説明

歩行型草刈り機

【課題】 地面の状況にかかわらず草の刈り過ぎや刈り残しを無くすことができる歩行型草刈機の提供。
【解決手段】 クローラ11による走行駆動部1の前側に、昇降機構5により昇降可能な刈取部3を備えた歩行型草刈り機において、刈取部3が走行駆動部1に対しローリング軸受け機構6を介してセンターローリング可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取部の昇降機構及びローリング機構を備えた歩行型草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取部の昇降機構を備えた歩行型草刈り機は、特許文献1に記載のように既に公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−167131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、歩行型草刈機においては、刈取部が走行駆動部に対し一体的に固定された構造であったため、以下に述べるような問題があった。
すなわち、刈取部が走行駆動部に対し一体的に固定されているため特に平坦でない地面の草刈作業を行ったとき、刈り過ぎや刈り残しが生じ、刈跡が著しく悪くなるという問題点があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、地面の状況にかかわらず草の刈り過ぎや刈り残しを無くすことができる歩行型草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、駆動輪による走行駆動部の前側に、昇降機構により昇降可能な刈取部を備えた歩行型草刈り機において、
前記刈取部が走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結されていることを特徴とする手段とした。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記走行駆動部の前側には先端側に左右一対のキャスターを備えた支持フレームが走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結され、
前記刈取部は支持フレームに対し昇降機構を介して昇降自在に吊下されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明では、上述のように、刈取部が走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結されている構成としたことで、特に地面が横方向にうねっている場合でも、刈取部を地面に沿って常に平行状態を維持させることができる。
これにより、地面の状況にかかわらず草の刈り過ぎや刈り残しを無くすことができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、上述のように、走行駆動部の前側には先端側に左右一対のキャスターを備えた支持フレームが走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結され、刈取部は支持フレームに対し昇降機構を介して昇降自在に吊下されている構成としたことで、両キャスターにより、刈取部を地面に沿って常に平行状態を安定して維持させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の歩行型草刈機の全体を示す平面図である。
【図2】実施例の歩行型草刈機の全体を示す正面図である。
【図3】実施例の歩行型草刈機の全体を示す背面図である。
【図4】実施例の歩行型草刈機の全体を示す右側面図である。
【図5】実施例の歩行型草刈り機を示すカバーの一部を外した状態の平面図である。
【図6】図5において刈取部を横方向いっぱいにスライドさせた状態を示す平面図である。
【図7】実施例の歩行型草刈り機を示すカバーの一部を外した状態の斜視図である。
【図8】図7において刈取部を横方向いっぱいにスライドさせた状態を示す斜視図である。
【図9】実施例の歩行型草刈り機における刈取部を上昇させた状態を示すカバーを外した状態の側面図である。
【図10】図9における刈取部を下降させた状態を示す側面図である。
【図11】実施例の歩行型草刈り機における刈取部側を正面から見て時計方向にローリングさせた状態を示す正面図である。
【図12】実施例の歩行型草刈り機における刈取部側を正面から見て反時計方向にローリングさせた状態を示す正面図である
【図13】スライドロック機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図14】遠隔操作機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図15】スロットルレバー連動機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図16】刈刃クラッチレバー連動機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図17】刈刃への動力伝達構造を示す斜視図である。
【図18】刈刃への動力伝達構造を示す正面図である。
【図19】図18のS19−S19線における縦断側面図である。
【図20】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す平面図である。
【図21】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す縦断側面図である。
【図22】カムプレートを示す斜視図である。
【図23】走行段階プレートを示す斜視図である。
【図24】実施例2の歩行型草刈機の全体を示す平面図である。
【図25】実施例2の歩行型草刈機の全体を示す正面図である。
【図26】実施例2の歩行型草刈機の全体を示す背面図である。
【図27】実施例2の歩行型草刈機の全体を示す右側面図である。
【図28】実施例2の歩行型草刈り機を示すカバーの一部を外した状態の平面図である。
【図29】図28において刈取部を横方向いっぱいにスライドさせた状態を示す平面図である。
【図30】実施例2の歩行型草刈り機を示すカバーの一部を外した状態の斜視図である。
【図31】図30において刈取部を横方向いっぱいにスライドさせた状態を示す斜視図である。
【図32】実施例2の歩行型草刈り機における刈取部を上昇させた状態を示すカバーを外した状態の側面図である。
【図33】図32における刈取部を下降させた状態を示す側面図である
【図34】実施例2の歩行型草刈り機における刈取部側を正面から見て時計方向にローリングさせた状態を示す正面図である。
【図35】実施例2の歩行型草刈り機における刈取部側を正面から見て反時計方向にローリングさせた状態を示す正面図である。
【図36】スライドロック機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図37】刈刃クラッチレバー連動機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図38】手動ハンドルにより昇降機構の遠隔操作機構の詳細及び作動を示す説明図である。
【図39】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す斜視図である。
【図40】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す平面図である。
【図41】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す側面図である。
【図42】デッドマンクラッチレバーと走行レバーとの関係を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、この実施例1の歩行型草刈り機を図面に基づいて説明する。
この歩行型草刈り機は、クローラ(駆動輪)11による走行駆動部1と、先端側に左右一対のキャスター21、21を備えた支持フレーム2と、刈刃31を備えた刈取部3と、横スライド機構4と、昇降機構5と、ローリング軸受け機構6と、ロック機構7と、昇降機構5の遠隔操作機構8と、ハンドル9と、を主な構成として備えている。
【0013】
さらに詳述すると、図7、8に示すように、クローラ11による走行駆動部1にはエンジン12、エンジン12と直結されたトランスミッション13などを備え、この走行駆動部1の上部に操舵などの操作を行うハンドル9が設けられている。
【0014】
支持フレーム2は、走行駆動部1に対しローリング軸受け機構6を介してローリング自在に連結されている。
このローリング軸受け機構6は走行駆動部1側のローリング軸受け61と、ローリング軸受け61に対しローリング可能に連結された支持フレーム2側のローリング軸62とで構成されている。
このローリング軸受け機構6により、横方向にうねった地面においても、図11、12に示すように、走行駆動部1に対し支持フレーム2がローリングすることで、刈取部3が常に地面と平行状態に維持される。
そして、支持フレーム2は、ローリング軸受け機構6におけるローリング軸62に対し横スライド機構4を介して横方向スライド可能に連結されている。
この横スライド機構4により、例えば、果樹園の低い枝の下や、壁際など、走行駆動部1を含む草刈り機の車体が入れない場合でも、図6、8に示すように、走行駆動部1に対し、支持フレーム2を横スライドさせることで、車体が入れない場所の草刈りが可能になる。
【0015】
横スライド機構4は、ローリング軸62の前後に平行状態で備えた前後2本のレールガイド62a、62bに沿って横スライド可能となっている。
また、この横スライド機構4には、スライドロック及び解除を行うロック機構7を備えている。
このロック機構7は、図13に示すように、レールガイド62bに備えたスライドロックピン71、71のいずれか一方に対し、支持フレーム2側に備えたスライドロックアーム72に備えた係合部72aを係合させることにより、支持フレーム2の横スライドがロックされるようになっている。
すなわち、スライドロックアーム72は、付勢手段(コイルスプリング)74により常時スライドロックピン71に係合する方向に付勢されることにより、支持フレーム2の横スライドがロックされるようになっている。
また、図13(ロ)に示すように、操作レバー73の回動操作により複数の伝動リンク機構75を介してスライドロックアーム72を付勢手段74の付勢力に抗して回転支軸72bを中心に回動させることにより、スライドロックピン71に対する係合部72aの係合状態が解除され、これにより、横スライドが可能になる。
なお、スライドロックピン71は、スライド前の位置と、最大にスライドさせた位置に設けられている。
【0016】
刈取部3は、支持フレーム2に対し昇降機構5を介して昇降自在に吊下された状態で設けられている。
この昇降機構5は、図9、10に示すように、支持フレーム2と刈取部3との間に設けられた上下方向において平行な平行リンク5a、5bで構成されるリンク機構51を備え、上側のリンク5aをワイヤー5cを介して上下方向に回動させることにより、刈取部3の地面からの高さ調整が行われるようになっている。
【0017】
また、昇降機構5は、走行駆動部1側における操縦者の足下に備えた遠隔操作機構8により、刈取部の刈り高さ調整及びロックとロック解除が行えるようになっている。
すなわち、この遠隔操作機構8は、図14(イ)〜(ハ)に示すように、調整ラッチ爪81と、刈り高さロックペダル82と、刈り高さ調整ペダル83を備える。
調整ラッチ爪81の外周には複数の係止爪81aを備え、回転支軸81bから突出するアーム81cの先端にワイヤー5cの他端が連結されている。
【0018】
刈り高さロックペダル82は、回転支軸82aより先端側に備えたロックピン82bが調整ラッチ爪81の係止爪81aに常時係合する方向にコイルスプリング(付勢手段)82cにより付勢されている
刈り取り高さ調整ペダル83は、回転支軸83aより先端側に係合ピン83bが備えられ、刈り高さ調整ペダル82を踏み込む度に係合ピン83bが調整ラッチ爪81の係止爪81aに係合して調整ラッチ爪を1段ずつ回転させる。これにより、調整ラッチ爪81のアーム81cが回転してワイヤー5cを引いて刈取部3を1段ずつ上昇させるように構成されている。
なお、刈り高さ調整ペダル82の踏み込みで調整ラッチ爪81が回転する度に、刈り高さロックペダル82がコイルスプリング82cの付勢力に抗して回動し、ロックピン82bが次の係止爪81aに係合してロックするようになっている。
そして、刈り高さロックペダル82をコイルスプリング82cの付勢力に抗して下方へ踏み込むことにより、調整ラッチ爪81の係止爪81aからロックピン82bの係合状態が解除され、調整ラッチ爪81のロック状態が解除されるため、刈取部3の自重でワイヤー5cが刈取部3側へ引き戻され、これにより、刈り高さ調整ペダル83が元の位置まで上昇する。
【0019】
刈刃31の回転は、図17〜19に示すように、走行駆動部1側からの出力軸であるPTO軸14から伝動軸32を介して刈取部3の上面に備えたベベルギヤ機構33に伝達され、伝動軸32で伝達された水平方向の回転動力をベベルギヤ機構33により刈取部3の下面に備えた刈刃31の縦軸回転に変換して伝達される。
そして、伝動軸32は、PTO軸14に対してユニバーサルジョイント34を介して連結される筒状の第1軸部32aと、ベベルギヤ機構33の入力軸33aに対してユニバーサルジョイント35を介して連結される棒状の第2軸部32bで構成され、第1軸部32aと第2軸部32bとはスプライン結合により相対回転不能、かつ軸方向長さを伸縮可能に構成されている。
すなわち、伝動軸32の伸縮作用とユニバーサルジョイント34、35の屈曲作用により、走行駆動部1及び支持フレーム2に対する刈取部3の昇降動作と、走行駆動部1に対する支持フレーム2及び刈取部3の横スライド動作が可能となっている。
なお、刈取部3の左右には、上方へ大きく開く刈刃カバー36、37を備え、これにより、清掃やメンテナンスが容易に行えるようになっている。
【0020】
ハンドル9は、高さ調整可能であり、図4〜7に示すように、そのグリップ91には、操作パネル92を備えている。
そして、グリップ部91にはデッドマンクラッチレバー93を備え、操作パネル92には、スロットルレバー94と、刈刃クラッチレバー95と、前進・中立・後進操作を行う走行レバー96を備えている。
【0021】
走行レバー96の支点部96aは、図20〜23に示すように、両フレーム92a、92bを貫通する状態に備えた支軸96bに対し回転及び横スライド可能に支持されている。そして、支点部96aに備えたアーム96cに接続されたワイヤー96dを介して車両の速度調整が行われる。また、支点部96aには、走行段階プレート96eが備えられ、この走行段階プレート96eには後述の押さえピン93fが係合することで、走行レバー96の操作を段階的にロックする複数のロック溝96fが形成されている。
また、支点部96aは、コイルスプリング96gによりフレーム92b側に当接する方向に付勢されている。
また、走行レバー96は中立の位置に戻る方向に付勢手段で付勢されている。
【0022】
デッドマンクラッチレバー93は、図7、16に示すように、グリップ91の上部に併設されていて、グリップ91を握る際にこのデッドマンクラッチ93を同時に握った状態で走行レバー96を前進又は後進位置に操作することで、走行レバー96を操作した前進又は後進位置にロックされるようになっている。
すなわち、図20〜23に示すように、両フレーム92a、92b間に備えた支軸93bにデッドマンクラッチレバー93の支点部93cが回転及び横スライド可能に支持され、この支点部93cにはカムプレート93dが取り付けられ、支点部93cと同軸状のフレーム92aにもカムプレート93eが固定されている。この両カムプレート93d、93eは、図20、22に示すように、その対向面に、互いに係合する回転方向に傾斜面を有する3本の爪が突設され、グリップ91を握る際にデッドマンクラッチレバー93を下方へ押し下げると、図20に示すように、カムプレート93dが回転することでお互いの爪の傾斜により、デッドマンクラッチレバー93全体が矢印方向に押し出される。この時、デッドマンクラッチレバー93の支点部93cに備えたロックピン93fも同時に矢印方向に押し出され、このロックピン93fが走行段階プレート96fのロック溝96fに係合して走行レバー96が中立位置にロックされる。
【0023】
この状態から走行レバー96を前進または後進方向に操作すると、コイルスプリング96gの付勢力に抗してロックピン93fが係合するロック溝96fの位置が移動され、走行レバー96が所定の走行・速度位置にロックされる。
また、このロック状態からデッドマンクラッチレバー93の押さえを開放すると、ロック溝96fに対するロックピン93fのロック状態が解除されるため、付勢手段の付勢力で走行レバー93が中立位置に復帰する。
【0024】
スロットルレバー94は、図15に示すように、ワイヤー94aを介してエンジン側スロットルレバー(図示省略)に接続されていて、スロットルレバー94を図15(ロ)に示すように、前側に倒すことによりスロットル開度を開いて走行速度が速くなる。
刈刃クラッチレバー95は、前側に倒すことで図示を省略した連携機構を介してクラッチが入り、刈刃31の回転を開始する。
【0025】
ところが、この実施例では、刈刃クラッチレバー95とスロットルレバー94とがスロットル連動アーム95a、94bを介して連結され、刈刃クラッチレバー95が図15(イ)に示すように、OFF状態では、スロットルレバー94を単独操作可能であるが、図15(ロ)に示すように、刈刃クラッチレバー95を前側に倒してON状態にすると、スロットルレバー94が連動して前側に倒され、スロットルON状態にするスロットル連動機構Bを備える。
すなわち、図15(イ)に示すように、刈刃クラッチレバー95がOFF状態では、刈刃クラッチレバー95の中途部に連結された第2スロットル連動アーム95aの先端側に備えた係合ピン95bが第1スロットル連動アーム94aの先端であるスロットルレバー94の中途部に備えたスライド溝94cの一端に係合することで、刈刃クラッチレバー95の前側への回動操作に連動してスロットルレバー94も前側に倒されてスロットルON状態になるが、刈刃クラッチレバー95がOFF状態ではスライド溝94cにより係合ピン95bの係合状態が解除される方向であるため、スロットルレバー94の単独操作が可能になる。
なお、スロットルのONとはスロットル開度を開く方向で、OFFとはスロットル開度を閉じる方向を意味する。
【0026】
また、刈刃クラッチレバー95は、図16に示すように、走行駆動部1のPTOクラッチ(図示省略)につながっているワイヤー95cを支点越え機構95dを介して引っ張ることで、刈刃クラッチのON・OFF操作が行われる。
刈刃クラッチレバー95の回転支軸部95eにはレバー戻しアーム95fが備えられ、デッドマンクラッチレバー93には図16(ロ)に示すように、刈刃クラッチレバー95を前側いっぱいに倒した状態でレバー戻しアーム95fに当接するレバー戻しバー93aが設けられている。このため、図16(イ)に示すように、グリップ部91から手を離すことで、デッドマンクラッチレバー93をON状態からOFF状態に切り替わると、レバー戻しバー93aがレバー戻しアーム95fを上方へ押し上げ、刈刃クラッチレバー95をOFF状態にすることができる連動機構Cを備えている。
【0027】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1では、上述のように、刈取部3が走行駆動部1に対しローリング軸受け機構6を介してセンターローリング可能に連結されている構成としたことで、特に地面が横方向にうねっている場合でも、刈取部3を地面に沿って常に平行状態を維持させることができる。
これにより、地面の状況にかかわらず草の刈り過ぎや刈り残しを無くすことができる。
【0028】
また、上述のように、走行駆動部1の前側には先端側に左右一対のキャスター21、21を備えた支持フレーム2が走行駆動部1に対しローリング軸受け機構6を介してセンターローリング可能に連結され、刈取部3は支持フレーム2に対し昇降機構5を介して昇降自在に吊下されている構成としたことで、両キャスター21、21により、刈取部3を地面に沿って常に平行状態を安定して維持させることができるようになる。
【0029】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0030】
この実施例2は、実施例1における装置の変形例を示すものであり、以下に列挙する点で、前記実施例1とは相違したものである。
【0031】
先ず、図24、25、30等に示すように、従動輪である前輪が左右一対のキャスター21、21から中央1つのキャスター21に変更されている点で実施例1とは相違する。
【0032】
また、図32、33に示すように、昇降機構5の遠隔操作機構8が刈高さロックペダル82と刈高さ調整ペダル83による足踏み式から、手動回転ハンドル84による手動式に変更されている点で、前記実施例1とは相違する。
【0033】
即ち、この実施例2の遠隔操作機構8は、図38に示すように、手動回転ハンドル84とワイヤー5c が巻かれた動滑車85とを備え、滑車車85は、一端が昇降機構5に連結され他端がハンドル9部付近の支持フレームに連結されたワイヤー5c のハンドル9部側において巻架され、手動回転ハンドル84は、ハンドル9部側の支持フレーム2に固定されていて、手動回転ハンドル84の先端回転部である雄ねじ部84a と滑車車85のアーム86の雌ねじ部86a との間が螺結合された構成となっている。
【0034】
従って、手動回転ハンドル84を時計方向に回転操作することにより、動滑車85を引き上げる方向に作用し、それに伴いワイヤー5c が引かれ、刈取部3を上げる方向に昇降機構5を遠隔操作することができる。また、手動回転ハンドル84を反時計方向に回転操作することにより、動滑車85を下げる方向に作用し、それに伴いワイヤー5c が緩み、刈取部3の自重で、刈取部3を下げる方向に昇降機構5を遠隔操作することができる。
以上のように、手動ハンドル84を回すことで、昇降機構5による刈取部3の刈高さ調整を無段階に遠隔操作することができる。
【0035】
また、横スライド機構4には、実施例1と同様に、スライドロック及び解除を行うロック機構7を備えている。
このロック機構7は、図36(イ)に示すように、レールガイド62bに備えたスライドロックピン71、71のいずれか一方に対し、支持フレーム2側に備えたスライドロックアーム72に備えた係合部72aを係合させることにより、支持フレーム2の横スライドがロックされるようになっている点は、上記実施例1と同様である。
【0036】
すなわち、スライドロックアーム72は、付勢手段(コイルスプリング)74により常時スライドロックピン71に係合する方向に付勢されることにより、支持フレーム2の横スライドがロックされるようになっている。
【0037】
また、図36(ロ)に示すように、操作レバー73を上方へ回動操作してスライドロックアーム72を付勢手段74の付勢力に抗して回転支軸72bを中心に回動させることにより、スライドロックピン71に対する係合部72aの係合状態が解除され、これにより、横スライドが可能な状態になる。そこで、図36(ハ)に示すように、最大に横スライドさせた状態で操作レバー73の操作を解除することにより、付勢手段の付勢力により別のスライドロックピン71に係合してロック状態となる。
【0038】
なお、スライドロックピン71は、スライド前の位置と、最大にスライドさせた位置に設けられている。
【0039】
また、刈刃クラッチレバー95は、刈刃クラッチレバー95は、図37に示すように、走行駆動部1のPTOクラッチ(図示省略)につながっているワイヤー95cを支点越え機構95dを介して引っ張ることで、刈刃クラッチのON・OFF操作が行われる。
また、刈刃クラッチレバー95の回転支軸部95eにはレバー戻しアーム95fが備えられ、デッドマンクラッチレバー93には図37(ロ)に示すように、刈刃クラッチレバー95を前側いっぱいに倒した状態でレバー戻しアーム95fに当接するレバー戻しバー93aが設けられている。このため、図37(イ)に示すように、グリップ部91から手を離すことで、デッドマンクラッチレバー93をON状態からOFF状態に切り替わると、レバー戻しバー93aがレバー戻しアーム95fを上方へ押し上げ、刈刃クラッチレバー95をOFF状態にすることができる連動機構Cを備えている。
【0040】
また、デッドマンクラッチレバー93は、グリップ91の上部に併設されていて、グリップ91を握る際にこのデッドマンクラッチ93を同時に握った状態で走行レバー96を前進又は後進位置に操作することで、走行レバー96を操作した前進又は後進位置にロックされるようになっている点は上記実施例1と同様であるが、実施例1では走行レバー96のロックが多段階であるのに対し、この実施例2では無段階である点で相違している。
【0041】
この実施例2では、先ず、図39〜43に示すように、走行レバー96の支点部93cが、カムプレート93eが固定された支軸93bに対し、デッドマンクラッチレバー93の支点部93cと同軸上に配置されている点が実施例1とは基本的に相違している。
即ち、両フレーム92a、92b間に備えた支軸93bに走行レバー96の支点部96bが回転可能に取り付けられると共に、支点部96bの一端部に摩擦板96hを備えた円形プレート96jを備えている。
【0042】
一方、デッドマンクラッチレバー93の支点部93cにはカムプレート93dが取り付けられ、支点部93cと同軸状のフレーム92aにもカムプレート93eが固定されている。この両カムプレート93d、93eは、その対向面に、互いに係合する回転方向に傾斜面を有する3本の爪が突設されている(図22参照)。
また、摩擦板96hと対面するデッドマンクラッチレバー93の支点部93cには円形プレート93gを備えている。
そして、デッドマンクラッチレバー93の支軸93cは、支軸93bに対しカムプレート93d及び円形プレート93gと共に回転及び横スライド可能に支持されている。
なお、図において93hは、デッドマンクラッチレバー93を押し上げる方向に引き戻すコイルスプリング、96kは、皿ばねである。
【0043】
この実施例2では、上述のように構成されるため、グリップ91を握る際にデッドマンクラッチレバー93を下方へ押し下げると、図41に示すように、カムプレート93dが回転することでお互いの爪の傾斜により、カムプレート93d及び円形プレート96hと共にデッドマンクラッチレバー93全体が矢印方向に押し出されるため、円形プレート96hが摩擦板96hに押し付けられた状態となり、これにより、走行レバー96が中立位置にロックされた状態になる。
【0044】
この状態から走行レバー96を前進または後進方向に操作すると、円形プレート96hと摩擦板96hとの間の摩擦抵抗に抗して走行レバー96を無段階に変更操作することができる。
また、このロック状態からデッドマンクラッチレバー93の押さえを開放すると、円形プレート96hと摩擦板96hとの間の摩擦抵抗が解除されるため、付勢手段の付勢力で走行レバー93が中立位置に復帰する。
【0045】
また、刈刃クラッチレバー95とスロットルレバー94との連動機構を備えてない点で、前記実施例1とは主に相違したものである。
【0046】
従って、この実施例2では、実施例1とほぼ同様の効果が得られる
【0047】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 走行駆動部
11 クローラ(駆動輪)
12 エンジン
13 トランスミッション
14 PTO軸
2 支持フレーム
21 キャスター
3 刈取部
31 刈刃
32 伝動軸
32a 第1軸部
32b 第2軸部
33 ベベルギヤ機構
33a 入力軸
34 ユニバーサルジョイント
35 ユニバーサルジョイント
36 刈刃カバー
37 刈刃カバー
4 横スライド機構
5 昇降機構
5a 上側のリンク
5b 下側のリンク
5c ワイヤー
51 リンク機構
6 ローリング軸受け機構
61 ローリング軸受け
62 ローリング軸
62a レールガイド
62b レールガイド
7 ロック機構
71 スライドロックピン
72 スライドロックアーム
72a 係合部
72b 回転支軸
73 操作レバー
74 コイルスプリング(付勢手段)
75 伝動リンク
8 遠隔操作機構
81 調整クラッチ爪
81a 係止爪
81b 回転支軸
81c アーム
82 刈り高さロックペダル
82a 回転支軸
82b ロックピン
83 刈り高さ調整ペダル
83a 回転支軸
83b 係合ピン
84 手動回転ハンドル(遠隔操作機構)
84a 雄ねじ部
85 滑車車(遠隔操作機構)
86 アーム
86a 雌ねじ部
9 ハンドル
91 グリップ
92 操作パネル
92a フレーム
92b フレーム
93 デッドマンクラッチレバー
93a レバー戻しバー
93b 支軸
93c 支点部
93d カムプレート
93e カムプレート
93f ロックピン
93g 円形プレート
93h コイルスプリング
94 スロットルレバー
94a ワイヤー
94b 第2スロットル連動アーム
94c スライド溝
95 刈刃クラッチレバー
95a 第1スロットル連動アーム
95b 係合ピン
95c ワイヤー
95d 支点越え機構
95e 回転支持部
95f レバー戻しアーム
96 走行レバー
96a 支点部
96b 支軸
96c アーム
96d ワイヤー
96e 走行段階プレート
96f ロック溝
96g コイルスプリング
96h 摩擦板
96j 円形プレート
96k 皿ばね
B スロットル連動機構
C 刈刃クラッチ連動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪による走行駆動部の前側に、昇降機構により昇降可能な刈取部を備えた歩行型草刈り機において、
前記刈取部が走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結されていることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の歩行型草刈り機において、
前記走行駆動部の前側には先端側に左右一対のキャスターを備えた支持フレームが走行駆動部に対しローリング軸受け機構を介してセンターローリング可能に連結され、
前記刈取部は支持フレームに対し昇降機構を介して昇降自在に吊下されていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−99326(P2013−99326A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226290(P2012−226290)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(390005234)株式会社筑水キャニコム (21)
【Fターム(参考)】