説明

歩道橋橋面舗装の施工工法と改修工法

【課題】歩道橋橋面舗装において、可撓性の有る歩行者系薄型カラータイルを用いて、その施工期間を短縮する施工工法と改修工法を提供する。
【解決手段】施工する歩道橋橋面の表面をケレン仕上げ等の補修後、撥水性乳剤系接着剤を塗布し、可撓性の有る歩行者系薄型カラータイルを貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道橋、側道橋等鋼床基版面舗装の施工工法と改修工法に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
横断歩道橋等の多くは、小中学生等の弱者を交通事故から守る場所に建設されている。このため、歩道橋橋面の歩道面は、安心して安全に歩行できることが望まれている。しかし、殆どの歩道橋橋面の歩道面にはクラックが発生し舗装材が所々剥離している。
【0003】
その原因は、横断歩道橋等の構造体は、スパン長の制限から走行車及び歩行者により振動するので、鋼床版上の舗装構造体が振動に追従できず、舗装層表面にクラックが発生し舗装材が剥離することにある。
【0004】
したがって、横断歩道橋等が受ける振動に追従できる舗装構造体と舗装材が求められている。その条件として死荷重の小さいことが第一である。且つ、ファッション性豊かな景観が提供できることが求められる。
【0005】
このため、樹脂舗装や有色石材版、窯業系有色タイル等を用いた施工工法が多く行われているが、いずれの工法も舗装構造体と舗装材が振動に追従できず、舗装層表面にクラックが発生し舗装材が剥離する課題がある。
【0006】
従来の横断歩道橋等の一般的な舗装構造は、鋼床版表面の防水、錆止め塗布層、その上に、アスファルトやセメントの調整層、接着剤層、舗装材層と四層構造となっている。特に、アスファルトブロック、有色石材版、窯業系有色タイル類の舗装材層は、舗装材調整用セメントモルタル又はアスファルトモルタル層を設け、アスファルト系、セメント系接着剤等を塗布し、舗装材を敷き詰め目地部へ目地材を充填する方法等の手段を採用することで達成している。しかし、防水、錆止め用塗布層以外は、振動を吸収することが出来ず、クラックの発生を防止することはできていない。且つ、舗装材を敷き詰めた目地部に発生するヘアークラックからの浸水も、クラック発生進行の原因であることが課題になっている。
【0007】
以上より、従来の歩道橋橋面等の舗装材と歩道面の施工工法及び改修工法では、歩道橋橋面等に生じる振動が吸収できずクラックが発生して舗装材が剥離する欠点がある。このことが、歩道橋橋面舗道の耐久性と安全性確保の課題となっている。
【0008】
そこで本発明は、歩道橋橋面等の歩道面にクラックが発生しない舗装材による施工工法と改修工法を提供することを目的とするものである。
【特許文献1】特開昭61年−025843号公報
【特許文献2】特開昭63年−131053号公報
【非特許文献1】第19回日本道路会議一般論文集、カラーバインダーを用いた薄型カラー舗装タイルの施工事例
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記した如く、歩道橋等橋面舗装の耐久性と安全性を確保するためには、鋼床基版の振動に追従できる舗装材による施工工法及び改修工法を行うことが望まれている。
【0010】
従来の歩道橋等橋面舗装の舗装材には、アスファルトブロック、石板、窯業系タイル類、樹脂舗装等の舗装材が用いられているが、これらの舗装材を用いる工法では鋼床基版の振動に追従できず、舗装面にクラックが発生する。そのクラックから雨水が浸入して舗装材が剥離する等、歩道橋橋面舗装の耐久性と安全性を確保することが出来ない課題があった。
【0011】
また、上述のアスファルトブロック、石板、窯業系タイル類の施工に於いては熟練工を要し、且つ、施工期間が長く施工終了後の養生期間を必要とするためコスト面にも影響していた。
【0012】
このようなことから、歩道橋橋面舗装において、これらの要求を十分に満足させる歩行者系舗装材と施工方法及び改修工法が無いのが現状である。
【0013】
且つ、死荷重の大きいアスファルトブロック、石板、窯業系タイル類は、横断歩道橋自体の構造より、振動が増幅され振動が長引く現象を起こす原因となっていた。
【0014】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、橋面の振動が吸収できて、滑りにくく、つまずかない、ソフト感の有る、見ためが美しく、且つ、死荷重の小さい可撓性を有する舗装材で、目地部を突き合わせ一面一体となる施工工法と改修工法により、施工期間が短く施工終了後の養生期間を必要としない施工工法と改修工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための、請求項1に係わる発明は、鋼床基版の歩道橋、側道橋等の橋面舗装を施工、改修するに当たり、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの裏面を直火バーナ等で加熱し、可撓性を利用して鋼床版に圧設しながら目地部は突き合わせ一面一体とすることを特徴とする、歩道橋等の橋面舗装の施工工法と改修工法。
【0016】
請求項2に係わる発明は、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの表面に蓄光石等を散在して露出定着させ夜間安全に誘導できる歩道部を得ることを特徴とする、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの施工に当たり、請求項1記載の施工方法と改修方工法。
【0017】
場合によっては、鋼床基版上の錆止等の塗布層をケレン仕上げして、撥水性乳剤系接着剤を塗布し薄型舗装用カラータイルを上述の通り添付することもある。
【0018】
請求項1及び請求項2に用いる可撓性を有する薄型舗装用カラータイルは、有色アスファルトをバインダーとして天然有色骨材、人造有色骨材、蓄光石等及び色合い調整用顔料を、常温で可撓性が得られるように配合し加熱混合後矩形体に成形し、この矩形成形体を厚さ方向に切断して、切断表面が有色骨材、蓄光石等の切断面が散在したモザイク模様となり、且つ、常温で可撓性があり加熱するとその可撓性は増すことを特徴とする。
【0019】
また、この可撓性を有する薄型舗装用カラータイルは、5ミリメートル厚さで死荷重が平方メートル当たり約12キログラムと軽量の上、有色舗装材に加え表面にはモザイク模様が有り、滑りにくく、ソフト感があり、且つ、耐磨耗性に優れていることを特徴とした舗装材である。非特許文献1記載の通り。
【0020】
また、この可撓性を有する薄型舗装用カラータイルは、蓄光石等の配合比率を高めることで、夜間歩行を安全にする誘導性を重視した機能を提供することができる。
【0021】
本発明の施工工法及び改修工法は、従来の施工工法及び改修工法と全く異なり、鋼床基版層と撥水性乳剤系接着剤層と舗装層の三層構造で、ケレン等の表面処理後の鋼床基版層上に、接着剤として撥水性乳剤系接着剤を塗布し、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルをカラータイル自体の熱可塑性と可撓性の自己接着力で、歩道橋橋面舗装の耐久性と安全性を提供することを目的としている。非特許文献1記載の通り。
【実施例】
【0022】
以下に、横断歩道橋鏡面改修工事の実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】
国道に架かる歩道橋は小学校の横に有り、生徒は必ず横断歩道橋を利用する。鏡面は、15センチメール×15センチメール×25ミリメートル厚のアスファルトブロックで舗装されていた。橋面舗装層のアスファルトブロックは三分の一以上が無くなっており、残りのアスファルトブロックはセメントモルタル層と共にガタついて鋼床基版より分離していた。さらに、歩道橋端部はセメントモルタル層も無くなり鋼床基版がむき出しで錆びていた。
【0024】
鋼床基版上のセメントモルタル層とアスファルトブロックを全て剥ぎ取り、鋼床基版のケレン仕上げ後表面を清掃して、模様貼リ基線を引いた。鋼床基版上に撥水性乳剤系接着剤を塗布して、5ミリメートル厚さの可撓性を有する歩行者系薄型舗装用カラータイルを、貼付面を直火バーナで加熱し目地部を突き合わせ一面一体としながら模様貼りをして、終了後、橋面排水口・手すりポール等構築物との接合部を焼きコテで隙間無く水勾配を取りながら仕上げた。非特許文献1記載
【発明の効果】
【0025】
以下の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0026】
本発明の施工に使用する熱可塑製で可撓性のある薄型カラータイルは、加熱することでその撓み度が向上し、自己接着力が増すので、既設舗装面への貼付施工が可能である。また、薄型で可撓性があるので、既設構造物との取合いに支障無く施工できる。
【0027】
可撓性を有する歩行者系薄型舗装用カラータイルは,施工場所の文化にマッチングした模様、図柄等の、景観舗装を提供することができる。
【0028】
本発明請求項1の施工方法と改修工法は、使用する可撓性を有するカラー舗装材が常温で可撓性が有り、非特許文献1記載の如く、振動で割れることなく歩道橋の耐久性と安全性を提供できる施工工法と改修工法を提供することができる。
【0029】
本発明請求項2の施工工法と改修工法は、使用する可撓性を有する歩行者系薄型カラー舗装材表面の蓄光材が夜間輝くので、歩行者を安全に誘導することが提供できる施工工法と改修工法を可能とする。
【0030】
また、施工には熟練を要せず、養生期間が要らないので工期が短期できトータルコスト面で貢献できる施工方法と改修工法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 本発明技術の歩道橋鏡面舗装構造断面図
【図2】 従来技術の歩道橋鏡面舗装構造断面図
【符号の説明】
【0032】
1 鋼床基版層
2 撥水性乳剤系接着層
3 可撓性のある歩行者系薄型カラータイル層
4 錆止剤塗布層
5 下地調整層
6 表面仕上げ舗装材層
7 目地剤
R 歩道橋鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼床基版の歩道橋、側道橋等の橋面舗装を施工、改修するに当たり、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの裏面を直火バーナ等で加熱し、可撓性を利用して鋼床版に圧設しながら目地部は突き合わせ一面一体とすることを特徴とする、歩道橋等の橋面舗装の施工工法と改修工法。
【請求項2】
可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの表面に蓄光石等を散在し露出定着させ夜間安全に誘導できる歩道部を得ることを特徴とする、可撓性を有する薄型舗装用カラータイルの施工に当たり、請求項1記載の施工工法と改修工法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−127411(P2009−127411A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326520(P2007−326520)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(507289896)株式会社アーステック (4)
【Fターム(参考)】