説明

歯磨組成物

【解決手段】(a)塩化ナトリウム、(b)メントール、ペパーミント油及びハッカ油から選ばれる少なくとも1種、(c)コハク酸モノメンチル、(d)界面活性剤を含有し、(c)コハク酸モノメンチルの配合量が0.03〜1質量%であることを特徴とする歯磨組成物。更に、上記歯磨組成物に、(e)下記(e−1)及び(e−2)から選ばれる少なくとも1種を配合する。
(e−1)バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントール
(e−2)ブラックペッパー、トウガラシ、ジンジャーから選ばれる植物の精油又は抽出物
【効果】上記歯磨組成物は、使用時の清涼感に優れ、かつ使用後にその清涼感が長時間に亘って持続的に発揮され、苦味、嫌味などもほとんどなく、爽快感及び薬効感(ひきしめ感及び適度な刺激感)を効果的に付与でき、使用感に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時の清涼感に優れ、使用後にも清涼感が持続し、薬効感(歯茎等のひきしめ感や適度な刺激性)付与効果による爽快感が高い歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨組成物にメントールやペパーミント油、ハッカ油などを配合し、清涼感を付与することは広く行われ、市販製品は多数存在する。更に、清涼感を強化もしくは清涼感を持続させる検討は数多く行われており、特許文献1(特開2005−8535号公報)には、メントール類と各種冷感剤とを含有する毛髪及び身体洗浄剤組成物が優れた清涼効果及びその持続性を有すること、特許文献2(特開2007−2005号公報)には、メントール類と各種冷感剤とを組み合わせ、冷感効果を有する香料組成物が、口腔用組成物に配合されることが記載されている。しかし、いずれの技術も清涼感持続性の効果は十分でなく、メントールの苦味の抑制も満足できるものではない。
【0003】
また、歯磨組成物に塩化ナトリウムを配合することで、歯周病予防に対する歯茎のひきしめ効果を与えると同時に、使用後のさっぱりした使用感を与えることができる。特許文献3(特開2002−212041号公報)には、口腔用組成物において塩化ナトリウムや重曹によりメントールの苦味を抑制する技術が示されているが、この場合は、塩化ナトリウム由来の刺激や塩辛い後味が強すぎるため、商品価値上好ましくない。
【0004】
従って、このような課題が解消され、使用時の清涼感及び使用後の清涼感の持続性に優れ、薬効感(ひきしめ感や適度な刺激性)付与効果を兼ね備えることにより、爽快感に優れ、かつ、苦味や塩味の嫌味のない使用感を有する歯磨組成物の開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−8535号公報
【特許文献2】特開2007−2005号公報
【特許文献3】特開2002−212041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、使用時の清涼感及び使用後の清涼感持続性に優れ、薬効感(ひきしめ感や適度な刺激性)付与効果を兼ね備えた、爽快感に優れ、使用感の良好な歯磨組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため、歯磨組成物に効率的な清涼感を付与する技術を鋭意研究した結果、メントール等の清涼感付与物質と、冷感付与成分のコハク酸モノメンチルとを併用し、これに塩化ナトリウムと、界面活性剤とを組み合わせて配合した歯磨組成物が、使用時における清涼感の向上効果が高く、また使用後は使用直後から効果的に清涼感が持続し、かつ、歯茎のひきしめ感や適度な刺激性を付与し得ることで、良好な爽快感を付与し得ると共に、メントール由来の苦味や塩化ナトリウム由来の嫌味(例えばイガラっぽさや塩辛さなど)などもほとんどなく使用感も良好であることを見出した。更に、上記組成物に、下記(e−1)及び(e−2)から選ばれる少なくとも1種の香料成分を配合すると、上記した苦味や嫌味がより和らぐばかりでなく、使用後のより優れた清涼感と薬効感(ひきしめ感や適度な刺激感)とが相まって、従来の歯磨組成物と比較し飛躍的に使用感が向上し、爽快感に優れた歯磨組成物が得られることを見出した。本発明は、これら新知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
従って、本発明は、(a)塩化ナトリウム、(b)メントール、ペパーミント油及びハッカ油から選ばれる少なくとも1種、(c)コハク酸モノメンチル、(d)界面活性剤を含有し、(c)コハク酸モノメンチルの配合量が0.03〜1質量%であることを特徴とする歯磨組成物、及び、更に、(e)下記(e−1)及び(e−2)
(e−1)バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントール
(e−2)ブラックペッパー、トウガラシ、ジンジャーから選ばれる植物の精油又は抽出物
から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記の歯磨組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯磨組成物は、使用時の清涼感に優れ、かつ使用後は使用直後からその清涼感が長時間に亘って持続的に発揮され、苦味、嫌味などもほとんどなく、爽快感及び薬効感(ひきしめ感及び適度な刺激感)を効果的に付与でき、使用感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨組成物は、(a)塩化ナトリウム、(b)メントール、ペパーミント油及びハッカ油から選ばれる清涼感付与成分、(c)コハク酸モノメンチル、(d)界面活性剤を含有し、更に、(e)下記(e−1)及び(e−2)
(e−1)バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントール
(e−2)ブラックペッパー、トウガラシ、ジンジャーから選ばれる植物の精油又は抽出物
から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0011】
(a)塩化ナトリウムは、歯茎のひきしめ感を付与し、使用中や使用直後の清涼感を強化し得る成分であり、市販品を用いることができ、例えば精選特級塩として日本海水(株)製の製品を使用することができる。
【0012】
塩化ナトリウムの配合量は、組成物全量に対して1〜15%(質量%、以下同様。)、特に1.5〜10%、とりわけ2〜8%が好ましい。配合量が1%未満では、十分な歯茎のひきしめ感による薬効感付与効果及び清涼感向上効果が発揮されない場合があり、15%を超えると、塩味が強すぎて十分な口腔清掃ができないばかりか、むしろ清涼感を弱めてしまい、清涼感向上効果が発揮されないことがある。
【0013】
成分(b)のメントール、ペパーミント油、ハッカ油から選ばれる成分は、清涼感を付与する成分であり、1種を単独で又は2種以上を併用して配合できるが、特に清涼感付与の点でメントールが好ましく使用される。更に、メントールと、メントールを含有する精油であるペパーミント油及び/又はハッカ油とを併用することが、満足な清涼感を付与し、かつ苦味を少なくできる点でより好ましい。
上記成分(b)は市販品を用いることができ、例えばメントールは高砂香料工業(株)製メントールJP(商品名)、ペパーミント油は高砂香料工業(株)製、ハッカ油は東洋薄荷工業(株)製の精油などを使用できる。
【0014】
成分(b)の総配合量は、組成物全量に対して0.1〜2.5%、特に0.2〜1.5%、とりわけ0.3〜1%が好ましい。配合量が0.1%未満では、十分な清涼感が得られない場合があり、2.5%を超えると苦味や刺激が強く使用感に劣る上、口腔粘膜剥離などの身体的障害が生じることがある。
更に、成分(b)は、組成中のメントールの合計含有量が0.2〜1%、特に0.3〜0.8%、とりわけ0.5〜0.7%となる範囲で配合することが、十分な清涼感を得ると共に苦味や刺激がなく良好な使用感を得るために好ましい。
【0015】
(c)コハク酸モノメンチルは、冷感を付与し、成分(b)由来の清涼感の増強や、使用後の清涼感の持続性向上に寄与する成分である。コハク酸モノメンチルは市販品を用いることができ、例えばコハク酸モノメンチルはヴェ・マンフィス香料(株)製フィスクール(商品名)を使用することができる。
【0016】
コハク酸モノメンチルの配合量は、組成物全量に対して0.03〜1%であり、好ましくは0.04〜0.5%、より好ましくは0.05〜0.2%である。配合量が0.03%未満では、十分な清涼感持続の効果が得られず、1%を超えるとむしろ清涼感が抑えられ、香味発現が阻害されて使用上好ましくない。
【0017】
本発明の歯磨組成物は、清涼感を増強する成分としてコハク酸モノメンチルのみを配合し、他の清涼感増強成分は配合しなくてもよいが、必要に応じてその他の清涼感を増強し得る成分、例えば公知の冷感剤を併用してもよい。冷感剤としては、例えば3−L−メントキシプロパン−1,2−ジオール(例えば高砂香料工業(株)製クーリングエージェントCA10(商品名))、メンチルラクテート(例えばシムライズ(株)製FRESCOLAT ML(商品名))、メンチルグリセリンアセタール(例えばシムライズ(株)製FRESCOLAT MGA(商品名))、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(例えばジボダン(株)製WS3)などの1種又は2種以上を挙げることができる。なお、他の冷感剤を配合する場合は、コハク酸モノメンチルとの合計配合量が、上記コハク酸モノメンチルの配合量範囲を超えない量で添加することが望ましい。
【0018】
成分(b)/成分(c)の質量比は、0.5〜25、特に1〜20、とりわけ2〜15が好ましい。比率が範囲外では、使用時における清涼感、使用後の清涼感持続効果が十分に発揮されないことがある。
更に、成分(a)/{成分(b)+成分(c)}の質量比を1〜20、特に1.5〜18、とりわけ2〜15とすることが望ましく、これにより、使用時における清涼感がより向上し、使用後においても効果的に清涼感付与効果を持続させ、飛躍的に使用感を向上させることができる。
【0019】
(d)界面活性剤は、配合成分、特に成分(b)、(c)、(e)を可溶化するもので、公知の陰イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤の1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
陰イオン性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が用いられ、中でもラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩が可溶化の点から好適に使用できる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が用いられ、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(とりわけ酸化エチレンの付加モル数が10〜30のもの)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(とりわけエチレンオキサイドの付加モル数が3〜5で、アルキル基の炭素鎖長が16〜18のもの)が可溶化の点から好適に使用できる。
両性イオン界面活性剤としては、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキルN−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムなどが用いられる。
【0021】
成分(d)の界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤とを併用することが可溶化の点でより好ましく、とりわけラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩と、エチレンオキサイドの付加モル数が10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜5及びアルキル基の炭素鎖長が16〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルとを組み合わせて使用することが好ましい。
【0022】
成分(d)の界面活性剤の総配合量は、組成物全量に対し0.1〜5%、特に1〜4%が好ましい。配合量が0.1%未満では、成分(b)、(c)、(e)が製剤中で十分に可溶化せず清涼感や薬効感の効果が満足に発揮されないことがあり、5%を超えると、香味の発現が阻害され、清涼感や薬効感が満足に発揮されない場合がある。
【0023】
成分(e)は、下記(e−1)及び(e−2)から選ばれる1種又は2種以上の香料成分である。
(e−1)バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントール
(e−2)ブラックペッパー、トウガラシ、ジンジャーから選ばれる1種又は2種以上の植物の精油又は抽出物
このような単品香料や天然香料を香料成分として配合することにより塩味・苦味の嫌味がマスキングされ、辛味刺激による薬効感をより有効に付与することができる。成分(e)としては、成分(e−1)又は(e−2)を配合しても、(e−1)及び(e−2)を組み合わせて配合してもよいが、特にバニリルブチルエーテル及び/又はスピラントールの配合が好ましい。
なお、成分(e−1)としては、バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントールを含有する植物の精油又は抽出物を使用し、配合してもよい。
【0024】
成分(e)において、ここでいう精油とは、植物の全草もしくは花、果実、葉、茎、根、種子などの植物体を水蒸気蒸留によって得られた油をさし、蒸留物全量もしくは前溜部及び/又は後溜部を除去した油を用いてもよい。また、抽出物とは、植物体を水、及び/又はエタノールなどの有機溶剤で抽出したものをさし、一般にエキストラクト、オレオレジン、レジノイド、コンクリート、アブソリュートと称されるものが抽出物に相当し、これらを用いることができる。
【0025】
上記成分(e)の香料成分としては、市販品を用いることができ、例えば(e−1)としては、バニリルブチルエーテルは高砂香料工業(株)製の製品、スピラントールは高砂香料工業(株)製のパラクレスオイル、更に、(e−2)の植物の精油又は抽出物としては、ブラックペッパーは曽田香料(株)製のブラックペッパー抽出物、トウガラシは永廣堂本店(株)製のトウガラシエキストラクト、ジンジャーは大洋香料(株)製のジンジャーオイルや塩野香料(株)製のジンジャーオレオレジンなどを用いることができる。
【0026】
成分(e)を配合する場合、その総配合量は、組成物全量に対して0.00001〜0.2%、特に0.0001〜0.1%、とりわけ0.001〜0.05%が好ましい。配合量が0.00001%未満では、塩味や苦味の嫌味マスキング効果や十分な薬効感が得られない場合があり、0.2%を超えると辛味や刺激が強すぎて使用感が劣ったり、口腔粘膜剥離などの身体的障害を生じせしめることがある。なお、成分(e−1)としてバニリルブチルエーテル及び/又はスピラントールを含有する植物の精油又は抽出物を配合する場合は、バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントールの組成中の含有量が上記範囲内になる量とすることができる。
【0027】
更に、成分(e)の各香料のそれぞれの配合量は、上記配合量範囲内で適当量とすることができるが、嫌味マスキング効果及び薬効感付与の点において、各香料のより最適な配合量は、バニリルブチルエーテルは0.0001〜0.05%、スピラントールは0.001〜0.05%、ブラックペッパーの精油又は抽出物は0.001〜0.05%、トウガラシの精油又は抽出物は0.001〜0.01%、ジンジャーの精油又は抽出物は0.001〜0.05%である。
【0028】
本発明の歯磨組成物は、練歯磨、液状歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等として、特に練歯磨として調製でき、上記必須成分に加えて、必要に応じて他の公知の添加剤を本発明の効果を妨げない範囲で配合できる。例えば研磨剤、粘稠剤、粘結剤、甘味剤、防腐剤、各種有効成分、香料、着色剤等を配合でき、これら成分と水とを混合して製造することができる。
【0029】
研磨剤としては、無水ケイ酸、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム無水和物、第2リン酸カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、2酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。これらの研磨剤の配合量は、歯磨組成物全体の2〜50%、特に10〜40%とすることが好ましい。
【0030】
粘稠剤としては、ソルビット、グリセリン等の糖アルコール、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物などの多価アルコール等の1種又は2種以上が使用できる(配合量は、通常、組成全体の5〜50%)。
【0031】
粘結剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボポール、グアガム、ゼラチン、アビセル、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる(配合量は、通常、組成全体の0.1〜5%)。
【0032】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩などが挙げられる。
【0033】
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェノール、α−ビサボロール、ジヒドロコレステロール、クロロヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩類、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、メトキシエチレン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、オウバクエキス等が挙げられる。なお、これら有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0034】
香料としては、例えば、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、コリアンダー油、オレンジ油、レモン油、マンダリン油、ライム油、グレープフルーツ油、柚子油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、シソ油、カモミル油、スペアミント油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、パチュリ油、オリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、パチュリアブソリュート等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、リナロール、アネトール、チモール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、フェンコン、シネオール、ヘキサナール、オクタナール、アニスアルデヒド、シンナミックアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、カルビールアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、メチルエピジャスモネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、エチルラクテート、バニリン、マルトール、炭素数4〜12のガンマ及びデルタラクトン、アンブレットリド、ジメチルサルファイド、トリメチルピラジン、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、ウメフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー等の調合香料等、歯磨組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これらの香料素材の配合量は特に限定されないが、歯磨組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、歯磨組成物中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
【0035】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号等を通常量で配合することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
【0037】
〔実験例〕
表1〜3に示す組成の歯磨組成物を常法により調製した。歯磨組成物の調製には、塩化ナトリウム(精選特級塩、日本海水(株))、メントール(メントールJP、高砂香料工業(株))、ペパーミント油(高砂香料工業(株)、メントール約45%含有)、ハッカ油(東洋薄荷工業(株)、メントール約40%含有)、コハク酸モノメンチル(フィスクール(商品名)、ヴェ・マンフィス香料(株))、ラウリル硫酸ナトリウム(東邦化学工業(株))、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油(エマレックスHC−20(商品名)、日本エマルジョン(株))、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル(エマレックス605(商品名)、日本エマルジョン(株))、バニリルブチルエーテル(HOTACT VBE(商品名)、高砂香料工業(株))、ブラックペッパー(ブラックペッパー抽出物、曽田香料(株))、トウガラシ(トウガラシエキストラクト、永廣堂本店(株))、ジンジャー(ジンジャーオレオレジン、塩野香料(株))、スピラントール(パラクレスオイル(スピラントール約70%含有)、高砂香料工業(株))を用いた。他成分については、クエン酸一水和物、水酸化ナトリウム、無水ケイ酸、酸化チタン、ポリエチレングリコール4000、カルボキシメチルセルロース、サッカリンナトリウム、ソルビット70%水溶液、プロピレングリコール、モノフルオロリン酸ナトリウムは外原規(医薬部外品原料規格)規格品、精製水は粧原基(化粧品原料基準)規格品を用いた。
【0038】
表1〜3に示した組成の歯磨組成物(練歯磨)について下記評価を行った。10名の被験者により、1gの歯磨組成物を歯刷子(ライオン株式会社、デンターシステマ ライオンハブラシ レギュラー)にとり、3分間のブラッシングの後、使用中の清涼感、使用直後の清涼感、使用後10分後の清涼感、嫌味のなさ(塩味)、嫌味のなさ(苦味)、ひきしめ感及び辛味刺激による総合的な薬効感について、以下の基準で、相対評価又は絶対評価での官能試験を行った。10名の平均値を求め、下記基準で評価した。結果を表1〜3に示す。
【0039】
(i)使用中の清涼感
(評点)
4点: 比較例3に比べ、清涼感が非常に強い
3点: 比較例3に比べ、清涼感が強い
2点: 比較例3に比べ、清涼感が同等
1点: 比較例3に比べ、清涼感が弱い
(評価基準)
使用中の清涼感平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0040】
(ii)使用直後の清涼感
(評点)
4点: 比較例3に比べ、清涼感が非常に強い
3点: 比較例3に比べ、清涼感が強い
2点: 比較例3に比べ、清涼感が同等
1点: 比較例3に比べ、清涼感が弱い
(評価基準)
使用直後の清涼感平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0041】
(iii)使用後10分後の清涼感
(評点)
4点: 比較例3に比べ、清涼感が非常に強い
3点: 比較例3に比べ、清涼感が強い
2点: 比較例3に比べ、清涼感が同等
1点: 比較例3に比べ、清涼感が弱い
(評価基準)
使用後10分後の清涼感平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0042】
(iv)嫌味のなさ(塩味)
(評点)
4点: 嫌味(塩味)を全く感じない
3点: 嫌味(塩味)をやや感じる
2点: 嫌味(塩味)を感じる
1点: 嫌味(塩味)を非常に感じる
(評価基準)
嫌味のなさ(塩味)平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0043】
(v)嫌味のなさ(苦味)
(評点)
4点: 嫌味(苦さ)を全く感じない
3点: 嫌味(苦さ)をやや感じる
2点: 嫌味(苦さ)を感じる
1点: 嫌味(苦さ)を非常に感じる
(評価基準)
嫌味のなさ(苦味)平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0044】
(vi)薬効感(ひきしめ感及び辛味刺激による総合的な薬効感)
(評点)
4点: 非常に感じる
3点: 感じる
2点: やや感じる
1点: 全く感じない
(評価基準)
薬効感平均点
◎: 3.5点以上4.0点以下
○: 3.0点以上3.5点未満
△: 2.0点以上3.0点未満
×: 1.0点以上2.0点未満
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
表1〜3の結果から、本発明の歯磨組成物は、使用中の清涼感、使用直後の清涼感、使用後10分後の清涼感、嫌味のなさ(塩味)、嫌味のなさ(苦味)、薬効感(ひきしめ感及び辛味刺激)において、いずれも良好であった。これに対して、本発明の必須要件のいずれかに欠ける歯磨組成物は、上記評価のいずれかに劣り、本発明の目的を達成できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩化ナトリウム、(b)メントール、ペパーミント油及びハッカ油から選ばれる少なくとも1種、(c)コハク酸モノメンチル、(d)界面活性剤を含有し、(c)コハク酸モノメンチルの配合量が0.03〜1質量%であることを特徴とする歯磨組成物。
【請求項2】
更に、(e)下記(e−1)及び(e−2)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の歯磨組成物。
(e−1)バニリルブチルエーテル及び/又はスピラントール
(e−2)ブラックペッパー、トウガラシ、ジンジャーから選ばれる植物の精油又は抽出物
【請求項3】
(d)界面活性剤として、アルキル硫酸塩と、エチレンオキサイドの付加モル数が10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜5及びアルキル基の炭素鎖長が16〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルとを併用することを特徴とする請求項1又は2記載の歯磨組成物。

【公開番号】特開2010−37318(P2010−37318A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205541(P2008−205541)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】