説明

機械部品およびその製造方法

【課題】少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品の信頼性向上を図る。
【解決手段】樹脂材料で形成されたハウジング7の外周面7a1のうち、ブラケット6に対する接着面10にUV処理を施した上で、ハウジング7をブラケット6に対して嫌気性接着剤で固定することにより、両者間に単位面積あたり8N/mm以上の接着強さを得る。UV処理は、光源11から照射される電磁波のうち、波長254nmの電磁波透過率が50%以上の赤外線カットフィルタ12を透過させた電磁波をハウジング7の接着面10に照射することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品およびその製造方法に関し、特に、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種駆動機構や動力伝達機構の軽量化や低コスト化を目的として、その構成要素である機械部品を金属材料で形成したもの(金属部品)から樹脂材料で形成したもの(樹脂部品)に置換する試みがなされている。このような試みの一例として、例えば特開2005−188552号公報(特許文献1)に記載のように、ディスク駆動装置(HDD等)用スピンドルモータのブラケットに固定される流体軸受装置のハウジングを樹脂部品としたものが挙げられる。ところで、この種の流体軸受装置はマイクロオーダーの回転精度を要求されるため、ブラケットに対する流体軸受装置(ハウジング)の固定に際し、各部材に変形や歪みが生じると所期の回転精度を満足できないおそれが高い。そのため、両者の固定手段としては、この種の問題が生じ難い接着を採用するのが通例である。
【特許文献1】特開2005−188552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
両者の接着固定に用いる接着剤としては、熱硬化型接着剤や嫌気性接着剤が一般的である。熱硬化型接着剤は、接合すべき二部品間に必要十分な接着強さを確保し得る反面、硬化のために加熱処理が必要でコスト高となる、硬化時の収縮率が比較的大きいために両者を要求レベル範囲内の精度で固定することが難しい等の問題がある。そのため、近時においては、これらの問題が生じ難い嫌気性接着剤が好適に使用される傾向にある。しかしながら、嫌気性接着剤は二部品間に高い接着強度を確保するのが困難であり、これを用いて接着した二部品で構成される機械部品は信頼性の点で難がある。特に、接合すべき二部品の少なくとも一方が樹脂材料で形成されている場合にはこの問題が顕著となる。
【0004】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品において、二部品間の接着強度を十分に高め、その信頼性向上を図ることを第1の課題とする。また、低コストでありながら、前記二部品間の接着強度を十分に高め得る方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第1の課題を解決するためになされた本発明に係る機械部品は、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなるものにおいて、一方の部品に対する他方の部品の単位面積あたりの接着強さが8N/mm以上であることを特徴とするものである。なお、ここで言う「接着強さ」は、厳密には、JISK6850あるいはJISK6852に規定の「せん断接着強さ」を意味する。
【0006】
一般的な熱硬化型接着剤を用いて少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を固定した場合、二部品間の単位面積あたりの接着強さは8N/mm(=8MPa)程度とされる。そのため、上記のように、一方の部品に対する他方の部品の単位面積あたりの接着強さを8N/mm以上とすれば、熱硬化型接着剤で二部品を接着固定する場合に懸念される前述の問題を回避しつつ、二部品間に必要十分な接着強度を確保することができ、この種の機械部品の信頼性向上が図られる。
【0007】
上記構成は、例えば、樹脂部品(樹脂材料で形成される一方の部品)の接着面にUV処理を施しておくことで得ることができる。樹脂部品の相手部品に対する接着強さは、例えば、エッチング(ケミカルエッチング等のウェットエッチングやショットブラスト等のドライエッチングを含む)によって接着面を粗面化することで、あるいは、接着面を成形する面に微小な凹凸を設けた金型を用いて樹脂部品を射出成形することで高めることができる(アンカー効果)。しかしながら、前者の手法は、マスキングの形成および除去工程が必須であることに加え、エッチングに伴って発生する微小な異物を入念に除去する工程が必要となるからコスト高が顕著となる。また、後者の手法は、脱型をスムーズに行うことが難しくなる、金型の摩耗に起因して所定の凹凸が得られない等の問題がある。これに対し、樹脂部品の接着面にUV処理を施す上記本発明の構成では、これらの問題を排除して相手部品に対する接着強さを、安定的にしかも低コストに高めることができる。
【0008】
ここで、UV処理による接着力向上のメカニズムを簡単に述べておく。まず、紫外線が照射されることによって樹脂表面のC−H結合が切断されると、原子量の軽い水素原子(H)が樹脂表面から引抜かれる。一方、紫外線によって高エネルギーの活性酸素(酸素分子)が樹脂表面に生成され、これが残ったC原子と反応して樹脂表面に酸素に富んだ官能基(C=O結合)を形成する。この種の官能基は表面エネルギーを増大させて親水性を高めるので、その結果、親水性に依存する接着力が向上する。このように、UV処理は、分子レベルで表面改質を行うものであるから、樹脂部品の表面に凹凸が形成されるようなことはない。そのため、UV処理は、接着面以外の領域に施しても特段の問題はない。
【0009】
上記の樹脂部品は、例えば軸受部品とすることができ、さらにこの樹脂部品を含む本発明に係る機械部品は、特に各種寸法精度の要求レベルが高い流体軸受装置の構成部品として好適である。さらに、上記本発明の構成を具備する流体軸受装置は、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えるスピンドルモータ用の軸受装置として好適である。
【0010】
以上の構成を有する本発明に係る機械部品は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、上記第2の課題を解決するためになされた本発明に係る機械部品の第1の製造方法は、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品の製造方法において、樹脂部品の接着面に、波長254nmの電磁波の透過率が50%以上80%以下である赤外線カットフィルタを透過させた電磁波を照射した上で、この樹脂部品に他方の部品を接着固定することを特徴とするものである。
【0011】
UV処理は、例えば、メタルハライドランプに代表されるHIDランプ、低圧水銀ランプ、エキシマランプ等の光源から、紫外線領域波長の電磁波をワークに対して照射することにより行われる。これら各種光源のうち、HIDランプは照射可能距離が長く、処理工程の自由度を高めることができるというメリットがあることから、この種の機械部品に対するUV処理に多用される。しかしながら、HIDランプは、紫外線領域波長の電磁波(紫外線)の他、赤外線領域波長の電磁波(赤外線)を含む光線を照射するものであるから、十分な接着性向上効果を得るべく長時間の処理を行うと、接着面の表面温度が上昇して樹脂部品が熱変形するという問題が生じる。例えば、UV処理中に所定の冷却時間を設けることでこの種の問題を解消することも可能であるが、処理時間が長大化してコスト高を招く。
【0012】
この点、上述のように、波長254nmの電磁波(紫外線)透過率が50%以上80%以下である赤外線カットフィルタを透過させた電磁波を樹脂部品の接着面に照射するようにすれば、UV処理用の光源としてHIDランプを用いた場合であっても、赤外線は赤外線カットフィルタでカットされるので、樹脂部品の熱変形の問題を効果的に回避しつつ、接着面の接着性を高めることができる。また、上記のようにすれば、UV処理中に設けていた樹脂部品の冷却時間が不要となるので、処理時間を短縮して処理コストを低減することが、またあるいは、冷却時間をUV照射時間に置換して更なる接着性の改善効果を得ることができる。また、HIDランプを用いてUV処理を行うことができるから、前述のとおり処理工程の自由度が高く、この種の機械部品にUV処理を行う際に好適である。
【0013】
波長254nmの電磁波透過率が80%以下の赤外線カットフィルタを使用することとしたのは以下の理由による。理論上、波長254nmの電磁波透過率は100%に近いほど好ましいと言える。しかしながら、波長254nmの電磁波透過率が80%を超える赤外線カットフィルタは赤外線の透過率が高くなり、樹脂表面の過昇温(樹脂部品の熱変形)が問題となり、しかも、この過昇温の問題を解消し得るような波長254nmの電磁波透過率が80%を超える赤外線カットフィルタは、技術的な問題から現存しないからである。
【0014】
上記方法で用いる赤外線カットフィルタは、波長800nmの電磁波(赤外線)透過率が10%以上30%以下のものとするのが一層望ましい。現状の技術では、透過率が10%を下回るものは波長254nmの電磁波透過率も低下するため十分な改質効果が見込めず、また、透過率が30%を超えるものであると、熱変形の問題を確実に解消することが困難となるからである。
【0015】
また、上記本発明に係る機械部品は、以下のようにして製造することもできる。すなわち、上記第2の課題を解決するためになされた本発明に係る機械部品の第2の製造方法は、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品の製造方法において、樹脂部品の接着面に、波長254nmおよび波長185nmの電磁波を同時に、かつ両波長の電磁波を何れも積算光量500mJ/cm以上照射した上で、この樹脂部品に他方の部品を接着固定することを特徴とするものである。
【0016】
このように、樹脂部品の接着面に波長254nmの電磁波(紫外線)を照射すれば、上述のとおり、樹脂表面のC−H結合が切断されて原子量の軽い水素原子(H)が樹脂表面から引抜かれる代わりに、樹脂表面に酸素に富んだ官能基(C=O結合)が生成され、この官能基によって親水性が高まる結果、親水性に依存する接着力が向上する。このとき、上記のように、より高エネルギーである波長185nmの電磁波を同時に照射すれば、大気中の酸素をオゾンに変えることができる。オゾンは波長254nmの電磁波を吸収することによってより多くの活性酸素を生成するため、樹脂表面に一層多くのC=O結合を生成することができる。すなわち、波長254nmの電磁波を照射するのと同時に波長185nmの電磁波を照射するようにすれば、相乗効果によって、更なる接着性の改善効果を得ることができる。そして、上記のように、両波長の電磁波を何れも積算光量500mJ/cm以上照射することで、確実に接着性の改善効果を得ることができる。
【0017】
波長254nmおよび波長185nmの電磁波は、低圧水銀ランプを用いることで同時に照射することができる。低圧水銀ランプは、一般に、水銀やアルゴンガスが封入された石英製の発光管(「内管」とも称される)と、内管を覆う石英製の外管とを構成要素として具備するものであるが、これら内管および外管は、合成石英で形成されたものとするのが望ましい。合成石英で形成された管を具備する低圧水銀ランプは、いわゆる普通石英で管が形成されたものに比べて紫外線領域波長の電磁波透過率が高く、高い接着性の改善効果を得ることができるからである。
【0018】
なお、低圧水銀ランプは照射可能距離が比較的長い。そのため、照射可能距離が数mmとされるエキシマランプに比べ処理工程の自由度が高いという利点もある。
【0019】
以上で述べた本発明に係る構成は、樹脂部品を形成するベース樹脂が如何なるものであっても好適であるが、ベース樹脂を液晶ポリマー(LCP)等の芳香族系ポリエステルとした機械部品の場合に特に好適である。一般に、液晶ポリマー等の芳香族系ポリエステルはUV処理による表面改質がされ難く、長時間の処理が必要とされているからである。
【発明の効果】
【0020】
以上に示すように、本発明によれば、少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品において、二部品間の接着強度を十分に高め、その信頼性向上を図ることができる。また、以上に述べた本発明に係る方法であれば、前記二部品間の接着強度を、低コストに高めることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1のハウジング7は、ブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚(図示例は2枚)保持される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
【0023】
図2は、図1に示す流体軸受装置を拡大して示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、一端が開口したハウジング7と、ハウジング7の内周に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部2aを有する軸部材2と、ハウジング7の開口部をシールするシール部材9とを主要な構成部品として備え、ハウジング7の内部空間には潤滑流体としての潤滑油が充満される。なお、以下では、説明の便宜上、ハウジング7の開口側を上側、これと軸方向反対側を下側として説明を進める。
【0024】
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとを備えている。
【0025】
軸受スリーブ8は、例えば焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの円筒状領域が軸方向に離隔して設けられる。2つの円筒状領域には、それぞれ、例えば複数の動圧溝をヘリングボーン形状に配列してなるラジアル動圧発生部が設けられる(図示は省略)。また、軸受スリーブ8の下側端面8bには第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該環状領域には、例えば複数の動圧溝をスパイラル形状に配列してなるスラスト動圧発生部が設けられる(図示は省略)。
【0026】
ハウジング7は、樹脂材料、本実施形態では液晶ポリマー(LCP)をベース樹脂とした樹脂材料で、側部7aと、側部7aの下端開口部を封止する底部7bとが一体の有底筒状に射出成形されたものである。底部7bの内底面7b1には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該環状領域には、図示は省略するが、例えば複数の動圧溝をスパイラル形状に配列してなるスラスト動圧発生部が設けられる。
【0027】
シール部材9は、例えば、黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは樹脂材料でリング状に形成され、ハウジング7の開口部内周に固定される。シール部材9の内周面9aは、軸部2aの外周面2a1に設けられたテーパ面2a2と所定のシール空間S1を介して対向する。
【0028】
以上の構成からなる流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面となる上下2箇所の領域は、それぞれ、軸部2aの外周面2a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、各ラジアル軸受隙間に形成される油膜は、ラジアル軸受面に形成された動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
【0029】
また、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の下側端面8bのスラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの上側端面2b1とスラスト軸受隙間を介して対向し、ハウジング7の内底面7c1のスラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの下側端面2b2とスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、各スラスト軸受隙間に形成される油膜は、スラスト軸受面にそれぞれ形成された動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
【0030】
また、軸部材2の回転時には、上述のように、シール空間S1が、ハウジング7の内部側に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈しているため、シール空間S1内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用により、シール空間が狭くなる方向、すなわちハウジング7の内部側に向けて引き込まれる。これにより、ハウジング7の内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。また、シール空間S1は、ハウジング7の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内では、潤滑油の油面は常にシール空間S1内にある。
【0031】
以上の構成からなる流体軸受装置1において、ハウジング7の外周面7a1の一部又は全領域(本実施形態では図中塗り潰しで示す一部領域)はブラケット6との接着面10とされ、少なくともこの接着面10にUV処理が施された上で、当該ハウジング7は例えばアルミ合金製とされるブラケット6の内周に嫌気性接着剤を用いて固定される。つまり本実施形態では、ハウジング7(流体軸受装置1)とブラケット6とで本発明でいう「機械部品」が構成され、樹脂製とされるハウジング7で「樹脂部品」が構成される。ブラケット6に対するハウジング7の単位面積あたりの接着強さは8N/mm以上とされる。
【0032】
次に、流体軸受装置1のハウジング7を、上記の接着強さでもってブラケット6内周に接着固定するための方法について、ハウジング7の接着面10にUV処理を施す工程を中心に説明する。
【0033】
図3は、ハウジング7の接着面10にUV処理を施す工程を示すものである。同図に示す処理装置は、ハウジング7を回転自在に支持する支持部13と、ハウジング7の外周面7a1(接着面10)から所定量離隔して配置された光源11と、光源11とハウジング7の間に介設されたフィルタ12とで主要部が構成される。光源11は、波長254nmの電磁波と、波長800nmの電磁波とを少なくとも含む光線を照射可能なものとされる。具体的には、HIDランプの一種であるメタルハライドランプを使用している。
【0034】
フィルタ12は、波長254nmの電磁波透過率が50%以上80%以下とされた赤外線カットフィルタであり、本実施形態で用いるフィルタ12は、さらに波長800nmの電磁波透過率が10%以上30%以下のものとされる。フィルタ12は、上記の透過率条件を満たす限り特に限定されず、例えば、ガラス、石英、合成石英等に特定の電磁波をカットあるいは透過するように設計された酸化物系の積層膜処理を施したものや、リン酸に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化ニッケル等を適宜の比率で配合した、いわゆる色ガラスなどが使用可能である。上記の透過率条件を満たす色ガラスの市販例としては、HOYA株式会社製U330を挙げることができる。
【0035】
以上の構成からなる処理装置において、ハウジング7の接着面10にフィルタ12を透過した光線(電磁波)が照射されるように光源11から光線を照射すると、光線に含まれる波長800nmの電磁波、すなわち赤外線はフィルタ12によって適宜カットされるため、接着面10の過昇温、ひいてはハウジング7の熱変形の問題は効果的に解消される。一方、光線に含まれる波長254nmの電磁波はフィルタ12を透過してハウジング7の接着面10に到達する。そして、接着面10のうち、波長254nmの電磁波、すなわち紫外線が到達した周方向領域の表面では、当該領域表面のC−H結合が切断され、原子量の軽い水素原子(H)が引抜かれる代わりに、高エネルギーの活性酸素(酸素分子)が生成され、これが残ったC原子と反応して酸素に富んだ官能基(C=O結合)を生成する。本実施形態では、接着面10の周方向一部領域に対して上記の処理が適切に施された後、支持部13を回転駆動し、接着面10の周方向他領域に対して上記同様の処理を施すことにより接着面10の全面に対してUV処理を施す。そして接着面10に形成された上記の官能基は表面エネルギーを増大させて親水性を高めるので、その結果、親水性に依存する接着強さ(接着力)を向上することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、一の光源11およびフィルタ12を用い、接着面10の周方向一部領域に対してUV処理を施した後、ハウジング7を支持部13で回転駆動させることにより接着面10の全面に対してUV処理を施すようにしているが、光源11およびフィルタ12をハウジング7の周方向で複数設置し、接着面10の全体に亘って同時にUV処理を施すようにしても良い(図示は省略する)。また以上では、部品単体のハウジング7の接着面10にUV処理を施すようにしているが、その他の部材(例えば、軸受スリーブ8)を組み付けたハウジング7の接着面10にUV処理を施すようにしても良いし、完成品状態の流体軸受装置1を構成するハウジング7の接着面10にUV処理を施すようにしても良い。すなわち、上記構成の光源11およびフィルタ12を用いてハウジング7の接着面10全体にUV処理を施すことができれば、その過程は任意に設定可能である。
【0037】
以上のようにしてUV処理が施されたハウジング7の接着面10、あるいはこれに対向するブラケット6の内周面に嫌気性接着剤を塗布し、ブラケット6の内周に流体軸受装置1のハウジング7を接着固定する。嫌気性接着剤が完全硬化すると、ブラケット6に対するハウジング7の単位面積あたりの接着強さは8N/mm(8Mpa)以上とされる。なお、接着剤の塗布に先立って、ハウジング7の接着面10やブラケット6の内周面にプライマーを塗布するようにしても良い。
【0038】
以上に示すように、本発明では、嫌気性接着剤で相互に接着固定されたハウジング7とブラケット6の間の単位面積あたりの接着強さが8N/mm以上とされる。この接着強さは、一般的な熱硬化型接着剤で両者を接着固定した場合と同等、もしくはそれ以上の接着強さである。熱硬化型接着剤で両者を接着固定する際には、硬化のために加熱処理が必要で製造コストが増大し易い、収縮率が比較的大きいために両者を要求レベル範囲内の精度で固定することが難しい等の問題があるが、嫌気性接着剤で両者を接着固定した本発明の構成であれば、このような問題を考慮せずとも足り、しかも両者間に必要十分な接着強度を確保することができるから、流体軸受装置、ひいてはスピンドルモータの信頼性向上が図られる。
【0039】
また、本発明では、上記のような接着強さを、樹脂材料で形成されるハウジング7の接着面10にUV処理を施すことで得るようにしたことから、例えばエッチングによって接着面10を粗面化することで上記の接着強さを得る場合に懸念されるコスト高の問題、また、接着面10の成形面に微小な凹凸を設けた金型を用いてハウジング7を射出成形することで上記の接着強さを得る場合に懸念される品質低下の問題を解消して、両者間の接着強さを安定的にかつ低コストに高めることができる。
【0040】
特に、上記のような流体軸受装置1、ひいてはスピンドルモータは、マイクロオーダーの回転精度を要求される特性上、本発明に係る上記構成は好適である。
【0041】
嫌気性接着剤で相互に接着固定された樹脂製のハウジング7とアルミ合金製のブラケット6の間に、8N/mm以上の接着強さを確保するための方法は上記に限定されず、以下示す態様でハウジング7の接着面10にUV処理を施した上で、このハウジング7の接着面10をブラケット6の内周に嫌気性接着剤で接着固定した場合であっても同様の接着強さを確保することができる。但し、以下では、異なるプロセス、すなわちUV処理工程についてのみ詳述し、その他の工程についての説明は省略する。
【0042】
本発明に係る第2の製造方法は、上記の実施形態ではメタルハライドランプとしていた光源11を低圧水銀ランプに置換すると共に、フィルタ12を省略したものである(図示は省略)。光源11としての低圧水銀ランプは、波長254nmの電磁波と、波長185nmの電磁波とを同時に照射可能なものであり、かつ、内管および外管が合成石英(合成石英ガラス)で形成されたものを用いる。なお、合成石英とは、化学的に合成されたシリカ(SiO)を溶融して生成されるものであり、天然の水晶を溶融して生成されるいわゆる普通石英に比べ純度が高く短波長電磁波(紫外線領域波長の電磁波)の透過率が高い。従ってUV処理に用いる低圧水銀ランプを構成する管の形成材料として好適である。
【0043】
上記構成からなる処理装置において、光源11としての低圧水銀ランプからハウジング7の接着面10に対して光線を照射する。光線は、波長254nmの電磁波の積算光量と、波長185nmの電磁波の積算光量とが何れも500mJ/cm以上となるように照射する。そして、接着面10のうち、光線が照射された周方向領域では、C−H結合が切断されて原子量の軽い水素原子(H)が引抜かれる代わりに、電磁波によって高エネルギーの活性酸素(酸素分子)が生成され、これが残ったC原子と反応して酸素に富んだ官能基(C=O結合)を生成する。このとき、同時に照射される波長185nmの電磁波によって、大気中の酸素がオゾンに変化する。オゾンは波長254nmの電磁波を吸収することによってより多くの活性酸素を生成するため、接着面10には一層多くのC=O結合が生成される。
【0044】
接着面10に生成されたC=O結合は表面エネルギーを増大させて親水性を高めるので、その結果、親水性に依存する接着強さ(接着力)を向上することができる。特に、本実施形態のように波長254nmの電磁波を照射するのと同時に波長185nmの電磁波を照射するようにすれば、相乗効果によって、より一層の接着性の改善効果を得ることができる。そして、上記のように、両波長の電磁波を何れも積算光量500mJ/cm以上照射することで、確実に接着性の改善効果を得ることができる。
【0045】
このようにしてUV処理を施す場合であっても、一の光源11を用い、接着面10の周方向一部領域に対してUV処理を施した後、ハウジング7を支持部13で回転駆動させることにより接着面10の全面に対してUV処理を施すようにしても良いし、光源11をハウジング7の周方向複数箇所に設置し、接着面10全面に亘って同時にUV処理を施すようにしても良い。また、部品単体のハウジング7の接着面10にUV処理を施すようにしても良いし、その他の部材(例えば、軸受スリーブ8)を組み付けたハウジング7の接着面10、あるいは完成品状態の流体軸受装置1を構成するハウジング7の接着面10にUV処理を施すようにしても良い。
【0046】
以上では、液晶ポリマーで形成したハウジング7をアルミ合金製のブラケット6に嫌気性接着剤で固定する場合に本発明を適用したが、ハウジング7をその他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等の結晶性樹脂、あるいはポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂で形成した場合においても本発明は好適である。また、上記の樹脂材料はあくまでも例示に過ぎず、その他の樹脂、例えばフェノール、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル等の熱硬化性樹脂を使用してハウジング7を形成した場合であっても、本発明は好適である。また、樹脂材料は、ベース樹脂に種々の特性を付加する充填材を配合したものであっても良い。充填材としては、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で、あるいは二種以上を混合して使用することができる。
【0047】
また、ハウジング7を金属製とする一方、ブラケット6を樹脂製とした場合や、ハウジング7およびブラケット6の双方を樹脂製とした場合であっても、以上で説明した本発明の構成を好適に採用可能である。
【0048】
また、以上では、スピンドルモータを構成する機械部品(軸受部品)に本発明を適用した場合について説明を行ったが、本発明はこれに限らずその他の駆動機構や動力伝達機構を構成する機械部品、例えば、クラッチを構成する機械部品に適用することももちろん可能である。
【実施例1】
【0049】
本発明に係る第1の製造方法の有用性を実証すべく、樹脂製のハウジング7に相当する円柱状の第1試験片と、アルミ合金製のブラケット6に相当する円筒状の第2試験片とを用い、第1試験片の接着面に、後述する処理方法1〜処理方法4でUV処理を施した上で、この第1試験片を第2試験片に嫌気性接着剤で固定した場合における両試験片間の接着強さについての確認試験を行った。接着強さは以下示す(1)〜(4)の手順を踏んで確認した。
(1)以下示す態様でUV処理が施された第1試験片101の接着面に嫌気性接着剤を塗布し、これを第2試験片102の内周に固定してアセンブリを製作する。
(2)製作したアセンブリを1hr放置して嫌気性接着剤を完全に硬化させた後、このアセンブリを図4に示す試験装置の支持台103上に載置する。
(3)支持台103で支持されたアセンブリのうち、第1試験片101を加圧部材104で加圧し、第1試験片101が第2試験片102の内周から抜脱する際の加圧力を測定する。
(4)上記の加圧力を両試験片101,102間の接着面積で除して、単位面積あたりの接着強さ(=N/mm)を算出する。
【0050】
なお、この実施例では、第1試験片101の形成材料として、ポリプラスチックス株式会社製ベクトラS135(ガラス繊維35wt%配合の液晶ポリマー)を使用した。第1試験片101の寸法は外径9.5mm×全長20mmであり、第2試験片102に対する第1試験片101の接着面の長さは10mmとした。また、この実施例では、両試験片101,102の接着固定に用いる嫌気性接着剤として、アセック株式会社製AS5851を用いた。
【0051】
処理方法1〜4は以下示す(a)〜(d)のとおり(各方法で用いるフィルタの物性データや各種波長の透過率データは図5を参照)であり、何れの方法においても、第1試験片101の接着面から180mm離隔した位置に設置した照度150mW/cmのメタルハライドランプを用いて第1試験片101の接着面に対してUV処理を施した。但し、本実施例で用いる第1試験片101の形成材料は約120℃で熱変形するため、各処理方法におけるUV処理時間は、UV処理中に接着面の表面温度が110℃を超えないような時間に設定した。この時間設定に際し、接着面の表面温度とUV処理時間の関係を調査したので、その調査結果を図6に示す。
(a)処理方法1(実施例1)
フィルタ:HOYA株式会社製U330(厚み3mm)
UV処理時間:80s(処理中の最高表面温度:105℃)
(b)処理方法2(実施例2)
フィルタ:HOYA株式会社製U330(厚み3mm)
UV処理時間:50s(処理中の最高表面温度:89℃)
(c)処理方法3(比較例1)
フィルタ:なし
UV処理時間:25s(処理中の最高表面温度:110℃)
(d)処理方法4(比較例2)
フィルタ:HOYA株式会社製HA50(厚み3mm)
UV処理時間:100s(処理中の最高表面温度:104℃)
【0052】
以上に示す各方法で試料数N=5として確認した両試験片101,102間の接着強さを図7に示す。同図から明らかなように、両試験片101,102間の接着強さはN=5の平均値で、実施例1>実施例2>比較例2>比較例1の順となった。
【0053】
まず、フィルタを使用せずにUV処理を行った比較例1の方法(処理方法3)では、UV処理に伴う温度上昇の都合上、十分な接着性向上効果が得られる程度の表面改質がなされなかったため、両試験片間に必要十分な接着強さを得ることができず、かつ全ての処理方法のうちで接着強さが最弱になったものと考えられる。また、比較例2の方法(処理方法3)で用いたフィルタは一般的な赤外線カットフィルタであり、このフィルタが、図5に示す物性データからも明らかなように、赤外線だけでなく接着強さの向上(表面改質)に寄与する紫外線もカットしてしまうものであるため、UV処理時間が全方法中最長であるにもかかわらず両試験片間に必要十分な接着強さを得ることができなかったものと考えられる。また、比較例1および2の方法は試料間での接着強さのばらつきが比較的大きい。従って、安定した接着強さを得ることが困難で、この種の機械部品の信頼性を高めるための手段として好ましいものとは言い難い。
【0054】
これに対し、実施例1(処理方法1)では、N=5の平均値で19.4N/mmと、熱硬化型接着剤を用いた場合(約8N/mm)よりもはるかに高い接着強さを得ることができた。また図6からも明らかなように、処理方法1では、UV処理完了時における接着面の表面温度が105℃程度であるから、UV処理に伴う熱変形の問題はない。実施例2の方法(処理方法2)では、処理方法1よりもUV処理時間が短い分、両者間の接着強さは処理方法1よりも劣る結果となったが、N=5の平均値で9.7N/mmと、熱硬化型接着剤を用いた場合よりも高い接着強さを得ることができた。また、本発明に係る方法を採用した場合における試料間での接着強さのばらつきは比較的小さい。従って、安定した接着強さを得る手段、さらに言えばこの種の機械部品の信頼性を高める手段として好適である。
【0055】
さらに、UV処理による第1試験片101の接着面の表面改質状態、すなわちC=O結合の量を確認するため、実施例1および比較例2の方法でUV処理を施したものと、UV処理を施さなかったものとを対象としてXPS(C1sスペクトル)分析を行ったので、その分析結果を図8に示す。なお、図8中にも記載のように、C=O結合の結合エネルギーは287eVであるから、この点における縦軸の値を比較検証する。
【0056】
同図から明らかなように、実施例1の方法でUV処理を施したものについてはC=O結合が観測されたのに対し、比較例2の方法でUV処理を施したもの、およびUV処理を施さなかったものではC=O結合が観測されなかった。なお、比較例2の方法でUV処理を施したものでC=O結合が観測されなかったのは、上述したように、当該方法で用いたフィルタが、赤外線だけでなく紫外線もカットしてしまったためと考えられる。
【0057】
以上に示す試験結果から、上記本発明に係る第1の製造方法の有用性が実証される。
【実施例2】
【0058】
次いで、上記本発明に係る第2の製造方法の有用性を実証すべく、上記実施例1と同様の試験片および試験装置を用いて両試験片間の接着強さ(=N/mm)についての確認試験を行った。但し、第1試験片101の接着面に対しては、接着面から10mm離隔した位置に設けた合成石英管低圧水銀ランプを用いてUV処理を行った。低圧水銀ランプは、波長245nmの電磁波を照度18mW/cmで、また波長185nmの電磁波を照度14mW/cmで照射可能なものである。当該確認試験におけるUV処理条件および試験結果を図9に示す。
【0059】
図9に示す試験結果からも明らかなように、UV処理を行っていない比較例3では平均値で2.9N/mmと、両試験片間に十分な接着強さ(8N/mm)を得ることができなかった。また、比較例4ではUV処理を行ったものの、波長185nmおよび波長254nmの電磁波の積算光量が500mJ/cm以下であったために、両試験片間に十分な接着強さ得ることができなかった。これに対し、上記本発明に係る第2の製造方法に適合するようにUV処理を行った実施例3〜5では、N=5の接着強さの平均値が、それぞれ11.7N/mm、17.0N/mm、17.6N/mmと、両試験片間に必要十分な接着強さを得ることができた。なお、この試験結果からも明らかなように、積算光量が増大するのに伴って接着強さが高まる。そのため、必要とされる接着強さを確実に得る上では、積算光量を調整することが有用であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示す断面図である。
【図2】図1に示すスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置の一例を示す断面図である。
【図3】UV処理工程を概念的に示す図である。
【図4】本発明の有用性を実証するための確認試験で用いた試験装置を概念的に示す断面図である。
【図5】第1の確認試験で用いたフィルタの物性データを示す図である。
【図6】第1の確認試験における接着面の表面温度とUV処理時間の関係を示す図である。
【図7】第1の確認試験の試験結果を示す図である。
【図8】確認試験において実施したXPS分析の結果を示す図である。
【図9】第2の確認試験の試験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 流体軸受装置
2 軸部材
6 ブラケット(機械部品)
7 ハウジング(機械部品)
10 接着面
11 光源
12 フィルタ(赤外線カットフィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品において、
一方の部品に対する他方の部品の単位面積あたりの接着強さが8N/mm以上であることを特徴とする機械部品。
【請求項2】
樹脂部品の接着面にUV処理が施された請求項1記載の機械部品。
【請求項3】
樹脂部品が軸受部品である請求項1又は2記載の機械部品。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか記載の機械部品を備える流体軸受装置。
【請求項5】
請求項4記載の流体軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えるスピンドルモータ。
【請求項6】
少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品の製造方法において、
樹脂部品の接着面に、波長254nmの電磁波の透過率が50%以上80%以下である赤外線カットフィルタを透過させた電磁波を照射した上で、この樹脂部品に他方の部品を接着固定することを特徴とする機械部品の製造方法。
【請求項7】
赤外線カットフィルタとして、波長800nmの電磁波の透過率が10%以上30%以下であるものを用いる請求項6記載の機械部品の製造方法。
【請求項8】
少なくとも一方が樹脂材料で形成された二部品を嫌気性接着剤で固定してなる機械部品の製造方法において、
樹脂部品の接着面に、波長254nmおよび波長185nmの電磁波を同時に、かつ両波長の電磁波を何れも積算光量500mJ/cm以上照射した上で、この樹脂部品に他方の部品を接着固定することを特徴とする機械部品の製造方法。
【請求項9】
管が合成石英で形成された低圧水銀ランプを用いて、波長254nmおよび波長185nmの電磁波を同時に照射する請求項8記載の機械部品の製造方法。
【請求項10】
樹脂部品を形成するベース樹脂が芳香族系ポリエステルである請求項1記載の機械部品、又は請求項6若しくは請求項8記載の機械部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−38356(P2010−38356A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265163(P2008−265163)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】