説明

毛髪セット力増強剤及び毛髪セット力増強方法並びに毛髪セット用組成物

【課題】 本発明は、毛髪のセット力に優れ、かつ、長時間ヘアスタイルを維持させることができるだけでなく、リセット力にも優れ、滑らかで、櫛どおりがよく、毛髪への艶付与性に優れ、塗布後から乾燥までの過程でべたつくことのない毛髪セット力増強剤、及び、これを使用する毛髪セット力増強方法、並びに、該毛髪セット増強剤を配合した毛髪セット用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質を有効成分とする毛髪セット力増強剤、及び、これらを配合することによる毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法、並びに、該毛髪セット増強剤配合した毛髪セット用組成物を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な毛髪セット力増強剤、及び、これを使用した毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法、並びに、該毛髪セット力増強剤を配合した毛髪セット用組成物、より詳細には、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質を有効成分とする毛髪セット力増強剤、及び、これらを使用する毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法、並びに、α,α−トレハロースの糖質誘導体を配合した毛髪セット力の増強された毛髪セット用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法として、皮膜形成性の高分子化合物を水、低級アルコールあるいはそれらの混合溶媒などに溶解したものが汎用されていた。皮膜形成性の高分子化合物は、毛髪同士を固着してセットを保持させる作用を有するものであるが、従来用いられてきたものは、毛髪に塗布し、乾燥仕上げをするまでの過程でべたつきを生じ、ヘアスタイルをつぶしてしまう難点があった。このような欠点を解消するために、皮膜形成性高分子化合物に化粧品用油脂類、界面活性剤、アルコールなどを添加して使用性を改善する試みがなされてきたものの、満足し得る程度のセット保持力と使用感を併せ持つものは得られていなかった。
【0003】
近年、毛髪セット用組成物の毛髪セット力と使用感を改善するために、これに配合する高分子化合物、高分子化合物以外の成分や毛髪セット用組成物のpH条件を特定する方法などが提案されており(例えば、特許文献1参照)、高分子化合物以外の成分として、糖アルコールを配合する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらの方法による毛髪セット用組成物も、塗布後から乾燥までの過程でのべたつきの解消や、滑らかさなどの使用感の点において不十分であり、また、経時的にヘアスタイルがくずれてしまうなどの不具合があり、十分に満足できるものではなかった。
【0004】
一方、本発明者らは、特許文献3乃至8などにおいて、α,α−トレハロースの糖質誘導体やそれを含む糖質を配合した化粧品を開示し、特許文献7及び非特許文献1では、α,α−トレハロースの糖質誘導体を配合した頭髪化粧料を開示した。しかしながら、これらの文献には、α,α−トレハロースの糖質誘導体やそれを含む糖質が、優れた毛髪セット力増強作用を有することは、何ら開示も示唆もされていない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−255756号公報
【特許文献2】特開平5−112437号公報
【特許文献3】特開平7−143876号公報
【特許文献4】特開平8−73504号公報
【特許文献5】特許第3182679号公報
【特許文献6】特開2000−228980号公報
【特許文献7】国際公開WO 2004/071472号明細書
【特許文献8】国際公開WO 2004/056216号明細書
【非特許文献1】『フレグランス ジャーナル』、第31巻、第11号、第106〜113頁(2003年発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、毛髪セット力に優れ、且つ、長時間ヘアスタイルを維持させることができるだけでなく、リセット力に優れ、しかも、毛髪を滑らかにして、櫛どおりをよくし、枝毛の発生を抑え、毛髪に艶を賦与し、塗布後から乾燥までの過程でべたつくことのない毛髪セット力増強剤と、これを配合する毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法、及び、該毛髪セット力増強剤を配合した毛髪セット用組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、毛髪セット用組成物に、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはこれを含有する糖質を配合することにより、良好な使用感を維持しつつ、優れた毛髪セット力を有する毛髪セット用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはこれを含有する糖質を配合することにより、優れた毛髪セット力を有すると共に長時間ヘアスタイルを維持することのできる毛髪セット力増強剤及びこれを使用する毛髪セット力増強方法、並びに該毛髪セット力増強剤を配合した毛髪セット用組成物を提供するものである。しかも、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはこれを含有する糖質を配合した毛髪セット用組成物は、リセット性にも優れ、ヘアスタイルが崩れた場合でも、そのままで、或いは、少量の水分を補いながら、櫛やブラシなどを使用して、もとのヘアスタイルに容易に復元することができる。また、この毛髪セット用組成物は、湿時および乾燥時において滑らかでべたつきのない使用感を有すると共に、毛髪に豊かな光沢と櫛のとおりの良さを賦与し、枝毛の発生を抑制することができるだけでなく、毛髪セット用組成物使用時の刺激やかゆみを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明でいう毛髪セットとは、毛髪を固定、セットすることをいい、セットしたヘアスタイルを長時間維持することも含む。また、本発明でいう毛髪セット用組成物とは、毛髪を固定、セットし、長時間ヘアスタイルを維持するために使用されるものであって、毛髪の光沢、感触、質感、扱い易さを改善する目的で使用される毛髪仕上げ用化粧品をいい、洗髪用化粧品、育毛剤、パーマネントウェーブ用剤、染毛剤、ヘアブリーチなどのヘアケア化粧品を含む。具体的には、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、セットローション、カーラーローション、ヘアリキッド、ヘアトニック、ポマード、チック、ヘアワックス、ヘアスティック、ヘアソリッド、ヘアオイル、ウォーターグリスなどのヘアスタイリング剤、ヘアクリーム、ヘアブロー、トリートメントローション、枝毛コート、ヘアオイルなどのヘアトリートメント類、パーマネントウェーブ用剤、ストレートパーマ剤、カラースティック、カラースプレー、カラーリンス、カラートリートメント、液状やジェルタイプなどの一時染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤などの染毛剤、シャンプー、リンス、リンス一体型シャンプー、ヘアトリートメントなどを挙げることができる。
【0010】
本発明の毛髪セット用組成物の剤型は任意であり、乳化系、粉末分散系、油−水−粉末の3層系など何れでもかまわない。具体的には、固状、液状、ミスト、エアゾル、ジェル、ムース、乳液、クリーム、ローションなどの形態を例示することができる。
【0011】
本発明で使用するα,α−トレハロースの糖質誘導体は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力を増強できるものであればよく、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはこれを含有するシラップ、マスキット、非晶質粉末、含蜜結晶粉末、結晶などが有利に利用できる。α,α−トレハロースの糖質誘導体は、具体的には、分子内にα,α−トレハロース構造を有する3個以上のグルコースからなる非還元性オリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上の糖質であれば、いずれでもよく、より具体的には、α,α−トレハロース分子の少なくとも一方のグルコースに、モノ−グルコース、ジ−グルコース、トリ−グルコース及びテトラ−グルコースから選ばれるいずれかが結合したものをいう。例えば、先に、本出願人が特許文献3などにおいて開示した、α−グルコシルα,α−トレハロース(別名α−マルトシルα−グルコシド)、α−イソマルトシルα−グルコシドなどのモノ−グルコシルα,α−トレハロースや、α−マルトシルα,α−トレハロース(別名α−マルトトリオシルα−グルコシド)、α−マルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−イソマルトシドなどのジ−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース(別名α−マルトテトラオシルα−グルコシド)、α−マルトシルα−マルトトリオシド、α−パノシルα−マルトシドなどのトリ−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトテトラオシルα,α−トレハロース(別名α−マルトペンタオシルα−グルコシド)、α−マルトトリオシルα−マルトトリオシド、α−パノシルα−マルトトリオシドなどのテトラ−グルコシルα,α−トレハロースなど、グルコース重合度が3乃至6からなるα,α−トレハロースの糖質誘導体が好ましい。
【0012】
これらのα,α−トレハロースの糖質誘導体は、その由来や製法は問わず、発酵法、酵素法、有機合成法などにより製造されたものでもよい。例えば、本出願人が、特許文献3で開示した酵素法により澱粉や澱粉の部分加水分解物から直接製造してもよく、或いは、特許文献3で開示したマルトテトラオース生成アミラーゼや、特公平7−14962号公報で開示したマルトペンタオースを高率に生成するα−アミラーゼ或いは特開平7−236478号公報で開示したマルトヘキサオース・マルトヘプタオース生成アミラーゼなどを使用して、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどの特定のオリゴ糖の含量を高めた澱粉部分加水分解物とし、これに特許文献3で開示した非還元性糖質生成酵素を作用させて製造することも随意である。また、澱粉、或いは、澱粉の部分加水分解物とα,α−トレハロースとを含有する溶液にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなどのグリコシル基の転移能を有する酵素を作用させて調製することも随意である。これらの方法により得られる反応液は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質を含む溶液として、そのまま、又は、部分精製して、或いは、高純度に精製して使用することも、さらには、これらの糖質の製造工程において共存する還元性の糖質を水素添加して、糖アルコールにしたものを使用することも可能である。これらの製造方法は、豊富で安価な澱粉質を原料とし、高効率かつ安価にα,α−トレハロースの糖質誘導体を製造できることから、工業的に有利に利用できる。また、上記方法により製造された市販のシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」や、これを水素添加して共存する還元性糖質をその糖アルコールに変換した糖質(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」)を使用することも有利に実施できる。
【0013】
上記のα,α−トレハロースの糖質誘導体のうち、とりわけ、α−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース及びα−マルトテトラオシルα,α−トレハロースなど、分子の末端にトレハロース構造を持つ糖質が、毛髪セット力増強作用が強く、本発明に有利に利用できる。この糖質の一例としては、特許文献3に開示されたα−マルトシルα,α−トレハロースを主成分として含有し、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース、α−グリコシルα−グルコースから選ばれる1種又は2種以上を含有する糖質が望ましく、とりわけ、α−マルトシルα,α−トレハロースを、無水物換算で、約10質量%(以下、本明細書では特に断らない限り、「質量%」を単に「%」と表記する。)以上、望ましくは約20%以上、さらに望ましくは約40%以上含有する糖質が望ましい。また、毛髪セット力増強作用の強さと使用感のよさの点からは、α,α−トレハロースの糖質誘導体のいずれか2種以上を含有するものの方が、そのいずれか1種を含有するものよりも望ましく、共存する還元性糖質を糖アルコールに変換したものが特に望ましい。
【0014】
また、本発明の毛髪セット用組成物が、アミノ酸などのように分子内にアミノ基を有する物質を含む場合には、グルコースをはじめとする還元性糖類が混在するとメーラード反応などにより該組成物中の有効成分及び/又は該組成物自体の品質低下が特に問題となることが予想されるので、該毛髪セット用組成物に使用するα,α−トレハロース誘導体含有糖質は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を、98%以上、望ましく99%以上、さらに望ましくは99.5%以上含有するものや、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存する還元性の糖質に水素添加して、その還元性を低減したものが好適である。また、α,α−トレハロースの糖質誘導体は安定な糖質なので、本発明の毛髪セット力増強剤の品質を低下させない限り、必要に応じて分散性を高めたり、増量などの目的に応じて、還元性糖質類、α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の非還元性糖質類、糖蜜、糖アルコール類、水溶性多糖類、無機塩類、乳化剤、動植物のエキス、酸化防止剤及びキレート作用を有する物質から選ばれる1種又は2種以上と併用することも随意である。さらに必要であれば、公知の着色料、着香料、保存料、安定剤などを適量併用することも随意である。
【0015】
本発明の毛髪セット力増強剤及び/又は毛髪セット用組成物と併用される非還元性糖類としては、保湿効果、脂質の変敗抑制効果や不快臭の抑制効果の強いトレハロース(α,α−トレハロース、α,β−トレハロース或いはβ,β−トレハロースの1種又は2種以上の組み合わせ)、国際公開WO 02/10361明細書などに記載のサイクロ{→6}−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→)の構造を有する環状四糖、或いは、特開2005−95148号公報(特願2004−174880号)などに記載のサイクロ{→6}−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→)の構造を有する環状四糖などを挙げることができる。
【0016】
本発明でいう、α,α−トレハロースの糖質誘導体、又は、これを含有する糖質を含有させる、或いは、それらを有効成分とする毛髪セット力増強剤を毛髪セット用組成物に配合するとは、当該成分とそれ以外の成分が直接接触できるように、その利用目的に応じて、原料の段階から製品の段階に至るまでの適宜の工程、或いは、既存の製品に対して、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、晶出、固化、逆ミセル化などの1種又は2種以上の公知の方法を適宜組み合わせて接触させることを意味し、これらの方法を、常圧条件下ではもとより、高圧条件下、減圧条件下、さらには、超臨界流体を利用して超臨界条件下で実施することも随意である。また、本発明で使用するα,α−トレハロースの糖質誘導体、又は、これを含有する糖質の形態に特に制限はなく、例えば、シラップ、マスキット、ペースト、固状物、粉末、結晶、顆粒、錠剤などのいずれでもよく、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤などの各種形状に成形して使用することも随意である。
【0017】
α,α−トレハロースの糖質誘導体、又は、これを含有する糖質を含有させる量は、毛髪セット力増強効果を発揮できる量であればよく、特に制限はないが、通常、毛髪セット用組成物の水を含む原料の総質量に対して、α,α−トレハロースの糖質誘導体、又は、これを含有する糖質を、約0.1%以上約99.9%未満、より好ましくは、約1.0%以上約80%未満、特に望ましくは、約1.0%以上40%未満をできるだけ均一に含有せしめるのが好適である。通常0.1%未満では、毛髪セット力増強効果を発揮するには不充分である。
【0018】
本発明の毛髪セット力増強剤は、一般的な毛髪セット用組成物に使用されている水溶性高分子などの毛髪セット作用を有する成分の一部又はその全部を置き換えて使用することができる。この場合、該水溶性高分子などを配合した毛髪セット用組成物の毛髪セット力を増強すると共に、該水溶性高分子などに起因する使用時の不快感を改善することができる。また、本発明の毛髪セット力増強剤を配合した毛髪セット用組成物は、アクリル酸ポリマーなどの水溶性を配合した毛髪セット用組成物に比べ、使用後は、毛髪がべとつくこともなく、特に、柔らかい毛髪の場合には毛髪にコシを与えて、まとまり易くすることができる。また、本発明の毛髪セット用組成物の形態が、カラースティック、カラースプレー、カラーリンス、カラートリートメント、液状、ジェルタイプやクリーム状などの一時染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤などのような染毛剤の場合には、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの染毛剤の毛髪セット力を増強するだけでなく、白髪はもとより、毛髪全般に対して、染料の染着性を向上し、染着後の色調も明るくするので、染色された毛髪は、染毛剤に由来する黒色、茶・緑系の色、茶・赤紫系の色、青・青紫系の色、茶系の色、栗色、紫・青紫系の色、赤色系の色、緑色系の色、グレー、金色、銀色などのいずれの色も、その色合いが鮮やかになると共に、それらの染料による染色が保持される期間も延長される。しかも、α,α−トレハロースの糖質誘導体は優れた抗炎症作用、皮膚の保護作用を有しているので、本発明の毛髪セット力増強剤は、これを配合した毛髪セット剤組成物に起因する頭皮や肌のかゆみやかぶれなどの発生や、刺激を抑制することができる。
【0019】
本発明の毛髪セット用組成物には、α,α−トレハロースの糖質誘導体の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、さらに、毛髪セット力を賦与する成分をはじめとする一般に毛髪セット用組成物に使用され得る成分の1種又は2種以上を適宜配合してもよい。このような任意添加成分としては、例えば、水溶性高分子化合物、水溶性多価アルコール、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、各種エステル油、アボガド油、パーム油、シリコーン油、高分子シリコーン油、ポリアルキレングリコールポリエーテルおよびそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素などの油分、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩などの保湿剤、紫外線吸収剤、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドンなどの樹脂類、大豆タンパク、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチンなどのタンパクまたはタンパク加水分解物、エチルパラベン、ブチルパラベンなどの防腐剤、各種アミノ酸、ビオチン、パントテン酸誘導体などの賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンEなどの抗脂漏剤、水、エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタンなどの希釈剤のほか、例えば、上記以外の、化粧品や医薬部外品の原料として使用される物質、医薬品、抗菌剤、抗酸化剤、香料、色材、防腐剤、キレート剤、清涼剤、ビタミン類、植物抽出物、エアゾル噴射剤、pH調整剤、界面活性剤、さらには、上記以外の特許文献7などに記載され皮膚外用剤の原料として使用しうる物質などが挙げられる。特に、α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の毛髪セット力を有する成分の1種又は2種以上を、併用すると、これらを配合した毛髪セット用組成物の毛髪セット力を増強することができる。
【0020】
本発明で、適宜使用される水溶性高分子化合物としては、特に限定されないが、天然高分子化合物、半合成高分子化合物や合成高分子化合物などを例示することができる。具体的には、天然高分子化合物としては、アラビアガム、トラガントガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、プルラン、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼイン、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類やこれらの塩類などを例示することができる。半合成高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースなどを例示することができる。合成高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルセルロース、ポリアミド樹脂、シリコーンなどを例示することができる。これらの水溶性高分子化合物は、単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。水溶性高分子化合物を配合する場合、その配合量は、特に限定はないが、毛髪セット用組成物の総質量の0.001%〜10.0%、好ましくは、0.01%〜7.0%とすると良い。
【0021】
また、本発明で、適宜使用される水溶性多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、トレハロース、環状四糖やサイクロデキストリンなどの環状糖類、マンニトール、ソルビトール及びこれらの誘導体などを例示でき、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、グリセリン誘導体を使用することが好ましい。これらの水溶性多価アルコールは、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。その配合量は、毛髪セット用組成物の総質量の0.01%〜20.0%、より好ましくは、1.0%〜10.0%とされる。
【0022】
なお、本発明の毛髪セット用組成物は、水、アルコールをはじめとする溶媒中に配合して溶液としたものをエアゾール用原液として、エアゾール噴射剤と共に用いてエアゾールタイプの毛髪セット用組成物として使用することもできる。
【0023】
エアゾール用噴射剤としては、エアゾール化粧料に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばジクロロジフルオロメタン、ジフルオロモノクロロエタン、モノクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジメチルエーテル(DME)、プロパン、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、液化石油ガス(LPG;プロパン、イソブタン、n−ブタンを主成分とする)、窒素ガス、炭酸ガス、またはこれらの混合物などが挙げられる。エアゾール用噴射剤は、これらの1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明のエアゾール型毛髪セット用組成物は、α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体とその他の添加成分を溶媒中に溶解せしめ、所望により界面活性剤などの他添加成分と共に配合して乳化(分散)させ、ここに噴射剤を加えることにより得られる。この組成物と噴射剤は、通常、公知のエアゾール用耐圧容器内に常法により充填される。
【0025】
以下、実験に基づいてα,α−トレハロースの糖質誘導体、又は、これを含有する糖質による、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法についてより詳細に説明する。
【0026】
<実験1>
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、毛髪セットにどのような影響を及ぼすかを調べる実験を以下のように行った。即ち、1,3−ブチレングリコール4質量部、後述の実施例6の方法により得たα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ4質量部、水酸化ナトリウム適量、精製水52.5質量部を攪拌しながら75℃に加熱して溶解した水相部と、キャンデリラロウ5質量部、パラフィンワックス15質量部、ポリオキシエチレン(10)オレイルアルコールエーテル3質量部、ステアリルアルコール0.5質量部、流動パラフィン8質量部、スクワラン8質量部、香料適量を75℃に加熱して攪拌溶解した油相部とを等量混合した。これを、常法によりホモジナイザーで乳化した後、冷却して試験用のヘアワックスを調製した。対照として、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ4質量部をソルビトールシラップ(固形分35%)4質量部で置き換えた以外は、同一組成・配合のヘアワックスを調製した。この試験用のヘアワックス或いは対照のヘアワックスを用いて、20人のパネラーによる使用感を確認する試験を実施した。評価は、試験用のヘアワックスの毛髪セット力が、対照のヘアワックスに比べて、強い、同程度、弱いの3段階で行い、その結果を表1に示す。また、試験用のヘアワックスのべたつき感の程度の評価は、対照のヘアワックスに比べて、弱い、同程度、強いの3段階で行い、その結果を表2に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
表1から明らかなように、20名中16名のパネラーが、α,α−トレハロースの糖質誘導体を配合した試験用のヘアワックスは、ソルビトールを配合した対照のヘアワックスに比べて、毛髪セット力が強いと評価した。また、表2から明らかなように、20名中18名のパネラーが、試験用のヘアワックスは、対照のヘアワックスに比べて、べたつき感が弱いと評価した。これらの実験結果は、α,α−トレハロースの糖質誘導体は、毛髪セット用組成物に配合することにより、当該毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強効果を発揮するだけでなく、当該組成物を毛髪に使用した際のべたつき感を低減できることを物語っている。なお、試験に参加したパネラーに両方のヘアワックスを使用した際の、毛髪のまとまりのよさと、櫛のとおりのよさとセット後の毛髪の艶について確認したところ、全員が、対照のヘアワックスよりも、試験用のヘアワックスの方が、毛髪のまとまり、櫛のとおり、艶の何れの点でもよかったと回答した。また、本試験において、何れのパネラーにも、頭皮のかゆみやその他の異常は認められなかった。
【0030】
以下に、本発明について実施例を挙げて更に詳しく説明する。すなわち、実施例1乃至8では、毛髪セット力増強剤について、実施例9乃至20では、毛髪セット力増強剤を配合した毛髪セット用組成物の例を、具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
<毛髪セット力増強剤>
濃度20%のとうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1%となるように炭酸カルシウムを加えた後、pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社販売、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり0.2%になるよう加え、95℃で15分間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブした後、50℃に冷却し、pHを5.8に調整後、澱粉グラム当たり特開昭63−240784号公報に開示されたマルトテトラオース生成アミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を5単位と、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を500単位となるように加え、48時間反応させ、これにα−アミラーゼ(上田化学株式会社販売、商品名「α−アミラーゼ2A」)を澱粉グラム当たり30単位加え、更に、65℃で4時間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、次いで45℃に冷却し、特許文献3に開示されたアルスロバクター・スピーシーズQ36(FERM BP−4316)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、48時間反応させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製した糖化液を、更に濃縮して固形分濃度70%のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを、無水物換算で、収率約90%で得た。本品は、DE13.7で、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体として、α−マルトシルα,α−トレハロース52.5%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース4.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース1.1%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース0.4%を含有していた。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例2】
【0032】
<毛髪セット力増強剤>
実施例1の方法で調製したシラップを常法により噴霧乾燥してα,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を調製した。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例3】
【0033】
<毛髪セット力増強剤>
実施例1の方法で調製した、H型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製した糖化液を、さらに、精製するために、塩型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル社販売、商品名「ダウエックス50W−X4」、Mg++型)を用いたカラム分画を行った。樹脂を内径5.4cmのジャケット付ステンレス製カラム4本に充填し、直列につなぎ樹脂層を全長20mとした。カラム内温度を55℃に維持しつつ、糖液を樹脂に対して5%(v/v)加え、これに55℃の温水をSV0.13で流して分画し、グルコース及びマルトース高含有画分を除去し、α,α−トレハロースの糖質誘導体高含有画分を集め、更に精製、濃縮後、噴霧乾燥してα,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を調製した。本品は、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体としてα−マルトシルα,α−トレハロース70.2%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース6.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース2.1%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース4.1%を含有していた。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例4】
【0034】
<毛髪セット力増強剤>
馬鈴薯澱粉1質量部に水6質量部を加え、更に、澱粉当たり0.01%の割合になるようにα−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名「ネオスピターゼ」)を加えて撹拌混合し、pH6.0に調整後、この懸濁液を85乃至90℃に保ち、糊化と液化を同時に起こさせ、直ちに120℃に5分間加熱して、DE1.0未満にとどめ、これを55℃に急冷し、pH7.0に調整し、これに株式会社林原生物化学研究所製造、商品名「プルラナーゼ」(EC 3.2.1.41)及び特開昭63−240784号公報に開示されたマルトテトラオース生成アミラーゼを、それぞれ澱粉グラム当たり150単位及び8単位の割合で加え、pH7.0、50℃で36時間反応させた。この反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、次いで、53℃まで冷却し、特許文献6に開示されたアルスロバクター・スピーシーズS34(FERM BP−6450)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、64時間反応させた。この反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型、OH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮して、噴霧乾燥してα,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を、無水物換算で、収率約90%で得た。本品は、DE 11.4で、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロース62.5%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース2.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース0.8%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース0.5%を含有していた。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例5】
【0035】
<毛髪セット力増強剤>
試薬級のマルトテトラオース(株式会社林原生物化学研究所販売、純度97.0%以上)の20%溶液をpH7.0に調整後、特許文献3に開示された非還元性糖質生成酵素を、無水物換算で、糖質グラム当たり2単位となるように加えて、46℃で、48時間、糖化して、固形物あたり79.8%のα−マルトシルα,α−トレハロースを含有する溶液を得た。この溶液を、pH6.0に調整後、無水物換算で、糖質グラム当たり10単位となるようにβ−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社販売)を加えて、50℃で48時間反応させて、マルトテトラオースを分解した。この反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、冷却した後、ろ過して得られる溶液を、アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂(東京有機化学工業株式会社販売、「XT−1016」、Na型、架橋度4%)を用いて分画し、α−マルトシルα,α−トレハロース高含有画分を集め、精製、濃縮後、噴霧乾燥してα,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を調製した。本品は、α−マルトシルα,α−トレハロースを98.1%含有しており、ソモジ−ネルソン法による測定での還元力測定では、還元力は検出限界以下であった。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例6】
【0036】
<毛髪セット力増強剤>
実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有するシラップに水を加えて、固形分濃度約60%に調製して、オートクレーブに入れ、触媒としてラネーニッケルを約8.5%添加し、攪拌しながら温度を128℃に上げ、水素圧を80kg/cmに上げて水素添加して、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、それらの糖アルコールに変換した後、ラネーニッケルを除去し、次いで、脱色、脱塩して精製し、精製水を加えて、固形分濃度35%のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを調製した。本品は、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体として、α−マルトシルα,α−トレハロース52.8%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース0.8%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース1.3%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース7.7%を含有していた。また、本品は無水物換算で、ソルビトール1.9%、マルチトール8.0%、マルトトリイトール10.7%、マルトテトライトール16.6%、その他の糖アルコール0.2%を含有していた。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例7】
【0037】
<毛髪セット力増強剤>
実施例3の方法で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を水に溶解して、濃度約60%水溶液にし、オートクレーブに入れ、触媒としてラネーニッケルを約9%添加し、攪拌しながら温度を130℃に上げ、水素圧を75kg/cmに上げて水素添加して、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、それらの糖アルコールに変換した後、ラネーニッケルを除去し、次いで、脱色、脱塩して精製し、濃縮してα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを調製した。更にこのシラップを、常法により噴霧乾燥して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有非晶質粉末を調製した。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例8】
【0038】
<毛髪セット力増強剤>
濃度6%の馬鈴薯澱粉乳を加熱糊化後、pH4.5、温度50℃に調整し、これにイソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉グラム当たり2500単位加えて20時間反応させた。その反応液をpH6.0に調整後、120℃で10分間オートクレーブした後、45℃に冷却し、これにα−アミラーゼ(ノボ社販売、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり150単位になるよう加え、24時間反応させた。その反応液を、120℃で20分間オートクレーブし、45℃に冷却後、特許文献3に開示されたアルスロバクター・スピーシーズQ36(FERM BP−4316)由来の非還元性糖質生成酵素を、澱粉グラム当たり2単位の割合で加え、64時間反応させた。この反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型、OH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に、濃縮して、固形分濃度65%のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを、無水物換算で、収率約89%で得た。本品は、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロース3.2%、α−マルトシルα,α−トレハロース6.5%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース28.5%及びグルコース重合度6以上のα−グリコシルα,α−トレハロース11.9%含有していた。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【0039】
本品を、実施例7の方法に準じて、水素添加し、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、その糖アルコールに変換した後、常法により精製して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを調製した。本品は、毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強剤として使用することができる。
【実施例9】
【0040】
<ヘアフォーム>
アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 8質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量部
流動パラフィン 5質量部
グリセリン 2質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 3質量部
ヒアルロン酸ナトリウム 0.5質量部
エチルアルコール 13質量部
香料、防腐剤 適量
精製水を加えて100質量部とする。
これらの成分を、常法により、攪拌溶解した溶液90質量部を充填缶に入れ、バルブを装着後、液化石油ガス10質量部を充填した。本品は、優れた毛髪セット力を有し、しかも、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れているだけでなく、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例10】
【0041】
<ヘアフォーム>
カチオン化セルロース 3質量部
ポリオキシエチレン硬化ひまし油 0.2質量部
シリコーン油 5質量部
ジプロピレングリコール 5質量部
実施例7の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 2質量部
エチルアルコール 15質量部
香 料、防腐剤 適量
精製水を加えて100質量部とする。
これらの成分を、常法により、混合攪拌した溶液液90質量部を充填缶に入れ、バルブを装着後、液化石油ガス10質量部を充填した。本品は、優れた毛髪セット力を有し、しかも、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れているだけでなく、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例11】
【0042】
<ヘアスプレー>
アクリル樹脂アルカノール液(50%) 7質量部
セチルアルコール 0.1質量部
シリコーン油 0.3質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「トルナーレ」) 0.5質量部
エチルアルコール 90質量部
香料、防腐剤 適量
精製水を加えて100質量部とし、この溶液をろ過した。
この溶液を、常法により、充填缶に入れ、バルブを装着後、等量のジメチルエーテルを充填した。本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例12】
【0043】
<ヘアジェル>
カルボキシビニールポリマー 0.7質量部
ポリビニルピロリドン 2質量部
グリセリン 0.1質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 2質量部
水酸化ナトリウム 適量
エチルアルコール 20質量部
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 0.2質量部
香料、キレート剤 適量
精製水を加えて100質量部とし、この溶液をろ過した。
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例13】
【0044】
<ヘアリキッド>
ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 20質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1質量部
エチルアルコール 50質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 6質量部
香料 適量
染料 適量
防腐剤 適量
精製水を加えて100質量部とする。
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例14】
【0045】
<ヘアクリーム>
<油相>
流動パラフィン 15質量部
ワセリン 15質量部
サラシミツロウ 2質量部
防腐剤 適量
香料 適量
<水相>
精製水 58質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 2.5質量部
カルボキシビニルポリマー 0.1質量部
キサンタンガム 0.1質量部
グリセリン 4質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3質量部
キレート剤 適量
色素 適量
上記油相成分を混合して、加熱溶解し80℃に調整し、これに水相成分を加熱溶解して80℃に調整したものを攪拌しながら加え、ホモジナイザーを用いて乳化した。冷却して30℃に調整後、水酸化ナトリウム0.05質量部を加えて均一になるまで攪拌した。本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例15】
【0046】
<ヘアトリートメントローション>
1,3−ブチレングリコール 2質量部
グリセリン 1質量部
塩化ステアリルメチルアンモニウム 0.5質量部
メチルフェニルポリシロキサン 1質量部
コラーゲン加水分解物 1質量部
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.5質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 2質量部
香料 適量
紫外線吸収剤 適量
防腐剤 適量
精製水 43質量部
エチルエーテル 50質量部
上記成分を常法により攪拌溶解してトリートメントローションを調製した。本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例16】
【0047】
<セットローション>
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「トルナーレ」) 25質量部
エタノール 10質量部
シリコーン誘導体 0.5質量部
グリセリン 2質量部
パラベン 0.1質量部
精製水を加えて100質量部とする。
上記成分を常法により攪拌溶解してセットローションを調製した。本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例17】
【0048】
<染毛剤>
酸性染料 1質量部
ベンジルアルコール 6質量部
イソプロピルアルコール 18質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「トルナーレ」) 8質量部
クエン酸 0.3質量部
キサンタンガム 0.5質量部
プルラン 0.5質量部
コンドロイチン硫酸 0.2質量部
精製水を加えて100質量部とする。
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪への染着性に優れ、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感がよく、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例18】
【0049】
<染毛剤>
<第1剤>
セトステアリルアルコール 10質量部
ラノリン 1質量部
パラフェニレンジアミン 1質量部
レゾルシン 1質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 10質量部
アンモニア水(28%) 4質量部
酸化防止剤 適量
キレート剤 適量
精製水を加えて100質量部とする。
<第2剤>
過酸化水素水(35%) 17質量部
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 1質量部
実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 10質量部
セトステアリルアルコール 3質量部
キレート剤 適量
pH調節剤 適量
精製水を加えて100質量部とする。
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪への染着性に優れ、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感がよく、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。また、本品は、パラフェニレンジアミンとレゾルシンとの配合比を変えたり、レゾルシンに代えてメタアミノフェノール、パラジアミン、メタジアミンやこれらの誘導体などをカップラーとして使用することにより、茶・緑系、茶・赤紫系、青・青紫、茶系、紫・青紫系の染毛剤とすることも随意ある。
【実施例19】
【0050】
<パーマネント剤>
<第1剤>
システイン 5質量部
チオグリコール酸アンモニウム 0.3質量部
モノエタノールアミン 2質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「トルナーレ」) 1質量部
イオン交換水 92.7質量部
エデト酸塩 適量
香料 適量
<第2剤>
シュウ酸ナトリウム 5質量部
シリコーンエマルジョン 1質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「トルナーレ」) 1質量部
イオン交換水 93質量部
pH調節剤 適量
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【実施例20】
【0051】
<育毛剤>
エチルアルコール 60質量部
ヒノキチオール 0.1質量部
ビタミンB 0.2質量部
ビタミンE誘導体 0.1質量部
プロピレングリコール 1.5質量部
実施例1の方法で調製したα,α−トレハロースの
糖質誘導体含有シラップ 0.5質量部
感光素301号 0.01質量部
香料 適量
精製水を加えて100質量部とする。
本品は、優れた毛髪セット力を有しているだけでなく、毛髪へ使用した場合、毛髪はさらさらとして、べたつくこともなく、使用感・仕上げ感に優れ、しかも、毛髪の艶・まとまり・櫛のとおりをよくし、枝毛の発生も抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
α,α−トレハロースの糖質誘導体或いはα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質は、安全で、かつ、安定であることに加えて、毛髪セット力増強作用に優れているので、当該糖質を使用することにより、毛髪のまとまりをよくし、長時間ヘアスタイルを維持させることができる毛髪セット用組成物を提供することができる。また、当該毛髪セット用組成物は、毛髪を滑らかにし、櫛のとおりをよくして枝毛の発生を抑制するだけでなく、毛髪への艶付与性に優れ、塗布後から乾燥までの過程でもべたつくこともないので、さらさら感・使用感・仕上げ感に優れている。本発明は、このように顕著な効果を有する発明であり、産業上の貢献はまことに大きく、意義のある発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,α−トレハロースの糖質誘導体を有効成分とする毛髪セット力増強剤。
【請求項2】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、α−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース、α−マルトテトラオシルα,α−トレハロースから選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の毛髪セット力増強剤。
【請求項3】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の糖質を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の毛髪セット力増強剤。
【請求項4】
α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の糖質が還元性糖質及び非還元性糖質から選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の毛髪セット力増強剤。
【請求項5】
非還元性糖質が、α,α−トレハロース、環状四糖及び糖アルコールから選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4記載の毛髪セット力増強剤。
【請求項6】
α−マルトシルα,α−トレハロースを無水物換算で40質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の毛髪セット力増強剤。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の毛髪セット力増強剤を配合することを特徴とする毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法。
【請求項8】
α,α−トレハロースの糖質誘導体に加えて、α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の毛髪セット力を賦与する作用を有する成分の1種又は2種以上を配合することを特徴とする請求項7記載の毛髪セット用剤組成物の毛髪セット力増強方法。
【請求項9】
α,α−トレハロースの糖質誘導体を、毛髪セット用組成物の原料の総質量に対して、0.1質量%以上配合することを特徴とする請求項7又は8記載の毛髪セット用組成物の毛髪セット力増強方法。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れかに記載の毛髪セット力増強剤を配合してなる毛髪セット用組成物。
【請求項11】
請求項1乃至6の何れかに記載の毛髪セット力増強剤に加えて、α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の毛髪セット力を賦与する作用を有する成分から選ばれる何れか1種又は2種以上を配合することを特徴とする請求項10記載の毛髪セット用組成物。
【請求項12】
α,α−トレハロースの糖質誘導体以外の毛髪セット力を賦与する作用を有する成分が、ムコ多糖類及びその塩類から選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載の毛髪セット用組成物。
【請求項13】
ムコ多糖類が、ヒアルロン酸及び/又はコンドロイチン硫酸であることを特徴とする請求項12記載の毛髪セット用組成物。
【請求項14】
洗髪用化粧品、育毛剤、パーマネントウェーブ用剤、染毛剤、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント類、染毛剤から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の毛髪セット用組成物。
【請求項15】
ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、セットローション、カーラーローション、ヘアリキッド、ヘアトニック、ポマード、チック、ヘアワックス、ヘアスティック、ヘアソリッド、ヘアオイル、ウォーターグリス、ヘアクリーム、ヘアブロー、トリートメントローション、枝毛コート、ヘアオイル、ストレートパーマ剤、カラースティック、カラースプレー、一時染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤、シャンプー、リンス、リンス一体型シャンプー、ヘアトリートメントの何れかであることを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載の毛髪セット用組成物。

【公開番号】特開2006−232820(P2006−232820A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15791(P2006−15791)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】