説明

欠陥検査装置

【課題】基板の欠陥検査をより少ないスペースで行うことを可能とする検査装置を提供する。
【解決手段】欠陥検査装置1は、回転自在なチャック13を備え、チャック13の上方に、載置されたウエハWの回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置された照明装置21を設置し、この照明装置21の真下にウエハWの反射光を反射させるハーフミラー22が固定され、さらにハーフミラー22の対向側にハーフミラー22からの反射光を取り込む撮像装置20が設置され、ウエハWの回転と共にウエハ表面を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を撮像することにより基板の欠陥を検査する、基板の欠陥検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウエハ上に所定のレジストのパターンが形成される。
【0003】
一連のフォトリソグラフィー処理が行われたウエハは、検査装置によって、ウエハ表面に所定のレジスト膜が形成されているか否か、あるいは適切な露光処理が行われているかどうかについて、さらには傷、異物の付着があるかどうか等を検査する、いわゆるマクロ欠陥検査が行われている。
【0004】
図12及び図13は、従来のマクロ欠陥検査装置の構成と動作の概略を示している。これらの図に示されるように、従来マクロ欠陥検査は、ウエハWを載置している載置台201をガイドレール202に沿って水平に移動させながら、照明装置203からハーフミラー204を介して載置台201上のウエハWに照明を照らして、例えばCCDカメラ等の撮像装置205によってウエハWの画像を取り込み、この画像を画像処理して欠陥の有無を判定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240519公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した検査方法においては、ウエハ表面全体の画像を撮像するために、載置台201を少なくともウエハWの直径の長さだけ移動させなければならない。よって、検査装置は、ウエハWの直径の2倍の長さを一辺とし、ウエハWの直径の長さをもう一辺とする長方形の面積が最低でも必要となり、検査装置は必然的に大型となる。また、ウエハ口径は近年大口径化しており、検査装置はますます大型化することは避けられない。
【0007】
一方、フットプリントを減少させるという観点からは、より省スペースを実現し、検査装置をできる限り小型化することが望まれる。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ウエハの検査をより少ないスペースで行うことを可能とする検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、基板を撮像装置によって撮像して、前記基板の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、前記基板を載置する回転自在な載置台と、前記載置台の鉛直方向上方に設置され、かつ載置された前記基板の回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置された前記基板を照射する略直方体の照明装置と、前記照明装置の真下に固定され、前記照明装置からの照明を通過させて前記基板の反射光を反射させるハーフミラーと、前記ハーフミラーからの反射光を取り込む撮像装置と、を具備することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、基板が回転されながら、基板の回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置された照明装置からの反射光が撮像装置により取り込まれる。ここで、基板上の直線領域は、照射領域に含まれる場合もあるし、全く重なる場合もある。本発明では、基板の回転と共に照明装置の照射領域が撮像されるので、基板を載せた状態で載置台を水平移動させる従来の場合に比べて基板の水平移動分のスペースを省くことができる。
【0011】
また、前記照明装置及び前記ハーフミラーの長手方向の長さは、前記基板の直径の長さに等しいか、またはそれよりも若干長くてもよい(請求項2)。
【0012】
照明装置及びハーフミラーの長手方向の長さが基板の直径よりも大きく超えると、検査装置の大型化を招いてしまうので、これらの長さは、基板の直径の長さとほぼ同じ程度が好ましい。
【0013】
また、前記照明装置及び前記ハーフミラーの長手方向の長さは、前記基板の半径の長さに等しいか、またはそれよりも長く、かつ前記基板の直径の長さよりも短くても良い(請求項3)。
【0014】
照明装置及びハーフミラーの長さを短くすることで、照明装置やハーフミラーに要するスペース及びコストを削減することができる。
【0015】
さらに、前記載置台の鉛直方向上方に略直方体のカバーをさらに備え、前記カバーは、その内部の一端部に前記照明装置と前記ハーフミラーとを備え、他端部に前記撮像装置を設置し、前記照明装置と前記ハーフミラーの下方に開口部を有する構成でも良い(請求項4)。
【発明の効果】
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、ウエハを載置する載置台を水平移動させてスキャン撮像するのではなく、ウエハを回転させて撮像することができるので、従来の検査装置と比較して、ウエハ1枚分の面積分、モジュールサイズを小さくすることができる。また、載置台を移動させないため、移動軸を必要とせず、装置構成が簡素化されるという効果が得られる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、基板を少なくとも180度回転させるだけで撮像が完了するため、撮像時間を短縮することができる。
【0018】
(3)請求項3記載の発明によれば、照明装置及びハーフミラーの長手方向の長さが基板直径よりも短く、少なくとも基板の半径の長さ分の長さがあればよいため、従来の検査装置と比較して装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、撮像する範囲が狭くなるため、ワーキングディスタンスを短縮することができ、さらにモジュールサイズを減少させることができる。さらに、同じ解像度の撮像装置を用いても、撮像する範囲が狭くなるため、より高密度の画像が得られるという効果がある。
【0019】
(4)請求項4記載の発明によれば、カバー内部にハーフミラー及び撮像装置を設置することにより、例えば載置台が回転する時に生じるパーティクル等の撮像装置及びハーフミラーへの付着を防止することができる。また、開口部以外の部分はカバーにより覆われているため、ハーフミラーからの反射光以外の反射光の影響を受けることがなく、より高精度の画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成を示す横断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置の動作を示す概略平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成を示す横断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置の動作を示す概略平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成を示す横断面図である。
【図8】本発明に係る欠陥検査装置を組み込んだレジストパターン形成システムの平面図である。
【図9】本発明に係る欠陥検査装置を組み込んだレジストパターン形成システムの斜視図である。
【図10】本発明に係る欠陥検査装置を組み込んだ塗布現像処理装置の縦断側面図である。
【図11】本発明に係る欠陥検査装置を組み込んだレジストパターン形成システムの変形例の平面図である。
【図12】従来の欠陥検査装置の構成及び動作の概略を示す縦断面図である。
【図13】従来の欠陥検査装置の構成の概略を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置1の構成の概略を示す縦断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置1の構成の概略を示す横断面図である。
【0022】
欠陥検査装置1は、図1に示すようにケーシング10を有している。ケーシング10の一端側(図1中のX方向負方向側)の側壁には、ウエハWを搬入出させる搬入出口11が形成されている。搬入出口11には、開閉シャッタ12が開閉可能に設けられている。
【0023】
ケーシング10内には、ウエハWの裏面中央部を吸着してウエハWを水平に保持する載置台であるチャック13が設けられている。チャック13は、モータなどの回転駆動部14に接続されている。この回転駆動部14によって、チャック13は、後述する制御装置30から送信される制御信号に従ってウエハWを保持した状態で鉛直軸周りに回転し、停止する。
【0024】
チャック13の外周部には、ウエハWを受け渡しする際の複数の支持ピン15が設けられている。支持ピン15は、例えばシリンダなどの昇降駆動部(図示せず)に昇降自在に取り付けられており、搬入出口11からケーシング10内に進入するウエハWを搬送機構D(図10参照)から受け取り、チャック13上にウエハWを載置する。
【0025】
図1に示すように、チャック13を挟んでケーシング10の搬入出口11の対向側には、チャック13上のウエハWのノッチ部の位置を検出するノッチ検出センサ16が設けられている。ノッチ検出センサ16によってウエハWのノッチ部の位置を検出しながら、回転駆動部14によってチャック13を回転させて、ウエハWのノッチ部の位置を調節することができる。このように、回転駆動部14は、ウエハWの位置を調節するアライメント機能を有している。
【0026】
ケーシング10の搬入出口11の他端側(図1のX方向正方向側)の側面には、撮像装置20が設けられている。撮像装置20には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。
【0027】
また、ケーシング10の天井には、チャック13の鉛直方向上方に、ウエハWに光を照射する略直方体の照明装置21が固定されており、その照明装置21の真下に、ハーフミラー22が固定されている。ハーフミラー22は、撮像装置20と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。
【0028】
照明装置21からの照明がハーフミラー22を通過して下方に向けて照らされると、照明装置21の照射領域にある物体が光を反射し、その反射光は、ハーフミラー22で反射され、撮像装置20に取り込まれる。すなわち、撮像装置20は、照射領域にある物体を撮像することができる。
【0029】
本実施形態に係る欠陥検査装置1の照明装置21とハーフミラー22は、図1及び図2に示すように、ウエハWの回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置されており、照明装置21と、ハーフミラー22の長手方向の長さは、ウエハWの直径よりも長く形成されている。この構成により、ウエハWを少なくとも180度回転させることで、ウエハWの表面全体を撮像することができる。もっとも、照明装置21及びハーフミラー22の寸法は、ウエハWの直径の長さだけあればよい。
【0030】
照明装置21と撮像装置20は、制御装置30によって制御される。制御装置30から照明装置21に対して出力される信号によって、照明装置21の照明の照度、照射時間等が制御される。また、制御装置30から撮像装置20に対して出力される信号によって、撮像装置20による撮像、撮像タイミング、画像取り込み時間等が制御される。そして撮像した画像は、制御装置30に出力され、当該制御装置30において、必要な画像処理が施される。
【0031】
また、制御装置30は回転駆動部14をも制御する。すなわち、制御装置30から回転駆動部14に対して出力される信号によって、回転駆動部14の回転速度、回転開始及び停止等が制御される。
【0032】
上述した制御装置30は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、欠陥検査装置1内のウエハWの欠陥検査を制御するプログラムが格納されている。これに加えて、プログラム格納部には、上述した各種処理装置や搬送体などの駆動系の動作を制御して、後述する塗布現像処理装置100の所定の作用、すなわちウエハWへのレジスト液の塗布、現像、加熱処理、ウエハWの受け渡し、各ユニットの制御などを実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばハードディスク(HD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置30にインストールされたものであってもよい。
【0033】
ところで、検査するウエハWの状態によっては、ウエハW表面の反射率の違いによってウエハWの輝度(明暗)が異なっている場合があり、全ての場合に同じ画像取り込み時間で撮像すると、取り込まれた画像が、いわゆる露出オーバーや、露出アンダーのような画像となってしまい、精度のよい画像が得られない。この場合には、例えば照明装置21の照度をそれに応じて変更してもよいが、そのような変更が出来ない照明装置を使用した場合や、照度を変更すると条件が異なってしまい、例えば基準ウエハとの照合、比較等ができない場合もある。このような場合、画像の取り込み周期の長さを変更することになる。撮像装置20による画像の取り込み周期の長さを変更する場合には、回転駆動部14によるウエハWの回転速度をも変更する必要がある。
【0034】
図1を参照すると、欠陥検査装置1内には、ウエハWの表面の反射率を測定する反射率測定センサ23がチャック13の上方に固定されている。この反射率測定センサ23からの信号に基づいて、制御装置30内の光量調整部(図示せず)が、撮像装置20が取り込む画像の明るさが予め設定した所定の明るさの範囲に収まるように、画像の取り込み周期を補正する。こうして撮像装置20による画像の取り込み周期の長さが自動的に補正され、またそれに応じて、回転駆動部14に対する駆動信号も制御されて回転速度が変更される。
【0035】
こうして、表面上の各部の反射率が異なったウエハWを撮像する場合にも、撮像装置20の画像取り込み周期の長さと回転駆動部14の回転速度の変更により、高精度な画像を得ることができる。そして反射率が高いウエハWであっても、反射率が低いウエハWであっても、同一の基準で欠陥の検査を実施することが可能である。
【0036】
なお検査対象となるウエハWの表面の反射率が予め判明している場合には、前記した反射率測定センサ23を用いる必要はなく、反射率が既知のウエハWの情報を制御装置30内に記憶して、必要に応じて光量調整部に読み出すとよい。
【0037】
次に、本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置1を用いた欠陥検査手順について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0038】
まず、搬送機構D(図10参照)によってウエハWが搬入出口11からケーシング10内に搬入され、支持ピン15上に載置される。そして、支持ピン15が下降してウエハWはチャック13上に載置される。その後、ノッチ検出センサ16によりウエハWのノッチ部が検出される。そのノッチ部の位置に基づいてウエハWが回転されて、ウエハWのノッチ部の位置が所定の設定角度に合わせ込まれてウエハWがアライメントされる。このときの設定角度は、例えばウエハ処理のレシピに応じて予め定められており、最適な画像が取得できる角度が選択される。
【0039】
その後、ウエハWが時計回り(図2の矢印の方向)に回転されながら、撮像装置20によって照明装置21の照射領域にあるウエハWの表面が撮像される。図3(a)乃至(d)では、撮像装置20によりウエハW表面が撮像される様子を示している。図中の網掛け部分は、撮像装置20により撮像された範囲を表している。図3(a)乃至(d)に示すように、ウエハWの回転に合わせて撮像装置20がハーフミラー22からの反射光を取り込むことにより、二つの同一形状の扇形の中心角部分を重ね合わせたような照射領域が撮像される。ウエハWが少なくとも180度回転することで、ウエハWの全体が撮像されることになる。
【0040】
撮像が完了すると、支持ピン15がチャック13の上方に上昇し、チャック13上のウエハWは、支持ピン15上に支持されて持ち上げられる。支持ピン15上に支持されているウエハWは、搬送機構D(図10参照)に受け取られて搬入出口11から搬出され、次のウエハWが支持ピン15上に受け渡される。これらの動作が繰り返されて複数のウエハが連続して検査される。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る欠陥検査装置1においては、チャック13を水平移動させることなくウエハWの表面を撮像することができるため、ケーシング10の長手方向(図2のX方向)の長さを、水平移動するために必要であったウエハ2枚分の長さよりも短くすることができ、モジュールサイズを小さくすることができる。また、水平移動に必要な駆動部、ガイドレールも不要となり、装置構成が簡素になる。さらに、基板を180度回転させるだけで撮像が完了するため、撮像時間を短縮することができる。
【0042】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置2について、以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図4に示すように、第2実施形態に係る欠陥検査装置2において、照明装置21とハーフミラー22はウエハWの回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置されている。照明装置21とハーフミラー22の長手方向の長さは、少なくともウエハWの半径に等しい長さであり、好適にはウエハWの半径よりも若干長く形成される。
【0044】
図4に示すように、撮像装置20は、ケーシング10の搬入出口11に対向する側壁上に設置され、ハーフミラー22から反射するウエハWの少なくとも半径領域部分の反射光を取り込むことができる位置に固定される。すなわち、撮像装置20は、ケーシング10の上記側壁の中心部よりも照明装置21側(Y方向正方向側)に設置される。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置2を用いた欠陥検査手順について、図4及び図5を参照して説明する。
【0046】
まず、搬送機構D(図10参照)によってウエハWが搬入出口11からケーシング10内に搬入され、支持ピン15を介してチャック13に受け渡されると、まずウエハWのアライメントが行われる。
【0047】
その後、ウエハWが時計回り(図4の矢印の方向)に回転されながら、撮像装置20によって照明装置21の照射領域にあるウエハWの表面が撮像される。図5(a)乃至(d)に示す通り、ウエハWが回転すると共に、図5(a)、(b)、(c)、(d)のようにウエハWの表面の網掛け部分が撮像されていく。そして、ウエハWが少なくとも360度回転することで、ウエハWの全体が撮像されることになる。
【0048】
ウエハWの表面全体が撮像されると、支持部15がチャック13の上方に上昇し、チャック13上のウエハWは、支持ピン15上に支持されて持ち上げられる。支持ピン15上に支持されているウエハWは、搬送機構Dに受け取られて搬入出口11から搬出される。
【0049】
この実施形態では、照明装置21及びハーフミラーは、少なくともウエハWの半径分の長さがあれば良いため、高価な照明装置のサイズを小さくすることができ、コストを削減することができる。また、図2及び図4を比較して理解されるように、第2実施形態では、従来の欠陥検査装置だけでなく第1実施形態と比べても、ワーキングディスタンスを短くすることができるため、モジュールのサイズをより小さくすることが可能となる。更に、ワーキングディスタンスが短いことから、解像度が同じカメラを用いても、より精細な画像を得ることができる。
【0050】
図6は、本発明の第3実施形態に係る欠陥検査装置3の概略を示す縦断面図である。
【0051】
本実施形態に係る欠陥検査装置3は、ケーシング10内の上方空間に撮像ユニット40を有している。この撮像ユニット40は、略直方体の外形を有するカバー41内の一端部に、撮像装置20を設置している。カバー41内の他端部側には、照明装置21が設けられている。そして、照明装置21の真下には、ハーフミラー22が設けられている。カバー41には、ハーフミラー22の下方に、開口部42が形成されており、照明装置21からの照明は、ハーフミラー22を通過して、開口部42から撮像ユニット40の下方に向けて照射される。この照明装置21の照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー22で反射して、撮像装置20に取り込まれる。すなわち、撮像装置20は、ハーフミラー22で反射される反射光の範囲にある物体を撮像することができる。
【0052】
なお、図7の示す例によれば、撮像ユニット40の短手方向(図7のY方向)の寸法は、平面視でウエハWの直径の長さか若しくはそれよりも長い。しかし、本発明では、ウエハWの4分の1の領域(図7でウエハWの第2象限部分)を撮像ユニット40が覆うように、撮像ユニット40の短手方向の寸法をウエハWの半径の長さと等しいか、またはそれよりも若干長く構成してもよい。また、撮像ユニット40の開口部42を、透明なガラス板等で塞いでカバー内を密閉状態としてもよい。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態に係る欠陥検査装置3を用いた欠陥検査手順について、図6及び図7を参照して説明する。
【0054】
まず、搬送機構D(図10参照)によってウエハWが搬入出口11からケーシング10内に搬入され、チャック13上に載置されると、チャックは図7中の矢印の方向に回転を開始する。すると、ウエハWが回転されながら、照明装置21がウエハWに光を照射し、その照射光をハーフミラー22により反射させ、撮像装置20がその反射光を取り込む。ウエハWが少なくとも180度回転することにより、ウエハWの表面全体が撮像装置20により撮像されることになる。
【0055】
本実施形態では、撮像ユニット40を構成する撮像装置20、照明装置21及びハーフミラー22がカバー41の中に配置されているため、ウエハWの搬入出や回転時に生じるパーティクルが撮像装置20等に付着せず、より正確な画像を得ることができる。また、開口部以外の部分はカバー41により覆われているため、ハーフミラーからの反射光以外の反射光の影響を受けることがなく、より高精度の画像を撮像することができる。
【0056】
次に、前記欠陥検査装置1,2,3を組み込んだ塗布現像処理装置100に、露光部(露光装置)S4を接続したレジストパターン形成システムの一例について簡単に説明する。図8は前記システムの平面図であり、図9は同システムの斜視図である。また、図10は前記塗布現像処理装置100の縦断側面図である。
【0057】
この塗布現像処理装置100には、図8に示すように、キャリアブロックS1から露光ブロックS4まで順に、キャリアブロックS1、検査ブロックS5、処理ブロックS2、インターフェイスブロックS3、露光ブロックS4が連結されている。
【0058】
キャリアブロックS1では、搬送機構Bが、載置台101上に載置された密閉型のキャリア102からウエハWを取り出して、キャリアブロックS1に隣接された検査ブロックS5を介して処理ブロックS2に受け渡す。また、搬送機構Bは、処理ブロックS2にて処理され、検査ブロックS5にて検査された後のウエハWを受け取ってキャリア102に戻すように構成されている。
【0059】
検査ブロックS5は、図10に示すように受け渡しユニットTRS1と、受け渡しユニットTRS2と、本発明に係る検査装置1,2,3に相当する検査モジュール5とを備えている。また検査ブロックS5には、受け渡しユニットTRS1と処理ブロックS2との間でウエハWを搬送する搬送機構Cと、処理ブロックS2と検査モジュール7と受け渡しユニットTRS2との間でウエハWを搬送する搬送機構Dが設けられている。
【0060】
処理ブロックS2は、図9に示すように、現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第4のブロック(TCT層)B4を下から順に積層して構成されている。
【0061】
前記第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、各々反射防止膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する塗布部を3つ含んだ液処理モジュール110と、この液処理モジュール110にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却処理ユニット群120と、液処理モジュール110と加熱・冷却処理ユニット群120との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行なう搬送機構A2、A4とを備えている。
【0062】
第3のブロック(COT層)B3においては、前記薬液がレジスト液であり、疎水化処理ユニットが組み込まれることを除けば同様の構成である。一方、第1の処理ブロック(DEV層)B1については、例えば一つのDEV層B1内に現像ユニットが2段に積層されている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像ユニットにウエハWを搬送するための共通の搬送機構A1が設けられている。さらに処理ブロックS2には、図8及び図10に示すように、棚ユニットU5が設けられ、この棚ユニットU5の各部同士の間では、棚ユニットU5の近傍に設けられた昇降自在な搬送機構EによってウエハWが搬送される。
【0063】
このような塗布現像処理装置100において、欠陥検査を行う場合には、キャリア102からのウエハWが、搬送機構B、受け渡しステージTRS1、搬送機構Cを順に介して、棚ユニットU5の一つの受け渡しユニット、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しユニットCPL2に搬送される。ここから、ウエハWは搬送機構E、受け渡しユニットCPL3及び搬送機構A3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、疎水化処理ユニットにおいてウエハ表面が疎水化された後、液処理モジュール110にてレジスト膜が形成される。レジスト膜形成後のウエハWは、搬送機構A3により、棚ユニットU5の受け渡しユニットBF3に受け渡される。
【0064】
その後、ウエハW2は受け渡しユニットBF3→搬送機構E→受け渡しユニットCPL4を介して搬送機構A4に受け渡され、レジスト膜の上に反射防止膜が形成された後、搬送機構A4により受け渡しユニットTRS4に受け渡される。なおレジスト膜の上の反射防止膜を形成しない場合や、ウエハWに対して疎水化処理を行う代わりに、第2のブロック(BCT層)B2にて反射防止膜が形成される場合もある。
【0065】
一方、DEV層B1内の上部には、棚ユニットU5に設けられた受け渡しユニットCPL11から棚ユニットU6に設けられた受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームFが設けられている。レジスト膜やさらに反射防止膜が形成されたウエハWは、搬送機構Eにより受け渡しユニットBF3やTRS4を介して受け渡しユニットCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームFにより棚ユニットU6の受け渡しユニットCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。図10中のCPLが付されている受け渡しユニットは、温調用の冷却ユニットを兼ねており、BFが付されている受け渡しユニットは、複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットを兼ねている。なお、ここでは図示していないが、ウエハWがインターフェイスブロックS3に取り込まれる前に、ウエハWの周縁部を予め露光するための、周辺露光モジュールが設置される場合もある。
【0066】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームGにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚ユニットU6の受け渡しユニットTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送機構A1により受け渡しユニットTRS3に受け渡される。
【0067】
その後、搬送機構Dにより検査モジュール5に搬送されて、既述の検査を受ける。そして検査モジュール5→受け渡しユニットTRS2の順に搬送され、搬送機構Bを介してキャリア102に戻される。なお、図8において符号U1〜U4は各々加熱部と冷却部等を積層した加熱・冷却処理ユニット群である。
【0068】
前記実施の形態においては、欠陥検査装置1,2,3が図11に示すようにキャリアブロックS1に設けられていてもよい。この場合、欠陥検査装置1,2,3に対するウエハWの搬送は、搬送機構Bによって行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態においては、本発明に係る欠陥検査装置1,2,3を単独の検査モジュール5として塗布現像装置100の所定位置に配置していたが、単独のモジュールではなく、回転自在な載置台を有する他のモジュール、例えば、塗布現像を行う液処理モジュールや周辺露光モジュール内に、本発明に係る欠陥検査装置1,2,3を組み込むようにしてもよい。
【0070】
このように、欠陥検査装置1,2,3と、液処理モジュールや周辺露光モジュールとを一体化することによって、塗布現像装置100内でのモジュール占有面積、及びモジュール数を削減することができるため、塗布現像装置100自体のサイズを縮小し、フットプリントの低減が可能となる。さらには、塗布現像装置100のメンテナンス工数が削減される。
【0071】
なお、前記した実施形態においては、撮像装置20によって撮像する基板は半導体ウエハであったが、これに限らず他の基板、例えば各種のフラットディスプレイ用の基板やフォトマスク基板、さらには、太陽電池パネル用の基板、ナノインプリント用の基板プレート等を検査対象として本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,2,3 欠陥検査装置
13 チャック(載置台)
14 回転駆動部
20 撮像装置
21 照明装置
22 ハーフミラー
40 撮像ユニット
41 カバー
42 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を撮像装置によって撮像して、前記基板の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
前記基板を載置する回転自在な載置台と、
前記載置台の鉛直方向上方に設置され、かつ載置された前記基板の回転中心から外縁部に延在する直線領域と平行に配置された、前記基板を照射する略直方体の照明装置と、
前記照明装置の真下に固定され、前記照明装置からの照明を通過させて前記基板の反射光を反射させるハーフミラーと、
前記ハーフミラーからの反射光を取り込む撮像装置と、
を具備することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記照明装置及び前記ハーフミラーの長手方向の長さは、前記基板の直径の長さに等しいか、またはそれよりも若干長いことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記照明装置及び前記ハーフミラーの長手方向の長さは、前記基板の半径の長さに等しいか、またはそれよりも長く、かつ前記基板の直径の長さよりも短いことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記載置台の鉛直方向上方に略直方体のカバーをさらに備え、
前記カバーは、その内部の一端部に前記照明装置と前記ハーフミラーとを備え、他端部に前記撮像装置を設置し、前記照明装置と前記ハーフミラーの下方に開口部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−145193(P2011−145193A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6652(P2010−6652)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】