母材間連結構造及びその母材間連結構造用の添板
【課題】個々の接合用補助部材を添板の所定位置に的確に設置することができ、しかもその添板を母材側に添設して締付け固定する際に接合用補助部材の方向性をより確実に保持し得る母材間連結技術を提供し、もって添板を母材に締付け固定する際の作業負担を軽減するとともに、個々の接合用補助部材の方向性を維持して所期のすべり係数を確保し、所期の接合強度を確実に実現する。
【解決手段】母材間に跨って添設される添板7と前記母材との間に両面に係止部23を設けた板状の接合用補助部材11を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材11をスタッドピン19あるいは添板に設けた掛止部材によって添板側に確実に保持し、その保持状態において添板7を母材に対して添設する。
【解決手段】母材間に跨って添設される添板7と前記母材との間に両面に係止部23を設けた板状の接合用補助部材11を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材11をスタッドピン19あるいは添板に設けた掛止部材によって添板側に確実に保持し、その保持状態において添板7を母材に対して添設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば梁や柱を構成するH形鋼などの母材同士をそれらの母材間に跨って添設する添板と母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させた状態で連結する母材間連結技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築や橋梁などの鋼構造材の摩擦接合部に適用される接合用鋼材においては、その接合耐力を向上すべく、接合面における摩擦係数、すなわちすべり係数を大きくするための工夫が種々なされている。例えば、接合面の黒皮を除去して赤錆を発生させることによりすべり係数を増やしたり、ショットブラスト等のブラスト処理によりすべり係数を増やしたりする方法が知られている。しかしながら、これらの方法によるすべり係数の増加には自ずと限界があり、しかもいずれの場合にも、広いスペースが必要とされ、作業性にも問題があった。ところで、すべり係数の大小には、接合面の面粗さ、すなわち表面の凹凸の高低差だけではなく、接合面の表面の硬さも関与する。そこで、接合面の凹凸の高低差を拡大するために、凹凸状のロールによる転写、機械加工、レーザ加工、放電加工、化学的手段などを用い、さらに表面硬さを強化するために、焼入れ処理などを施すことにより、接合面の凹凸の高低差を0.2〜1.0mm、表面硬さをヴィッカース硬さで250以上に構成したものも提案されている(特許文献1参照)。また、母材間に跨って添設する添板と母材との間に両面に刃状突起を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらを貫通する高力ボルトとナットの締付けにより、その接合用補助部材の両面に形成した刃状突起をそれぞれ添板及び母材の双方の接合面に食込ませることによって母材間の連結状態の強化を図ったものも知られている(特許文献2参照)。また、その場合に、前記接合用補助部材の両面に形成する刃状突起を母材の連結方向に直交する方向に平行に並設した複数条からなる刃状突起にて構成することにより、母材の連結方向のすべり係数を増加させる手法も知られているところである。さらに、前記接合用補助部材に磁気や接着剤により接着性をもたせることにより良好な作業性が得られる旨の指摘もあった。
【特許文献1】特許第3607742号公報
【特許文献2】特公平8−30364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、両面に係合部を備えた接合用補助部材を母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定する際には、接合用補助部材を添板の外側から直視することができず、また作業中に移動したり脱落してしまう可能性もあることから、個々の接合用補助部材を所定位置に的確に設置するには作業者にかかる負担も大きかった。特に、その接合用補助部材の設置方向に方向性がある場合には供回りに対応する負担も加わることから作業負担が倍加されるといった問題があった。さらに、前記接合用補助部材に磁気や接着剤により接着性をもたせることにより良好な作業性が得られる旨の従来の指摘は、その具体性に欠けるだけでなく、特に接着剤による場合には、その接着作業の際に接合用補助部材の方向性を確保することは簡単ではなく、またボルトの挿通孔へ接着剤が付着して挿入操作性を害するといった技術的問題があった。因みに、接合用補助部材に方向性がある場合に、その方向性を確実に維持できない場合には、所期のすべり係数を発揮できず、接合耐力の低下を招くことにもなる。
【0004】
本発明は、以上のような従来の技術状況に鑑み、個々の接合用補助部材を添板の所定位置に的確に設置することができ、しかもその添板を母材側に添設して締付け固定する際に接合用補助部材の方向性をより確実に保持し得る母材間連結技術を提供し、もって添板を母材に締付け固定する際の作業負担を軽減するとともに、個々の接合用補助部材の方向性を維持して所期のすべり係数を確保し、所期の接合耐力を確実に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明では、母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材をスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材によって前記添板側に確実に保持した状態で、添板を母材に対して添設するという技術手段を採用した。この場合、隣接する接合用補助部材の辺部をスタッドピンにより同時に保持するように構成してもよい。また、接合用補助部材の外周部に段部を形成し、その段部に前記スタッドピン又は掛止部材を掛止するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、接合用補助部材をスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材を用いて添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するという技術手段を採用したので、次の効果を得ることができる。
(1)スタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材を用いて個々の接合用補助部材を添板の所定位置に所定の方向性をもたせて保持するように構成したので、それらの接合用補助部材の設置位置及び方向性を的確でかつ強固に保持できる。
(2)したがって、所要の接合用補助部材を保持した添板を母材側に添設して締付け固定する際に伴った、接合用補助部材の供回りや、移動、脱落などの従来の技術的問題は確実に解消されることから、その作業負担を大幅に軽減することが可能である。
(3)また、それらのスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材により、個々の接合用補助部材の方向性が強固に保持されることから、添板を母材側に添設して締付け固定する前記作業を通じて接合用補助部材の方向性が確実に維持され、所期のすべり係数が確保されるので、所期の接合耐力を確実に実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る母材間連結技術は、建築や橋梁などにおいて梁や柱を構成するH形鋼などの母材同士をボルトとナットを用いて連結する場合に広く適用することが可能である。前記接合用補助部材の両面に設けられる係止部に関しては、その中の少なくとも母材側の面に形成される係止部は、母材の接合面に食込んですべり係数を増すように構成されるが、他方の添板側の面に形成される係止部については、母材側の場合と同様に添板の接合面に食込んですべり係数を増やすように構成してもよいし、あるいは添板側の接合面に予め前記係止部に係合し得る係合部を形成しておき、それらの接合用補助部材側に形成された前記係止部と添板側に予め形成された係合部との係合によってすべり係数を増やすように構成しても構わない。その接合用補助部材に形成される係止部の具体的形状に関しては、相手側の接合面に食込ませてすべり係数を増やす形態の場合には、先端が尖った刃状突起のものや錐状のものが適当である。これに対して、接合用補助部材側に形成された前記係止部と添板側に予め形成された係合部との係合によってすべり係数を増やす形態の場合には、添板側へ食込ませる必要性がないことから、係合可能な種々の形状が可能である。また、それらの係止部及び係合部のどちらが凸側でも凹側でも構わない。
【0008】
接合用補助部材の両面に形成される係止部は、母材間の連結方向に直交する方向に平行に並設される複数条の係止部から構成するようにすれば、その母材間の連結方向に対するすべり係数、延いてはその接合耐力を効率的かつ確実に向上することが可能である。本発明に係る母材間連結技術は、正にこのような接合用補助部材に方向性がある場合に最適であるが、方向性のない場合にも適用は可能である。因みに、接合用補助部材に関しては、焼入れ処理等によりとりわけ母材側の接合面に食込む係止部の部分の硬度を高めたものが望ましい。また、添板に関しては、焼入れ処理を施さない方が、添板、接合用補助部材及び母材の締付け固定時に、部材の厚さに関する多少の寸法差や梁間における施工誤差があっても、変形して馴染みやすいことから、より安定した締付けが可能であるが、それらに限定されるものではない。なお、前記スタッドピンや添板に設けた掛止部材の高さに関しては、その接合用補助部材の保持後の高さが接合用補助部材自体の高さより低くなるように設定し、接合用補助部材の両面に形成される係止部の相手側接合面に対する食込みないし係合を妨げないようにする必要性がある。因みに、接合用補助部材の外形に関しては、以下の実施例のように八角形に限らず、四角形や六角形などの他の多角形あるいは円形状のものでもよい。
【実施例】
【0009】
図1は母材間の連結状態を示した正面図であり、図2はその平面図である。また、図3は添板を外して示した平面図、図4は図1中の丸内を示した部分拡大図である。図中1,2はH形鋼からなる母材で、それらの母材1,2間を本発明に係る母材間連結構造により連結した状態を示したものである。図示のように、母材1及び母材2に対しては、それらの母材1のフランジ部3,4と母材2のフランジ部5,6との間に跨った状態に添板7〜10が添設される。添板7〜10と母材1,2のフランジ部3〜6との間には、図3及び図4に示したように、両面に適宜の係止部を設けた板状からなる所要数の接合用補助部材11が介装され、それらの添板7〜10、個々の接合用補助部材11及び母材1,2を、それらに貫通させたボルト12及びナット13によって締付け固定するように構成されている。また、母材1のウェブ14と母材2のウェブ15とは、図1に示したように添板16を用いて接合用補助部材11と同様の接合用補助部材を介装しながらボルト17とナットにより連結されている。なお、図5は母材1のフランジ部3と母材2のフランジ部5との厚さに寸法差がある場合の連結状態を示したものである。ここでは、添板7〜10に焼入れ処理を施していない場合を示したものであり、図示のように添板8が変形してフランジ部3,5の寸法差を吸収しながら馴染むことから、より安定した締付けが可能である。なお、母材1と母材2の高さに多少の施工誤差があった場合にも同様である。
【0010】
次に、図6〜図9に基づいて本発明の特徴であるスタッドピンを用いた接合用補助部材の添板側への保持に関して説明する。図6は前記添板7の平面図であり、図7はそのA−A断面図である。なお、以下の説明は添板8〜10に関しても共通である。因みに、添板7,9の場合には、以下の手順で接合用補助部材11が所定位置に保持された後の使用に際しては、上下を逆転して接合用補助部材11を下方にした状態で母材1,2に添設され、ボルト12及びナット13を用いて締付け固定されることになる。しかして、図中18は添板7に形成された前記ボルト12用の挿通孔であり、19はその挿通孔18の両側にスタッド溶接等により予め固着されたスタッドピンである。図8は添板7に形成された各挿通孔18に対応させて同数の接合用補助部材11を載置した状態を示した平面図であり、図9はその部分拡大縦断面図である。図示のように、本実施例におけるそれぞれの接合用補助部材11は若干偏平に変形された八角形からなり、その長手方向の両側に位置する平行辺部を隣接間で互いに当接させることにより、接合用補助部材11の設置方向が規制されるように構成されている。
【0011】
図9に示したように、接合用補助部材11の中心部には添板7に形成された前記挿通孔18と同じか若干大径の挿通孔20が形成され、またそれぞれの接合用補助部材11の両側の平行辺部には段部21が形成されている。それらの接合用補助部材11の両側に形成された段部21には、それぞれ前記スタッドピン19に対して嵌合可能な半円状の凹部が形成されている。しかして、本実施例の場合には、各接合用補助部材11の両側の段部21に形成された凹部を添板7上に固着された前記スタッドピン19に嵌合しながら、各スタッドピン19の上部を潰して図9に示したように鍔部22を形成して段部21に掛止させることにより、各接合用補助部材11を添板7に対して強固に保持することができる。因みに、本実施例によれば、図8及び図9に示したように隣接する接合用補助部材11の段部21が互いに近接している部分については、1本のスタッドピン19の上部を潰して両側の段部21に掛止させることにより、それらの段部21を同時に保持することが可能である。図中、23は、接合用補助部材11の両面に備える係止部として、母材1,2の連結方向に直交する方向に平行に並設した複数条からなる突起である。なお、接合用補助部材11の添板7側に面する突起23を大きく形成し、その突起23に係合可能な係合凹部を添板7の接合面に形成して両者を係合するように構成すれば、接合用補助部材11の方向性を的確に維持できるとともに、供回りの防止にもきわめて有効である。さらに、接合用補助部材11の片面をこのような大きな突起とすれば、添板7に対する当接面積を大きくとることが可能なことから、他方の面に形成した突起の食込みの安定化にも有効である。
【0012】
図10及び図11は前記実施例の変形例を示した平面図である。図10の実施例に係る接合用補助部材24は、その全周部に段部25を形成してスタッドピン19に嵌合可能な凹部26を設けたものである。また、図11の実施例に係る接合用補助部材27は、同様に全周部に段部28を形成してスタッドピン19が挿通可能な挿通孔29を設けたものである。これらの実施例の場合も、スタッドピン19の上部を潰してそれぞれの段部25,28に掛止させることにより接合用補助部材24,27を添板7に対して強固に保持することが可能である。
【0013】
図12及び図13は他の変形例を示したものであり、図12は本実施例に係る添板30に対して接合用補助部材31を保持する前の状態を示した平面図、図13は接合用補助部材31を保持した後の添板30の状態を示した平面図である。図12に示したように、本実施例に係る添板30の場合には、前記ボルト12用の挿通孔32を千鳥状に配置し、それらの挿通孔32の図面上で縦方向の両側にスタッド溶接等によりスタッドピン33を予め固着している。そして、その添板30に対しては、図13に示したように接合用補助部材31を前記挿通孔32に対応させて千鳥状に設置することになる。この接合用補助部材31の設置の仕方は、前記実施例の場合と同様で、各接合用補助部材31の図面上で縦方向の両側に設けた段部34に形成された凹部又は挿通孔にスタッドピン33を嵌合ないし挿通し、そのスタッドピン33の上部を潰して段部34に掛止することにより、添板30に対して強固に保持することができる。図示のように、本実施例に係る接合用補助部材31の場合も八角形に形成され、隣接する傾斜辺部同士を当接することにより、接合用補助部材31の方向性を規制し得るように構成している。
【0014】
図14〜図16は掛止部材を用いる他の実施例を示したものであり、図14は接合用補助部材を保持した状態の添板を示した平面図、図15は添板に設けられる掛止部材を示した拡大平面図、図16は図14を部分的に拡大して示した部分拡大縦断面図である。図14に示したように、本実施に場合には、添板35に図15に示した掛止部材36を2列平行に設置し、それらの掛止部材36に設けた掛止片37により、図16に示したように接合用補助部材38の周囲に形成した段部39を掛止することにより、接合用補助部材38を添板35側に保持するように構成している。すなわち、本実施例に係る接合用補助部材38も八角形からなり、その周囲に形成した段部39の外縁部に掛止部材36の内縁部に形成した斜辺部40を当接することにより方向性を規制した状態で前記段部39の上面に掛止片37を掛止することにより、掛止部材36の内部に所要数の接合用補助部材38を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、前記掛止部材36をスポット溶接等により添板35側へ固着するという構成を採用している。なお、図14に示した各接合用補助部材38に形成した前記ボルト12用の挿通孔41の下方には添板35の挿通孔が位置しており、前記実施例における添板と同様に、接合用補助部材38付きの添板35として母材1,2に跨って添設した状態でボルト12及びナット13を用いて締付け固定されることになる。因みに、その締付け固定作業時においてボルト12を挿通する際には、接合用補助部材38に付与した前記クリアランスによって挿通孔41の位置に関する微調整が可能なことから、施工誤差を吸収でき、作業性の向上が可能である。すなわち、掛止部材36には、接合用補助部材38が施工誤差を吸収できる程度のクリアランスが設けられている。
【0015】
図17及び図18は前記添板35に使用した掛止部材36に関する変形例を示したものであり、図17はその部分平面図、図18は部分拡大縦断面図である。本実施例に係る添板42には、図17に示したように八角形からなる接合用補助部材43の周囲に形成した段部44に対して掛止可能な掛止部材45が2列平行に設置される。それらの掛止部材45は、図18に示したように段部44の外縁部に当接して方向性を規制し得る形状に内部がくり抜かれた下部掛止板46と、段部44の上面に掛止して接合用補助部材43を押え込める形状に内部がくり抜かれた上部掛止板47とから構成される。そして、それらの下部掛止板46と上部掛止板47から構成される掛止部材45の内部に所要数の接合用補助部材43を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、スポット溶接等により添板42側へ固着されることになる。
【0016】
図19〜図21は他の変形例を示したものであり、図19はその部分平面図、図20は下部掛止板を示した部分平面図、図21は上部掛止板を示した部分平面図である。本実施例に係る添板48には、図19に示したように八角形からなる接合用補助部材49が千鳥状に配置される場合に適応し得る掛止部材50が2列平行に設置される。それらの掛止部材50は、それぞれ図20に示したように接合用補助部材49の周囲に形成した段部51の外縁部に当接して方向性を規制し得るように内部が略N字状にくり抜かれた下部掛止板52と、図21に示したように前記段部51の上面に掛止して接合用補助部材49を押え込める形状に内部がくり抜かれた上部掛止板53とから構成される。そして、それらの下部掛止板52と上部掛止板53から構成される掛止部材50の内部に所要数の接合用補助部材49を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、スポット溶接等により添板48側へ固着されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】母材間の連結状態を示した正面図である。
【図2】同母材間の連結状態を示した平面図である。
【図3】同母材間の連結状態を添板を外して示した平面図である。
【図4】図1中の丸内を示した部分拡大図である。
【図5】母材のフランジ部の厚さに寸法差がある場合の連結状態を示した部分拡大図である。
【図6】添板を示した平面図である。
【図7】同添板のA−A断面図である。
【図8】同添板に接合用補助部材を載置した状態を示した平面図である。
【図9】図8の部分拡大縦断面図である。
【図10】前記実施例の変形例を示した平面図である。
【図11】他の変形例を示した平面図である。
【図12】更に他の変形例における接合用補助部材を保持する前の添板の状態を示した平面図である。
【図13】同変形例における接合用補助部材を保持した後の添板の状態を示した平面図である。
【図14】他の実施例における接合用補助部材を保持した状態の添板を示した平面図である。
【図15】同実施例の添板に設けられる掛止部材を示した拡大平面図である。
【図16】図14を部分的に拡大して示した部分拡大縦断面図である。
【図17】前記掛止部材に関する変形例を示した部分平面図である。
【図18】同変形例の部分拡大縦断面図である。
【図19】他の変形例を示した部分平面図である。
【図20】同変形例の下部掛止板を示した部分平面図である。
【図21】同変形例の上部掛止板を示した部分平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1,2…母材、3〜6…フランジ部、7〜10…添板、11…接合用補助部材、12…ボルト、13…ナット、14,15…ウェブ、16…添板、17…ボルト、18…挿通孔、19…スタッドピン、20…挿通孔、21…段部、22…鍔部、23…突起、24…接合用補助部材、25…段部、26…凹部、27…接合用補助部材、28…段部、29…挿通孔、30…添板、31…接合用補助部材、32…挿通孔、33…スタッドピン、34…段部、35…添板、36…掛止部材、37…掛止片、38…接合用補助部材、39…段部、40…斜辺部、41…挿通孔、42…添板、43…接合用補助部材、44…段部、45…掛止部材、46…下部掛止板、47…上部掛止板、48…添板、49…接合用補助部材、50…掛止部材、51…段部、52…下部掛止板、53…上部掛止板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば梁や柱を構成するH形鋼などの母材同士をそれらの母材間に跨って添設する添板と母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させた状態で連結する母材間連結技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築や橋梁などの鋼構造材の摩擦接合部に適用される接合用鋼材においては、その接合耐力を向上すべく、接合面における摩擦係数、すなわちすべり係数を大きくするための工夫が種々なされている。例えば、接合面の黒皮を除去して赤錆を発生させることによりすべり係数を増やしたり、ショットブラスト等のブラスト処理によりすべり係数を増やしたりする方法が知られている。しかしながら、これらの方法によるすべり係数の増加には自ずと限界があり、しかもいずれの場合にも、広いスペースが必要とされ、作業性にも問題があった。ところで、すべり係数の大小には、接合面の面粗さ、すなわち表面の凹凸の高低差だけではなく、接合面の表面の硬さも関与する。そこで、接合面の凹凸の高低差を拡大するために、凹凸状のロールによる転写、機械加工、レーザ加工、放電加工、化学的手段などを用い、さらに表面硬さを強化するために、焼入れ処理などを施すことにより、接合面の凹凸の高低差を0.2〜1.0mm、表面硬さをヴィッカース硬さで250以上に構成したものも提案されている(特許文献1参照)。また、母材間に跨って添設する添板と母材との間に両面に刃状突起を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらを貫通する高力ボルトとナットの締付けにより、その接合用補助部材の両面に形成した刃状突起をそれぞれ添板及び母材の双方の接合面に食込ませることによって母材間の連結状態の強化を図ったものも知られている(特許文献2参照)。また、その場合に、前記接合用補助部材の両面に形成する刃状突起を母材の連結方向に直交する方向に平行に並設した複数条からなる刃状突起にて構成することにより、母材の連結方向のすべり係数を増加させる手法も知られているところである。さらに、前記接合用補助部材に磁気や接着剤により接着性をもたせることにより良好な作業性が得られる旨の指摘もあった。
【特許文献1】特許第3607742号公報
【特許文献2】特公平8−30364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、両面に係合部を備えた接合用補助部材を母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定する際には、接合用補助部材を添板の外側から直視することができず、また作業中に移動したり脱落してしまう可能性もあることから、個々の接合用補助部材を所定位置に的確に設置するには作業者にかかる負担も大きかった。特に、その接合用補助部材の設置方向に方向性がある場合には供回りに対応する負担も加わることから作業負担が倍加されるといった問題があった。さらに、前記接合用補助部材に磁気や接着剤により接着性をもたせることにより良好な作業性が得られる旨の従来の指摘は、その具体性に欠けるだけでなく、特に接着剤による場合には、その接着作業の際に接合用補助部材の方向性を確保することは簡単ではなく、またボルトの挿通孔へ接着剤が付着して挿入操作性を害するといった技術的問題があった。因みに、接合用補助部材に方向性がある場合に、その方向性を確実に維持できない場合には、所期のすべり係数を発揮できず、接合耐力の低下を招くことにもなる。
【0004】
本発明は、以上のような従来の技術状況に鑑み、個々の接合用補助部材を添板の所定位置に的確に設置することができ、しかもその添板を母材側に添設して締付け固定する際に接合用補助部材の方向性をより確実に保持し得る母材間連結技術を提供し、もって添板を母材に締付け固定する際の作業負担を軽減するとともに、個々の接合用補助部材の方向性を維持して所期のすべり係数を確保し、所期の接合耐力を確実に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明では、母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材をスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材によって前記添板側に確実に保持した状態で、添板を母材に対して添設するという技術手段を採用した。この場合、隣接する接合用補助部材の辺部をスタッドピンにより同時に保持するように構成してもよい。また、接合用補助部材の外周部に段部を形成し、その段部に前記スタッドピン又は掛止部材を掛止するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、接合用補助部材をスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材を用いて添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するという技術手段を採用したので、次の効果を得ることができる。
(1)スタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材を用いて個々の接合用補助部材を添板の所定位置に所定の方向性をもたせて保持するように構成したので、それらの接合用補助部材の設置位置及び方向性を的確でかつ強固に保持できる。
(2)したがって、所要の接合用補助部材を保持した添板を母材側に添設して締付け固定する際に伴った、接合用補助部材の供回りや、移動、脱落などの従来の技術的問題は確実に解消されることから、その作業負担を大幅に軽減することが可能である。
(3)また、それらのスタッドピンあるいは添板に設けた掛止部材により、個々の接合用補助部材の方向性が強固に保持されることから、添板を母材側に添設して締付け固定する前記作業を通じて接合用補助部材の方向性が確実に維持され、所期のすべり係数が確保されるので、所期の接合耐力を確実に実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る母材間連結技術は、建築や橋梁などにおいて梁や柱を構成するH形鋼などの母材同士をボルトとナットを用いて連結する場合に広く適用することが可能である。前記接合用補助部材の両面に設けられる係止部に関しては、その中の少なくとも母材側の面に形成される係止部は、母材の接合面に食込んですべり係数を増すように構成されるが、他方の添板側の面に形成される係止部については、母材側の場合と同様に添板の接合面に食込んですべり係数を増やすように構成してもよいし、あるいは添板側の接合面に予め前記係止部に係合し得る係合部を形成しておき、それらの接合用補助部材側に形成された前記係止部と添板側に予め形成された係合部との係合によってすべり係数を増やすように構成しても構わない。その接合用補助部材に形成される係止部の具体的形状に関しては、相手側の接合面に食込ませてすべり係数を増やす形態の場合には、先端が尖った刃状突起のものや錐状のものが適当である。これに対して、接合用補助部材側に形成された前記係止部と添板側に予め形成された係合部との係合によってすべり係数を増やす形態の場合には、添板側へ食込ませる必要性がないことから、係合可能な種々の形状が可能である。また、それらの係止部及び係合部のどちらが凸側でも凹側でも構わない。
【0008】
接合用補助部材の両面に形成される係止部は、母材間の連結方向に直交する方向に平行に並設される複数条の係止部から構成するようにすれば、その母材間の連結方向に対するすべり係数、延いてはその接合耐力を効率的かつ確実に向上することが可能である。本発明に係る母材間連結技術は、正にこのような接合用補助部材に方向性がある場合に最適であるが、方向性のない場合にも適用は可能である。因みに、接合用補助部材に関しては、焼入れ処理等によりとりわけ母材側の接合面に食込む係止部の部分の硬度を高めたものが望ましい。また、添板に関しては、焼入れ処理を施さない方が、添板、接合用補助部材及び母材の締付け固定時に、部材の厚さに関する多少の寸法差や梁間における施工誤差があっても、変形して馴染みやすいことから、より安定した締付けが可能であるが、それらに限定されるものではない。なお、前記スタッドピンや添板に設けた掛止部材の高さに関しては、その接合用補助部材の保持後の高さが接合用補助部材自体の高さより低くなるように設定し、接合用補助部材の両面に形成される係止部の相手側接合面に対する食込みないし係合を妨げないようにする必要性がある。因みに、接合用補助部材の外形に関しては、以下の実施例のように八角形に限らず、四角形や六角形などの他の多角形あるいは円形状のものでもよい。
【実施例】
【0009】
図1は母材間の連結状態を示した正面図であり、図2はその平面図である。また、図3は添板を外して示した平面図、図4は図1中の丸内を示した部分拡大図である。図中1,2はH形鋼からなる母材で、それらの母材1,2間を本発明に係る母材間連結構造により連結した状態を示したものである。図示のように、母材1及び母材2に対しては、それらの母材1のフランジ部3,4と母材2のフランジ部5,6との間に跨った状態に添板7〜10が添設される。添板7〜10と母材1,2のフランジ部3〜6との間には、図3及び図4に示したように、両面に適宜の係止部を設けた板状からなる所要数の接合用補助部材11が介装され、それらの添板7〜10、個々の接合用補助部材11及び母材1,2を、それらに貫通させたボルト12及びナット13によって締付け固定するように構成されている。また、母材1のウェブ14と母材2のウェブ15とは、図1に示したように添板16を用いて接合用補助部材11と同様の接合用補助部材を介装しながらボルト17とナットにより連結されている。なお、図5は母材1のフランジ部3と母材2のフランジ部5との厚さに寸法差がある場合の連結状態を示したものである。ここでは、添板7〜10に焼入れ処理を施していない場合を示したものであり、図示のように添板8が変形してフランジ部3,5の寸法差を吸収しながら馴染むことから、より安定した締付けが可能である。なお、母材1と母材2の高さに多少の施工誤差があった場合にも同様である。
【0010】
次に、図6〜図9に基づいて本発明の特徴であるスタッドピンを用いた接合用補助部材の添板側への保持に関して説明する。図6は前記添板7の平面図であり、図7はそのA−A断面図である。なお、以下の説明は添板8〜10に関しても共通である。因みに、添板7,9の場合には、以下の手順で接合用補助部材11が所定位置に保持された後の使用に際しては、上下を逆転して接合用補助部材11を下方にした状態で母材1,2に添設され、ボルト12及びナット13を用いて締付け固定されることになる。しかして、図中18は添板7に形成された前記ボルト12用の挿通孔であり、19はその挿通孔18の両側にスタッド溶接等により予め固着されたスタッドピンである。図8は添板7に形成された各挿通孔18に対応させて同数の接合用補助部材11を載置した状態を示した平面図であり、図9はその部分拡大縦断面図である。図示のように、本実施例におけるそれぞれの接合用補助部材11は若干偏平に変形された八角形からなり、その長手方向の両側に位置する平行辺部を隣接間で互いに当接させることにより、接合用補助部材11の設置方向が規制されるように構成されている。
【0011】
図9に示したように、接合用補助部材11の中心部には添板7に形成された前記挿通孔18と同じか若干大径の挿通孔20が形成され、またそれぞれの接合用補助部材11の両側の平行辺部には段部21が形成されている。それらの接合用補助部材11の両側に形成された段部21には、それぞれ前記スタッドピン19に対して嵌合可能な半円状の凹部が形成されている。しかして、本実施例の場合には、各接合用補助部材11の両側の段部21に形成された凹部を添板7上に固着された前記スタッドピン19に嵌合しながら、各スタッドピン19の上部を潰して図9に示したように鍔部22を形成して段部21に掛止させることにより、各接合用補助部材11を添板7に対して強固に保持することができる。因みに、本実施例によれば、図8及び図9に示したように隣接する接合用補助部材11の段部21が互いに近接している部分については、1本のスタッドピン19の上部を潰して両側の段部21に掛止させることにより、それらの段部21を同時に保持することが可能である。図中、23は、接合用補助部材11の両面に備える係止部として、母材1,2の連結方向に直交する方向に平行に並設した複数条からなる突起である。なお、接合用補助部材11の添板7側に面する突起23を大きく形成し、その突起23に係合可能な係合凹部を添板7の接合面に形成して両者を係合するように構成すれば、接合用補助部材11の方向性を的確に維持できるとともに、供回りの防止にもきわめて有効である。さらに、接合用補助部材11の片面をこのような大きな突起とすれば、添板7に対する当接面積を大きくとることが可能なことから、他方の面に形成した突起の食込みの安定化にも有効である。
【0012】
図10及び図11は前記実施例の変形例を示した平面図である。図10の実施例に係る接合用補助部材24は、その全周部に段部25を形成してスタッドピン19に嵌合可能な凹部26を設けたものである。また、図11の実施例に係る接合用補助部材27は、同様に全周部に段部28を形成してスタッドピン19が挿通可能な挿通孔29を設けたものである。これらの実施例の場合も、スタッドピン19の上部を潰してそれぞれの段部25,28に掛止させることにより接合用補助部材24,27を添板7に対して強固に保持することが可能である。
【0013】
図12及び図13は他の変形例を示したものであり、図12は本実施例に係る添板30に対して接合用補助部材31を保持する前の状態を示した平面図、図13は接合用補助部材31を保持した後の添板30の状態を示した平面図である。図12に示したように、本実施例に係る添板30の場合には、前記ボルト12用の挿通孔32を千鳥状に配置し、それらの挿通孔32の図面上で縦方向の両側にスタッド溶接等によりスタッドピン33を予め固着している。そして、その添板30に対しては、図13に示したように接合用補助部材31を前記挿通孔32に対応させて千鳥状に設置することになる。この接合用補助部材31の設置の仕方は、前記実施例の場合と同様で、各接合用補助部材31の図面上で縦方向の両側に設けた段部34に形成された凹部又は挿通孔にスタッドピン33を嵌合ないし挿通し、そのスタッドピン33の上部を潰して段部34に掛止することにより、添板30に対して強固に保持することができる。図示のように、本実施例に係る接合用補助部材31の場合も八角形に形成され、隣接する傾斜辺部同士を当接することにより、接合用補助部材31の方向性を規制し得るように構成している。
【0014】
図14〜図16は掛止部材を用いる他の実施例を示したものであり、図14は接合用補助部材を保持した状態の添板を示した平面図、図15は添板に設けられる掛止部材を示した拡大平面図、図16は図14を部分的に拡大して示した部分拡大縦断面図である。図14に示したように、本実施に場合には、添板35に図15に示した掛止部材36を2列平行に設置し、それらの掛止部材36に設けた掛止片37により、図16に示したように接合用補助部材38の周囲に形成した段部39を掛止することにより、接合用補助部材38を添板35側に保持するように構成している。すなわち、本実施例に係る接合用補助部材38も八角形からなり、その周囲に形成した段部39の外縁部に掛止部材36の内縁部に形成した斜辺部40を当接することにより方向性を規制した状態で前記段部39の上面に掛止片37を掛止することにより、掛止部材36の内部に所要数の接合用補助部材38を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、前記掛止部材36をスポット溶接等により添板35側へ固着するという構成を採用している。なお、図14に示した各接合用補助部材38に形成した前記ボルト12用の挿通孔41の下方には添板35の挿通孔が位置しており、前記実施例における添板と同様に、接合用補助部材38付きの添板35として母材1,2に跨って添設した状態でボルト12及びナット13を用いて締付け固定されることになる。因みに、その締付け固定作業時においてボルト12を挿通する際には、接合用補助部材38に付与した前記クリアランスによって挿通孔41の位置に関する微調整が可能なことから、施工誤差を吸収でき、作業性の向上が可能である。すなわち、掛止部材36には、接合用補助部材38が施工誤差を吸収できる程度のクリアランスが設けられている。
【0015】
図17及び図18は前記添板35に使用した掛止部材36に関する変形例を示したものであり、図17はその部分平面図、図18は部分拡大縦断面図である。本実施例に係る添板42には、図17に示したように八角形からなる接合用補助部材43の周囲に形成した段部44に対して掛止可能な掛止部材45が2列平行に設置される。それらの掛止部材45は、図18に示したように段部44の外縁部に当接して方向性を規制し得る形状に内部がくり抜かれた下部掛止板46と、段部44の上面に掛止して接合用補助部材43を押え込める形状に内部がくり抜かれた上部掛止板47とから構成される。そして、それらの下部掛止板46と上部掛止板47から構成される掛止部材45の内部に所要数の接合用補助部材43を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、スポット溶接等により添板42側へ固着されることになる。
【0016】
図19〜図21は他の変形例を示したものであり、図19はその部分平面図、図20は下部掛止板を示した部分平面図、図21は上部掛止板を示した部分平面図である。本実施例に係る添板48には、図19に示したように八角形からなる接合用補助部材49が千鳥状に配置される場合に適応し得る掛止部材50が2列平行に設置される。それらの掛止部材50は、それぞれ図20に示したように接合用補助部材49の周囲に形成した段部51の外縁部に当接して方向性を規制し得るように内部が略N字状にくり抜かれた下部掛止板52と、図21に示したように前記段部51の上面に掛止して接合用補助部材49を押え込める形状に内部がくり抜かれた上部掛止板53とから構成される。そして、それらの下部掛止板52と上部掛止板53から構成される掛止部材50の内部に所要数の接合用補助部材49を多少のクリアランスを設けてそれ以上動けない状態に収容した上、スポット溶接等により添板48側へ固着されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】母材間の連結状態を示した正面図である。
【図2】同母材間の連結状態を示した平面図である。
【図3】同母材間の連結状態を添板を外して示した平面図である。
【図4】図1中の丸内を示した部分拡大図である。
【図5】母材のフランジ部の厚さに寸法差がある場合の連結状態を示した部分拡大図である。
【図6】添板を示した平面図である。
【図7】同添板のA−A断面図である。
【図8】同添板に接合用補助部材を載置した状態を示した平面図である。
【図9】図8の部分拡大縦断面図である。
【図10】前記実施例の変形例を示した平面図である。
【図11】他の変形例を示した平面図である。
【図12】更に他の変形例における接合用補助部材を保持する前の添板の状態を示した平面図である。
【図13】同変形例における接合用補助部材を保持した後の添板の状態を示した平面図である。
【図14】他の実施例における接合用補助部材を保持した状態の添板を示した平面図である。
【図15】同実施例の添板に設けられる掛止部材を示した拡大平面図である。
【図16】図14を部分的に拡大して示した部分拡大縦断面図である。
【図17】前記掛止部材に関する変形例を示した部分平面図である。
【図18】同変形例の部分拡大縦断面図である。
【図19】他の変形例を示した部分平面図である。
【図20】同変形例の下部掛止板を示した部分平面図である。
【図21】同変形例の上部掛止板を示した部分平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1,2…母材、3〜6…フランジ部、7〜10…添板、11…接合用補助部材、12…ボルト、13…ナット、14,15…ウェブ、16…添板、17…ボルト、18…挿通孔、19…スタッドピン、20…挿通孔、21…段部、22…鍔部、23…突起、24…接合用補助部材、25…段部、26…凹部、27…接合用補助部材、28…段部、29…挿通孔、30…添板、31…接合用補助部材、32…挿通孔、33…スタッドピン、34…段部、35…添板、36…掛止部材、37…掛止片、38…接合用補助部材、39…段部、40…斜辺部、41…挿通孔、42…添板、43…接合用補助部材、44…段部、45…掛止部材、46…下部掛止板、47…上部掛止板、48…添板、49…接合用補助部材、50…掛止部材、51…段部、52…下部掛止板、53…上部掛止板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材をスタッドピンを用いて前記添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するように構成したことを特徴とする母材間連結構造。
【請求項2】
隣接する接合用補助部材の辺部をスタッドピンにより同時に保持するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の母材間連結構造。
【請求項3】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記添板に設けた掛止部材によって前記接合用補助部材の外周部を掛止することにより接合用補助部材を前記添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するように構成したことを特徴とする母材間連結構造。
【請求項4】
前記接合用補助部材の外周部に段部を形成し、その段部に前記スタッドピン又は掛止部材を掛止するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の母材間連結構造。
【請求項5】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造に使用される添板であって、前記接合用補助部材をスタッドピンを用いて保持したことを特徴とする母材間連結構造用の添板。
【請求項6】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造に使用される添板であって、その添板に設けた掛止部材によって前記接合用補助部材の外周部を掛止することにより接合用補助部材を保持したことを特徴とする母材間連結構造用の添板。
【請求項1】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記接合用補助部材をスタッドピンを用いて前記添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するように構成したことを特徴とする母材間連結構造。
【請求項2】
隣接する接合用補助部材の辺部をスタッドピンにより同時に保持するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の母材間連結構造。
【請求項3】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造において、前記添板に設けた掛止部材によって前記接合用補助部材の外周部を掛止することにより接合用補助部材を前記添板側に保持した状態で、添板を母材に対して添設するように構成したことを特徴とする母材間連結構造。
【請求項4】
前記接合用補助部材の外周部に段部を形成し、その段部に前記スタッドピン又は掛止部材を掛止するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の母材間連結構造。
【請求項5】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造に使用される添板であって、前記接合用補助部材をスタッドピンを用いて保持したことを特徴とする母材間連結構造用の添板。
【請求項6】
母材間に跨って添設される添板と前記母材との間に両面に係止部を設けた板状の接合用補助部材を介在させ、それらの添板、接合用補助部材及び母材に貫通させたボルトとナットによって締付け固定するように構成した母材間連結構造に使用される添板であって、その添板に設けた掛止部材によって前記接合用補助部材の外周部を掛止することにより接合用補助部材を保持したことを特徴とする母材間連結構造用の添板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−177591(P2007−177591A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380516(P2005−380516)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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