欠陥の検出及び応答
【解決手段】検査処理能力を増加させるために、赤外線カメラの視野を試料上で一定速度で移動させることができる。この移動全体を通して、変調を試料に加えることができ、赤外線カメラを用いて赤外線画像を捕捉することができる。視野を移動させること、変調を加えること、及び赤外線画像を捕捉することは、同期させることができる。赤外線画像をフィルタ処理して時間遅延ロックイン・サーモグラフィを生成し、これにより欠陥識別を行うことができる。このフィルタ処理は、赤外線カメラの走査方向の画素数を与えることができる。光変調の場合は、移動全体を通して、暗視野領域を視野用に提供することができ、これにより、フィルタ処理中の信号対雑音比を向上させる。局在する欠陥は、検出システム内に統合されたレーザーによって修復するか、生産ラインにおける後の修復用にインクで印を付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年2月5日に出願された係属中の米国特許出願第12/026539号の一部継続出願である。本発明は、光電池の分野に関するものである。特に、本発明は光起電性膜のインライン検査及び修復に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造工程中に、試料は、電流漏洩を生じさせ得る局在的な電気的欠陥を進展させ得る。代表的な試料は、(156mm×156mmのウェハ、または2160mm×2460mmのパネル、あるいは連続ウェブのような)光起電材料、半導体ウェハ、あるいはプリント回路基板を含むことができる。分路(シャント)及び局在的な弱ダイオードのような電気的欠陥は電流を漏洩させ、従って、試料の効率を低下させるか、さらには試料上のデバイスの機能を脅かし得る。従って、こうした電気的欠陥の位置を正確に検出することが強く望まれる。
【0003】
欠陥は、これらの欠陥を通過する高い電流密度を有し、従って、発熱して試料の温度より高い温度になる。これらの温度変化は、焦平面アレイ赤外線カメラからの画像中に検出することができる。しかし、欠陥における温度変化は、画像中の背景より5桁小さくなり得る。従って、背景雑音(背景ノイズ)から欠陥を分離することは挑戦的であり得る。
【0004】
ロックイン・サーモグラフィは、こうした欠陥を位置検出するための既知の1つの方法である。ロックイン・サーモグラフィでは、例えば、試料への直接的な電流注入によって、あるいは試料の照射により発生する光電流によって試料を変調する。この変調が照射による際は、この方法を時として照射ロックイン・サーモグラフィと称する。注入電流または光電流により試料を加熱することによって生じる温度変化を、同じ周波数で変調する。いずれの変調形式でも、試料を静止させたままにして複数の赤外線画像を捕捉する。
【0005】
室温における試料からの背景赤外線放射のショットノイズ、並びに欠陥と試料の残り部分との間の非常に小さい温度差、及び赤外線撮像センサの限られたダイナミックレンジにより、背景雑音を平均化してならし、これにより信号対雑音比を改善するためには、同じ視野の多数の画像が必要である。捕捉したこれらの画像は、同一の空間的位置から撮像されているが、試料の温度は変調の周波数で振動するので、これらの画像は時間の関数となる。代表的な具体例では、変調または「ロックイン」周波数と同じ周波数で時間的に正弦波状に変化する重み係数を各画像に乗算することによって、これらの画像をフィルタ処理する。一般に、信号対雑音比の改善は、フレームの総数の二乗平方根に比例する。
【0006】
従来のロックイン・サーモグラフィは、赤外線カメラがロックイン平均化に必要な数の画像を取得する間に、試料を静止したままにすることを必要とする。試料のサイズがカメラの視野より大きい場合は、試料の1つの位置について一組の画像を捕捉した後に、試料(または赤外線カメラ)を完全に異なる位置に移動させて、新たな組の赤外線画像を捕捉する必要がある。不都合なことに、この停止−移動時間並びに整定(settling)時間(速度上昇及び速度低下を伴う再配置を含む)は、特に、2メートルより大きいサイズになり得る非常に大型の試料については、総検査時間の大きな部分をとり、これにより、不本意に処理能力を低下させる。従来のロックイン・サーモグラフィにおけるこうしたオーバーヘッドは、検査処理能力の大きな制限要因となる。
【0007】
従って、従来のロックイン・サーモグラフィに比べて、精度を維持しつつ検査処理能力を増加させる、試料上の欠陥を検出する技術の必要性が生じる。発見された欠陥は、レーザー分離のような同じ器具で修復することもできる。
【発明の概要】
【0008】
従来のロックイン・サーモグラフィ技術は、赤外線カメラがロックイン集積に必要な数の画像を取得する間に、試料が静止したままであることを必要とする。一組の画像を取得した後に、試料を交換または再配置して、異なる試料または位置についての赤外線画像を捕捉する。この静止及び再配置時間が、検査処理能力を大幅に低下させる。
【0009】
検査処理能力を増加させるために、試料に対する時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行する方法を提供する。この方法では、赤外線カメラの視野を、試料上で一定速度で移動させることができる。この移動全体を通して、(例えば光学的または電気的な)変調を試料に加えて、赤外線カメラを用いて赤外線画像を捕捉することができる。視野を移動させること、変調を加えること、及び赤外線画像を捕捉することは、同期させることができる。これらの赤外線画像をフィルタ処理して、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成し、これにより欠陥識別を行うことができる。1つの好適例では、このフィルタ処理は、赤外線カメラの走査方向の画素数を考慮したロックイン周波数の正弦波状の重み付けを含むことができる。
【0010】
この時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、半導体ウェハ、光起電ウェハ、光起電材料の大型パネル、光起電材料の連続ウェブ、及びプリント回路基板のような種々の試料に対して用いることができることが有利である。さらに、上記移動は、走査ステージ、ガントリシステム(構台系)における双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、コンベア、及び/または少なくとも1つのローラのような、あらゆる効率的な移動構成要素を用いて行うことができる。
【0011】
1つの好適例では、移動の全体を通して、上記視野を暗視野領域内に置き、これにより、フィルタ処理中に改善された信号対雑音比を提供することができる。この暗視野技術は、標準的な照射ロックイン・サーモグラフィであるものにおいても用いることができる。この方法では、カメラの視野外で試料を照射する。赤外線画像は赤外線カメラを用いて捕捉することができ、変調を加えることと赤外線画像を捕捉することを同期させる。これらの赤外線画像をフィルタ処理して時間平均した画像を生成し、これにより欠陥識別を行うことができる。試料を回転または直線移動させて、視野及び暗視野領域を、試料の他の部分上に再配置することが有利である。この時点で、変調を加えるステップ、赤外線画像を捕捉するステップ、及びこれらの赤外線画像をフィルタ処理するステップを反復することができる。
【0012】
この暗視野技術は、半導体ウェハ、光起電ウェハ、光起電パネル、堆積させた光起電材料上の連続ウェブ、及びプリント回路基板のような種々の試料で用いることができる。位置決め及び回転は、走査ステージ、ガントリシステムにおける双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、回転チャック、及び/または少なくとも1つのローラを用いることを含むことができる。
【0013】
時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、試料の画像を捕捉するための赤外線カメラを含むことができる。走査構成要素は、赤外線カメラの視野を試料上で一定速度で移動させることができる。変調構成要素は、視野を移動させる際に、試料に変調を加えることができる。クロック源は、画像の捕捉、視野の移動、及び変調の発生源を同期させることができる。画像プロセッサ(処理装置)は、捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して欠陥検出を行うことができる。1つの好適例では、光シールド(遮光板)を用いて、照射ロックイン・サーモグラフィ用の照射源から視野を遮光することができる。
【0014】
暗視野照射ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムは、赤外線カメラの視野を試料上で位置決めするための位置決め構成要素を含むことができる。光変調構成要素は、視野を位置決めした後に、試料に光変調を加えることができる。光指向構成要素は、この視野用の暗視野領域を提供することができる。クロック源は、画像取得を上記変調に同期させることができる。画像プロセッサは、捕捉した画像を受信し、時間遅延照射ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、試料上の欠陥を検出することができる。光指向構成要素は、光シールドまたはライトパイプを含むことができる。
【0015】
レーザー分離または他の手段によって欠陥修復を実行するシステムを、本発明の検出システム内に統合することができる。このシステムは、赤外線カメラのすぐ下流に配置され、局在的な欠陥またはホットスポットの検出によって自動的に起動される1つ以上の修復レーザーを含むことができる。例えば、532ナノメートルのQスイッチレーザーを、二軸ガルバノメータ・スキャナによって、テレセントリックレンズを通して導光して、欠陥の周りの分離トレンチを切断し、これにより分路を表面の残り部分から分離することができる。あるいはまた、インクまたは他の物質の堆積によって欠陥の位置に印を付けて、生産の後の段階で修復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】暗視野照明を含む好適な時間遅延照射ロックイン・サーモグラフィシステムを例示する図である。
【0017】
【図2A】従来のロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレームの好適な取得を例示する図である。
【0018】
【図2B】時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレームの好適な取得を例示する図である。
【0019】
【図2C】複数のフレームトリガに対する好適な試料変調を例示する図である。
【0020】
【図3】ガントリシステムを用いてx及びyの両方向に移動させることのできる単一の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0021】
【図4】ガントリシステムを用いて一方向に移動させることのできる複数の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0022】
【図5】コンベア上を移動中の試料の画像を捕捉する複数の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0023】
【図6】背景雑音をさらに最小化することのできる視野用の好適な暗視野照明を例示する図である。
【0024】
【図7】代表的な暗視野実験結果を例示する図であり、拡大されたレーザービームが試料の照射領域の電流を変調する。
【0025】
【図8】光源が発生した光が試料の表面に効率的に中継されることを保証するライトパイプを含むことのできる照明系を例示する図である。
【0026】
【図9A】好適なライトパイプ構成下で、視野用の暗視野領域を再配置するための試料の回転を例示する図であり、このライトパイプ構成は、照射ロックイン・サーモグラフィシステムにおける比較的小型の試料にとって特に効率的であり得る。
【図9B】好適なライトパイプ構成下で、視野用の暗視野領域を再配置するための試料の回転を例示する図であり、このライトパイプ構成は、照射型ロックイン・サーモグラフィシステムにおける比較的小型の試料にとって特に効率的であり得る。
【0027】
【図10】図9A及び9Bのライトパイプ構成を使用する、好適な暗視野照射ロックイン・サーモグラフィシステムを例示する図である。
【0028】
【図11】回転移動を用いる、他の好適な照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【図12】直線移動を用いる、他の好適な照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【0029】
【図13】回転移動及び直線移動を共に含むシステムにおける、図11の暗視野照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【0030】
【図14】ウェブ試料用の少なくとも1つのローラを含むシステムにおける暗視野照射ロックイン・サーモグラフィを例示する図である。
【0031】
【図15】検査中に太陽電池の順方向バイアス及び逆方向バイアスを促進する太陽電池の態様を例示する図である。
【0032】
【図16】本発明の実施例による複合型検査兼修復ツールの側面図である。
【0033】
【図17】本発明の実施例による複合型検査兼修復ツールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
従来のロックイン・サーモグラフィシステムは、赤外線カメラがロックイン集積に必要な数の画像を取得する間に、試料を静止したままにすることを必要とする。試料上の1つの位置について一組の画像を捕捉した後に、試料を再配置して、完全に異なる位置についての赤外線画像を捕捉する。この静止及び再配置時間が、検査処理能力を大幅に低下させる。
【0035】
図1に、検査処理能力を大幅に増加させることのできる好適な時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステム100を例示する。この実施例では、試料101をx−y走査ステージ102上に配置する。この試料に変調を加えることは、(例えば、変調した照射光源を用いることによって)光学的に実行することができ、あるいは(例えば、試料に直接、電流変調を加えることによって)電気的に実行することができる。一実施例では、スイッチ112を用いて、電流ドライバ(駆動回路)106を選択的に、光源103に接続するか、試料101に直接接続することができる。他の実施例では、システム100は、電流ドライバ106及び光源103、あるいは電流ドライバ106のみ、及びスイッチ112のような、一種類の変調のみを加えるための構成要素を含むことができる。
【0036】
光源103は、複数の発光ダイオードモジュールを用いて構成することができる。しかし、他の実施例では、光源103は、チョッパによって変調される標準的な白色光源、直接変調されるレーザー、あるいはQスイッチレーザーを用いて実現することができる。
【0037】
クロック源104は、電流ドライバ106に供給される波形105を発生することができる。この波形は、上述したように、光源103を駆動することのできる電流に変換されるか、あるいは試料101に直接接続される。クロック源104は、赤外線カメラ108を起動して赤外線画像を捕捉させるトリガ107を発生することもでき、これらの赤外線画像は画像プロセッサ110に供給される。クロック源104はステージコントローラ109に接続することができ、ステージコントローラ109は、位置決めエンコーダパルスを走査ステージ102に供給する。この構成では、以下でさらに説明するように、クロック源104は、サンプル移動の速度が画像取得のフレームレート及び変調速度に適切に同期することを保証することができることが有利である。他の実施例では、ステージコントローラのエンコーダ信号をクロック信号として用いて、関数発生器をトリガして、試料に変調を加えることができ、そして赤外線カメラをトリガして画像を取得させることもできる。
【0038】
図2Aに、従来のロックイン・サーモグラフィを用いた赤外線画像のフレーム201の好適な取得を例示する。上述したように、フレーム201を取得するために、試料を静止したままにして、正弦波関数のような周期的信号で変調する。次に、フレーム201を、時間領域内で、変調の周波数のフーリエフィルタを適用することによって処理する。
【0039】
一実施例では、ディスクリートサイン変換及びディスクリートコサイン変換は次式のように定義される:
【数1】
【数2】
【0040】
ここに、
は、i番目のフレームの(m,n)番目の画素値、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、i=1,2,3...、f1は変調の周波数、f2はフレームレート(f1の偶数倍であることが好ましい)、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数、そしてNFはフレームの総数(例えば、変調サイクル数の整数倍)である。
【0041】
なお、複数の特定サンプルのそれぞれが、変調の異なる位相に異なるように応答し得る。しかし、サイン変換とコサイン変換とを組み合わせて、位相とは独立した振幅を生成することができる。具体的には、式1及び式2によって計算したSm,n及びCm,nを用いて、振幅A及び位相イメージφはそれぞれ、次式によって与えられる:
【数3】
【数4】
【0042】
これとは対照的に、図2Bは、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレーム202の好適な取得を例示する。図1を参照して上述したように、従来のロックイン・サーモグラフィとは異なり、時間遅延ロックイン・サーモグラフィでは、試料を一定速度で移動させながら(従って、y方向に測定した撮像位置は時間と共に変化する)複数の画像フレームを取得する。動きの速度(dy/dx)を画像取得のフレームレートに同期させることが有利である。
【0043】
一実施例では、1フレームの持続時間内に1画素分の距離だけ試料を移動させることができる。従って、一実施例では、時間遅延ロックイン・サーモグラフィのフレームの総数は、赤外線カメラの走査方向の視野の画素数と同数である。なお、画像捕捉を、試料に少し(例えば、1画素分またはそれ以下)しかオーバーラップしない視野から開始して、試料のエッジまでもが実際に複数回撮像されることを保証することができる。
【0044】
他の実施例では、試料が連続する2つのフレーム間で移動する距離を、1、2、3...画素分のような整数倍にすることができ、このことは、固定されたフレームレートでのより高い検査速度を可能にする。この整数倍の方法は、より低い感度を与える、というのは、ロックイン・サーモグラフィ用の総フレーム数が、移動した画素数に等しい個数分の1に低減されるからである。さらに他の実施例では、連続する2つのフレーム間で試料が移動する距離を、1画素分以下(例えば、一般に1/N画素分:1/5画素、1/4画素、1/3画素、1/2画素、等)にすることができ、このことは、より高い検査精度を可能にするが、より低い検査速度を生じさせる。一実施例では、所定数(例えば、少なくとも4つ)のフレームを各変調サイクル中の捕捉用に指定し、これにより検査精度並びに許容される検査速度を決定することができる。
【0045】
遅延時間ロックイン・サーモグラフィのあらゆる実施例によれば、試料が固定周波数で変調されるので、試料が赤外線カメラの視野を横切って連続して移動する間に、試料の各撮像画素を複数回撮像する。従って、撮像画素毎に1つの画像を複数回、赤外線カメラの一部分を形成することのできる赤外線撮像センサの1ラインの画素によって読み出す。時間遅延ロックイン・サーモグラフィにおいて捕捉した画像は、次式のサイン変換及びコサイン変換によって与えられ、これらの変換が一緒になってフーリエフィルタ処理を提供する:
【数5】
【数6】
【0046】
ここに、
は、赤外線画像の(i+n−1)番目のフレームの(m,n)番目の画素値、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレートである。f2はf1の偶数(≧4)倍であることが好ましい。Nx及びNyはそれぞれ、1フレーム内のx方向及びy方向の画素数である。なお、指標nは、
のフレーム指標である上付き文字、及び画素指標である下付き文字中に共に現れ、指標nは、試料が赤外線カメラの視野を横切って移動する間に、特定空間位置の各画素を追跡することを定義する。移動する試料の速度は次式によって与えられる:
【数7】
【0047】
ここに、Pは試料上の画素サイズである。上述したように、移動する試料の速度V、試料変調、及びフレームトリガを同期させて、所望のフレーム捕捉を保証することができる。図2Cに、複数のフレームトリガ204に対する好適な試料変調203を例示する。他の実施例では、移動する試料の速度を、フレーム間隔(連続する2つのフレーム間の持続時間)当たり1画素以上または1画素以下に一般化することができ;従って、式7は次式のように書ける:
【数8】
【0048】
一実施例では、kを1より大きくすることができ、例えばk=2,3,4...である。この場合は、各フレームの画素を、走査(y)方向にkに等しい画素数ずつビンに入れる(まとめる)ことができる。y方向の有効画素数はk分の1に低減され、画像をこの有効画素数にダウンサンプリングする限り、式5及び6はまだ適用される。他の実施例では、kを1以下にすることができる。例えば、k=1/2である際は、試料をフレーム間隔当たり半画素分移動させることができ、あるいは、k=1/3である際は、1/3画素分だけ移動させることができる。この場合は、走査方向のフレーム当たりの有効画素数はk倍に増加する。最近傍補間、線形補間、スプライン補間、またはキュービック補間のような内挿補間法による画像のリサンプリングによって、有効画像をより大きいサイズに再構成することができる。走査方向の画像サイズをリサンプリングして、k倍に増加させた有効画素数にする限り、式5及び6はまだ適用される。なお、位相及び振幅は、式3及び4を用いて計算することができる。
【0049】
なお、赤外線カメラのセンサは、矩形センサ素子による矩形フォーマットを有することができる(ここで、正方形は矩形の特別な場合と考えられる)。一実施例では、試料が一定速度で、この矩形センサ1つのエッジに平行な方向に移動する。なお、P、即ち試料上の撮像画素サイズは、センサ素子の走査方向に沿ったサイズを、撮像レンズの倍率で除算することによって計算することができる。
【0050】
画像プロセッサ110の一具体例では、時間遅延積分と称する技法が、画素シフトを試料の移動に同期させることができる。時間遅延積分は、2002年7月11日に発行された米国特許第RE37740号、発明の名称「Method and apparatus for optical inspection of substrates」、に詳細に記載されている。しかし、この参考文献では、時間遅延積分は、(ライン走査撮像モードのような)各撮像画素の1つの瞬時しか捕捉しない。特に、時間遅延積分を、視野が試料を横切って移動する間に捕捉した複数の画像を撮像画素毎に追跡するように変更し、これにより、時間遅延積分を時間遅延ロックイン・サーモグラフィに関連して利用可能にすることができる。この追跡は、画像プロセッサ110内にインストールしたコンピュータ実現のソフトウェアプログラムによって実行することができる。
【0051】
さらに、画像プロセッサ110では、時間領域内の単一周波数のフーリエフィルタ(または同じ変調周波数の整合フィルタ)を、捕捉した画像に、複数フレームのウィンドウ上で適用することもできる。上述したように、フーリエフィルタを適用する際に、各フレームを、所定画素数(1,2,3...)分だけ走査方向にシフトすることができる。
【0052】
式5及び6では、最終画像中の各y列iは、複数画像の複数フレームからの重み付けした合計であり、ここで、画像nはこの合計に列i+n−1で寄与している。
【0053】
試料の連続走査を用いることによって、時間遅延サーモグラフィーは、従来のロックイン・サーモグラフィ検査システムの不所望な停止−移動動作を有利に解消し、これにより、検査オーバーヘッド時間を大幅に低減することができる。従って、生産環境における高処理能力の検査を実現することができる。特に、移動させる画素数を変化させることによって、時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、所望の速度/感度のバランスを有利に最適化することができる。
【0054】
なお、試料の画像を捕捉する際に、(例えば図1の走査ステージ102を用いて)試料を赤外線カメラに対して移動中にするか、赤外線カメラを試料に対して移動中にすることができる。例えば、図3に、ガントリシステムによってx及びyの両方向に移動することのできる単一の赤外線カメラ301を含む好適な検査システム300を例示し、このガントリシステムは、x方向のカメラ移動を可能にするリニアステージ302、及びy方向のカメラ移動を可能にするリニアステージ303を含む。図3に示すように、水平移動と垂直移動とを交互させることは、試料304の蛇行状の走査を生じさせる。
【0055】
この実施例では、試料304は(薄膜、ガラス基板上に形成された大型太陽電池パネルのような)単一試料である。なお、ガントリシステムを用いる他の実施例では、試料304を複数の試料に置き換えることができる。
【0056】
複数の並列的な赤外線カメラは、検査速度をさらに向上させることができる。例えば、図4に、3台の赤外線カメラ401を含む好適な検査システム400を例示するが、他の実施例は、より少数またはより多数の赤外線カメラを含むことができる。(なお、図1に示す構成要素のような他のシステム構成要素は、簡単のため図示していない)。この実施例では、赤外線カメラ401は、ガントリブリッジ403を用いた方向402の単一パスの走査を提供することができる。
【0057】
図5に、4台の赤外線カメラ501を含む好適な検査システム500を例示するが、他の実施例は、より少数またはより多数の赤外線カメラを含むことができる。この実施例では、赤外線カメラ501は静止した桁(ビーム)上に配置することができるのに対し、試料503は、コンベア506の一部を形成するトラック(行路)505を用いて方向504に移動することができる。
【0058】
一実施例では、赤外線カメラを、320×256画素のセンサ分解能を有する中波赤外線カメラを用いて実現することができる。この赤外線カメラを含む検査システムは、次の動作特性を含むことができる:1秒当たり433フレームのフレームレート、0.5mmの撮像分解能、216mm/sの試料速度、及び276cm2/sの検査速度。
【0059】
時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステム100を再び参照すれば、光源103を用いて電流変調を加えることは、いくらかの熱発生を生じさせ得る。特に太陽電池の場合は、太陽電池が光パワーを電力に変換する効率が限られていることにより、照射光の一部は熱に変換される。照射によって発生した熱は背景赤外線放射を増加させることがあり、このことは、より大きな背景雑音を生じさせ、従って、より低い検出感度を生じさせる。特に、照射による過剰な熱は欠陥信号変調と同じ周波数で発生するので、(金属格子線(グリッドライン)対シリコンのような)異なる材料間の放射率差は、ロックイン・サーモグラフィ画像中で不均一な背景雑音として現れ、この背景雑音は容易に除去することができないことがあり、従って欠陥感度をさらに低下させる。
【0060】
従って、一実施例では、システム100は光シールド111を用いて、赤外線カメラの視野用の暗視野領域を生成することができる。一実施例では、光シールド111は、試料101の2〜4mm上方に、あるいは試料の照射を制限する他の任意の距離に配置することができる。例えば、図6に、光シールド111によって提供することのできる、試料601上の視野603を保護するための暗視野領域602を例示する。この場合は、照射領域604は暗視野領域602の外部に発生する。特に、照射領域604は視野6030の外部に限定されるので、こうした照射によって発生する光電流は視野603の領域内に迅速に流入することができる。
【0061】
従って、過剰な光子エネルギーによる試料加熱を視野603の外部に制約することができる。その結果、この間接照射は、視野603内部の背景雑音を有利に最小化する。しかし、関心事としては、暗視野領域602を視野603用に用いるにもかかわらず、欠陥は赤外線カメラにとってまだ可視である。
【0062】
例えば、図7に好適な結果を例示し、ここでは、拡張したレーザービームが、試料の照射領域702の電流を変調する。電流を漏洩させる欠陥はホットスポット701として出現する。図7に示すように、(1)背景加熱は、光が試料を直接照射する所でより高く、(2)背景加熱は、照射領域702の外部ではずっと低く、(3)欠陥は、照射領域の外部にあっても、電流が試料全体にわたって自由に流れるので、依然としてホットスポットとして出現する。
【0063】
再び図1を参照すれば、(視野の境界にほぼ平行な照射帯のような)光シールド111によって規定される赤外線カメラ108の視野の外部の所定領域は、(発光ダイオードのアレイのような)光源103によって照射することができる。特に、光シールド111は、視野の背景加熱を有利に低減することができ、これにより、捕捉画像中の欠陥の信号対雑音比を増加させることができる。より良好な信号対雑音比は、より高い処理能力(所定感度におけるより短い集積時間)、及び/または、より高い感度を生じさせる。
【0064】
図8に示す一実施例では、照射系800がライトパイプ802を含み、ライトパイプ802は、光源801が発生した光を、光シールドなしで効率的に、試料804の表面に中継することができる。なお、ライトパイプは、小型太陽電池(例えば6”×6”)及び半導体ウェハのような比較的小型の試料を分析して、画像を収集中の試料のみに光分散を制限するために特に有効である。一実施例では、光分散をさらに制限するために、随意的なフレンネルレンズ803を用いて、ライトパイプ802からの光を試料804上に集束させることができる。
【0065】
ライトパイプ802は、ライトパイプ802の側壁の全反射によって光を導光するガラスの固体ブロックを用いて実現することができる。他の実施例では、ライトパイプ802は、内部に鏡面を有する中空管を用いて実現することができる。ライトパイプ802のあらゆる実現において、(矩形のように)明確に規定された照射領域を試料804中に照射することができる。
【0066】
ライトパイプは、試料の大きな領域または小さな領域を覆うように構成することができることが有利である。あらゆる構成において、ライトパイプは、比較的鮮明に規定された境界を、暗視野領域及び照射領域用に提供することができる。例えば、ライトパイプは、図6の照射領域604の境界を(従って、暗視野領域602の境界も)鮮明に規定することができる。これとは対照的に、照射領域604の外部境界は、光シールドによって生成した場合は、一般に散乱するのに対し、(光シールドが試料に十分近いものと仮定すれば)内部境界は比較的鮮明に規定される。
【0067】
図9A及び9Bに、半導体ウェハまたは太陽電池のような比較的小型の試料用に特に効率的であり得るライトパイプの好適な構成を例示し、比較的小型の試料用でなければ、従来のロックイン・サーモグラフィシステムである。この構成では、901、902、903、及び904のように4象限に分割する(即ち、4象限を有するものとして特徴付ける)ことができ、ライトパイプ900の形状は、試料910の3象限にほぼ整合する。図9Aでは、象限902、903、及び904はライトパイプ900によって照射されるのに対し、暗視野領域内にある象限901は、赤外線カメラによって撮像することができる(簡単のため図示せず)。他の象限は、試料910をライトパイプ900に対して回転させることによって撮像することができる。例えば、図9A及び図9Bより、試料910をライトパイプ900に対して反時計方向に90度だけ回転させる。こうして、象限901、903、及び904はライトパイプ900によって照射されるのに対し、暗視野領域内にある象限902は赤外線カメラによって撮像することができる。従って、試料910を3回回転させることによって、すべての象限901、902、903、及び904を検査することができる。
【0068】
図10に、ライトパイプ900及び試料910を含む好適な暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1000を例示する。システム1000では、試料910を、(90度回転のような)所望の回転を実行することのできる回転チャック1001上に配置する。ライトパイプ900は、発光ダイオードモジュール1002からの光を試料910上に指向させることができる。赤外線カメラ1003は、試料910の暗視野象限から画像を捕捉することができる。この実施例では、赤外線カメラ1003は、ライトパイプ900によって指向された光によって試料910が電流変調される間の時間にわたって、暗視野象限の複数のショットを捕捉することができる。所望数の画像を赤外線カメラ1003によって捕捉した後に、回転チャックを回転させて、試料910の他の象限を露光させることができる。
【0069】
他の実施例では、複数試料の暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムを実現することができる。例えば、図11に、4つの試料1101を含む好適な構成を例示する。ブロック1102は、暗視野領域の境界を画定する。この場合は、赤外線カメラ(簡単のため図示せず)が、試料1101からの所望数の暗視野画像を同時に捕捉した後に、各試料1101を(例えば、4つのチャック(簡単のため図示せず)を用いて、矢印で示すように時計回りに90度だけ)回転させて、試料1101の異なる象限からの画像を捕捉することを開始する。
【0070】
なお、他の実施例は、試料の異なる分割を含むことができる。例えば、図12に、暗視野領域1200、及びコンベヤベルト上の3つの試料1201、1202、及び1203を含む好適な構成を例示する。この場合は、まず、カメラが、暗視野領域1200内にある試料1201の左側及び試料1202の右側を撮像する。次に、コンベヤベルト1204が1つの試料の幅だけ右に移動(即ち、矢印で示すように直線移動)し、カメラは、暗視野領域1200内にある試料1202の左側及び試料1203の右側を撮像する。他の実施例では、コンベヤベルトが連続して移動し、前述したように、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いて画像を処理する。この実施例では、試料が暗視野領域下を通過する間に試料の一部分が常に照射されるように、視野の幅は試料の幅以下でなければならない。例えば、320×256画素を有する矩形の焦平面アレイについては、移動方向に垂直な方向のセル(試料)の幅が320画素によって覆われ、移動方向に平行な方向のセルの幅が256画素によって覆われるように、赤外線カメラを配向させる。
【0071】
一実施例では、回転移動及び直線移動を共に、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム内に含めることができる。例えば、図13に、回転チャック1304(簡単のため1つ示す)上に配置することのできる複数の試料1301を含む暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムの構成1300を例示し、回転チャック1304はコンベヤ1303に固定することができる。図13に示す構成では、図11を参照して説明したように、4つの試料1301を同時に撮像する。(回転チャック1304を用いて)すべての象限から所望の画像を捕捉した後に、次の4つの試料1301を、(コンベヤ1303を用いて)画像捕捉の次ラウンド用の、暗視野領域1302に対する所定位置に移動することができる。
【0072】
特に、以上で示したように、視野用の暗視野領域を提供することを、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ及び従来のロックイン・サーモグラフィに共に含めて、光変調を用いる際の背景雑音を有利に低減することができる。さらに、この暗視野ロックイン・サーモグラフィは、半導体ウェハ、太陽電池、太陽電池パネル、プリント回路基板、及び連続ウェブに対して用いることができる。
【0073】
例えば、図14に、ローラを用いてウェブ試料1401を進めることのできる好適な暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400を例示する。好適なウェブ試料は(例えば約14インチ幅の)ステンレス鋼リボンであり、このリボン上に光起電材料を堆積させることができる。暗視野領域1402内で所望の画像を捕捉した後に、ウェブ試料1401の他の部分を、ローラ1403を用いて暗視野領域1402下に位置決めして撮像する。一実施例では、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400が、ウェブ試料1401を、(ウェブ試料1401の物理的裁断のような)その後の処理用に位置決めするための他のローラを含むことができる。他の実施例では、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400は、時間遅延暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムに容易に変換することができる。即ち、ローラ1403を用いて、時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステムにおいて用いられる一定速度を提供することができる。なお、他の実施例は、ウェブ試料の進行を行うための、より少数またはより多数のローラを含むことができる。一般に、ウェブ試料を用いたシステム実現は少なくとも1つのローラを含む。
【0074】
本明細書では、本発明の例示的な実施例を、図面を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明はこれらの明確な実施例に限定されないことは明らかである。これらの実施例は、網羅的であること、あるいは本発明を開示した明確な形式に限定することを意図したものではない。こうしたものとして、多数の変更または変形が、熟練した当業者にとって明らかである。
【0075】
例えば、時間遅延ロックイン・サーモグラフィについて上述したように、試料の画像を捕捉する際に、試料を赤外線カメラに対して移動させるか、あるいは、赤外線カメラを試料に対して移動させることができる。本明細書で用いるように、赤外線カメラの視野を試料上で移動させることは、いずれの移動を述べることも意味する。特に、いずれの移動も同じ捕捉画像を提供することができる。
【0076】
さらに、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを、(図5の試料503のような)複数の試料の検査用の暗視野領域と組み合わせると、あらゆる試料の変調が時間と共に変化する(というのは、(暗視野に対する)光照射野で露光される試料の割合が時間と共に変化するからである)。しかし、この変調の変化は、(図1の画像プロセッサのような)画像プロセッサ適切なプログラミングによって補償することができる。
【0077】
さらに、図15を参照すれば、2つの異なる電気的変調:即ち順方向バイアス電気変調及び逆方向バイアス電気変調を、試料に対して実行することができる。例えば、太陽電池1500の場合は、(例えば太陽電池1500の上面上の金属フィンガ1504を用いて)正端子をN層1501に接続し、(例えば太陽電池1500の背面上の金属層1503を用いて)負端子をP層1502に接続することによって、逆方向バイアスを印加することができる。これとは対照的に、順方向バイアスは、負端子をN層1501に接続し、正端子をP層1502に接続することによって印加することができる。各電気的変調を用いて、異なる種類の欠陥を検出することができる。例えば、一実施例では、順方向バイアス電流変調を用いて、むしろダイオードのように挙動するが低い開放回路電圧を有する欠陥を検出することができる。
【0078】
なお、本明細書で説明した指向照射の構成は、視野の周りに照射の境界を与えるが、他の実施例は異なる照射形状を提供することができる。即ち、電流は試料を通って自由に流れるので、他の照射構成は、視野の周りに分布した複数(≧2)の照射ブロックを含むことができ、これらの照射ブロックは、視野のさらなる変調を可能にする。
【0079】
ここで図16及び17を参照して、本発明の代案実施例による装置1600の追加的な態様を説明する。一実施例では、検出器1614のリニアアレイによって検査を実行し、このリニアアレイはy方向に沿って配置され、y方向は、ウェブ1618の動きの方向に直交し、この方向がx方向である。アレイ14内の各検出素子がウェブ1618のトラックを規定し、このトラックは幅dyを有する。例えば、356個の検出器を有し幅14インチであるウェブ1618を、356本のトラックに分割し、各トラックは、その幅dyが約1mmである。所定トラック内に分路を検出した場合は、このトラックを、ウェブ1618のx方向の進行速度に合わせて調整した適時に、検出器アレイ1614の下流の2、3センチメートル以内の所で修復する。一部の実施例では、修復器具1616も同様に、検出器1614によって規定されるトラック位置に非常によく対応するように、そして上述したように区分する。一部の実施例では、検出器1614及び修復器具1616を共通フレーム1612に接続し、従って、同じツール1610内に配置する。
【0080】
代案実施例では、検査及び修復の動作を、最終的な導電膜を光起電接合に付加する前または付加した後のいずれにも実行することができる。検出器モジュール1614による検査を、最終的な接点層を付加する前に実行する場合は、例えば、2007年3月24日に出願された米国特許出願第11/690809号に記載された光電子放出によって実行することができ、この特許文献は、その全文を参考文献として本明細書に含める。検出モジュール1614による検査は、可視光による強力な照射下で、開放回路電圧の非接触測定によって実行することもでき、この測定では、分路領域が低下した電圧を有する。電圧測定は、米国特許出願第11/690809号に記載された無摩擦空気ベアリングによって与えられる真空を必要としない。
【0081】
種々の実施例では、分路を修復モジュール1616によって、印刷によって、噴霧(スプレー)によって、あるいはさもなければ、絶縁材料を欠陥トラック上に、ウェブ速度によって決まる適時に付加または生成することによって修復する。最終的な接点をウェブに付加した後に検査を実行する場合は、一実施例では、検出器モジュール1614が、(検出器モジュールの一部でもある)リニア電荷結合素子アレイの上流にあるウェブの十分大きい領域上を照射して、その材料中に「ホットスポット」を生成し、ここで、分路した電流がこの分路領域を局所的に加熱する。この電荷結合素子アレイは、(約3〜5ミクロンの波長の)赤外線放射を検出し、表面を修復モジュール1616によって、例えば、2006年3月31日に出願された米国特許出願第11/278158号に記載された透明導電酸化物を切断するレーザーによって修復し、この特許文献は、その全文を参考文献として本明細書に含める。
【0082】
あるいはまた、検査位置付近のレーザー切断の代わりに、インクを分路領域上に印刷して、他のツールによるさらに下流の位置での修復用に印を付ける。例えば、このインクは、その後のレーザー修復を案内(ガイド)するための反射マークとすることができ、あるいは、酸化物中に拡散してアニール加熱下での耐性を増加させる化学剤とすることができる。
【0083】
本発明の種々の実施例には、いくつかの利点が存在する。例えば、分路付近の材料しか修復によって影響されない、というのは、修復は分路の正確な検出に非常に近接して達成されるからである。(修復を同じツールによって実行する場合は)ツールのフロア空間がより小型であり、その後に洗浄及び乾燥ステップを伴う電気化学浴槽よりずっと小さいフロア空間しか必要としない。分路分布の詳細マップを電子的に提供して、例えば膜堆積の均一性のようなプロセス変動を診断することができる。さらに、どの分路を修復するかを選択するアルゴリズムを実現することができる。
【0084】
本発明の種々の実施例は、次のいくつかの新規の特徴を共有する。これらは、(1)移動するウェブを、検出器及び修復ツールによって規定されるトラックに分割すること、(2)検出及び修復(または修復用の印付け)を単一ツールに統合して、修復中の欠陥座標の誤りを最小化し、フロア空間を低減すること、(3)最終的な接点を付加する前の、分路を位置検出するための電圧検出を、絶縁材料の付加または形成と結合して、分路を電気的に絶縁すること、(4)リニア電荷結合素子の上流にあるウェブを照射して、赤外線検出のためのホットスポットを生成すること。
【0085】
こうしたツールは、薄膜CIGSまたはSi光起電材料のウェブベースの製造上で、あるいはテルル化カドミウムまたは結晶シリコン光起電材料の生産ライン上で使用することができる。本発明は、分路を除去し、分路の欠陥マップを用いてプロセス変動を診断することによって、太陽電池の効率を大幅に改善する。分路は時として、分路に加えた他の様式でセル(太陽電池)効率を低下させるプロセス変動を、例えば、不純物位置におけるキャリアの再結合によって、あるいは貧弱に規定されたp−n接合による低い開放回路電圧によって合図する。
【0086】
本発明の種々の実施例は、光起電材料の移動する生産ライン上で分路を発見して修復し、検出動作と修復動作とを単一ツール内に統合することによって、光起電材料のウェブが、分路の検出と分路の修復動作との間に移動する距離を低減する。このことは、分路が存在する位置を特定することと、分路の修復を実行する後の時点における位置を再特定することとの間の誤差を低減する。このことは、ツール用に必要なフロア空間も低減する。
【0087】
以上の説明は、本発明の好適な実施例の説明は、例示及び説明目的で提示してきた。網羅的であること、あるいは本発明を開示された形態に限定することは意図していない。以上の教示を考慮すれば、自明な変更及び変形が可能である。これらの実施例は、本発明の原理及びその実際的な用途の最良の例示を提供し、これにより、当業者が本発明を種々の実施例の形で、特定の利用に適した種々の変更を伴って利用することを可能にするために、選定し説明する。こうした変更及び変形のすべてが、特許請求の範囲を公平、適法、かつ公正に権利を与えられる幅で解釈した際に、特許請求の範囲に規定した本発明の範囲内に入る。
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年2月5日に出願された係属中の米国特許出願第12/026539号の一部継続出願である。本発明は、光電池の分野に関するものである。特に、本発明は光起電性膜のインライン検査及び修復に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造工程中に、試料は、電流漏洩を生じさせ得る局在的な電気的欠陥を進展させ得る。代表的な試料は、(156mm×156mmのウェハ、または2160mm×2460mmのパネル、あるいは連続ウェブのような)光起電材料、半導体ウェハ、あるいはプリント回路基板を含むことができる。分路(シャント)及び局在的な弱ダイオードのような電気的欠陥は電流を漏洩させ、従って、試料の効率を低下させるか、さらには試料上のデバイスの機能を脅かし得る。従って、こうした電気的欠陥の位置を正確に検出することが強く望まれる。
【0003】
欠陥は、これらの欠陥を通過する高い電流密度を有し、従って、発熱して試料の温度より高い温度になる。これらの温度変化は、焦平面アレイ赤外線カメラからの画像中に検出することができる。しかし、欠陥における温度変化は、画像中の背景より5桁小さくなり得る。従って、背景雑音(背景ノイズ)から欠陥を分離することは挑戦的であり得る。
【0004】
ロックイン・サーモグラフィは、こうした欠陥を位置検出するための既知の1つの方法である。ロックイン・サーモグラフィでは、例えば、試料への直接的な電流注入によって、あるいは試料の照射により発生する光電流によって試料を変調する。この変調が照射による際は、この方法を時として照射ロックイン・サーモグラフィと称する。注入電流または光電流により試料を加熱することによって生じる温度変化を、同じ周波数で変調する。いずれの変調形式でも、試料を静止させたままにして複数の赤外線画像を捕捉する。
【0005】
室温における試料からの背景赤外線放射のショットノイズ、並びに欠陥と試料の残り部分との間の非常に小さい温度差、及び赤外線撮像センサの限られたダイナミックレンジにより、背景雑音を平均化してならし、これにより信号対雑音比を改善するためには、同じ視野の多数の画像が必要である。捕捉したこれらの画像は、同一の空間的位置から撮像されているが、試料の温度は変調の周波数で振動するので、これらの画像は時間の関数となる。代表的な具体例では、変調または「ロックイン」周波数と同じ周波数で時間的に正弦波状に変化する重み係数を各画像に乗算することによって、これらの画像をフィルタ処理する。一般に、信号対雑音比の改善は、フレームの総数の二乗平方根に比例する。
【0006】
従来のロックイン・サーモグラフィは、赤外線カメラがロックイン平均化に必要な数の画像を取得する間に、試料を静止したままにすることを必要とする。試料のサイズがカメラの視野より大きい場合は、試料の1つの位置について一組の画像を捕捉した後に、試料(または赤外線カメラ)を完全に異なる位置に移動させて、新たな組の赤外線画像を捕捉する必要がある。不都合なことに、この停止−移動時間並びに整定(settling)時間(速度上昇及び速度低下を伴う再配置を含む)は、特に、2メートルより大きいサイズになり得る非常に大型の試料については、総検査時間の大きな部分をとり、これにより、不本意に処理能力を低下させる。従来のロックイン・サーモグラフィにおけるこうしたオーバーヘッドは、検査処理能力の大きな制限要因となる。
【0007】
従って、従来のロックイン・サーモグラフィに比べて、精度を維持しつつ検査処理能力を増加させる、試料上の欠陥を検出する技術の必要性が生じる。発見された欠陥は、レーザー分離のような同じ器具で修復することもできる。
【発明の概要】
【0008】
従来のロックイン・サーモグラフィ技術は、赤外線カメラがロックイン集積に必要な数の画像を取得する間に、試料が静止したままであることを必要とする。一組の画像を取得した後に、試料を交換または再配置して、異なる試料または位置についての赤外線画像を捕捉する。この静止及び再配置時間が、検査処理能力を大幅に低下させる。
【0009】
検査処理能力を増加させるために、試料に対する時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行する方法を提供する。この方法では、赤外線カメラの視野を、試料上で一定速度で移動させることができる。この移動全体を通して、(例えば光学的または電気的な)変調を試料に加えて、赤外線カメラを用いて赤外線画像を捕捉することができる。視野を移動させること、変調を加えること、及び赤外線画像を捕捉することは、同期させることができる。これらの赤外線画像をフィルタ処理して、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成し、これにより欠陥識別を行うことができる。1つの好適例では、このフィルタ処理は、赤外線カメラの走査方向の画素数を考慮したロックイン周波数の正弦波状の重み付けを含むことができる。
【0010】
この時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、半導体ウェハ、光起電ウェハ、光起電材料の大型パネル、光起電材料の連続ウェブ、及びプリント回路基板のような種々の試料に対して用いることができることが有利である。さらに、上記移動は、走査ステージ、ガントリシステム(構台系)における双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、コンベア、及び/または少なくとも1つのローラのような、あらゆる効率的な移動構成要素を用いて行うことができる。
【0011】
1つの好適例では、移動の全体を通して、上記視野を暗視野領域内に置き、これにより、フィルタ処理中に改善された信号対雑音比を提供することができる。この暗視野技術は、標準的な照射ロックイン・サーモグラフィであるものにおいても用いることができる。この方法では、カメラの視野外で試料を照射する。赤外線画像は赤外線カメラを用いて捕捉することができ、変調を加えることと赤外線画像を捕捉することを同期させる。これらの赤外線画像をフィルタ処理して時間平均した画像を生成し、これにより欠陥識別を行うことができる。試料を回転または直線移動させて、視野及び暗視野領域を、試料の他の部分上に再配置することが有利である。この時点で、変調を加えるステップ、赤外線画像を捕捉するステップ、及びこれらの赤外線画像をフィルタ処理するステップを反復することができる。
【0012】
この暗視野技術は、半導体ウェハ、光起電ウェハ、光起電パネル、堆積させた光起電材料上の連続ウェブ、及びプリント回路基板のような種々の試料で用いることができる。位置決め及び回転は、走査ステージ、ガントリシステムにおける双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、回転チャック、及び/または少なくとも1つのローラを用いることを含むことができる。
【0013】
時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、試料の画像を捕捉するための赤外線カメラを含むことができる。走査構成要素は、赤外線カメラの視野を試料上で一定速度で移動させることができる。変調構成要素は、視野を移動させる際に、試料に変調を加えることができる。クロック源は、画像の捕捉、視野の移動、及び変調の発生源を同期させることができる。画像プロセッサ(処理装置)は、捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して欠陥検出を行うことができる。1つの好適例では、光シールド(遮光板)を用いて、照射ロックイン・サーモグラフィ用の照射源から視野を遮光することができる。
【0014】
暗視野照射ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムは、赤外線カメラの視野を試料上で位置決めするための位置決め構成要素を含むことができる。光変調構成要素は、視野を位置決めした後に、試料に光変調を加えることができる。光指向構成要素は、この視野用の暗視野領域を提供することができる。クロック源は、画像取得を上記変調に同期させることができる。画像プロセッサは、捕捉した画像を受信し、時間遅延照射ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、試料上の欠陥を検出することができる。光指向構成要素は、光シールドまたはライトパイプを含むことができる。
【0015】
レーザー分離または他の手段によって欠陥修復を実行するシステムを、本発明の検出システム内に統合することができる。このシステムは、赤外線カメラのすぐ下流に配置され、局在的な欠陥またはホットスポットの検出によって自動的に起動される1つ以上の修復レーザーを含むことができる。例えば、532ナノメートルのQスイッチレーザーを、二軸ガルバノメータ・スキャナによって、テレセントリックレンズを通して導光して、欠陥の周りの分離トレンチを切断し、これにより分路を表面の残り部分から分離することができる。あるいはまた、インクまたは他の物質の堆積によって欠陥の位置に印を付けて、生産の後の段階で修復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】暗視野照明を含む好適な時間遅延照射ロックイン・サーモグラフィシステムを例示する図である。
【0017】
【図2A】従来のロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレームの好適な取得を例示する図である。
【0018】
【図2B】時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレームの好適な取得を例示する図である。
【0019】
【図2C】複数のフレームトリガに対する好適な試料変調を例示する図である。
【0020】
【図3】ガントリシステムを用いてx及びyの両方向に移動させることのできる単一の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0021】
【図4】ガントリシステムを用いて一方向に移動させることのできる複数の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0022】
【図5】コンベア上を移動中の試料の画像を捕捉する複数の赤外線カメラを含む好適な検査システムを例示する図である。
【0023】
【図6】背景雑音をさらに最小化することのできる視野用の好適な暗視野照明を例示する図である。
【0024】
【図7】代表的な暗視野実験結果を例示する図であり、拡大されたレーザービームが試料の照射領域の電流を変調する。
【0025】
【図8】光源が発生した光が試料の表面に効率的に中継されることを保証するライトパイプを含むことのできる照明系を例示する図である。
【0026】
【図9A】好適なライトパイプ構成下で、視野用の暗視野領域を再配置するための試料の回転を例示する図であり、このライトパイプ構成は、照射ロックイン・サーモグラフィシステムにおける比較的小型の試料にとって特に効率的であり得る。
【図9B】好適なライトパイプ構成下で、視野用の暗視野領域を再配置するための試料の回転を例示する図であり、このライトパイプ構成は、照射型ロックイン・サーモグラフィシステムにおける比較的小型の試料にとって特に効率的であり得る。
【0027】
【図10】図9A及び9Bのライトパイプ構成を使用する、好適な暗視野照射ロックイン・サーモグラフィシステムを例示する図である。
【0028】
【図11】回転移動を用いる、他の好適な照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【図12】直線移動を用いる、他の好適な照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【0029】
【図13】回転移動及び直線移動を共に含むシステムにおける、図11の暗視野照射ロックイン・サーモグラフィ構成を例示する図である。
【0030】
【図14】ウェブ試料用の少なくとも1つのローラを含むシステムにおける暗視野照射ロックイン・サーモグラフィを例示する図である。
【0031】
【図15】検査中に太陽電池の順方向バイアス及び逆方向バイアスを促進する太陽電池の態様を例示する図である。
【0032】
【図16】本発明の実施例による複合型検査兼修復ツールの側面図である。
【0033】
【図17】本発明の実施例による複合型検査兼修復ツールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
従来のロックイン・サーモグラフィシステムは、赤外線カメラがロックイン集積に必要な数の画像を取得する間に、試料を静止したままにすることを必要とする。試料上の1つの位置について一組の画像を捕捉した後に、試料を再配置して、完全に異なる位置についての赤外線画像を捕捉する。この静止及び再配置時間が、検査処理能力を大幅に低下させる。
【0035】
図1に、検査処理能力を大幅に増加させることのできる好適な時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステム100を例示する。この実施例では、試料101をx−y走査ステージ102上に配置する。この試料に変調を加えることは、(例えば、変調した照射光源を用いることによって)光学的に実行することができ、あるいは(例えば、試料に直接、電流変調を加えることによって)電気的に実行することができる。一実施例では、スイッチ112を用いて、電流ドライバ(駆動回路)106を選択的に、光源103に接続するか、試料101に直接接続することができる。他の実施例では、システム100は、電流ドライバ106及び光源103、あるいは電流ドライバ106のみ、及びスイッチ112のような、一種類の変調のみを加えるための構成要素を含むことができる。
【0036】
光源103は、複数の発光ダイオードモジュールを用いて構成することができる。しかし、他の実施例では、光源103は、チョッパによって変調される標準的な白色光源、直接変調されるレーザー、あるいはQスイッチレーザーを用いて実現することができる。
【0037】
クロック源104は、電流ドライバ106に供給される波形105を発生することができる。この波形は、上述したように、光源103を駆動することのできる電流に変換されるか、あるいは試料101に直接接続される。クロック源104は、赤外線カメラ108を起動して赤外線画像を捕捉させるトリガ107を発生することもでき、これらの赤外線画像は画像プロセッサ110に供給される。クロック源104はステージコントローラ109に接続することができ、ステージコントローラ109は、位置決めエンコーダパルスを走査ステージ102に供給する。この構成では、以下でさらに説明するように、クロック源104は、サンプル移動の速度が画像取得のフレームレート及び変調速度に適切に同期することを保証することができることが有利である。他の実施例では、ステージコントローラのエンコーダ信号をクロック信号として用いて、関数発生器をトリガして、試料に変調を加えることができ、そして赤外線カメラをトリガして画像を取得させることもできる。
【0038】
図2Aに、従来のロックイン・サーモグラフィを用いた赤外線画像のフレーム201の好適な取得を例示する。上述したように、フレーム201を取得するために、試料を静止したままにして、正弦波関数のような周期的信号で変調する。次に、フレーム201を、時間領域内で、変調の周波数のフーリエフィルタを適用することによって処理する。
【0039】
一実施例では、ディスクリートサイン変換及びディスクリートコサイン変換は次式のように定義される:
【数1】
【数2】
【0040】
ここに、
は、i番目のフレームの(m,n)番目の画素値、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、i=1,2,3...、f1は変調の周波数、f2はフレームレート(f1の偶数倍であることが好ましい)、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数、そしてNFはフレームの総数(例えば、変調サイクル数の整数倍)である。
【0041】
なお、複数の特定サンプルのそれぞれが、変調の異なる位相に異なるように応答し得る。しかし、サイン変換とコサイン変換とを組み合わせて、位相とは独立した振幅を生成することができる。具体的には、式1及び式2によって計算したSm,n及びCm,nを用いて、振幅A及び位相イメージφはそれぞれ、次式によって与えられる:
【数3】
【数4】
【0042】
これとは対照的に、図2Bは、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いた、赤外線画像のフレーム202の好適な取得を例示する。図1を参照して上述したように、従来のロックイン・サーモグラフィとは異なり、時間遅延ロックイン・サーモグラフィでは、試料を一定速度で移動させながら(従って、y方向に測定した撮像位置は時間と共に変化する)複数の画像フレームを取得する。動きの速度(dy/dx)を画像取得のフレームレートに同期させることが有利である。
【0043】
一実施例では、1フレームの持続時間内に1画素分の距離だけ試料を移動させることができる。従って、一実施例では、時間遅延ロックイン・サーモグラフィのフレームの総数は、赤外線カメラの走査方向の視野の画素数と同数である。なお、画像捕捉を、試料に少し(例えば、1画素分またはそれ以下)しかオーバーラップしない視野から開始して、試料のエッジまでもが実際に複数回撮像されることを保証することができる。
【0044】
他の実施例では、試料が連続する2つのフレーム間で移動する距離を、1、2、3...画素分のような整数倍にすることができ、このことは、固定されたフレームレートでのより高い検査速度を可能にする。この整数倍の方法は、より低い感度を与える、というのは、ロックイン・サーモグラフィ用の総フレーム数が、移動した画素数に等しい個数分の1に低減されるからである。さらに他の実施例では、連続する2つのフレーム間で試料が移動する距離を、1画素分以下(例えば、一般に1/N画素分:1/5画素、1/4画素、1/3画素、1/2画素、等)にすることができ、このことは、より高い検査精度を可能にするが、より低い検査速度を生じさせる。一実施例では、所定数(例えば、少なくとも4つ)のフレームを各変調サイクル中の捕捉用に指定し、これにより検査精度並びに許容される検査速度を決定することができる。
【0045】
遅延時間ロックイン・サーモグラフィのあらゆる実施例によれば、試料が固定周波数で変調されるので、試料が赤外線カメラの視野を横切って連続して移動する間に、試料の各撮像画素を複数回撮像する。従って、撮像画素毎に1つの画像を複数回、赤外線カメラの一部分を形成することのできる赤外線撮像センサの1ラインの画素によって読み出す。時間遅延ロックイン・サーモグラフィにおいて捕捉した画像は、次式のサイン変換及びコサイン変換によって与えられ、これらの変換が一緒になってフーリエフィルタ処理を提供する:
【数5】
【数6】
【0046】
ここに、
は、赤外線画像の(i+n−1)番目のフレームの(m,n)番目の画素値、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレートである。f2はf1の偶数(≧4)倍であることが好ましい。Nx及びNyはそれぞれ、1フレーム内のx方向及びy方向の画素数である。なお、指標nは、
のフレーム指標である上付き文字、及び画素指標である下付き文字中に共に現れ、指標nは、試料が赤外線カメラの視野を横切って移動する間に、特定空間位置の各画素を追跡することを定義する。移動する試料の速度は次式によって与えられる:
【数7】
【0047】
ここに、Pは試料上の画素サイズである。上述したように、移動する試料の速度V、試料変調、及びフレームトリガを同期させて、所望のフレーム捕捉を保証することができる。図2Cに、複数のフレームトリガ204に対する好適な試料変調203を例示する。他の実施例では、移動する試料の速度を、フレーム間隔(連続する2つのフレーム間の持続時間)当たり1画素以上または1画素以下に一般化することができ;従って、式7は次式のように書ける:
【数8】
【0048】
一実施例では、kを1より大きくすることができ、例えばk=2,3,4...である。この場合は、各フレームの画素を、走査(y)方向にkに等しい画素数ずつビンに入れる(まとめる)ことができる。y方向の有効画素数はk分の1に低減され、画像をこの有効画素数にダウンサンプリングする限り、式5及び6はまだ適用される。他の実施例では、kを1以下にすることができる。例えば、k=1/2である際は、試料をフレーム間隔当たり半画素分移動させることができ、あるいは、k=1/3である際は、1/3画素分だけ移動させることができる。この場合は、走査方向のフレーム当たりの有効画素数はk倍に増加する。最近傍補間、線形補間、スプライン補間、またはキュービック補間のような内挿補間法による画像のリサンプリングによって、有効画像をより大きいサイズに再構成することができる。走査方向の画像サイズをリサンプリングして、k倍に増加させた有効画素数にする限り、式5及び6はまだ適用される。なお、位相及び振幅は、式3及び4を用いて計算することができる。
【0049】
なお、赤外線カメラのセンサは、矩形センサ素子による矩形フォーマットを有することができる(ここで、正方形は矩形の特別な場合と考えられる)。一実施例では、試料が一定速度で、この矩形センサ1つのエッジに平行な方向に移動する。なお、P、即ち試料上の撮像画素サイズは、センサ素子の走査方向に沿ったサイズを、撮像レンズの倍率で除算することによって計算することができる。
【0050】
画像プロセッサ110の一具体例では、時間遅延積分と称する技法が、画素シフトを試料の移動に同期させることができる。時間遅延積分は、2002年7月11日に発行された米国特許第RE37740号、発明の名称「Method and apparatus for optical inspection of substrates」、に詳細に記載されている。しかし、この参考文献では、時間遅延積分は、(ライン走査撮像モードのような)各撮像画素の1つの瞬時しか捕捉しない。特に、時間遅延積分を、視野が試料を横切って移動する間に捕捉した複数の画像を撮像画素毎に追跡するように変更し、これにより、時間遅延積分を時間遅延ロックイン・サーモグラフィに関連して利用可能にすることができる。この追跡は、画像プロセッサ110内にインストールしたコンピュータ実現のソフトウェアプログラムによって実行することができる。
【0051】
さらに、画像プロセッサ110では、時間領域内の単一周波数のフーリエフィルタ(または同じ変調周波数の整合フィルタ)を、捕捉した画像に、複数フレームのウィンドウ上で適用することもできる。上述したように、フーリエフィルタを適用する際に、各フレームを、所定画素数(1,2,3...)分だけ走査方向にシフトすることができる。
【0052】
式5及び6では、最終画像中の各y列iは、複数画像の複数フレームからの重み付けした合計であり、ここで、画像nはこの合計に列i+n−1で寄与している。
【0053】
試料の連続走査を用いることによって、時間遅延サーモグラフィーは、従来のロックイン・サーモグラフィ検査システムの不所望な停止−移動動作を有利に解消し、これにより、検査オーバーヘッド時間を大幅に低減することができる。従って、生産環境における高処理能力の検査を実現することができる。特に、移動させる画素数を変化させることによって、時間遅延ロックイン・サーモグラフィは、所望の速度/感度のバランスを有利に最適化することができる。
【0054】
なお、試料の画像を捕捉する際に、(例えば図1の走査ステージ102を用いて)試料を赤外線カメラに対して移動中にするか、赤外線カメラを試料に対して移動中にすることができる。例えば、図3に、ガントリシステムによってx及びyの両方向に移動することのできる単一の赤外線カメラ301を含む好適な検査システム300を例示し、このガントリシステムは、x方向のカメラ移動を可能にするリニアステージ302、及びy方向のカメラ移動を可能にするリニアステージ303を含む。図3に示すように、水平移動と垂直移動とを交互させることは、試料304の蛇行状の走査を生じさせる。
【0055】
この実施例では、試料304は(薄膜、ガラス基板上に形成された大型太陽電池パネルのような)単一試料である。なお、ガントリシステムを用いる他の実施例では、試料304を複数の試料に置き換えることができる。
【0056】
複数の並列的な赤外線カメラは、検査速度をさらに向上させることができる。例えば、図4に、3台の赤外線カメラ401を含む好適な検査システム400を例示するが、他の実施例は、より少数またはより多数の赤外線カメラを含むことができる。(なお、図1に示す構成要素のような他のシステム構成要素は、簡単のため図示していない)。この実施例では、赤外線カメラ401は、ガントリブリッジ403を用いた方向402の単一パスの走査を提供することができる。
【0057】
図5に、4台の赤外線カメラ501を含む好適な検査システム500を例示するが、他の実施例は、より少数またはより多数の赤外線カメラを含むことができる。この実施例では、赤外線カメラ501は静止した桁(ビーム)上に配置することができるのに対し、試料503は、コンベア506の一部を形成するトラック(行路)505を用いて方向504に移動することができる。
【0058】
一実施例では、赤外線カメラを、320×256画素のセンサ分解能を有する中波赤外線カメラを用いて実現することができる。この赤外線カメラを含む検査システムは、次の動作特性を含むことができる:1秒当たり433フレームのフレームレート、0.5mmの撮像分解能、216mm/sの試料速度、及び276cm2/sの検査速度。
【0059】
時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステム100を再び参照すれば、光源103を用いて電流変調を加えることは、いくらかの熱発生を生じさせ得る。特に太陽電池の場合は、太陽電池が光パワーを電力に変換する効率が限られていることにより、照射光の一部は熱に変換される。照射によって発生した熱は背景赤外線放射を増加させることがあり、このことは、より大きな背景雑音を生じさせ、従って、より低い検出感度を生じさせる。特に、照射による過剰な熱は欠陥信号変調と同じ周波数で発生するので、(金属格子線(グリッドライン)対シリコンのような)異なる材料間の放射率差は、ロックイン・サーモグラフィ画像中で不均一な背景雑音として現れ、この背景雑音は容易に除去することができないことがあり、従って欠陥感度をさらに低下させる。
【0060】
従って、一実施例では、システム100は光シールド111を用いて、赤外線カメラの視野用の暗視野領域を生成することができる。一実施例では、光シールド111は、試料101の2〜4mm上方に、あるいは試料の照射を制限する他の任意の距離に配置することができる。例えば、図6に、光シールド111によって提供することのできる、試料601上の視野603を保護するための暗視野領域602を例示する。この場合は、照射領域604は暗視野領域602の外部に発生する。特に、照射領域604は視野6030の外部に限定されるので、こうした照射によって発生する光電流は視野603の領域内に迅速に流入することができる。
【0061】
従って、過剰な光子エネルギーによる試料加熱を視野603の外部に制約することができる。その結果、この間接照射は、視野603内部の背景雑音を有利に最小化する。しかし、関心事としては、暗視野領域602を視野603用に用いるにもかかわらず、欠陥は赤外線カメラにとってまだ可視である。
【0062】
例えば、図7に好適な結果を例示し、ここでは、拡張したレーザービームが、試料の照射領域702の電流を変調する。電流を漏洩させる欠陥はホットスポット701として出現する。図7に示すように、(1)背景加熱は、光が試料を直接照射する所でより高く、(2)背景加熱は、照射領域702の外部ではずっと低く、(3)欠陥は、照射領域の外部にあっても、電流が試料全体にわたって自由に流れるので、依然としてホットスポットとして出現する。
【0063】
再び図1を参照すれば、(視野の境界にほぼ平行な照射帯のような)光シールド111によって規定される赤外線カメラ108の視野の外部の所定領域は、(発光ダイオードのアレイのような)光源103によって照射することができる。特に、光シールド111は、視野の背景加熱を有利に低減することができ、これにより、捕捉画像中の欠陥の信号対雑音比を増加させることができる。より良好な信号対雑音比は、より高い処理能力(所定感度におけるより短い集積時間)、及び/または、より高い感度を生じさせる。
【0064】
図8に示す一実施例では、照射系800がライトパイプ802を含み、ライトパイプ802は、光源801が発生した光を、光シールドなしで効率的に、試料804の表面に中継することができる。なお、ライトパイプは、小型太陽電池(例えば6”×6”)及び半導体ウェハのような比較的小型の試料を分析して、画像を収集中の試料のみに光分散を制限するために特に有効である。一実施例では、光分散をさらに制限するために、随意的なフレンネルレンズ803を用いて、ライトパイプ802からの光を試料804上に集束させることができる。
【0065】
ライトパイプ802は、ライトパイプ802の側壁の全反射によって光を導光するガラスの固体ブロックを用いて実現することができる。他の実施例では、ライトパイプ802は、内部に鏡面を有する中空管を用いて実現することができる。ライトパイプ802のあらゆる実現において、(矩形のように)明確に規定された照射領域を試料804中に照射することができる。
【0066】
ライトパイプは、試料の大きな領域または小さな領域を覆うように構成することができることが有利である。あらゆる構成において、ライトパイプは、比較的鮮明に規定された境界を、暗視野領域及び照射領域用に提供することができる。例えば、ライトパイプは、図6の照射領域604の境界を(従って、暗視野領域602の境界も)鮮明に規定することができる。これとは対照的に、照射領域604の外部境界は、光シールドによって生成した場合は、一般に散乱するのに対し、(光シールドが試料に十分近いものと仮定すれば)内部境界は比較的鮮明に規定される。
【0067】
図9A及び9Bに、半導体ウェハまたは太陽電池のような比較的小型の試料用に特に効率的であり得るライトパイプの好適な構成を例示し、比較的小型の試料用でなければ、従来のロックイン・サーモグラフィシステムである。この構成では、901、902、903、及び904のように4象限に分割する(即ち、4象限を有するものとして特徴付ける)ことができ、ライトパイプ900の形状は、試料910の3象限にほぼ整合する。図9Aでは、象限902、903、及び904はライトパイプ900によって照射されるのに対し、暗視野領域内にある象限901は、赤外線カメラによって撮像することができる(簡単のため図示せず)。他の象限は、試料910をライトパイプ900に対して回転させることによって撮像することができる。例えば、図9A及び図9Bより、試料910をライトパイプ900に対して反時計方向に90度だけ回転させる。こうして、象限901、903、及び904はライトパイプ900によって照射されるのに対し、暗視野領域内にある象限902は赤外線カメラによって撮像することができる。従って、試料910を3回回転させることによって、すべての象限901、902、903、及び904を検査することができる。
【0068】
図10に、ライトパイプ900及び試料910を含む好適な暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1000を例示する。システム1000では、試料910を、(90度回転のような)所望の回転を実行することのできる回転チャック1001上に配置する。ライトパイプ900は、発光ダイオードモジュール1002からの光を試料910上に指向させることができる。赤外線カメラ1003は、試料910の暗視野象限から画像を捕捉することができる。この実施例では、赤外線カメラ1003は、ライトパイプ900によって指向された光によって試料910が電流変調される間の時間にわたって、暗視野象限の複数のショットを捕捉することができる。所望数の画像を赤外線カメラ1003によって捕捉した後に、回転チャックを回転させて、試料910の他の象限を露光させることができる。
【0069】
他の実施例では、複数試料の暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムを実現することができる。例えば、図11に、4つの試料1101を含む好適な構成を例示する。ブロック1102は、暗視野領域の境界を画定する。この場合は、赤外線カメラ(簡単のため図示せず)が、試料1101からの所望数の暗視野画像を同時に捕捉した後に、各試料1101を(例えば、4つのチャック(簡単のため図示せず)を用いて、矢印で示すように時計回りに90度だけ)回転させて、試料1101の異なる象限からの画像を捕捉することを開始する。
【0070】
なお、他の実施例は、試料の異なる分割を含むことができる。例えば、図12に、暗視野領域1200、及びコンベヤベルト上の3つの試料1201、1202、及び1203を含む好適な構成を例示する。この場合は、まず、カメラが、暗視野領域1200内にある試料1201の左側及び試料1202の右側を撮像する。次に、コンベヤベルト1204が1つの試料の幅だけ右に移動(即ち、矢印で示すように直線移動)し、カメラは、暗視野領域1200内にある試料1202の左側及び試料1203の右側を撮像する。他の実施例では、コンベヤベルトが連続して移動し、前述したように、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを用いて画像を処理する。この実施例では、試料が暗視野領域下を通過する間に試料の一部分が常に照射されるように、視野の幅は試料の幅以下でなければならない。例えば、320×256画素を有する矩形の焦平面アレイについては、移動方向に垂直な方向のセル(試料)の幅が320画素によって覆われ、移動方向に平行な方向のセルの幅が256画素によって覆われるように、赤外線カメラを配向させる。
【0071】
一実施例では、回転移動及び直線移動を共に、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム内に含めることができる。例えば、図13に、回転チャック1304(簡単のため1つ示す)上に配置することのできる複数の試料1301を含む暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムの構成1300を例示し、回転チャック1304はコンベヤ1303に固定することができる。図13に示す構成では、図11を参照して説明したように、4つの試料1301を同時に撮像する。(回転チャック1304を用いて)すべての象限から所望の画像を捕捉した後に、次の4つの試料1301を、(コンベヤ1303を用いて)画像捕捉の次ラウンド用の、暗視野領域1302に対する所定位置に移動することができる。
【0072】
特に、以上で示したように、視野用の暗視野領域を提供することを、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ及び従来のロックイン・サーモグラフィに共に含めて、光変調を用いる際の背景雑音を有利に低減することができる。さらに、この暗視野ロックイン・サーモグラフィは、半導体ウェハ、太陽電池、太陽電池パネル、プリント回路基板、及び連続ウェブに対して用いることができる。
【0073】
例えば、図14に、ローラを用いてウェブ試料1401を進めることのできる好適な暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400を例示する。好適なウェブ試料は(例えば約14インチ幅の)ステンレス鋼リボンであり、このリボン上に光起電材料を堆積させることができる。暗視野領域1402内で所望の画像を捕捉した後に、ウェブ試料1401の他の部分を、ローラ1403を用いて暗視野領域1402下に位置決めして撮像する。一実施例では、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400が、ウェブ試料1401を、(ウェブ試料1401の物理的裁断のような)その後の処理用に位置決めするための他のローラを含むことができる。他の実施例では、暗視野ロックイン・サーモグラフィシステム1400は、時間遅延暗視野ロックイン・サーモグラフィシステムに容易に変換することができる。即ち、ローラ1403を用いて、時間遅延ロックイン・サーモグラフィシステムにおいて用いられる一定速度を提供することができる。なお、他の実施例は、ウェブ試料の進行を行うための、より少数またはより多数のローラを含むことができる。一般に、ウェブ試料を用いたシステム実現は少なくとも1つのローラを含む。
【0074】
本明細書では、本発明の例示的な実施例を、図面を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明はこれらの明確な実施例に限定されないことは明らかである。これらの実施例は、網羅的であること、あるいは本発明を開示した明確な形式に限定することを意図したものではない。こうしたものとして、多数の変更または変形が、熟練した当業者にとって明らかである。
【0075】
例えば、時間遅延ロックイン・サーモグラフィについて上述したように、試料の画像を捕捉する際に、試料を赤外線カメラに対して移動させるか、あるいは、赤外線カメラを試料に対して移動させることができる。本明細書で用いるように、赤外線カメラの視野を試料上で移動させることは、いずれの移動を述べることも意味する。特に、いずれの移動も同じ捕捉画像を提供することができる。
【0076】
さらに、時間遅延ロックイン・サーモグラフィを、(図5の試料503のような)複数の試料の検査用の暗視野領域と組み合わせると、あらゆる試料の変調が時間と共に変化する(というのは、(暗視野に対する)光照射野で露光される試料の割合が時間と共に変化するからである)。しかし、この変調の変化は、(図1の画像プロセッサのような)画像プロセッサ適切なプログラミングによって補償することができる。
【0077】
さらに、図15を参照すれば、2つの異なる電気的変調:即ち順方向バイアス電気変調及び逆方向バイアス電気変調を、試料に対して実行することができる。例えば、太陽電池1500の場合は、(例えば太陽電池1500の上面上の金属フィンガ1504を用いて)正端子をN層1501に接続し、(例えば太陽電池1500の背面上の金属層1503を用いて)負端子をP層1502に接続することによって、逆方向バイアスを印加することができる。これとは対照的に、順方向バイアスは、負端子をN層1501に接続し、正端子をP層1502に接続することによって印加することができる。各電気的変調を用いて、異なる種類の欠陥を検出することができる。例えば、一実施例では、順方向バイアス電流変調を用いて、むしろダイオードのように挙動するが低い開放回路電圧を有する欠陥を検出することができる。
【0078】
なお、本明細書で説明した指向照射の構成は、視野の周りに照射の境界を与えるが、他の実施例は異なる照射形状を提供することができる。即ち、電流は試料を通って自由に流れるので、他の照射構成は、視野の周りに分布した複数(≧2)の照射ブロックを含むことができ、これらの照射ブロックは、視野のさらなる変調を可能にする。
【0079】
ここで図16及び17を参照して、本発明の代案実施例による装置1600の追加的な態様を説明する。一実施例では、検出器1614のリニアアレイによって検査を実行し、このリニアアレイはy方向に沿って配置され、y方向は、ウェブ1618の動きの方向に直交し、この方向がx方向である。アレイ14内の各検出素子がウェブ1618のトラックを規定し、このトラックは幅dyを有する。例えば、356個の検出器を有し幅14インチであるウェブ1618を、356本のトラックに分割し、各トラックは、その幅dyが約1mmである。所定トラック内に分路を検出した場合は、このトラックを、ウェブ1618のx方向の進行速度に合わせて調整した適時に、検出器アレイ1614の下流の2、3センチメートル以内の所で修復する。一部の実施例では、修復器具1616も同様に、検出器1614によって規定されるトラック位置に非常によく対応するように、そして上述したように区分する。一部の実施例では、検出器1614及び修復器具1616を共通フレーム1612に接続し、従って、同じツール1610内に配置する。
【0080】
代案実施例では、検査及び修復の動作を、最終的な導電膜を光起電接合に付加する前または付加した後のいずれにも実行することができる。検出器モジュール1614による検査を、最終的な接点層を付加する前に実行する場合は、例えば、2007年3月24日に出願された米国特許出願第11/690809号に記載された光電子放出によって実行することができ、この特許文献は、その全文を参考文献として本明細書に含める。検出モジュール1614による検査は、可視光による強力な照射下で、開放回路電圧の非接触測定によって実行することもでき、この測定では、分路領域が低下した電圧を有する。電圧測定は、米国特許出願第11/690809号に記載された無摩擦空気ベアリングによって与えられる真空を必要としない。
【0081】
種々の実施例では、分路を修復モジュール1616によって、印刷によって、噴霧(スプレー)によって、あるいはさもなければ、絶縁材料を欠陥トラック上に、ウェブ速度によって決まる適時に付加または生成することによって修復する。最終的な接点をウェブに付加した後に検査を実行する場合は、一実施例では、検出器モジュール1614が、(検出器モジュールの一部でもある)リニア電荷結合素子アレイの上流にあるウェブの十分大きい領域上を照射して、その材料中に「ホットスポット」を生成し、ここで、分路した電流がこの分路領域を局所的に加熱する。この電荷結合素子アレイは、(約3〜5ミクロンの波長の)赤外線放射を検出し、表面を修復モジュール1616によって、例えば、2006年3月31日に出願された米国特許出願第11/278158号に記載された透明導電酸化物を切断するレーザーによって修復し、この特許文献は、その全文を参考文献として本明細書に含める。
【0082】
あるいはまた、検査位置付近のレーザー切断の代わりに、インクを分路領域上に印刷して、他のツールによるさらに下流の位置での修復用に印を付ける。例えば、このインクは、その後のレーザー修復を案内(ガイド)するための反射マークとすることができ、あるいは、酸化物中に拡散してアニール加熱下での耐性を増加させる化学剤とすることができる。
【0083】
本発明の種々の実施例には、いくつかの利点が存在する。例えば、分路付近の材料しか修復によって影響されない、というのは、修復は分路の正確な検出に非常に近接して達成されるからである。(修復を同じツールによって実行する場合は)ツールのフロア空間がより小型であり、その後に洗浄及び乾燥ステップを伴う電気化学浴槽よりずっと小さいフロア空間しか必要としない。分路分布の詳細マップを電子的に提供して、例えば膜堆積の均一性のようなプロセス変動を診断することができる。さらに、どの分路を修復するかを選択するアルゴリズムを実現することができる。
【0084】
本発明の種々の実施例は、次のいくつかの新規の特徴を共有する。これらは、(1)移動するウェブを、検出器及び修復ツールによって規定されるトラックに分割すること、(2)検出及び修復(または修復用の印付け)を単一ツールに統合して、修復中の欠陥座標の誤りを最小化し、フロア空間を低減すること、(3)最終的な接点を付加する前の、分路を位置検出するための電圧検出を、絶縁材料の付加または形成と結合して、分路を電気的に絶縁すること、(4)リニア電荷結合素子の上流にあるウェブを照射して、赤外線検出のためのホットスポットを生成すること。
【0085】
こうしたツールは、薄膜CIGSまたはSi光起電材料のウェブベースの製造上で、あるいはテルル化カドミウムまたは結晶シリコン光起電材料の生産ライン上で使用することができる。本発明は、分路を除去し、分路の欠陥マップを用いてプロセス変動を診断することによって、太陽電池の効率を大幅に改善する。分路は時として、分路に加えた他の様式でセル(太陽電池)効率を低下させるプロセス変動を、例えば、不純物位置におけるキャリアの再結合によって、あるいは貧弱に規定されたp−n接合による低い開放回路電圧によって合図する。
【0086】
本発明の種々の実施例は、光起電材料の移動する生産ライン上で分路を発見して修復し、検出動作と修復動作とを単一ツール内に統合することによって、光起電材料のウェブが、分路の検出と分路の修復動作との間に移動する距離を低減する。このことは、分路が存在する位置を特定することと、分路の修復を実行する後の時点における位置を再特定することとの間の誤差を低減する。このことは、ツール用に必要なフロア空間も低減する。
【0087】
以上の説明は、本発明の好適な実施例の説明は、例示及び説明目的で提示してきた。網羅的であること、あるいは本発明を開示された形態に限定することは意図していない。以上の教示を考慮すれば、自明な変更及び変形が可能である。これらの実施例は、本発明の原理及びその実際的な用途の最良の例示を提供し、これにより、当業者が本発明を種々の実施例の形で、特定の利用に適した種々の変更を伴って利用することを可能にするために、選定し説明する。こうした変更及び変形のすべてが、特許請求の範囲を公平、適法、かつ公正に権利を与えられる幅で解釈した際に、特許請求の範囲に規定した本発明の範囲内に入る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対して時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムであって、
前記試料の画像を捕捉する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの視野を、前記試料上で一定速度で移動させるための走査部と、
前記視野を移動させる際に、前記試料に変調を付与する変調部と、
前記画像の捕捉、前記視野の移動、及び、前記変調の付与、を同期させるためのクロック源と、
前記捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、欠陥の検出を行う画像プロセッサと、
前記欠陥を修復すること、及び、後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方のための器具と
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記器具は、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーで前記欠陥を修復する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記視野用の暗視野領域を提供するための、光シールドまたはライトパイプの一方を含む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記画像プロセッサが、次の2つの式を実現するフィルタを含み、
【数9】
【数10】
ここに、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレート、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数である、システム。
【請求項5】
試料に対して暗視野ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムであって、
前記試料の画像を捕捉する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの視野を、前記試料上に位置決めするための位置決め部と、
前記視野を位置決めした後に、前記試料に光変調を付与する光変調部と、
前記視野用の暗視野領域を提供するための光指向部と、
前記画像の捕捉と、前記光変調の付与と、を同期させるためのクロック源と、
前記捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、欠陥の検出を行う画像プロセッサと、
前記欠陥を修復すること、及び、後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方のための器具と、
を備えるシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
前記器具は、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーで前記欠陥を修復する、システム。
【請求項7】
移動する光起電材料のウェブ中の欠陥を、前記ウェブの移動を停止させることなしに検出して処置するためのツールであって、
前記ウェブが移動している間に、前記ウェブ中の欠陥を検出する検出モジュールであって、前記光起電材料のウェブを横切るように、前記ウェブの移動方向に直交して配置されたセンサのリニアアレイを備え、前記リニアアレイ中の前記センサの各々が、前記ウェブの幅の増加部分を検査する検出モジュールと、
前記ウェブが移動している間に、前記ウェブ中の前記欠陥に対する所定処置を行う処置モジュールであって、前記光起電材料のウェブを横切るように、前記ウェブの移動方向に直交して配置された処置素子のリニアアレイを備え、前記リニアアレイ中の前記処置素子の各々が、前記ウェブの幅の増加部分のうち関連する増加部分に対して作用する処置モジュールと、
前記検出モジュール及び前記処置モジュールが共に装着された共通フレームであって、前記検出モジュールは、前記ウェブの移動に関して前記処置モジュールの上流位置に、前記処理モジュールから既知の距離の所に配置されている共通フレームと、
前記欠陥モジュールによって検出した前記欠陥の位置を特定し、前記移動するウェブの速度の取得及び検出の少なくとも一方を行い、前記欠陥が前記処置モジュールの処置範囲内に位置する際に、少なくとも部分的に、前記移動するウェブの速度、及び、前記検出モジュールと前記処置モジュールとの間の前記既知の距離、に基づく適時に、前記欠陥を処置することを前記処置モジュールに指示するコントローラと、
を備えるツール。
【請求項8】
請求項7に記載のツールであって、
前記検出モジュールが、電圧検出法を用いて前記欠陥を検出する、ツール。
【請求項9】
請求項7に記載のツールであって、
前記検出モジュールが、ホットスポット検出法を用いて前記欠陥を検出する、ツール。
【請求項10】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが前記欠陥を修復する、ツール。
【請求項11】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥をレーザー分離することによって修復する、ツール。
【請求項12】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥上に非導電面を形成することによって、前記欠陥を修復する、ツール。
【請求項13】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥を修復せずに、前記欠陥に物理的な印を付ける、ツール。
【請求項14】
試料に対して時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行する方法であって、
赤外線カメラの視野を、前記試料上で一定速度で移動させるステップと、
前記移動の期間全体を通して、前記試料に変調を加えるステップと、
前記移動の期間全体を通して、前記赤外線カメラを用いて赤外線画像を捕捉するステップとを含み、
前記視野を移動させるステップ、前記変調を加えるステップ、及び前記赤外線画像を捕捉するステップを同期させ、
前記方法がさらに、
前記赤外線画像をフィルタ処理して、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成し、これにより欠陥の識別を行うステップと、
前記欠陥を修復すること、及び後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方を行うステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記変調が、光変調及び電気的変調の一方である、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記試料が、半導体ウェハ、太陽電池、連続ウェブ、及びプリント回路基板のうちの1つである、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記フィルタ処理するステップが、次の2つの式を実行することを含み、
【数11】
【数12】
ここに、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレート、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数である、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記移動の期間全体を通して、前記視野用の暗視野照明を提供するステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、
前記移動させるステップが、走査ステージ、ガントリシステム内の双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、コンベヤ、及び少なくとも1つのローラ、の少なくとも1つを用いることを含む、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
前記欠陥の修復が、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーによって行われる、方法。
【請求項1】
試料に対して時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムであって、
前記試料の画像を捕捉する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの視野を、前記試料上で一定速度で移動させるための走査部と、
前記視野を移動させる際に、前記試料に変調を付与する変調部と、
前記画像の捕捉、前記視野の移動、及び、前記変調の付与、を同期させるためのクロック源と、
前記捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、欠陥の検出を行う画像プロセッサと、
前記欠陥を修復すること、及び、後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方のための器具と
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記器具は、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーで前記欠陥を修復する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記視野用の暗視野領域を提供するための、光シールドまたはライトパイプの一方を含む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記画像プロセッサが、次の2つの式を実現するフィルタを含み、
【数9】
【数10】
ここに、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレート、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数である、システム。
【請求項5】
試料に対して暗視野ロックイン・サーモグラフィを実行するシステムであって、
前記試料の画像を捕捉する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの視野を、前記試料上に位置決めするための位置決め部と、
前記視野を位置決めした後に、前記試料に光変調を付与する光変調部と、
前記視野用の暗視野領域を提供するための光指向部と、
前記画像の捕捉と、前記光変調の付与と、を同期させるためのクロック源と、
前記捕捉した画像を受信し、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成して、欠陥の検出を行う画像プロセッサと、
前記欠陥を修復すること、及び、後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方のための器具と、
を備えるシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
前記器具は、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーで前記欠陥を修復する、システム。
【請求項7】
移動する光起電材料のウェブ中の欠陥を、前記ウェブの移動を停止させることなしに検出して処置するためのツールであって、
前記ウェブが移動している間に、前記ウェブ中の欠陥を検出する検出モジュールであって、前記光起電材料のウェブを横切るように、前記ウェブの移動方向に直交して配置されたセンサのリニアアレイを備え、前記リニアアレイ中の前記センサの各々が、前記ウェブの幅の増加部分を検査する検出モジュールと、
前記ウェブが移動している間に、前記ウェブ中の前記欠陥に対する所定処置を行う処置モジュールであって、前記光起電材料のウェブを横切るように、前記ウェブの移動方向に直交して配置された処置素子のリニアアレイを備え、前記リニアアレイ中の前記処置素子の各々が、前記ウェブの幅の増加部分のうち関連する増加部分に対して作用する処置モジュールと、
前記検出モジュール及び前記処置モジュールが共に装着された共通フレームであって、前記検出モジュールは、前記ウェブの移動に関して前記処置モジュールの上流位置に、前記処理モジュールから既知の距離の所に配置されている共通フレームと、
前記欠陥モジュールによって検出した前記欠陥の位置を特定し、前記移動するウェブの速度の取得及び検出の少なくとも一方を行い、前記欠陥が前記処置モジュールの処置範囲内に位置する際に、少なくとも部分的に、前記移動するウェブの速度、及び、前記検出モジュールと前記処置モジュールとの間の前記既知の距離、に基づく適時に、前記欠陥を処置することを前記処置モジュールに指示するコントローラと、
を備えるツール。
【請求項8】
請求項7に記載のツールであって、
前記検出モジュールが、電圧検出法を用いて前記欠陥を検出する、ツール。
【請求項9】
請求項7に記載のツールであって、
前記検出モジュールが、ホットスポット検出法を用いて前記欠陥を検出する、ツール。
【請求項10】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが前記欠陥を修復する、ツール。
【請求項11】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥をレーザー分離することによって修復する、ツール。
【請求項12】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥上に非導電面を形成することによって、前記欠陥を修復する、ツール。
【請求項13】
請求項7に記載のツールであって、
前記処置モジュールが、前記欠陥を修復せずに、前記欠陥に物理的な印を付ける、ツール。
【請求項14】
試料に対して時間遅延ロックイン・サーモグラフィを実行する方法であって、
赤外線カメラの視野を、前記試料上で一定速度で移動させるステップと、
前記移動の期間全体を通して、前記試料に変調を加えるステップと、
前記移動の期間全体を通して、前記赤外線カメラを用いて赤外線画像を捕捉するステップとを含み、
前記視野を移動させるステップ、前記変調を加えるステップ、及び前記赤外線画像を捕捉するステップを同期させ、
前記方法がさらに、
前記赤外線画像をフィルタ処理して、時間遅延ロックイン・サーモグラフィ画像を生成し、これにより欠陥の識別を行うステップと、
前記欠陥を修復すること、及び後の修復のために前記欠陥の位置に印を付けること、の少なくとも一方を行うステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記変調が、光変調及び電気的変調の一方である、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記試料が、半導体ウェハ、太陽電池、連続ウェブ、及びプリント回路基板のうちの1つである、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記フィルタ処理するステップが、次の2つの式を実行することを含み、
【数11】
【数12】
ここに、i=1,2...、m=1,2...Nx、n=1,2...Ny、f1は変調の周波数、f2はフレームレート、Nx及びNyはそれぞれ、1フレームのx方向及びy方向の画素数である、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記移動の期間全体を通して、前記視野用の暗視野照明を提供するステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、
前記移動させるステップが、走査ステージ、ガントリシステム内の双方向リニアステージ、ガントリブリッジ、コンベヤ、及び少なくとも1つのローラ、の少なくとも1つを用いることを含む、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
前記欠陥の修復が、前記欠陥を電気的に絶縁するレーザーによって行われる、方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−512419(P2012−512419A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542340(P2011−542340)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068060
【国際公開番号】WO2010/077865
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(502442049)ケーエルエー−テンカー・コーポレーション (77)
【氏名又は名称原語表記】KLA−TENCOR CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068060
【国際公開番号】WO2010/077865
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(502442049)ケーエルエー−テンカー・コーポレーション (77)
【氏名又は名称原語表記】KLA−TENCOR CORPORATION
【Fターム(参考)】
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