説明

止水シートの溶着品質管理装置

【課題】長大な斜面に段部を形成せずに長大な止水シートを敷設可能で、施工コストを低減することができると共に、止水シートの任意の位置で固定可能で、廃棄物処分場の地形に沿って止水シートを確実に固定することができる廃棄物処分場の止水構造を提供する。
【解決手段】電磁誘導により発熱する発熱体12と溶着部を表面側に有し、被取付面に間隔を開けて設けられる固定体10上に敷設され、発熱体12による加熱で固定体10の各々の溶着部に直接的若しくは間接的に溶着される止水シート20の溶着品質管理装置であって、止水シート20に押し当てられ、発熱体12を発熱させる誘導加熱部51と、誘導加熱部51による発熱部分に対応する止水シート20の温度を計測可能な温度センサー54と、温度センサー54の計測最高温度を取得し、固定体10の各々に対応する計測最高温度を出力可能に記憶保持する管理部55とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導の溶着により取り付けられる止水シートの溶着品質管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの一次覆工面に、電磁誘導の溶着によって止水シートを取付けることが行われている。止水シートを取り付ける際には、トンネルの覆工面に熱溶着ディスクを取り付け、熱溶着ディスクの表面側に止水シートを張設して配置する。この熱溶着ディスクは、例えば溶着材が表裏面に積層された発熱体がディスク本体の表面に積層されたものや、ディクス本体の表面に溶着材が塗布されたものである。そして、誘導加熱コイルを備える誘導加熱部を止水シートを介して熱溶着ディスクに押し当て、溶着材を溶融して熱溶着ディスクと止水シートを溶着することにより、止水シートが取り付けられる(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−297699号公報
【特許文献2】特開平6−221094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネルの一次覆工面の止水シートは、アーチ状に大きな緩み無く固定するために、40cm〜1m程度のピッチで溶着して固定されると共に、覆工コンクリートを打設して覆われるものであることから、総取付強度としては覆工コンクリートが打設されるまでの間に止水シートが落下しない強度があれば良く、取付強度やその耐久性がさほど問題となることはない。そのため、熱溶着ディスクと止水シートの溶着の品質管理は問題視されることはなかった。しかしながら、廃棄物処分場などに止水シートを取り付ける場合には、数年から数十年の長期に亘って露出した状態で、所要の取付強度を保つことが求められるため、止水シートの各溶着箇所における溶着品質を確保することが重要となる。
【0005】
他方で、電磁誘導により熱溶着ディスクと止水シートを溶着する際には、止水シートの表面から誘導加熱部の押当面を押し当て、所定時間通電するが、この通電時間は、止水シートの材質や厚さ、熱溶着ディスクの種類等に応じて、溶着箇所に所要のせん断強度や剥離強度が確保されるように施工要領書で指定される。そして、作業者は指定された通電時間を守るように経験や感覚に依って作業するだけであるため、各溶着箇所で止水シートと熱溶着ディスクが確実に溶着されたか確認することができなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、止水シートの各溶着箇所における溶着品質を確認可能にして溶着品質を確保し、廃棄物処分場など設置環境の厳しい場所でも、止水シートの取付強度を長期に亘って確実に保持することを可能にする止水シートの溶着品質管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による止水シートの溶着品質管理装置は、電磁誘導により発熱する発熱体と溶着部を表面側に有し、被取付面に間隔を開けて設けられる固定体上に敷設され、前記発熱体による加熱で前記固定体の各々の前記溶着部に直接的若しくは間接的に溶着される止水シートの溶着品質管理装置であって、前記止水シートに押し当てられ、前記発熱体を発熱させる誘導加熱部と、前記誘導加熱部による前記発熱部分に対応する前記止水シートの温度を計測可能な温度センサーと、前記温度センサーの計測最高温度を取得し、前記固定体の各々に対応する前記計測最高温度を出力可能に記憶保持する管理部とを備えることを特徴とする。
前記構成では、発熱部分に対応する止水シートの温度を認識し、止水シートの各溶着箇所における溶着品質を確認可能して溶着品質を確保することが可能となる。従って、廃棄物処分場など設置環境の厳しい場所でも、止水シートの取付強度を長期に亘って確実に保持することができる。また、固定体の各々に対応する計測最高温度を保持することにより、溶着が必要な箇所で確実に溶着作業が行われたことを確認することが可能となる。また、管理部の記憶データを発注者等に溶着品質の管理記録として提出することが可能となる。
【0008】
本発明による止水シートの溶着品質管理装置は、前記管理部が、所定の設定温度を記憶する記憶部と、前記計測最高温度が前記設定温度に到達しているかを判定し、到達している場合に到達判定情報を出力可能に前記記憶部に記憶保持させる判定部とを備えることを特徴とする。
前記構成では、到達判定情報を認識可能にし、溶着が必要な箇所で所要の取付強度を有する溶着が行われたことを容易に確認することができる。また、確実な溶着が行われたことを容易に認識可能な溶着品質管理記録を発注者等に提出することが可能となる。
【0009】
本発明による止水シートの溶着品質管理装置は、前記誘導加熱部が、所定の設定温度を記憶する記憶部と、完了信号を出力する出力部と、前記温度センサーの計測温度を取得し、前記計測温度が前記所定設定温度に到達した時に前記出力部から完了信号を出力する出力制御部とを備えることを特徴とする。
前記構成では、溶着作業時に固定体と止水シートを確実に固着することができると共に、止水シートの溶融が進みすぎて弱体化した箇所が生ずることを防ぐことができる。また、溶着作業時に作業者の作業経験に関わらず一定した溶着品質を確保することが可能となる。
【0010】
本発明による止水シートの溶着品質管理装置は、前記温度センサーは、前記誘導加熱部の前記止水シートに対する押当面に近接して設けられ、前記押当面の押し当てに伴って前記止水シートに押し当てられることを特徴とする。
前記構成では、誘導加熱部の押し当てに伴って温度センサーを止水シートに押し当てることが可能となり、溶着品質の確認作業を容易且つ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による止水シートの溶着品質管理装置を用いることにより、発熱部分に対応する止水シートの温度を認識し、止水シートの各溶着箇所における溶着品質を確認可能して溶着品質を確保することができる。従って、廃棄物処分場など設置環境の厳しい場所でも、止水シートの取付強度を長期に亘って確実に保持することができる。また、固定体の各々に対応する計測温度を保持することにより、溶着が必要な箇所で確実に溶着作業が行われたことを確認することが可能となる。また、管理部の記憶データを発注者等に溶着品質の管理記録として提出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は廃棄物処分場に止水シートを敷設した止水構造を示す縦断面図、(b)は同図(a)のA矢視の正面図。
【図2】止水シートの敷設を説明する縦断説明図。
【図3】(a)は固定体の縦断側面図、(b)はその平面図。
【図4】実施形態の止水シートの溶着品質管理装置、及び固定体と止水シートとの溶着を説明する縦断説明図。
【図5】溶着品質管理記録を示す図。
【図6】(a)は変形例の固定体の縦断側面図、(b)はその平面図。
【図7】(a)は変形例の固定体による溶着において溶着前の止水シート、発熱体、固定体の溶着部を示す部分拡大断面図、(b)はその溶着後の状態を示す部分拡大断面図。
【図8】第1変形例の止水構造における固定体と止水シートとの溶着を説明する縦断説明図。
【図9】第2変形例の止水構造における固定体と止水シートとの溶着を説明する縦断説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態の止水シートの溶着品質管理装置〕
本発明による実施形態の止水シートの溶着品質管理装置について説明する。図1は廃棄物処分場に止水シートを敷設した止水構造を示す図、図2は止水シートの敷設を説明する図、図3は固定体の図、図4は実施形態の止水シートの溶着品質管理装置、及び固定体と止水シートとの溶着を説明する図である。
【0014】
前提として、本実施形態の止水シートの溶着品質管理装置が用いられる廃棄物処分場の止水構造について説明する。図1に示す止水構造は、上面101、斜面102、底面103の地面を有する廃棄物処分場の凹領域に設置されるものであり、廃棄物処分場の斜面102に略一定のピッチなど間隔を開けて複数配設される熱溶着ディスクの固定体10と、配設された複数の固定体10上に敷設される止水シート20とを備える。
【0015】
固定体10は、図3に示すように、円盤状のディスク本体11と、ディスク本体11の円周状の表面111に沿って設けられる発熱体12と、ディスク本体11の中央に表面111側から凹んで設けられる凹部112に取付けられる固定用アンカー13とから構成される。ディスク本体11は、表面側の溶着部に対応するものとしてディスク本体11自体が溶着材で形成され、例えばポリエチレン等で形成されている。発熱体12は、電磁誘導により発熱するアルミメッシュ等の金属製のメッシュである。
【0016】
固定用アンカー13は、図示省略する穴を有する基端の頭部131m、先端の拡開部131nを有するスリーブ131と、前記穴からスリーブ131内に挿入されている打込ピン132とから構成される。固定用アンカー13は、図1〜図4に示すように、凹部112に頭部131mを係合するようにして凹部112の穴に挿入して設けられ、ディスク本体11の下面113を斜面102側にしてディスク本体11を配置すると共に、スリーブ131を斜面102に埋め込み、打込ピン132を打ち込んで拡開部131nを拡開することにより、ディスク本体11を斜面102に固定するようになっている。
【0017】
止水シート20は、図1に示すように、斜面102の天端部に対応する位置の上面101に係止溝104を形成し、係止溝104内に止水シート20の上端部を埋め込んで固定し、止水シート20を上から下に広げることにより、敷設される。止水シート20には、例えば斜面102から底面103に亘る長大な止水シート20が用いられ、斜面102に固定設置されている複数の固定体10上に載置されるようにして敷設される。固定体10上に載置された止水シート20は、後述するように、溶着部に相当する各ディスク本体11の表面111と、電磁誘導加熱により発熱体12を発熱させて直接溶着される。
【0018】
更に、斜面102上に斜面102に沿って不織布等からなる保護マット30が設けられている。保護マット30上にはディスク本体11が配置され、固定用アンカー13のスリーブ131と打込ピン132を保護マット30に貫通させ、上記の如く固定用アンカー13を斜面102に固定することにより、ディスク本体11と斜面102に挟持されるようにして保護マット20は敷設される。
【0019】
上記止水構造を施工する際には、図1〜図3に示すように、先ず廃棄物処分場の斜面102に保護マット30を敷設する。保護マット30は、その上端部を係止溝104内に埋め込んで固定され、巻いてある保護マット30を上から下に広げることにより、敷設される。次いで、固定体10を被取付面に相当する斜面102に略一定の任意のピッチで縦横に設けるなど間隔を開けて配置することにより、複数の固定体10を斜面102に間隔を開けて配置する。
【0020】
その後、図2に示すように、配置した複数の固定体10上に止水シート20を敷設する。止水シート20は、係止溝104内に上端部を埋め込んで固定し、巻いてある止水シート20を上から下に広げることにより、敷設される。そして、図4に示すように本実施形態の止水シート20の溶着品質管理装置を用いて各溶着箇所の溶着及びその品質管理を行う。
【0021】
本実施形態の止水シート20の溶着品質管理装置は、止水シート20に押し当てられ、発熱体12を発熱させる誘導加熱部51と、コイルターミナル52を介して誘導加熱部51に電流を供給する電源部53と、誘導加熱部51の押当面に近接して設けられ、止水シート20への押当面の押し当てに伴って止水シート20に押し当てられて、誘導加熱部51による発熱部分に対応する止水シート20の温度を計測可能な温度センサー54と、温度センサー54の計測最高温度を取得し、固定体10の各々に対応する計測最高温度を出力可能に記憶保持する管理部55とを備え、誘導加熱部51、温度センサー54、管理部55は接続コード等で接続されている。
【0022】
誘導加熱部51は、スイッチのON動作により内部の誘導加熱コイルに電流が流れるようになっている。また、本実施形態における誘導加熱部51には、図示省略する、設定記憶されている制御プログラムに従って制御する出力制御部と、所定の設定温度等を記憶する記憶部と、音或いは光等の完了信号を出力する出力部等が設けられている。
【0023】
誘導加熱部51による溶着では、止水シート20と固定体10とが重なり合う部分における止水シート20の上に誘導加熱部51を配置し、誘導加熱部51で発熱体12を発熱させ、止水シート20と固定体10のディスク本体11の表面111とを直接的に溶着する。そして、この溶着時において、誘導加熱部51は、発熱部分に対応する止水シート20の計測温度を温度センサー54から取得し、その出力制御部は、取得した計測温度を記憶部の所定設定温度と対比して所定設定温度に到達したことを認識し、これに応じて音或いは光等の完了信号を出力部から出力する。
【0024】
本実施形態の管理部55は、図示省略する、所定の設定温度を記憶する記憶部と、温度センサー54による計測最高温度を取得し、この計測最高温度が前記設定温度に到達しているかを判定し、到達している場合に到達判定情報を出力可能に前記記憶部に記憶保持させる判定部等を備える。そして、溶着時においては、管理部55は、任意の溶着箇所における計測最高温度を温度センサー54から取得し、前記溶着箇所に対応する計測最高温度を溶着品質管理記録の一部として出力可能に記憶保持すると共に、この計測最高温度が前記設定温度に到達しているかを判定し、到達している場合に到達判定情報を、前記溶着箇所の前記計測最高温度を対応させ、溶着品質管理記録の一部として出力可能に前記記憶部に記憶保持させる。
【0025】
図5は溶着品質管理記録の例を示す図である。この溶着品質管理記録では、各固定体10に対応して、止水シート20の表面温度に計測した最高温度と、到達判定情報として「OK」の情報を記憶している。また、番号(No)は、溶着箇所の計測順の連番とし、連番で特定される溶着箇所の個数と実際の溶着箇所の個数を突合して、溶着箇所に漏れがないかを確認する構成、或いは誘電加熱部51で溶着箇所の場所を特定する番号(No)を入力可能にし、その番号(No)を管理部55が取得したものとし、溶着箇所に漏れがないかの確認と漏れがある場合にはその場所を即座に確認できる構成等とすることが可能である。
【0026】
尚、図5のキャリブレーション実施は、その日の天候等に応じて、誘導加熱部51の記憶部に設定される設定温度、管理部55の記憶部に設定される設定温度を決定するための試験実施であり、この結果に応じて各記憶部に設定温度が入力され記憶される。
【0027】
本実施形態の止水シート20の溶着品質管理装置は、発熱部分に対応する止水シート20の温度を品質記録で認識し、各溶着箇所における溶着品質を確認、確保することが可能となる。従って、廃棄物処分場のような設置環境の厳しい場所でも、止水シート20の取付強度を長期に亘って確実に保持することができる。また、固定体10の各々に対応する計測最高温度を保持することにより、溶着が必要な箇所で確実に溶着作業が行われたことを確認することが可能となる。また、管理部55の記憶データを発注者等に溶着品質の管理記録として提出することが可能となる。
【0028】
また、上記管理部55の管理により、溶着が必要な箇所で所要の取付強度を有する溶着が行われたことを容易に確認することができる。また、確実な溶着が行われたことを容易に認識可能な溶着品質管理記録を発注者等に提出することが可能となる。また、上記誘導加熱部31と温度センサー54による連動処理により、溶着作業時に固定体10と止水シート20を確実に固着することができると共に、止水シート20の溶融が進みすぎて弱体化した箇所が生ずることを防ぐことができる。また、溶着作業時に作業者の作業経験に関わらず一定した溶着品質を確保することが可能となる。また、温度センサー54の押当面への近接配置により、誘導加熱部51の押し当てに伴って温度センサー54を止水シート20に押し当てることが可能となり、溶着品質の確認作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0029】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、下記のような変形例も包含される。
【0030】
例えば本発明の止水シートの溶着品質管理装置を用いる場合における固定体は、図3の固定体10に限定されず適宜であり、例えば図6及び図7に示す例の固定体10a等を用いてもよい。図6の固定体10aは、ディスク本体11a、固定用アンカー13aは図3の固定体10のディスク本体11、固定用アンカー13と同一構成であるが、固定体10aの表面側に設けられ、金属製メッシュで構成される発熱体12aがポリエチレン等の熱可塑性樹脂14aで被覆されている。固定体10aにより、溶着部であるディスク本体11aとシート20とを溶着する際には、図7に示すように、電磁誘導加熱によって発熱体12aの周囲の熱可塑性樹脂14aが溶融し、熱可塑性樹脂14aが接着剤となってディスク本体11aと止水シート20とが間接的に溶着される。
【0031】
固定体10aを用いる場合には、電磁誘導によって熱可塑性樹脂14aが溶けて接着剤として機能するため、ディスク本体11aと止水シート20が異素材など直接溶着しにくい場合でも、熱可塑性樹脂14aを介した間接的な溶着で確実に固着することができる。また、金属製の発熱体12aは露出すると腐食の危険に曝されるが、熱可塑性樹脂14aで被覆することにより、錆や腐食の危険性を長期に亘って除くことができる。
【0032】
また、本発明の止水シートの溶着品質管理装置を用いる場合における止水構造は、廃棄物処分場の止水構造に限定されず、トンネルの覆工面など本発明を適用可能な範囲内の場所における止水構造であれば適宜である。また、止水構造は、上記実施形態に限定されず、例えば図8に示すように、斜面102に保護マット30を敷設せずに、斜面102に固定体10(又は固定体10a)を直接敷設するものであり、その後に上記実施形態と同様に止水シート20を敷設、溶着するものとしてもよい。
【0033】
また、別の止水構造の例として、図8に示すように、斜面102に保護マット30を直接敷設せずに、斜面102に複数の固定体10(又は固定体10a)を直接敷設し、更に、その固定体10の上に保護マット30を敷設し、その上に止水シート20を敷設し、保護マット30を介して止水シート20と固定体10のディスク本体11の表面111とを溶着するものとしてもよい。この例では、止水シート20及び保護マット30と固定体10(又は固定体10a)とが重なり合う部分における止水シート20の上に誘導加熱部51を配置し、誘導加熱部51で発熱体12を発熱させ、止水シート20と固定体10のディスク本体11の表面111とを保護マット30を介して溶着する。尚、保護マット30と止水シート20を順次敷設する構成に代え、保護マット30と止水シート20が一体化した積層シートを敷設する構成としてもよい。
【0034】
また、溶着部は、ディスク本体11、11aを溶着材で形成して構成したが、固定体の表面側に設けられる溶着部であれば適宜であり、例えばディスク本体11の表面に層状に設けられる溶着層等とすることも可能である。また、溶着部、止水シート20、熱可塑性樹脂14a、発熱体12、12a、保護マット30の素材も、ポリエチレン以外に本発明に適用可能な範囲内で適宜である。また、固定体10、10aの構成も本発明に適用可能な範囲内で適宜であり、又、固定体10、10aを設ける間隔は、地形等に応じて略同一ピッチや若干の可変的なピッチで設けることが可能である。
【0035】
また、誘導加熱部51が、計測温度が所定設定温度に到達した時に完了信号を出力する構成に代えて、誘導加熱部51に設定時間を記憶する記憶部とタイマーを設け、制御部が誘導加熱部51の起動を認識してタイマーで時間を計測し、前記設定時間に到達した時に完了信号を出力する構成等とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば廃棄物処分場に止水シートを取り付けて敷設する際の溶着品質の管理に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10、10a…固定体 11、11a…ディスク本体 111…表面 112…凹部 113…下面 12、12a…発熱体 13、13a…固定用アンカー 131…スリーブ 131m…頭部 131n…拡開部 132…打込ピン 14a…熱可塑性樹脂 20…止水シート 30…保護マット 51…誘導加熱部 52…コイルターミナル 53…電源部 54…温度センサー 55…管理部 101…上面 102…斜面 103…底面 104…係止溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導により発熱する発熱体と溶着部を表面側に有し、被取付面に間隔を開けて設けられる固定体上に敷設され、前記発熱体による加熱で前記固定体の各々の前記溶着部に直接的若しくは間接的に溶着される止水シートの溶着品質管理装置であって、
前記止水シートに押し当てられ、前記発熱体を発熱させる誘導加熱部と、
前記誘導加熱部による前記発熱部分に対応する前記止水シートの温度を計測可能な温度センサーと、
前記温度センサーの計測最高温度を取得し、前記固定体の各々に対応する前記計測最高温度を出力可能に記憶保持する管理部とを備えることを特徴とする止水シートの溶着品質管理装置。
【請求項2】
前記管理部は、
所定の設定温度を記憶する記憶部と、
前記計測最高温度が前記設定温度に到達しているかを判定し、到達している場合に到達判定情報を出力可能に前記記憶部に記憶保持させる判定部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の止水シートの溶着品質管理装置。
【請求項3】
前記誘導加熱部は、
所定の設定温度を記憶する記憶部と、
完了信号を出力する出力部と、
前記温度センサーの計測温度を取得し、前記計測温度が前記所定設定温度に到達した時に前記出力部から完了信号を出力する出力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の止水シートの溶着品質管理装置。
【請求項4】
前記温度センサーは、前記誘導加熱部の前記止水シートに対する押当面に近接して設けられ、
前記押当面の押し当てに伴って前記止水シートに押し当てられることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の止水シートの溶着品質管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−104545(P2011−104545A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263747(P2009−263747)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】