説明

機能追加型基板

【課題】ICモジュールとマザーボードの間に追加モジュール体を配置可能に構成することで、基板そのものの設計変更の必要なしに、機能を追加する。
【解決手段】信号の入出力端子となるIC信号端子を多数有するICモジュール0102と、IC信号端子とそれぞれ接続可能な基板接続端子を有するマザーボード0101と、ICモジュールとマザーボードの間に配置され、IC信号端子とそれぞれ接続される追加モジュール接続端子を上面側に有し、下面側に基板接続端子とそれぞれ接続される追加モジュール信号端子を有する追加モジュール体0103と、を有する機能追加型基板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICモジュールをマザーボードやプリント基板に実装する際に、何らかの機能を追加する目的で、ICモジュールとマザーボードやプリント基板の間に実装する機能追加モジュールが配置された機能追加型基板に関する。
【背景技術】
【0002】
マザーボードやプリント基板(以下合わせて「マザーボード」と呼ぶ)に配置された半導体パッケージなどのICモジュールは、マザーボード上に設けられたパッド(接続用の端子)にハンダ付け等の固定手段によって固定されている。このとき、ICモジュールに設けられた接続用の端子の配列ピッチや端子数は、マザーボード上に設けられたパッドのピッチや数と同じである必要がある。仮に、ICモジュールの配列ピッチや端子数がマザーボード上と異なる場合には、特許文献1の様な変換基板が必要となる。
【0003】
また、マザーボードやプリント基板が搭載された機器の場合、完成したマザーボードに、新たに部品を搭載し、機能を追加することは極めて困難である。例えば、特許文献1の変換モジュールでは、マザーボード上に配置されていたCPU(中央演算処理装置)を、新たに高機能なCPUに交換する場合について記載されている。この引用文献1の場合、マザーボードとCPUの間に変換モジュールを配置することで、CPUを新たに交換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−183243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示した従来技術では、もともとマザーボードに取り付けられていた部品を取り外し、新たな部品へ交換することによる機能の追加が図られており、もともと取り付けられていた部品をそのままもちいた上で、機能を追加する構成となっていない。このため、元来搭載されていた部品を使用し何らかの機能を追加する場合には、マザーボードの設計からやり直す必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本件発明では、上記課題に鑑み、以下の機能追加型基板を提供する。すなわち第一の発明としては、信号の入出力端子となるIC信号端子を多数有するICモジュールと、前記IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続可能な基板接続端子を有するマザーボードと、前記ICモジュールと前記マザーボードの間に配置され、IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続される追加モジュール接続端子を上面側に有し、下面側に基板接続端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記基板接続端子とそれぞれ接続される追加モジュール信号端子を有する追加モジュール体と、を有する機能追加型基板を提供する。
【0007】
第二の発明としては、前記追加モジュール体が、複数の機能追加モジュールから構成され、前記機能追加モジュールは、上面側に前記IC信号端子又は追加モジュール信号端子と接続される追加モジュール接続端子と、裏面側に前記基板接続端子又は追加モジュール接続端子と接続される追加モジュール信号端子と、を有する第一の発明に記載の機能追加型基板を提供する。
【0008】
第三の発明としては、前記機能追加モジュールは、部品内蔵基板から構成されている第二の発明に記載の機能追加型基板を提供する。
【0009】
第四の発明としては、前記ICモジュールは、増幅器であり、前記機能追加モジュールは、フィルター回路を搭載している第二の発明または第三の発明に記載の機能追加型基板を提供する。
【0010】
第五の発明としては、前記機能追加モジュールは、前記マザーボードに設けられたアース端子と接続するためのアース接続用端子を有している第二の発明から第四の発明のいずれか一に記載の機能追加型基板を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本件発明の機能追加型基板のように、ICモジュールとマザーボードの間に追加モジュール体を配置可能に構成することで、基板そのものの設計変更の必要なしに、機能を追加することが可能となる。
【0012】
また、本件発明の機能追加型基板のように、追加機能モジュール体が複数の機能追加モジュールから構成されることで、様々な機能を組み合わせて機能を追加することが可能となる。特に、追加モジュール体を複数の機能追加モジュールによって構成した場合には、複数の機能追加モジュールを、それぞれ様々な種類のノイズに対応するフィルターとすることで、より幅広いノイズに対して対応することが可能となる。
【0013】
さらに、本件発明の機能追加型基板のように構成することで、マザーボードと機能追加モジュールの間のアース接続を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の機能追加型基盤を説明するための概念図
【図2】実施形態1の機能追加型基盤を説明するための概念図
【図3】実施形態2の機能追加型基盤を説明するための概念図
【図4】実施形態3の機能追加型基盤の回路の一例を説明するための概念図
【図5】実施形態4の機能追加型基盤の回路の一例を説明するための概念図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0016】
実施形態1は主に請求項1、請求項4などに関する。実施形態2は主に請求項2、請求項3などに関する。実施形態3は主に請求項5などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
【0017】
本実施形態は、図1に概念図を示したように、マザーボード(0101)とマザーボードに配置可能なICモジュール(0102)の間に、機能を追加するための追加モジュール体(0103)を配置したことを特徴とする機能追加型基板である。本実施形態の機能追加型基板では、本来は、追加モジュール体を用いなくてもマザーボードとして完成している状態に、さらに何らかの機能を追加する目的で、マザーボードとICモジュールの間に追加モジュール体を配置したことを特徴としている。
<実施形態1 構成>
【0018】
図2に本実施形態の機能追加型基板を説明するための概念図を示した。図2の(a)は本実施形態の機能追加型基盤の斜視概念図、(b)は側面概念図である。本実施形態の機能追加型基板は、信号の入出力端子となるIC信号端子(0201)を多数有するICモジュール(0202)と、前記IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続可能な基板接続端子(0203)を有するマザーボード(0204)と、前記ICモジュールと前記マザーボードの間に配置され、IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続される追加モジュール接続端子(0205)を上面側に有し、下面側に基板接続端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記基板接続端子とそれぞれ接続される追加モジュール信号端子(0206)を有する追加モジュール体(0207)と、を有する。
【0019】
ここで、本実施形態の機能追加型基板について説明する。通常、一般的な基板では、マザーボード上にICモジュールを配置することで、目的の機能を実現する。本実施形態の機能追加型基板でも、本実施形態のマザーボード上に、本実施形態のICモジュールが配置することが可能であり、この状態で、ICモジュールは目的となる機能を発揮することができる。
【0020】
しかし、機能追加型基板を実際の使用環境に置いた場合、場合によってはICモジュールが本来の目的通りの機能を発揮することが出来ない場合がある。特にICモジュールがオペアンプなどの増幅器であった場合、機能追加型基板が配置された環境、入力される電源の環境によって、ノイズが生じるため、本来期待した機能を発揮することが出来ない場合がある。
【0021】
このような場合、一般的な基板では、基板そのものから設計をやり直し、ノイズを除去するためのフィルター回路を追加するなどの対策が必要となる。このため、時間やコストが多大に必要となってしまう。
【0022】
本実施形態の機能追加型基板では、このような場合にも、基板そのものの設計変更の必要なしに、マザーボードと追加モジュール体を追加することで、機能を追加することができる。例えば先に例示したノイズを除去するためのフィルター回路を追加する場合には、追加モジュール体をフィルター回路とすることで、容易に機能を追加することができる。
【0023】
「ICモジュール」は、本来マザーボードに直接配置可能なモジュールである。このICモジュールには、マザーボードに設けられた信号の入出力端子となる基板接続端子と接続可能に構成されたIC信号端子が設けられている。このIC信号端子は、マザーボードに配置された基板接続端子と接続が可能であるため、端子配列ピッチが一致している。
【0024】
具体的なICモジュールの例としては、何らかの半導体を搭載したモジュールや、オペアンプ回路などを搭載したモジュールなど、どのようなモジュールであってもよい。また、IC信号端子は、マザーボートの基板接続端子と接続可能な構成であれば、どのような形状であってもよい。例えば、IC信号端子がJリードやBGA (Ball grid array)もしくはQFP (Quad Flat Package)で、基板接続端子がIC信号端子の各端子に対応した配置になっていてもよい。
【0025】
「マザーボード」は、前述のICモジュールが搭載可能な基板である。このマザーボードには、ICモジュールのIC信号端子と接続可能な基板接続端子を有している。前述のように、ICモジュールとマザーボードは接続可能であるため、IC信号端子と基板接続端子の配列ピッチは一致している。
【0026】
本実施形態に用いられるマザーボードは、エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板、フェノール基板、アルミナ基板など、特に限定されるものではない。また、片面基板、両面基板、多層基板、ビルトアップ基板などのいずれであってもよいし、部品内蔵基板であってもよい。
<実施形態1 効果>
【0027】
本実施形態の機能追加型基板のように、ICモジュールとマザーボードの間に追加モジュール体を配置可能に構成することで、基板そのものの設計変更の必要なしに、機能を追加することが可能となる。
<<実施形態2>>
<実施形態2 概要>
【0028】
本実施形態の機能追加型基板は、実施形態1に示した機能追加型基板の追加モジュール体が複数の機能追加モジュールから構成されていることを特徴としている。追加モジュール体が複数の機能追加モジュールから構成されることで、様々な機能が複合させて機能させることが可能となる。
<実施形態2 構成>
【0029】
図3に本実施形態の機能追加型基板を説明するための概念図を示した。本実施形態は、実施形態1にて説明したIC信号端子(0301)と、ICモジュール(0302)と、基板接続端子(0303)と、マザーボード(0304)と、追加モジュール接続端子(0305)と、追加モジュール信号端子(0306)と、追加モジュール体(0307)を有する機能追加型基盤において、追加モジュール体が、複数の機能追加モジュール(0308)から構成され、機能追加モジュールは、上面側に前記IC信号端子と接続可能で、追加モジュール信号端子と同じ配列ピッチの追加モジュール接続端子と、裏面側に前記基板接続端子と接続可能で、追加モジュール接続端子と同じ配列ピッチの追加モジュール信号端子と、を有する。
【0030】
「機能追加モジュール」は、上面側にIC信号端子と接続可能な追加モジュール接続端子と、裏面側に基板接続端子と接続可能な追加モジュール信号端子を有している。実施形態1にも述べたように、IC信号端子は、基板接続端子と接続可能であるため、複数の機能追加モジュールを積層した場合、上方に配置される機能追加モジュールの裏面に設けられた追加モジュール信号端子と、下方に配置される機能追加モジュールの上面に設けられた追加モジュール信号端子は接続可能である。これにより、機能追加モジュールを複数有する場合、図2に示したように複数積層することが可能となる。
【0031】
このように、複数の機能追加モジュールにより追加モジュール体を構成することで、様々な機能を複数追加することが可能となる。例えば、実施形態1にて、追加モジュール体をフィルター回路とした場合を例示したが、追加モジュール体を複数の機能追加モジュールによって構成することで、複数の機能追加モジュールを、それぞれ様々な種類のノイズに対応するフィルターとすることが可能となる。
【0032】
また、例示した例は、フィルターのみであるが、その他にも、フィルター以外の機能の組み合わせであってもよい。
【0033】
また、マザーボードに配置されたICモジュールの周辺に余裕がない場合には、機能追加モジュール体を部品内蔵基板とすることで他の実装部品に影響されることなく機能追加モジュール体を挿入することが可能となる。
<実施形態2 効果>
【0034】
本実施形態の機能追加型基板のように、追加機能モジュール体が複数の機能追加モジュールから構成されることで、様々な機能を組み合わせて機能を追加することが可能となる。特に、追加モジュール体を複数の機能追加モジュールによって構成した場合には、複数の機能追加モジュールを、それぞれ様々な種類のノイズに対応するフィルターとすることで、より幅広いノイズに対して対応することが可能となる。
<<実施形態3>>
<実施形態3 概要>
【0035】
本実施形態は、機能追加モジュールに機能追加モジュールとマザーボードとを接続するアース接続用のアース接続用端子を有していることを特徴としている。
<実施形態3 構成>
【0036】
本実施形態の機能追加型基板は、実施形態2に述べた機能追加モジュールが、マザーボードに設けられたアース端子と接続するためのアース接続用端子を有している。図4および図5に本実施形態の機能追加型基板を説明するための概念図を示した。図4および図5に示した概念図は、ICモジュール(0401、0501)が増幅器(オペアンプ)である場合を想定し、機能追加モジュール(0402、0502)がノイズ除去用のフィルター回路とし、マザーボード(0403、0503)に接続された例である。尚、図4および図5は各モジュールを側面方向から見たときをイメージしており、実際の各モジュールのIC信号端子、基板接続端子、追加モジュール接続端子、追加モジュール信号端子、アース端子、アース接続用端子は、全ての各端子が一直線上に配置される必要はなく、実際は図2や図3に示したように各端子が配列されるのが一般的である。
【0037】
現在一般的に用いられているオペアンプは、IC信号端子を8つ有している。ICモジュール内に搭載されているオペアンプが1つの場合、図4に示したように、使用されている追加モジュール接続端子および追加モジュール信号端子は、2、3、4、6、7の5つである。この他の1、5、8は、使用されていない。このような場合には、使用されていない1、5、8の端子を、アース接続用端子として使用することが可能である。ただし、この際には、マザーボードの基板接続端子の1、5、8の端子、つまりマザーボードの基板接続端子の内、機能追加モジュールのアース接続用端子と接続される基板接続端子がアース端子となっていることが必要である。仮に、マザーボードの基板接続端子がアース端子となっていなかった場合には、機能追加モジュールに設けられたアース接続用端子とマザーボード上のアースにリード線等を用いて接続するように構成してもよい。
【0038】
また、IC信号端子を8つ有しているオペアンプにおいて、モジュール内に搭載されているオペアンプが2つの場合、図5に示したように、追加モジュール接続端子および追加モジュール信号端子の全てが使用されている。このような場合には、先に示したように使用していない追加モジュール接続端子および追加モジュール信号端子をアース接続用端子として使用することが出来ない。このような場合には、追加モジュール接続端子および追加モジュール信号端子とは別に、アース接続用端子(図5中9、10の端子)を設ければよい。このアース接続用端子とマザーボードとの接続は、先のオペアンプが1つのみ搭載されたモジュールの場合と同様に、マザーボード上にアース接続用端子と接続可能なアース端子を設けていれば、そのまま接続すればよいし、リード線などを用いて接続するように構成してもよい。
【0039】
尚、ICモジュールに搭載されたオペアンプが1つであって、使用されていない端子を有する機能追加モジュールであっても、追加モジュール接続端子および追加モジュール信号端子とは別にアース接続用端子を設ける構成としてもよい。
<実施形態3 効果>
【0040】
本実施形態の機能追加型基板のように構成することで、マザーボードと機能追加モジュールの間のアース接続を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
0101、0204、0304、0403、0503 マザーボード
0102、0202、0302、0401、0501 ICモジュール
0103、0207、0307 追加モジュール体
0201、0301 IC信号端子
0203、0303 基板接続端子
0205、0305 追加モジュール接続端子
0206、0306 追加モジュール信号端子
0308、0402、0502 機能追加モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の入出力端子となるIC信号端子を多数有するICモジュールと、
前記IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続可能な基板接続端子を有するマザーボードと、
前記ICモジュールと前記マザーボードの間に配置され、IC信号端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記IC信号端子とそれぞれ接続される追加モジュール接続端子を上面側に有し、下面側に基板接続端子の端子配列ピッチと一致する配列ピッチであって、前記基板接続端子とそれぞれ接続される追加モジュール信号端子を有する追加モジュール体と、
を有する機能追加型基板。
【請求項2】
前記追加モジュール体は、複数の機能追加モジュールから構成され、
前記機能追加モジュールは、
上面側に前記IC信号端子と接続可能で、追加モジュール信号端子と同じ配列ピッチの追加モジュール接続端子と、
裏面側に前記基板接続端子と接続可能で、追加モジュール接続端子と同じ配列ピッチの追加モジュール信号端子と、
を有する請求項1に記載の機能追加型基板。
【請求項3】
前記機能追加モジュールは、部品内蔵基板から構成されている請求項2に記載の機能追加型基板。
【請求項4】
前記ICモジュールは、増幅器であり、前記機能追加モジュールは、フィルター回路を搭載している請求項2または3に記載の機能追加型基板。
【請求項5】
前記機能追加モジュールは、前記マザーボードに設けられたアース端子と接続するためのアース接続用端子を有している請求項2から4のいずれか一に記載の機能追加型基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−79719(P2012−79719A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220443(P2010−220443)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】