説明

正方形樹脂基材

【課題】容易な嵌合方式でありながら、各々の正方形樹脂基材を互いに結束させ、容易に交換が可能であり、また正方形であるため自由に回転させて任意のデザインに施工でき、その上で住環境における温度変化に対して寸法変化が少ない、正方形樹脂基材を提供する。
【解決手段】木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材2からなる外形が略正方形の板状体の四方に実部1を有する正方形樹脂基材4において、前記正方形樹脂基材4の四方の実部1に水平面に単数の切欠き12または複数の切欠きを入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の床面または壁面に用いられる化粧板に関し、特に木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材を用いたものであって、正方形であるため自由に回転させて任意のデザインに施工でき、簡易に嵌合ができ、かつ互いの化粧板が結束された状態が簡単にできる木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材からなる正方形樹脂基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の壁面や床面等には、合板、MDF(以後中密度繊維板)、パーチクルボード等の木質系基材に、突き板や合成樹脂または紙製の化粧シートを付着した化粧板が用いられていたが、近年、耐水性、耐キャスター性、耐衝撃性の見地から木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材が使われるようになってきた。これらの嵌合方法としては、基材を刃物にて加工し、合じゃくり、さねはぎ等の形状が一般的である。このような場合の実部(嵌合部)は、木質系基材部の長手方向や巾方向の端部をテノーナー等にて加工(削り出し)して作られる。
【0003】
一方、通常の合板等は何層かの積層構造からなり、表層ではない中間層には木質のグレードが落ち、安価な材料からなる層を挟んでいる。しかしながら、上記加工(削り出し)を行うとなると、中間層の材質はある程度切削加工が可能な処理したものとする必要があり、従来のような安価な材料が使用できなくなる。均一なMDF、パーチクルボードを用いることも可能であるが、MDF、パーチクルボード自体の強度が強くないので、実部(嵌合部)として複雑な形状とすることは耐久性に問題があり、小さく、簡単な形状とするしかなかった。
また、一般的に嵌合といっても、互いの化粧板は結束しているのではなく、互いに被さっているに過ぎないことが多い。このような化粧板は各々独立しているので、実部(嵌合部)に接着剤やタッカーや釘等を使用して、互いを結合する必要がある。このような方法で固定している場合は、なんらかの不具合や経時変化等により化粧板を交換しなければならない際に、このような結合を剥がす(壊す)必要があり、手間がかかることが多い。
また一方では、木質系基材の代替として、合成樹脂を用いた化粧板も見受けられる。合成樹脂を用いた化粧板の嵌合は、従来の刃物の形に固執することなく、自由な形状が可能である。しかしながら、合成樹脂を基材として用いた製品は、基材の厚み、嵌合の形、使われる樹脂の種類、量にもよるが、住環境の温度変化に対して、木質系基材より寸法変化が大きく、取り扱いが難しいという面があった。また、床面などに抽象柄のワンポイント柄を設けようとしても実部の嵌合ができず、さらに、基材を回転させて自由な柄の床にするのが困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、容易な嵌合方式でありながら、各々の正方形樹脂基材を互いに結束させ、容易に交換が可能であり、また正方形であるため自由に回転させて任意のデザインに施工でき、その上で住環境における温度変化に対して寸法変化が少ない、正方形樹脂基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)からなる外形が略正方形の板状体の四方に実部(1)を有する正方形樹脂基材(4)において、前記正方形樹脂基材(4)の四方の実
部(1)に水平面に単数の切欠き(12)を入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材である。
本発明の請求項2に係る発明は、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)からなる外形が略正方形の板状体の四方に実部(1)を有する正方形樹脂基材(4)において、前記正方形樹脂基材(4)の四方の実部(1)に水平面に複数の切欠き(11)を入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材である。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の正方形樹脂基材において、前記正方形樹脂基材(4)を回転させ切欠き同士を嵌合させることを特徴とする正方形樹脂基材である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明は、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材からなる外形が略正方形の板状体の四方の実部に水平面に単数の切欠きを入れておくため、雄実、雌実のどちらか一方を作るだけでよいので加工性があがる効果がある。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材からなる外形が略正方形の板状体の四方の実部に水平面に複数の切欠きを入れておくことにより、実部を重ね合わせても、離れ難く、さらに、正方形樹脂基材の繋ぎ目が目立たなくなる。また、接着剤を使わなくても、面と面が重ね合わさった時の分子間力により離れ難くなる効果が有る。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、前記正方形樹脂基材を回転させ切欠き同士を嵌合させるため、抽象柄で正方形樹脂基材をいろいろな角度に回転させることができるので床や壁等のデザインのバリエーションが広がる効果がある。さらに、合成樹脂製の実部(嵌合部)のために嵌合可能でありながら簡易に脱着可能な機構とし、基材を繋ぐ際に接着剤、釘、タッカー等を使うことなく、交換する際も容易に嵌合部を外せる正方形樹脂基材を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の1実施例を示す斜視図であり、 図2(a)は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の実部(1)に水平面に単数の切欠き(12)を入れた1実施例を示す部分拡大側断面図であり、 図2(b)は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の実部(1)の単数の切欠き(12)を開いた状態を示す部分拡大側断面図であり、図3は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の単数の切欠き(12)を入れた実部(1)同士を嵌合させた状態を示す部分拡大側断面図であり、図4は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の実部(1)に水平面に複数の切欠き(11)を入れたその他の実施例を示す部分拡大側断面図であり、 図5は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の複数の切欠き(11)を入れた実部(1)同士を嵌合させた状態を示す部分拡大側断面図である。
【0011】
本発明に係る正方形樹脂基材(4)の1実施例は、図1に示すように、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)からなる外形が略正方形の板状体の四方の実部(1)に水平面に単数の切欠き(12)を入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材(4)である。
【0012】
このように、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)からなる外形が略正方形の板状体の四方の実部(1)に水平面に単数の切欠きを入れておくため、雄実、雌実のどちらか一方を作るだけでよいので加工性があがる効果がある。
【0013】
すなわち、図2(a)は本発明に係る正方形樹脂基材(4)の実部(1)に水平面に単数の切欠き(12)を入れた部分拡大側断面図であるが、この場合は、いわゆる雄実を形
成している。この雄実に形成されている単数の切欠き(12)を、図2(b)に示すように、開いた状態にすることにより、いわゆる雌実が形成されるので、図3に示すように、雄実と雌実からなる実部(1)同士を嵌合させることにより、正方形樹脂基材(4)が2枚連続した状態に形成される。
【0014】
このような正方形樹脂基材(4)に抽象柄を施すといろいろな角度に回転させることができるので床や壁等のデザインのバリエーションが広がる効果がある。さらに、合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)のために嵌合可能でありながら簡易に脱着可能な機構とし、基材を繋ぐ際に接着剤、釘、タッカー等を使うことなく、交換する際も容易に実部(嵌合部)(1)を外せる正方形樹脂基材(4)を提供することが可能となる。
次に、本発明に係る正方形樹脂基材(4)のその他の実施例は、図4に示すように、前記正方形樹脂基材(4)の四方の実部(1)に水平面に複数の切欠き(11)を入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材(4)である。
【0015】
このように、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)からなる外形が略正方形の板状体の四方の実部(1)に水平面に複数の切欠き(11)を入れておくことにより、実部(1)を重ね合わせても、離れ難く、さらに、正方形樹脂基材(4)の繋ぎ目が目立たなくなる。また、接着剤を使わなくても、面と面が重ね合わさった時の分子間力により離れ難くなる効果が有る。
【0016】
また、前記正方形樹脂基材(4)を回転させ切欠き同士を嵌合させるため、抽象柄で正方形樹脂基材(4)をいろいろな角度に回転させることができるので床や壁等のデザインのバリエーションが広がる効果がある。さらに、合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)のために嵌合可能でありながら簡易に脱着可能な機構とし、基材を繋ぐ際に接着剤、釘、タッカー等を使うことなく、交換する際も容易に嵌合部を外せる正方形樹脂基材(4)を提供することが可能となる。
【0017】
次に、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)及び合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の部材に使用する材料について詳しく説明する。
【0018】
特に、合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の部材としては、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)の素材と同様の樹脂が使えるが、さらに柔らかい樹脂を使っても良い。
【0019】
前記木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)及び合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の部材に使用する材料の内、先ず、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やそれらの酸変成物(接着性向上の目的で不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合させたもの)、アイオノマー(オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の金属水和物)等から適宜選択が可能であり、これらの中から選ばれる同種または異種の樹脂を適宜混合して使用できる。異種の樹脂を組み合わせる場合には、互いによく相溶するかもしくは互いによく接着する樹脂の組み合わせであることが望ましいが、そうでない場合であっても、両者を相溶及び/または接着させるための相溶化剤及び/または接着剤の添加により混合後の物性が維持できれば使用可能である。
【0020】
また、これら熱可塑性樹脂に10〜50%程度木質系充填剤を充填することが好適に行われる。木質系充填剤の素材としては、基本的には木質系基材からでる木粉を使用すればよいが、天然の木材を主原料として製造された粉状、粒状ないし短繊維状の充填剤であれば特に制限されるものではなく、従来公知のものから任意に選択が可能であるが、一般的
には、木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して微粉状にしたもの(木粉)などを用いることができる。
【0021】
木質系充填剤の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して10重量部未満では温度変化に対しての寸法変化を押さえる改善が殆どなく、50重量部を超えた場合は嵌合形状の自由度が少なくなり、表面がざらつき嵌合に悪影響が出る。
【0022】
木質系充填剤の平均粒径は特に制限されるものではないが、一般的には1〜200μm、より好ましくは5〜100μmであることが望ましい。平均粒径が1μm未満のものは取り扱いが困難である上に、特に木質系充填剤の配合量が多い場合には、樹脂中への分散状態が悪いと機械強度の低下の原因となる場合がある。また一方、200μmより大きいと、成形品の均質性、平面性、機械的強度が低下する原因となりやすいからである。
【0023】
前記熱可塑性樹脂には木質系充填剤の他、必要に応じて例えば熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料または染料等の着色剤、木質系以外の有機系または無機系の充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、発泡剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等の添加剤の1種以上を添加することもできる。
【0024】
前記熱可塑性樹脂に木質系充填剤を添加混練した木質樹脂組成物は、適宜の成形法で適宜の形状に成形することで得ることができる。木質系充填剤と熱可塑性樹脂との混練は特に方法を問わないが、バンバリーミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や、2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法などが一般的である。また、熱可塑性樹脂の成形と同時に木質系充填剤と樹脂を混練してもかまわない。なお、木質系充填剤は、含水率が大きいと成形時に水分の蒸発による発泡の原因となるため、混練前にあらかじめ乾燥機やホッパードライヤーで乾燥させ、含水率を8%以下に抑えておくことが望ましい。
【0025】
前記木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)及び合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の部材の成形方法も特に限定されず、例えば圧縮成形法、押出成形法、異形押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等の公知の各種の成形方法から、成形物の形状や寸法に合わせて適宜選択すればよい。正方形樹脂基材(4)の形状も平板状、立体形状、中空形状、リブ形状など自由に選択が可能である。
【0026】
さらに、各種形に押出したあとに、テノーナーやルーター加工して合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)を形成してもよい。
【0027】
本発明の正方形樹脂基材(4)の表面にラミネートする化粧シート(3)を構成する熱可塑性樹脂にも必要に応じて、前述した熱可塑性樹脂の場合と同様の各種の添加剤の1種以上を添加することができる。
【0028】
前記化粧シート(3)の具体的構成については特に制限されるものではなく、例えば透明または着色シートの表面に絵柄の印刷を施した単層化粧シート、着色シートの表面に絵柄の印刷を施し該印刷面にクリアーシートを例えばドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法などによって貼り合わせた複層化粧シート、透明シートの裏面に絵柄の印刷を施したバック刷り単層化粧シートなどから、用途に応じて適宜選択が可能である。なお、複層化粧シートの場合には、その各層を構成する熱可塑性樹脂としては、前記木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)及び合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)に用いた熱可塑性樹脂と同種または同系の異種のものを使用するのが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、適用可能である。
【0029】
該化粧シート(3)に施される印刷絵柄の意匠の種類は特に制限されるものではなく、例えば木目、石目、布目、抽象柄などから任意に選択可能であるが、特に木目意匠の化粧シートを採用すると、化粧板の切断・切削加工により露出する木口の木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)との違和感がなく、また印刷インキが木質材と同系色であるから、リサイクル時に合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の色調変化の問題がないので、本発明の目的には最も望ましいものと言える。
【0030】
このとき、着色シートの採用及び/または隠蔽ベタ印刷層の形成などにより、化粧シート(3)に十分な隠蔽性がある場合には、安定した意匠の再現が達成される利点があるが、一方逆に、化粧シート(3)が透明性を有する場合には、化粧シート(3)を透して木質系充填剤を含む合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の表面が見えることから、合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)の木質感を生かした意匠表現が可能になる利点がある。
【0031】
前記化粧シート(3)への意匠絵柄の印刷に用いる印刷インキのバインダーとしては、例えば硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。中でも最も一般的なものはイソシアネート化合物からなる硬化剤で硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂系の印刷インキであり、特にポリオレフィン系樹脂への接着性に優れている。
【0032】
これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、フタロシアニン、カーボンブラック、コバルトブルー、酸化チタン、酸化鉄、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料等がある。
【0033】
意匠絵柄の印刷方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法、転写印刷法等の従来公知の適宜の印刷法を用いることができる。また隠蔽ベタ印刷層等のようなベタ層を併用する場合には、例えばグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ロッドコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、フローコート法、ディップコート法等の塗工方法を用いることもできる。
【0034】
また、意匠絵柄の印刷の前に必要に応じて、被印刷シートの印刷面に例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、プライマーまたはアンカー処理等の表面処理を施して、印刷インキとの接着性を向上させておくこともできる。
【0035】
また、いずれの化粧シート(3)においても、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)への貼り合わせのためのプライマーコートが裏面に施されていたり、表面保護や艶調整のためのトップコートや、エンボス法、ワイピング法、グロスマット法等による導管表現等が表面に施されていてもかまわない。
【0036】
本発明の正方形樹脂基材(4)において、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)と化粧シート(3)との積層方法については、特に限定されることはなく、成形体の形状によって適当な積層方法を選択することができる。例えば平板状であれば、平板状の木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)の表面及び/または化粧シート(3)の裏面に接着剤を塗布し
、ロールで貼り合わせるロールラミネート法など、異形押出成形などの長手方向に同じ形状をとる成形体であればラッピング加工法など、複雑な三次元面を有する成形体であれば真空プレスラミネート法などが利用できるが、ラッピング法が長い基材や生産性等で利点がある。1液湿気硬化型接着剤を120℃、20g/m2程度塗布してラッピング法を行うことができる。
【0037】
基材の反りなどを考慮する場合には、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)の裏面に、透湿抵抗の高い、紙基材とポリエチレン樹脂シーとを貼り合わせて防湿性を持たせたシート貼り合わせたり、または、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)に背割りを入れるといった方法をとればよい。
【0038】
耐キャスター等の耐傷性を求めるのであれば、木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)と該シートの間にバッカー材として合成樹脂等を挟み込んでもよい。バッカー等の厚みは概ね0.2mm〜0.5mmであればよい。
【0039】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0040】
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ホモポリプロピレン樹脂10重量部、木質系充填剤(木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径20μmの木粉)100重量部を2軸押出混練機によって混合、ペレット化して、木質樹脂組成物を作製した。この木質樹脂組成物を異形押出成形法にて、形状として合成樹脂製の実部(嵌合部)(1)をもつ木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)を作製した。
【0041】
一方、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して製膜した厚さ100μmの着色ポリプロピレンシートに、2液硬化型ウレタン樹脂系印刷インキを使用してグラビア印刷法により木目の意匠絵柄を印刷形成し、該印刷面にエクストルージョンラミネート法にて透明なホモポリプロピレン樹脂を厚さ100μmに積層すると同時に木目導管形状のエンボスを施し、該表面にトップコート、裏面にプライマーコートをそれぞれ施して、ポリオレフィン系樹脂を主体とする化粧シート(3)を作製した。
【0042】
しかる後、前記木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材(2)の表面に、ラッピング加工法により、前記化粧シート(3)を貼り合わせて、本発明の正方形樹脂基材(4)を作製した。<性能評価>
24mm厚の構造用合板上に、実施例1の正方形樹脂基材(4)をアクリル樹脂系エマルジョン接着剤(「ボンドCK51」;コニシ株式会社製)を用いて施工した。その後、メンテナンスの評価として、一枚交換を評価した。また、環境試験として、寒熱繰返し試験(5℃ 24時間、40℃ 24時間を10回繰り返した)を実施した。
<施工性>
実施例1は、容易に位置合せができた。また、一回嵌合させると嵌合が外れることがなく、次々と嵌合でき、作業スピードもよかった。
<1枚交換>
1枚交換する際には、実部(嵌合部)のサネを切る必要があるが、合成樹脂系の実部(嵌合部)をもつ、実施例1は、カッターにて容易にサネを切ることができた。
<寒熱繰返し試験>
実施例1は、床材の収縮はあるものの、大きな変化はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る正方形樹脂基材の1実施例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は本発明に係る正方形樹脂基材の実部に水平面に単数の切欠きを入れた1実施例を示す部分拡大側断面図であり、 図2(b)は本発明に係る正方形樹脂基材の実部の単数の切欠きを開いた状態を示す部分拡大側断面図である。
【図3】本発明に係る正方形樹脂基材の単数の切欠きを入れた実部同士を嵌合させた状態を示す部分拡大側断面図である。
【図4】本発明に係る正方形樹脂基材の実部に水平面に複数の切欠きを入れたその他の実施例を示す部分拡大側断面図である。
【図5】本発明に係る正方形樹脂基材の複数の切欠きを入れた実部同士を嵌合させた状態を示す部分拡大側断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・合成樹脂製の実部(嵌合部)
2・・・木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材
3・・・化粧シート
4・・・正方形樹脂基材
11・・・複数の切欠き
12・・・単数の切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材からなる外形が略正方形の板状体の四方に実部を有する正方形樹脂基材において、前記正方形樹脂基材の四方の実部に水平面に単数の切欠きを入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材。
【請求項2】
木粉樹脂含有熱可塑性樹脂基材からなる外形が略正方形の板状体の四方に実部を有する正方形樹脂基材において、前記正方形樹脂基材の四方の実部に水平面に複数の切欠きを入れておくことを特徴とする正方形樹脂基材。
【請求項3】
前記正方形樹脂基材を回転させ切欠き同士を嵌合させることを特徴とする請求項1又は2記載の正方形樹脂基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−207170(P2006−207170A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17826(P2005−17826)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】