説明

歩行補助装置

【課題】歩行者が煩わしい操作を行うことなく着座することができる歩行補助装置を提供する。
【解決手段】歩行補助装置1では、通常歩行モードから着座モードへの移行が指示されると、荷室ユニット6の荷室本体14が水平を維持した状態で、荷室本体14の底面に設けられた各接地脚15が地面に接地するように、ホイールベース調整モータによって各サブフレーム4a,4bを各メインフレーム3a,3bに対して開くように回動させて、前側車輪7a及び後側車輪7cの中心間距離(ホイールベース)を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手押し車型の歩行補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手押し車型の歩行補助装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、歩行者によって握られるハンドル部分にブレーキを有し、主フレームの前部に歩行者が着座できる座部が備えられた歩行補助車が知られている。
【特許文献1】特開2001−224642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の手押し車型の歩行補助車では、歩行者が着座する際に、歩行補助車を安定させるために車輪を固定するブレーキ操作を行う必要があり、歩行者にとっては煩わしい操作であった。また、歩行者によって車輪を固定するブレーキ操作が行われる構成においては、歩行者がブレーキ操作をし忘れることが考えられる。この場合、例えば勾配がある場所においては、車輪が固定されない状態で歩行者が着座すると転倒等の可能性がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、歩行者が煩わしい操作を行うことなく着座することができる歩行補助装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、歩行者が握るハンドルを有する一対のメインフレームと、各メインフレームから後側に向けて延びる一対のサブフレームと、各サブフレームを各メインフレームに対して回動自在に連結する一対のジョイント部と、各メインフレームの下端に設けられた一対の前側車輪と、各サブフレームの下端に設けられた一対の後側車輪と、一対の前側車輪及び一対の後側車輪をそれぞれ独立に回転駆動させる複数の駆動部と、各サブフレームを各メインフレームに対して回動させて、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を調整するホイールベース調整手段と、サブフレームの回動動作を指示する指示手段と、ジョイント部から吊り下げられて設けられた荷室ユニットと、を備え、荷室ユニットは、歩行者が着座する着座面を有する荷室本体と、荷室本体の底面に設けられ、地面に接地される複数の接地脚と、地面に対する荷室本体の傾斜角度を検出する角度検出手段と、を有し、ホイールベース調整手段は、指示手段によりサブフレームの回動動作が指示されると、角度検出手段によって検出された荷室本体の傾斜角度に基づいて、荷室本体が水平を維持した状態で接地脚が地面に接地されるように、サブフレームをメインフレームに対して回動させて、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を大きくすることを特徴とする。
【0006】
本発明に係わる歩行補助装置においては、通常歩行時の状態から、指示手段によりサブフレームの回動動作が指示されると、荷室ユニットの荷室本体が水平を維持した状態で各接地脚が地面に接地するように、ホイールベース調整手段によって各サブフレームを各メインフレームに対して回動させて、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を大きくする。これにより、例えばボタン押下等の簡単な指示操作によって、歩行者が荷室本体を着座可能な水平状態にすることができるので、ブレーキ操作等の煩わしさを解消することができる。また、各接地脚が地面に接地されることで、荷室ユニット、ひいては歩行補助装置が確実に固定されて安定性を確保することができるので、安全性の向上を十分に図ることができる。
【0007】
また、好ましくは、ホイールベース調整手段は、角度検出手段によって検出された傾斜角度が予め設定された閾値よりも小さい場合に、荷室本体が水平を維持した状態で接地脚が地面に接地されるように、サブフレームをメインフレームに対して回動させて、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を大きくする。この場合には、例えば坂道等の傾斜角度が大きい場合には、ホイールベース調整手段が動作しないので、歩行者の着座が困難な場所での動作が防止されることになる。これにより、歩行補助装置の転倒等を防止することができ、歩行者の安全性をより確保することができる。
【0008】
また、好ましくは、角度検出手段によって検出された傾斜角度に基づいて、荷室本体が水平を維持するように、各接地脚の長さを独立に制御する接地脚制御手段を更に備える。この場合、多少勾配がある場所であっても、各接地脚の長さを独立に調整することで、荷室本体の水平を確実に維持するように地面に接地脚を接地させることができる。
【0009】
また、好ましくは、ホイールベース調整手段は、接地脚が地面に接地された状態において指示手段によりサブフレームの回動動作が指示された場合には、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を小さくするように、サブフレームをメインフレームに対して回動させる。この場合、荷室ユニットが傾斜した状態で上方に持ち上げられるので、荷室ユニットに着座している歩行者も同時に上方に持ち上げられ、歩行者の立ち上がり動作の補助を行うことができる。
【0010】
また、好ましくは、歩行者の肘が載置される肘掛部と、肘掛部に加えられる押し力を検出する押し力検出手段と、を更に備え、ホイールベース調整手段は、押し力検出手段によって検出された押し力が予め設定された閾値よりも大きい場合には、前側車輪及び後側車輪の中心間距離を小さくするように、サブフレームをメインフレームに対して回動させる。この場合、歩行者が荷室ユニットに着座している状態から、肘掛部に肘をついて立ち上がることで、肘掛部に十分な押し力が加えられるため、ホイールベース調整手段の動作指示を行うことができる。これにより、余計な操作をしなくとも、歩行補助装置を立ち上がりの動作に移行させ、歩行者の立ち上り動作を補助することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の歩行補助装置によれば、歩行者が煩わしい操作を行うことなく着座することができる。これにより、歩行者の利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係わる歩行補助装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係わる歩行補助装置の第1実施形態の外観を示す斜視図である。同図において、歩行補助装置1は、歩行者の歩行を補助する電動手押し車である。歩行補助装置1は、歩行者が握るハンドル2を有するメインフレーム3a,3bと、サブフレーム4a,4bと、ジョイント部5a,5bと、荷室ユニット6と、メインフレーム3a,3b及びサブフレーム4a,4bに取り付けられた左右の車輪7a〜7dと、各車輪7a〜7dをそれぞれ独立に回転駆動させるインホイールモータ8a〜8d(図2参照)とから構成されている。
【0014】
ハンドル2は、メインフレーム3a,3bと一体に設けられている。ハンドル2には、歩行補助装置1の直進動作または旋回動作を指示操作するためのコントローラーバー9a,9bが前後方向に押し操作可能に設けられている。また、ハンドル2には、着座スイッチ11が設けられている。
【0015】
一対のメインフレーム3a,3bは、ハンドル2の両端から前側の斜め下方に向けて延びている。各メインフレーム3a,3bの先端(下端)には、一対の前側車輪7a,7bが回転自在に取り付けられている。また、メインフレーム3bには、立ち上りスイッチ12が設けられている。
【0016】
一対のサブフレーム4a,4bは、各メインフレーム3a,3bの略中央部分に設けられた各ジョイント部5a,5bから下方後側に向けて延びている。各サブフレーム4a,4bの先端(下端)には、一対の後側車輪7c,7dが回転自在に取り付けられている。
【0017】
一対のジョイント部5a,5bは、各メインフレーム3a,3bに対して各サブフレーム4a,4bを回動自在に連結している。各ジョイント部5a,5bには、各サブフレーム4a,4bをメインフレーム3a,3bに対して回動(開閉)させ、前側車輪7a,7b及び後側車輪7c,7dの中心間距離(以下、ホイールベースとする)を調整するホイールベース調整モータ13a,13b(図2参照)が設けられている。
【0018】
荷室ユニット6は、荷物が収納される部分であり、歩行者が着座可能な構造となっている。荷室ユニット6は、ボックス状の荷室本体14と、荷室本体14の底面に設けられた複数(本実施形態では4本)の接地脚15(図3参照)とを有している。荷室本体14の上面は、歩行者が着座する着座面14aとなっている。荷室ユニット6の内部には、角度センサ16、接地脚制御部17、ECU(Electronic Control Unit)18、及び電源部19(いずれも図2参照)が設けられている。
【0019】
図2は、歩行補助装置1の制御系を示すブロック図である。図2において、歩行補助装置1は、インホイールモータ8a〜8dと、右押し力センサ10aと、左押し力センサ10bと、着座スイッチ11と、立ち上りスイッチ12と、ホイールベース調整モータ13a,13bと、角度センサ16と、接地脚制御部17と、ECU18と、電源部19とを備えている。
【0020】
インホールモータ8a〜8dは、各車輪7a〜7dをそれぞれ独立に回転駆動させる回転駆動力を各々発生する電動モータである。
【0021】
右押し力センサ10a及び左押し力センサ10bは、歩行者によって押し操作されたコントローラーバー9a,9bの前後押し力をそれぞれ検出するセンサである。右押し力センサ10a、及び左押し力センサ10bの検出信号(操作信号)はECU18に送出される。
【0022】
着座スイッチ11は、歩行者が歩行補助装置1を通常走行モードから着座モードへと移行を指示するためのスイッチである。通常走行モードとは、歩行補助装置1が4輪で走行するモードである。また、着座モードとは、ホイールベースを大きくすることによって、荷室ユニット6が水平を維持した状態で各接地脚15が地面に接地され、歩行者が安定して着座面14aに着座することが可能なモードである。着座スイッチ11の着座モード指示信号はECU18に送出される。
【0023】
図3(a),(b)に、通常走行モード及び着座モードの歩行補助装置1の側面図を示す。図3(a)に示すように、通常走行モードでは、ホイールベースがL1に設定され、各接地脚15は地面に接地されない。一方、図3(b)に示すように、着座モードでは、ホイールベースがL1からL2へと間隔が大きく(L1<L2)なるようにサブフレーム4a,4bがメインフレーム3a,3bに対して開かれ、各接地脚15が地面に接地される。
【0024】
立ち上りスイッチ12は、歩行者が歩行補助装置1を着座モードから立ち上りモードへと移行を指示するためのスイッチである。立ち上りモードとは、着座モードの状態においてホイールベースを通常走行モードよりも小さくすることによって荷室ユニット6を上方に持ち上げ、歩行者の立ち上がり動作を補助するモードである。立ち上りスイッチ12の立ち上りモード指示信号はECU18に送出される。
【0025】
図4(a),(b)に、着座モード及び立ち上りモードの歩行補助装置1の側面図を示す。図4(a)に示すように、着座モードでは、各接地脚15が地面に接地されている。一方、立ち上がりモードでは、ホイールベースがL2からL3へと間隔が小さく(L2>L1>L3)なるようにサブフレーム4a,4bがメインフレーム3a,3bに対して閉じられ、荷室ユニット6の後部側が上方に持ち上がるように荷室ユニット6が傾斜した状態となる。なお、立ち上がりモードから通常走行モードへの移行の指示は、例えば着座スイッチ11や別のスイッチを用いて行う。
【0026】
ホイールベース調整モータ13a,13bは、各サブフレーム4a,4bを回動させ、ホイールベースを調整するためのモータである。ホイールベース調整モータ13a,13bは、ジョイント部5a,5bに設けられ、ECU18から送出された着座モード指示信号に基づいて、各サブフレーム4a,4bを各メインフレーム3a,3bに対して回動させ、ホイールベースを大きくする。また、ホイールベース調整モータ13a,13bは、ECU18から送出された立ち上がりモード指示信号に基づいて、各サブフレーム4a,4bを各メインフレーム3a,3bに対して回動させ、着座モードにおけるホイールベースを小さくする。
【0027】
角度センサ16は、荷室ユニット6において、地面に対する荷室本体14の傾斜角度を検出するセンサである。角度センサ16の検出信号(角度信号)はECU18に送出される。
【0028】
接地脚制御部17は、荷室ユニット6の内部に設けられ、各接地脚15をそれぞれ独立に制御し、各接地脚15の荷室本体14の底面から地面までの長さを調整する。
【0029】
ECU18は、着座スイッチ11から着座モード指示信号が送出されると、角度センサ16から送出された角度信号に基づいて、荷室ユニット6の傾斜角度が予め設定された閾値以下であるかを判断し、傾斜角度が閾値以下である場合には、荷室ユニット6が水平を維持するような各接地脚15の長さを算出し、その算出結果に応じて接地脚制御部17を制御する。また、ECU18は、立ち上がりスイッチ11から立ち上がりモード指示信号が送出されると、各接地脚15の長さが初期状態になるように、接地脚制御部17を制御する。
【0030】
また、ECU18は、右押し力センサ10a、及び左押し力センサ10bから操作信号が送出されると、歩行補助装置1を直進又は旋回させるようなインホイールモータ8a〜8dの回転トルク指令値を求め、その回転トルク指令値によってインホイールモータ8a〜8dを制御する。
【0031】
図5は、ECU18により実行される通常走行モードから着座モードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【0032】
図5において、まず通常走行モードで着座スイッチ11が押下されると、着座モード指示信号が入力される(手順S01)。着座モード指示信号が入力されると、角度センサ16から角度信号が入力される(手順S02)。続いて、角度センサからの角度信号に基づいて、荷室ユニット6の傾斜角度が予め設定された閾値以下であるか否かが判断される(手順S03)。
【0033】
傾斜角度が閾値以下である場合には、ホイールベースを大きくするために、サブフレーム4a,4bがメインフレーム3a,3bに対して開くようにホイールベース調整モータ13a,13bの回動を制御する(手順S04)。そして、荷室ユニット6が水平を維持するような各接地脚15の長さをそれぞれ算出し、その算出結果に応じて接地脚制御部17を制御する(手順S05)。
【0034】
図6は、ECU18により実行される着座モードから立ち上がりモードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【0035】
図6において、まず着座モードで立ち上がりスイッチ11が押下されると、立ち上がりモード指示信号が入力される(手順S101)。立ち上がりモード指示信号が入力されると、ホイールベースを小さくするために、サブフレーム4a,4bがメインフレーム3a,3bに対して閉じるようにホイールベース調整モータ13a,13bの回動を制御する(手順S102)。そして、各接地脚15の長さが初期状態になるように、接地脚制御部17を制御する(手順S103)。
【0036】
以上のように本実施形態の歩行補助装置1にあっては、着座スイッチ11により通常歩行モードから着座モードへの移行が指示されると、荷室ユニット6の荷室本体14が水平を維持した状態で各接地脚15が地面に接地するように、ホイールベース調整モータ13a,13bによって各サブフレーム4a,4bを各メインフレーム3a,3bに対して開くように回動させて、ホイールベースを大きくする。また、角度センサ13の角度信号に基づいて、荷室本体14が水平を維持するように、各接地脚15の長さが調整される。これにより、着座スイッチ11のボタンを押下するだけといった簡単な指示操作によって、歩行者が荷室本体14を着座可能な水平状態にすることができるので、ブレーキ操作等の煩わしさを解消することができる。また、各接地脚15が地面に接地されることで、荷室ユニット6、ひいては歩行補助装置1が確実に固定されて安定性を確保することができるので、安全性の向上を十分に図ることができる。
【0037】
また、立ち上がりスイッチ12により着座モードから立ち上がりモードへの移行が指示されると、荷室ユニット6の荷室本体14が傾斜した状態で、ホイールベース調整モータ13a,13bによって各サブフレーム4a,4bを各メインフレーム3a,3bに対して閉じるように回動させて、ホイールベースを小さくする。これにより、荷室ユニット6が傾斜した状態で上方に持ち上げられるので、荷室ユニット6に着座している歩行者も同時に上方に持ち上げられ、歩行者の立ち上がり動作の補助を行うことができる。
【0038】
また、例えば坂道等の傾斜角度が大きい場合には、通常走行モードから着座モードへの移行を行わないので、歩行者の着座が困難な場所での動作が防止されることになる。これにより、歩行補助装置1の転倒等を確実に防止することができる。
【0039】
[第2実施形態]
図7は、本発明に係わる歩行補助装置の第2実施形態の外観を示す斜視図である。図中、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
同図において、本実施形態の歩行補助装置30は、着座モード時に歩行者の肘が載置される肘掛部20がジョイント部5a,5bに更に設けられている点で、第1の実施形態と異なる。
【0041】
肘掛部20は、ジョイント部5a,5bから前方に突出するように水平に設けられ、着座モードにおいて歩行者の肘が載置される部分である。肘掛部20には、歩行者によって肘掛部20加えられる押し力を検出する押し力検出センサ21(図8参照)が設けられている。肘掛部20は、通常走行モード等において使用されない場合には、例えば各メインフレーム3a,3b側に対して折り畳むことが可能となっている。
【0042】
図8は、歩行補助装置30の制御系を示すブロック図である。図8において、歩行補助装置30は、押し力検出センサ21と、ECU22とを備えている。
【0043】
押し力検出センサ21は、肘掛部20に加えられる下方向(重力方向)の押し力を検出するセンサである。押し力センサ21の検出信号(押し力信号)はECU22に送出される。
【0044】
ECU22は、押し力検出センサ21から送出された押し力信号に基づいて、肘掛部20に加えられた押し力が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、予め設定された閾値以上である場合には、歩行補助装置30が着座モードから立ち上りモードへと移行するように、ホイールベース調整モータ13a,13bを制御する。
【0045】
図9は、ECU22により実行される着座モードから立ち上がりモードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
図9において、まず押し力検出センサ21から押し力信号が入力される(手順S201)。続いて、入力された押し力信号に基づいて、押し力が予め設定された閾値以上であるか否かが判定される(手順S202)。押し力が予め設定された閾値以上であると判断された場合には、手順S203に進む。一方、押し力が予め設定された閾値以上であると判断されなかった場合には、処理を終了する。
【0047】
手順S202において押し力が予め設定された閾値以上であると判断された場合には、ホイールベースを小さくするために、サブフレーム4a,4bがメインフレーム3a,3bに対して閉じるようにホイールベース調整モータ13a,13bの回動を制御する(手順S203)。そして、各接地脚15の長さが初期状態になるように、接地脚制御部17を制御する(手順S204)。
【0048】
以上のように本実施形態の歩行補助装置30にあっては、肘掛部20に加えられる押し力を押し力検出センサ21によって検出し、その検出された押し力が予め設定された閾値よりも大きい場合に、歩行補助装置30が着座モードから立ち上がりモードへ移行するようにホイールベース調整モータ13a,13bを制御する。この構成によれば、歩行者が荷室ユニット6に着座している状態から、肘掛部20に手や肘をついて立ち上がることで、肘掛部20に十分な押し力が加えられるため、ホイールベース調整モータ13a,13bの動作指示を行うことができる。これにより、余計な操作をしなくとも、歩行補助装置30を着座モードから立ち上がりモードに移行させ、歩行者の立ち上り動作を補助することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態の構成に加えて、歩行者によって前側車輪7a,7b又は後側車輪7c,7dの制動をすることができるブレーキレバーを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係わる歩行補助装置の第1実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係わる歩行補助装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】(a)通常走行モードを示す側面図である。(b)着座モードを示す側面図である。
【図4】(a)着座モードを示す側面図である。(b)立ち上がりモードを示す側面図である
【図5】第1実施形態に係わるECUにより実行される通常走行モードから着座モードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係わるECUにより実行される着座モードから立ち上がりモードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係わる歩行補助装置の第2実施形態の外観を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係わる歩行補助装置の制御系を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態に関わるECUにより実行される着座モードから立ち上がりモードへの移行手順の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1,30…歩行補助装置、2…ハンドル、3a,3b…メインフレーム、4a,4b…サブフレーム、5a,5b…ジョイント部、6…荷室ユニット、7a〜7d…車輪(前側車輪、後側車輪)、8a〜8d…インホイールモータ(駆動部)、11…着座モード指示スイッチ(指示手段)、12…立ち上がりモード指示スイッチ(指示手段)、13a,13b…ホイールベース調整モータ(ホイールベース調整手段)、14…荷室本体、14a…着座面、15…接地脚、16…角度センサ(角度検出手段)、17…接地脚制御部(接地脚制御手段)、20…肘掛部、21…押し力検出センサ(押し力検出手段)、L1,L2,L3…ホイールベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が握るハンドルを有する一対のメインフレームと、
前記各メインフレームから後側に向けて延びる一対のサブフレームと、
前記各サブフレームを前記各メインフレームに対して回動自在に連結する一対のジョイント部と、
前記各メインフレームの下端に設けられた一対の前側車輪と、
前記各サブフレームの下端に設けられた一対の後側車輪と、
前記一対の前側車輪及び前記一対の後側車輪をそれぞれ独立に回転駆動させる複数の駆動部と、
前記各サブフレームを前記各メインフレームに対して回動させて、前記前側車輪及び前記後側車輪の中心間距離を調整するホイールベース調整手段と、
前記サブフレームの回動動作を指示する指示手段と、
前記ジョイント部から吊り下げられて設けられた荷室ユニットと、
を備え、
前記荷室ユニットは、
前記歩行者が着座する着座面を有する荷室本体と、
前記荷室本体の底面に設けられ、地面に接地される複数の接地脚と、
前記地面に対する前記荷室本体の傾斜角度を検出する角度検出手段と、
を有し、
前記ホイールベース調整手段は、前記指示手段により前記サブフレームの回動動作が指示されると、前記角度検出手段によって検出された前記荷室本体の傾斜角度に基づいて、前記荷室本体が水平を維持した状態で前記接地脚が前記地面に接地されるように、前記サブフレームを前記メインフレームに対して回動させて、前記前側車輪及び前記後側車輪の中心間距離を大きくすることを特徴とする歩行補助装置。
【請求項2】
前記ホイールベース調整手段は、前記角度検出手段によって検出された前記傾斜角度が予め設定された閾値よりも小さい場合に、前記荷室本体が水平を維持した状態で前記接地脚が前記地面に接地されるように、前記サブフレームを前記メインフレームに対して回動させて、前記前側車輪及び前記後側車輪の中心間距離を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項3】
前記角度検出手段によって検出された前記傾斜角度に基づいて、前記荷室本体が水平を維持するように、前記各接地脚の長さを独立に制御する接地脚制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の歩行補助装置。
【請求項4】
前記ホイールベース調整手段は、前記接地脚が前記地面に接地された状態において前記指示手段により前記サブフレームの回動動作が指示された場合には、前記前側車輪及び前記後側車輪の中心間距離を小さくするように、前記サブフレームを前記メインフレームに対して回動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行補助装置。
【請求項5】
前記歩行者の肘が載置される肘掛部と、
前記肘掛部に加えられる押し力を検出する押し力検出手段と、
を更に備え、
前記ホイールベース調整手段は、前記押し力検出手段によって検出された前記押し力が予め設定された閾値よりも大きい場合には、前記前側車輪及び前記後側車輪の中心間距離を小さくするように、前記サブフレームを前記メインフレームに対して回動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−247611(P2009−247611A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99328(P2008−99328)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】