歩道システム
【課題】歩行者にとって横断歩道の位置を確認し易く、また、自動車の運転手等にとって横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くする歩道システムを提供する。
【解決手段】歩道システム1は、EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線4と、発光パネルを点灯制御する制御装置5と、を備える。発光パネルの点灯によって白線4が明るく光るので、歩行者は、横断歩道の位置を容易に確認できる。また、白線4を歩行中の歩行者は、発光パネルによって照らし出されるので、自動車の運転手等にとって歩行者の姿を認識し易くなる。
【解決手段】歩道システム1は、EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線4と、発光パネルを点灯制御する制御装置5と、を備える。発光パネルの点灯によって白線4が明るく光るので、歩行者は、横断歩道の位置を容易に確認できる。また、白線4を歩行中の歩行者は、発光パネルによって照らし出されるので、自動車の運転手等にとって歩行者の姿を認識し易くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL素子を有する発光パネルを用いた歩道システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、横断歩道には、白色塗料を道路面に塗布して形成された白線が敷かれている。また、一般的な交差点付近には、横断歩道と共に、信号機が設置されている。このような信号機が設置された横断歩道では、歩行者は、信号機の点灯状態を見て横断可能か否かを判断し、可能であるときに、白線が敷かれた横断歩道を通行する。
【0003】
しかし、夜間では、横断歩道の白線が見え難くなることがあり、特に、雨天時等では、弱視者にとっては白線が殆ど見えなくなることがある。そのため、歩行者が横断歩道の位置を正しく把握できず、例えば、車道に踏み込んでしまうことがある。また、夜間は、車道を走る自動車の運転手にとっても、横断歩道を歩く歩行者の存在を認識し難くなる。
【0004】
そこで、蛍光物質又はりん光物質を含有する塗料を道路面に塗布して形成した白線と、この白線に向けて近紫外線を照射する近紫外線ランプとを有する横断歩道システムが知られている(例えば特許文献1参照)。この横断歩道システムによれば、白線に向けて近紫外線が照射されると、蛍光物質又はりん光物質が発光するため、横断歩道に敷かれた白線が発光する。そのため、夜間等、周囲が暗いときであっても横断歩道の白線が浮き上がったように見え、歩行者にとっては横断歩道の位置を確認し易くなり、また、自動車の運転手等にとっては横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くなる。
【0005】
【特許文献1】特許第2912878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近紫外線の照射による蛍光物質又はりん光物質の発光は、白線及びその周囲をぼんやりと明るくする程度であり、自動車の運転手等に対して歩行者の姿を明瞭に認識させるには光量が十分でない。光源からの近紫外線の照射量を多くすれば、発光量も増加するが、強度の近紫外線は歩行者の目に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、歩行者にとって横断歩道の位置を確認し易く、また、自動車の運転手等にとって横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くする歩道システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、歩道システムにおいて、EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線と、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この歩道システムにおいて、前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することが好ましい。
【0010】
また、この歩道システムにおいて、前記発光パネルは、前記白線の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることが好ましい。
【0011】
この歩道システムにおいて、EL素子を有する発光パネルを歩道と車道との境界近傍に埋め込んで形成したブロックと、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とするものであってもよい。
【0012】
この歩道システムにおいて、前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することが好ましい。
【0013】
また、この歩道システムにおいて、前記発光パネルは、前記ブロックの車道に沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発光パネルの点灯によって白線が明るく光るので、歩行者は、横断歩道の位置を容易に確認できる。また、白線を歩行中の歩行者は、発光パネルによって照らし出されるので、自動車の運転手等にとって歩行者の姿を認識し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る歩道システムの概略構成を示す上面図。
【図2】同歩道システムの白線の一部分解斜視図。
【図3】同白線に用いられるEL素子の模式的な構造を示す側断面図。
【図4】同歩道システムの動作例を示す斜視図。
【図5】同歩道システムの動作例を示す斜視図。
【図6】同白線における配光特性を示す一部分解斜視図。
【図7】同白線における配光特性に関して、自動車の運転手の視界を想定した図。
【図8】同歩道システムの変形例における概略構成を示す上面図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る歩道システムに用いられるブロックの構成例における斜視図。
【図10】同歩道システムの概略構成を示す上面図。
【図11】(a)は同ブロックの構成例における上面図、(b)は(a)のA−A’側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る歩道システムについて、図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の歩道システム1は、図1及び図2に示すように、有機EL素子2を有する発光パネル3を車道Cの路面に埋め込んで形成した白線4と、発光パネル3を点灯制御する制御装置5とを備える。なお、以下の説明では、車道Cの両側に歩道Bが設けられた2本の道路が十字に交差する交差点を例とする。交差点の四方のコーナーには夫々信号機6(図1では車用信号機のみを示す)が設けられており、また、夫々の車道を跨ぐ様にように横断歩道があり、各横断歩道には、梯子状に白線4が敷かれている。白線4及び信号機6は、夫々配線7によって制御装置5に接続されている。制御装置5は、電源部8(商用電源)に接続され、白線4及び信号機6に給電すると共に、それらを点灯制御する。
【0017】
発光パネル3は、複数の有機EL素子2が格子状に配設されると共に、上面が開口した帯形状のケース部31と、このケース部31の開口部に配置されるカバー部32とを備える。また、ケース部31の底面には、夫々の有機EL素子2に対して電力及び制御信号を送信するための配線パターン33が設けられている。好ましくは、有機EL素子2の底面には電極端子20が設けられており、有機EL素子2をケース部31の所定位置に配置すると、電極端子20と配線パターン33とが電気的に接続される。また、配線パターン33は、ケース部31の側部に設けられた外部接続部34と電気的に接続されており、外部接続部34は、好ましくはコネクタケーブル35により配線7に接続される。
【0018】
ケース部31は、車両が載置されても変形等しない十分な強度と、太陽光や風雨に対する耐候性を有し、また、絶縁性を有する材料から構成される。その材料としては、例えば、ABS樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性プラスチック、又は表面が絶縁加工された金属材料等が挙げられる。カバー部32は、透光性を有し、且つケース部31と同様の強度及び耐候性を有する材料から構成される。例えば、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂又はポリカボネート等の樹脂材料が挙げられる。また、カバー部32を構成する樹脂材料に、例えば、紫外線吸収材等が添加されてもよい。
【0019】
横断歩道(車道C)には、ケース部31の高さ及びカバー部32の形状及び厚みと略一致する大きさ及び深さの掘り込み部36が形成されている。この掘り込み部36に、複数の有機EL素子2が配設されたケース部31及びカバー部32から成る発光パネル3が嵌入され、これらは工事用接着剤により強固に固定され、これにより白線4が形成される。また、横断歩道には、コネクタケーブル35及び配線7を路面に埋め込むための溝部37が形成され、この溝部37は、コネクタケーブル35及び配線7が収容された後、コールタール等の封入材料が埋め込まれる。
【0020】
制御装置5は、歩道システム1に含まれる白線4及び信号機6といった照明負荷の個体アドレス情報や夫々の照明負荷の点灯パターン等を記憶させるための記憶部や、そのパターン等に従って白線4の発光パネル3及び信号機6を点灯制御するための出力部、時間を計測するタイマ部等を備える。好ましくは、制御装置5は、信号機6の点灯と同期するように発光パネル3を点灯制御する。詳細な動作については後述する。なお、本実施形態においては、制御装置5が、白線4の発光パネル3及び信号機6の両方を点灯制御するものとしたが、信号機6は、別途の制御装置(不図示)によって点灯制御され、その制御情報を獲得できるように構成されていてもよい。例えば、制御装置5に、信号機6の点灯状態を把握するための明るさセンサ(不図示)を設け、この明るさセンサの検知信号を受けて出力部が所定の白線4を点灯制御するようにしてもよい。
【0021】
有機EL素子2は、図3に示すように、透光性を有する基板22上に、発光部23を形成し、その外側を封止材24で被覆したものである。発光部23は、透明導電膜から成る陽極23a、発光機能を有する発光層23b、光反射性を有する陰極23cを、順に基板22上に積層形成したものである。封止材24は、各電極の一部が露出するように被覆され、これら電極の露出部は、直接又はリード線等を介して電極端子20(図2参照)に電気的に接続される。なお、ここでは、有機EL素子2は、例えば、10cm角の矩形の発光面を有する素子が用いられるが、例えば1cm角の素子を100個組み合わせて、1つの発光モジュール(不図示)が用いられてもよい。
【0022】
基板22は、ソーダライムガラスや無アルカリガラス等の透光性ガラスや、透光性樹脂材料等から成り、矩形板状に形成される。
【0023】
陽極23aは、発光層23bにホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が4eV以上のものが用いられる。特に、ITO(酸化インジウムスズ:インジウムチンオキサイド)、SnO2(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の透光性の導電材料が好ましい。陽極23aは、これらの電極材料を、基板22の表面に、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により成膜及びパターニングすることによって形成される。
【0024】
発光層23bは、所望の白色光を発光させ得る有機蛍光材料が用いられ、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及びこれらの発光性化合物から成る基を分子構造の一部に有する化合物、高分子材料、各種蛍光色素の混合材料等が用いられる。
【0025】
発光層23bは、陽極23aの表面に上述した化合物を、例えば、真空蒸着法により成膜及びパターニングすることによって形成される。なお、発光層23bは、複数の異なる材料が積層されたものであってもよく、これら複数層の間に電位を調整するためのバッファ層を介在させてもよい。
【0026】
陰極23cは、発光層23bに電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が5eV以下のものが用いられる。特に、リチウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−銀混合物、Al/Al2O3混合物、Al/LiF混合物等の反射性の導電材料が好ましい。陰極23cも陽極23aと同様の方法により形成される。
【0027】
なお、陽極23a及び発光層23bの間には、陽極23aから発光層23bへのホール注入効果を促進するホール注入・輸送層(図示せず)が設けられてもよい。また、発光層23b及び陰極23cの間には、好ましくは、陰極23cから発光層23bへの電子注入効果を促進する電子注入・輸送層(図示せず)が設けられる。
【0028】
このように構成された有機EL素子2においては、電極端子20に介して所定の電力が供給されることにより、発光層23bが発光する。発光した光は、陽極23aを透過して、又は陰極23cによって反射されて、基板22側から有機EL素子2外へ取り出され、カバー部32を介して発光パネル3から出射する。なお、有機EL素子2の発光面には、基板22を傷や汚れ等から保護するため、アクリル樹脂等から成る保護層や、基板22からの光取り出し効率を高めるための拡散層等が設けられてもよい(図示せず)。
【0029】
次に、本実施形態の歩道システム1の動作例を説明する。図4及び図5は、図面の上方向が北(N)、下方向が南(S)、右方向が東(E)、左方向が西(W)を示す。なお、ここでは、交差点の四方に設けられた白線4を夫々白線4E,4W,4S,4Nとする。また、信号機6の点灯状態を示すため、歩道用信号の青色点灯又は赤色点灯のみを図示し、車道用信号の点灯状態の図示を省略している。
【0030】
図4に示す例においては、南北(SN)方向が通行可能となっており、南北(SN)方向に向いた夫々の信号機6が横断許可信号灯(青色灯)を点灯し、東西(EW)方向に向いた夫々の信号機6が横断禁止信号灯(赤色灯)を点灯している。このとき、制御装置5(図1参照)は、交差点の東側に設けられた白線4Eと、交差点の西側に設けられた白線4Wとを点灯させる。すなわち、制御装置5は、信号機6の横断許可信号灯点灯中に、横断許可されている横断歩道の発光パネル2を点灯し、横断禁止信号灯点灯中に、横断禁止されている横断歩道の発光パネルを消灯するように点灯制御する。また、制御装置5は、信号機6の横断許可信号灯点灯中における発光パネル2の発光量を、横断禁止信号灯点灯中における発光パネルの発光量より大きくなるように点灯制御してもよい。このようすることによって、交差点の南西角に居た歩行者M1は、発光パネル3(図2参照)の点灯によって白線4Wが明るく光るので、横断可能な横断歩道の位置を容易に確認できる。また、この白線4Wを歩行中の歩行者M2は、発光パネル2によって照らし出されるので、自動車の運転手等(不図示)にとって歩行者M2の姿を認識し易くなる。
【0031】
制御装置5は、所定時間が経過すると、青色灯を点灯している南北(SN)方向の信号機6を点滅状態とする。このとき、制御装置5は、点灯していた白線4E,4Wを、信号機6と同期して点滅させる。なお、南北(SN)方向に向いた車道用信号は黄色灯を点灯している(不図示)。続いて、図5の例に示すように、東西(EW)方向が通行可能となり、東西(EW)方向に向いた夫々の信号機6が青色灯を点灯し、南北(SN)方向に向いた夫々の信号機6が赤色灯を点灯する。このとき、制御装置5は、交差点の北側に設けられた白線4Nと、交差点の南側に設けられた白線4Sとが点灯する。
【0032】
本実施形態において、発光パネル3は、白線4の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることが好ましい。例えば、図6に示すように、カバー部32内に複数のスリット部38が白線4の短手方向に平行に設けられる。こうすれば、有機EL素子2から出射した光のうち、白線4の長手方向に出射した光は、スリット部38によって遮蔽される。一方、有機EL素子2から出射した光のうち、白線4の垂直方向及び短手方向に出射した光は、スリット部38によって遮蔽されることなく、カバー部32から出射される。その結果、白線4の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなる。
【0033】
こうすれば、図7に示すように、交差点で停止している自動車の運転手に対して、白線4によって眩しさを感じさせることが少なくなる。一方、白線4の垂直方向及び白線4の短手方向への光は抑制されないので、歩行者M3にとって白線4を容易に確認でき、しかも、自動車の運転手等にとって横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くなる。
【0034】
次に、本実施形態の歩道システム1の変形例について、図8を参照して説明する。この変形例に係る歩道システム1は、交差点の各コーナー近傍に人感センサ51を設けたものである。なお、図8には、交差点の各コーナーに設けられた信号機6を支える支柱の夫々に人感センサ51を設けた例を示すが、人感センサ51の設置位置又は個数等は必ずしもこれに限られない。
【0035】
制御装置5は、人感センサ51の検知情報を受信すると、その人感センサ51の近傍にある白線4を割り出し、その白線4に配設された発光パネル3を点灯させる。また、制御装置5は、上述した実施形態と同様、信号機6の点灯と同期するように発光パネル3を点灯制御する。すなわち、制御装置5は、人の存在を検知した人感センサ51の近傍にあり、青色灯が点灯されている信号機6と同期するように、特定の白線4に配設されている発光パネル3を点灯制御する。図8の例においては、交差点の南東角に歩行者M4が居り、その近傍の人感センサ51が人の存在を検知したので、このとき、制御装置5は、青色灯が点灯している信号機6と同期するように、白線4の発光パネル3を点灯させる。
【0036】
このように、人感センサ51を用いて、交差点近傍に人が存在するときのみ、発光パネル3を点灯させれば、交差点付近に人が居ないときの無駄な点灯を抑制し、消費電力を節約することができる。また、発光パネル3の点灯回数も少なくなるので、発光層23b(図3参照)への負荷が抑えられ、有機EL素子2の長寿命化を図ることもできる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態に係る歩道システムについて、図9乃至図11を参照して説明する。本実施形態の歩道システム1は、図9及び図10に示すように、有機EL素子2を有する発光パネル3を歩道Bと車道Cとの境界近傍に埋め込んで形成したブロック9と、有機EL素子2を点灯制御する制御装置5とを備えたものである。以下、本実施形態のブロック9としては、図9に示すような、いわゆる点字ブロックを例として説明するが、必ずしもこれに限らず、例えば、車乗り上げ防止ブロック等であってもよい(不図示)。また、ブロック9の配設場所は、歩道Bと車道Cとの境界近傍であれば、必ずしも図示したような交差点近傍に限られず、歩行者及び自動者の運転手等に交通安全上、注意喚起を要する箇所であればよい。本実施形態によれば、ブロック9が、上述した白線4と同様に照らし出されるため、歩行者やブロックの存在を確認し易くなる。
【0038】
また、本実施形態の歩道システム1は、上記第1の実施形態同様、制御装置5が、信号機6の点灯と同期するように有機EL素子2を点灯制御することが望ましい。こうすれば、歩行者は、信号機6の点灯に加えて、ブロックの点灯によって交差点の位置と通行の可否を容易に確認することができる。特に、弱視者にとっては、視界の上方に設けられた信号機6よりも、足元に存在するブロック9の点灯の方が視界に入り易く、より容易に交差点の位置と通行の可否を確認することができる。
【0039】
なお、ブロック9が点字ブロックである場合、図11(a)(b)に示す構成が挙げられる。ブロック9は、有機EL素子2を有する発光パネル3が内装されており、この表面に複数の突起部91を有する導光カバー92が設けられたものである。また、ブロック9には、有機EL素子2に給電するための給電部93と、他のブロック9又は配線7(図10参照)との電気的なの接続を可能としる接続端子94とを備える。また、導光カバー92に上述したスリット部材を内装させることにより(不図示)、ブロック9の車道Cに沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるようにすることができる。なお、突起部91には光拡散材料が塗布されることが好ましい。こうすれば、埋め込まれたブロック9を、歩行者が水平方向からでもその点灯を確認し易くなる。
【0040】
また、複数の突起部91が発光するように、この突起部91に有機EL素子2が設けられて、これらによって発光パネルが構成されてもよい(不図示)また、突起部91に一部に光遮蔽部を設けることにより、ブロック9の車道Cに沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるようにすることができる。
【0041】
なお、本発明は、上述の実施形態に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、赤色、青色、黄色の3色を発光可能な有機EL素子2を用い、制御装置5が、これらの発光色を信号機6の発光色と同じように点灯制御するようにしてもよい。また、本実施形態においては、有機EL素子2を用いた例について説明したが、無機EL素子など、他のEL素子であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 歩道システム
2 EL素子(有機EL素子)
3 発光パネル
4 白線
5 制御装置
6 信号機
9 ブロック
B 歩道
C 車道
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL素子を有する発光パネルを用いた歩道システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、横断歩道には、白色塗料を道路面に塗布して形成された白線が敷かれている。また、一般的な交差点付近には、横断歩道と共に、信号機が設置されている。このような信号機が設置された横断歩道では、歩行者は、信号機の点灯状態を見て横断可能か否かを判断し、可能であるときに、白線が敷かれた横断歩道を通行する。
【0003】
しかし、夜間では、横断歩道の白線が見え難くなることがあり、特に、雨天時等では、弱視者にとっては白線が殆ど見えなくなることがある。そのため、歩行者が横断歩道の位置を正しく把握できず、例えば、車道に踏み込んでしまうことがある。また、夜間は、車道を走る自動車の運転手にとっても、横断歩道を歩く歩行者の存在を認識し難くなる。
【0004】
そこで、蛍光物質又はりん光物質を含有する塗料を道路面に塗布して形成した白線と、この白線に向けて近紫外線を照射する近紫外線ランプとを有する横断歩道システムが知られている(例えば特許文献1参照)。この横断歩道システムによれば、白線に向けて近紫外線が照射されると、蛍光物質又はりん光物質が発光するため、横断歩道に敷かれた白線が発光する。そのため、夜間等、周囲が暗いときであっても横断歩道の白線が浮き上がったように見え、歩行者にとっては横断歩道の位置を確認し易くなり、また、自動車の運転手等にとっては横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くなる。
【0005】
【特許文献1】特許第2912878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近紫外線の照射による蛍光物質又はりん光物質の発光は、白線及びその周囲をぼんやりと明るくする程度であり、自動車の運転手等に対して歩行者の姿を明瞭に認識させるには光量が十分でない。光源からの近紫外線の照射量を多くすれば、発光量も増加するが、強度の近紫外線は歩行者の目に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、歩行者にとって横断歩道の位置を確認し易く、また、自動車の運転手等にとって横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くする歩道システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、歩道システムにおいて、EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線と、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この歩道システムにおいて、前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することが好ましい。
【0010】
また、この歩道システムにおいて、前記発光パネルは、前記白線の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることが好ましい。
【0011】
この歩道システムにおいて、EL素子を有する発光パネルを歩道と車道との境界近傍に埋め込んで形成したブロックと、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とするものであってもよい。
【0012】
この歩道システムにおいて、前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することが好ましい。
【0013】
また、この歩道システムにおいて、前記発光パネルは、前記ブロックの車道に沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発光パネルの点灯によって白線が明るく光るので、歩行者は、横断歩道の位置を容易に確認できる。また、白線を歩行中の歩行者は、発光パネルによって照らし出されるので、自動車の運転手等にとって歩行者の姿を認識し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る歩道システムの概略構成を示す上面図。
【図2】同歩道システムの白線の一部分解斜視図。
【図3】同白線に用いられるEL素子の模式的な構造を示す側断面図。
【図4】同歩道システムの動作例を示す斜視図。
【図5】同歩道システムの動作例を示す斜視図。
【図6】同白線における配光特性を示す一部分解斜視図。
【図7】同白線における配光特性に関して、自動車の運転手の視界を想定した図。
【図8】同歩道システムの変形例における概略構成を示す上面図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る歩道システムに用いられるブロックの構成例における斜視図。
【図10】同歩道システムの概略構成を示す上面図。
【図11】(a)は同ブロックの構成例における上面図、(b)は(a)のA−A’側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る歩道システムについて、図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の歩道システム1は、図1及び図2に示すように、有機EL素子2を有する発光パネル3を車道Cの路面に埋め込んで形成した白線4と、発光パネル3を点灯制御する制御装置5とを備える。なお、以下の説明では、車道Cの両側に歩道Bが設けられた2本の道路が十字に交差する交差点を例とする。交差点の四方のコーナーには夫々信号機6(図1では車用信号機のみを示す)が設けられており、また、夫々の車道を跨ぐ様にように横断歩道があり、各横断歩道には、梯子状に白線4が敷かれている。白線4及び信号機6は、夫々配線7によって制御装置5に接続されている。制御装置5は、電源部8(商用電源)に接続され、白線4及び信号機6に給電すると共に、それらを点灯制御する。
【0017】
発光パネル3は、複数の有機EL素子2が格子状に配設されると共に、上面が開口した帯形状のケース部31と、このケース部31の開口部に配置されるカバー部32とを備える。また、ケース部31の底面には、夫々の有機EL素子2に対して電力及び制御信号を送信するための配線パターン33が設けられている。好ましくは、有機EL素子2の底面には電極端子20が設けられており、有機EL素子2をケース部31の所定位置に配置すると、電極端子20と配線パターン33とが電気的に接続される。また、配線パターン33は、ケース部31の側部に設けられた外部接続部34と電気的に接続されており、外部接続部34は、好ましくはコネクタケーブル35により配線7に接続される。
【0018】
ケース部31は、車両が載置されても変形等しない十分な強度と、太陽光や風雨に対する耐候性を有し、また、絶縁性を有する材料から構成される。その材料としては、例えば、ABS樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性プラスチック、又は表面が絶縁加工された金属材料等が挙げられる。カバー部32は、透光性を有し、且つケース部31と同様の強度及び耐候性を有する材料から構成される。例えば、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂又はポリカボネート等の樹脂材料が挙げられる。また、カバー部32を構成する樹脂材料に、例えば、紫外線吸収材等が添加されてもよい。
【0019】
横断歩道(車道C)には、ケース部31の高さ及びカバー部32の形状及び厚みと略一致する大きさ及び深さの掘り込み部36が形成されている。この掘り込み部36に、複数の有機EL素子2が配設されたケース部31及びカバー部32から成る発光パネル3が嵌入され、これらは工事用接着剤により強固に固定され、これにより白線4が形成される。また、横断歩道には、コネクタケーブル35及び配線7を路面に埋め込むための溝部37が形成され、この溝部37は、コネクタケーブル35及び配線7が収容された後、コールタール等の封入材料が埋め込まれる。
【0020】
制御装置5は、歩道システム1に含まれる白線4及び信号機6といった照明負荷の個体アドレス情報や夫々の照明負荷の点灯パターン等を記憶させるための記憶部や、そのパターン等に従って白線4の発光パネル3及び信号機6を点灯制御するための出力部、時間を計測するタイマ部等を備える。好ましくは、制御装置5は、信号機6の点灯と同期するように発光パネル3を点灯制御する。詳細な動作については後述する。なお、本実施形態においては、制御装置5が、白線4の発光パネル3及び信号機6の両方を点灯制御するものとしたが、信号機6は、別途の制御装置(不図示)によって点灯制御され、その制御情報を獲得できるように構成されていてもよい。例えば、制御装置5に、信号機6の点灯状態を把握するための明るさセンサ(不図示)を設け、この明るさセンサの検知信号を受けて出力部が所定の白線4を点灯制御するようにしてもよい。
【0021】
有機EL素子2は、図3に示すように、透光性を有する基板22上に、発光部23を形成し、その外側を封止材24で被覆したものである。発光部23は、透明導電膜から成る陽極23a、発光機能を有する発光層23b、光反射性を有する陰極23cを、順に基板22上に積層形成したものである。封止材24は、各電極の一部が露出するように被覆され、これら電極の露出部は、直接又はリード線等を介して電極端子20(図2参照)に電気的に接続される。なお、ここでは、有機EL素子2は、例えば、10cm角の矩形の発光面を有する素子が用いられるが、例えば1cm角の素子を100個組み合わせて、1つの発光モジュール(不図示)が用いられてもよい。
【0022】
基板22は、ソーダライムガラスや無アルカリガラス等の透光性ガラスや、透光性樹脂材料等から成り、矩形板状に形成される。
【0023】
陽極23aは、発光層23bにホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が4eV以上のものが用いられる。特に、ITO(酸化インジウムスズ:インジウムチンオキサイド)、SnO2(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の透光性の導電材料が好ましい。陽極23aは、これらの電極材料を、基板22の表面に、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により成膜及びパターニングすることによって形成される。
【0024】
発光層23bは、所望の白色光を発光させ得る有機蛍光材料が用いられ、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及びこれらの発光性化合物から成る基を分子構造の一部に有する化合物、高分子材料、各種蛍光色素の混合材料等が用いられる。
【0025】
発光層23bは、陽極23aの表面に上述した化合物を、例えば、真空蒸着法により成膜及びパターニングすることによって形成される。なお、発光層23bは、複数の異なる材料が積層されたものであってもよく、これら複数層の間に電位を調整するためのバッファ層を介在させてもよい。
【0026】
陰極23cは、発光層23bに電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が5eV以下のものが用いられる。特に、リチウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−銀混合物、Al/Al2O3混合物、Al/LiF混合物等の反射性の導電材料が好ましい。陰極23cも陽極23aと同様の方法により形成される。
【0027】
なお、陽極23a及び発光層23bの間には、陽極23aから発光層23bへのホール注入効果を促進するホール注入・輸送層(図示せず)が設けられてもよい。また、発光層23b及び陰極23cの間には、好ましくは、陰極23cから発光層23bへの電子注入効果を促進する電子注入・輸送層(図示せず)が設けられる。
【0028】
このように構成された有機EL素子2においては、電極端子20に介して所定の電力が供給されることにより、発光層23bが発光する。発光した光は、陽極23aを透過して、又は陰極23cによって反射されて、基板22側から有機EL素子2外へ取り出され、カバー部32を介して発光パネル3から出射する。なお、有機EL素子2の発光面には、基板22を傷や汚れ等から保護するため、アクリル樹脂等から成る保護層や、基板22からの光取り出し効率を高めるための拡散層等が設けられてもよい(図示せず)。
【0029】
次に、本実施形態の歩道システム1の動作例を説明する。図4及び図5は、図面の上方向が北(N)、下方向が南(S)、右方向が東(E)、左方向が西(W)を示す。なお、ここでは、交差点の四方に設けられた白線4を夫々白線4E,4W,4S,4Nとする。また、信号機6の点灯状態を示すため、歩道用信号の青色点灯又は赤色点灯のみを図示し、車道用信号の点灯状態の図示を省略している。
【0030】
図4に示す例においては、南北(SN)方向が通行可能となっており、南北(SN)方向に向いた夫々の信号機6が横断許可信号灯(青色灯)を点灯し、東西(EW)方向に向いた夫々の信号機6が横断禁止信号灯(赤色灯)を点灯している。このとき、制御装置5(図1参照)は、交差点の東側に設けられた白線4Eと、交差点の西側に設けられた白線4Wとを点灯させる。すなわち、制御装置5は、信号機6の横断許可信号灯点灯中に、横断許可されている横断歩道の発光パネル2を点灯し、横断禁止信号灯点灯中に、横断禁止されている横断歩道の発光パネルを消灯するように点灯制御する。また、制御装置5は、信号機6の横断許可信号灯点灯中における発光パネル2の発光量を、横断禁止信号灯点灯中における発光パネルの発光量より大きくなるように点灯制御してもよい。このようすることによって、交差点の南西角に居た歩行者M1は、発光パネル3(図2参照)の点灯によって白線4Wが明るく光るので、横断可能な横断歩道の位置を容易に確認できる。また、この白線4Wを歩行中の歩行者M2は、発光パネル2によって照らし出されるので、自動車の運転手等(不図示)にとって歩行者M2の姿を認識し易くなる。
【0031】
制御装置5は、所定時間が経過すると、青色灯を点灯している南北(SN)方向の信号機6を点滅状態とする。このとき、制御装置5は、点灯していた白線4E,4Wを、信号機6と同期して点滅させる。なお、南北(SN)方向に向いた車道用信号は黄色灯を点灯している(不図示)。続いて、図5の例に示すように、東西(EW)方向が通行可能となり、東西(EW)方向に向いた夫々の信号機6が青色灯を点灯し、南北(SN)方向に向いた夫々の信号機6が赤色灯を点灯する。このとき、制御装置5は、交差点の北側に設けられた白線4Nと、交差点の南側に設けられた白線4Sとが点灯する。
【0032】
本実施形態において、発光パネル3は、白線4の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることが好ましい。例えば、図6に示すように、カバー部32内に複数のスリット部38が白線4の短手方向に平行に設けられる。こうすれば、有機EL素子2から出射した光のうち、白線4の長手方向に出射した光は、スリット部38によって遮蔽される。一方、有機EL素子2から出射した光のうち、白線4の垂直方向及び短手方向に出射した光は、スリット部38によって遮蔽されることなく、カバー部32から出射される。その結果、白線4の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなる。
【0033】
こうすれば、図7に示すように、交差点で停止している自動車の運転手に対して、白線4によって眩しさを感じさせることが少なくなる。一方、白線4の垂直方向及び白線4の短手方向への光は抑制されないので、歩行者M3にとって白線4を容易に確認でき、しかも、自動車の運転手等にとって横断歩道を渡る歩行者の姿を認識し易くなる。
【0034】
次に、本実施形態の歩道システム1の変形例について、図8を参照して説明する。この変形例に係る歩道システム1は、交差点の各コーナー近傍に人感センサ51を設けたものである。なお、図8には、交差点の各コーナーに設けられた信号機6を支える支柱の夫々に人感センサ51を設けた例を示すが、人感センサ51の設置位置又は個数等は必ずしもこれに限られない。
【0035】
制御装置5は、人感センサ51の検知情報を受信すると、その人感センサ51の近傍にある白線4を割り出し、その白線4に配設された発光パネル3を点灯させる。また、制御装置5は、上述した実施形態と同様、信号機6の点灯と同期するように発光パネル3を点灯制御する。すなわち、制御装置5は、人の存在を検知した人感センサ51の近傍にあり、青色灯が点灯されている信号機6と同期するように、特定の白線4に配設されている発光パネル3を点灯制御する。図8の例においては、交差点の南東角に歩行者M4が居り、その近傍の人感センサ51が人の存在を検知したので、このとき、制御装置5は、青色灯が点灯している信号機6と同期するように、白線4の発光パネル3を点灯させる。
【0036】
このように、人感センサ51を用いて、交差点近傍に人が存在するときのみ、発光パネル3を点灯させれば、交差点付近に人が居ないときの無駄な点灯を抑制し、消費電力を節約することができる。また、発光パネル3の点灯回数も少なくなるので、発光層23b(図3参照)への負荷が抑えられ、有機EL素子2の長寿命化を図ることもできる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態に係る歩道システムについて、図9乃至図11を参照して説明する。本実施形態の歩道システム1は、図9及び図10に示すように、有機EL素子2を有する発光パネル3を歩道Bと車道Cとの境界近傍に埋め込んで形成したブロック9と、有機EL素子2を点灯制御する制御装置5とを備えたものである。以下、本実施形態のブロック9としては、図9に示すような、いわゆる点字ブロックを例として説明するが、必ずしもこれに限らず、例えば、車乗り上げ防止ブロック等であってもよい(不図示)。また、ブロック9の配設場所は、歩道Bと車道Cとの境界近傍であれば、必ずしも図示したような交差点近傍に限られず、歩行者及び自動者の運転手等に交通安全上、注意喚起を要する箇所であればよい。本実施形態によれば、ブロック9が、上述した白線4と同様に照らし出されるため、歩行者やブロックの存在を確認し易くなる。
【0038】
また、本実施形態の歩道システム1は、上記第1の実施形態同様、制御装置5が、信号機6の点灯と同期するように有機EL素子2を点灯制御することが望ましい。こうすれば、歩行者は、信号機6の点灯に加えて、ブロックの点灯によって交差点の位置と通行の可否を容易に確認することができる。特に、弱視者にとっては、視界の上方に設けられた信号機6よりも、足元に存在するブロック9の点灯の方が視界に入り易く、より容易に交差点の位置と通行の可否を確認することができる。
【0039】
なお、ブロック9が点字ブロックである場合、図11(a)(b)に示す構成が挙げられる。ブロック9は、有機EL素子2を有する発光パネル3が内装されており、この表面に複数の突起部91を有する導光カバー92が設けられたものである。また、ブロック9には、有機EL素子2に給電するための給電部93と、他のブロック9又は配線7(図10参照)との電気的なの接続を可能としる接続端子94とを備える。また、導光カバー92に上述したスリット部材を内装させることにより(不図示)、ブロック9の車道Cに沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるようにすることができる。なお、突起部91には光拡散材料が塗布されることが好ましい。こうすれば、埋め込まれたブロック9を、歩行者が水平方向からでもその点灯を確認し易くなる。
【0040】
また、複数の突起部91が発光するように、この突起部91に有機EL素子2が設けられて、これらによって発光パネルが構成されてもよい(不図示)また、突起部91に一部に光遮蔽部を設けることにより、ブロック9の車道Cに沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるようにすることができる。
【0041】
なお、本発明は、上述の実施形態に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、赤色、青色、黄色の3色を発光可能な有機EL素子2を用い、制御装置5が、これらの発光色を信号機6の発光色と同じように点灯制御するようにしてもよい。また、本実施形態においては、有機EL素子2を用いた例について説明したが、無機EL素子など、他のEL素子であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 歩道システム
2 EL素子(有機EL素子)
3 発光パネル
4 白線
5 制御装置
6 信号機
9 ブロック
B 歩道
C 車道
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線と、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする歩道システム。
【請求項2】
前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することを特徴とする請求項1に記載の歩道システム。
【請求項3】
前記発光パネルは、前記白線の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩道システム。
【請求項4】
EL素子を有する発光パネルを歩道と車道との境界近傍に埋め込んで形成したブロックと、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする歩道システム。
【請求項5】
前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することを特徴とする請求項4に記載の歩道システム。
【請求項6】
前記発光パネルは、前記ブロックの車道に沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の歩道システム。
【請求項1】
EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線と、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする歩道システム。
【請求項2】
前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することを特徴とする請求項1に記載の歩道システム。
【請求項3】
前記発光パネルは、前記白線の短手方向よりも長手方向への発光量が少なくなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩道システム。
【請求項4】
EL素子を有する発光パネルを歩道と車道との境界近傍に埋め込んで形成したブロックと、前記発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする歩道システム。
【請求項5】
前記制御装置は、信号機の点灯と同期するように前記発光パネルを点灯制御することを特徴とする請求項4に記載の歩道システム。
【請求項6】
前記発光パネルは、前記ブロックの車道に沿った方向よりも他の方向への発光量が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の歩道システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12916(P2012−12916A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153486(P2010−153486)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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