説明

殺菌エアフィルタ

【課題】捕集した微生物の殺菌及びフィルタ能力を向上させた殺菌エアフィルタを提供する。
【解決手段】空気通路に適用される殺菌エアフィルタ(10)であって、固定化ネットワーク(12)の中には、空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質がその中に実質的に含浸されている実質的に通気性を有する固定化ネットワーク(12)を含んでいる。固定化ネットワーク(12)は、実質的に通気性を有する。この固定化ネットワーク(12)は、殺菌性フェイスマスクや空気循環システムの滅菌エアフィルタにも使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアフィルタに関し、特に殺菌エアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の病原菌及び環境アレルゲンの除去は、例えば病院や環境アレルゲンの深刻なアレルギー反応に苦しんでいる人の家などの、高レベルの空気純度を必要とする環境では非常に重要である。一般的に、マスクやエアダクトフィルタの形式の装置は、空気循環中又はフェイスマスクの場合は呼吸中に粒状物質を除去する。フェイスマスク及びエアダクトフィルタは、病原菌、アレルゲン及び粒状物質(例えばダストなど)をフィルタ材料の表面に一時的に捕集する。フィルタは、一般的に、限界に達すると又は一度使用すると廃棄される。ある場合には、フィルタは洗って再利用される。次のような、様々なデザインのフィルタ装置が存在する。
【0003】
米国特許第1,319,763号のDrewによる「Air filter for wall registers」(取得日:1919年10月28日)。
【0004】
米国特許第3,710,948号のSextonによる「Self sustaining pocket type filter」(取得日:1973年1月16日)。
【0005】
米国特許第3,779,244号のWeeksによる「Disposable face respirator」(取得日:1973年12月18日)。
【0006】
米国特許第3,802,429号のBirdによる「Surgical face mask」(取得日:1974年4月9日)。
【0007】
米国特許第4,197,100号のHausheerによる「Filtering member for filters」(取得日:1980年4月8日)。
【0008】
米国特許第4,798,676号のMatkovichによる「Low pressure drop bacterial filter and method」(取得日:1989年1月17日)。
【0009】
米国特許第5,525,136号のRosenによる「Gasketed multi-media air cleaner」(取得日:1996年6月11日)。
【0010】
米国特許第5,747,053号のNashimotoによる「Antiviral filter air cleaner impregnated with tea extract」(取得日:1998年5月5日)。
【0011】
米国特許第5,906,677号のDudleyによる「Electrostatic supercharger screen」(取得日:1999年5月25日)。
【0012】
上述したデザインは多くの重大な欠点を有している。好ましくないことに、上述したデザインでは、使用後に汚れたフィルタ又はフェイスマスクの取り外すと、固定化されていない病原菌又は粒状物質がユーザの周囲の空気中へ即座に分散し得る。そして、空気感染すれば、ユーザにとって有害となり得る。さらに、前記デザインは、空気中の病原菌を固定化することや、その場で病原菌を殺すことができない。前記デザインのいくつかは、粒状物質を捕集するために、フィルタ材料内に粘着性材料を組み入れている。いくつかのデザインは、複雑な配置のフィルタをカートリッジ内に組み込んでいるが、それは、エアダクト又はフェイスマスクで使用するのには実用的でない。ある場合では、フィルタ媒体の一部にグラスファイバーが使用されているが、それが鼻や口の近くにあると人間にとって有害である。あるデザインでは、湿度を保つべく室内にエアゾールにして散布するために、殺菌剤を染み込ませた脱脂綿がエアダクト内に配置される。そのような湿った殺菌剤は、人間がその殺菌剤の近くに近づくと有害であるため、フェイスマスクに使用するのは適切でない。本発明のさらなる利点は、添付した図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、新規の固定化ネットワーク繊維上で病原性微生物を捕集及び殺す滅菌エアフィルタを提供することによって、従来技術の問題と欠点を改善する。これを達成するために、前記繊維は、微生物を実質的に殺しそれらを繊維の本体内に保持する抗微生物物質をその構造内に含む(その中に含浸させる)。このことにより、使用後及び処分中にフィルタから微生物が放出されることに関連する問題を著しく改善する又はほとんど解消することができる。フィルタは、フェイスマスクや空気循環ダクト(一般的に、アフターフィルタ又はフィルタの下流として)に好適に使用することができ、様々な微生物を捕集し殺すことができる。繊維は、洗って、抗微生物活性を著しく損なうことなく再使用することができる材料からできていることが望ましい。
【0014】
したがって、本発明の第1の実施形態では、空気通路に適用される殺菌エアフィルタであって、実質的に通気性を有する固定化ネットワークを含んでおり、前記固定化ネットワークの中には、前記空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているフィルタを提供する。
【0015】
また、本発明の第2の実施形態では、空気通路に適用される殺菌エアフィルタであって、実質的に通気性を有する固定化ネットワークを含んでおり、前記固定化ネットワークの中には、前記空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び成長を実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているフィルタを提供する。
【0016】
また、本発明の第3の実施形態では、それぞれの周辺端部に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素と、前記両スクリーン要素の間に規定される間隙内に充填される通気性固定化ネットワークとを備えており、前記両スクリーン要素はユーザの鼻及び口を覆い、それらに装着するのに適した形状及びサイズを有し、前記通気性固定化ネットワークの中には、該ネットワークを流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているフェイスマスクを提供する。
【0017】
また、本発明の第4の実施形態では、殺菌性フェイスマスクであって、それぞれの周辺端部に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素と、前記両スクリーン要素の間に規定される間隙内に充填される通気性固定化ネットワークとを備えており、前記両スクリーン要素はユーザの鼻及び口を覆い、それらに装着するのに適した形状及びサイズを有し、前記通気性固定化ネットワークの中には、該ネットワークを流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているフェイスマスクを提供する。
【0018】
また、本発明の第5の実施形態では、空気循環システムに適用されるエアダクトフィルタであって、それぞれの周辺端部に沿って一緒に固定される第1及び第2通気性スクリーン要素と、前記第1及び第2通気性スクリーン要素間に配置される通気性固定化ネットワークとを含んでおり、前記第1及び第2通気性スクリーン要素はエアダクトに適合しそれに固定される形状及びサイズを有し、前記通気性固定化ネットワークの中には、前記通気性固定化ネットワークの中には、該ネットワークを流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているエアダクトフィルタを提供する。
【0019】
また、本発明の第6の実施形態では、空気循環システムに適用されるエアダクトフィルタであって、それぞれの周辺端部に沿って一緒に固定される第1及び第2通気性スクリーン要素と、前記第1及び第2通気性スクリーン要素間に配置される通気性固定化ネットワークとを含んでおり、前記第1及び第2通気性スクリーン要素はエアダクトに適合しそれに固定される形状及びサイズを有し、前記通気性固定化ネットワークの中には、前記通気性固定化ネットワークの中には、該ネットワークを流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び成長を実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されているエアダクトフィルタを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について添付した図面を参照しつつ説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0021】
《定義》
ここで使用する「微生物(microbe)」、「微生物の(microbial)」という用語は、細菌、原生動物、ウイルス、カビなど(ただし、これらに限定されるものではない)を含む微生物(microorganism)を意味する。また、チリダニもこの定義に含まれる。
【0022】
ここで使用する「抗微生物物質(antimicrobial agent)」という用語は、微生物(細菌、生動物、ウイルス、カビなど)の成長又は増殖を抑制又は防止する、或いは、前記微生物を破壊する化合物を意味する。前記抗微生物物質の例としては、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗カビ物質、抗イースト物質、抗チリダニ物質、或いはそれらの任意の組み合わせがある。
【0023】
ここで使用する「抗細菌物質(anti-bacterial agent)」という用語は、細菌の成長を抑制又は防止する、或いは、細菌を殺す化合物を意味する。
【0024】
ここで使用する「抗ウイルス物質(anti-viral agent)」という用語は、ウイルスの成長を抑制又は防止する、或いは、ウイルスを殺す化合物を意味する。
【0025】
ここで使用する「抗カビ物質(anti-mold agent)」という用語は、カビの成長を抑制又は防止する、或いは、カビを殺す化合物を意味する。
【0026】
ここで使用する「抗イースト物質(anti-yeast agent)」という用語は、イーストの成長を抑制又は防止する、或いは、イーストを殺す化合物を意味する。
【0027】
ここで使用する「抗チリダニ物質(anti-dust mite agent)」という用語は、チリダニの成長を抑制又は防止する、或いは、チリダニを殺す化合物を意味する。
【0028】
ここで使用する「殺菌性(microbicidal)」という用語は、前述した物質を単独で又は組み合わせて使用した際の、成長を抑制又は防止する、或いは、殺す特性を意味する。
【0029】
図1は、第1の実施形態に係る殺菌エアフィルタ10を示している。大まかに言って、フィルタ10は、通気性固定化ネットワーク12、通気性第1スクリーン14、及び通気性第2スクリーン16を備えている。第1スクリーン14及び第2スクリーン16は、ただ単に、ネットワーク12を支持する及び作業領域18を規定する役割を果たす。当業者であれば、固定化ネットワーク12はスクリーン14及び16とは独立して使用し得ることは理解できるであろう。
【0030】
ネットワーク12は、軟性又は硬性のネットワークが望まれるかに応じて、織った(woven)又は織られていない(non−woven)繊維のメッシュ20を含む。また、ネットワーク12は、繊維20が織り合わされた、綿のような糸を含む。各々の繊維20は、少なくとも1つの抗微生物物質を多量に含む。抗微生物物質は繊維20の本体に十分に含浸されて一体となっており、抗微生物物質が表面上で広域に渡って高濃度になることを防止している。繊維20は、一般的に、天使の髪(angels hair)又は薄片状メッシュ(flaky mesh)と呼ばれる繊細な層として、メッシュ全体に対して透過性を持つように配置されている。
【0031】
望ましくは、ネットワークは繊維性材料である。より望ましくは、繊維性材料は、市販のRHOVYL’A.S.+(TM)、RHOVYL’As(TM)、THERMOVYL−ZCB(TM)、THERMOVYL−MXB(TM)、又は、TRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維である。
【0032】
RHOVYL’A.S.+(TM)、RHOVYL’As(TM)、THERMOVYL−MXB(TM)、THERMOVYL−ZCB(TM)はいずれも固有の抗微生物作用を有する繊維性材料である。特に、RHOVYL’As(TM)繊維及びTHERMOVYL−ZCB(TM)繊維は、繊維の本体に一体化された又は含浸された抗微生物物質を含んでいる。他方では、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維抗菌物質、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維及びTHERMOVYL−MXB(TM)繊維は、ダニ駆除剤や抗チリダニ物質をも含んでいる。また、TRICLOSAN(TM)は、バクテリア、イースト及びカビなどの微生物の成長を減少させる又は殺す抗微生物物質である。
【0033】
繊維性材料は、ほかの物を混ぜ合わせていないで(100%)使用してもよいし、混合して使用してもよい。混合して使用する場合は、体積で少なくとも30%の割合で、織った又は織られていないタイプであり、個人保護具(individual protective equipment:IPE)の要求を満たす他の種類の繊維と共に使用する。繊維性材料は、不燃性、化学製品への耐性、発火抑制、断熱及び湿気管理などの他の性質を有している(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0034】
望ましくは、抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質を含む。
【0035】
望ましくは、抗細菌物資は、TRICLOSAN(TM)である。
【0036】
望ましくは、抗チリダニ物質は、安息香酸ベンジルである。
【0037】
一般的に、繊維性材料は、約0.1μmから約0.3μmの範囲の大きさの穿孔を有している。穿孔の大きさは、保持する微生物のサイズによって決まる。
【0038】
一般的に、繊維性材料の密度は、2g/ftから30g/ftの範囲である。より望ましくは、密度は、約10g/ftである。
【0039】
図2にその概略を示すように、フィルタ10を、伸張性タイプ(軟性のマスク)又は非伸張性(硬性のマスク)タイプのフェイスマスク24の一部に使用することができる。前記伸張性タイプのマスクは通常は病院従事者などに使用され、空気がプレフィルタ処理される前の領域で使用されることもある。スクリーン14及び16は、一般に、周辺端部22の周りに結合し、それらの間に間隙(gap)23を規定する。ネットワーク12は、粒状物質に対する物理的バリア及びさらに重要な病原性微生物に対する物理的バリアの両方を提供するために、前記スクリーンの一方に取り付けられる。ネットワーク12は、VELCRO(TM)タイプのファスナー、ステッチ(stitch)、接着などによって、スクリーン14又は16、或いは、個人の鼻/口領域の前方に装着される個人用ポータブルマスク24の内側に取り付けられる。マスク24の前方マスクスクリーン25は、ネットワーク12の上流に位置し、図中に矢印によって示す空気の流路に沿ってそのスクリーン25を通り抜ける空気を、空気の粒状物質及び微生物を除去することによってプレフィルタ処理する最初のフィルタとして作用する。
【0040】
また、図2aにその概略を示すように、ネットワーク12は、市販のフィルタマスクのように図中に矢印によって示す双方向のフィルタ作用を作成するために、前方スクリーン25と後方スクリーン27との間のフェイスマスク24の間隙23内に配置することもできる。前方スクリーン25は、ネットワーク12を間隙23内に挿入するためのスリット29を有する。このタイプのフェイスマスク24は、呼吸器感染を患っているが、病原性微生物に汚染されている吐息によって他者に感染させることなく仕事を続けたい人々にとって有用である。
【0041】
スクリーン要素14及び16は、異なるサイズ及び形状をとることができ、一般的に、図1に示したような、単純で柔らかい又は半硬質タイプのスクリーンであり得る。そのようなスクリーンは、アルミニウム、ナイロン、熱可塑性プラスチック材料、繊維ガラスタイプの材料(通常はマスクの用途には認可されていない)、織ったタイプの繊維などから作られる。図3に示すように、スクリーン要素14、16及びネットワーク12は、例えば標準的なアルミニウム・スクリーンフレームなどの剛性フレーム26によって支持される。剛性を確保するために(及び図示を簡単にするために)、剛性フレーム26は2つの部分28、30に分割され、それぞれスクリーン要素14、16と一体化される。締結部32は、2つのスクリーン要素14、16を着脱可能に結合するのに使用される。ネットワーク12はスクリーン14、16の間に挟まれてスクリーン14、16と一体化されており、スクリーン14、16を通過する空気によってネットワーク12が動かないように、スクリーン14、16によって圧迫されている。締結部32には、他の部分を同じに対して保持するために、28、30の一方で旋回するピボッティング・リテーナ(pivoting retainer)を用いることもできる。また、図4にその概略を示すように、任意の既存エアフィルタ36の硬性スクリーン34を使用することもできる。
【0042】
図5及び図6は、エアダクト38の内部に組み込まれたフィルタ10を示している。エアダクト38は、ネットワーク12を通り抜ける空気がプレフィルタ処理されるように、エアフィルタ36の下流及び空気加熱装置40の上流に位置している。図5中の矢印は、空気の流路を示している。フレーム26は、一般的に、スクリーン要素14、16を取り囲むだけでなく、中間の補強ロッド42をも含んでいる。補強ロッド42は、ネットワーク12を2つの要素14、16の間に位置することを保つようにするために、スクリーン要素14、16を複数のより小さい部分要素44にさらに分割するのに使用される。また、図6にその概略を示すように、フレーム26は、その上にクリーン14、16が付着される細い金属製のロッドである。補強ロッド42は、スクリーン要素14、16及びネットワーク12を付加的に支持する。また、補強ロッド42は、前述した部分要素を提供する。
【0043】
図5、7、8及び9は、他のタイプの締結部32を示している。ある望ましいタイプの締結部32は、様々なパターン(例えば、波線又は直線状に)に配置された複数のステッチ46を含んでいる。ステッチ46は、ネットワーク12を貫通し、前述したようにネットワークを細区分44に分割する。また、図8にその概略を示すように、締結部32は、ネットワーク12を貫通するリベット48を含むこともできる。
【実施例】
【0044】
以下の実施例によって本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0045】
《実施例1 硬性及び軟性フェイスマスクの殺菌及びフィルタ能力の評価》
表1に示すように、2つの本発明に係るフェイスマスクと市販のフェイスマスク1,2,3との、様々なサイズの細菌及びカビの一団4,5,6,7に対する抗微生物及び保持能力を比較した。実施例1及び2に使用されるNB硬性及び軟性マスクは、両方ともTRICLOSAN(TM)を含んでいるPVC有機繊維のネットワーク12を備えている。NB軟性マスクは、二重に覆われた、織ったタイプの繊維から成る。前記織ったタイプの繊維は、76%w/wのTHERMOVYL−ZCB(TM)繊維と、4%w/wポリエステル繊維とを含んでおり(綿などの他の織ったタイプの繊維も使用可能である)、それらの周辺で互いに縫い合わせられており、ネットワーク12が配置される(図2a参照)。NB硬性マスクは、2つの従来の市販の防塵マスクから作成されており、一方が他方の内部のTRICLOSAN(TM)を含んでいるPVC有機繊維のネットワークが位置している間に挿入されている。
【0046】
空気汚染室5,8,9は、ネットワークを含んでいるマスクのフィルタ能力を測定するのに使用される。空気汚染室としては、所定量の凍結乾燥させた微生物を含んでいる穿孔された瓶などがある。空気汚染室は、微生物学的エアサンプラ(microbiologic air sampler)に設置される。試験されるマスクは、汚染された空気室とエアサンプラとの間のインターフェースに設置される。空気室内では、凍結乾燥された微生物をマスクに向かって移動させるための負圧が生成される。マスクの突破を検出するために、マスクの下流には培養培地が配置される。
【表1】

【0047】
《実施例2 小粒子のフィルタ処理能力の評価》
粒径が0.3μmの2種類の粒状物質に対しての、実施例1の3つのマスクのフィルタ能力を、図1と基本的に同じ器具を使用して試験した。捕集膜カートリッジをエアポンプの下流に配置した。前記カートリッジは、この場合は、突破した粒子を捕集する。エアポンプは、マスクの下流で負圧を生成する。選択した2種類の粒状物質は、塩化ナトリウムとフタル酸ジオクチルである。

【表2】

【0048】
《実施例3 換気装置フィルタの殺菌及びフィルタ能力の評価》
家の換気装置に設置した、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維を備える図3に示した実施形態のフィルタの抗微生物能力を、0、7、14及び21日後に評価した。結果を、次の表3〜6に示す。
【0049】
フィルタは上記した時間後に取り除き、サムソン法(Samson)によって分析した。各フィルタの繊維性材料(1g)を脱塩した滅菌水(9mL)によって希釈し、その後、連続的に希釈した。
【0050】
細菌、イースト及びカビの合計の計算は、血球計算法(hemacytomeTMy)によって行った。生きている細菌、イースト及びカビの合計の計算は、適切な媒体上での連続希釈法での培養の後に行われた。好気性の生菌は、ソーヤ寒天(TSA、Quelab)上で培養される。他方、イースト及びカビは、細菌の成長を制限するためにゲンタマイシン(0.005% p/v)及びオキシテトラサイクリン(0.01% p/v)が添加されたHEA上で培養される。HEAのpHを4.8±0.2にすると、胞子の発芽及び菌糸体の成長が可能になる。培養期間の後、微生物コロニーの計算はコロニーメータ(Accu−Lite(TM)、Fisher)を使用して行う。微生物コロニーの形態型は、グラム染色によって識別される(表5参照)。イースト及びカビの計算に関しては、肉眼ではっきりと識別できるカビコロニーは、顕微鏡検査を使用して、性別及び/又は種によって識別できる。
【0051】
カビのスライドは、粘着テープを使用して作成される。この手法は、カビをテープの粘着面に固定することにより、カビの構造の完全性を保つ。集められるすぐに、カビはラクトフェノールによって染色され、10倍及び40倍の倍率で観察される。識別キー12、13、14、15を使用して、カビは識別される。この実験では、胞子を生成するコロニーだけが識別される。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0052】
《考察》
今日まで、市販のマスクには、微生物を95%以上捕集及び殺すことができないという欠点があった。本発明に係る殺菌ネットワークの研究は、フェイスマスクの形態でも換気装置のフィルタの形態でも、捕集及び殺す能力の著しい向上を示した(表1〜6)。
【0053】
表1及び2は、微粒子フィルタ並びに抗菌及び抗カビフィルタとしてTRICLOSAN(TM)を含んでいるPVC有機繊維の有効性を示している。軟性フェイスマスク及び硬性フェイスマスクの両方で、抗微生物性及び微粒子フィルタ能力は、市販マスクのその能力(95〜96%)と比べると100%であった。
【0054】
表3は、本発明に係るフィルタの高性能な抗微生物性とフィルタ能力を示している。特に、本発明者は、表3及び4で、抗細菌性、抗カビ性及び保持を組み合わせた能力は、それぞれ100%であることを実証している。
【0055】
さらに、本発明者は、図5に示すように、異なる細菌の形態型は、ゼロ(0)日後に、全細菌数の96.6%がフィルタの繊維上に捕集されることを実証している(グラム球菌陽性は78.8%、グラム桿菌陰性は21.6%となる)。21日後には、98.1%の細菌がフィルタの繊維上に捕集される(グラム球菌陽性のタイプの細菌は88.9%、グラム桿菌陰性のタイプの細菌は11.1%である)。このことは、フィルタ能力は長期間経っても効果を保つことを実証する。表6は、本発明に係るフィルタ上に様々な病原性のカビが21日後まで確認されたことを示している。
【0056】
必要ならば、フィルタを洗浄して、前述した能力を著しく損なうことなく再使用することができる(結果は示さない)。
【0057】
フィルタ10の重要な特徴は、前述したフェイスマスクでも循環システムのダクトフィルタでも、繊維20のネットワーク12と接触する様々な種類の微生物を固定、保持、殺す(又は成長を抑える)能力を有することである。空気は、プレフィルタ処理されていても(循環システムの場合)、フェイスマスクを通り抜けてユーザに吸い込まれ/吐き出されても、最初のフィルタを通り抜けた又は最初のフィルタが固定するのに失敗した未処理の微生物をしばしば含んでいる。インフルエンザ、結核症、炭疽病、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)などの上気道感染の人が、本発明に係るフェイスマスクをしている場合は、他者へのさらなる感染を著しく改善する又はほとんど解消することができる。同様に、微生物に汚染されている空気を、ユーザの鼻及び口領域に入る前にフィルタ処理することができる。空気の流れは図2及び図2(a)中の矢印で示したが、ハッチングした矢印は微生物に汚染されている空気を示しており、ハッチングしていない矢印はフィルタ処理されたきれいな空気を示している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一実施形態に係るフィルタを概略的に示す立体分解図である。
【図2】前記フィルタを使用した、一実施形態に係るフェイスマスクを概略的に示す切欠図である。(a)は、フェイスマスクの他の実施形態を概略的に示す部分切欠図である。
【図3】一実施形態に係るフレームを有するフィルタを概略的に示す立体分解図である。
【図4】主要フィルタと一体化されたフィルタを概略的に示す立体分解図である。
【図5】フィルタを有する空気循環システムを概略的に示す立体分解図である。
【図6】図5に示したシステムに使用される他のフィルタを概略的に示す正面図である。
【図7】図5に示したシステムに使用される他のフィルタを概略的に示す正面図であり、締結部としてのステッチ(stitch)を示している。
【図8】図5に示したシステムに用いられる他のフィルタを概略的に示す正面図であり、締結部としてのリベットを示している。
【図9】図7の9−9線に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路に適用される殺菌エアフィルタ(10)であって、
実質的に通気性を有する固定化ネットワーク(12)を含んでおり、
前記固定化ネットワーク(12)の中には、前記空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ(10)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ(10)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするフィルタ。
【請求項6】
請求項3に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフィルタ。
【請求項8】
請求項6に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載のフィルタ(10)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項10】
請求項1に記載のフィルタ(10)であって、
ユーザの鼻及び口を覆うのに適した形状及びサイズを有し、それらの周囲に固定されるフェイスマスク(24)であることを特徴とするフィルタ。
【請求項11】
請求項1に記載のフィルタ(10)であって、
エアダクトシステム(40)に適した形状及びサイズを有するエアダクトフィルタであることを特徴とするフィルタ。
【請求項12】
空気通路に適用される殺菌エアフィルタ(10)であって、
実質的に通気性を有する固定化ネットワーク(12)を含んでおり、
前記固定化ネットワーク(12)の中には、前記空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び成長を実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルタ(10)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするフィルタ。
【請求項14】
請求項13に記載のフィルタ(10)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするフィルタ。
【請求項15】
請求項14に記載のフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフィルタ。
【請求項16】
請求項15に記載のフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするフィルタ。
【請求項17】
請求項14に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフィルタ。
【請求項18】
請求項17に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフィルタ。
【請求項19】
請求項17に記載のフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフィルタ。
【請求項20】
請求項12に記載のフィルタ(10)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項21】
請求項12に記載のフィルタ(10)であって、
ユーザの鼻及び口を覆うのに適した形状及びサイズを有し、それらの周囲に固定されるフェイスマスク(24)であることを特徴とするフィルタ。
【請求項22】
請求項12に記載のフィルタ(10)であって、
エアダクトシステム(40)に適した形状及びサイズを有するエアダクトフィルタであることを特徴とするフィルタ。
【請求項23】
殺菌性フェイスマスク(24)であって、
それぞれの周辺端部(22)に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)と、前記両スクリーン要素の間に規定される間隙(23)内に充填される通気性固定化ネットワーク(12)とを備えており、
前記両スクリーン要素(14,16)はユーザの鼻及び口を覆い、それらに装着するのに適した形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、該ネットワーク(12)を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項24】
請求項23に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするフェイスマスク。
【請求項25】
請求項24に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項26】
請求項25に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項27】
請求項26に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項28】
請求項25に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項29】
請求項28に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項30】
請求項28に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項31】
請求項23に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項32】
請求項23に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記第1通気性スクリーン(14)には、前記固定化ネットワーク(12)を前記間隙(23)内に位置させるのに十分なサイズを有するスリット(29)が設けられていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項33】
殺菌性フェイスマスク(24)であって、
それぞれの周辺端部(22)に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)と、前記両スクリーン要素の間に規定される間隙(23)内に充填される通気性固定化ネットワーク(12)とを備えており、
前記両スクリーン要素(14,16)はユーザの鼻及び口を覆い、それらに装着するのに適した形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、該ネットワーク(12)を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項34】
請求項33に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするフェイスマスク。
【請求項35】
請求項34に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項36】
請求項35に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項37】
請求項36に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項38】
請求項35に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項39】
請求項38に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項40】
請求項38に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項41】
請求項33に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項42】
請求項33に記載のフェイスマスク(24)であって、
前記第1通気性スクリーン(14)には、前記固定化ネットワーク(12)を前記間隙(23)内に位置させるのに十分なサイズを有するスリット(29)が設けられていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項43】
空気循環システム(40)に適用されるエアダクトフィルタ(10)であって、
それぞれの周辺端部(22)に沿って一緒に固定される第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)と、前記第1及び第2通気性スクリーン要素間に配置される通気性固定化ネットワーク(12)とを含んでおり、
前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)はエアダクト(38)に適合しそれに固定される形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、該ネットワーク(12)を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び殺すのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項44】
請求項43に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項45】
請求項44に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項46】
請求項45に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項47】
請求項46に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項48】
請求項45に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項49】
請求項48に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項50】
請求項48に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項51】
請求項43に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)を一体に接続し、それらの間に前記固定化ネットワーク(12)を挟む締結部(32)を含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項52】
請求項51に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記締結部(32)は、前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)を一体に接続するフレーム(26)を含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項53】
請求項52に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記締結部(32)は、前記固定化ネットワーク(12)を貫通し、前記固定化ネットワーク(12)を細区分(44)に分割する複数のステッチ(46)をさらに含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項54】
請求項43に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項55】
空気循環システム(40)に適用されるエアダクトフィルタ(10)であって、
それぞれの周辺端部(22)に沿って一緒に固定される第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)と、前記第1及び第2通気性スクリーン要素間に配置される通気性固定化ネットワーク(12)とを含んでおり、
前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)はエアダクト(38)に適合しそれに固定される形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、前記通気性固定化ネットワーク(12)の中には、該ネットワーク(12)を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び成長を実質的に抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項56】
請求項55に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記固定化ネットワーク(12)は、メッシュ状に配列された複数の繊維(20)を含んでおり、
前記メッシュは、前記繊維(20)間で複数の空間を規定することを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項57】
請求項56に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記各繊維(20)は、前記抗微生物物質と一体となった繊維本体を有していることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項58】
請求項57に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項59】
請求項58に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記繊維(20)は、RHOVYL’A.S.+(TM)繊維材料、RHOVYL’As(TM)繊維材料、THERMOVYL−ZCB(TM)繊維材料、THERMOVYL−MXB(TM)繊維材料及びTRICLOSAN(TM)処理したPVC有機繊維から成る群より選択されることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項60】
請求項57に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項61】
請求項60に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項62】
請求項60に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項63】
請求項55に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)を一体に接続し、それらの間に前記固定化ネットワーク(12)を挟む締結部(32)を含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項64】
請求項51に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記締結部(32)は、前記第1及び第2通気性スクリーン要素(14,16)を一体に接続するフレーム(26)を含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項65】
請求項64に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記締結部(32)は、前記固定化ネットワーク(12)を貫通し、前記固定化ネットワーク(12)を細区分(44)に分割する複数のステッチ(46)をさらに含むことを特徴とするエアダクトフィルタ。
【請求項66】
請求項55に記載のエアダクトフィルタ(10)であって、
前記空気はプレフィルタ処理されていることを特徴とするエアダクトフィルタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路に適用される殺菌エアフィルタであって、
実質的に通気性を有する複数の繊維含む固定化ネットワークを備えており、
前記固定化ネットワークの中には、前記空気通路を流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び実質的に成長を抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸され一体化されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタであって、
前記複数の繊維は、メッシュ状に配列されており
前記メッシュは、前記繊維間で複数の空間を規定することを特徴とするフィルタ。
【請求項3】
請求項に記載のフィルタであって、
前記抗微生物物質は、空気中に浮遊している微生物を殺すことを特徴とするフィルタ。
【請求項4】
請求項に記載のフィルタであって、
前記繊維は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタであって、
前記繊維は、処理されたPVCをベースにした有機繊維であることを特徴とするフィルタ。
【請求項6】
請求項に記載のフィルタであって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルタであって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフィルタ。
【請求項8】
請求項6に記載のフィルタであって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載のフィルタであって、
前記固定化ネットワークは、前記空気が前記空気通路に到達する前に前記空気をプレフィルタ処理するエアフィルタであることを特徴とするフィルタ。
【請求項10】
請求項1に記載のフィルタであって、
ユーザの鼻及び口を覆うのに適した形状及びサイズを有し、それらの周囲に固定されるフェイスマスクであることを特徴とするフィルタ。
【請求項11】
請求項1に記載のフィルタであって、
前記空気通路を形成するエアダクトシステムに適した形状及びサイズを有するエアダクトフィルタであることを特徴とするフィルタ。
【請求項12】
請求項11に記載のフィルタであって、
前記フィルタは、それぞれの周辺端部に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素をさらに備えており、
前記スクリーン要素は、エアダクトシステムに適合しそれに固定される形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワークは、実質的に前記第1及び第2スクリーン要素間に配置されることを特徴とするフィルタ。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルタであって、
前記第1及び第2スクリーン要素を一体に接続し、それらの間に前記固定化ネットワークを挟む締結部を備えることを特徴とするフィルタ。
【請求項14】
請求項13に記載のフィルタであって、
前記締結部は、前記第1及び第2スクリーン要素を一体に接続するフレームを有することを特徴とするフィルタ。
【請求項15】
請求項14に記載のフィルタであって、
前記締結部は、前記固定化ネットワークを貫通し、前記固定化ネットワークを細区分に分割する複数のステッチをさらに含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項16】
殺菌性フェイスマスであって、
それぞれの周辺端部に沿って互いに固定された第1及び第2通気性スクリーン要素と、前記両スクリーン要素の間に規定される間隙内に充填される、通気性固定化ネットワークとを備えており、
前記両スクリーン要素はユーザの鼻及び口を覆い、それらに装着するのに適した形状及びサイズを有し、
前記通気性固定化ネットワークは複数の繊維を含み、該ネットワークの中には、該ネットワークを流れる空気中に浮遊している微生物を実質的に固定、保持及び実質的に成長を抑制するのに十分な量の少なくとも1つの抗微生物物質が実質的に含浸されていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項17】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記複数の繊維は、メッシュ状に配列されており
前記メッシュは、前記繊維間で複数の空間を規定することを特徴とするフェイスマスク。
【請求項18】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記抗微生物物質は、空気中に浮遊している微生物を殺すことを特徴とするフェイスマスク。
【請求項19】
請求項17に記載のフェイスマスクであって、
前記繊維は、きつく織られている又はゆるく織られていることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項20】
請求項19に記載のフェイスマスクであって、
前記繊維は、処理されたPVCをベースにした有機繊維であることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項21】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記抗微生物物質は、抗細菌物質、抗ウイルス物質、抗チリダニ物質、抗かび物質及び抗イースト物質から成る群より選択されることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項22】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記抗微生物物質は、TRICLOSAN(TM)であることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項23】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記抗微生物物質は、安息香酸ベンジルであることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項24】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記固定化ネットワークは、前記空気が前記空気通路に到達する前に前記空気をプレフィルタ処理するエアフィルタであることを特徴とするフェイスマスク。
【請求項25】
請求項16に記載のフェイスマスクであって、
前記第1通気性スクリーンには、前記固定化ネットワークを前記間隙内に位置させるのに十分なサイズを有するスリットが設けられていることを特徴とするフェイスマスク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2006−526423(P2006−526423A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500463(P2005−500463)
【出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際出願番号】PCT/CA2003/000858
【国際公開番号】WO2004/108249
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505449081)ボルダック・ルルー・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BOLDUC LEROUX INC.
【住所又は居所原語表記】3365, Boul des Entreprises, Terrebonne, Quebec J6X 4J9, CANADA
【Fターム(参考)】