説明

段差用床シート及びその貼着構造

【課題】床下地の段差部のコーナーに形成されたアールが大きくても小さくてもそのアールに沿わせて凹溝形成部分を隙間が生じないように曲げながら貼着できる施工性の良好な段差用床シートと、その貼着構造を提供する。
【解決手段】矩形の平面形状を有する床シートの一端側の裏面に、その一端側の端辺1aと平行な複数の凹溝2a,2bを一定間隔をあけて形成し、これらの凹溝のうち床シートの他端側の端辺1bに近い方から1つ以上の凹溝2aについて、その溝幅を他の凹溝2bの溝幅より広くした段差用床シート10とする。貼着構造は、床シートの他端側の端辺に最も近い凹溝2aを床下地の段差部のコーナーのアール始端部に位置決めし、床シートの凹溝形成部分2をコーナーのアールに沿わせて曲げながら貼着した構造とする。溝幅の広い凹溝2aを形成した部分を小さな曲率半径で曲げることでコーナーの小さいアールにも貼着可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニー、ベランダ、テラスなどの床下地の段差部に貼着される段差用床シートに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅のバルコニー等の床下地には、防水塗装や防水シート貼りなどの防水処理が施されている。けれども、歩行時の摩擦によって防水処理が損傷したり、磨滅することがあり、特に、床下地の段差部の出隅コーナーは、防水処理の損傷や磨滅が生じ易い。そのため、床下地の段差部に保護シートを貼着し、段差部の防水処理の損傷や磨滅を防止する等の対策が採られている。
【0003】
そのような対策の具体例として、熱可塑性の合成樹脂又は/及びゴムを主成分とする短冊状の床用シートであって、少なくともその一端部の表面又は/及び裏面に、短冊長辺に平行する複数の切欠き溝を所定の間隔で設けたものを使用し、この床用シートを切欠き溝が形成された部分で下方に曲げて、バルコニーやベランダ等の床下地の段差部に貼着する技術が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−88651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の床用シートは、複数の切欠き溝が形成されているので、床下地の段差部に貼着する際に、この切欠き溝が形成された部分を段差部のコーナーのアールに沿わせて容易に曲げることができるようになっている。けれども、全ての切欠き溝が同一の狭い溝幅で形成されているため、段差部のコーナーのアールが小さい場合には、この小さいアールに沿うように小さい曲率半径で床用シートを曲げることが困難になり、施工性が低下するだけでなく、床用シートの切欠き溝形成部分とコーナーとの間に隙間が生じて歩行時に応力が切欠き溝形成部分に集中し、強度の弱い切欠き溝形成部分に亀裂や破損が生じる恐れがあった。
【0005】
また、上記特許文献1の床用シートを床下地の段差部に貼着する際に、強度の弱い切欠き溝形成部分の一部が段差部の上段面に重なると、歩行者の踏圧力が切欠き溝形成部分の一部に直接作用し、比較的短期間で切欠き溝形成部分に亀裂や破損が生じる恐れもあった。
【0006】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、床下地の段差部のコーナーに形成されたアールが大きくても小さくても、そのアールに沿わせて凹溝形成部分を隙間が生じないように曲げながら貼着できる施工性の良好な段差用床シートを提供することにある。
そして、もう一つの解決しようとする課題は、段差用床シートの凹溝形成部分が踏圧力を受けて亀裂や破損を生じる恐れのない段差用床シートの貼着構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る段差用床シートは、矩形の平面形状を有する床シートの一端側の裏面に、その一端側の端辺と平行な複数の凹溝を一定間隔をあけて形成した段差用床シートであって、上記複数の凹溝のうち床シートの他端側の端辺に近い方から1つ以上の凹溝について、その溝幅を他の凹溝の溝幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0008】
そして、本発明に係る段差用床シートの貼着構造は、上記の段差用床シートを、床下地に形成された段差部の上段面からアールが形成されたコーナーを経て段差面まで覆うように貼着した構造であって、上記床シートの複数の凹溝のうち上記床シートの他端側の端辺に最も近い凹溝を、上記段差部の上段面に連なるコーナーのアール始端部に位置決めして、上記床シートの凹溝形成部分を上記段差部のコーナーのアールに沿わせて曲げながら重ねると共に、上記床シートの凹溝形成部分より他端側のシート部分と一端側のシート部分を、上記段差部の上段面と段差面にそれぞれ重ねて、上記床シートを貼着したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の段差用床シートは、矩形の平面形状を有する床シートの一端側の裏面に、その一端側の端辺と平行な複数の凹溝を一定間隔をあけて形成しているので、床下地の段差部に貼着する際に、この凹溝形成部分を段差部のコーナーのアールに沿わせて実質的に隙間が生じないように曲げながら貼着することができる。しかも、本発明の段差用床シートは、複数の凹溝のうち床シートの他端側の端辺に近い方から1つ以上の凹溝について、その溝幅を他の凹溝の溝幅よりも広くしているので、凹溝形成部分を曲げるときには、溝幅の広い凹溝を形成した部分の曲率半径の方が、他の凹溝を形成した部分の曲率半径よりも小さくなる。従って、段差部のコーナーのアールが小さい場合には、溝幅の広い凹溝を形成した部分をコーナーの小さいアールに沿わせて小さい曲率半径で曲げながら貼着することができる。このように、本発明の段差用床シートは、段差部のコーナーのアールが大きくても小さくても、凹溝形成部分をアールに沿わせて曲げながら貼着できるので、施工性が良好であり、また、凹溝形成部分とコーナーとの間に隙間が生じにくいので、隙間が生じた場合のように歩行時に応力が凹溝形成部分に集中して亀裂や破損が生じる心配を解消することもできる。
【0010】
また、本発明の段差用床シートの貼着構造のように、段差用床シートの複数の凹溝のうち床シートの他端側の端辺に最も近い凹溝を、床下地の段差部の上段面に連なるコーナーのアール始端部に位置決めして、床シートの凹溝形成部分を段差部のコーナーのアールに沿わせて曲げながら重ねると共に、床シートの凹溝形成部分より他端側のシート部分と一端側のシート部分を、段差部の上段面と段差面にそれぞれ重ねて、床シートを貼着すると、強度の弱い凹溝形成部分が段差部の上段面に重ならないので、歩行者の踏圧力が凹溝形成部分に直接作用し難くなり、踏圧力によって凹溝形成部分に亀裂や破損が生じる心配を解消することができる。そして、小さな曲率半径で曲げることができる溝幅の広い凹溝を形成した部分が、コーナーのアールに必ず重なることになるので、コーナーのアールが大きい場合は勿論、アールが小さい場合でも、凹溝形成部分をアールに沿わせて曲げながら隙間なく重ねて貼着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る段差用床シートの斜視図、図2は同段差用床シートの横断面図、図3は同段差用床シートの凹溝の寸法についての説明図、図4は段差用床シートの凹溝の形状についての説明図、図5、図6は本発明に係る段差用床シートの貼着構造の説明図であって、図5は床下地のコーナーのアールが大きい段差部に段差用床シートを貼着した場合を示しており、図6は床下地のコーナーのアールが小さい段差部に段差用床シートを貼着した場合を示している。
【0013】
この段差用床シート10は、図1に示すように、矩形の平面形状を有する床シートであって、曲げやすい軟質の合成樹脂や合成ゴムから成るものであり、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂を主成分として充填材、各種添加剤、着色剤などを配合した床シートが好適である。この床シート10は、単層シートでも2層以上の積層シートでもよく、積層シートの場合は、中間層としてガラス繊維、炭素繊維、合成樹脂繊維などの不織布や織布を介在させて寸法安定性や耐引裂性を向上させてもよい。
【0014】
図2に示すように、この矩形状の床シート10の幅方向一端側(図2では右端側)の裏面には、その一端側の長い端辺1aと平行な複数の凹溝2a,2bが一定間隔をあけて床シート全長にわたって形成されている。そして、この凹溝形成部分2より他端側(図2では左端側)のシート部分3の表面には、床シート10の他端側の端辺1bと平行な複数の滑止め用の凸条3aと凹条3bが交互に床シート全長にわたって形成されている。また、一端側のシート部分4の端縁表面には、端縁の捲れ上がりを防止するためのコーキング剤を塗布するための凹段部4aが床シート全長にわたって形成されており、更に、この一端側のシート部分4の裏面には両面粘着テープ5が貼着されている。両面粘着テープ5としては、耐水・耐熱老化性の高いアクリル系粘着剤を用いた両面粘着テープが好ましく使用され、かかる両面粘着テープ5は、硬化型や溶剤型の接着剤に比べて初期の接合力が強いため、後述するように、床シート10の一端側のシート部分4が、曲げられた凹溝形成部分2の復元力で床下地の段差部の段差面から剥離しないように、一端側シート部分4を段差面に強固に貼着できる利点がある。
【0015】
図2,図3に示すように、上記の凹溝2a,2bは逆V形の断面形状を有する小さな凹溝であって、これらの凹溝2a,2bのうち、床シート10の他端側の端辺1bに近い方から2つの凹溝2a,2aについては、その溝幅Waと開き角θaが他の凹溝2bの溝幅Wbと開き角θbよりも大きくなっている。そのため、この床シート10の凹溝形成部分2を裏面側へ曲げるときには、溝幅の広い凹溝2aを形成した部分の曲率半径を、溝幅の狭い他の凹溝2bを形成した部分の曲率半径よりも小さくできるようになっている。
【0016】
この段差用床シート10は、上記のような複数の凹溝2a,2bを形成しているため、後述するように床下地の段差部に貼着するときには、図5に示すように、床シート10の凹溝形成部分2を段差部のコーナー22のアール22aに沿わせて、溝幅の広い凹溝2aを形成した部分も溝幅の狭い凹溝2bを形成した部分も同じ曲率半径で曲げながら実質的に隙間が生じないように貼着することができ、コーナーのアールが小さい場合には、図6に示すように、溝幅の広い凹溝2aを形成した部分をコーナー22の小さいアール22aに沿わせて、溝幅の狭い凹溝2bを形成した部分よりも小さい曲率半径で曲げながら貼着することができる。従って、この段差用床シート10は施工性が良好であり、また、凹溝形成部分2とコーナー22との間に隙間が生じにくいので、隙間が生じた場合のように歩行時に応力が床シート10の凹溝形成部分2に集中して亀裂や破損が生じる心配も解消することができる。
【0017】
凹溝2a,2bが上記のような逆V形の断面形状を有する溝であると、鋭角な溝底に応力が集中しやすく、破損や破断の原因となるので、凹溝2a,2bの溝底は、図4の(a)に示すような丸みを有する凹面2cや、図4の(b)に示すような下端が開放した円筒面2dや、図3に示すような水平面に形成し、応力集中を緩和することが好ましい。
【0018】
段差用床シート10の厚さTは1.0〜3.0mm(好ましくは1.5〜2.0mm)とするのがよく、その場合、凹溝2a,2bの深さDは0.5〜2.0mm(好ましくは0.5〜1.0mm)とするのがよい。つまり、凹溝2a,2bの溝底から床シート10の凹溝形成部分2の表面までの肉厚が0.5〜1.0mmとなるような深さDとするのが好適である。凹溝2a,2bが上記より深くなると、凹溝形成部分2の肉厚が薄くなり過ぎて、歩行時に亀裂や破損を生じる恐れがあり、一方、上記より浅くなると、床下地の段差部のコーナー22のアール22aに沿わせて凹溝形成部分2を曲げる作業がし辛くなる。
【0019】
また、幅広の凹溝2aの溝幅Waは、0.5〜1.0mm(好ましくは0.6〜0.7mm)とするのがよく、幅狭の凹溝2bの溝幅Wbは、0.1〜0.4mm(好ましくは0.2〜0.3mm)とするのがよい。幅広の凹溝2aの溝幅Waが0.5mmより小さくなると、床シート10の凹溝形成部分2を曲げたとき、凹溝2aが形成された部分の曲率半径の自由度が低くなるため、半径3mm以下のコーナーのアールに沿わせて曲げることができない可能性が生じるし、また、幅狭の凹溝2bの溝幅Wbが0.1mmより小さくなると、凹溝2bが形成された部分の曲率半径の自由度が更に低くなるため、半径10mm程度のコーナーのアールに沿わせて曲げることもできない可能性が生じるので、いずれも不適当である。一方、幅広の凹溝2aの溝幅Waが1.0mmより大きくなり、幅狭の凹溝2bの溝幅Wbが0.4mmより大きくなると、コーナー22のアール22aに沿わせて凹溝形成部分2を曲げたときに、各凹溝2a,2bの側面間に比較的大きい隙間が残るため充分な強度が得られなくなり、歩行時に凹溝形成部分2に亀裂や破損を生じる恐れがあるので不適当である。
【0020】
尚、凹溝2a,2bの開き角θa,θbは、5〜100°(好ましくは8〜20°)の範囲内で、前記の深さDおよび上記の溝幅Wa,Wbを有する逆V形の凹溝が形成されるように、適宜決定すればよい。
【0021】
床シート10の凹溝形成部分2の幅は、床下地の段差部のコーナー22のアール22aが最大でも半径10mm程度、通常は半径2〜5mm程度であるから、コーナーのアールを全て覆うことができるように8〜20mm程度に設定することが望ましい。そして、この凹溝形成部分2の裏面に、上記の凹溝2a,2bを0.5〜2.0mm(好ましくは0.8〜1.0mm)のピッチPで、合計8〜30程度形成することが望ましい。この程度のピッチPで凹溝2a,2bを形成すると、凹溝形成部分2を半径2〜10mm程度のコーナーのアールに沿わせて容易に曲げることができるので好都合である。
【0022】
溝幅の広い凹溝2aは、この実施形態の床シート10では、他端側の端辺1bに近い方から2つ形成されているが、2つに限定されるものではなく、1つ以上形成されていればよい。もっとも、幅広の凹溝2aは、凹溝形成部分2を段差部のコーナーの小さいアールに沿わせて曲げるために必要なものであるから、それほど多く形成する必要はなく、多くても4つ程度形成すれば充分である(凹溝の総計の半数以下)。なお、場合によっては、床シート10の他端側の端辺に最も近い凹溝2aの溝幅を最も広くし、一端側の端辺に近い凹溝ほど溝幅が少しずつ狭くなるように、段階的に溝幅を変えるように構成してもよい。
【0023】
以上のような構成の段差用床シート10は、例えば、前述の材料樹脂組成物を押出成形、インレイド成形、プレス成形、射出成形等の公知の成形方法で成形することによって製造される。但し、凹溝形成部分2の裏面の凹溝2a,2bや表面の滑止め用の凸条3a、凹条3bなどは、成形後に床シートを加熱軟化させて凹溝2a,2bの反転型や凸条3aと凹条3bの反転型を押し付けたり、切削加工などの手段で形成するようにしてもよい。本実施例では、一端側のシート部分4の裏面に両面粘着テープ5を貼着しているが、この両面粘着テープに代えて、単層の粘着テープや液状の粘着剤を用いてもよいことは言うまでもない。尚、これらの粘着体は、シートの成形後、一端側のシート部分4の裏面に貼着すればよい。粘着体を形成する範囲は、本実施例のように一端側のシート部分4の裏面のほぼ全面であってもよいし、一部であってもよい。
【0024】
次に、図5,図6を参照して、本発明の段差用床シートの貼着構造について説明する。
【0025】
本発明の貼着構造は、床下地20の段差部、例えばベランダの面台先端の段差部などに、前記の段差用床シート10を貼着したものであって、床下地20の表面には、ウレタン塗膜防水、アスファルト防水、防水シート被覆などの防水処理(不図示)が施されている。そして、床下地20の段差部の上段面21には、段差用床シート10の他端側のシート部分3が重ねられ、上段面21に連なるコーナー22のアール22a(アール面)には、床シート10の凹溝形成部分2がアール22aに沿うように曲げられて重ねられ、コーナーのアール22aから下方に連なる段差面23には、床シート10の一端側のシート部分4が重ねられている。床シート10の他端側シート部分3と凹溝形成部分2は、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系等の硬化性接着剤や、ゴム系の接着剤や、粘着テープによって、段差部の上段面21とコーナー22のアール22aにそれぞれ貼着されており、床シート10の一端側シート部分4は前述の両面粘着テープ5で段差面23に貼着されている。
【0026】
床シート10の凹溝形成部分2は、図5,図6に示すように、床シート10の他端側の端辺1bに最も近い溝幅の大きな凹溝2a(左端の凹溝)を段差部のコーナー22のアール始端部22bに位置決めして、コーナー22のアール22a(アール面)に沿わせて曲げながら貼着されている。即ち、コーナー22のアール22aが例えば半径5mmと大きい場合は、図5に示すように、凹溝形成部分2の左端の凹溝2aをコーナー22のアール始端部22bに位置決めし、溝幅の広い凹溝2aを形成した部分も溝幅の狭い凹溝2bを形成した部分も同じ曲率半径でアール22aに沿わせて曲げながら実質的に隙間が生じないように貼着されており、また、アール22aが例えば半径2mmと小さい場合は、図6に示すように、凹溝形成部分2の左端の凹溝2aをコーナー22のアール始端部22bに位置決めし、溝幅の広い凹溝2aを形成した部分を溝幅の狭い凹溝2bを形成した部分よりも小さい曲率半径で曲げながらアール22aに沿わせて実質的に隙間が生じないように貼着されている。
【0027】
上記のように左端の凹溝2aをコーナー22のアール始端部22bに位置決めして凹溝形成部分2をコーナー22のアール22aに貼着すると、凹溝形成部分2が段差部の上段面21に重ならないので、歩行者の踏圧力が強度の弱い凹溝形成部分2に直接作用し難くなり、踏圧力によって凹溝形成部分2に亀裂や破損が生じる心配を解消することができる。また、凹溝形成部分2とコーナー22との間に隙間が生じにくいので、隙間が生じた場合のように歩行時に応力が床シート10の凹溝形成部分2に集中して亀裂や破損が生じる心配も解消することができる。
【0028】
尚、この実施形態の貼着構造では、床地面20の上段面21と下段面24に合成樹脂製の床シート30を前記接着剤で貼着し、一端側のシート部分4の端縁表面に形成された凹段部4aから、段差部の段差面23にかけて、端縁の捲れ上がりを防止するためにコーキング処理40が施されている。更に、床シート30と段差用床シート10との隙間、及び、床シート30と段差面23との隙間にコーキング剤41を詰めている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る段差用床シートの斜視図である。
【図2】同段差用床シートの横断面図である。
【図3】同段差用床シートの凹溝の寸法についての説明図である。
【図4】段差用床シートの凹溝の形状についての説明図である。
【図5】本発明に係る段差用床シートの貼着構造の説明図であって、床下地のコーナーのアールが大きい段差部に段差用床シートを貼着した場合を示している。
【図6】本発明に係る段差用床シートの貼着構造の説明図であって、床下地のコーナーのアールが小さい段差部に段差用床シートを貼着した場合を示している。
【符号の説明】
【0030】
1a 床シートの一端側の端辺
1b 床シートの他端側の端辺
2 凹溝形成部分
2a 溝幅が広い凹溝
2b 溝幅が狭い凹溝
3 床シートの他端側のシート部分
4 床シートの一端側のシート部分
5 両面粘着テープ
10 段差用床シート
20 床下地
21 段差部の上段面
22 段差部のコーナー
22a コーナーのアール
22b アール始端部
23 段差部の段差面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の平面形状を有する床シートの一端側の裏面に、その一端側の端辺と平行な複数の凹溝を一定間隔をあけて形成した段差用床シートであって、
上記複数の凹溝のうち床シートの他端側の端辺に近い方から1つ以上の凹溝について、その溝幅を他の凹溝の溝幅よりも広くしたことを特徴とする段差用床シート。
【請求項2】
請求項1に記載された段差用床シートを、床下地に形成された段差部の上段面からアールが形成されたコーナーを経て段差面まで覆うように貼着した構造であって、
上記床シートの複数の凹溝のうち上記床シートの他端側の端辺に最も近い凹溝を、上記段差部の上段面に連なるコーナーのアール始端部に位置決めして、上記床シートの凹溝形成部分を上記段差部のコーナーのアールに沿わせて曲げながら重ねると共に、上記床シートの凹溝形成部分より他端側のシート部分と一端側のシート部分を、上記段差部の上段面と段差面にそれぞれ重ねて、上記床シートを貼着したことを特徴とする段差用床シートの貼着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−84426(P2010−84426A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254580(P2008−254580)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】