機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置
【課題】複数の機能液滴吐出ヘッドに対し、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を供給することができる機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給装置41から供給された機能液を、圧力調整して供給する単一の圧力調整弁27と、2次室に連通し、圧力調整弁27から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設した複数の機能液滴吐出ヘッド14と、2次室と複数の機能液滴吐出ヘッド14とを接続する流路ユニット55と、を備え、流路ユニット55は、2次室から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているものである。
【解決手段】バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給装置41から供給された機能液を、圧力調整して供給する単一の圧力調整弁27と、2次室に連通し、圧力調整弁27から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設した複数の機能液滴吐出ヘッド14と、2次室と複数の機能液滴吐出ヘッド14とを接続する流路ユニット55と、を備え、流路ユニット55は、2次室から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の圧力調整弁からインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドに対し一括して機能液を供給する機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機能液供給装置(機能液供給システム)として、機能液を吐出する複数の機能液滴吐出ヘッドと、機能液を各機能液滴吐出ヘッドにそれぞれ減圧供給する、機能液滴吐出ヘッドと同数の圧力調整弁と、各機能液滴吐出ヘッドおよび各圧力調整弁をそれぞれ接続する複数のチューブ(流路ユニット)と、を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この場合、機能液滴吐出ヘッドおよび圧力調整弁が、1対1で対応しており、圧力調整弁により、機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力が常時一定圧力になるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−82538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような機能液供給装置では、各機能液滴吐出ヘッドに対応して圧力調整弁がそれぞれ設けられているため、機能液滴吐出ヘッドの数分の圧力調整弁が必要になり、結果的に装置が大型化すると共に、圧力調整弁には個体差があるため、機能液滴吐出ヘッド毎に機能液供給圧力が異なり、機能液滴吐出ヘッドからの機能液の吐出重量を均一化するためには、上記の圧力差を機能液滴吐出ヘッドへの印加電圧調整でキャンセルする必要があった。また、圧力調整弁は、機能液滴吐出ヘッドと共にキャリッジに搭載されるため、キャリッジの重量が増す問題があった。係る場合、複数の機能液滴吐出ヘッド宛て1つの圧力調整弁を設ければ、上記の問題が軽減される。例えば、太径パイプ状のマニホールドを介して、単一の圧力調整弁と複数の機能液滴吐出ヘッドとの間で流路分岐すればよい。しかし、この場合、圧力調整弁から各機能液滴吐出ヘッドに至る流路の長さが異なってしまうため、マニホールドを用いても、各流路の圧力損失を同一にすることができない。すなわち、1の圧力調整弁から機能液の供給を受ける複数の機能液滴吐出ヘッドの相互間において、吐出量にムラが生じない程度に圧力損失を同一にすることができない。
【0005】
本発明は、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を供給することができる機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能液供給システムは、バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給手段から1次室に供給された機能液を、圧力調整し2次室を介して供給する単一の圧力調整弁と、2次室に連通し、圧力調整弁から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設したインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドと、2次室と複数の機能液滴吐出ヘッドとを接続する流路ユニットと、を備え、流路ユニットは、2次室から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、複数の機能液滴吐出ヘッドから機能液が吐出されると、2次室の圧力が低下し、弁体が連通流路を開放することで、機能液が2次室を介して機能液滴吐出ヘッドに供給される。この際、圧力調整弁から各機能液滴吐出ヘッドに至る各流路が同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているため、圧力調整弁からの機能液は、同一の圧力で複数の機能液滴吐出ヘッドに供給される。すなわち、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を各機能液滴吐出ヘッドに供給することができる。なお、同一の流量に対し同一の圧力損失になればよく、必ずしも各流路の径および長さを同一にする必要はない。
【0008】
この場合、流路ユニットは、2次室に接続した主流路と、主流路の下流端に接続され、主流路を複数分岐する分岐部と、分岐部から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、主流路を流れてきた機能液は、分岐部で複数分岐し、各分岐流路を介して各機能液滴吐出ヘッドに供給される。また、分岐部において放射状に複数分岐し、且つ複数本の分岐流路を同径および同長とすることで、圧力損失を簡単に同一にすることができる。
【0010】
この場合、複数の機能液滴吐出ヘッドは、4以上の偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、流路ユニットは、2次室に接続した主流路と、主流路の下流端が、延在方向の中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路と、分配流路の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部と、一対の分岐部から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、主流路を流れてきた機能液は、マニホールド様の分配流路および分岐部で分流し、各分岐流路を経て機能液滴吐出ヘッドに供給される。したがって、主流路が中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路によって、圧力調整弁からの圧力損失がほぼキャンセルされるため、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力をさらに一定にすることができる。
【0012】
この場合、各機能液滴吐出ヘッドは、複数の機能液導入口を有し、分岐流路は、複数本の2倍の本数で構成され、分岐部は、複数分岐の2倍に分岐することが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、機能液導入口が複数あった場合でも、一定の圧力で機能液を各機能液滴吐出ヘッドに供給することができる。
【0014】
この場合、複数の機能液滴吐出ヘッドは、偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、流路ユニットは、2次室から2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッドに至るツリー形式の流路で構成されていることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、機能液は、2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッドに供給されるため、流路の分岐による圧力損失のばらつきを極力抑えることができ、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力を精度よく一定にすることができる。
【0016】
この場合、流路ユニットは、2次室に直接接続された、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する複数本の個別供給流路で構成されていることが、好ましい。
【0017】
この場合、2次室には、各個別供給流路が接続される複数個の流出ポートが形成され、複数個の流出ポートは、2次室の中心に対し放射状に配設されていることが、好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、各個別供給流路は、2次室に直接接続しているため、流路の分岐による圧力損失を抑制することができると共に、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力をさらに精度良く且つ簡単に同一にすることができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、上記した機能液供給システムと、機能液供給手段と、を備え、ワークに対し複数の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、ワーク上に機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を供給することができるため、液滴吐出装置を小型軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の平面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】キャリッジの外観斜視図である。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図6】機能液供給装置の模式図である。
【図7】圧力調整弁の平面図である。
【図8】圧力調整弁のA−A断面図である。
【図9】第1実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図10】第2実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図11】第3実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図12】第4実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る機能液供給システムを備えた液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を一定圧力で導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。また、機能液供給システムは、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し機能液を、それぞれ一定圧力で一括して供給するものである。
【0023】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース11上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2と、複数本の支柱12を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース13上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、Y軸テーブル3に移動自在に吊設され、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド14が搭載された13個のキャリッジユニット4と、から構成されている。さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバ5と、チャンバ5を貫通して、機能液滴吐出ヘッド14に機能液を供給する機能液供給ユニット6と、を備えている。また、チャンバ5の側壁の一部には、機能液を貯留するメインタンク51等を収納するタンクキャビネット7が設けられている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル2およびY軸テーブル3の駆動と同期して、機能液滴吐出ヘッド14を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット6から供給された機能液を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。
【0024】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット15、吸引ユニット16、ワイピングユニット17および吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置8を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド14の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を図るようになっている。本実施形態の液滴吐出装置1では、X軸テーブル2とY軸テーブル3とが交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませてワークWの描画を行い、Y軸テーブル3とメンテナンス装置8(吸引ユニット16、ワイピングユニット17)が交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を行う。
【0025】
図2および図3に示すように、X軸テーブル2は、ワークWを吸着セットすると共にθ軸方向に補正可能な機構を有するセットテーブル21と、セットテーブル21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダー22と、上記したフラッシングユニット15および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダー23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダー22およびX軸第2スライダー23をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。
【0026】
Y軸テーブル3は、13個のキャリッジユニット4をそれぞれ吊設した13個のブリッジプレート24と、各ブリッジプレート24を両持ちで支持する13組のY軸スライダー(図示省略)と、一対のY軸支持ベース13上に設置され、ブリッジプレート24をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド14を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド14を吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませる。この場合、各キャリッジユニット4を独立させて個別に移動させることも可能であるし、13個のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能である。
【0027】
図4に示すように、各キャリッジユニット4は、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド14と、12個の機能液滴吐出ヘッド14を6個ずつ2群に分けて、各機能液滴吐出ヘッド14が同一の水平面内に配設されるように支持するヘッドプレート25と、から成るヘッドユニット26を備えている。また、各キャリッジユニット4は、色毎の機能液滴吐出ヘッド14に一括して機能液を送液する圧力調整弁27(詳細は後述する。)と、ヘッドユニット26をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構28と、θ回転機構28を介して、ヘッドユニット26をブリッジプレート24に支持させる吊設部材29(共に図3参照)と、を備えている。加えて、各キャリッジユニット4は、機能液を一時的に貯留するサブタンク46(図1参照)が配設されており(実際には、ブリッジプレート24上に配設)、このサブタンク46および圧力調整弁27を有し、後述する機能液供給システム48(図9参照)により、各機能液滴吐出ヘッド14に対して一定圧力で機能液が供給されるようになっている。
【0028】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド14は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針(機能液導入口)34を有する機能液導入部31と、機能液導入部31に連なる2連のヘッド基板32と、ヘッド基板32の下方に連なり機能液を吐出するヘッド本体33と、を備えている(図5(a)参照)。機能液導入部31は、ノズル列39の数に対応した2連の接続針34を有しており、サブタンク46からの機能液を、機能液供給システム48を介して供給されるようになっている。また、ヘッド本体33は、ピエゾ素子等で構成される2連のポンプ部35と、複数の吐出ノズル37が形成されたノズル面38を有するノズルプレート36と、を有している。ノズルプレート36のノズル面38に形成された多数の吐出ノズル37は、相互に平行且つ半ノズルピッチ位置ズレして列設された2列のノズル列39を構成しており、各ノズル列39は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル37で構成されている(図5(b)参照)。ヘッド基板32には、2連のコネクター40が設けられており、各コネクター40は、フレキシブルフラットケーブル19(図4参照)を介して図外の制御装置に接続されている。そして、この制御装置から出力された駆動波形が各コネクター40を介して各ポンプ部35(圧電素子)に印加されることで、各吐出ノズル37から機能液が吐出される。
【0029】
次に、図6を参照して、機能液供給ユニット6について説明する。機能液供給ユニット6は、上記した3色に対応した3組の機能液供給装置(機能液供給手段)41と、メインタンク51およびサブタンク46等に制御用の圧縮窒素ガスを供給する窒素ガス供給設備42と、各種開閉弁の制御用の圧縮エアーを供給する圧縮エアー供給設備43と、各部からガス排気を行うためのガス排気設備44と、を備えている。3組の機能液供給装置41は、それぞれ3色に対応した機能液滴吐出ヘッド14に接続されており、これにより、各色の機能液滴吐出ヘッド14には、対応する色の機能液が供給される。
【0030】
各機能液供給装置41は、機能液の供給源を構成する2つのメインタンク51,51を有するメインタンクユニット45と、各キャリッジユニット4に対応した13個のサブタンク46と、メインタンクユニット45および各サブタンク46を接続する上流側機能液流路47と、サブタンク46からの機能液を複数の機能液滴吐出ヘッド14に一括して供給する機能液供給システム48と、各サブタンク46および各機能液供給システム48を接続する13組の下流側機能液流路49と、を備えている。各メインタンク51内の機能液は、これに接続した窒素ガス供給設備42からの圧縮窒素ガスにより加圧され、ガス排気設備44を介して大気開放された13個のサブタンク46に上流側機能液流路47を介して選択的に供給される。そして、サブタンク46の機能液は、下流側機能液流路49および機能液供給システム48を介して、各機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0031】
上流側機能液流路47は、上流端がメインタンクユニット45に接続されており、13分岐流路52を介して、下流端がサブタンク46にそれぞれ接続されている。また、上流側機能液流路47には、上流側から、機能液中の気泡を除去する気泡除去ユニット53と、上流側の上流側機能液流路47内に混入した気泡を除去するエアー抜きユニット54と、が介設されている。メインタンクユニット45から供給された機能液は、13分岐流路52により13個に分流して各サブタンク46に供給される。
【0032】
上述のように、各キャリッジユニット4には、R・G・Bの3色に対応する3個のサブタンク46が設けられ、また各キャリッジユニット4には、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド14が搭載されている。したがって、各色の機能液は、それぞれ対応するサブタンク46から下流側機能液流路49を経て対応する機能液供給システム48に供給される。また、各色の機能液供給システム48に供給された機能液は、同色単一の圧力調整弁27から同色の4個の機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0033】
ここで、図6ないし図9を参照して、各機能液供給システム48について説明する。各機能液供給システム48は、上記した複数(4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、機能液滴吐出ヘッド14に機能液を大気圧基準で減圧供給する単一の圧力調整弁27と、圧力調整弁27および複数の機能液滴吐出ヘッド14を接続する流路ユニット55と、を備えている。
【0034】
図7に示すように、圧力調整弁27は、主要部を成す調整弁本体61と、調整弁本体61の流入側に差込み接合した流入コネクター62と、調整弁本体61の流出側に差込み接合した流出コネクター63と、を備えている。そして、流入コネクター62には、流入側押えナット64を介して、サブタンク46に接続した下流側機能液流路49が接続され、同様に流出コネクター63には、流出側押えナット65を介して、機能液滴吐出ヘッド14に連なる流路ユニット55が接続されている。なお、詳細は後述するが、実施形態の流出コネクター63は、流路ユニット55の主流路101およびT字継手102を兼ねている。
【0035】
図7および図8に示すように、調整弁本体61(圧力調整弁27)は、前面および後面の中央部が凹型形成されたバルブハウジング71と、バルブハウジング71と共に1次室75を画成する蓋体72と、バルブハウジング71に受圧膜体73を固定することでバルブハウジング71と共に2次室76を画成する膜体押え部材74と、で構成されている。また、1次室75および2次室76は、バルブハウジング71の一部を構成する隔壁77を隔てて同軸上に配設されており、隔壁77の中心部(軸心)には、1次室75および2次室76を連通する連通流路78が貫通形成されている。
【0036】
1次室75は、隔壁77を主体とするバルブハウジング71の後面および蓋体72により形成されている。また、1次室75の上部には、1次室75から径方向斜めに延びる流入ポート81が形成され、中心部には、連通流路78に連なる1次室側開口部82が開口している。そして、この1次室側開口部82には、1次室75側から連通流路78を開閉する弁体84が臨む一方、これに対応して、1次室側開口部82の周縁部により、弁体84が離接する弁座83が構成されている。また、弁体84は、これと蓋体72との間に介設した弁体付勢ばね85によって、閉弁方向(2次室76側)に弱い力で付勢されている。
【0037】
2次室76は、バルブハウジング71の前面および受圧膜体73により形成されている。また、2次室76の下部には、真下に延びる流出ポート86が形成され、中心部には、連通流路78に連なる2次室側開口部87が開口している。そして、この2次室側開口部87の周縁部と受圧膜体73との間には、受圧膜体73を前方向に向かって付勢する膜体付勢ばね88が介設されている。
【0038】
受圧膜体73は、樹脂フィルムで構成した膜体本体91と、膜体本体91の中央部に接着した樹脂製の受圧板92と、で構成されている。受圧板92は、膜体本体91と同心の円板状に、且つ膜体本体91に対し十分に小さい径に形成されており、その中央に弁体84が離接するようになっている。
【0039】
弁体84は、弁体本体を構成する環状のOリング93と、Oリング93を保持する弁体ホルダー94と、を備えており、組み込まれたOリング93は、受圧膜体73による大気圧基準で、弁座83(1次室側開口部82の周縁部)に離接することで1次室75から2次室76に間欠的に機能液を流入する。
【0040】
このように構成された圧力調整弁27では、例えば機能液滴吐出ヘッド14の液滴吐出により2次室76の圧力が下がってゆくと、大気圧により受圧膜体73が凹変形してゆき、受圧板92が弁体84を1次室75側に押圧する。これにより、弁体84が開弁し、連通流路78を介して1次室75から2次室76に機能液が流入する。機能液の流入がすすむと、やがて2次室76の圧力が高まってゆき、受圧膜体73が外部に向かって凸変形してゆく。これにより、受圧板92が弁体84から離れるように前進し、同時に弁体付勢ばね85により弁体84が前進して閉弁状態となる。
【0041】
すなわち、圧力調整弁27は、大気圧と機能液滴吐出ヘッド14に連なる2次室76との内部圧力のバランスにより受圧膜体73が変形することで連通流路78を開閉する。その際、弁体付勢ばね85および膜体付勢ばね88に力が分散して作用し、且つOリング93の弾性力により、弁体84は極めてゆっくり開閉動作する。このため、弁体84の開閉による圧力変動(キャビテーション)が抑制され、機能液滴吐出ヘッド14の吐出駆動に影響を与えないようになっている。もちろん、1次室75側で発生する脈動等も、弁体84で縁切りされるため、これを吸収(ダンパー機能)することができる。
【0042】
次に、図9を参照して、各流路ユニット55について説明する。流路ユニット55は、上記したように、単一の圧力調整弁27から同色の複数(本実施形態では4つ)の機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で一括して機能液を供給するための流路であり、圧力調整弁27の2次室76(流出ポート86)に接続した主流路101と、主流路101の下流端にT字継手102(2分岐継手)を介して接続されたマニホールド様の分配流路103と、分配流路103の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部104と、一対の分岐部104から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数本(図示のものでは、それぞれ4本)の分岐流路105と、から構成されている。
【0043】
分配流路103は、主流路101や分岐流路105に比して太径に形成されており、その中間位置に上記の主流路101がT字継手102を介して接続されている。実施形態の主流路101およびT字継手102は、実際には上記の流出コネクター63を兼ねており、流出コネクター63として、圧力調整弁27の流出ポート86に直結されている。主流路101から流れてきた機能液は、分配流路103に流れ込むことで、その圧力損失がほぼキャンセルされる。各分岐部104は、分配流路103の両外端部に接続された特殊な継手であり、分配流路103から流れてきた機能液を放射状に4方向に分岐する4分岐継手で構成されている。
【0044】
各分岐流路105は、上流端が分岐部104に接続されており、下流端が機能液滴吐出ヘッド14の各接続針34に接続されている。また、計8本の分岐流路105は、同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるように構成されている。すなわち、2次室76から供給された機能液は、分配流路103により2つに分流され、分岐部104でさらに分流された後、各接続針34を介して4つの機能液滴吐出ヘッド14の2つのノズル列39に同一の圧力で供給される。
【0045】
なお、本実施形態においては、機能液滴吐出ヘッド14の接続針34が2連に構成されているため、分配流路103の下流端で4分岐継手(分岐部104)を用いたが、接続針34、すなわちノズル列39の数に応じて分岐部104の分岐数は決定される。また、2連の各機能液滴吐出ヘッド14に対し、分岐部104から2分岐させるのではなく、各機能液滴吐出ヘッド14の近傍において、Y字分岐或いはT字分岐させるようにしてもよい(図10ないし図12参照)。さらに、単一の圧力調整弁27から減圧供給する機能液滴吐出ヘッド14の数は、4つに限定されるものではなく、偶数個であればこれより多くても構わない。
【0046】
次に、図10を参照して、第2実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分を主として説明する。この機能液供給システム48は、上記した圧力調整弁27と、偶数個(図示のものでは4個)の上記した機能液滴吐出ヘッド14と、2次室76から2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッド14に至るツリー形式の流路ユニット55と、で構成されている。そして、この場合の流出コネクター63は、第1実施形態と異なり、ユニオン形式の継手(ハーフユニオン)で構成されている。
【0047】
具体的に流路ユニット55は、上記した主流路101と、主流路101の下流端から第1分岐部111を介して2分岐(T字分岐)した第1分岐流路112と、第1分岐流路112の下流端からそれぞれ第2分岐部113を介して2分岐(T字分岐)した第2分岐流路114と、第2分岐流路114の下流端からそれぞれ第3分岐部115を介して2分岐(Y字分岐)した第3分岐流路116と、から構成されている。言い換えれば、流路ユニット55は、1本の主流路101、2本の第1分岐流路112、4本の第2分岐流路114、8本の第3分岐流路116および各流路を分岐する各分岐部111,113,115から構成されており、各第3分岐流路116は、各接続針34にそれぞれ接続されている。また、各第1分岐流路112、各第2分岐流路114および各第3分岐流路116は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるように構成されている。すなわち、2次室76から供給された機能液は2分岐を3回繰り返すことで8つに分流されて、各接続針34を介して複数の機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。
【0048】
次に、図11を参照して、第3実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。この機能液供給システム48は、複数個(図示のものでは4個)の流出ポート86を有するものに改良した圧力調整弁27と、複数個(図示のものでは4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、2次室76に直接接続され、複数の機能液滴吐出ヘッド14に対応する複数本(図示のものでは4本)の個別供給流路121で構成された流路ユニット55と、を備えている。
【0049】
具体的には、圧力調整弁27の2次室76を構成するバルブハウジング71の下部には、ユニオン形式(ハーフユニオン)の4個の流出コネクター63が差込み接合された複数の流出ポート86が形成されており、この各流出ポート86は、2次室76の中心に対して放射状に且つ周方向に等間隔になるように配設されている。各個別供給流路121は、上流端が各流出コネクター63にそれぞれ接続されており、下流側で2分岐(Y字分岐)して、各接続針34に接続されている。また、各個別供給流路121は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるようになっている。すなわち、機能液は、2次室76から直接4本に分流して供給され、下流側で2分岐した後、各接続針34を介して各機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。
【0050】
次に、図12を参照して、第4実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。この機能液供給システム48は、上記した複数個(図示のものでは4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、単一の流出ポート86が形成された上記した圧力調整弁27と、圧力調整弁27に接続されると共に、複数分岐して各機能液滴吐出ヘッド14に接続される流路ユニット55と、を備えている。
【0051】
具体的に流路ユニット55は、流出ポート86に差込み接合されたユニオン形式(ハーフユニオン)の流出コネクター63に接続した上記の主流路101と、主流路101の下流端に接続され、主流路101を複数分岐する分岐部104と、分岐部104から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数本の分岐流路105と、から構成されている。この場合、分岐部104は、主体を為す分岐部本体108と、上流側に接続され、機能液が流入する流入分岐ポート106と、下流側に接続され、機能液が流出する流出分岐ポート107と、を有する円筒状のマニホールドで構成されており、主流路101から流れてきた機能液を4つに分岐する。各分岐流路105は、分岐部104にそれぞれ接続されており、下流側で2分岐(Y字分岐)して、各接続針34に接続されている。
【0052】
また、各分岐流路105は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるようになっている。すなわち、機能液は、分岐部104で4本に分流して供給され、下流側で2分岐した後、各接続針34を介して各機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。なお、第4実施形態において、主流路101を太径に形成してマニホールドに機能を持たせ、円筒状のマニホールドに代えて、4分岐の継手を設けるようにしてもよい(図示省略)。
【0053】
以上の構成によれば、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る各流路が同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているため、単一の圧力調整弁27から同一の圧力条件で機能液を各機能液滴吐出ヘッド14に供給することができる。
【0054】
なお、本実施形態においてR・G・Bの3色の機能液を用いる場合について示したが、R・G・Bに加えC・M・Yの3色を加えた計6色の機能液を用いる場合でも、同様に圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至るまでの流路の圧力損失を同じになるようにすればよい。
【符号の説明】
【0055】
1…液滴吐出装置 14…機能液滴吐出ヘッド 27…圧力調整弁 34…接続針 41…機能液供給装置 48…機能液供給システム 55…流路ユニット 71…バルブハウジング 73…受圧膜体 75…1次室 76…2次室 78…連通流路 84…弁体 86…流出ポート 101…主流路 103…分配流路 104…分岐部 105…分岐流路 121…個別供給流路 W…ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の圧力調整弁からインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドに対し一括して機能液を供給する機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機能液供給装置(機能液供給システム)として、機能液を吐出する複数の機能液滴吐出ヘッドと、機能液を各機能液滴吐出ヘッドにそれぞれ減圧供給する、機能液滴吐出ヘッドと同数の圧力調整弁と、各機能液滴吐出ヘッドおよび各圧力調整弁をそれぞれ接続する複数のチューブ(流路ユニット)と、を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この場合、機能液滴吐出ヘッドおよび圧力調整弁が、1対1で対応しており、圧力調整弁により、機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力が常時一定圧力になるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−82538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような機能液供給装置では、各機能液滴吐出ヘッドに対応して圧力調整弁がそれぞれ設けられているため、機能液滴吐出ヘッドの数分の圧力調整弁が必要になり、結果的に装置が大型化すると共に、圧力調整弁には個体差があるため、機能液滴吐出ヘッド毎に機能液供給圧力が異なり、機能液滴吐出ヘッドからの機能液の吐出重量を均一化するためには、上記の圧力差を機能液滴吐出ヘッドへの印加電圧調整でキャンセルする必要があった。また、圧力調整弁は、機能液滴吐出ヘッドと共にキャリッジに搭載されるため、キャリッジの重量が増す問題があった。係る場合、複数の機能液滴吐出ヘッド宛て1つの圧力調整弁を設ければ、上記の問題が軽減される。例えば、太径パイプ状のマニホールドを介して、単一の圧力調整弁と複数の機能液滴吐出ヘッドとの間で流路分岐すればよい。しかし、この場合、圧力調整弁から各機能液滴吐出ヘッドに至る流路の長さが異なってしまうため、マニホールドを用いても、各流路の圧力損失を同一にすることができない。すなわち、1の圧力調整弁から機能液の供給を受ける複数の機能液滴吐出ヘッドの相互間において、吐出量にムラが生じない程度に圧力損失を同一にすることができない。
【0005】
本発明は、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を供給することができる機能液供給システムおよびこれを備えた液滴吐出装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能液供給システムは、バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給手段から1次室に供給された機能液を、圧力調整し2次室を介して供給する単一の圧力調整弁と、2次室に連通し、圧力調整弁から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設したインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドと、2次室と複数の機能液滴吐出ヘッドとを接続する流路ユニットと、を備え、流路ユニットは、2次室から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、複数の機能液滴吐出ヘッドから機能液が吐出されると、2次室の圧力が低下し、弁体が連通流路を開放することで、機能液が2次室を介して機能液滴吐出ヘッドに供給される。この際、圧力調整弁から各機能液滴吐出ヘッドに至る各流路が同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているため、圧力調整弁からの機能液は、同一の圧力で複数の機能液滴吐出ヘッドに供給される。すなわち、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を各機能液滴吐出ヘッドに供給することができる。なお、同一の流量に対し同一の圧力損失になればよく、必ずしも各流路の径および長さを同一にする必要はない。
【0008】
この場合、流路ユニットは、2次室に接続した主流路と、主流路の下流端に接続され、主流路を複数分岐する分岐部と、分岐部から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、主流路を流れてきた機能液は、分岐部で複数分岐し、各分岐流路を介して各機能液滴吐出ヘッドに供給される。また、分岐部において放射状に複数分岐し、且つ複数本の分岐流路を同径および同長とすることで、圧力損失を簡単に同一にすることができる。
【0010】
この場合、複数の機能液滴吐出ヘッドは、4以上の偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、流路ユニットは、2次室に接続した主流路と、主流路の下流端が、延在方向の中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路と、分配流路の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部と、一対の分岐部から各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、主流路を流れてきた機能液は、マニホールド様の分配流路および分岐部で分流し、各分岐流路を経て機能液滴吐出ヘッドに供給される。したがって、主流路が中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路によって、圧力調整弁からの圧力損失がほぼキャンセルされるため、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力をさらに一定にすることができる。
【0012】
この場合、各機能液滴吐出ヘッドは、複数の機能液導入口を有し、分岐流路は、複数本の2倍の本数で構成され、分岐部は、複数分岐の2倍に分岐することが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、機能液導入口が複数あった場合でも、一定の圧力で機能液を各機能液滴吐出ヘッドに供給することができる。
【0014】
この場合、複数の機能液滴吐出ヘッドは、偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、流路ユニットは、2次室から2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッドに至るツリー形式の流路で構成されていることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、機能液は、2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッドに供給されるため、流路の分岐による圧力損失のばらつきを極力抑えることができ、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力を精度よく一定にすることができる。
【0016】
この場合、流路ユニットは、2次室に直接接続された、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する複数本の個別供給流路で構成されていることが、好ましい。
【0017】
この場合、2次室には、各個別供給流路が接続される複数個の流出ポートが形成され、複数個の流出ポートは、2次室の中心に対し放射状に配設されていることが、好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、各個別供給流路は、2次室に直接接続しているため、流路の分岐による圧力損失を抑制することができると共に、各機能液滴吐出ヘッドに供給される機能液の圧力をさらに精度良く且つ簡単に同一にすることができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、上記した機能液供給システムと、機能液供給手段と、を備え、ワークに対し複数の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、ワーク上に機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し、単一の圧力調整弁から同一の圧力条件で機能液を供給することができるため、液滴吐出装置を小型軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の平面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】キャリッジの外観斜視図である。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図6】機能液供給装置の模式図である。
【図7】圧力調整弁の平面図である。
【図8】圧力調整弁のA−A断面図である。
【図9】第1実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図10】第2実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図11】第3実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【図12】第4実施形態に係る機能液供給システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る機能液供給システムを備えた液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を一定圧力で導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。また、機能液供給システムは、複数の機能液滴吐出ヘッドに対し機能液を、それぞれ一定圧力で一括して供給するものである。
【0023】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース11上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2と、複数本の支柱12を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース13上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、Y軸テーブル3に移動自在に吊設され、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド14が搭載された13個のキャリッジユニット4と、から構成されている。さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバ5と、チャンバ5を貫通して、機能液滴吐出ヘッド14に機能液を供給する機能液供給ユニット6と、を備えている。また、チャンバ5の側壁の一部には、機能液を貯留するメインタンク51等を収納するタンクキャビネット7が設けられている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル2およびY軸テーブル3の駆動と同期して、機能液滴吐出ヘッド14を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット6から供給された機能液を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。
【0024】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット15、吸引ユニット16、ワイピングユニット17および吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置8を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド14の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を図るようになっている。本実施形態の液滴吐出装置1では、X軸テーブル2とY軸テーブル3とが交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませてワークWの描画を行い、Y軸テーブル3とメンテナンス装置8(吸引ユニット16、ワイピングユニット17)が交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を行う。
【0025】
図2および図3に示すように、X軸テーブル2は、ワークWを吸着セットすると共にθ軸方向に補正可能な機構を有するセットテーブル21と、セットテーブル21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダー22と、上記したフラッシングユニット15および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダー23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダー22およびX軸第2スライダー23をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。
【0026】
Y軸テーブル3は、13個のキャリッジユニット4をそれぞれ吊設した13個のブリッジプレート24と、各ブリッジプレート24を両持ちで支持する13組のY軸スライダー(図示省略)と、一対のY軸支持ベース13上に設置され、ブリッジプレート24をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド14を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド14を吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませる。この場合、各キャリッジユニット4を独立させて個別に移動させることも可能であるし、13個のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能である。
【0027】
図4に示すように、各キャリッジユニット4は、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド14と、12個の機能液滴吐出ヘッド14を6個ずつ2群に分けて、各機能液滴吐出ヘッド14が同一の水平面内に配設されるように支持するヘッドプレート25と、から成るヘッドユニット26を備えている。また、各キャリッジユニット4は、色毎の機能液滴吐出ヘッド14に一括して機能液を送液する圧力調整弁27(詳細は後述する。)と、ヘッドユニット26をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構28と、θ回転機構28を介して、ヘッドユニット26をブリッジプレート24に支持させる吊設部材29(共に図3参照)と、を備えている。加えて、各キャリッジユニット4は、機能液を一時的に貯留するサブタンク46(図1参照)が配設されており(実際には、ブリッジプレート24上に配設)、このサブタンク46および圧力調整弁27を有し、後述する機能液供給システム48(図9参照)により、各機能液滴吐出ヘッド14に対して一定圧力で機能液が供給されるようになっている。
【0028】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド14は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針(機能液導入口)34を有する機能液導入部31と、機能液導入部31に連なる2連のヘッド基板32と、ヘッド基板32の下方に連なり機能液を吐出するヘッド本体33と、を備えている(図5(a)参照)。機能液導入部31は、ノズル列39の数に対応した2連の接続針34を有しており、サブタンク46からの機能液を、機能液供給システム48を介して供給されるようになっている。また、ヘッド本体33は、ピエゾ素子等で構成される2連のポンプ部35と、複数の吐出ノズル37が形成されたノズル面38を有するノズルプレート36と、を有している。ノズルプレート36のノズル面38に形成された多数の吐出ノズル37は、相互に平行且つ半ノズルピッチ位置ズレして列設された2列のノズル列39を構成しており、各ノズル列39は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル37で構成されている(図5(b)参照)。ヘッド基板32には、2連のコネクター40が設けられており、各コネクター40は、フレキシブルフラットケーブル19(図4参照)を介して図外の制御装置に接続されている。そして、この制御装置から出力された駆動波形が各コネクター40を介して各ポンプ部35(圧電素子)に印加されることで、各吐出ノズル37から機能液が吐出される。
【0029】
次に、図6を参照して、機能液供給ユニット6について説明する。機能液供給ユニット6は、上記した3色に対応した3組の機能液供給装置(機能液供給手段)41と、メインタンク51およびサブタンク46等に制御用の圧縮窒素ガスを供給する窒素ガス供給設備42と、各種開閉弁の制御用の圧縮エアーを供給する圧縮エアー供給設備43と、各部からガス排気を行うためのガス排気設備44と、を備えている。3組の機能液供給装置41は、それぞれ3色に対応した機能液滴吐出ヘッド14に接続されており、これにより、各色の機能液滴吐出ヘッド14には、対応する色の機能液が供給される。
【0030】
各機能液供給装置41は、機能液の供給源を構成する2つのメインタンク51,51を有するメインタンクユニット45と、各キャリッジユニット4に対応した13個のサブタンク46と、メインタンクユニット45および各サブタンク46を接続する上流側機能液流路47と、サブタンク46からの機能液を複数の機能液滴吐出ヘッド14に一括して供給する機能液供給システム48と、各サブタンク46および各機能液供給システム48を接続する13組の下流側機能液流路49と、を備えている。各メインタンク51内の機能液は、これに接続した窒素ガス供給設備42からの圧縮窒素ガスにより加圧され、ガス排気設備44を介して大気開放された13個のサブタンク46に上流側機能液流路47を介して選択的に供給される。そして、サブタンク46の機能液は、下流側機能液流路49および機能液供給システム48を介して、各機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0031】
上流側機能液流路47は、上流端がメインタンクユニット45に接続されており、13分岐流路52を介して、下流端がサブタンク46にそれぞれ接続されている。また、上流側機能液流路47には、上流側から、機能液中の気泡を除去する気泡除去ユニット53と、上流側の上流側機能液流路47内に混入した気泡を除去するエアー抜きユニット54と、が介設されている。メインタンクユニット45から供給された機能液は、13分岐流路52により13個に分流して各サブタンク46に供給される。
【0032】
上述のように、各キャリッジユニット4には、R・G・Bの3色に対応する3個のサブタンク46が設けられ、また各キャリッジユニット4には、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド14が搭載されている。したがって、各色の機能液は、それぞれ対応するサブタンク46から下流側機能液流路49を経て対応する機能液供給システム48に供給される。また、各色の機能液供給システム48に供給された機能液は、同色単一の圧力調整弁27から同色の4個の機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0033】
ここで、図6ないし図9を参照して、各機能液供給システム48について説明する。各機能液供給システム48は、上記した複数(4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、機能液滴吐出ヘッド14に機能液を大気圧基準で減圧供給する単一の圧力調整弁27と、圧力調整弁27および複数の機能液滴吐出ヘッド14を接続する流路ユニット55と、を備えている。
【0034】
図7に示すように、圧力調整弁27は、主要部を成す調整弁本体61と、調整弁本体61の流入側に差込み接合した流入コネクター62と、調整弁本体61の流出側に差込み接合した流出コネクター63と、を備えている。そして、流入コネクター62には、流入側押えナット64を介して、サブタンク46に接続した下流側機能液流路49が接続され、同様に流出コネクター63には、流出側押えナット65を介して、機能液滴吐出ヘッド14に連なる流路ユニット55が接続されている。なお、詳細は後述するが、実施形態の流出コネクター63は、流路ユニット55の主流路101およびT字継手102を兼ねている。
【0035】
図7および図8に示すように、調整弁本体61(圧力調整弁27)は、前面および後面の中央部が凹型形成されたバルブハウジング71と、バルブハウジング71と共に1次室75を画成する蓋体72と、バルブハウジング71に受圧膜体73を固定することでバルブハウジング71と共に2次室76を画成する膜体押え部材74と、で構成されている。また、1次室75および2次室76は、バルブハウジング71の一部を構成する隔壁77を隔てて同軸上に配設されており、隔壁77の中心部(軸心)には、1次室75および2次室76を連通する連通流路78が貫通形成されている。
【0036】
1次室75は、隔壁77を主体とするバルブハウジング71の後面および蓋体72により形成されている。また、1次室75の上部には、1次室75から径方向斜めに延びる流入ポート81が形成され、中心部には、連通流路78に連なる1次室側開口部82が開口している。そして、この1次室側開口部82には、1次室75側から連通流路78を開閉する弁体84が臨む一方、これに対応して、1次室側開口部82の周縁部により、弁体84が離接する弁座83が構成されている。また、弁体84は、これと蓋体72との間に介設した弁体付勢ばね85によって、閉弁方向(2次室76側)に弱い力で付勢されている。
【0037】
2次室76は、バルブハウジング71の前面および受圧膜体73により形成されている。また、2次室76の下部には、真下に延びる流出ポート86が形成され、中心部には、連通流路78に連なる2次室側開口部87が開口している。そして、この2次室側開口部87の周縁部と受圧膜体73との間には、受圧膜体73を前方向に向かって付勢する膜体付勢ばね88が介設されている。
【0038】
受圧膜体73は、樹脂フィルムで構成した膜体本体91と、膜体本体91の中央部に接着した樹脂製の受圧板92と、で構成されている。受圧板92は、膜体本体91と同心の円板状に、且つ膜体本体91に対し十分に小さい径に形成されており、その中央に弁体84が離接するようになっている。
【0039】
弁体84は、弁体本体を構成する環状のOリング93と、Oリング93を保持する弁体ホルダー94と、を備えており、組み込まれたOリング93は、受圧膜体73による大気圧基準で、弁座83(1次室側開口部82の周縁部)に離接することで1次室75から2次室76に間欠的に機能液を流入する。
【0040】
このように構成された圧力調整弁27では、例えば機能液滴吐出ヘッド14の液滴吐出により2次室76の圧力が下がってゆくと、大気圧により受圧膜体73が凹変形してゆき、受圧板92が弁体84を1次室75側に押圧する。これにより、弁体84が開弁し、連通流路78を介して1次室75から2次室76に機能液が流入する。機能液の流入がすすむと、やがて2次室76の圧力が高まってゆき、受圧膜体73が外部に向かって凸変形してゆく。これにより、受圧板92が弁体84から離れるように前進し、同時に弁体付勢ばね85により弁体84が前進して閉弁状態となる。
【0041】
すなわち、圧力調整弁27は、大気圧と機能液滴吐出ヘッド14に連なる2次室76との内部圧力のバランスにより受圧膜体73が変形することで連通流路78を開閉する。その際、弁体付勢ばね85および膜体付勢ばね88に力が分散して作用し、且つOリング93の弾性力により、弁体84は極めてゆっくり開閉動作する。このため、弁体84の開閉による圧力変動(キャビテーション)が抑制され、機能液滴吐出ヘッド14の吐出駆動に影響を与えないようになっている。もちろん、1次室75側で発生する脈動等も、弁体84で縁切りされるため、これを吸収(ダンパー機能)することができる。
【0042】
次に、図9を参照して、各流路ユニット55について説明する。流路ユニット55は、上記したように、単一の圧力調整弁27から同色の複数(本実施形態では4つ)の機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で一括して機能液を供給するための流路であり、圧力調整弁27の2次室76(流出ポート86)に接続した主流路101と、主流路101の下流端にT字継手102(2分岐継手)を介して接続されたマニホールド様の分配流路103と、分配流路103の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部104と、一対の分岐部104から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数本(図示のものでは、それぞれ4本)の分岐流路105と、から構成されている。
【0043】
分配流路103は、主流路101や分岐流路105に比して太径に形成されており、その中間位置に上記の主流路101がT字継手102を介して接続されている。実施形態の主流路101およびT字継手102は、実際には上記の流出コネクター63を兼ねており、流出コネクター63として、圧力調整弁27の流出ポート86に直結されている。主流路101から流れてきた機能液は、分配流路103に流れ込むことで、その圧力損失がほぼキャンセルされる。各分岐部104は、分配流路103の両外端部に接続された特殊な継手であり、分配流路103から流れてきた機能液を放射状に4方向に分岐する4分岐継手で構成されている。
【0044】
各分岐流路105は、上流端が分岐部104に接続されており、下流端が機能液滴吐出ヘッド14の各接続針34に接続されている。また、計8本の分岐流路105は、同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるように構成されている。すなわち、2次室76から供給された機能液は、分配流路103により2つに分流され、分岐部104でさらに分流された後、各接続針34を介して4つの機能液滴吐出ヘッド14の2つのノズル列39に同一の圧力で供給される。
【0045】
なお、本実施形態においては、機能液滴吐出ヘッド14の接続針34が2連に構成されているため、分配流路103の下流端で4分岐継手(分岐部104)を用いたが、接続針34、すなわちノズル列39の数に応じて分岐部104の分岐数は決定される。また、2連の各機能液滴吐出ヘッド14に対し、分岐部104から2分岐させるのではなく、各機能液滴吐出ヘッド14の近傍において、Y字分岐或いはT字分岐させるようにしてもよい(図10ないし図12参照)。さらに、単一の圧力調整弁27から減圧供給する機能液滴吐出ヘッド14の数は、4つに限定されるものではなく、偶数個であればこれより多くても構わない。
【0046】
次に、図10を参照して、第2実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分を主として説明する。この機能液供給システム48は、上記した圧力調整弁27と、偶数個(図示のものでは4個)の上記した機能液滴吐出ヘッド14と、2次室76から2分岐を繰り返して複数の機能液滴吐出ヘッド14に至るツリー形式の流路ユニット55と、で構成されている。そして、この場合の流出コネクター63は、第1実施形態と異なり、ユニオン形式の継手(ハーフユニオン)で構成されている。
【0047】
具体的に流路ユニット55は、上記した主流路101と、主流路101の下流端から第1分岐部111を介して2分岐(T字分岐)した第1分岐流路112と、第1分岐流路112の下流端からそれぞれ第2分岐部113を介して2分岐(T字分岐)した第2分岐流路114と、第2分岐流路114の下流端からそれぞれ第3分岐部115を介して2分岐(Y字分岐)した第3分岐流路116と、から構成されている。言い換えれば、流路ユニット55は、1本の主流路101、2本の第1分岐流路112、4本の第2分岐流路114、8本の第3分岐流路116および各流路を分岐する各分岐部111,113,115から構成されており、各第3分岐流路116は、各接続針34にそれぞれ接続されている。また、各第1分岐流路112、各第2分岐流路114および各第3分岐流路116は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるように構成されている。すなわち、2次室76から供給された機能液は2分岐を3回繰り返すことで8つに分流されて、各接続針34を介して複数の機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。
【0048】
次に、図11を参照して、第3実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。この機能液供給システム48は、複数個(図示のものでは4個)の流出ポート86を有するものに改良した圧力調整弁27と、複数個(図示のものでは4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、2次室76に直接接続され、複数の機能液滴吐出ヘッド14に対応する複数本(図示のものでは4本)の個別供給流路121で構成された流路ユニット55と、を備えている。
【0049】
具体的には、圧力調整弁27の2次室76を構成するバルブハウジング71の下部には、ユニオン形式(ハーフユニオン)の4個の流出コネクター63が差込み接合された複数の流出ポート86が形成されており、この各流出ポート86は、2次室76の中心に対して放射状に且つ周方向に等間隔になるように配設されている。各個別供給流路121は、上流端が各流出コネクター63にそれぞれ接続されており、下流側で2分岐(Y字分岐)して、各接続針34に接続されている。また、各個別供給流路121は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるようになっている。すなわち、機能液は、2次室76から直接4本に分流して供給され、下流側で2分岐した後、各接続針34を介して各機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。
【0050】
次に、図12を参照して、第4実施形態に係る機能液供給システム48について説明する。この機能液供給システム48は、上記した複数個(図示のものでは4個)の機能液滴吐出ヘッド14と、単一の流出ポート86が形成された上記した圧力調整弁27と、圧力調整弁27に接続されると共に、複数分岐して各機能液滴吐出ヘッド14に接続される流路ユニット55と、を備えている。
【0051】
具体的に流路ユニット55は、流出ポート86に差込み接合されたユニオン形式(ハーフユニオン)の流出コネクター63に接続した上記の主流路101と、主流路101の下流端に接続され、主流路101を複数分岐する分岐部104と、分岐部104から各機能液滴吐出ヘッド14に至る複数本の分岐流路105と、から構成されている。この場合、分岐部104は、主体を為す分岐部本体108と、上流側に接続され、機能液が流入する流入分岐ポート106と、下流側に接続され、機能液が流出する流出分岐ポート107と、を有する円筒状のマニホールドで構成されており、主流路101から流れてきた機能液を4つに分岐する。各分岐流路105は、分岐部104にそれぞれ接続されており、下流側で2分岐(Y字分岐)して、各接続針34に接続されている。
【0052】
また、各分岐流路105は、それぞれ同一径で且つ同一長さに形成されており、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る流路の圧力損失が同一になるようになっている。すなわち、機能液は、分岐部104で4本に分流して供給され、下流側で2分岐した後、各接続針34を介して各機能液滴吐出ヘッド14に同一圧力で供給される。なお、第4実施形態において、主流路101を太径に形成してマニホールドに機能を持たせ、円筒状のマニホールドに代えて、4分岐の継手を設けるようにしてもよい(図示省略)。
【0053】
以上の構成によれば、圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至る各流路が同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されているため、単一の圧力調整弁27から同一の圧力条件で機能液を各機能液滴吐出ヘッド14に供給することができる。
【0054】
なお、本実施形態においてR・G・Bの3色の機能液を用いる場合について示したが、R・G・Bに加えC・M・Yの3色を加えた計6色の機能液を用いる場合でも、同様に圧力調整弁27から各機能液滴吐出ヘッド14に至るまでの流路の圧力損失を同じになるようにすればよい。
【符号の説明】
【0055】
1…液滴吐出装置 14…機能液滴吐出ヘッド 27…圧力調整弁 34…接続針 41…機能液供給装置 48…機能液供給システム 55…流路ユニット 71…バルブハウジング 73…受圧膜体 75…1次室 76…2次室 78…連通流路 84…弁体 86…流出ポート 101…主流路 103…分配流路 104…分岐部 105…分岐流路 121…個別供給流路 W…ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、前記2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給手段から前記1次室に供給された機能液を、圧力調整し前記2次室を介して供給する単一の圧力調整弁と、
前記2次室に連通し、前記圧力調整弁から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設したインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドと、
前記2次室と前記複数の機能液滴吐出ヘッドとを接続する流路ユニットと、を備え、
前記流路ユニットは、前記2次室から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されていることを特徴とする機能液供給システム。
【請求項2】
前記流路ユニットは、前記2次室に接続した主流路と、
前記主流路の下流端に接続され、前記主流路を複数分岐する分岐部と、
前記分岐部から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項3】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、4以上の偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、
前記流路ユニットは、前記2次室に接続した主流路と、
前記主流路の下流端が、延在方向の中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路と、
前記分配流路の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部と、
前記一対の分岐部から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項4】
前記各機能液滴吐出ヘッドは、複数の機能液導入口を有し、
前記分岐流路は、前記複数本の2倍の本数で構成され、
前記分岐部は、前記複数分岐の2倍に分岐することを特徴とする請求項2または3に記載の機能液供給システム。
【請求項5】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、
前記流路ユニットは、前記2次室から2分岐を繰り返して前記複数の機能液滴吐出ヘッドに至るツリー形式の流路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項6】
前記流路ユニットは、前記2次室に直接接続された、前記複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する複数本の個別供給流路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項7】
前記2次室には、前記各個別供給流路が接続される複数個の流出ポートが形成され、
前記複数個の流出ポートは、前記2次室の中心に対し放射状に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の機能液供給システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の機能液供給システムと、
前記機能液供給手段と、を備え、
ワークに対し前記複数の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記ワーク上に機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項1】
バルブハウジング内の1次室と2次室とを連通する連通流路に設けた弁体を、前記2次室の1の面を構成する受圧膜体により大気圧基準で開閉し、機能液供給手段から前記1次室に供給された機能液を、圧力調整し前記2次室を介して供給する単一の圧力調整弁と、
前記2次室に連通し、前記圧力調整弁から機能液の供給を受けると共に同一の水平面内に配設したインクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッドと、
前記2次室と前記複数の機能液滴吐出ヘッドとを接続する流路ユニットと、を備え、
前記流路ユニットは、前記2次室から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数の流路が、同一の流量に対し同一の圧力損失となるように構成されていることを特徴とする機能液供給システム。
【請求項2】
前記流路ユニットは、前記2次室に接続した主流路と、
前記主流路の下流端に接続され、前記主流路を複数分岐する分岐部と、
前記分岐部から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項3】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、4以上の偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、
前記流路ユニットは、前記2次室に接続した主流路と、
前記主流路の下流端が、延在方向の中間位置に接続されたマニホールド様の分配流路と、
前記分配流路の両外端部に接続され、それぞれが流路を複数分岐する一対の分岐部と、
前記一対の分岐部から前記各機能液滴吐出ヘッドに至る複数本の分岐流路と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項4】
前記各機能液滴吐出ヘッドは、複数の機能液導入口を有し、
前記分岐流路は、前記複数本の2倍の本数で構成され、
前記分岐部は、前記複数分岐の2倍に分岐することを特徴とする請求項2または3に記載の機能液供給システム。
【請求項5】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、偶数の機能液滴吐出ヘッドで構成され、
前記流路ユニットは、前記2次室から2分岐を繰り返して前記複数の機能液滴吐出ヘッドに至るツリー形式の流路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項6】
前記流路ユニットは、前記2次室に直接接続された、前記複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する複数本の個別供給流路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能液供給システム。
【請求項7】
前記2次室には、前記各個別供給流路が接続される複数個の流出ポートが形成され、
前記複数個の流出ポートは、前記2次室の中心に対し放射状に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の機能液供給システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の機能液供給システムと、
前記機能液供給手段と、を備え、
ワークに対し前記複数の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記ワーク上に機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする液滴吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−188259(P2010−188259A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34128(P2009−34128)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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