説明

欠陥検出装置、欠陥修復装置、表示パネル、表示装置、欠陥検出方法、プログラム

【課題】本発明は、カラーLCDパネル等の複数の色の絵素を備える表示パネルに表示された画像をカメラで撮像し、表示パネルの欠陥を検出する技術に関し、欠陥が複数の色の絵素を含む場合においても、含まれる色の割合に応じて適切な基準で判断することができる欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】
表示パネルを撮像し、画像データとして取得する撮像部と、前記画像データから欠陥部位候補を抽出する欠陥部位検出部と、前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定部と、前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定部とを備える欠陥検出装置において、前記良否判定部は、1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーLCDパネル等の複数の色の絵素を備える表示パネルに表示された画像をカメラで撮像し、表示パネルの欠陥を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数色の絵素が一定方向に配列した表示パネルを、撮像素子を有する撮像部で撮像することにより、表示パネルの欠陥を検査する欠陥検査装置が開示されている。
【0003】
特許文献1記載の欠陥検査装置は、撮像素子により撮像された画像データを処理することにより欠陥を判定する画像処理部を備える。上記画像処理部は、表示パネルの欠陥を検査するための検査パターンを表示パネルに表示させるパターン表示部と、検査パターンが表示された表示パネルを撮像素子により撮像して得られた画像データに基づいて表示パネルの欠陥部位候補を検出する欠陥部位検出部と、上記欠陥部位候補の色を特定する欠陥部位色特定部とを備える。上記画像処理部は、上記欠陥部位色特定部によって特定された欠陥部位候補の色ごとに設定された判定基準に基づいて、欠陥部位候補の良否を判定することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−85892公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モノクロカメラでカラーLCDパネル等の複数の色の絵素を備える表示パネルを撮像して欠陥部位候補を特定しようとする際に、前記欠陥部位候補は、複数の色の絵素を含む場合(例えば、赤の絵素とその隣にある緑の絵素とを含む大きな欠陥部位など)があるが、特許文献1はそのような場合を想定するものではない。そのため、欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含む場合においても、複数種類の色の絵素を含まない単一色と判定され、前記判定された単一色の判定基準に基づいて欠陥部位候補の良否を判定するため、適切な判断基準と異なる基準で判断されることとなり、欠陥の誤検出が発生する。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、欠陥部位候補が複数の色の絵素を含む場合においても、含まれる色の割合に応じて適切な基準で判断することができる欠陥検出装置を提供するものである。
【0007】
本発明は、欠陥が複数の色の絵素を含む場合においても、含まれる色の割合に応じて適切な基準で判断し、正確に検出された欠陥を修復する欠陥検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の欠陥検出装置は、複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得する撮像部と、前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位検出部と、前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定部と、前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定部とを備える欠陥検出装置であって前記良否判定部は、1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の欠陥検出装置は、前記良否判定部は、欠陥部位候補の画素が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記欠陥部位候補の画素に係る前記コントラスト値を分割し、前記分割した前記コントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し、前記1つの欠陥部位候補の画素に係る前記欠陥度を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の欠陥検出装置は、複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得する撮像部と、前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位検出部と、前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定部と、前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定部と、前記良否判定部により欠陥と判定された場合に、欠陥を修復する表示パネル修復部と、を備える欠陥修復装置であって前記良否判定部は、1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の欠陥検出装置は、複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得するステップと、前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出するステップと、前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定するステップと、前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定するステップとを実行する欠陥検出方法であって1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のプログラムは、対象物を撮像し画像データとして取得する撮像装置と接続されたコンピュータに欠陥度を判定させるプログラムであって、該プログラムは、前記画像データの画素の輝度信号量と前記画像データが示す対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位を検出するステップと、前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定ステップと、前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定ステップと、1つの前記欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る欠陥検出装置または欠陥検出方法によれば、モノクロカメラでカラーLCDパネル等の複数の色の絵素を備える表示パネルを撮像して欠陥部位候補を特定しようとする際に、前記欠陥部位候補が複数の色の絵素を含む場合においても、前記色毎に異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出するので、適切な基準で判断することができるので、誤検出を防止し欠陥を正確に検出することができる。
【0014】
また、本発明に係る欠陥修正装置によれば、正確に検出された欠陥について修復を行なうので、修復すべき欠陥が修復されずに残ることが無い。従って、不良品を生産するリスクが低い。
【0015】
また、本発明に係る欠陥修正装置によれば、正確に検出された欠陥について修復を行なうので、修復する必要のない軽微な欠陥を修復することが無い。従って、表示パネルの生産コストの削減および生産期間の短縮を行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る欠陥修正装置によれば、低コストまたは/かつ低不良率の表示パネルおよび前記表示パネルを具備する表示装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明に係るプログラムまたは前記プログラムを記憶した記憶媒体によれば、前記プログラムを、撮像装置に接続されたコンピュータにインストールすることにより、本実施例に係る欠陥検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る欠陥検出装置と欠陥検出の対象物である表示装置との構成図である。
【図2】本実施の形態の欠陥検出方法のフロー図である。
【図3】本実施の形態に係る欠陥修復装置と欠陥修復の対象物である表示装置との構成図である。
【図4】本実施の形態の欠陥修復方法のフロー図である。
【図5】表示パネル上の絵素配列の例である。
【図6】絵素配列と画素配列との対応関係を示す説明図である。
【図7】絵素配列と画素配列とコントラスト値との対応関係を示す説明図である。
【図8】補正係数を示す表である。
【図9】絵素配列と画素配列とコントラスト値との対応関係を示す説明図である。
【図10】絵素配列と画素配列とコントラスト値との対応関係を示す説明図である。
【図11】絵素配列と画素配列とコントラスト値との対応関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1に本実施の形態に係る欠陥検出装置と欠陥検出の対象物である表示装置との構成図を示す。本実施の形態の欠陥検出装置は、モノクロカメラである撮像部1、欠陥部位検出部2、色特定部3、良否判定部4、出力部5を備える。また、欠陥検出の対象物である表示装置は表示パネル6を備え、該表示パネル6は各色に対応した複数の絵素を備える。
【0020】
図2に本実施の形態の欠陥検出方法のフロー図を示す。まず初めに、パターン表示部7が表示パネル6にパターンを表示し、撮像部1が前記パターンを撮像し、画像データとして取得する(ステップ1。これを「S1」として示す。以下同様)。なお、本明細書においては、撮像部の受光素子が受けた光の強度に応じて前記受光素子が出力した信号の大きさを「輝度信号量」と呼ぶこととする。前記画像データの各画素の値は輝度信号量となっている。
【0021】
次に欠陥部位検出部2が画像データに関しコントラスト値の計算を行ない、コントラスト画像を作成する(S2)。コントラスト値とは、画像データの最小単位である画素について、画素の値である輝度信号量と、前記表示装置に前記パターンが正常に表示された場合における輝度信号量の予測値と、の差を言う。
【0022】
次に画像データから欠陥部位候補を抽出する(S3)。前記コントラスト値の計算により、正常な絵素に係るコントラスト値は約0となっているはずであるから、コントラスト画像において0と大きく異なる値を有する画素に対応する表示パネル6の部位は、欠陥である可能性が高い。従って、コントラスト値の絶対値があるしきい値より大きな画素を欠陥部位候補として抽出すれば良い。
【0023】
この時、撮像部1が撮像した画像データの分解能が欠陥部位候補より大きければ、1つの欠陥部位候補は、隣接する複数の画素からなる画素群として抽出される。
【0024】
次に色特定部3が、欠陥部位候補に含まれる各画素についての対象物である絵素の色を特定する(S4)。色の特定は、画像データにおける輝度信号量に基づいて特定しても良いし、表示パネル6に位置合せ用のパターンを表示し、前記パターンを撮像部1で撮像して画像データとし、前記パターンと画像データにおける前記パターンとを照合して対応関係を特定する位置合せ情報を作成し、画素の座慓と前記位置合せ情報とに基づいて前記画素に対応する絵素を特定し、さらに表示パネルに係る設計情報に基づき、特定された絵素から前記絵素の色を特定することによって特定しても良い。
【0025】
次に良否判定部4が、特定された色に基づき、欠陥度を算出する(S5)。コントラスト値の絶対値と欠陥度との比である補正係数は、表示パターンおよび絵素の色により異なる。以下に3つの例を示す。
【0026】
例えば、表示パターンに基づいて黒色で表示されるように制御されている絵素は、正常な場合は黒で表示される。前記黒で表示されるべき絵素が赤、緑、青のいずれか(コントラスト値が正)で表示された場合、輝点欠陥であると考えられるが、人間の目の感度は緑色に対し高く、青色に対しては低い。欠陥度を人間の目の感度に一致させるため、黒で表示されるべき絵素が青で表示される場合については、小さな補正係数を乗じ、黒で表示されるべき絵素が緑で表示される場合については、大きな補正係数を乗ずる。なお、撮像部1がモノクロカメラであるので、輝点欠陥がいずれの色で表示されているかは不明であるが、輝点欠陥において、絵素本来の色と異なる色で表示される確率は、極めて希であるので、色特定部3が特定する色で表示されたと推定して上記の補正係数を乗ずることとする。
【0027】
また、表示パターンに基づいて、明るく表示されるように制御されている絵素は、正常な場合は、赤、緑、青、それぞれの絵素の色で表示される。赤、緑、青のいずれかで表示されるべき絵素が黒(コントラスト値が負)で表示された場合、黒点欠陥であると考えられるが、人間の目の感度に応じて補正するため、青で表示されるべき絵素が黒で表示される場合については、コントラスト値に−1を乗じて符号を正とした後に、小さな補正係数を乗じ、緑で表示されるべき絵素が黒で表示される場合については、コントラスト値に−1を乗じて符号を正とした後に、大きな補正係数を乗ずることによって、欠陥度を人間の目の感度に近い値とする。
【0028】
また、表示パターンに基づいて、明るく表示されるように制御されている絵素は、正常な場合は、赤、緑、青、それぞれの絵素の色で表示される。赤、緑、青のいずれかで表示されるべき絵素が白(コントラスト値が正)で表示された場合、白点欠陥と考えられるが、人間の目の感度に応じて補正するため、青で表示されるべき絵素が白で表示される場合については、大きな補正係数を乗じ、緑で表示されるべき絵素が白で表示される場合については、小さな補正係数を乗ずることによって、欠陥度を人間の目の感度に近い値とする。なお、白色欠陥は、カラーフィルタにインクが載っておらず、全ての光を透過する場合等に発生する。
【0029】
以上、説明した通り、表示パターンとコントラスト値の符号および色特定部3が特定した色とに基づき、適切な補正係数を選択し、コントラスト値に乗ずる。なお、補正係数は、絵素の色および絵素の色に対する受光素子の感度によって、設定するべき値であり、上記の以外の補正係数であっても良い。
【0030】
また、欠陥部位候補が複数の画素からなる時は、前記複数の画素の欠陥度を合計し、欠陥部位候補全体の欠陥度とすれば良い。すなわち、1つの欠陥が複数種類の色の絵素を含んでいる場合には、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出することとなる。
【0031】
次に、欠陥を判定する(S6)。具体的には、S3にて抽出された各欠陥について、欠陥度と判定値と比較し、判定値より欠陥度が大きければ、欠陥と判定する。
【0032】
最後に、出力部5が、欠陥と判定された部位に関する情報を出力する(S7)。欠陥と判定された部位に関する情報としては、その表示パネルにおける欠陥の座慓値、色、欠陥の種類等がある。表示パネルにおける欠陥の座慓値は、コントラスト画像における欠陥の座標値を、画素データの各画素に対応する絵素を特定する情報に基づいて、表示パネルにおける座慓に変換することにより可能である。また、欠陥の種類としては、黒点欠陥、輝点欠陥、白点欠陥等がある。
【0033】
本実施の形態によれば、欠陥が複数の色の絵素を含む場合においても、含まれる色の割合に応じて欠陥度に補正を行なうので、適切な基準で判断することができ、ご検出を防止し、欠陥を正確に検出することができる。
【実施例1】
【0034】
図3を参照して、本発明の実施例に係る欠陥修復装置の構成について説明する。図3は、本実施例に係る欠陥修復装置と欠陥修復の対象物である表示装置との構成図である。本実施例の欠陥修復装置は、表示装置の欠陥(絵素欠け等)を修復する装置である。
【0035】
本実施の形態の欠陥修復装置は、本実施の形態に係る欠陥検出装置を備える。具体的には、撮像部1、欠陥部位検出部2、色特定部3、良否判定部4を備える。また、表示パネル修復部8、位置合せ部9、位置合せ情報10を備えて構成される。また、欠陥検出の対象物である表示装置は表示パネル6を備える。パターン表示部7は、欠陥修復装置、表示装置のいずれに含まれていても良い。
【0036】
なお、欠陥部位検出部2、色特定部3、良否判定部4、位置合せ部9は、コンピュータを前記各部として機能させるプログラムをインストールすることによって構成しても良い。
【0037】
図4に本実施の形態の欠陥修復方法のフロー図を示す。まず初めに、位置合せ部9が表示パネル6と撮像部1との位置合せ(キャリブレーション)を行ない、位置合せ情報10を出力する(S0)。位置合せ情報10とは、撮像部1によって撮像された画素データの各画素に対応する表示パネル6の絵素およびその色を特定する情報である。具体的には、表示パネル6に位置合せ用のパターンを表示し、前記パターンを撮像部1で撮像して画像データとし、前記パターンと画像データにおける前記パターンとを照合して、対応関係を特定する。本工程S0は、前記位置合せ情報10を作成できれば良く、上記に例示した方法以外の方法で位置合せ情報10を作成しても良い。
【0038】
次に、パターン表示部7が表示パネル6に欠陥検出用のパターンを表示し、撮像部1が前記パターンを撮像し、その輝度信号量を画像データとして取得する(S1)。
【0039】
欠陥検出用のパターンとしては、その目的に応じて様々なパターンがある。全灯パターン(全ての絵素を明るく表示すること)、黒ベタパターン(全ての絵素を暗く表示すること)等がある。全灯パターンでは、光らない欠陥(黒点欠陥、黒線欠陥等)や色ムラを検出することができる。黒ベタパターンでは、光る欠陥(輝点、輝線、白点、白線)を検出することができる。また、一種類の色の絵素のみを光らせる単色パターン、絵素を1つおきに光らせる奇数パターン、偶数パターンにおいては、欠陥のある絵素の特定が容易である。なお、本実施例は、欠陥検出用のパターンを限定するものではなく、いずれのパターンであっても良い。
【0040】
また、前記画像データにおいては、撮像部1の撮像光学系を理由とする歪みがある場合は、前記歪みを補正した方が望ましい。前記歪みは、位置合せ情報10より特定することができる。
【0041】
次に欠陥部位検出部2がコントラスト値の計算を行ない、コントラスト画像とする(S2)。コントラスト値の計算とは、画像データの各画素について、画素の値である輝度信号量と、表示パターンが正常に表示された場合の輝度信号量の予測値と、の差を算出することを言う。表示パターンが正常に表示された場合の輝度信号量の予測方法としては、欠陥検出用のパターンおよび表示パネル6の絵素配列の空間的周期性に基づき、異なる周期の同位相の画素から特定する方法がある。
【0042】
図5に表示パネル6上の絵素配列100の例を示す。図5は、横方向にR(赤)、G(緑)、B(青)の絵素が横に並び1つの単位を構成し、かつ前記単位が縦横に配列されていることを示している。ここでは、m行n列目の単位を構成する赤の絵素をRmn、緑の絵素をGmn、青の絵素をBmnで示している。図5に示した絵素構成において全灯パターンを表示させた場合、横方向1単位を空間的周期とするパターンとなるから、R22に対しR21、R23がそれぞれ横に1周期離れた同位相の絵素となる。周期が異なっても位相が同じであれば、その輝度信号量は類似するはずであり、R21の輝度信号量とR23の輝度信号量との平均は、パターンが正常に表示された場合のR22の輝度信号量と近似するはずである。すなわち、R22の絵素に係るコントラストCR22をR22−(R21+R23)/2と求めても良い。これにより、画像データから表示パターンの空間的周期性および表示パネル上の絵素配列の空間的周期性を原因とする輝度信号量の変動が排除される。
【0043】
表示パネル6上の絵素配置100には空間的周期性があるのが通常であるので、空間的周期は特定可能である。表示するパターンも既知であるから、周期性があるパターンであれば、その空間的周期も特定可能である。これを液晶パネルのピッチ等の情報を有する位置合せ情報10に基づいて変換すれば、画像データにおける空間的周期を特定することができる。
【0044】
また、別の空間的周期の特定方法としては、画像データの特徴に基づいて、空間的周期を求める方法がある。具体的には、空間的周期の値を少しずつ変更してコントラスト画像を複数作成し、コントラスト値のばらつきが最小となる周期を真の周期として特定する方法等である。
【0045】
次にコントラスト画像から欠陥部位候補を抽出する(S3)。前記コントラスト値の計算により、正常な絵素に係るコントラスト値は約0となっているはずであるから、コントラスト画像において0と大きく異なる値を有する画素に対応する表示パネル6の部位は、欠陥である可能性が高い。従って、コントラスト値の絶対値があるしきい値より大きな画素を欠陥部位候補として抽出すれば良い。
【0046】
なお、撮像部1が撮像した画像データの分解能が欠陥より大きければ、1つの欠陥部位候補は、隣接する複数の画素からなる画素群として抽出される。
【0047】
次に色特定部3が、欠陥部位候補に含まれる各画素について、対応する絵素の色を特定する(S4)。画素データの各画素に対応する絵素およびその色を特定する情報を取得し、画素の座慓と前記情報とに基づいて前記画素に対応する絵素を特定し、さらに前記絵素の色を特定することによって特定しても良い。また、他の方法によって特定しても良い。
【0048】
図6を用いて、画素の色101aの特定について説明する。画素の色101aは、画素における絵素の面積比である。図6は絵素配列100と、前記絵素配列100を撮像して取得した画素配列101との対応関係を示したものである。図6においては、一行の絵素配列100と一行の画素配列101についてのみ図示している。絵素配列100は、R、G、B、R、G、Bと6つの絵素が順に並んでいることを示している。画素配列101は、前記絵素配列100に対応するデータであり、図6ではx1〜x11からなる11個の直列する画素から構成されている。画素配列100と画素配列101との対応は、位置合せ情報10により特定することができる。
【0049】
絵素の色から画素の色101aを特定するに際し、1つの画素が1つの絵素にのみ対応する場合は、前記絵素の色を画素の色と特定する。例えば、画素x1の色はR、画素x3の色はG、画素x5の色はB、画素x7の色はR、画素x9の色はG、画素x11の色はBである。また、1つ画素が2つ以上の絵素を含んでいる(対応する)場合、前記画素における各絵素の面積比を算出する。例えば、画素x2は、絵素R1とG1とに対応するが、その面積の割合はRが5でGが1である。同様に、画素x4はGが2でBが1の割合、画素x6はBが1でRが1の割合、画素x8はRが1でGが2の割合、画素x10はGが1でBが5の割合である。
【0050】
次に良否判定部4が、特定された色に基づき、欠陥度を算出する(S5)。コントラスト値の絶対値と欠陥度との比である補正係数は、表示するパターンおよび絵素の色により異なる。
【0051】
図7に黒ベタパターンを表示した場合における輝点欠陥、および全灯パターンにおける黒点欠陥に関する補正係数を示す。輝度信号量を目視感度に一致させるため、目視感度/輝度信号量を補正係数とする。表示パネル6が表示するR、G、B各色に係る画像データの輝度信号量が0.4、0.3、0.3であったとする。また、人間の目視感度が0.3、0.6、0.1であったとする。この場合、Rに係る補正係数は0.3/0.4=0.75、Gに係る補正係数は0.6/0.3=2.0、Bに係る補正係数は0.1/0.3=0.33とすれば良い。なお、R、G、B各色の目視感度は、表示パネル6に表示された各色を色彩輝度計によって測定することによって特定することが出来る。
【0052】
図7の「補正係数(補色)」の列に、白点欠陥(絵素を光らせるパターンを表示させた場合に、本来の輝度よりさらに明るく表示される欠陥)に用いる補正係数を示す。輝度信号量を目視感度に一致させるため、(w−l)/(W−L)を補正係数とする。なお、Wは、RGBの絵素全てを光らせた場合における輝度信号量であり、RGBの輝度信号量の合計である。lは各色の目視感度である。また、wは、RGB全てを光らせた場合における目視感度であり、RGBの目視感度の合計である。Lは各色の輝度信号量である。図7の例では、W=0.4+0.3+0.3=1、w=0.3+0.6+0.1=1であるので、Rの補正係数(補色)は(1−0.3)/(1−0.4)=1.17、Gの補正係数(補色)は(1−0.6)/(1−0.3)=0.57、Bの補正係数(補色)は(1−0.1)/(1−0.3)=1.29となる。
【0053】
図8を用いて、各画素の欠陥度102aの算出例を説明する。図8に画素配列101に対応するコントラスト値102を示す。コントラスト値102は、黒ベタパターンを表示パネル6に表示して撮像した画像データに基づく。
【0054】
工程S3において、画素x3のコントラスト値が0.075、画素x4のコントラスト値が0.3、画素x5のコントラスト値が0.075である1つの欠陥部位候補が検出されたことを示している。
【0055】
画素x3の欠陥度102aを算出する。画素x3の色は、画素の色101aよりGである。Gの補正係数は図7より2.0であるので、画素x3のコントラスト値である0.075にGの補正係数である2.0を乗じて、欠陥度の値0.15を得る。
【0056】
画素x4の欠陥度102aを算出する。画素x4の色は画像の色101aよりGが2、Bが1の面積比である。これに基づき、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合の色毎のコントラスト値を求める。図7にあるように、明るく表示されるよう制御した場合のGの輝度信号量は0.3であるので、Gに係るコントラスト値は、Gの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なGの絵素の輝度信号量0を減算した後に面積比2/3を乗じた値である0.2となる。同様に、明るく表示されるよう制御した場合のBの輝度信号量は0.3であるので、Bに係るコントラスト値は、Bの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なBの絵素の輝度信号量0を減算した後に面積比1/3を乗じた値である0.1となる。
【0057】
図7より、Gの補正係数は2.0、Bの補正係数0.33であるので、画素x4に係る補正係数は前記各色に係るコントラスト値の割合でGの補正係数とBの補正係数とを合成したものとなる。即ち、(0.2×2.0+0.1×0.33)/(0.2+0.1)=1.443が画素x4に係る補正係数となる。これをコントラスト値である0.3に乗じて、欠陥度の値0.433を得る。
【0058】
画素x5の欠陥度102aを算出する。画素x5の色は画像の色101aよりBである。Bの補正係数は図7より0.33であるので、画素x5のコントラスト値である0.75にBの補正係数である0.33を乗じて、欠陥度の値0.025を得る。
【0059】
次に、画素x3〜画素x5に係る欠陥度は1つの欠陥部位候補に係るので、画素x3〜画素x5に係る欠陥度を合計し、欠陥部位候補全体の欠陥度を求める。欠陥度は、0.15+0.433+0.025=0.608と算出される。
【0060】
次に、欠陥を判定する(S6)。具体的には、S3にて抽出された欠陥部位候補について、欠陥度と判定値と比較し、判定値より欠陥度が大きければ、欠陥と判定する。図7のコントラスト画像102に示した欠陥の欠陥度は0.608であるので、これと判定値とを大小比較し、判定値より欠陥度が大きければ、欠陥と判定する。例えば、判定値が0.5とすると、前記の値は欠陥と判定される。
【0061】
なお、前記算出においては、算出に用いる計算式の代わりに等価ないし近似である他の計算式を用いても良い。例えば、図8のコントラスト値102における画素x4に係るコントラスト値のうち2/3がGに係るコントラスト値、1/3がBに係るコントラスト値と解釈できる。これにより、欠陥全体におけるGに係るコントラスト値は、画素x3に係るコントラス値0.075と画素x4に係るコントラスト値0.3をGの割合2/3で分割した値との合計、すなわち、0.075+0.3×2/3=0.275と算出する。これはGに係る部分なのでGに係る補正係数である2.0を乗じて、Gに係る欠陥度0.55を得る。同様にBに係るコントラスト値は、画素x4のコントラスト値0.3をBの割合1/3で分割した値と画素x5に係るコントラスト値0.075との合計、すなわち、0.3×1/3+0.075=0.0175である。これにBに係る補正係数である0.33を乗じてBに係る欠陥度0.058を得る。最後にGに係る欠陥度0.55と、Bに係る欠陥度0.058とを合計し、0.608を求めても良い。
【0062】
また、判定に影響を与えない範囲で計算を省略しても良い。例えば、判定値が0.5である場合、画素x3に係る欠陥度0.15と画素x4に係る欠陥度0.443とを合計した時点で判定値0.5を超えるので、画素x5に係る欠陥度を合計するまでもなく、欠陥であることが判定できる。このように、判定と関係のない計算については、適宜省略しても良い。
【0063】
最後に、表示パネル修復部8が欠陥について修復を行なう。表示パネル修復部8は、レーザを用いた欠陥修復装置等から構成される。
【0064】
具体的には、工程S6において欠陥と判定された欠陥部位候補について、コントラスト画像における座慓に位置合せ情報10を適用して、欠陥のある絵素を特定する。欠陥のある絵素、すなわち修復すべき絵素の色については、工程S4において色特定部3が特定した通りである。欠陥の種類は、欠陥検出用のパターンとコントラスト値の符号によって判断することができる。欠陥のある絵素および色、欠陥の種類が特定できたら、前記欠陥に係る情報に基づき、表示パネル修復部8が欠陥のある絵素を修復する。これにより、欠陥のある絵素が修復された表示パネルおよび前記表示パネルを具備する表示装置を生産することが可能となる。
【0065】
本実施例によれば、欠陥が複数の色の絵素を含む場合においても、前記色毎に異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出するので、適切な基準で判断することができ、欠陥でないものを欠陥として検出したり、欠陥を検出しなかったりすることを防止し、正確に欠陥を検出することができる。
【0066】
さらに、本実施例によれば、欠陥部位候補の画素が複数種類の色の絵素を含んでいる場合においても、前記色の割合で前記欠陥または前記欠陥部位候補の画素に係る前記コントラスト値を分割し、前記分割した前記コントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し、前記1つの欠陥部位候補の画素に係る前記欠陥度を算出する。従って、適切な基準で判断することができ、欠陥でないものを欠陥として検出したり、欠陥を検出しなかったりすることを防止し、正確に欠陥を検出することができる。
【0067】
さらに、本実施例によれば、欠陥に含まれる色の割合に応じて欠陥度の補正を行なうので、撮像部1および画素配列101、コントラスト画像102の解像度が低い場合においても正確に欠陥を検出することができ、本発明の欠陥検出装置、欠陥修復装置の製造コストの削減や、欠陥検出のためのタクトタイムの向上を図ることができる。
【0068】
また、本実施例によれば、正確に検出された欠陥について修復を行なうので、修復すべき欠陥が修復されずに残ることが無い。
【0069】
また、本実施例によれば、正確に検出された欠陥について修復を行なうので、修復する必要のない軽微な欠陥を修復することが無い。従って、表示パネル6の生産コストの軽減および生産期間を短縮することができる。
【0070】
また、本実施例によれば、低コストまたは/かつ低不良率の表示パネルおよび前記表示パネルを具備する表示装置を提供することができる。
【0071】
また、本実施例に係るプログラムまたは前記プログラムを記憶した記憶媒体によれば、前記プログラムを、撮像装置を有するコンピュータにインストールすることにより、本実施例に係る欠陥検出装置を提供することができる。
【実施例2】
【0072】
本実施例は、欠陥度を算出する工程S5の算出方法が実施例1と異なる実施例である。それ以外においては、実施例1と同様であるので、説明を略す。
【0073】
図9を用いて、本実施例に係る欠陥度の算出例を説明する。図9に絵素配列100と前記絵素配列100を撮像して取得した画素配列101との対応関係を示す。絵素配列100および画素配列101の関係は実施例1と同じである。また、画素配列101に対応するコントラスト値102aを示す。コントラスト画像102aは、黒ベタパターンを表示パネル6に表示して撮像した画像データに基づく。
【0074】
図9のコントラスト値102は、工程S3において、画素x4の値が0.15、画素x5の値が0.3、画素x6の値が0.075である1つの欠陥部位候補が検出されたことを示している。
【0075】
図9において、画素x4は欠陥部位候補の端に位置する画素であり、隣接する画素x3は欠陥部位候補ではない。従って、画素x4における欠陥は、欠陥部位候補であるx5側に偏在していると予想される。画素x4の右側(画素x5側)1/3はBの絵素が配置され、左側(画素x3側)2/3はGの絵素が配置されている。従って、欠陥のうち多くの部分はBの絵素に存在するものであり、Gの絵素に存在する欠陥の面積は狭いと予想できる。
【0076】
仮に欠陥の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量と同じであると仮定すると、画素x4におけるBの絵素の欠陥時におけるコントラスト値の最大値は、Bの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なBの絵素の輝度信号量である0を減算した後に面積比1/3を乗じた値である0.1と考えられる。また、画素x4におけるGの絵素の欠陥時におけるコントラスト値の最大値は、Gの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なGの絵素の輝度信号量である0を減算した後に面積比2/3を乗じた値である0.2と考えられる。
【0077】
ここで、画素x4に係るコントラスト値0.15は同画素におけるBの絵素のコントラスト値の最大値0.1より大きいので、前記コントラスト値0.15のうち最大値0.1を超えない部分、すなわち0.1についてはBの絵素に係る欠陥によるコントラスト値と推定する。また、画素x4に係るコントラスト値0.15よりBの絵素に係るコントラスト値0.1を減じた残りのコントラスト値0.05については、Gに係る欠陥と推定する。
【0078】
以上の推定に基づき、画素x4に係る欠陥度を算出する。具体的には、Bの絵素に係るコントラスト値0.1にBに係る補正係数0.33を乗じて、Bの絵素に係る欠陥度0.033を得る。また、Gの絵素に係るコントラスト値0.05にGに係る補正係数2.0を乗じて、Gの絵素に係る欠陥度0.1を得る。最後にGの絵素に係る欠陥度0.033とGの絵素に係る欠陥度0.1とを合計し、画素x4に係る欠陥度0.133を得る。
【0079】
次に、画素x5に係る欠陥度を算出する。画素x5に係る絵素の色はBのみであるので、コントラスト値0.3にBに係る補正係数0.33を乗じて、画素x5に係る欠陥度0.099を得る。
【0080】
次に、画素x6に係る欠陥度を算出する。画素x6は欠陥部位候補の端に位置する画素であり、隣接する画素x7は欠陥部位候補ではない。従って、画素x6における欠陥は、欠陥部位候補であるx5側に偏在していると予想される。画素x6の左側(画素x5側)1/2はBの絵素が配置され、右側(画素x7側)1/2はRの絵素が配置されている。従って、欠陥のうち多くの部分はBの絵素に存在するものであり、Rの絵素に存在する欠陥の面積は狭いと予想できる。
【0081】
仮に欠陥の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量と同じであると仮定すると、画素x6におけるBの絵素の欠陥時におけるコントラスト値の最大値は、Bの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なBの絵素の輝度信号量である0を減算した後に面積比1/2を乗じた値である0.15と考えられる。また、画素x6におけるRの絵素の欠陥時におけるコントラスト値の最大値は、Rの輝度信号量0.4から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なRの絵素の輝度信号量である0を減算した後に面積比1/2を乗じた値である0.2と考えられる。
【0082】
ここで、画素x6に係るコントラスト値0.075は同画素におけるBの絵素のコントラスト値の最大値0.15より小さいので、前記コントラスト値0.075のうち最大値0.15以下である部分、すなわち0.075全部についてはBの絵素に係る欠陥によるコントラスト値と推定する。
【0083】
以上の推定に基づき、画素x6に係る欠陥度を算出する。具体的には、Bの絵素に係るコントラスト値0.075にBに係る補正係数0.33を乗じて、Bの絵素に係る欠陥度0.025を得る。また、Gの絵素に欠陥は無いので、Gの絵素に係る欠陥度は0である。従って、画素x6に係る欠陥度は0.025となる。
【0084】
次に、画素x4〜画素x6に係る欠陥度は1つの欠陥部位候補に係るので、画素x4〜画素x6に係る欠陥度を合計し、欠陥部位候補全体の欠陥度を求める。欠陥度は、0.133+0.099+0.025=0.26と算出される。
【0085】
本実施例によれば、欠陥部位候補の端にある画素が複数の色の絵素を含む場合において、前記画素に隣接する画素が欠陥部位候補であるか否かと、前記画素に係る絵素の配置に基づき、前記欠陥がいずれの絵素に偏在しているかを推定し、かつ前記絵素に係るコントラスト値の最大値を推定し、前記コントラスト値の最大値を超えない範囲で、前記偏在に基づく割合で画素に係るコントラスト値を絵素に係るコントラスト値に分割する。従って、各絵素に係るコントラスト値を正確に算出できる。
【0086】
従って、各色に係るコントラスト値を正確に算出することができる。さらに各色に係るコントラスト値に対し、色によって異なる補正係数を乗じて欠陥度を算出するので、正確に欠陥度を算出することができ、より正確な欠陥の検出および欠陥の修復を行なうことができる。
【0087】
なお、欠陥部位候補の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量に対し特定の比率であると仮定して算出してもよい。例えば、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量の80%と仮定するならば、画素x4におけるBの絵素の欠陥時におけるコントラスト値の最大値は、Bの輝度信号量0.3に80%を乗じてから黒ベタパターンを表示させた場合の正常なBの絵素の輝度信号量0を減算した後に面積比1/3を乗じた値である0.08と算出される。この場合、輝点欠陥の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量に対し特定の比率(例えば約80%)である場合に関し、正確にコントラスト値の最大値を算出することができる。
【0088】
同様に黒点欠陥において、欠陥の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量に対し特定の比率(例えば1%)であると仮定して算出してもよい。この場合、黒点欠陥の輝度信号量が、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合における絵素の輝度信号量に対し特定の比率(例えば約1%)である場合に関し、正確にコントラスト値の最小値を算出することができる。
【0089】
同様に白点欠陥において、欠陥の輝度信号量が、Wに対し特定の比率(例えば80%)であると仮定して算出してもよい。この場合、白点欠陥の輝度信号量が、Wに対し特定の比率(例えば約80%)である場合に関し、正確にコントラスト値の最大値を算出することができる。
【0090】
なお、黒点欠陥等、正常な絵素より暗く表示される欠陥においては、コントラスト値は0以下の値となるので、コントラスト値の最大値に代わりにコントラスト値の最小値を算出し、これを下回らない範囲でコントラスト値を分割すれば良い。
【実施例3】
【0091】
本実施例は、欠陥候補中の撮像画素における絵素の色を特定する工程S4の算出方法が実施例1と異なる実施例である。それ以外においては、実施例1と同様であるので、説明を略す。
【0092】
図10を用いて、本実施例に係る工程S4について説明する。本実施例においては、図10に示す画素x2、x4、x6、x8、x10に係る画素の色101aのように、1つ画素が2つ以上の絵素を含んでいる(対応する)場合、前記画素における各絵素の面積比を1:1と見なす。
【0093】
工程S5以下の工程においては実施例1と同じ方法を用いるが、画素の色101aが実施例1と異なるため、実施例1とは異なる欠陥度が算出される。
【0094】
図10に示すx4に係る欠陥度の算出を例に説明する。まず、各絵素が明るく表示されるよう制御した場合の色毎のコントラスト値を求める。明るく表示されるよう制御した場合のGの輝度信号量は0.3であるので、図7にあるように、Gに係るコントラスト値は、Gの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なGの絵素の輝度信号量0を減算した後に面積比1/2を乗じた値である0.15となる。同様に、明るく表示されるよう制御した場合のBの輝度信号量は0.3であるので、Bに係るコントラスト値は、Bの輝度信号量0.3から黒ベタパターンを表示させた場合の正常なBの絵素の輝度信号量0を減算した後に面積比1/2を乗じた値である0.15となる。
【0095】
図7より、Gの補正係数は2.0、Bの補正係数0.33であるので、画素x4に係る補正係数は前記各色に係るコントラスト値の割合でGの補正係数とBの補正係数とを合成したものとなる。即ち、(0.15×2.0+0.15×0.33)/(0.15+0.15)=1.165が画素x4に係る補正係数となる。これをコントラスト値である0.3に乗じて、欠陥度の値0.350を得る。
【0096】
次に、画素x3〜画素x5に係る欠陥度は1つの欠陥部位候補に係るので、画素x3〜画素x5に係る欠陥度を合計し、欠陥部位候補全体の欠陥度を求める。画素x3、x5に係る欠陥度は実施例1と同じであるので、欠陥度は、0.15+0.350+0.025=0.525と算出される。
【0097】
本実施例によれば、画素における各絵素の面積比を算出する必要が無いため、早く計算することができる。また、1つ画素が2つの絵素を含んでいる場合、前記2つの絵素の色の組み合せによって、補正係数は一定の値となる(例えば、RとGの組み合せの場合、補正係数は常に1.165である。)ので、1つの画素が2つ以上の絵素を含んでいる場合に、絵素の面積比毎に補正係数を算出する必要が無く、早く計算することができる。
【0098】
実施例1の工程S0に関し説明したように、一般的に、位置合せ情報10は、表示パネル6に位置合せ用のパターンを表示し、前記パターンを撮像部1で撮像して画像データとし、前記パターンと画像データにおける前記パターンとを照合して、対応関係を特定する。従って、位置合せ情報10の位置合せ精度は、画像データの解像度(すなわち画素の大きさ)に依存し、画素幅の1/2程度の誤差を含む場合もある。この場合、実施例1の画素の色101aのように正確に面積比を求めることはできないので、本実施例のように、画素における各絵素の面積比を1:1と見なすのが適当である。
【0099】
なお、目視による欠陥検出結果と本発明の欠陥検出装置の検出結果とを比較し、本発明の欠陥検出装置の検出結果を目視による欠陥検出結果に近づけるよう補正係数を変更しても良い。
【0100】
具体的には、目視によって検出され、かつ本発明の欠陥検出装置によって検出されない欠陥を未検出欠陥とし、前記未検出欠陥とされた欠陥が、2つの絵素を含む画素を含む場合に、前記画素に係る補正係数を大きくする。
【0101】
また、目視によって検出されず、かつ本発明の欠陥検出装置によって検出される欠陥を過検出欠陥とし、前記過検出欠陥とされた欠陥が、2つの絵素を含む画素を含む場合に、前記画素に係る補正係数を小さくする。
【0102】
前記補正係数の変更により、本発明の欠陥検出装置は、より目視に近い判断基準で正確に欠陥を検出することができる。
【実施例4】
【0103】
本実施例は、欠陥候補中の撮像画素における絵素の色を特定する工程S4の算出方法が実施例3と異なる実施例である。それ以外においては、実施例3と同様であるので、説明を略す。本実施例は、位置合せ情報10における位置合せの誤差が画素幅の1/2より大きいと想定される場合に主として用いられる方法および装置である。
【0104】
図11を用いて、本実施例に係る工程S4について説明する。図11においては、絵素配列100は、R、G、Bと3つの絵素が順に並んでいることを示している。画素x1、x2、x3の色はR、画素x6の色はG、画素x9、x10、x11の色はBである。また、本実施例においては、位置合せ情報10における位置合せの誤差が画素幅の1/2より大きいと想定されるので、画素x4、x8だけでなく、それと隣接する画素x5、x8も2つの絵素を含んでいる可能性がある。従って、画素x4、x5に係る補正係数として、RとGとが1:1の面積比の場合の補正係数を用い、画素x8、x9に関する補正係数としてGとBとが1:1の面積比の場合の補正係数を用いれば良い。
【0105】
図11の例の場合、x4、x5に関しては、RとGが1:1の面積比の場合の補正係数である1.165を用いる。x4に係る欠陥度はコントラスト値0.3に補正係数1.165を乗じて0.350として求められ、x5に係る欠陥度はコントラスト値0.075に補正係数1.165を乗じて0.087として求められる。x3に係る欠陥度は0.15であるので、欠陥部位候補全体の欠陥度は、0.15+0.350+0.087=0.587として算出される。
【0106】
本実施例によれば、撮像部の光学特性等により、位置合せ情報10における位置合せの誤差が画素幅の1/2より大きいと想定される場合においても、2つの絵素を含んでいる可能性のある画素について、適当な補正係数を乗じて欠陥度を検出するので、正確に欠陥を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
多色の絵素から構成される表示パネル(液晶パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイ、ブラウン管、LCD表示パネル等)の欠陥を検出ないし修復するに際し利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 撮像部
2 欠陥部位検出部
3 色特定部
4 良否判定部
5 出力部
6 表示パネル
7 パターン表示部
8 表示パネル修復部
9 位置合せ部
10 位置合せ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得する撮像部と、
前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位検出部と、
前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定部と、
前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定部と
を備える欠陥検出装置であって
前記良否判定部は、1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出すること
を特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検出装置であって、
前記良否判定部は、欠陥部位候補の画素が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記欠陥部位候補の画素に係る前記コントラスト値を分割し、前記分割した前記コントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し、前記1つの欠陥部位候補の画素に係る前記欠陥度を算出することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項3】
複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得する撮像部と、
前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位検出部と、
前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定部と、
前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定部と、
前記良否判定部により欠陥と判定された場合に、欠陥を修復する表示パネル修復部と、
を備える欠陥修復装置であって
前記良否判定部は、1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出すること
を特徴とする欠陥修復装置。
【請求項4】
複数の絵素を備える対象物を撮像し、画像データとして取得するステップと、
前記画像データの画素であって、前記画素の輝度信号量と前記対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出するステップと、
前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定するステップと、
前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定するステップと
を実行する欠陥検出方法であって
1つの欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出することを特徴とする
欠陥検出方法。
【請求項5】
対象物を撮像し画像データとして取得する撮像装置と接続されたコンピュータに欠陥度を判定させるプログラムであって、
該プログラムは、
前記画像データの画素の輝度信号量と前記画像データが示す対象物が正常である場合における前記画素の輝度信号量の予測値との差であるコントラスト値の絶対値がしきい値以上である画素を欠陥部位候補として抽出する欠陥部位を検出するステップと、
前記欠陥部位候補についての対象物である絵素の色を特定する色特定ステップと、
前記色によって異なる補正係数を前記コントラスト値に乗じて欠陥度を算出し、前記欠陥度が判定値より大きい場合に欠陥と判定する良否判定ステップと、
1つの前記欠陥部位候補が複数種類の色の絵素を含んでいる場合に、前記色毎のコントラスト値に前記色によって異なる補正係数を乗じた後に合計し欠陥度を算出するステップと、
を有することを特徴とする
プログラム。

【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−196685(P2011−196685A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60288(P2010−60288)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】