に適用された被覆を備える。組み合わされた機械的および骨形成手段を有する留め具は、初期の即座の係留および長期間の係留をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、患者内に取り付けるための外科用留め具(ファスナ)に関し、より詳細には、短期間および長期間の係留を高めるための機械的および骨形成手段を備える、外科用留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎は、頚部、胸部、腰部、および仙尾部を含む、4つの区域に分けられる。頚部は、C1〜C7として識別される上から7個目までの椎骨の部分を含む。胸部は、T1〜T12として識別される次の12個の椎骨を含む。腰部は、5個の椎骨LI〜L5を含む。仙尾部は、仙骨および尾骨を形成する9個の融合した椎骨を含む。脊椎の椎骨は、頚部湾曲、胸部湾曲、および腰仙部湾曲を含む、湾曲した構成で整列している。
【0003】
様々な形式のインプラントは、1つまたは複数の椎骨を支持すること、椎骨および/または椎間板を置換すること、運動をもたらすこと、または脊椎を強化することを含む、様々な機能のために患者内に埋め込むことができる。インプラントの例は、ロッド、プレート、および椎間部材を含む。
【0004】
留め具は、インプラントを椎骨に取り付けるために使用される。留め具は、椎骨のうちの1つの内部に取り付けられる第1の区間、および、インプラントに係合する第2の区間を備えることができる。留め具は、インプラントの位置を維持するための強力な係留具を提供するように、椎骨に取り付けられるべきである。留め具は、挿入時に即座の短期間の係留をもたらすことができ、かつまた、インプラントの耐用期間にわたる長期間の係留をもたらすことができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、生体内での安定性および長期間の性能を最大限にするために機械的手段と骨形成手段を組み合わせる、外科用留め具の様々な実施形態を開示する。留め具は、一般に、頭部および軸部を備える。留め具は、窓を有し、かつ、軸部に沿って1つまたは複数の開口部内へと続く通路を備える。係留を改善するために、骨空所充填材料が、通路を通して軸部に沿った1つまたは複数の区間へと送達される。一実施形態では、骨形成手段は、骨への付着を改善するために留め具に適用される被覆(コーティング)を含む。機械的および骨形成手段を備える留め具は、初期の即座の係留、および長期間の係留をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本願は、機械的固定手段と骨形成固定手段とを組み合わせる、外科用留め具に関する。留め具は、軸部に沿って1つまたは複数の開口部内へと続く通路を備える。係留を改善するために、骨空所充填材料が、通路および開口部を通して椎骨へと送達される。留め具は、骨への付着を改善するための骨形成手段をさらに備える。組み合わされた機械的および骨形成手段を有する留め具は、初期の即座の係留および長期間の係留をもたらす。
【0007】
図1は、椎骨100内に取り付けられた、全体が20として示される留め具の一実施形態を示す。この実施形態では、各留め具20は実質的に同じであるが、多数の留め具20を有する実施形態は、様々な留め具20を備えることができることを理解されたい。図1の留め具20は、近位端にある頭部21と、遠位端にある先端部23にて終端する、軸部22とを備える。ねじ山24が、軸部22に沿って延び、挿入中に椎骨100内に食い込む。頭部21は、椎骨100から外側に延びる。この実施形態では、鞍状部(サドル)29が、脊椎ロッド(図示せず)を受けるために頭部21に取り付けられる。
【0008】
図2は、頭部21内を入口27から先端部23に向かって延びる、通路26を示す。通路26は、留め具20の長さ全体に延びることができ、または先端部23より内側で終端することができる。開口部25は、通路26と連通し、軸部22の骨空所充填区間31内に配置される。この実施形態では、開口部25を有する骨空所充填区間31は、留め具20の遠位端に配置される。開口部25は、軸部22の外面の周りに骨空所充填材料30を分配するために、軸部22の円周の周りに配置することができる。開口部25の個数およびサイズは、使用される状況に応じて変えることができる。開口部25はまた、先端部23に配置することができ、または先端部23から間隔をおいて配置することができる。有窓外科用留め具の実施形態は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,554,830号および同第6,565,572号において開示されている。
【0009】
骨空所充填区間31は、椎骨100の内部に配置される軸部22に沿って構成される。骨空所充填材料30は、留め具20が海綿骨組織に接触するところの、連結および係留強度を高める。骨空所充填材料30は、高齢のリウマチまたは骨粗鬆症患者などにおける、弱化した骨にとって特に有効である。骨空所充填材料30は、開口部25を通って押し出され、軸部22の骨空所充填区間31を取り囲む。骨空所充填材料30は、海綿骨組織内の空間に閉じこめられるので、周囲の軟組織との接触は最低限に抑えられ、またはなくなる。
【0010】
留め具20を係留するために、様々な骨空所充填材料30を使用することができる。骨空所充填材料30の例は、骨セメント、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、リン酸カルシウム(CaP)、脱灰骨基質(DBM)、リン酸二カルシウムマトリックス、血小板ゲル、自家移植片、同種移植片、担体マトリックス内の骨形成タンパク質(BMP)、リン酸カルシウムベースの材料、メトマタクチュロイド(methomathactuloid)、頭蓋形成用セラミック、ポリマー、硫酸カルシウム、あるいは、上記組合せのうちの1つまたは複数を含む。
【0011】
軸部22の骨形成区間41は、骨形成材料40を含む。骨形成材料40は、椎骨100の外殻にある皮質骨組織との連結を改善する。骨形成材料40は、皮質骨組織、または皮質骨および海綿骨組織に接触するように配置することができる。図1および図2は、軸部22の近位区間に沿って配置された骨形成区間41を有する、実施形態を含む。骨形成材料41は、椎骨100の内部にある海綿骨組織に加えて、外部にある皮質骨組織に接触するように、軸部22の細長部分に沿って配置される。
【0012】
骨形成材料40は、椎骨100への付着を改善するために留め具20に塗布される。骨形成材料40は、骨適合性とすることができ、かつ、骨伝導性および/または骨誘導性とすることができる。材料40は、異種または同種とすることができる。骨形成材料40の例は、ヒドロキシアパタイト、BMPなど骨誘導性物質、LIM石灰化タンパク質(LMP)、骨誘導性ペプチド、成長因子、抗生剤など薬剤、鎮痛薬、抗炎症薬、ステロイド、形質転換成長因子β1など骨形成組成物、インシュリン様成長因子1、血小板由来の成長因子、線維芽細胞成長因子、治療剤または抗感染剤、あるいは上記の組み合わせのうちの1つまたは複数を含む。
【0013】
一実施形態では、骨形成材料40は、細胞と組織との間の接着および免疫認識を妨げるための、多機能のポリマー材料を含むことができる。材料は、組織結合成分および組織非結合成分を含むことができる。具体的な材料として、ABコポリマー、ABAコポリマー、およびブラシ状コポリマーを含む構造を有する、300より大きい分子量を有するPEG/PLLコポリマーが挙げられる。米国特許第5,462,990号および同第5,627,233号は、様々な材料を開示しており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
骨形成材料40は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許第WO98/47948号において開示されるような、細胞−表面、細胞−細胞、および組織−表面間の相互作用を制御するために生体試料および非生体試料に塗布することができる、グラフト化ポリイオンコポリマーを使用することができる。材料40はまた、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,743,521号において開示されるような、ポリイオン、PEGグラフト化コポリマーの適用を含むこともできる。
【0015】
一実施形態では、材料40は、ポリマー中のPEG(ポリエチレングリコール)またはPEO(ポリエチレンオキシド)など、適当な量のグラフト化された相互作用しない材料を含有する。別の好ましい例は、ポリマーが、リシン、ヒスチジン、アルギニン、またはD、L、もしくはDL型のオルニチン製のポリカチオン性骨格を有する、PEGグラフト化ポリ(アミノ酸)であり、ポリマーが、多糖類、たとえばキトサン、部分的に脱アセチル化されたキチン、および中性多糖類の誘導体を含有するアミンなどカチオン性骨格を有する、PEGグラフト化ポリマーであり、ポリマーが、ポリ(アミノスチレン)、ポリ(アミノアクリレート)、ポリ(N−メチルアミノアクリレート)、ポリ(N−エチルアミノアクリレート)、ポリ(N,N−ジメチルアミノアクリレート)、ポリ(N,N−ジエチルアミノアクリレート)、ポリ(アミノメタクリレート)、ポリ(N−メチルアミノ−メタクリレート)、ポリ(N−エチルアミノメタクリレート)、ポリ(N,N−ジメチルアミノメタクリレート)、ポリ(N,N−ジエチルアミノメタクリレート)、ポリ(エチレンイミン)、ならびに、塩化ポリ(N,N,N−トリエチルアミノアクリレート)および塩化ポリ(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)など第4級アミンのポリマーなどポリカチオン性骨格を有する、PEGグラフト化非ペプチドポリアミンであり、あるいは、ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリアミノ(メタ)アクリレート、ポリアミノスチレン、ポリアミノエチレン、ポリ(アミノエチル)エチレン、ポリアミノエチルスチレン、およびそれらのN−アルキル誘導体などポリカチオン性骨格を有する、PEGグラフト化荷電合成ポリマーである、装置である。
【0016】
別の好ましい例は、コポリマーが、ポリ(エチレングリコール)でグラフト化された、ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸などポリ(アミノ酸)のアニオン性骨格を有するPEGグラフト化コポリマーであり、アミノ酸が、4より高いpHにて、かつ特に中性pHにて骨格に陰電荷を付与し、追加のペンダントカルボキシ基を含有し、あるいはコポリマーが、陰電荷のペンダント基、特にカルボキシレート基を有する、アルギン酸、カラゲナン、フルセララン、ペクチン、キサンタン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ポリ(メタ)アクリル酸、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、およびクロスカルメローゼを含めた天然または人工ポリマー、合成ポリマー、ならびに、マイレン酸またはフマル酸などを骨格内に含有するペンダントカルボキシル基を含有するコポリマーである、装置である。これらの材料の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,567,440号において開示されている。
【0017】
骨形成材料40は、各粒子が一般に直径500nm未満である、ナノ粒子の被覆を使用することができる。ナノ粒子は、タンパク質「変性」、ならびにそれに続く異物反応を低減することができる。ナノ粒子は、金属粒子、炭素粒子、無機化学物質の粒子、有機化学物質の粒子、セラミック粒子、黒鉛粒子、ポリマー粒子、タンパク、ペプチド粒子、DNA粒子、RNA粒子、細菌/ウィルス粒子、ヒドロゲル粒子、液体粒子、または多孔質粒子を含むことができる。すなわちナノ粒子は、たとえば、金属、炭素、黒鉛、ポリマー、タンパク質、ペプチド、DNA/RNA、微生物(細菌およびウィルス)ならびに高分子電解質とすることができる。ポリマーは、デキストラン、ポリメタクリルアミドの誘導体、PEG、マイレン酸、リンゴ酸、およびマイレン酸無水物を含むがこれらに限定されない、水溶性ポリマーのコポリマーを含むことができ、かつ、カルボジイミドとも呼ばれる1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを含めた、これらのポリマーおよび適当な結合材を含むことができる。ポリマーは、分解性もしくは非分解性、または高分子電解質材料のポリマーとすることができる。分解性ポリマー材料は、例として、ポリ−L−グリコール酸(PLGA)、ポリ−DL−グリコール、ポリ−L−乳酸(PLLA)、PLLA−PLGAコポリマー、ポリ(DL−ラクチド)−ブロック−メトキシポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン)ブロック−メトキシポリエチレングリコール(PCL−MePeg)、ポリ(DL−ラクチド−コ−カプロラクトン)−ブロック−メトキシポリエチレングリコール(PDLLACL−MePEG)、いくつかの多糖類(たとえばヒアルロン酸、ポリグリカン、キトサン)、タンパク質(たとえばフィブリノゲン、アルブミン、コラーゲン、細胞外基質)、ペプチド(たとえばRGD、ポリヒスチジン)、核酸(たとえばRNA、DNA、一本鎖または二本鎖)、ウィルス、細菌、細胞および細胞分画、有機または炭素含有材料を含む。非分解性材料は、天然または合成ポリマー材料(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルウレタン、ポリ塩化ビニル、シリカ、ポリジメチルシロキサン、アクリレート、アルキルアミド、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアクロレイン、ポリグルタルアルデヒド)、いくつかの多糖類(たとえば、ヒロドキシプロピル、セルロース、セルロース誘導体、デキストラン(登録商標)、デキストロース、スクロース、フィコール(登録商標)、パーコール(登録商標)、アラビノガラクタン、デンプン)、ならびにヒドロゲル(たとえば、ポリエチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、N−イソプロピルアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリ塩化アルミニウム)を含む。米国特許出願公開第2005/0084513号は、様々なナノ粒子を開示しており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
骨形成材料40は、軸部22の外部に適用される被覆など、様々なやり方で軸部22に塗布することができ、または軸部材料内に含浸させることができる。骨形成材料40は、外科手順の前の時点で適用することができ、または、外科手順の時間中に適用することができる。1つの例では、骨形成材料40は、椎骨100内への取付けの直前に軸部22に塗布される、ペーストとすることができる。
【0019】
骨形成材料40は、骨形成区間41の全体または一部上に適用することができる。軸部22に沿った骨形成区間41の長さおよび位置は、変えることができる。図2は、骨空所充填区間31と長さがほぼ等しい骨形成区間41を有する、一実施形態を示す。図3は、骨空所充填区間31より大きい骨形成区間41を有する一実施形態を示し、図4は、骨空所充填区間31より小さい骨形成区間41を示す。図5は、骨空所充填区間31と骨形成区間41とが離隔されている、一実施形態を示す。開口部25または骨形成材料40を有さない第3の区間51は、骨空所充填区間31と骨形成区間41とを分離する。
【0020】
いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる骨形成材料40が、軸部22に塗布される。異なる骨形成材料40を、軸部22の同じ区間に沿って配置することができ、または分離させることができる。図6は、第2の骨形成区間41bから分離された、第1の骨形成区間41aを有する一実施形態を示す。分離の大きさは、変えることができる。この実施形態では、骨形成区間41aと41bの間に、骨空所充填区間31が配置される。
【0021】
骨空所充填区間31および骨形成区間41は、軸部22の長さに沿って散在させることができる。図7は、軸部22に沿って間隔をおいて配置された、螺旋状の骨空所充填区間31および骨形成区間41を有する、一実施形態を示す。
【0022】
骨空所充填材料30および/または骨形成材料40は、生体内での放出をもたらす治療剤または薬剤を、さらに含むことができる。そのような作用物質は、抗生剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症薬、ステロイド、抗ウィルス剤、および抗レトロウィルス化合物、成長因子、治療用タンパク質またはペプチド、治療用核酸、ならびにそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。様々な作用物質が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0047341号において開示されている。
【0023】
図8A〜図8Dは、留め具20を椎骨100に取り付ける1つの方法を示す。留め具20は、隣接する椎骨100同士の間に配置された椎間板101を横断して延びる、プレート110に取り付けるために使用される。留め具20は、この実施形態では、遠位端にて骨空所充填区間31を備える。区間41の骨形成材料40は、軸部22の近位区間に適用されるヒドロキシアパタイトの被覆を含む。留め具20は、椎骨100内に挿入される。ねじ山24は、椎骨100に食い込み、完全に挿入されると、頭部21の下側が、図8Bに示すようにインプラント110の表面と接触する。
【0024】
留め具20が椎骨100内に挿入された後に、骨空所充填材料30が、骨空所充填区間31に送達される。図8Cの実施形態では、導管71を有するポンプ70が、頭部21内の入口27に取り付けられる。ポンプ70が作動され、骨空所充填材料30が通路26内に送達され、開口部25を通って椎骨100と接触する。ポンプ70が停止させられ、導管71が留め具20から取り外される。
【0025】
ねじ山24は、椎骨100に食い込み、即座の機械的係留をもたらす。骨空所充填材料30は、椎骨100内の機械的な係留を増強するために、さらに送達される。骨形成材料40は、軸部22の近位区間における骨への付着を改善し、これは留め具20の長期的な係留を助長する。
【0026】
様々な異なる留め具20を、本願とともに使用することができる。例として、ねじ切り(ねじ形成)されたねじ、リベット、およびピンが挙げられる。留め具20はさらに、恒久的、半恒久的、または生体吸収性とすることができる、様々な材料で構築することができる。恒久材料の例は、ステンレス鋼、チタン、およびプラスチックを含む。半恒久材料は、マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、およびヒドロキシアパタイトポリマー複合材料を含む。生体吸収性材料の例は、PLA、PLDLA、ポリオルトエステル、およびチロポリカーボネート(tyropolycarbonate)を含む。
【0027】
図1の実施形態は、椎骨の後方側に取り付けられた留め具20を示す。図8A〜図8Dは、前側に取り付けられた一実施形態を示す。留め具20は、頚部、胸部、腰部および/または仙部を含めた、脊椎の様々な区域に適用することができる。さらに、留め具20はまた、患者の別の領域内の係留具として応用することができる。
【0028】
「遠位」という用語は一般に、患者の方向、または装置の使用者から離れる方向として定義される。逆に「近位」とは一般に、患者から離れ、または使用者へと向かうことを意味する。「下の」「下方の」「より低い」「上の」「上方の」など、空間に関する用語は、第2の要素に対する第1の要素の位置を説明するための記載を容易にするために使用される。これらの用語は、図示の向きと異なる向きに加えて、様々な装置の向きを包含することが意図されている。さらに、「第1の」「第2の」などの用語もまた、様々な要素、区域、区間などを記載するために使用されており、限定を意図しない。同様の用語は、明細書全体を通して同様の要素を指す。
【0029】
本明細書で使用する、「有する」、「含有する」、「備える(including)」、「備える(comprising)」などの用語は、述べられた要素または特徴の存在を示すが追加の要素または特徴を排除しない、非限定的な用語である。冠詞の「a」、「an」、および「the」は、そうではないことを文脈が明確に指示しない限り、単数と同様複数も含むことが意図される。
【0030】
本発明は、本発明の範囲および基本的な特徴から逸脱することなく、本明細書で説明した以外の別の特定の方法で実施することができる。したがって本発明の実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味および同等の範囲に含まれる全ての変更は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態による一対の留め具を有する、椎骨を示す断面図である。
【図2】一実施形態による留め具を示す斜視図である。
【図3】一実施形態による留め具を示す側面図である。
【図4】一実施形態による留め具を示す側面図である。
【図5】一実施形態による留め具を示す側面図である。
【図6】一実施形態による留め具を示す側面図である。
【図7】一実施形態による留め具を示す側面図である。
【図8A】一実施形態による、留め具を椎骨内に取り付ける方法を示す側面図である。
【図8B】一実施形態による、留め具を椎骨内に取り付ける方法を示す側面図である。
【図8C】一実施形態による、留め具を椎骨内に取り付ける方法を示す側面図である。
【図8D】一実施形態による、留め具を椎骨内に取り付ける方法を示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、
前記頭部から延びる軸部と、
前記頭部および前記軸部の内部を通って延びる通路と、
前記軸部の遠位区間内に配置され、前記通路と連通する開口部であって、前記通路および前記開口部が、骨空所充填材料を前記軸部の前記遠位区間に送達するような大きさに作られる、開口部と、
前記頭部と前記遠位区間との間で、前記軸部の近位区間に付けられる、骨形成材料とを備える、外科用留め具。
【請求項2】
前記遠位区間および近位区間がそれぞれねじ形成される、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
前記遠位区間が前記軸部の先端部を含む、請求項1に記載の留め具。
【請求項4】
前記遠位区間および前記近位区間の長さが、実質的に等しい、請求項1に記載の留め具。
【請求項5】
前記軸部に沿った第2の区間をさらに備え、前記第2の区間が、前記通路と連通する複数の開口部を備え、前記第2の区間が、前記遠位区間から離隔される、請求項1に記載の留め具。
【請求項6】
前記近位区間が、前記遠位区間と前記第2の区間との間に配置される、請求項5に記載の留め具。
【請求項7】
前記留め具が、第2の骨形成材料をさらに備え、当該第2の骨形成材料が、前記軸部の前記近位区間に付けられ、前記骨形成材料から離隔される、請求項1に記載の留め具。
【請求項8】
前記骨形成材料が、ヒドロキシアパタイトである、請求項1に記載の留め具。
【請求項9】
前記骨形成材料が、骨誘導性を有する、請求項1に記載の留め具。
【請求項10】
前記骨形成材料が、骨誘導性を有する、請求項1に記載の留め具。
【請求項11】
前記骨形成材料が、薬剤をさらに含む、請求項1に記載の留め具。
【請求項12】
頭部およびねじ形成された軸部を備える本体と、
前記本体の内部を通って延びる通路、および前記軸部内の複数の開口部を含む送達ネットワークであって、前記開口部が、骨空所充填材料を分配するために前記通路から延びる、送達ネットワークと、
前記軸部に付けられる骨形成材料とを備え、
前記開口部が、前記軸部の第1の区間内に配置され、前記骨形成材料が、前記軸部の第2の区間内に配置され、前記第2の区間が、前記第1の区間と前記頭部との間に位置する、外科用留め具。
【請求項13】
前記第1の区間が、前記軸部の遠位端に配置される、請求項12に記載の留め具。
【請求項14】
前記第2の区間が、前記頭部から近位方向に延びる、請求項12に記載の留め具。
【請求項15】
前記骨形成材料から離隔された区間にて、前記軸部に付けられる第2の骨形成材料をさらに備える、請求項12に記載の留め具。
【請求項16】
前記骨形成材料が、ヒドロキシアパタイトである、請求項12に記載の留め具。
【請求項17】
前記ヒドロキシアパタイトが、前記軸部を被覆する、請求項16に記載の留め具。
【請求項18】
頭部およびねじ形成された軸部を備える本体と、
前記軸部の第1の区間であって、当該第1の区間が、骨空所充填材料を前記軸部の外部に分配するために、複数の開口部を備える、第1の区間と、
前記軸部の第2の区間であって、当該第2の区画が、前記軸部の外部を被覆する骨形成材料を備える、第2の区間とを備え、
前記第1の区間が前記軸部の遠位端に配置され、前記第2の区間が前記軸部の近位端に配置される、外科用留め具。
【請求項19】
前記留め具が、前記本体の内部を通って延びる通路をさらに備え、前記通路が、前記複数の開口部と流体連通する、請求項21に記載の留め具。
【請求項20】
前記骨形成材料が、ヒドロキシアパタイトである、請求項21に記載の留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公表番号】特表2009−534119(P2009−534119A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506679(P2009−506679)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/066015
【国際公開番号】WO2007/124253
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】