説明

殺菌剤としての置換ピリジン−4−イルメチルスルホンアミド

本発明は、式Iのピリジン-4-イルメチルスルホンアミド(式中、Ra、n、R、AおよびHetは特許請求の範囲で定義したとおりである)ならびにそのN-オキシドおよび塩、ならびに有害菌類を防除するためのそれらの使用、また、少なくとも1種のかかる化合物を含む組成物および種子に関する。さらに本発明は、これらの化合物を調製するための方法および中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【化1】

(式中、
Raは、ハロゲン、CN、NH2、NO2、OH、SH、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-ハロアルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-ハロアルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、ジ(C1-C6-ハロアルキル)アミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C2-C6-ハロアルキニル、C3-C8-シクロアルキルまたはC1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキルであり;かつ/あるいは、
ピリジン環の隣接する環員原子に結合している2個の基Raは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、前記縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前記縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、Raに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有しており;
nは、ピリジン環上の置換基Raの数を示し、かつnは0、1、2または3であり、ここで、nが2、3または4である場合には、Raは同一であるか異なっており;
Rは、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキルまたはベンジルであり、この場合、ベンジルのフェニル部分は非置換であるか、CN、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニルおよびジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基を有しており;
Aは、フェニレン、または5員もしくは6員のヘテロアレーンジイルであり、この場合、5員ヘテロアレーンジイルの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、6員ヘテロアレーンジイルの環員原子は、炭素原子以外に、2または3個の窒素原子を含んでおり、またこの場合、前述の二価の基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rbを有し:
Rbは、ハロゲン、CN、NO2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C2-C6-ハロアルキニル、(C1-C6-アルキル)カルボニル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、(C1-C6-アルキル)アミノカルボニル、およびジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルであり;
基Aの隣接する環員原子に結合している2個の基Rbは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、Rbに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有しており;
Hetは、5員または6員のヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、ヘテロアリールは、非置換であるか、1、2、3、4または5個の同一のまたは異なる基Rcを有しており:
Rcは、ハロゲン、CN、NO2、NH2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C(=O)R'、C(=NOR'')R'''、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェノキシ-C1-C6-アルキル、または5員もしくは6員のヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前述の環式基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rdを有しており:
R'は、水素、NH2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、またはジ(C1-C6-アルキル)アミノであり;
R''は、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニルまたはC1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキルであり、
R'''は、水素またはC1-C6-アルキルであり;
Rdは、ハロゲン、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシまたはC1-C6-ハロアルコキシであり;
かつ/あるいは、基Hetの隣接する環員原子に結合している2個の基Rcは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Reを有しており;
Reは、ハロゲン、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシまたはC1-C6-ハロアルコキシである)
で表される化合物、ならびにそのN-オキシドおよびその農業上許容可能な塩に関する。
【0002】
また本発明は、前記化合物を調製するための方法および中間体、溶媒または固体担体と少なくとも1種の式Iで表される化合物またはそのN-オキシドもしくは農業上許容可能な塩とを含む農薬組成物、植物病原性菌類の防除のためのそれらの使用、ならびに式Iで表される化合物またはそのN-オキシドまたはその農業上許容可能な塩を含む種子にも関する。
【背景技術】
【0003】
WO 05/033081には、ピリジン-4-イルメチルスルホンアミドおよび植物病原性菌類を防除するためのそれらの使用が開示されている。WO 06/097489およびWO 08/031824には、ビフェニルスルホン酸の各種ピリジン-4-イルメチルアミド、ならびに殺菌剤(fungicides)および殺虫剤(insecticides)としてのそれらの使用がそれぞれ開示されている。WO 07/093599およびWO 08/022937には、ピリジルスルホン酸およびチオフェンスルホン酸のピリジン-4-イルメチルアミド、ならびに殺菌剤としてのそれらの使用がそれぞれ開示されている。
【0004】
本発明による化合物は、スルホンアミド基の硫黄に結合している環式基に結合されているヘテロアリールを有する点で、WO 05/033081およびWO 06/097489に開示されているものとは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 05/033081
【特許文献2】WO 06/097489
【特許文献3】WO 08/031824
【特許文献4】WO 07/093599
【特許文献5】WO 08/022937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それらの殺菌活性に関しては、公知の化合物の作用は、必ずしも完全に満足のいくものとは限らない。これに基づき、本発明は、有害菌類に対する作用が改善され、かつ/または広範囲の活性スペクトルを有する化合物を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、本明細書に定義した、式Iで表される置換ピリジン-4-イルメチルスルホンアミドおよびそのN-オキシドおよびその塩、特に農業上許容可能な塩によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
化合物Iは、スルホンアミド類を調製するための(それ自体は公知の)先行技術の方法と同様に、各種の経路によって調製することができるが、有利には、以下のスキームと本願の実施例部分で示した合成により調製することができる。
【0009】
本発明のさらなる態様は、下記に示したように、化合物II(式中、Ra、nおよびRは上記で定義した通りである)を塩基性条件下で化合物III(式中、AおよびHetは上記で定義した通りであり、Lは求核性脱離基であって、例えば、ハロゲン、置換フェノキシ、N3、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルオキシであり、好ましくはペンタフルオロフェノキシ、ヘテロシクリル、例えばイマゾリル、ピラゾリルもしくはトリアゾリル、またはハロゲン、例えばクロロ、フルオロもしくはブロモである)と反応させることを含む、上記で定義した化合物Iの調製方法に関する:
【化2】

【0010】
この反応は、通常、-30〜120℃、好ましくは-10〜100℃の温度で、塩基の存在下、不活性有機溶媒中で行われる。
【0011】
好適な溶媒は、一般的に、脂肪族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよび石油エーテル、芳香族炭化水素類、例えばトルエン、o-、m-およびp-キシレン、ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン(DCM)、クロロホルムおよびクロロベンゼン、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、アニソールおよびテトラヒドロフラン(THF)、ニトリル類、例えばアセトニトリルおよびプロピオニトリル、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびtert-ブチルメチルケトン、ならびにジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルアセトアミドであり、好ましくはTHF、MTBE、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエンまたはDMFであり、さらにまたそれらの混合物である。
【0012】
好適な塩基は、通常、無機化合物、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物(例えば酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物(例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化カルシウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウム)、またアルカリ金属の重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)、さらに有機塩基、例えば第三級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびN-メチルピペリジン(NMP))、ピリジン、置換ピリジン(例えば、コリジン、ルチジンおよび4-ジメチルアミノピリジン)、ならびにまた二環式アミンである。特に好ましいのは、トリエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミンおよび炭酸カリウムである。塩基は、一般に、触媒量で用いられるが、しかし、等モル量で、過剰量で、あるいは、適切な場合には溶媒として使用することもできる。塩基の量は、典型的には1モルの化合物IIに対して0.5〜5モル当量である。
【0013】
出発物質、すなわち化合物IIおよび化合物IIIは、通常、互いに等モル量で反応させる。収率の観点からは、化合物IIIに対して化合物IIを過剰量で用いるのが有利な場合もある。
【0014】
あるいは、下記に示したように、化合物IV(式中、Raおよびnは上記で定義した通りであり、L'は脱離基、例えばメチルスルホニル、トルエンスルホニル、ヒドロキシルまたは式IIIでLに関して定義した基であり、好ましくは、メチルスルホニル、トルエンスルホニルまたはクロロ、ブロモおよびヨードなどのハロゲンである)を化合物III.a(式中、R、AおよびHetは上記で定義した通りである)と反応させ、化合物Iを直接得ることができる:
【化3】

【0015】
この反応は、化合物IIと化合物IIIとの反応について記載したのと同様の条件下で行なうことができる。ヒドロキシよりも他の脱離基L'を所望するならば、Organ. Lett. 8, 5069-5072, 2006に記載されているようにして、例えば、in situでトリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシレートまたは適切な代替物質で処理を行い、ヒドロキシ基を効果的に反応させて対象とする脱離基を形成させることができる。
【0016】
あるいは、この反応は、下記に示すような連続する2工程(式中、Ra、n、R、AおよびHetは上記で定義した通りであり、RiおよびRjは、互いに独立して、水素またはC1-C4-アルキルであるか、RiおよびRjは、一緒になって、1,2-エチレンまたは1,2-プロピレン部分を形成しており(その炭素原子は非置換であるか、全部または一部がメチル基で置換されていてもよい)、Lは、適切な脱離基、例えばハロゲン、好ましくは、塩素、臭素またはヨウ素、アルキルカルボニレート、ベンゾエート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネートまたはアリールスルホネートであり、最も好ましくは、塩素または臭素である)
で実施することもできる:
【化4】

【0017】
化合物IVを化合物Vと反応させて化合物VIを得るという上記の第1の反応工程は、化合物IIと化合物IIIの反応について記載したのと同様の条件下で行うことができる。
【0018】
化合物VIを化合物VIIと反応させる第2の反応工程は、通常、20℃〜180℃、好ましくは40℃〜120℃の温度で、無機溶媒中、塩基および触媒(特にパラジウム触媒)の存在下で実施する。前記触媒は、例えば、以下の文献:Synth. Commun. Vol. 11, p. 513 (1981); Acc. Chem. Res. Vol. 15, pp. 178-184 (1982); Chem. Rev. Vol. 95, pp. 2457-2483 (1995); Organic Letters Vol. 6 (16), p. 2808 (2004); "Metal catalyzed cross coupling reactions", 第2版, Wiley, VCH 2005 (De Meijere, Diederich編); "Handbook of organopalladium chemistry for organic synthesis" (Negishi編), Wiley, Interscience, New York, 2002; "Handbook of functionalized organometallics", (P. Knochel編), Wiley, VCH, 2005に記載されている。
【0019】
適切な触媒は、一般に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド;ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド;[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-パラジウム(II)クロリド/塩化メチレン(1:1)錯体;ビス[ビス-(1,2-ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0);ビス(ビス-(1,2-ジフェニルホスフィノ)ブタン]-パラジウム(II)クロリド;酢酸パラジウム(II);塩化パラジウム(II);および酢酸パラジウム(II)/トリ-o-トリルホスフィン錯体、またはホスフィンとPd塩もしくはホスフィンとPd-錯体の混合物、例えば、ジベンジリデンアセトン-パラジウムおよびトリtert-ブチルホスフィン(またはそのテトラフルオロボレート)、トリスシクロヘキシルホスフィン;またはポリマー結合Pd-トリフェニルホスフィン触媒系である。
【0020】
好適な溶媒は、一般に、脂肪族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよび石油エーテル、芳香族炭化水素類、例えばトルエン、o-、m-およびp-キシレン、エーテル類、例えばジイソプロピルエーテル、MTBE、ジオキサン、アニソールおよびTHFおよびジメトキシエタン、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびtert.-ブチルメチルケトン、ならびにDMSO、DMFおよびジメチルアセトアミドであり、特に好ましくはエーテル類、例えばTHF、ジオキサンおよびジメトキシエタンである。また、記載した溶媒の混合物、または水との混合物を使用することも可能である。
【0021】
好適な塩基は、一般に、無機化合物、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムおよび炭酸カルシウム)、またアルカリ金属の重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム)、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドおよびカリウムtert.-ブトキシド)、さらに有機塩基、例えば、第三級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびNMP)、ピリジン、置換ピリジン(例えば、コリジン、ルチジンおよび4-ジメチルアミノピリジン)、ならびに二環式アミンである。特に好ましいのは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミンおよび重炭酸ナトリウムなどの塩基である。
【0022】
塩基は一般に触媒量で用いられるが、しかし、等モル量で、過剰量で、あるいは、適切な場合には溶媒として使用することもできる。塩基の量は、典型的には、1モルの化合物VIに対して1〜10モル当量、好ましくは1.5〜5モル当量である。ボロン酸VIIの量は、1モルの化合物VIに対して0.2〜1モル当量、好ましくは0.4〜1モル当量で用いられる。場合によっては、精製を容易にするために、1モルの化合物VI当たり準化学量論的量の0.7〜0.99モル当量でボロン酸を使用するのが有利である。
【0023】
また、反応混合物にスカベンジャーを加えて、それらに結合させ、単純濾過を行うことにより副産物または未反応出発物質を除去することもできる。詳細は、"Synthesis and purification catalog", Argonaut, 2003およびその中の引用文献を参照されたい。
【0024】
あるいは、化合物VIを化合物VIIと反応させる場合に、Negishiカップリング法(F. Diederich, P. Stang, Metal-catalyzed Cross-coupling Reactions, Wiley 1998, p. 1 ff)、Stilleカップリング法 (F. Diederich, P. Stang, Metal-catalyzed Cross-coupling Reactions, Wiley 1998, p. 167 ff)またはKumadaカップリング法(Angew. Chem. Int. Ed 41 (22), 2002, 4176 ff) の条件を利用することができる。
【0025】
ボロン酸またはエステルVIIは市販のものを利用することが可能であり、あるいは、"Science of Synthesis" Vol. 6, Thieme, 2005; WO 02/042275; Synlett 2003, (8) p.1204; J. Org. Chem., 2003, 68, p. 3729, Synthesis, 2000, p.442, J. Org. Chem., 1995, 60, p. 750;または、"Handbook of functionalized organometallics", (P. Knochel編), Wiley, VCH, 2005に従って調製することができる。
【0026】
また、化合物VIは、下記に示すように、化合物VIII(式中、Aは上記で定義した通りであり、L1およびLは脱離基であり、かつ式IIIでLに関して記載した意味の1つを有し、好ましくは、L1およびLは互いに異なる)を化合物IIと反応させることにより得ることもできる:
【化5】

【0027】
上記の反応は、化合物IIと化合物IIIの反応について記載したものと同様の条件下で行うことができる。
【0028】
一部の化合物IIは、文献(Bioorg. Med. Chem. 15(7), 2759-2767, 2007;US 2007129547;WO 07/64993を参照)から公知であって、市販されているか、これらは当技術分野で公知の反応によって、例えば、WO 07/69685に記載の方法と同様の方法で、適切なヨウ化物塩(例えば、NaI、KIまたはヨウ化テトラブチルアンモニウム)の存在下または不在下で、アンモニアまたは酢酸アンモニウムを用いて処理することにより調製することができる。あるいは、化合物IIは、US 2007129547に開示されている通り、誘導体IVから出発し、適切なフタルイミド塩(好ましくはK+またはNa+塩)で処理し、その後ヒドラジンで処理することにより調製することができる。
【0029】
あるいは、下記のように、化合物II(式中、Rは水素である)は、対応するオキシムIX.a、ニトリルIX.b、もしくはアミドIX.cの還元によって、または対応するアルデヒドIX.dもしくはケトンIX.eの還元的アミノ化によって調製することができる。したがって、適切な方法は当業者には公知である:
【化6】

【0030】
オキシムIX.a、アルデヒドIX.dまたはケトンIX.eを対応する化合物IIへ還元するのに適した方法は、文献、例えば、March, J. "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure" (Wiley & Sons, New York, 第4版, 1992, pp. 1218-1219) に記載されている。
【0031】
ニトリルIX.bを対応する化合物IIへ還元するのに適した方法は、文献、例えば、March, J. "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure" (Wiley & Sons, New York, 第4版, 1992, 918-919)に記載されている。
【0032】
アミドIX.cを対応する化合物IIへ還元するのに適した方法は文献、例えば、March, J. "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure" (Wiley & Sons, New York, 第4版, 1992, 1212-1213)に記載されている。
【0033】
オキシムIX.aは、当技術分野で公知の反応によって、例えば、Houben-Weyl, vol. 10/4, Thieme, Stuttgart, 1968; vol. 11/2, 1957; vol E5, 1985; J. Prakt. Chem./Chem. Ztg. 336(8), 695-697, 1994; Tetrahedron Lett. 42(39), 6815-6818, 2001; Heterocycles 29(9), 1741-1760, 1989;または、Liebigs Ann. Chem. 737, 39-45, 1970に記載されている方法と同様の方法で、それぞれアルデヒドIX.d、ケトンIX.e、またはメチル誘導体IX.fから調製することができる。
【0034】
アルデヒドIX.dは、J. Org. Chem. 51(4), 536-537, 1986と同様の方法で、対応するメチル誘導体IX.fから合成することができる。あるいは、Eur. J. Org. Chem. 2003(8), 1576-1588, 2003; Tetrahedron Lett. 40(19), 3719-3722 1999;または、Tetrahedron 55(41), 12149-12156, 1999に開示されているようにして、ハロゲン化誘導体IX.gから合成することができる。ケトンIX.eは、例えば、Synthesis 11, 881-884;またはHeterocycles 71(4), 911-918に記載の方法と同様にして、標準試薬を使用し、対応するアルコールを酸化することにより調製することができる。
【0035】
ニトリルIX.bは、Heterocycles, 41(4), 675 (1995); Chem. Pharm. Bull., 21, 1927 (1973);またはJ. Chem. Soc., 426 (1942) に記載の方法と同様にして、例えば、対応するハロゲン化誘導体IX.gからシアン化物(CuCN、NaCNまたはKCNなど)との反応により調製することができるか、あるいは、Monatsh. Chem. 87, 526-536, (1956) に記載の経路と同様にして、例えば、対応するハロゲン化誘導体IX.gからトリアルキルアミンとの反応によりトリアルキルアンモニウム置換誘導体を得て、その後、適切なシアン化剤、例えば有機物シアン化物または無機シアン化物、例えばシアン化テトラアルキルアンモニウム、NaCNまたはKCNなどと反応を行い、調製することができる。化合物IX.gは市販されているか、標準法に従って合成することができる。
【0036】
アミドIX.cは、例えば、March, J. "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure" (Wiley & Sons, New York, 第3版, 1985, 370-371)に記載のようにして、例えば、対応するカルボン酸クロリドまたは無水物からアンモニアとの反応により調製することができる。
【0037】
化合物IIを得るさらなる方法を下記に示すが、この場合、PGは、下記に定義したような酸性、塩基性または標準水素化条件下で切断可能な適切な保護基である:
【化7】

【0038】
1または複数の合成工程の間の反応に対するアミノ基の保護は公知の方法であり、当技術分野で開示されている。適切な保護基の例は、有機合成で慣例的に使用されているものであり、好ましくはt-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ジホルミルまたはフタロイルである。適切な保護基とそれらの切断に関するさらなる詳細は、Greene T. W., Wits P. G. "Protective groups in organic synthesis" (Wiley & Sons, New York, 1999, 494 et sqq.)で確認することができる。ニトリルIX.bの水素化は、有利には、適切な触媒、好ましくはラネーニッケルまたはパラジウム炭素、および保護試薬、例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネート、ジベンジルジカーボネート、ベンジルクロロホルメートなどの存在下で行ない、N-保護された化合物Xを得ることができる。塩化水素で、または臭化水素/氷酢酸で、またはトリフルオロ酢酸/水混合物で処理し、化合物Xを脱保護して、化合物II(式中、Rは水素である)を得ることができる。
【0039】
化合物IV(式中、L'はハロゲン、好ましくはClまたはBrである)は、標準のハロゲン化条件下で、例えば、Bioorg. Med. Chem. 15(10), 3315-3320; 2007, Eur. J. Org. Chem. 4, 947-957, 2006; J. Med. Chem. 48(5), 1367-1383, 2005; または、J. Org. Chem. 68(11), 4179-4188, 2003に記載の方法と同様にして、対応するメチル誘導体IX.fをハロゲン化剤(Cl2、Br2、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミドまたは塩化イソシアヌル酸など)で処理することによって合成することができる。
【0040】
化合物IV(式中、L'はメチルスルホニルまたはトルエンスルホニルである)は、J. Org. Chem. 50, 165-2170, 1985; または、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1: Org. Bioorg. Chem. 12, 2887-2894, 1980に記載の方法と同様にして、標準条件下で、対応するアルコールをそれぞれ無水メタンスルホン酸または無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させることにより調製することができる。
【0041】
基Rは化合物II中に存在していてもよいし、あるいは、Coll. Czechoslovak. Chem. Comm. 40(4), 1193-1198, 1975、またはJ. Med. Chem. 19(12), 1409-1416, 1991と同様の標準条件により、化合物I(式中、Rは水素である)を適切な化合物XI(式中、Rおよび脱離基Lは上記で定義した通りであり、またこの化合物XIは当技術分野で公知である)と反応させることで、下記に示すように後続段階で導入することもできる:
【化8】

【0042】
化合物IIIならびにその誘導体III.aおよびIII.bは当技術分野で公知であり、欧州特許出願08101694.1に記載の方法と同様にして調製することができる。
【0043】
上記の経路によって個々の化合物Iを得ることができない場合、これらは、他の化合物Iを誘導体化することにより調製することができる。
【0044】
N-オキシドは、慣用の酸化法に従って、例えば、メタクロロ過安息香酸などの有機過酸で化合物Iを処理することにより、化合物Iから調製することができる(WO 03/64572、またはJ. Med. Chem. 38(11), 1892-903, 1995を参照)か、あるいは過酸化水素などの無機酸化剤(J. Heterocyc. Chem. 18(7), 1305-8, 1981を参照)、またはオキソン(J. Am. Chem. Soc. 123(25), 5962-5973, 2001を参照)で処理することにより調製することができる。この酸化によって純粋なモノ-N-オキシドまたは様々なN-オキシドの混合物が得られるが、後者はクロマトグラフィーなどの従来法によって分離することができる。
【0045】
合成により異性体の混合物が生じる場合、使用のための後処理の間に、または施用の間に(例えば、光、酸または塩基の作用下で)個々の異性体が相互変換される場合があるため、一般に、分離は必ずしも必要ではない。かかる変換は、使用後にも起こり得る。例えば、植物処理の場合、処理した植物において、または防除すべき有害菌類において起こり得る。
【0046】
「化合物I」という用語は、式Iで表される化合物を意味する。同様に、この用語は全ての下位の式にも該当し、例えば、「化合物I.2」は、式I.2で表される化合物を意味し、あるいは「化合物II」は式IIで表される化合物を意味する。
【0047】
上記の可変部分の定義においては、一般に当該置換基に関する代表的な用語である、集合的用語が使用されている。接頭辞Cn-Cmは、いずれの場合も、当該置換基または置換基部分に存在する可能性のある炭素原子の数を示す。
【0048】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0049】
「C1-C6-アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、および1-エチル-2-メチルプロピルである。同様に、「C1-C4-アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0050】
「C1-C4-ハロアルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、これらの基の中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよいものを意味し、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチルおよびペンタフルオロエチル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2,3-ジフルオロプロピル、2-クロロプロピル、3-クロロプロピル、2,3-ジクロロプロピル、2-ブロモプロピル、3-ブロモプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,3-トリクロロプロピル、CH2-C2F5、CF2-C2F5、CF(CF3)2、1-(フルオロメチル)-2-フルオロエチル、1-(クロロメチル)-2-クロロエチル、1-(ブロモメチル)-2-ブロモエチル、4-フルオロブチル、4-クロロブチル、4-ブロモブチルまたはノナフルオロブチルである。同様に、「C1-C6-ハロアルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基であって、これらの基の中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい基を意味する。
【0051】
「C1-C6-アルコキシ」という用語は、アルキル基の任意の位置で、酸素を介して結合されている1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、例えば、OCH3、OCH2CH3、O(CH2)2CH3、1-メチルエトキシ、O(CH2)3CH3、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシまたは1,1-ジメチルエトキシ、O(CH2)4CH3またはO(CH2)5CH3である。同様に、「C1-C4-アルコキシ」という用語は、アルキル基の任意の位置で、酸素を介して結合されている1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0052】
「C1-C4-ハロアルコキシ」という用語は、C1-C4-アルコキシ基であって、上述のように水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい基を意味し、例えば、OCH2F、OCHF2、OCF3、OCH2Cl、OCHCl2、OCCl3、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2-ブロモエトキシ、2-ヨードエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロエトキシ、2,2-ジクロロ-2-フルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、OC2F5、2-フルオロプロポキシ、3-フルオロプロポキシ、2,2-ジフルオロプロポキシ、2,3-ジフルオロプロポキシ、2-クロロプロポキシ、3-クロロプロポキシ、2,3-ジクロロプロポキシ、2-ブロモプロポキシ、3-ブロモプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、3,3,3-トリクロロプロポキシ、OCH2-C2F5、OCF2-C2F5、1-ジフルオロメチル-2-フルオロエトキシ、1-ジクロロメチル-2-クロロエトキシ、1-ジブロモメチル-2-ブロモエトキシ、4-フルオロブトキシ、4-クロロブトキシ、4-ブロモブトキシまたはノナフルオロブトキシである。同様に、「C1-C6-ハロアルコキシ」という用語は、C1-C6-アルコキシ基であって、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい基を意味する。
【0053】
「C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有するアルキルであって、アルキル基の1個の水素原子がC1-C4-アルコキシ基で置換されているものを意味する。同様に、「C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであって、アルキル基の1個の水素原子がC1-C6-アルコキシ基で置換されているものを意味する。
【0054】
「C1-C4-ハロアルコキシ-C1-C4-アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有するアルキルであって、アルキル基の1個の水素原子がC1-C4-ハロアルコキシ基で置換されているものを意味する。同様に、「C1-C6-ハロアルコキシ-C1-C6-アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであって、アルキル基の1個の水素原子がC1-C6-アルコキシ基で置換されているものを意味する。
【0055】
「C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルコキシ」という用語は、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル基であって、分子の残りの部分へ酸素原子を介して結合されているものを意味する。
【0056】
本明細書で使用されている「C1-C4-アルキルチオ」という用語は、アルキル基中の任意の位置で、硫黄原子を介して結合されている1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオおよびn-ブチルチオである。同様に、本明細書で使用されている「C1-C6-アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して結合されている1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。したがって、「C1-C4-ハロアルキルチオ」および「C1-C6-ハロアルキルチオ」という用語は、ハロアルキル基の任意の位置で、硫黄原子を介して結合されている1〜4個または1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のハロアルキル基を意味する。
【0057】
「C1-C4-アルキルスルフィニル」および「C1-C6-アルキルスルフィニル」という用語は、それぞれ、アルキル基中の任意の位置で-S(=O)-部分を介して結合されている、1〜4個または1〜6個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、例えばメチルスルフィニルおよびエチルスルフィニルなどである。したがって、「C1-C4-ハロアルキルスルフィニル」および「C1-C6-ハロアルキルスルフィニル」という用語は、それぞれ、ハロアルキル基中の任意の位置で-S(=O)-部分を介して結合されている、1〜4個および1〜6個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖または分岐鎖のハロアルキル基を意味する。
【0058】
「C1-C4-アルキルスルホニル」および「C1-C6-アルキルスルホニル」という用語は、それぞれ、アルキル基中の任意の位置で-S(=O)2-部分を介して結合されている1〜4個および1〜6個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、例えばメチルスルホニルである。したがって、「C1-C4-ハロアルキルスルホニル」および「C1-C6-ハロアルキルスルホニル」という用語は、それぞれ、ハロアルキル基中の任意の位置で-S(=O)2-部分を介して結合されている、1〜4個および1〜6個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖または分岐鎖のハロアルキル基を意味する。
【0059】
「C1-C4-アルキルアミノ」という用語は、置換基として1個のC1-C4-アルキル基を有するアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、1-メチルエチルアミノ、ブチルアミノ、1-メチルプロピルアミノ、2-メチルプロピルアミノ、1,1-ジメチルエチルアミノなどである。同様に、「C1-C6-アルキルアミノ」という用語は、置換基として1個のC1-C6-アルキル基を有するアミノ基を意味する。
【0060】
「ジ(C1-C4-アルキル)アミノ」という用語は、置換基として2個の同一のまたは異なるC1-C4-アルキル基を有するアミノ基を意味し、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N-(n-プロピル)-N-メチルアミノ、N-(イソプロピル)-N-メチルアミノ、N-(n-ブチル)-N-メチルアミノ、N-(n-ペンチル)-N-メチルアミノ、N-(2-ブチル)-N-メチルアミノ、N-(イソブチル)-N-メチルアミノなどがある。同様に、「ジ(C1-C6-アルキル)アミノ」という用語は、置換基として2個の同一のまたは異なるC1-C6-アルキル基を有するアミノ基を意味する。
【0061】
したがって、「C1-C6-ハロアルキルアミノ」および「ジ(C1-C4-ハロアルキル)アミノ」という用語は、それぞれ、置換基として、1個および2個の同一のまたは異なるC1-C6-アルキル基を有するアミノ基をそれぞれ意味する。
【0062】
「C1-C4-アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して結合しているC1-C6-アルキル基を意味する。「(C1-C6-アルコキシ)カルボニル」という用語は、カルボニル基を介して結合されているC1-C6-アルコキシ基を意味する。したがって、「C1-C6-ハロアルキルカルボニル」、「C1-C6-ハロアルコキシカルボニル」という用語は、それぞれ、カルボニル基を介して結合されているC1-C6-アルキル基およびC1-C6-アルコキシ基をそれぞれ意味する。
【0063】
「C1-C6-アルキルアミノカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して結合されているC1-C6-アルキルアミノ基を意味する。同様に、「ジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニル」という用語は、カルボニル基を介して結合されているジ(C1-C6)アルキルアミノ基を意味する。
【0064】
「フェノキシ」という用語は、酸素原子を介して結合されているフェニル基を意味する。同様に、「フェノキシ-C1-C6-アルキル」は、C1-C6-アルキル基を介して結合されているフェノキシ基を意味する。
【0065】
「C2-C4-アルケニル」という用語は、2〜4個の炭素原子と任意の位置に二重結合を有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニルである。同様に、「C2-C6-アルケニル」は、2〜6個の炭素原子と任意の位置に二重結合を有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味する。
【0066】
「C2-C4-アルキニル」という用語は、2〜4個の炭素原子を有しており、少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味し、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニルである。同様に、「C2-C6-アルキニル」という用語は、2〜6個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味する。
【0067】
「C3-C10-シクロアルキル」という用語は、3〜10個の環炭素原子を有している単環式、二環式、架橋およびダイヤモンド型(diamandoid)の飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルまたはアダマンチルである。
【0068】
同様に「C3-C10-シクロアルケニル」という用語は、3〜10個の環炭素原子を有している単環式、二環式および架橋の不飽和炭化水素基であって二重結合を任意の位置に有するものを意味し、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル、シクロデセニルまたはノルボルネニルである。
【0069】
「C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキル」という用語は、(上記で定義した)3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基であって、シクロアルキル基の1つの水素原子がC1-C6-アルキル基で置換されているものを意味する。
【0070】
「5員、6員または7員の炭素環」という用語は、5、6または7個の環原子を有する飽和または部分不飽和の炭素環、ならびにフェニルを意味するものと理解されたい。非芳香族環に関する例としては、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニルなどが挙げられる。
【0071】
複素環の環員原子が、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでいる「5員、6員または7員の複素環」という用語は、5、6または7個の環原子を有する飽和および部分不飽和、ならびに芳香族の複素環を意味するものと理解されたい。
【0072】
具体例としては、以下ものもが含まれる:
− 複素環の環員原子が炭素原子以外にN、OおよびSの群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む、飽和および部分不飽和の5員、6員または7員の複素環であり、例えば、それが飽和であるか部分不飽和のピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1,3-ジオキソラン-4-イル、イソオキサゾリジン-3-イル、イソオキサゾリジン-4-イル、イソオキサゾリジン-5-イル、イソチアゾリジン-3-イル、イソ-チアゾリジン-4-イル、イソチアゾリジン-5-イル、ピラゾリジン-3-イル、ピラゾリジン-4-イル、ピラゾリジン-5-イル、オキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-4-イル、オキサゾリジン-5-イル、チアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-4-イル、チアゾリジン-5-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、ヘキサヒドロピリダジン-3-イル、ヘキサヒドロピリダジン-4-イル、ヘキサヒドロピリミジン-2-イル、ヘキサヒドロピリミジン-4-イル、5-ヘキサヒドロピリミジニルおよびピペラジン-2-イル;
− ヘテロアリールの環員原子が炭素原子以外にN、OおよびSの群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含んでいる、5員のヘテロアリール(複素環式芳香族基)であり、例えば、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、チエン-2-イル、チエン-3-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、イミダゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、イソオキサゾール-5-イル、チアゾール-2イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾリル-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、および1,2,4-チアジアゾール-5-イル;
− ヘテロアリールの環員原子が炭素原子以外に1、2または3個の窒素原子を含んでいる、6員のヘテロアリール(複素環式芳香族基)であり、例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピリダジン-3-イル、ピリダジン-4-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イル、および1,3,5-トリアジン-2-イル。
【0073】
さらに、「5員または6員のヘテロアレーンジイル」という用語は、2つの結合点を有する芳香族のヘテロアリールから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアレーンジイル基の例は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3,4-テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾールなどから誘導される二価の基である。上記の基は、可能な場合にはC-結合またはN-結合であり得る。例えば、ピロール、イミダゾール(imidiazole)またはピラゾールから誘導される基はN-結合またはC-結合であってもよい。
【0074】
「フェニレン」という用語は、1,2-フェニレン(o-フェニレン)、1,3-フェニレン(m-フェニレン)および1,4-フェニレン(p-フェニレン)を意味する。
【0075】
「ピリジン環の隣接する環員原子に結合している2個の基Raは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環を形成していてもよい」という用語は、縮合二環式環構造であって、ピリジン環が縮合5員、6員または7員の炭素環または複素環を有することを意味する。
【0076】
「基Aの隣接する環員原子に結合している2個の基Rbは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族の環を形成していてもよい」という用語は、縮合二環式環構造であって、5員もしくは6員のヘテロアレーンジイルおよびフェニレンが、それぞれ、縮合5員、6員または7員の炭素環または複素環を有することを意味する。
【0077】
「基Hetの隣接する環員原子に結合している2個の基Rcは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であっても複素環であってもよい)を形成していてもよい」という用語は、縮合二環式環構造であって、5員または6員のヘテロアリールが、縮合5員、6員または7員炭素環または複素環を有することを意味する。
【0078】
化合物Iの農業上有用な塩には、特に、そのカチオンおよびアニオンが、それぞれ、化合物Iの殺菌作用に悪影響を及ぼさないカチオンの塩または酸の酸付加塩が含まれる。よって、好適なカチオンは、特に、アルカリ金属、好ましくはナトリウムおよびカリウムのイオン、アルカリ土類金属、好ましくはカルシウム、マグネシウムおよびバリウムのイオン、遷移金属、好ましくはマンガン、銅、亜鉛および鉄のイオン、ならびにアンモニウムイオン(所望の場合には1〜4個のC1-C4-アルキル置換基および/または1個のフェニルもしくはベンジル置換基を有してもよい)、好ましくは、ジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、さらにホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C1-C4-アルキル)スルホニウム、およびスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C1-C4-アルキル)スルホキソニウムである。有用な酸付加塩のアニオンは、主として、塩素アニオン、臭素アニオン、フッ素アニオン、硫酸水素アニオン、硫酸アニオン、リン酸二水素アニオン、硫酸水素アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン、炭酸水素アニオン、炭酸アニオン、ヘキサフルオロケイ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、安息香酸アニオン、およびC1-C4-アルカン酸のアニオン、好ましくは、蟻酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオンおよび酪酸アニオンである。これらは、式Iで表される化合物を対応するアニオンの酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸または硝酸と反応させることにより形成させることができる。
【0079】
式Iで表される化合物は、単結合の非対象基に関する回転が制限されることから生じるアトロプ異性体で存在し得る。これらもまた、本発明の主題の一部を形成するものとする。
【0080】
置換パターンに応じて、式Iで表される化合物およびそのN-オキシドは1種または複数のキラル中心を有する可能性があり、その場合、それらは純粋なエナンチオマーもしくは純粋なジアステレオマーとして、またはエナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物として存在する。純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの混合物のいずれもが本発明の主題である。
【0081】
可変基に関しては、中間体の実施形態は、化合物Iの実施形態に対応する。
【0082】
好ましいのはこれらの化合物Iであり、またこの場合、本明細書に記載されている全ての下位式(例えば、式I.1およびI.2)の化合物、ならびに化合物II、III、IVおよびIX.a〜IX.hなどの中間体群にも適用され、式中、その置換基および可変基(n、R、A、Het、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、R'、R''およびR''')は、互いに独立して、さらに好ましくは組み合わせで、以下の意味を有する。
【0083】
本発明の一実施形態は、nが1、2、3または4であり、より好ましくはnが1または2である、化合物Iに関する。別の実施形態は、nが2であり、Raがピリジン環の2位および3位である、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、nが2であり、Raがピリジン環の2位および6位である、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、nが2であり、Raがピリジン環の3位および5位である、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、nが3である、化合物Iである。さらなる実施形態は、nが1である化合物Iに関する。さらなる実施形態は、nが0である、化合物Iに関する。
【0084】
さらなる実施形態は、ピリジン環の隣接する環員原子に結合している2個の基Raが前記環員原子と一緒になっていかなる縮合環も形成しない、化合物Iに関する。
【0085】
本発明の一実施形態では、Raは、ハロゲン、CN、NH2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-ハロアルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、ジ(C1-C6-ハロアルキル)アミノ、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-ハロアルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルである。
【0086】
別の実施形態では、Raは、ハロゲン、CN、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、C3-C8-シクロアルキルまたはC1-C4-アルキル-C3-C8-シクロアルキルである。
【0087】
さらなる実施形態では、Raは、ハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキルチオまたはジ(C1-C4-アルキル)アミノである。
【0088】
さらなる実施形態では、Raは、F、Cl、Br、OH、SH、CN、C1-C2-アルキル、シクロプロピル、CH=CH2、C≡CH、C1-C2-アルコキシ、メチルチオ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、CF3、CHF2、OCF3およびOCHF2から、より好ましくは、F、Cl、Br、CN、C1-C2-アルキル、C1-C2-アルコキシ、CF3、CHF2、OCF3およびOCHF2から、特に好ましくは、Cl、CH3およびOCH3から選択されるものである。
【0089】
さらなる実施形態では、Raは、Cl、CN、CH3、CF3、OCH3、OCF3、N(CH3)2、C1-C6-アルキルカルボニルであり、好ましくは、C(=O)CH3、C(=O)CH(CH3)2およびC(=O)C(CH3)3、C1-ハロアルキルカルボニルから、特にC(=O)CF3、C1-C4-アルコキシカルボニルから選択されるものであり、また好ましくは、C(=O)OCH3、C(=O)OCH(CH3)2およびC(=O)OC(CH3)3、C1-ハロアルコキシカルボニルから、特にC(=O)OCF3、C1-C6-アルキルアミノカルボニルから選択されるものであり、また好ましくは、C(=O)NHCH3、C(=O)NHCH(CH3)2およびC(=O)NHC(CH3)3、ジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルから選択され、好ましくは、C(=O)N(CH3)2、C(=O)N[CH(CH3)2]2およびC(=O)N[C(CH3)3]2から選択されるものである。
【0090】
さらなる実施形態では、Raは、CH2CH3、CH2(CH3)2、CF3、OCH3、OCH2CH3、イソプロポキシ、OCF3、OCHF2、NHCH3、N(CH3)2、NHCH2CH3またはNHCH2(CH3)2である。
【0091】
さらなる実施形態では、Raは、CH2CH3、CH2(CH3)2、CF3、OCH2CH3、イソプロポキシ、OCF3、OCHF2、N(CH3)2、NHCH2CH3またはNHCH2(CH3)2である。
【0092】
さらなる実施形態では、Raはハロゲンであり、好ましくはFおよびClから選択され、特にRaはClである。さらなる実施形態では、RaはCNである。さらなる実施形態では、RaはC1-C6-アルキルであり、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルおよびt-ブチルから選択される。さらなる実施形態では、RaはC1-C6-ハロアルキルである。さらに好ましくは、RaはC1-ハロアルキルであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチルおよびトリクロロメチルから選択され、特に、Raはトリフルオロメチルである。さらなる実施形態では、RaはC1-C4-アルコキシであり、好ましくは、メトキシ、エトキシ、n-プロピルキシおよびi-プロピルオキシから選択され、特にメトキシである。さらなる実施形態は、nが2であり、Raがビリジン環の2位および3位にあって、かつハロゲン、C1-C2-アルキル、C1-C2-アルコキシ、C1-C2-ハロアルキルまたはC1-C2-ハロアルコキシである化合物Iに関する。
【0093】
さらなる実施形態は、nが2であり、Raがピリジン環の2位および3位にあって、Cl、F、CH3、OCH3またはC2H5から選択される、化合物Iに関する。
【0094】
さらなる実施形態では、ピリジン環の隣接する環員原子に結合している2個の基Raは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成しており、この場合、前記縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前記縮合炭素環または複素環は、非置換であり、Raに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有している。一実施形態では、縮合環は好ましくはフェニルである。別の実施形態では、縮合環は好ましくは飽和炭素環であり、特にシクロヘキシルである。さらなる実施形態中では、縮合環は好ましくは部分不飽和炭素環であり、特にシクロヘキセニルである。
【0095】
さらなる実施形態は、次の部分:
【化9】

(式中、*は、スルホンアミド基の窒素原子に結合しているメチレン架橋への結合を示す)
がキノリン-4-イル、1,8-ナフチリジン-4-イル、1,7-ナフチリジン-4-イル、1,6-ナフチリジン-4-イル、1,5-ナフチリジン-4-イル、ピリド-[2,3-d]ピリミジン-5-イルおよびピリド[3,2-d]ピリミジン-8-イルから選択され、ピリジン-4-イル環については、1または2個のさらなる基Raを有していてもよく、また縮合環については、ハロゲン、C1-C4-アルキル、ハロメチル、C1-C4-アルコキシ、またはハロメトキシからなる群から選択される1または2個の基を有していてもよい、化合物Iに関する。特に好ましいのは、上記のピリジン-4-イル部分がキノリン-4-イルである、化合物Iである。別の実施形態は、上記のピリジン-4-イル部分が5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-4-イルである、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、上記のピリジン-4-イル部分が2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-4-イルである、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、上記のピリジン-4-イル部分が2,3-ジヒドロフロ[3,2-b]ピリジン-4-イルである、化合物Iに関する。
【0096】
特定の実施形態は、Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が互いに独立して水素であるか、Raに関して特定した定義の1つを有し、ピリジル基が以下の表Pに定義した基Ra1、Ra2およびRa3の組み合わせの1つを有する化合物Iに関し、この化合物は次式I.1:
【化10】

で表されるものである。
【表1】

式中、%はRa1置換基の位置でのピリジン環への結合点を示し、#はRa2置換基の位置でのピリジン環への結合点を示す。
【0097】
一実施形態は、Rが水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニルまたはC1-C6-ハロアルキルカルボニル、好ましくは水素またはC1-C6-アルキルである、化合物Iに関する。
【0098】
別の実施形態は、Rが水素、C1-C4-アルキル、C1-C2-ハロアルコキシ、ジ(C1-C2-アルキル)アミノ、アリルまたはプロパルギルである化合物Iに関する。
【0099】
さらなる実施形態は、Rが水素、C1-C4-アルキル、-CH=CH2、-CH2-CH=CH2または-CH2-C≡CHである、化合物Iに関する。
【0100】
さらなる実施形態は、RがC1-C4-アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルから選択され、特にRがメチルである、化合物Iに関する。
【0101】
さらなる実施形態は、Rが水素であり、またRa1、Ra2およびRa3が互いに独立して水素であるか、Raに関して明示した定義の1つを有する、化合物Iに関し、とりわけ好ましいものは次式I.2:
【化11】

で表されるものである。
【0102】
一実施形態は、Aが非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rbを有するフェニレンであり、好ましくは1,3-フェニレンまたは1,4-フェニレンである、化合物Iに関する。
【0103】
別の実施形態は、Aが非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rbを有する1,4-フェニレンであり、特にAが非置換の1,4-フェニレンである、化合物Iに関する。
【0104】
さらなる実施形態は、Aがピリミジンジイル、ピリダジンジイル、ピラジンジイル、トリアジンジイル、フランジイル、チエンジイル、ピロルジイル、ピラゾルジイル、イソオキサゾルジイル、イソチアゾルジイル、イミダゾルジイル、オキサゾルジイル、チアゾルジイル、トリアゾルジイル、チアジアゾルジイルおよびオキサジアゾルジイルからなる群から選択されるヘテロアレーンジイルであって、前記の基が非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rbを有する、化合物Iに関する。1つの結合点がヘテロアレーンジイル基の窒素原子に位置している場合、前記窒素原子は、スルホンアミド基の硫黄原子、またはHetのいずれかに結合されているが、より好ましいのは、Hetへの結合点である。
【0105】
さらなる実施形態は、Aが、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rbを有する6員ヘテロアレーンジイルである化合物Iに関する。Aが6員ヘテロアレーンジイルである化合物Iのうち、特に好ましいのは、Aがピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルであって、前記の2個の基がそれぞれ非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rbを有するものである。
【0106】
さらなる実施形態は、Aが、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rbを有する5員ヘテロアレーンジイルである化合物Iに関する。Aが5員ヘテロアレーンジイルである化合物Iのうち、特に好ましいのは、Aがチエンジイル、チアゾルジイル、オキサゾルジイル、ピラゾルジイルまたはピリジンジイルであって、前記の5個の基がそれぞれ非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rbを有するものである。
【0107】
本発明の特に好ましい実施形態は、Aが以下の基のA-1〜A-6の1つである化合物Iに関する。
【表2】

式中、#はスルホンアミド基の硫黄原子への結合を示し、*はHetへの結合を示す。
【0108】
本発明の一実施形態は、基Aが1、2または3個の基Rb、より好ましくは1または2個の基Rbを有する化合物Iに関する。別の実施形態では、基Aは非置換であるか、1個の基Rbを有する。さらなる実施形態では、基Aは非置換である。さらなる実施形態では、基Aは1個の基Rbを有する。さらなる実施形態では、基Aは2個の基Rbを有する。さらなる実施形態では、基Aは3個の基Rbを有する。
【0109】
Rbが存在する場合、Rbは、好ましくは、ハロゲン、CN、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C2-C4-アルケニル、C2-C4-ハロアルケニル、C2-C4-アルキニル、C2-C4-ハロアルキニル、C1-C4-アルキルカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルキルアミノ、ジ(C1-C4-アルキル)アミノ、C1-C4-アルキルアミノカルボニルまたはジ(C1-C4-アルキル)アミノカルボニルである。さらに好ましくは、Rbは、ハロゲン、CN、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-ハロアルコキシである。別の実施形態は、Rbがハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキルまたはC1-C4-アルコキシである化合物Iに関する。さらなる実施形態は、Rbがハロゲン、CN、C1-C2-アルキル、C1-C2-ハロアルキルまたはC1-C2-アルコキシである化合物Iに関する。さらなる実施形態は、RbがF、Cl、CN、CH3、OCH3、CF3またはOCHF2である化合物Iに関する。さらなる実施形態は、RbがOCH3またはCH3である化合物Iに関する。
【0110】
さらなる実施形態では、Rbはハロゲンであり、好ましくはフッ素および塩素から選択され、特に塩素である。さらなる実施形態では、RbはCNである。さらなる実施形態では、RbはC1-C4-アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルから選択され、特にメチルである。さらなる実施形態では、RbはC1-C4-ハロアルキルである。さらに好ましくは、RbはC1-ハロアルキルであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチルおよびトリクロロメチルから選択され、特にトリフルオロメチルである。さらなる実施形態では、RbはC1-C4-アルコキシであり、好ましくは、メトキシおよびエトキシから選択される。
【0111】
さらなる実施形態は、基Aの隣接環構成原子に結合している2個の基Rbが、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和、芳香族の炭素環または複素環である縮合環を形成しており、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含み、また、前記縮合環が非置換であるか、Rbに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有する、化合物Iに関する。一実施形態では、縮合環は好ましくはフェニルである。別の実施形態では、縮合環は好ましくは飽和炭素環であり、特にシクロヘキシルである。さらなる実施形態では、縮合環は好ましくは部分不飽和炭素環であり、特にシクロヘキセニルである。
【0112】
一実施形態は、Hetがピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、フリル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、チアジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラゾリルおよびイミダゾリル(上記の基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rcを有する)から選択される式Iの化合物に関する。
【0113】
別の実施形態は、Hetがピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チアゾリル、1,3,5-トリアジニルおよび1,2,4-トリアジニル(上記の基は、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる基Rcを有する)から選択される式Iの化合物に関する。
【0114】
さらなる実施形態は、Hetがピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、チアゾール-2-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イルおよび1,2,4-トリアジン-3-イル(上記の基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rcを有する)から選択される式Iの化合物に関する。
【0115】
さらなる実施形態は、Hetが6員ヘテロアリールであり、この場合、6員ヘテロアリールは非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rcを有する、化合物Iに関する。
【0116】
一実施形態では、Hetは、好ましくはピリジン-2-イルおよびピリジン-3-イルから選択されるピリジル基であって、この場合、前述のピリジル基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rcを有する。別の実施形態では、Hetは、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rcで置換されている、ピリジン-2-イル基である。より好ましい実施形態では、Hetは、3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-クロロピリジン-2-イル、4-クロロピリジン-2-イル、5-クロロピリジン-2-イル、3-シアノピリジン-2-イル、4-シアノピリジン-2-イル、5-シアノピリジン-2-イル、3-ニトロピリジン-2-イル、4-ニトロピリジン-2-イル、5-ニトロピリジン-2-イル、3-メトキシカルボニルピリジン-2-イル、4-メトキシカルボニルピリジン-2-イル、5-メトキシカルボニルピリジン-2-イル、3-アミノカルボニルピリジン-2-イル、4-アミノカルボニルピリジン-2-イル、5-アミノカルボニルピリジン-2-イル、3-メトキシピリジン-2-イル、3-エトキシピリジン-2-イル、3-ジフルオロ-メトキシピリジン-2-イル、5-メトキシピリジン-2-イル、5-エトキシピリジン-2-イル、5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-メチル-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-エチル-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-メチル-5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリクロロメチルピリジン-2-イル、3フルオロ-5-トリクロロメチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-シアノピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-シアノピリジン-2-イル、3-メチル-5-シアノピリジン-2-イル、3-エチル-5-シアノピリジン-2-イル、3-クロロ-5-ニトロピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メトキシカルボニルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-アミノカルボニルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メチルアミノカルボニルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-ニトロピリジン-2-イル、3,5-ジクロロピリジン-2-イル、3,5-ジフルオロピリジン-2-イル、3,5-ジブロモピリジン-2-イル、3-メチル-5-クロロピリジン-2-イル、3-メチル-5-フルオロピリジン-2-イル、3-メチル-5-ブロモピリジン-2-イル、3-メトキシ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-メトキシ-5-シアノピリジン-2-イル、3-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル、3-メトキシ-5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-エトキシ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-エトキシ-5-シアノピリジン-2-イル、3-エトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル、3-エトキシ-5-ジフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-クロロ-4-メチル-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イルおよび3,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イルから選択される。
【0117】
さらなる実施形態では、Hetはピリジン-3-イル(これは非置換であるか、1または2個の基Rcを有する)である。さらに好ましい実施形態では、Hetは、6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル、2-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4-クロロ-6-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、2-クロロ-6-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4-フルオロ-6-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4,6-ジ(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル、4,6-ジクロロピリジン-3-イル、4-メチル-6-クロロピリジン-3-イル、5-シアノピリジン-3-イル、5-フルオロ-6-シアノピリジン-3-イル、4-フルオロ-6-シアノピリジン-3-イル、6-メチルスルホニルピリジン-3-イル、5-クロロ-6-メチルスルホニルピリジン-3-イル、および5-メチル-6-メチルスルホニルピリジン-3-イルから選択される。
【0118】
さらなる実施形態では、Hetはピリダジニル基である。より好ましくは、Hetはピリダジン-3-イル(これは非置換であるか、1または2個の基Rcを有する)である。特に好ましい実施形態では、Hetは、4-トリフルオロメチルピリダジン-3-イル、4-メチル-6-トリフルオロメチルピリダジン-3-イル、4-クロロ-6-ジフルオロメトキシピリダジン-3-イル、4-フルオロ-6-ジフルオロメトキシピリダジン-3-イル、および4-メチル-6-ジフルオロメトキシピリダジン-3-イルから選択される。
【0119】
さらなる実施形態では、Hetはピリミジニル基であり、好ましくは、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イルおよびピリミジン-5-イルから選択され、この場合、前述のピリミジニル基は非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rcを有する。特に好ましい実施形態では、Hetは、ピリミジン-2-イル、4-トリフルオロメチルピリミジン-2-イル、5-トリフルオロメチルピリミジン-2-イル、2-トリフルオロメチルピリミジン-4-イル、2-トリフルオロメチルピリミジン-5-イル、6-トリフルオロメチルピリミジン-4-イル、4-シアノピリミジン-2-イル、5-シアノピリミジン-2-イル、4-(1,1,1-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-2-イル、5-クロロ-6-トリフルオロメチルピリミジン-4-イル、5-フルオロ-6-トリフルオロメチルピリミジン-4-イル、および5-クロロ-2-トリフルオロメチルピリミジン-4-イルから選択される。
【0120】
本発明の別の実施形態は、Hetが5員ヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、ヘテロアリールは非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる群Rcを有する、化合物Iに関する。
【0121】
Hetが5員ヘテロアリールである場合、本発明の一実施形態では、Hetは環員原子として1個の窒素を有する。
【0122】
Hetが5員ヘテロアリールである場合、Hetは環員原子として1個のヘテロ原子を有する。一実施形態では、Hetは、フラン-2-イルおよびフラン-3-イルから選択されるフラニル基であり、この場合、前述のフラニル基は非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rcを有する。別の実施形態では、Hetは、チエン-2-イルおよびチエン-3-イルから選択されるチエニル基であり、この場合、前述のチエニル基は非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rcを有する。さらなる実施形態では、Hetは、ピロール-2-イルおよびピロール-3-イルから選択されるピロリル基であり、この場合、前述のピロリル基は非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rcを有する。
【0123】
Hetが5員ヘテロアリールである場合、Hetは環員原子として2個のヘテロ原子を有する。より好ましい実施形態では、Hetは環員原子として少なくとも1個の窒素を有する。別の実施形態では、Hetは、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するピラゾリル基である。さらなる実施形態では、Hetは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するイソオキサゾリル基である。さらなる実施形態では、Hetは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するイソチアゾリル基である。さらなる実施形態では、Hetは、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するイミダゾリル基である。さらなる実施形態では、Hetは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するオキサゾリル基である。さらなる実施形態では、Hetは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rcを有するチアゾリル基である。さらに好ましくは、Hetはチアゾール-2-イル(これは非置換であるか、1または2個の基Rcを有する)である。特に好ましい実施形態では、Hetは、チアゾール-2-イル、5-トリフルオロメチルチアゾール-2-イルおよび4-トリフルオロメチルチアゾール-2-イルから選択される。
【0124】
特に好ましい本発明の実施形態は、Hetが以下の基H-1〜H-12のうちの一つである化合物Iに関する:
【表3】


式中、*はAへの結合を示し;Rc1、Rc2、Rc3およびRc4はそれぞれ独立して水素であるか、Rcに関して特定された定義のうちの一つ、特にそれらのうち好ましいものを有する。
【0125】
本発明の一実施形態は、Hetが1、2または3個の基Rcを有し、好ましくは、Hetが1または2個の基Rcを有し、特にHetが1個の基のRcを有する、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、Hetが2個の基Rcを有する、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、Hetが3個の基Rcを有する、化合物Iに関する。さらなる実施形態は、Hetが非置換である、化合物Iに関する。さらなる実施形態では、基Hetの隣接環構成原子に結合している2個の基Rcが、前記環員原子と一緒になって、いかなる縮合環も形成しない。
【0126】
好ましくは、Rcは、ハロゲン、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C(=O)R'、C(=NOR'')R'''、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェノキシ-C1-C4-アルキル、または5員もしくは6員のヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前記環式基は非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する。
【0127】
一実施形態では、Rcはハロゲンであり、好ましくは、FおよびClから選択され、特に、RcはClである。別の実施形態では、RcはCNである。さらなる実施形態では、RcはC1-C6-アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルから選択され、特に、Rcはメチルである。さらなる実施形態では、RcはC1-C6-ハロアルキルである。さらに好ましくは、RcはC1-ハロアルキルであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチルおよびトリクロロメチルから選択され、特に、Rcはトリフルオロメチルである。さらなる実施形態では、RcはC1-C6-アルコキシであり、好ましくはメトキシおよびエトキシから選択される。さらなる実施形態では、RcはC1-C6-ハロアルコキシ、好ましくはハロメトキシ、例えばジフルオルメトキシ、トリフルオルメトキシ、ジクロルメトキシおよびトリクロルメトキシ;ハロエトキシ、例えば2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2,2-ジクロロエトキシおよび2,2,2-トリクロロエトキシ;ハロ-n-プロポキシ、ハロ-i-プロポキシ、ハロ-n-ブトキシ、ハロ-1-メチル-プロポキシ、ハロ-2-メチル-プロポキシまたはハロ-1,1-ジメチルエトキシである。さらに好ましい実施形態では、RcはC1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキルであり、好ましくはメトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシエチルから選択される。
【0128】
さらなる実施形態では、RcはC3-C8-シクロアルキルであり、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルから選択され、特にRcはシクロプロピルである。さらなる実施形態では、RcはC1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキルであり、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチルおよびシクロオクチルメチルから選択される。さらなる実施形態では、Rcはフェニルである。さらなる実施形態では、Rcはフェノキシである。さらなる実施形態では、Rcはフェノキシ-C1-C6-アルキルであり、フェノキシメチル、1-フェノキシ-エチルおよび2-フェノキシエチルから選択される。
【0129】
さらなる実施形態では、Rcは6員のヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、1、2または3個の窒素原子を含んでおり、またこの場合、Rcは非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rdを有する。
【0130】
Rcが5員ヘテロアリールである場合、Rcは環員原子として1個のヘテロ原子を有する。別の実施形態では、Rcは、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、フラニル基である。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、チエニル基である。さらなる実施形態では、Rcは、ピロール-2-イルおよびピロール-3-イルから選択されるピロリル基であり、この場合、前記ピロリル基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する。
【0131】
Rcが5員ヘテロアリールである場合、Rcは環員原子として2個のヘテロ原子を有する。さらなる実施形態では、Rcは、ピラゾール-3-イルおよびピラゾール-4イルおよびピラゾール-5-イルから選択されるピラゾリル基であり、この場合、前記ピラゾリル基は、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、イソオキサゾリル基である。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、イソチアゾリル基である。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、イミダゾリル基である。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、オキサゾリル基である。さらなる実施形態では、Rcは、非置換であるか、1または2個の同一のまたは異なる置換基Rdを有する、チアゾリル基である。
【0132】
Rcが5員ヘテロアリールである場合、別の実施形態では、Rcは環員原子として3個のヘテロ原子を有する。
【0133】
さらなる実施形態は、基Hetの隣接する環員原子に結合している2個の基Rcが、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和、芳香族の炭素環または複素環である縮合環を形成しており、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含み、またこの場合、縮合環が非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なるRe基を有する、化合物Iに関する。一実施形態では、縮合環は好ましくはフェニルである。別の実施形態では、縮合環は好ましくは飽和炭素環、特にシクロヘキシルである。さらなる実施形態では、縮合環は好ましくは部分不飽和炭素環、特にシクロヘキセニルである。
【0134】
さらなる実施形態では、基Hetの隣接する環員原子に結合している2個の基Rcが、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環を形成しており、この場合、縮合環は、1、2、3または4個のRe基、好ましくは1、2または3個のRe基、さらに好ましくは1または2個のRe基、特に1個の基Reで置換されている。一実施形態では、Reはハロゲンであり、好ましくはフッ素および塩素から選択され、特に塩素である。別の実施形態では、ReはCNである。さらなる実施形態では、ReはC1-C4-アルキルであり、特にメチルである。さらなる実施形態では、ReはC1-C4-アルコキシであり、好ましくはメトキシおよびエトキシから選択される。
【0135】
RcがC(=O)R'である場合、R'は、NH2、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキルアミノおよびジ(C1-C4-アルキル)アミノから選択される。RcがC(=O)R'である場合、R'は、好ましくはNH2である。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-アルキルであり、特にメチルである。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-アルコキシであり、さらに好ましくは、メトキシおよびエトキシから選択される。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-ハロアルキルである。さらに好ましくは、R'はC1-ハロアルキルであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチルおよびトリクロロメチルから選択される。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-ハロアルコキシであり、好ましくは、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジクロロメトキシおよびトリクロロメトキシなどのハロメトキシであるか、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2,2-ジクロロエトキシおよび2,2,2-トリクロロエトキシなどハロエトキシである。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルコキシであり、メトキシ-メトキシ、メトキシ-エトキシ、エトキシ-メトキシおよびエトキシ-エトキシから選択される。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはC1-C4-アルキルアミノであり、特にメチルアミノおよびエチルアミノから選択される。RcがC(=O)R'である場合、R'は好ましくはジ(C1-C4-アルキル)アミノであり、さらに好ましくは、ジメチルアミノ、メチル-エチル-アミノ、メチル-n-プロピル-アミノ、メチル-i-プロピル-アミノ、メチル-n-ブチル-アミノ、メチル-(1-メチル-プロピル)-アミノ、メチル-(2-メチルプロピル)-アミノ、メチル-(1,1-ジメチルエチル)-アミノ、ジエチルアミノから選択され、特にジメチルアミノ、メチル-エチルアミノおよびジエチルアミノから選択される。
【0136】
RcがC(=NOR'')R'''である場合、一実施形態では、R''は、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたはC1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキルである。
【0137】
RcがC(=NOR'')R'''である場合、R''は好ましくはC1-C4-アルキルであり、さらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルから選択され、特にR''はメチルである。RcがC(=NOR'')R'''である場合、R''は好ましくはC2-C4-アルケニルであり、ビニル、プロパ-1-エン-3-イル、ブタ-1-エン-3-イル、ブタ-1-エン-4-イルおよびブタ-2-エン-1-イルから選択される。RcがC(=NOR'')R'''である場合、R''は好ましくはC2-C4-アルキニルであり、プロパ-1-イン-3-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-1-イン-4-イルおよびブタ-2-イン-1-イルから選択される。RcがC(=NOR'')R'''である場合、R''は好ましくはC1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキルであり、さらに好ましくは、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシエチルから選択される。
【0138】
RcがC(=NOR'')R'''である場合、R'''はC1-C4-アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルから選択され、特にR'''はメチルである。RcがC(=NOR'')R'''である場合、別の実施形態では、R'''は水素である。
【0139】
Rcが存在する場合、一実施形態は、Rcが1、2、3または4個の基Rd、好ましくは1、2または3個の基Rd、さらに好ましくは1または2個の基Rdを有する、化合物Iに関する。別の実施形態では、Rcは1個の基Rdを有する。
【0140】
一実施形態では、Rdはハロゲンであり、好ましくはFおよびClから選択され、特にClである。別の実施形態では、RdはCNである。さらなる実施形態では、RdはC1-C4-アルキルであり、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルから選択され、特にRdはメチルである。さらなる実施形態では、RdはC1-C4-ハロアルキルである。より好ましくは、RdはC1-ハロアルキルであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチルおよびトリクロロメチルから選択され、特に、Rdはトリフルオロメチルである。
【0141】
当業者には、化合物Iに関連して、上記で定義した式I.1およびI.2を適用するのが好ましいことが容易に理解されよう。
【0142】
これらの使用に関して、特に好ましいのは、下記の表1〜60にまとめた式I.2で表される化合物であって、ピリジン基の置換基Raに関する定義が表PのP-1〜P-20から選択され、また基Aに関する定義が上記のA-1〜A-3から選択され、さらに基Hetに関する定義が上記のH-1〜H-12から選択されるものである。ここで、置換基について表中に記載した各基は、さらに、それらが記載されている組み合わせとは関係なく、当該置換基の特に好ましい実施形態である。
【0143】
表1:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-1の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表2:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-2の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表3:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-3の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表4:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-4の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表5:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-5の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表6:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-6の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表7:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-7の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表8:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-8の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表9:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-9の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表10:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-10の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表11:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-11の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表12:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-12の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表13:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-13の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表14:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表PのP-14の行に定義されており、AがA-1であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表15〜28:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表1〜14に定義された通りであり、AがA-1の代わりにA-2であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
表29〜42:Ra1、Ra2、Ra3およびRa4が表1〜14に定義された通りであり、AがA-1の代わりにA-3であり、各化合物のHetの意味が表Aの1つの行に対応する、式I.2の化合物。
【表4】

































式中、Hetは本明細書に記載の基H-1〜H-12から選択される。
【0144】
本発明による化合物Iおよび組成物は、それぞれ、殺菌剤(fungicides)として好適である。これらは、特に、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌綱(Peronosporomycetes)(異名:卵菌類(oomycetes))、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)(異名:不全菌類(Fungi imperfecti))の分類に属する土壌伝染性菌類をはじめとする、広範囲の植物病原性菌類に対する顕著な効果により区別される。一部のものは浸透的に作用し、これらは、作物保護において、葉面殺菌剤、種子粉衣用殺菌剤および土壌殺菌剤として使用することができる。さらに、これらは、特に樹木または植物の根で発生する有害菌類の防除に好適である。
【0145】
本発明による化合物Iおよび組成物は、下記のような各種の栽培植物、具体的には、禾穀類、例えばコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギまたはイネ;ビート類、例えば、サトウダイコンまたは飼料ビート;果実類、例えば、梨状果、核果またはソフトフルーツ、一例として、リンゴ、西洋ナシ、プラム、ピーチ、アーモンド、チェリー、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーまたはスグリ;豆科植物、例えば、ヒラマメ、エンドウ、アルファルファまたはダイズ;油脂植物、例えば、アブラナ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオ豆、トウゴマ、油ヤシ、粉砕ナッツまたはダイズ;ウリ科の植物、例えば、カボチャ、キュウリまたはメロン;繊維植物、例えば、ワタ、アマ、麻またはジュート;柑橘果実、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツまたはマンダリン;野菜、例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリまたはトウガラシ;クスノキ科の植物、例えば、アボカド、ニッケイまたはショウノウ;エネルギー原料植物、例えば、トウモロコシ、ダイズ、アブラナ、サトウキビまたは油ヤシ;トウモロコシ;タバコ;ナッツ;コーヒーの木;チャの木;バナナ;ブドウの木(生食用ブドウおよびブドウジュース、グレープワイン);ホップ;芝生;天然ゴム植物または観賞用植物および山林植物、例えば、花、低木、広葉樹または常緑植物、一例として針葉樹;ならびに植物繁殖物質(plant propagation material)、例えば種子、およびこれらの植物の作物などにつく数多くの植物病原性菌類の防除において特に重要である。
【0146】
好ましくは、化合物Iおよびその組成物は、それぞれ、作物、例えば、ジャガイモ、サトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、アブラナ、豆科植物、ヒマワリ、コーヒーの木またはサトウキビ;果実類;ブドウの木;観賞用植物;あるいは野菜(例えば、キュウリ、トマト、マメまたはカボチャ)につく数多くの菌類を防除するために用いられる。
【0147】
「植物繁殖物質」という用語は、植物の繁殖力のあるすべての部分、例えば、種子や成長力のある植物物質(挿木および塊茎(ジャガイモなど))であって、植物の繁殖に使用することができるものを意味するものと理解されたい。これらには、種子、根、果実、塊茎、球根、根茎、挿し芽、苗および植物の他の部分が含まれる。またこれには、発芽後あるいは土壌から出芽した後に移植される苗木および若木も含まれる。これらの若木は、移植前に、液浸または散水を行う全体処理または部分処理によって保護することもできる。
【0148】
好ましくは、化合物Iおよびその組成物による植物繁殖物質の処理は、それぞれ、禾穀類(例えば、コムギ、ライムギ、オオムギおよびオートムギ)、イネ、トウモロコシ、ワタおよびダイズにつく数多くの菌類を防除するために用いられる。
【0149】
「栽培植物」という用語は、市場に出ている、または開発中の農業バイオ技術製品(ただしこれらに限定されるものではない)をはじめとする、品種改良、突然変異体誘発または遺伝子操作によって改変されている植物を含むものと理解されたい(http://www.bio.org/speeches/pubs/er/agri_products.aspを参照)。遺伝子組換え植物は、自然環境下での交雑育種、突然変異体誘発または自然的組換えによって取得することが出来ない、遺伝物質を組換えDNA技術の使用により改変した植物である。典型的には、植物の特定の特性を改善するため、1種または複数の遺伝子を遺伝子組換え植物の遺伝物質へ組み込んでいる。こうした遺伝子改変には、これらに限定するものではないが、タンパク質、オリゴペプチドまたはポリペプチドの標的化した翻訳後修飾、例えばグリコシル化、あるいはプレニル化、アセチル化もしくはファルネシル化成分またはPEG成分などのポリマー付加による修飾も含まれる。
【0150】
化合物Iおよびその組成物は、それぞれ、以下の植物病害を防除するのに特に適している:
野菜、アブラナ(アルテルナリア・ブラシコラ(A. brassicola)もしくはブラシカ(brassicae))、サトウダイコン(アルテルナリア・テヌイス(A. tenuis))、果実類、イネ、ダイズ、ジャガイモ(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)もしくはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))、トマト(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)もしくはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))およびコムギにつくアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(アルテルナリア斑点病);ビポラリス(Bipolaris)およびドレクスレラ属の種(Drechslera spp.)(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.))、例えば、トウモロコシにつくごま葉枯病(ドレクスレラ・マイジス(D. maydis))またはすす紋病(ビポラリス・ゼイコーラ(B. zeicola)、例えば、禾穀類につくビポラリス・ソロキニアナ(B. sorokiniana)の斑点病、例えば、イネおよび芝生につくビポラリス・オリザエ(B. oryzae);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくブルメリア(Blumeria)(以前はエリシフェ(Erysiphe))・グラミニス(graminis)(うどん粉病);果実類およびベリー(例えば、イチゴ)、野菜(例えば、レタス、ニンジン、セロリおよびキャベツ)、アブラナ、花、ブドウの木、森林植物およびコムギにつくボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリオティニア・フケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色カビ病);トウモロコシ、オオムギ(例えば、ドレクスレラ・テレス(D. teres)、網斑病)およびコムギ(例えば、ドレクスレラ・トリチシレペンチス(D. triticirepentis):黄褐色斑)などの禾穀類、イネならびに芝につくドレクスレラ属の種(Drechslera (Helminthosporiumと同義、テレオモルフ:Pyrenophora) spp.);ブドウの木につくエスカ(Esca)(枝枯れ病、胴枯れ病(apoplexy));サトウダイコン(エリシフェ・ベタエ(E. betae))、ウリ(例えば、エリシフェ・シクロラセアラム(E. cichoracearum))、キャベツ、アブラナ(例えば、エリシフェ・クルシフェラルム(E. cruciferarum)などの野菜(例えば、エリシフェ・ピシ(E. pisi))につくエリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(うどん粉病);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくフサリウム・グラミネアルム(F. graminearum)もしくはフサリウム・カルモラム(F. culmorum)(根腐れ病、黒星病もしくは赤カビ病)、トマトにつくフサリウム・オキシスポラム(F. oxysporum)、ダイズにつくフサリウム・ソラニ(F. solani)およびトウモロコシにつくフサリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)などの様々な植物につくフサリウム属の種(Fusarium spp.)(テレオモルフ:ギベレラ(Gibberella))(立ち枯れ病、根腐れ病もしくは軸腐れ病);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)およびトウモロコシにつくガエマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)(立ち枯れ病);禾穀類(例えば、ギベレラ・ゼアエ(G. zeae))およびイネ(例えば、ギベレラ・フジクロイ(G. fujikuroi:ばか苗病)につくギベレラ属の種(Gibberella spp.);ブドウの木につくグイグナルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwellii)(黒斑病);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくミクロドチウム(Microdochium)(フサリウム(Fusarium)と同義)・ニバレ(nivale)(紅色雪腐病);核果類および他のバラ科植物につくモニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えば、モニリニア・ラクサ(M. laxa)、モニリニア・フルチコラ(M. fructicola)およびモニリニア・フルクチゲナ(M. fructigena)(花枯れ病および枝枯れ病、褐色腐敗病);禾穀類、バナナ、ソフトフルーツおよび粉砕ナッツにつくミコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.)、例えば、コムギにつくミコスフェレラ・グラミニコラ(M. graminicola)(アナモルフ:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、セプトリア・ブロッチ(Septoria blotch))もしくはバナナにつくミコスフェレラ・フジエンシス(M. fijiensis)(ブラックシガトカ病);キャベツ(例えば、ペロノスポラ・ブラシカ(P. brassicae))、アブラナ(例えば、ペロノスポラ・パラシチカ(P. parasitica))、タマネギ(例えば、ペロノスポラ・デストルクトル(P. destructor))、タバコ(ペロノスポラ・タバシナ(P. tabacina))およびダイズ(例えば、ペロノスポラ・マンシュリカ(P. manshurica))につくペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(べと病);ダイズにつくファコスポラ・パクリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコスポラ・メイボミアエ(P. meibomiae)(ダイズさび病);パプリカおよびウリ科植物(例えば、フィトフトラ・カプシチ(P. capsici))、ダイズ(例えば、フィトフトラ・メガスペルマ(P. megasperma)、フィトフトラ・ソジャエ(P. sojae)と同義)、ジャガイモおよびトマト(例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(P. infestans):葉枯れ病)などの様々な植物につくフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(立ち枯れ病、根腐れ病、葉枯れ病、果実腐敗病および軸腐れ病);プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えば、ブドウの木につくプラスモパラ・ビチコラ(P. viticola) (ブドウの木のべと病)例えば、コムギ、オオムギもしくはライムギなどの禾穀類、ならびにアスパラガス(例えば、プッキニア・アスパラギ(P. asparagi))につくプッキニア・トリチシナ(P. triticina) (茶さび病もしくは葉さび病)、プッキニア・ストリフォルミス(P. striiformis) (縞さび病もしくは黄さび病)、プッキニア・ホルデイ(P. hordei) (ドワーフさび病)、プッキニア・グラミニス(P. graminis) (軸さび病もしくは黒さび病)、またはプッキニア・レコンジタ(P. recondita) (茶さび病もしくは葉さび病)などの、様々な植物につくプッキニア属の種(Puccinia spp.)(さび病);コムギにつくピレノフォラ(Pyrenophora) (アナモルフ: ドレクスレラ(Drechslera))・トリチシレペンチス(triticirepentis) (褐斑病)、もしくはオオムギにつくピレノフォラ・テレス(P. teres)(網斑病);ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えば、イネにつくピリクラリア・オリザエ(P. oryzae) (テレオモルフ: マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、イモチ病)、ならびに芝および禾穀類につくピリクラリア・グリセア(P. grisea);芝、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、アブラナ、ヒマワリ、ダイズ、サトウダイコン、野菜および他の様々な植物につくピチウム属の種(Pythium spp.)(立ち枯れ病)(例えば、ピチウム・ウルチマム(P. ultimum)もしくはピチウム・アファニデルマタム(P. aphanidermatum));ワタ、イネ、ジャガイモ、芝、トウモロコシ、アブラナ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜および他の様々な植物につくリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えば、ダイズにつくリゾクトニア・ソラニ(R. solani) (根腐れ病および軸腐れ病)、イネにつくリゾクトニア・ソラニ(R. solani) (紋枯病)、またはコムギもしくはオオムギにつくリゾクトニア・セレアリス(R. cerealis) (リゾクトニアの春枯れ病(Rhizoctonia spring blight));オオムギ、ライムギおよびライコムギにつくリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis) (雲形病);様々な植物につくセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えば、ダイズにつくセプトリア・グリシネス(S. glycines) (褐斑病)、コムギにつくセプトリア・トリチシ(S. tritici) (セプトリア斑点病)および禾穀類につくセプトリア(S. (スタゴノスポラ(Stagonospora)と同義)・ノドラム(nodorum) (スタゴノスポラ斑点病);ブドウの木につくウンシヌラ(Uncinula) (エリシフェ(Erysiphe)と同義)・ネカトル(necator) (うどん粉病、アナモルフ: オイジウム・ツケリ(Oidium tuckeri));禾穀類につくスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えば、コムギにつくスタゴノスポラ・ノドラム(S. nodorum) (スタゴノスポラ斑点病、テレオモルフ: レプトスフェリア(Leptosphaeria) [フェオスフェリア(Phaeosphaeria)と同義]・ノドラム(nodorum));リンゴ(例えば、ベンツリア・イネクアリス(V. inaequalis))およびナシにつくベンツリア属の種(Venturia spp.)(黒星病)。
【0151】
また、化合物Iおよびその組成物は、それぞれ、貯蔵製品または収穫物の保護、および材料の保護において有害菌類を防除するのに適している。「材料の保護」という用語は、菌類および細菌などの有害微生物による加害および破壊に対して、技工材料および非生物材料(例えば、接着剤、ニカワ、木材、紙および板紙、布地、革、塗料分散剤、プラスチック、冷却潤滑剤、繊維または織物)を保護することを意味するものと理解されたい。
【0152】
化合物Iおよびその組成物は、それぞれ、植物の健康状態(health of a plant)の増進のために用いられる。また本発明は、植物、その繁殖物質および/または植物が成長しているか、成長する予定の場所を、それぞれ、有効量の化合物Iおよびその組成物で処理することによる植物の健康状態の改善方法に関する。
【0153】
「植物の健康」という用語は、様々な指標を単独または互いに組み合わせて測定することによる植物および/またはその産物の状態を示すものと理解されたい。指標は、例えば、収率(例えば、バイオマスの増加および/または有用な成分の含有量の増加)、植物の活力(例えば、植物成長の改善および/または葉の濃緑色化(「緑化効果」))、質(例えば、特定の成分の含有量または組成の改善)ならびに非生物的ストレスおよび/または生物的ストレスに対する耐性などである。植物の健康状態に関する上記の指標は、相互依存的であってもよいし、相互に起因していてもよい。
【0154】
式Iで表される化合物は、その生物学的活性が異なってもよい、異なる結晶変態で存在し得る。これらは同様に本発明の主題である。
【0155】
化合物Iは、そのものとして、または組成物の形態で、菌類または菌類の攻撃から保護すべき植物、植物繁殖物質(例えば種子)、土壌、表面、材料もしくは部屋を殺菌上有効な量の活性物質で処理することにより用いられる。施用は、植物、植物繁殖物質(例えば種子)、土壌、表面、材料もしくは部屋に菌類が感染する前および後の両方において実施することができる。
【0156】
また本発明は、溶媒または固体担体と、少なくとも1種の化合物Iとを含む農薬組成物、ならびに有害菌類を防除するためのその使用に関する。
【0157】
農薬組成物は、殺菌上有効な量の化合物Iを含む。「有効な量」という用語とは、栽培植物上の有害菌類の防除、または材料の保護に十分な量であって、処理した植物に実質的な被害をもたらさない組成物または化合物Iの量を意味する。かかる量は広範囲で変わる可能性があり、また各種要因、例えば、防除対象の菌類の種、処理する栽培植物または材料、気候条件、および使用する特定の化合物Iに依存する。
【0158】
化合物I、そのN-オキシドおよび塩は、慣用の農薬組成物のタイプ、例えば、液剤、エマルション剤、懸濁剤、散剤、粉剤、ペースト剤および粒剤などに変換することができる。組成物の種類はその特定の目的によって決まるが、いずれの場合も、本発明による化合物の細かく均一な分散が確実になされなければならない。
【0159】
組成物のタイプの例には、懸濁液(SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(EC)、エマルション(EW、EO、ES)、ペースト剤、錠剤、水和剤もしくは散粉(WP、SP、SS、WS、DP、DS)または粒剤(GR、FG、GG、MG)(これらは水溶性または湿潤性のものが可能である)、ならびに、植物繁殖物質(例えば種子)処理用のゲル剤(GF)がある。
【0160】
通常、組成物のタイプ(例えば、SC、OD、FS、EC、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は、希釈して使用する。DP、DS、GR、FG、GGおよびMGなどの組成物タイプは、通常、希釈せずに使用する。
【0161】
これらの組成物は、公知の方法(例えば、米国特許第3,060,084号、EP-A 707 445(液体濃縮物について)、Browning, 「Agglomeration」, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147〜48、Perry's Chemical Engineer's Handbook, 第4版, McGraw-Hill, New York, 1963, 8〜57ページを参照されたい。またWO 91/13546、米国特許第4,172,714号、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号、米国特許第5,208,030号、GB 2,095,558、米国特許第3,299,566号、Klingman, Weed Control as a Science (John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961)、Hanceら: Weed Control Handbook (第8版, Blackwell Scientific, Oxford, 1989)、ならびにMollet, H., Grubemann, A.: Formulation technology (Wiley VCH Verlag, Weinheim 2001)で調製される。
【0162】
農薬組成物は、農薬組成物において通常用いられている補助剤を含んでいてもよい。使用する補助剤は、特定の用途形態および活性物質によってそれぞれ決まる。
【0163】
適切な補助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤または乳化剤(例えば、さらには可溶化剤、保護コロイド剤、界面活性剤および付着剤)、有機増粘剤および無機増粘剤、殺細菌剤(bactericides)、不凍剤、消泡剤であり、適切な場合には、着色剤および粘着付与剤または結合剤(例えば、種子処理剤の場合)である。
【0164】
粉剤、広域散布用剤および散剤は、化合物I(および適切な場合にはさらなる活性物質)と、少なくとも1種の固体担体を混合するか、または同時に粉砕することによって製造することができる。
【0165】
粒剤(例えば、被覆粒剤(coated granule)、含浸粒剤(impregnated granule)および均質粒剤(homogeneous granule)など)は、本活性物質を固体担体に結合させることにより製造することができる。
【0166】
一般に、本農薬組成物は、0.01〜95重量%、、好ましくは0.1〜90重量%、最も好ましくは0.5〜90重量%の活性物質を含む。活性物質は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)のものを使用する。
【0167】
通常、植物繁殖物質(特に種子)を処理する目的では、液剤(LS)、フロアブル剤(FS)、散粉剤(DS)、スラリー処理用粉末水和剤(WS)、粉末水溶剤(SS)、エマルション剤(ES)、乳剤(EC)およびゲル剤(GF)が用いられる。これらの組成物は、繁殖物質(特に種子)に希釈して施用してもよいし、希釈しないで施用することもできる。当該組成物は、2〜10倍に希釈した後、直ぐに使用可能な調製品中の活性物質濃度を0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%にする。
【0168】
好ましい実施形態では、懸濁剤(FS)タイプの組成物を種子処理に用いる。典型的には、FS組成物は、1〜800g/Lの活性物質、1〜200g/Lの界面活性剤、0〜200g/Lの不凍剤、0〜400g/Lの結合剤、0〜200g/Lの着色剤、および1リットル以下の溶媒(好ましくは水)を含むことができる。
【0169】
水性の施用形態は、乳剤(emulsion concentrate)、ペースト剤または水和性粉剤(散布用粉剤、油性分散剤)に水を加えることによって調製することができる。エマルション剤、ペースト剤、または油性分散剤を調製するには、そのままか、あるいは油または溶媒に溶解させた本物質を、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤を用いて水中に均質化させることができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤もしくは乳化剤、また適切な場合には溶媒もしくは油からなる濃縮物を調製することもできるが、かかる濃縮物は水で希釈するのに適している。
【0170】
直ぐに使用可能な調製品における活性物質の濃度は、比較的広い範囲で変えることができる。一般に、この濃度は、活性物質が0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
【0171】
本活性物質は、超微量散布法(ULV (ultra-low volume process))においても良好に使用することができ、95重量%超の活性物質を含む組成物を、あるいは添加剤を含まない活性物質そのものを施用することができる。
【0172】
植物保護で用いる場合、施用する活性物質の量は、所望する効果の種類に応じて、1ha当たり0.001〜2kg、好ましくは1ha当たり0.005〜2kg、さらに好ましくは1ha当たり0.05〜0.9kg、特に1ha当たり0.1〜0.75kgである。
【0173】
例えば種子散粉法、コーティング法または浸漬法による種子などの植物繁殖物質の処理の場合、一般には、植物繁殖物質(好ましくは種子)100キログラムにつき、0.1〜1000g、好ましくは1〜1000g、さらに好ましくは1〜100g、最も好ましくは5〜100gの活性物質の量が必要である。
【0174】
材料または貯蔵製品の保護で用いる場合は、施用する活性物質の量は、施用領域の種類および所望する効果によって決まる。材料の保護で慣例的に施用される量は、例えば、処理材料1立方メートル当たり、活性物質が0.001g〜2kg、好ましくは0.005g〜1kgである。
【0175】
本活性物質またはそれを含む組成物には、適切な場合には使用の直前に、各種の油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤および/または農薬などを添加することもできる(タンク混合)。これらの薬剤は、本発明による組成物に、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0176】
本発明による組成物は、殺菌剤としての使用形態において、予混合物として、あるいは、適切な場合には使用直前の混合物として(タンク混合)、他の活性物質と共に、例えば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤、殺菌剤または肥料と共に存在させることもできる。
【0177】
殺菌剤としての使用形態にある化合物Iまたはそれを含む組成物を他の殺菌剤と混合すると、ほとんどの場合、得られる殺菌活性スペクトルが拡大されるか、殺菌剤耐性の発現が回避される。さらには、多くの場合、相乗効果が得られる。
【0178】
本発明による化合物と一緒に使用することができる活性物質に関する下記リストは、可能性のある組み合わせを例示することを目的としたものであって、これらに限定されるものではない:
A) ストロビルリン系
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシ-イミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カーバメート、および2-(2-(3-(2,6-ジ-クロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;
【0179】
B) カルボキサミド系
・ カルボキサニリド類:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、イソピラザム、イソチアニル、キララキシル、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、オフラース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、セダキサン、テクロフタラム、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボキサニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチル-インダン-4-イル)-ニコチンアミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3-ジメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、およびN-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
− カルボン酸モルホリド類:ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ;
− 安息香酸アミド類:フルメトバール、フルオピコリド、フルオピラム、ゾキサミド、N-(3-エチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシ-ベンズアミド;
− 他のカルボキサミド類:カルプロパミド、ジシクロメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファルム、およびN-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボン酸アミド;
【0180】
C) アゾール系
− トリアゾール類:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ユニコナゾール、1-(4-クロロ-フェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)-シクロヘプタノール;
− イミダゾール類:シアゾファミド、イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
− ベンゾイミダゾール類:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
− その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、および2-(4-クロロ-フェニル)-N-[4-(3,4-ジ-メトキシ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イル]-2-プロパ-2-イニルオキシ-アセトアミド;
【0181】
D) 複素環式化合物
− ピリジン類:フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロ-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、3-[5-(4-メチル-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、2,3,5,6-テトラ-クロロ-4-メタンスルホニル-ピリジン、3,4,5-トリクロロピリジン-2,6-ジ-カルボニトリル、N-(1-(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-エチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド、N-[(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-メチル]-2,4-ジクロロ-ニコチン酸アミド;
− ピリミジン類:ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェナリモール、フェリムゾン、メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモル、ピリメタニル;
− ピペラジン類:トリフォリン;
− ピロール類:フェンピクロニル、フルジオキソニル;
− モルホリン類:アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフアセテート、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
− ピペリジン類:フェンプロピジン;
− ジカルボキシイミド類:フルオロイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
− 非芳香族5員複素環:ファモキサドン、フェンアミドン、フルチアニル、オクチリノン、プロベナゾール、5-アミノ-2-イソプロピル-3-オキソ-4-オルト-トリル-2,3-ジヒドロ-ピラゾール-1-カルボチオ酸 S-アリルエステル;
− その他:アシベンゾラル-S-メチル、アミスルブロム、アニラジン、ブラストサイジン-S、カプタホール、カプタン、キノメチオナート、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコート-硫酸メチル、フェノキサニル、フォルペット、オキソリン酸、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリアゾキシド、トリシクラゾール、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール、5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、および5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン;
【0182】
E) カーバメート系
− チオカーバメート類およびジチオカーバメート類:ファーバム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
− カーバメート類:ベンチアバリカルブ、ジエトフェンカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、バリフェナール、およびN-(1-(1-(4-シアノ-フェニル)エタンスルホニル)-ブタ-2-イル)-カルバミン酸-(4-フルオロフェニル)エステル;
【0183】
F) 他の活性物質群
− グアニジン類:グアニジン、ドジン、ドジン遊離塩基、グアザチン、グアザチンアセテート、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イミノクタジン-トリ(アルベシレート);
− 抗生物質:カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩一水和物、ストレプトマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA;
− ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ、ニトロタール-イソプロピル、テクナゼン;
− 有機金属化合物:フェンチン塩、例えば、フェンチンアセテート、フェンチンクロリドまたはフェンチンヒドロキシド;
− 硫黄含有ヘテロシクリル化合物:ジチアノン、イソプロチオラン;
− 有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロベンホス、亜リン酸およびその塩、ピラゾホス、トルクロホスメチル;
− 有機塩素化合物:クロロタロニル、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロロフェノールおよびその塩、フタリド、キントゼン、チオファナート-メチル、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロ-フェニル)-N-エチル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド;
− 無機活性物質:ボルドー液、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
− その他:ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニルアミン、メトラフェノン、ミルジオマイシン、オキシン銅、プロヘキサジオンカルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロ-メトキシ-2,3-ジフルオロ-フェニル)-メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン-4-イル}-チアゾール-4-カルボン酸 メチル-(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン-4-イル}-チアゾール-4-カルボン酸 メチル-(R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル-アミド、酢酸6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルエステル、およびメトキシ-酢酸6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルエステル。
【0184】
さらに、本発明は、少なくとも1種の化合物I(成分1)と、例えば、群A)〜I)から選択される植物保護に有用な少なくとも1種のさらなる活性物質(成分2)、特に1種のさらなる殺菌剤、例えば、上記の群A)〜F)の1種または複数の殺菌剤との混合物を含み、所望により1種の好適な溶媒または固体担体を含む、農薬組成物に関する。これらの混合物は、これらの多くが同一施用量で有害菌類に対してより優れた効果を示すので、特に興味深い。化合物Iを群A)〜I)の少なくとも1種の活性物質と一緒に施用することによって、相乗効果を得ることができる。すなわち、単独添加する個別の効果よりも優れた効果が得られる(相乗効果のある混合物)。
【0185】
二成分混合物、すなわち、1種の化合物I(成分1)と1種のさらなる活性物質(成分2)、例えば群A)〜I)の1種の活性物質とを含む本発明の組成物では、一般に、成分1と成分2の重量比は用いられる活性物質の特性によって決まるが、通常、それは1:100〜100:1の範囲、原則的には1:50〜50:1の範囲、好ましくは1:20〜20:1の範囲、さらに好ましくは1:10〜10:1の範囲、特に1:3〜3:1の範囲である。
【0186】
三成分混合物、すなわち、1種の化合物I(成分1)と第1のさらなる活性物質(成分2)と第2のさらなる活性物質(成分3)(例えば、群A)〜I)の2種の活性物質)とを含む本発明の組成物では、成分1と成分2の重量比は用いられる活性物質の特性によって決まり、それは好ましくは1:50〜50:1の範囲、特に1:10〜10:1の範囲にあり、成分1と成分3の重量比は、好ましくは1:50〜50:1の範囲、特に1:10〜10:1の範囲にある。
【0187】
また好ましいのは、化合物I(成分1)と、少なくとも1種の群A)のストロビルリン系から選択される(特に、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンおよびトリフロキシストロビンから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0188】
また好ましいのは、化合物I(成分1)と、少なくとも1種の群B)のカルボキサミド系から選択される(特に、ビキサフェン、ボスカリド、セダキサン、フェンヘキサミド、メタラキシル、イソピラザム、メフェノキサム、オフラース、ジメトモルフ、フルモルフ、フルオピコリド(ピコベンズアミド)、ゾキサミド、カルプロパミド、マンジプロパミドおよびN-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0189】
また好ましいのは、式Iの化合物(成分1)と、少なくとも1種の群C)のアゾール系から選択される(特に、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾール、プロクロラズ、シアゾファミド、ベノミル、カルベンダジムおよびエタボキサムから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0190】
また好ましいのは、化合物I(成分1)と、少なくとも1種の群D)の複素環式化合物から選択される(特に、フルアジナム、シプロジニル、フェナリモール、メパニピリム、ピリメタニル、トリフォリン、フルジオキソニル、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、イプロジオン、ビンクロゾリン、ファモキサドン、フェンアミドン、プロベナゾール、プロキナジド、アシベンゾラル-S-メチル、カプタホール、フォルペット、フェノキサニル、キノキシフェンおよび5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0191】
また好ましいのは、化合物I(成分1)と、少なくとも1種の群E)のカーバメート系から選択される(特に、マンコゼブ、メチラム、プロピネブ、チラム、イプロバリカルブ、ベンチアバリカルブおよびプロパモカルブから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0192】
また好ましいのは、化合物I(成分1)と、少なくとも1種の群F)に記載の殺菌剤から選択される(特に、ジチアノン、フェンチン塩、例えばフェンチンアセテート、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、H3PO3およびその塩、クロロタロニル、ジクロフルアニド、チオファナート-メチル、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、硫黄、シモキサニル、メトラフェノンおよびスピロキサミンから選択される)活性物質(成分2)とを含む混合物である。
【0193】
成分2として言及されている活性物質、その調製および有害菌類に対するそれらの活性は公知であり(http://www.alanwood.net/pesticides/を参照)、これらの物質は市販されている。IUPAC命名法によって記載されている化合物、その調製およびそれらの殺菌活性もまた公知である(Can. J. Plant Sci. 48(6), 587-94, 1968; EP A 141 317; EP-A 152 031; EP-A 226 917; EP-A 243 970; EP-A 256 503; EP-A 428 941; EP-A 532 022; EP-A 1 028 125; EP-A 1 035 122; EP-A 1 201 648; EP-A 1 122 244, JP 2002316902; DE 19650197; DE 10021412; DE 102005009458; US 3,296,272; US 3,325,503; WO 98/46608; WO 99/14187; WO 99/24413; WO 99/27783; WO 00/29404; WO 00/46148; WO 00/65913; WO 01/54501; WO 01/56358; WO 02/22583; WO 02/40431; WO 03/10149; WO 03/11853; WO 03/14103; WO 03/16286; WO 03/53145; WO 03/61388; WO 03/66609; WO 03/74491; WO 04/49804; WO 04/83193; WO 05/120234; WO 05/123689; WO 05/123690; WO 05/63721; WO 05/87772; WO 05/87773; WO 06/15866; WO 06/87325; WO 06/87343; WO 07/82098; WO 07/90624を参照されたい)。
【0194】
活性物質の混合物は、通常の方法によって、例えば、化合物Iの組成物について記載した方法によって、有効成分以外に、少なくとも1種の不活性成分を含む組成物として調製することができる。かかる組成物の通常の成分に関しては、化合物Iを含有する組成物について記載した説明を参考にされたい。本発明による活性物質の混合物は、式Iで表される化合物と同様に、殺菌剤として好適である。
【実施例】
【0195】
I. 合成実施例
出発化合物を適正に変更し、下記の合成実施例に示す方法を使用し、さらなる化合物Iを得た。得られた化合物を物性データと共に下記の表Iに記載する。
【0196】
実施例1:N-(2-メトキシ-ピリジン-4-イルメチル)-4-(ピリミジン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミド
15mlのTHFに溶解した300mgの4-ヨード-N-(2-メトキシピリジン-イルメチル)ベンゼンスルホンアミド(WO 2006/097489)の溶液を4-ピリミジンボロン酸と混合し、水9ml中の炭酸ナトリウム236mgで処理した。30mgの[1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-ブタン]-パラジウム(II)クロリドを加えた後、反応混合物を2時間還流し、溶媒を真空にて除去した。得られた残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル、1:1)により精製し、黄色油状物(356mg)として表題化合物を得た。1H-NMR (CDCl3): δ= 3.85 (s, 3H), 4.2 (m, 2H), 5.0 (m, 1H), 6.5 (s, 1H), 6.8 (m, 1H), 7.7 (d, 2H), 8.0 8d, 2H), 8.05 (m, 1H), 9.0 (s, 2H)および9.3 ppm (s, 1H)。
【0197】
実施例2:N-(2-メトキシ-ピリジン-4-イルメチル)-4-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-ベンゼンスルホンアミド
5mlのDMFに溶解した300mgの4-ヨード-N-(2-メトキシピリジン-イルメチル)ベンゼンスルホンアミド(WO 2006/097489)の溶液を2-メチル-6-トリブチルスタンニル-ピリジン(624mg)と混合し、36mgのヨウ化銅(I)で処理した。30mgの[1,4-ビス-(ジフェニル-ホスフィノ)-ブタン]-パラジウム(II)クロリドを加えた後、反応混合物を90℃で2時間、23℃で20時間撹拌した。溶媒を真空にて除去し、得られた残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル、1:1)により精製し、黄色油状物(369mg)として表題化合物を得た。1H-NMR (CDCl3): δ= 2.6 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.1 (m, 3H), 5.2 (m, 1H), 6.6 (s, 1H), 6.7 (m, 1H), 7.2 (m, 1H), 7.5 (m, 1H), 7.7 (m, 1H), 7.9 (m, 2H) 8.05 (m, 1H)および8.1ppm (m, 2H)。
【表5】


* 物性データ:m.p. [℃]; HPLC/MS Rt [min], M+H+。HPLCカラム:RP-18カラム(Chromolith Speed ROD、Merck KgaA(ドイツ)製), 50mm×4,6mm;溶離液:アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸/水(TFA)+0.1%TFA (5分間、40℃における勾配5:95〜95:5、流速1.8ml/min)。MS:Quadrupol Elektrospray Ionisation, 80 V(ポジティブモード)。
Aについては、その定義は本明細書で前に説明したA-1〜A-141から選択される。
(Ra)nについては、「-」は、nが0であることを示す。二価の基である(Ra)nについては、%はピリジン環の2位での結合点を示し、#は3位での結合点を示す。
【0198】
II. 有害菌類に対する作用の実施例
式Iで表される化合物の殺菌作用を、表Iに定義した合成実施例を使用し、以下の実験により検証した。
【0199】
A) マイクロタイター試験
活性物質は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中10,000ppm濃度のストック溶液として個別に製剤化した。
ストック溶液をマイクロタイタープレート(MTP)へピペットで移した後、菌類用の栄養培地を用いて所定の活性物質濃度まで希釈し、それぞれの病原菌の胞子懸濁液を加えた。このプレートを温度18℃の水蒸気飽和チャンバーに入れた。接種後7日目に、吸収光度計を使用し、MTPを405nmで測定した。測定パラメーターは、活性化合物を含まない対照変化値(100%)ならびに菌類と活性化合物を含まないブランク値と比較し、それぞれの活性化合物における病原菌の相対的増殖率(%)を判定した。
【0200】
使用実施例1:葉枯病病原菌フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対する活性
ストック溶液を比率に従って混合し、MTPにピペットで移し、所定の濃度まで水で希釈した。次いで、エンドウの絞り汁をベースとした水性栄養培地に入れたフィトフトラ・インフェスタンスの胞子懸濁液を加えた。
この試験において、実施例2、4、11、12、13、17、31および32の活性化合物125ppmで処理した試料では、病原菌による相対的増殖率がそれぞれ最高でも15%であることが確認された。
【0201】
使用実施例2:セプトリア・トリチシにより発病するコムギ葉枯病に対する活性
ストック溶液を比率に従って混合し、MTPにピペットで移し、所定の濃度まで水で希釈した。次いで、酵母・バクトペプトン・グリセロール水溶液中のセプトリア・トリチシの胞子懸濁液を加えた。
この試験において、実施例11、13および14の活性化合物125ppmで処理した試料では、病原菌による相対的増殖率がそれぞれ最高でも15%であることが確認された。
【0202】
使用実施例3:イネいもち病ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)に対する活性
ストック溶液を比率に従って混合し、MTPにピペットで移し、所定の濃度まで水で希釈した。次いで、酵母・バクトペプトン・グリセロール水溶液中のピリクラリア・オリザエ胞子懸濁液を加えた。
この試験において、実施例4、17、20、21、24、29および31の活性化合物125ppmで処理した試料では、病原菌による相対的増殖率がそれぞれ最高でも15%であることが確認された。
【0203】
B) 温室
噴霧溶液を数ステップで調製した:
ストック溶液を調製した:溶媒-乳化剤が99:1の比(容量)のアセトンおよび/またはジメチルスルホキシドおよび湿潤剤/乳化剤 Wettol(エトキシ化アルキルフェノール系)の混合物を25mgの本化合物に加え、全量を10mlとした。次いで、水を加えて全容量100mlとした。
このストック溶液を記載の溶媒−乳化剤−水の混合物で所定濃度に希釈した。
【0204】
使用実施例4:プッキニア・レコンジタ(Puccinia recondita)により発病するコムギ赤さび病の予防的防除
ポットで生育させたコムギ苗の最初の2枚の展開葉に、記載した有効成分濃度を含有する水性懸濁液剤を流れ落ちる程度まで噴霧した。翌日、その植物にプッキニア・レコンジタの胞子を接種した。この人工接種を確実にするため、光のない20〜22℃で相対湿度95〜99%の高湿度チャンバーへ植物を移した。次いで、22〜26℃、相対湿度65〜70%の温室チャンバー内で試験植物を6日間栽培した。葉に対する菌類攻撃の程度は、病気にかかった葉面積(%)として目視により判定した。
この試験において、実施例36、37、38、39、49および67の活性化合物250ppmで処理した植物では、それぞれ、感染が15%以下であったのに対し、未処理植物では感染が90%であることがわかった。
【0205】
使用実施例5:フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)により発病するトマト葉枯病の防除
トマト植物の稚苗をポット栽培した。これらの植物に、記載した濃度の活性成分を含有する水性懸濁液を流れ落ちる程度まで噴霧した。翌日、この処理植物にフィトフトラ・インフェスタンス胞子水性懸濁液を接種した。接種後、試験植物を直ちに高湿度チャンバーに移した。18〜20℃、ほぼ100%の相対湿度に6日間置いた後、葉に対する菌類攻撃の程度を病気にかかった葉面積(%)として目視により判定した。
この試験において、実施例5、7、10、15、18、33、36、37、40、41、42、43、45、47、49、50、51、52、53、54、56、57、58、59、60、61、62、63、64、67、70、71、72および74の活性化合物250ppmで処理した植物では、それぞれ、感染が15%以下であったのに対し、未処理植物では感染が90%であることがわかった。
【0206】
使用実施例6:ファコスポラ・パキリジ(Phakospora pachyrhizi)により発病するダイズさび病に対する保護的防除
ポットで栽培したダイズ苗の葉に、記載した濃度の有効成分を含有する水系懸濁液剤を流れ落ちる程度まで噴霧した。これらの植物を空気乾燥させた。翌日、植物にファコスポラ・パキリジの胞子を接種した。この人工接種を確実に達成するため、23〜27℃で相対湿度約95%の高湿度チャンバーへ24時間植物を移した。その後、この試験植物を、23〜27℃で相対湿度が60〜80%の温室チャンバー内で14日間栽培した。葉に対する菌の攻撃の程度は、病気にかかった葉の面積(%)として目視により評価した。
この試験において、実施例45、50、52、53、62、72、73および74の活性化合物250ppmで処理した植物では、それぞれ感染が15%以下であったのに対し、未処理植物では感染が90%であることがわかった。
【0207】
使用実施例7:ファコスポラ・パキリジにより発病するダイズさび病の治療的防除
ポット栽培したダイズ苗の葉に、ファコスポラ・パキリジの胞子を接種した。この人工接種を確実にするため、23〜27℃で相対湿度約95%の高湿度チャンバーへ植物を24時間移した。翌日、この植物に、記載した濃度の有効成分を含有する水系懸濁液剤を流れ落ちる程度まで噴霧した。これらの植物を空気乾燥させた。その後、この試験植物を、23〜27℃で相対湿度が60〜80%の温室チャンバー内で14日間栽培した。葉に対する菌の攻撃の程度は、病気にかかった葉の面積(%)として目視により評価した。
この試験において、実施例1、15、23、28、41、42、43および44の活性化合物250ppmで処理した植物では、それぞれ感染が15%以下であったのに対し、未処理植物では感染が90%であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
Raは、ハロゲン、CN、NH2、NO2、OH、SH、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-ハロアルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-ハロアルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、ジ(C1-C6-ハロアルキル)アミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C2-C6-ハロアルキニル、C3-C8-シクロアルキルまたはC1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキルであり;かつ/あるいは、
ピリジン環の隣接する環員原子に結合している2個の基Raは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、前記縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前記縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、Raに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有しており;
nは、ピリジン環上の置換基Raの数を示し、かつnは0、1、2、3または4であり、ここで、nが2、3または4である場合には、Raは同一であるか異なっており;
Rは、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキルまたはベンジルであり、この場合、ベンジルのフェニル部分は非置換であるか、CN、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニルおよびジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基を有しており;
Aは、フェニレンまたは5員もしくは6員のヘテロアレーンジイルであり、この場合、5員のヘテロアレーンジイルの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、また、6員のヘテロアレーンジイルの環員原子は、炭素原子以外に、2または3個の窒素原子を含んでおり、またこの場合、前述の二価の基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Rbを有しており:
Rbは、ハロゲン、CN、NO2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-アルキニル、C2-C6-ハロアルキニル、(C1-C6-アルキル)カルボニル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、(C1-C6-アルキル)アミノカルボニル、およびジ(C1-C6-アルキル)アミノカルボニルであり;
基Aの隣接する環員原子に結合している2個の基Rbは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、Rbに関して定義した1、2、3または4個の同一のまたは異なる基を有しており;
Hetは、5員または6員のヘテロアリールであり、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、ヘテロアリールは非置換であるか、1、2、3、4または5個の同一のまたは異なる基Rcを有しており:
Rcは、ハロゲン、CN、NO2、NH2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルコキシ-C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C(=O)R'、C(=NOR'')R'''、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルキル-C3-C8-シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェノキシ-C1-C6-アルキル、または5員もしくは6員のヘテロアリールであり、この場合、ヘテロアリールの環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、前述の環式基は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる置換基Rdを有しており:
R'は、水素、NH2、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、またはジ(C1-C6-アルキル)アミノであり;
R''は、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニルまたはC1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキルであり、
R'''は、水素またはC1-C6-アルキルであり;
Rdは、ハロゲン、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシまたはC1-C6-ハロアルコキシであり;
かつ/あるいは、基Hetの隣接する環員原子に結合している2個の基Rcは、前記環員原子と一緒になって、縮合5員、6員または7員の飽和、部分不飽和または芳香族環(これは炭素環であってもよいし、複素環であってもよい)を形成していてもよく、この場合、縮合複素環の環員原子は、炭素原子以外に、N、OおよびSの群から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでおり、またこの場合、縮合炭素環または複素環は、非置換であるか、1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Reを有しており;
Reは、ハロゲン、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシまたはC1-C6-ハロアルコキシである)
で表される化合物、ならびにそのN-オキシドおよびその農業上許容可能な塩。
【請求項2】
nが1または2である、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
Rが水素である、請求項1または2に記載の式Iで表される化合物。
【請求項4】
Aが非置換である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項5】
Aがフェニレンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項6】
Aが、非置換であるか1個の置換基Rbを有する1,4-フェニレンである、請求項5に記載の式Iで表される化合物。
【請求項7】
Hetがピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリルおよびチアゾリルから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項8】
請求項1で定義した式Iで表される化合物の調製方法であって、
式IIの化合物:
【化2】

(式中、R、Raおよびnは、請求項1で定義した通りである)
を式IIIのスルホン酸誘導体:
【化3】

(式中、AおよびHetは請求項1で定義した通りであり、Lは求核性脱離基である)
と塩基性条件下で反応させることを含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1で定義した式Iで表される化合物の調製方法であって、
式IVの化合物:
【化4】

(式中、Raおよびnは請求項1で定義した通りであり、L'は脱離基である)
を化合物III.a:
【化5】

(式中、R、AおよびHetは請求項1で定義した通りである)
と塩基性条件下で反応させることを含む、前記方法。
【請求項10】
溶媒または固体担体と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物またはそのN-オキシドもしくは農業上許容可能な塩の少なくとも1種とを含む、農薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のさらなる活性物質を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
菌類または菌類の攻撃から保護すべき材料、植物、土壌もしくは種子を、請求項1〜7のいずれか1項で定義した式Iで表される化合物またはそのN-オキシドもしくは農業上許容可能な塩の少なくとも1種の有効量で処理することを含む、植物病原性菌類の防除方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項で定義した式Iで表される化合物またはそのN-オキシドもしくは農業上許容可能な塩を種子100kg当たり0.1g〜10kgの量で含む種子。

【公表番号】特表2011−520937(P2011−520937A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509936(P2011−509936)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055899
【国際公開番号】WO2009/141274
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】