説明

毛髪化粧料

【課題】 毛髪へのなじみが良く、すすぎ時のなめらかさや指通りに優れ、乾燥後は毛髪になめらかさや柔らかさを付与し、しかもさらさら感がありながらしっとり感も十分付与できる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)アミノ変性及び/又はアンモニウム変性シリコーンと、(B)高重合オルガノポリシロキサンと、(C)キシログルカンと、(D)第4級アンモニウム塩及び/又は第3級アミンと、を含有する毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料、特に塗布時には粘り感があってなじみ感に優れるとともに、すすぎ流した時のなめらかさが非常に良好であり、しかも乾燥後の毛髪はしっとり感とさらさら感とを兼ね備え、毛髪の柔らかさ、なめらかさにも優れる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は一般に艶や指どおりが悪くなるため、従来シャンプー後にヘアコンディショナー等の処理剤が用いられている。
ヘアコンディショナーのような処理剤には、通常カチオン界面活性剤、油分等が主成分として配合されている。カチオン性界面活性剤は、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果が高いため、処理剤をはじめ各種毛髪化粧料に配合されるが、艶やなめらかさに欠けるため、通常各種油分が配合される。
【0003】
特許文献1には、特定のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンを配合した毛髪化粧料が優れた毛髪保護効果を有し、しっとり感や柔らかさ、なめらかさなどを付与できることが記載されている。また、さらに第4級アンモニウム塩を配合することにより、毛髪への吸着性を一層良くし、毛髪になめらかさや光沢を付与し、櫛通りを良くできることが記載されている。
しかしながら、塗布時からすすぎ流し、乾燥後に至るまで全ての段階で使用感やコンディショニング効果において十分満足とは言えず、さらなる改良が望まれていた。
【特許文献1】特開2006−117606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、毛髪へのなじみが良く、すすぎ時のなめらかさや指通りに優れ、乾燥後は毛髪になめらかさや柔らかさを付与し、しかもさらさら感がありながらしっとり感も十分付与できる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明者等鋭意検討を行った結果、特定のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンと第4級アンモニウム塩とを含む毛髪化粧料に、高重合シリコーンエマルジョン及びキシログルカンを配合することにより、塗布時には粘り感があって毛髪によくなじみ、しかもすすぎ時や乾燥後の使用感においては相乗的に優れた効果が発揮されることを見出した。また、第4級アンモニウム塩の代わりに第3級アミンを用いた場合にも優れた効果が得られることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる毛髪化粧料は下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することを特徴とする。
【0006】
(A)下記一般式(I)で表されるアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーン。
【化5】

[式(I)中、R1はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基又は水酸基である。R2はそれぞれ独立して式R4Zで表される基であり、R4は炭素数3〜6のアルキレン基、Zは窒素含有基であり、下記式:
【0007】
【化6】

(R5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基、R6は炭素数1〜30のアルキル基、Aは塩素原子又は臭素原子又はヨウ素原子、bは2〜6の整数である。)で表される基である。aは0〜3の整数であり、m及びnはそれぞれ正の整数で、m+nの平均値は4000〜6000、n/mの平均値は0.002〜0.03である。]
【0008】
(B)下記平均組成式(II)で示される高重合オルガノポリシロキサン。
[RSiO]x (II)
[式(II)中、Rはメチル基あるいはアリール基、Rはメチル基あるいは水酸基である。xは、当該オルガノポリシロキサンが25℃で500万mPa・s以上の粘度を示す範囲のシロキサン重合度を表す正の整数である。]
【0009】
(C)キシログルカン
(D)一般式(III)で表される第4級アンモニウム塩及び一般式(IV)で表される第3級アミンからなる群から選ばれる化合物。
【0010】
【化7】

[式(III)中、R1,R2,R3及びR4は少なくとも1個は総炭素数8〜35の、−O−、−OCO−もしくは−COO−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、あるいは脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、残余は炭素数1〜5のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示す。X-はハロゲンイオン又は有機アニオンを示す。]
【0011】
【化8】

[式(IV)中、R5は総炭素数8〜35の、−O−もしくは−CONH−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R6は炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基を示し、2個のR6は同一でも異なっていても良い。]
【0012】
本発明の毛髪化粧料において、成分(A)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることが好適である。
また、成分(B)が毛髪化粧料中シリコーン純分で0.01〜10.0質量%であることが好適である。
また、成分(C)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることが好適である。
また、成分(D)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることが好適である。
また、本発明の毛髪化粧料において、さらに成分(E)として多価アルコール及び/又は糖アルコールの1種以上を含有することが好適である。
また、本発明の毛髪化粧料がヘアコンディショナー組成物であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪化粧料は、特定のアミノ変性/アンモニウム変性シリコーン及び第4級アンモニウム塩/第3級アミンとともに、高重合オルガノポリシロキサンとキシログルカンとを配合することにより、塗布時に良好な粘り感があってなじみ感に優れ、しかもすすぎ時のなめらかさや指どおり、乾燥後のなめらかさ、しっとり感、さらさら感、柔らかさなどにおいても非常に高い効果を発揮し、塗布した時からすすぎ流して乾燥した後までの全ての段階において優れた感触を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<アミノ変性又はアンモニウム変性シリコーン>
本発明の毛髪化粧料に用いられる成分(A)のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンは、前記一般式(I)で表される。
変性シリコーン(I)における重合度m+nの平均値は4000〜6000の範囲内であることが好ましい。4000未満である(重合度が低い)と、効果が不十分で且つべたつきが生じる。また化合物自体の安定性が悪くなる。6000を超える(重合度が高い)と、仕上がり不均一になり、且つ毛髪へごわつき感を付与してしまう。また毛髪化粧料への配合が難しくなる。
【0015】
n/mの平均値は0.002〜0.03、特に0.005〜0.01であることが好ましい。0.002未満である(アミノ化率が低い)と、毛髪への吸着性が悪く、効果の持続性が悪くなる傾向にある。一方、0.03を超える(アミノ化率が高すぎる)と、毛髪へべたつき感を付与してしまう。
上記アミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる場合にも、m+n、及びn/mの平均値が上記範囲内にあることが必要である。
【0016】
本発明のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンは、一般のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンと同じ製造方法で作ることができる。例えばγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランと環状ジメチルポリシロキサンとヘキサメチルジシロキサンとをアルカリ触媒下に重縮合反応させることによって製造することができる。
本発明におけるアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンの配合量は、毛髪化粧料全量中の0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると製剤安定性が悪くなり、感触にも優れない。
【0017】
本発明のアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンは高粘度であるため、低粘度液状油に溶解して毛髪化粧料中に配合することが好ましい。低粘度液状油としては、鎖状シリコーンや環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等が挙げられる。
鎖状シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(粘度0.65〜200cSt/25℃)等が挙げられる。
環状シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びテトラデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
またイソパラフィン系炭化水素としては、常圧における沸点が60〜260℃の範囲にあるイソパラフィン系炭化水素を挙げることができ、例えば、エクソン社製のアイソパーA(登録商標)、同C、同D、同E、同G、同H、同K、同L、同M、シェル社のシェルゾール71(登録商標)、フィリップ社のソルトール100(登録商標)あるいは同130、同220等を挙げることができる。
【0018】
上記低粘度液状油は、任意の1種又は2種以上を用いることができ、合計の配合量がアミノ変性又はアンモニウム変性に対して1〜50倍(質量)が好ましく、毛髪化粧料全量中の1〜90質量%であることが好ましい。
なお、アミノ変性又はアンモニウム変性シリコーンと、低粘度液状油とを毛髪化粧料中に別々に配合して系中で溶解させてもよい。
【0019】
<高重合オルガノポリシロキサン>
本発明で使用する成分(B)の高重合オルガノポリシロキサンは、平均組成式(II):[RSiO]xで示される高重合の直鎖オルガノポリシロキサンである。
前記平均組成式中、Rはメチル基あるいはアリール基、Rはメチル基あるいは水酸基であるが、好ましくはジオルガノポリシロキサンである。アリール基としては、フェニル基(−C)、トリチル基(−C(C)などが挙げられる。オルガノポリシロキサンの分子末端は水酸基、アルキル基、アリール基の何れであってもよい。
【0020】
xはシロキサン重合度を示す正の数であり、当該オルガノポリシロキサンが25℃で500万mPa・s以上、さらには1000万mPa・s以上の粘度であるような範囲であることが好ましい。
このような高重合シリコーンを化粧料中に安定に配合するために、水性媒体中にエマルジョン粒子として分散した水性シリコーンエマルションとして配合することが好ましい。シリコーンエマルション中における高重合オルガノポリシロキサンの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.2μm〜20.0μmである。
【0021】
水性媒体としては特に限定されるものではないが、通常水を主成分とし、必要に応じて界面活性剤やその他水性成分を含むことができる。
高重合オルガノポリシロキサンを予めエマルション化せずに、低粘度シリコーン油などの溶剤中に溶解して配合したり、さらにこれを毛髪化粧料中で乳化してエマルションとすることも可能ではあるが、化粧料中への配合が困難で本発明の効果が十分に得られないことがある。
【0022】
本発明において、高重合オルガノポリシロキサン(B)の配合量は、シリコーン純分として毛髪化粧料中0.01〜10質量%、さらには0.1〜5%が好適である。配合量が少なすぎると本発明の効果が得られず、多すぎてもかえって感触が低下したり、べたつきを生じたりすることがある。
【0023】
本発明で用いる高重合オルガノポリシロキサンの水性エマルジョンは、公知の方法により製造することができる。例えば、機械的乳化法、乳化重合法などが挙げられる。乳化重合法では、粒径のコントロールが容易で、粒度分布のシャープなものが得られるので好ましい。
乳化重合法については、例えば、重合度の小さなジメチルポリシロキサン、界面活性剤、水からなる粗エマルジョンを、重合触媒及び界面活性剤を含む水溶液に滴下しながら乳化重合する方法が特開昭63−183517号公報に記載されている。また、特開昭62−141029号公報などにも乳化重合方法が記載されている。
【0024】
<キシログルカン>
本発明で使用する成分(C)のキシログルカンとは、種子や細胞壁に存在する非デンプン性植物多糖類の総称であり、主鎖を構成するβ−D−グルコースと、側鎖を構成するキシロース基やガラクトキシロース基とからなる。
本発明においては、主に熱帯地方に産する豆科植物タマリンド(タマリンダス インディカ Tamarindus indica)の種子の主成分であり、β−1,4−グルカンからなる主鎖に、側鎖としてキシロース及びガラクトースが結合した、下記一般式(V)で示される構造を有するキシログルカンが特に好適に使用できる。
【0025】
【化9】

(式(V)中、gluはグルコース単位、xylはキシロース単位、galはガラクトース単位を表し、nは結合数を表す)
【0026】
このキシログルカンは、安全性、分散性、保湿性、さらに耐酸性、耐熱性、耐塩性等の化学的安定性に優れる上、低温でも水に容易に溶解し、水溶液として調製した系の粘度安定性も良好である。キシログルカンは水溶性高分子でありながら、その水溶液はべたつかず、さっぱりとした感触を与える。
【0027】
なお、キシログルカンは物性的に水分が多い系では分子間の絡み合いが減少し、粘度が低下するという挙動を示す。よって、本発明の毛髪洗浄料は使用時には粘り感がありながら、水で容易にすすぎ流すことができるという洗浄性においても優れるという特性を有する。また、本発明の毛髪洗浄料は洗浄性に優れるため、使用後の髪の損傷や皮膚への刺激の懸念もなく、非常に安全性に優れた毛髪化粧料とすることができる。
【0028】
本発明においては、キシログルカンとして市販品(例えば、商品名「グリロイド」、大日本住友製薬株式会社製)を用いてよい。これは、食品用増粘剤としてソースやアイスクリーム等において汎用されている。なお、市販品を本発明の毛髪化粧料に配合する場合においては、可能な限り精製されたものを用いるのが好ましい。
また、毛髪洗浄料に配合するキシログルカンの平均分子量は粘度や安定性から10万〜200万が好ましく、特に平均分子量が65万付近であることが好ましい。
【0029】
キシログルカンは、上記「グリロイド」の商品カタログ等に記載された方法で製造することができる。すなわち、タマリンドの種子から異物を除去し、これを浸漬した後粉砕して、この粉砕物から不純物を除去し、洗浄して乾燥し、最後に微粉砕してキシログルカンを得ることができる。
本発明組成物におけるキシログルカンの配合量は毛髪化粧料全量中の0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%である。少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎても感触が優れない。
【0030】
<第4級アンモニウム塩>
本発明において用いられる成分(D)の第4級アンモニウム塩は、下記一般式(III)で示される。
【化10】

【0031】
一般式(III)において、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1個は総炭素数8〜35(好ましくは8〜26)の、−O−、−OCO−もしくは−COO−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、あるいは脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、残余は炭素数1〜5のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示す。X-はハロゲンイオン又は有機アニオンを示す。
【0032】
一般式(III)において、好ましくはR1,R2,R3及びR4のうち1、2又は3個が長鎖の基であり、残余が炭素数1〜5のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基である。
【0033】
1,R2,R3及びR4のうち1個が長鎖の基である化合物の例として、例えばステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、カプリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ステアリル−N,N,N−トリ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド(合計3モル付加)等が挙げられる。
【0034】
1,R2,R3及びR4のうち2個が長鎖の基である化合物の例として、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムブロマイド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルメチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジイソステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ[(2−ドデカノイルアミノ)エチル]ジメチルアンモニウムクロライド、ジ[(2−ステアロイルアミノ)プロピル]ジメチルアンモニウムエトサルフェート等が挙げられる。
【0035】
1,R2,R3及びR4のうち3個が長鎖の基である化合物の例として、例えばジオレイルモノステアリルメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルモノベヘニルメチルアンモニウムクロライド、トリオレイルメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0036】
また、一般式(III)の第4級アンモニウム塩の例として、下記一般式(III-1)又は(III-2)で表される分岐鎖第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【化11】

(III-1)
[式(III-1)中、R18は(a)CH3−(CH2)i−CH(R24)−CH2−(式中、R24はメチル基又はエチル基を示し、iはアルキル基中の合計炭素数が8〜16となる整数を示す)で表される分岐鎖アルキル基及び(b)CH3−(CH2)j−(jは7〜15の整数を示す)で表される直鎖アルキル基の混合物で、その分岐鎖率(a)/[(a)+(b)]が10〜100モル%である基を示す。R19及びR20はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。X-は前記一般式(III)と同じである。]
【0037】
【化12】

(III-2)
[式(III-2)中、R19及びR20はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R21及びR22はそれぞれ炭素数2〜12のアルキル基を示す。R23はR21−CH2CH2CH(R22)CH2−で表される基又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。X-は前記一般式(III)と同じである。]
【0038】
一般式(III-1)で表される分岐鎖第4級アンモニウム塩は、例えば通常、炭素数8〜16のオキソアルコールを原料として合成されるものであり、その例としては、オキソアルコールから導かれるアルキル基を有するジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明においては、一般式(III-1)のR18の分岐鎖率が、通常10〜100モル%のものが用いられるが、特に10〜50モル%のものが好ましい。また、R18の合計炭素数が8〜16のものが用いられるが、一定の分布を持ったものが好ましく、特に、C8〜C11:5モル%以下、C12:10〜35モル%、C13:15〜40モル%、C14:20〜45モル%、C15:5〜30モル%、C16:5モル%以下の分布を有するものが好ましい。
かかる分岐鎖第4級アンモニウム塩の具体例としては、炭素数8〜16で分岐鎖率10〜50モル%のアルキル基を有する、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0039】
また、一般式(III-2)で表される分岐鎖第4級アンモニウム塩は通常、炭素数8〜28のゲルベアルコール:
【化13】

を原料として合成されるものである。
【0040】
この分岐鎖第4級アンモニウム塩のうち、好ましいものとしては、例えば炭素数8〜28のゲルベアルコールから導かれるアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。更に、これらのうちで特に好ましいものとしては、例えば2−デシルテトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ドデシルヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジ−2−ヘキシルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ−2−オクチルドデシルジメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0041】
また、一般式(III)で表される第4級アンモニウム塩のうち、−O−や−COO−又は−OCO−で分断されたアルキル又はアルケニル基、もしくは脂肪族アシルオキシ(ポリ)エトキシエチル基を2個有する第4級アンモニウム塩の例として、下記一般式(III-3)で示されるものが挙げられる。
【0042】
【化14】

(III-3)
[式(III-3)中、R25及びR26はそれぞれヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示す。R27及びR28はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又は−(CH2CH2O)pH(pは1〜6の数を示す)を示す。k及びmは0〜5の数を示す。X-は前記一般式(III)と同じである。]
【0043】
一般式(III-3)で表される第4級アンモニウム塩としては、例えばWO93/10748、WO92/06899、WO94/16677等に記載されているものが挙げられる。特に、一般式(III-3)中、R25及びR26がオレイル基又は炭素数12〜18のアルキル基で、R27がメチル基、R28が−CH2CH2OH、k及びmが0のものが好ましい。
【0044】
また、一般式(III)で表される第4級アンモニウム塩のうち、−OCO−や−COO−で表される官能基で分断されるアルキル基あるいはアルケニル基を1個有する第4級アンモニウム塩の例として、下記一般式(III-4)又は(III-5)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
【化15】

(III-4)
【0046】
【化16】

(III-5)
[式(III-4)及び(III-5)中、R29は炭素数7〜25のアルキル基又はアルケニル基を示す。R30は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。R31、R32及びR33はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。X-は一般式(III)と同じである。]
【0047】
一般式(III-4)及び(III-5)において、R29は炭素数7〜18、特に炭素数11〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。R30はエチレン基、n−プロピレン基が好ましい。R31、R32及びR33はメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。
一般式(III-4)及び(III-5)の第4級アンモニウム塩としては、特開平2000−128740号公報又は特開平2000−143458号公報に記載のものが挙げられる。
【0048】
一般式(III)において、第4級アンモニウム塩の対イオンであるX-の具体例としては、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン;炭素数1〜5のアルキルサルフェートイオン(CH3SO4-、C25SO4-、C37SO4-等)、アルキルフォスフェートイオン(メトフォスフェート、エトフォスフェート等)、アルキル炭酸イオン(CH3CO3-)、等の有機アニオンが挙げられ、好ましくはCl-、Br-、CH3SO4-、C25SO4-、CH3CO3-である。
【0049】
一般式(III)で表される第4級アンモニウム塩の中で、さらに好ましいものは、R1が炭素数12〜22の直鎖アルキル基もしくはアルケニル基で、R2、R3及びR4が炭素数1〜3のアルキル基であるモノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩、一般式(III-1)で表される炭素数8〜16で分岐鎖率10〜50モル%のアルキル基を有する、ジアルキル4級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、R1が炭素数12〜22の直鎖アルキル基もしくはアルケニル基で、R2、R3及びR4が炭素数1〜3のアルキル基であるモノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩である。
本発明においては、第4級アンモニウム塩の1種以上を用いることができる。
【0050】
<第3級アミン>
本発明において用いられる成分(D)の第3級アミンは、下記一般式(IV)で示される。
【化17】

【0051】
一般式(IV)において、R5は総炭素数8〜35(好ましくは8〜26)の、−O−もしくは−CONH−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R6は炭素数1〜22(好ましくは1〜5)のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基を示し、2個のR6は同一でも異なっていても良い。
【0052】
一般式(IV)で表される第3級アミンの例として、ジステアリルメチルアミン、ジオレイルメチルアミン、ジパルミトイルメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルジエチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニルジエチルアミン、オレイルジメチルアミン、パルミトイルジメチルアミン等を挙げることができる。
【0053】
また、一般式(IV)で表される第3級アミンの例として、−CONH−で分断されていてもよいアルキル基又はアルケニル基を有する、下記一般式(IV-1)で表されるアミドアミンが挙げられる。
【0054】
【化18】

(IV-1)
[式(IV-1)中、R34は炭素数16〜22のアルキル基又はアルケニル基、R35はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、qは1〜3の数を示す。]
【0055】
一般式(IV-1)で表されるアミドアミンの例として、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン及びこれらの混合物が挙げられ、これらのうち、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン及びこれらの混合物が好ましい。
【0056】
また、一般式(IV)で表される第3級アミンの例として、下記一般式(IV-2)で示されるヒドロキシエーテルアミンが挙げられる。
【化19】

(IV-2)
[式(IV-2)中、R、Rはそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基あるいは下記一般式(IV-2a)で示される基であるが、R、Rの少なくとも一方/又は両方は下記一般式(IV-2a)で示される基である。Rは炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基である。
【0057】
【化20】

(IV-2a)
(式(IV-2a)中、Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基あるいはヒドロキシアルキル基であり、nは1〜3の整数である。)]
【0058】
一般式(IV-2a)において、Rとして好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
nとして、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。
一般式(IV-2)のヒドロキシエーテルアミンは、例えば特開2004−323495号公報に記載されている方法で製造することができるが、その他公知の方法を用いてもよい。
【0059】
一般式(IV)の第3級アミンとして、さらに好ましくは、R5が炭素数12〜22の直鎖アルキル基で、R6がそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基であるモノ長鎖アルキル3級アミン、一般式(IV-1)で表されるアミドアミン、及び一般式(IV-2)で示されるヒドロキシエーテルアミンであり、特に好ましくは一般式(IV-2)で示されるヒドロキシエーテルアミンである。
本発明においては、第3級アミンの1種以上を用いることができる。
【0060】
第3級アミンは、塩として用いられる場合、pHにより異なるが、有機酸及び/又は無機酸が添加される。例えば、リン酸、塩酸、酢酸、L−グルタミン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸及びこれらの混合物があるが、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸及びこれらの混合物が好ましい。
【0061】
本発明において、成分(D)の第4級アンモニウム塩及び/又は第3級アミンの配合量は、毛髪化粧料全量中の0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。少なすぎると効果が十分発揮されず、多すぎてもそれに見合った効果の増大は見込めず、かえって感触に悪影響を及ぼすことがある。
【0062】
<多価アルコール/糖アルコール>
また、上記必須成分に加えて、更に成分(E)として多価アルコール及び/又は糖アルコールを配合すると、コンディショニング効果、特に乾燥後の毛髪のなめらかさ、柔らかさ、しっとり感をさらに向上させることができる。
多価アルコール及び/又は糖アルコールとしては、化粧料に通常使用可能であれば特に限定されないが、多価アルコールとしては、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好適に使用できる。糖アルコールとしては、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、グルコース、ラクトース、マルチトール、スクロースが好適に使用できる。本発明においては、これらの1種以上を用いることができる。
【0063】
成分(E)の配合量は特に制限されないが、毛髪化粧料中1〜50質量%、さらには5〜30%が好ましい。少なすぎると効果が十分発揮されず、多すぎてもそれに見合った効果の増大は見込めず、かえって感触に悪影響を及ぼすことがある。
【0064】
本発明の毛髪化粧料は、さらにレシチン、加水分解タンパクとその誘導体、グルタミン酸、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン等のアミノ酸、ビタミン類、セレシン等の毛髪補修成分を配合することにより、さらに毛髪の修復・保護効果に優れ、且つその効果が長時間持続する毛髪化粧料が得られる。
【0065】
本発明の毛髪化粧料には上記の必須構成成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、さらに流動パラフィン,スクワラン,ラノリン誘導体,高級アルコール,各種エステル油,アボガド油,パーム油,牛脂,ホホバ油,ポリアルキレングリコールポリエーテル及びそのカルボン酸オリゴエステル化合物,テルペン系炭化水素油等の油分、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、アクリル系樹脂,シリコーン樹脂,ポリビニルピロリドン等の樹脂類、大豆蛋白,ゼラチン,コラーゲン,絹フィブロイン,エラスチン等の蛋白又は蛋白分解物、エチルパラベン,ブチルパラベン等の防腐剤、ビオチン,パントテン酸誘導体等の賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体等の血行促進剤、硫黄,チアントール等の抗脂漏剤、エタノール,イソプロパノール,テトラクロロジフルオロエタン等の希釈剤、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤、薬剤、香料、色剤等を必要に応じて敵宜配合してもよい。
【0066】
本発明の剤型は本発明の効果が損なわれない限り特に制限されず、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系等いずれでも構わない。これら剤形とするには、常法に従って製造すればよい。水相を連続相とする水性組成物であることが好ましい。水性組成物では油相を連続相とする油性組成物に比べて本発明の効果が顕著に発揮される。
【0067】
本発明の毛髪化粧料の構成は、毛髪に使用する任意の化粧料に適用可能であり、シャンプー等のいわゆる毛髪洗浄剤や、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等のいわゆる毛髪処理剤等が挙げられる。
また、その使用形態も、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含み得るが、本発明の毛髪化粧料は塗布後すすぎ流して使用するタイプのヘアコンディショナーに特に好適である。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%で示す。
なお、本発明で用いた評価方法は次の通り。
【0069】
評価1:塗布時の粘り感
各試料を毛髪に塗布した際の粘り感について、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりも粘り感があると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりも粘り感があると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりも粘り感があると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりも粘り感があると回答。
【0070】
評価2:すすぎ時のなめらかさ
各試料を毛髪に塗布後、すすぎ流した時のなめらかさについて、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
【0071】
評価3:乾燥後のなめらかさ
各試料を毛髪に塗布後、すすぎ流し、乾燥後の毛髪のなめらかさについて、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりもなめらかさがあると回答。
【0072】
評価4:乾燥後のしっとり感(ぱさつきのなさ)
各試料を毛髪に塗布後、すすぎ流し、乾燥後の毛髪のしっとり感(ぱさつきのなさ)について、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりもしっとり感があると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりもしっとり感があると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりもしっとり感があると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりもしっとり感があると回答。
【0073】
評価5:乾燥後のさらさら感
各試料を毛髪に塗布後、すすぎ流し、乾燥後の毛髪のさらさら感について、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
【0074】
評価6:乾燥後の柔らかさ(ごわつきのなさ)
各試料を毛髪に塗布後、すすぎ流し、乾燥後の毛髪の柔らかさ(ごわつきのなさ)について、20名の専門パネラーにて官能評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎: 20名中17名以上が、コントロールよりも柔らかであると回答。
○: 20名中13〜16名が、コントロールよりも柔らかであると回答。
△: 20名中8〜12名が、コントロールよりも柔らかであると回答。
×: 20名中7名以下が、コントロールよりも柔らかであると回答。
【0075】
試験例1 シリコーンエマルションとキシログルカンとの併用
表1の組成に従ってヘアコンディショナー組成物を調製し、試料とした。調製方法は次の通り。
(調製方法)
水溶性成分(クエン酸、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、キシログルカン)をイオン交換水に加熱溶解して均一とする。これに油溶性成分(ステアリルアルコール)を加熱溶解したものを添加し、更にアミノ変性シリコーン、シリコーンエマルションを添加した後、乳化し冷却する。
【0076】
【表1】

【0077】
表1は、試料1(シリコーンエマルション、キシログルカン無配合)をコントロール(基準)として、比較評価した結果である(表2〜7も同様)。
表1に示すように、シリコーンエマルションとキシログルカンとを併用した場合(試料4)には、両者無配合の場合(試料1)に比べて、塗布時の粘り感に優れて毛髪に非常によくなじみ、しかもすすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ、さらさら感、しっとり感、やわらかさの全てにおいても非常に高い効果が得られた。
シリコーンエマルションのみの場合(試料2)や、キシログルカンのみの場合(試料3)には、試料4のような高い効果は得られなかった。
従って、シリコーンエマルションとキシログルカンとを併用することにより、塗布時の粘り感となじみ感、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ、さらさら感、しっとり感、やわらかさなどの全ての項目において、相乗的な効果が発揮されるものと考えられる。
【0078】
試験例2 キシログルカン
キシログルカンの代わりに、他のグルカン類を用いた場合について検討した。その結果、表2に示すように、キシログルカン以外のグルカン類をシリコーンエマルションと併用しても、塗布時の粘り感と、すすぎ時や乾燥後の使用感とを両立することは困難であった。
【0079】
【表2】

【0080】
また、キシログルカンの配合量を変えた場合についても検討を行った。その結果、表3に示すように、キシログルカンが少なすぎると効果が十分発揮されず、また多すぎても効果が低下する傾向がある。
従って、キシログルカン(C)の配合量は毛髪化粧料中0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%であることが好適である。
【0081】
【表3】


【0082】
試験例3 シリコーンエマルション
さらに、シリコーンエマルションの配合量を変えた場合についても検討した。その結果、表4に示すように、シリコーンエマルションが少なすぎると効果が十分に発揮されず、また多すぎても効果が低下する傾向がある。
従って、シリコーンエマルション(B)の配合量は毛髪化粧料中0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%が好適である。
また、試料29のように、粘度の低い高重合シリコーンのエマルションでは十分な効果が得られないことがある。
このようなことから、本発明においては、粘度が500万mPa・s以上、さらには1000万mPa・s以上の高重合シリコーンが分散したシリコーンエマルションを用いることが好適である。
【0083】
【表4】

【0084】
試験例4 アミノ変性シリコーン
また、アミノ変性シリコーンを変えた場合についても検討した。その結果、表5に示すように、アミノ変性シリコーンとしてm+nが4000〜6000、n/mが0.002〜0.03のものを用いた場合(試料30〜31)には、高い効果が得られた。また、試料36のように単独では上記範囲外である複数のアミノ変性シリコーンを併用した場合も、平均値が上記範囲内であれば効果が得られた。
これに対し、m+nやn/mが上記範囲外である場合(試料32〜35)では十分な効果が得られなかった。また、試料37〜38のように、単独では上記範囲内であるアミノ変性シリコーンを配合しているが、平均値が上記範囲外である場合でも、十分な効果が得られなかった。
【0085】
【表5】

【0086】
また、アミノ変性シリコーンの配合量を変えた場合についても検討を行った。その結果、表6に示すように、アミノ変性シリコーンの配合量が少なすぎると効果が十分に発揮されず、また多すぎても効果が低下する傾向がある。
従って、アミノ変性シリコーン(A)の配合量は毛髪化粧料中0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%であることが好適である。
【0087】
【表6】

【0088】
試験例5 第4級アンモニウム塩/第3級アミン
また、第4級アンモニウム塩を変えた場合についても検討を行った。その結果、表7に示すように、各種第4級アンモニウム塩で本発明の効果が発揮された。また、第4級アンモニウム塩の代わりに第3級アミンを用いた場合にも同様もしくはそれ以上の効果が発揮された。中でも、ヒドロキシエーテルアミン化合物を配合した場合(試料53)に顕著な効果が発揮され、特にすすぎ時のなめらかさにおいて優れていた。
【0089】
【表7】


【0090】
試験例6 多価アルコール/糖アルコール
表8は試料54をコントロールとした比較評価結果である。
表8に示すように、多価アルコール及び/又は糖アルコールの配合により、すすぎ時や乾燥後の使用感が向上し、特に乾燥後のなめらかさ、しっとり感、やわらかさが向上した。塗布時の粘り感は多価アルコールや糖アルコールを配合しても特に影響を受けなかった。
多価アルコール及び/又は糖アルコールが少なすぎるとその効果が十分得られず、多すぎても効果が低下する。よって、多価アルコール及び/又は糖アルコールは毛髪化粧料中1〜50質量%、さらには5〜30質量%が好適である。
【0091】
【表8】

【0092】
以下に本発明の毛髪化粧料の処方例を示す。いずれの毛髪化粧料も塗布した時は粘り感があって毛髪へのなじみが非常によく、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ、しっとり感、さらさら感、柔らかさに優れるものであった。
【0093】
処方例1 ヘアミスト
(1)アミノ変性シリコーン 0.2質量%
(R1=OH、R2=−(CHNH、m=4000、n=120、a=3)
(2)ジメチルポリシロキサン 1.0
(3)エタノール 5.0
(4)ステアリルアルコール 0.1
(5)ベヘニルアルコール 0.2
(6)スクロース 12.0
(7)ジプロピレングリコール 1.0
(8)1,3−ブチレングリコール 1.0
(9)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.5
(10)ビニルピロリドン・
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体 2.5
(11)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(12)精製水 残余
(13)キシログルカン 0.1
(14)シリコーンエマルション1 1.8
(15)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(5)を混合した油相および(6)〜(12)を混合した水相を加熱溶解し、前者を後者に添加して乳化する。(13)〜(15)を添加して均一とする。
【0094】
処方例2 ヘアオイル
(1)軽質流動イソパラフィン 80.0質量%
(2)アミノ変性シリコーン 2.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3N(CH3)(CH2)2N(CH3)2、m=4000、n=20、a=3)
(3)1,3−ブチレングリコール 14.5
(4)メチルフェニルポリシロキサン 5.0
(5)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.2
(6)キシログルカン 0.3
(7)シリコーンエマルション1 3.0
(8)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(4)を混合した後、(5)〜(7)を加えて均一にし、最後に(7)を加える。
【0095】
処方例3 ヘアムース(エアゾール)
(1)エタノール 5.0質量%
(2)ジメチルポリシロキサン 5.0
(3)アミノ変性シリコーン 5.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3NH2、m=5000、n=10、a=3)
(4)揮発性イソパラフィン 25.0
(5)1,3−ブチレングリコール 5.0
(6)イソステアリン酸 1.0
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(8)2−アルキル−N−カルボキシメチル 6.0
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
(9)フェノキシエタノール 適量
(10)精製水 残余
(11)キシログルカン 0.1
(12)シリコーンエマルション1 5.0
(13)香料 適量
<製造方法>
(5)〜(12)を混合したものに(1)〜(4)および(13)を混合したものを加えて乳化する。
【0096】
処方例4 ヘアクリーム
(1)流動パラフィン 5.0質量%
(2)ワセリン 2.0
(3)ジメチルポリシロキサン 5.0
(4)アンモニウム変性シリコーン 1.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3(CH3)21837Cl、m=5000、n=25、a=3)
(5)セタノール 4.0
(6)ステアリルアルコール 1.0
(7)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.2
(8)キシログルカン 1.0
(9)シリコーンエマルション1 3.0
(10)1,3−ブチレングリコール 10.0
(11)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンジメチルエーテル 2.0
(12)ポリオキシプロピレングリセリルエーテル 2.0
(13)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
(14)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(15)ポリマーJR−400TM(東邦化学工業社製) 0.5
(16)加水分解コムギタンパク 0.1
(17)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(18)精製水 残余
(19)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(7)の油相、(8)〜(18)の水相をそれぞれ加温により溶解混合し、(19)を油相に添加して均一とした後、2相を混合して乳化する。
【0097】
処方例5 ヘアクリーム
(1)流動パラフィン 10.0質量%
(2)ワセリン 3.0
(3)ジメチルポリシロキサン 2.0
(4)アミノ変性シリコーン 1.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3N(CH2)2、m=5000、n=25、a=3)
(5)プロピレングリコール 10.0
(6)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 2.0
(7)キシログルカン 0.2
(8)シリコーンエマルション1 3.0
(9)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 3.0
(10)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.0
(11)水酸化カリウム 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.3
(13)ポリアクリル酸ヒドロキシエチル 0.1
・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体
(14)トウツバキ種子油 0.01
(15)精製水 残余
(16)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(4)、(14)及び(16)を混合したものを(5)〜(10)、(12)及び(15)を混合したものに添加して乳化する。(13)を加えて均一とした後、(11)で中和し、さらに攪拌して均一とする。
【0098】
処方例6 ヘアローション
(1)軽質イソパラフィン 15.0質量%
(2)アミノ変性シリコーン 3.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3N(CH3)C25、m=5000、n=50、a=3)
(3)ジメチルシリコーン 6.0
(4)ソルビトール 20.0
(5)ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油エステル 2.0
(6)酸化チタンゾル 10.0
(7)エタノール 15.0
(8)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.5
(9)精製水 残余
(10)キシログルカン 0.5
(11)シリコーンエマルション1 10.0
(12)香料 適量
(製造方法)
(1)〜(3)および(12)を混合したものを(4)〜(11)に添加して乳化する。
【0099】
処方例7 ヘアミスト
(1)アミノ変性シリコーン 0.2質量%
(R1=OH、R2=−(CHNH、m=4000、n=120、a=3)
(2)ジメチルポリシロキサン 1.0
(3)エタノール 5.0
(4)ステアリルアルコール 0.1
(5)ベヘニルアルコール 0.2
(6)キシログルカン 0.05
(7)シリコーンエマルション1 1.0
(8)グリセリン 20.0
(9)ジプロピレングリコール 1.0
(10)1,3−ブチレングリコール 1.0
(11)塩化アルキルトリメチルアンモニウム(77%) 0.5
(12)ビニルピロリドン・
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体 2.5
(13)アルギニン 0.1
(14)レシチン 0.1
(15)オクチルメトキシシンナメ−ト 0.1
(16)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(17)トウツバキ種子油 0.005
(18)精製水 残余
(19)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(5)及び(17)を混合した油相、(6)〜(16)及び(18)を混合した水相をそれぞれ加熱溶解し、前者を後者に添加して乳化する。(19)を添加して均一とする。
【0100】
処方例8 ヘアコンディショナー
(1)ジメチルポリシロキサン 10.0質量%
(2)アミノ変性シリコーン 1.0
(R1=メチル、R2=−(CH2)3N(CH3)2、m=5000、n=20、a=3)
(3)硬化ナタネ油アルコール 3.0
(4)セタノール 1.5
(5)スクロース 20.0
(6)2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
(7)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.5
(8)ソルビトール 2.0
(9)グルタミン酸 0.5
(10)アルギニン 0.1
(11)グリシン 0.1
(12)クエン酸 0.01
(13)酢酸トコフェロール 0.05
(14)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(15)フェノキシエタノール 適量
(16)キシログルカン 0.2
(17)シリコーンエマルション1 5.0
(18)トウツバキ種子油 0.05
(19)精製水 残余
(20)香料 適量
<製造方法>
水溶性成分を混合して加熱溶解し、均一とする。これに油溶性成分を混合して加熱溶解したものを添加して乳化する。(15)及び(20)を加えて均一にした後、冷却する。
【0101】
処方例9 ヘアコンディショナー
(1)イソペンチルジオール 5.0質量%
(2)ソルビトール 15.0
(3)シリコーンエマルション1 3.0
(4)ステアリルアルコール 3.0
(5)ベヘニルアルコール 2.0
(6)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 2.0
(7)イソオクタン酸セチル 1.0
(8)アミノプロピルジメチコン(m=4000、n=120) 0.2
(9)アルギニン 0.01
(10)キシログルカン 0.25
(11)ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.05
(12)クエン酸 0.07
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)調合香料 適量
(15)大豆レシチン 0.1
(16)加水分解小麦タンパク・加水分解小麦でんぷん 0.02
(17)N-ラウロイルグルタミン酸
ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル) 0.1
(18)精製水 残余
<製造方法>
水溶性成分を加熱溶解して均一とする。これに油溶性成分を混合して加熱溶解したものを添加し、乳化した後、冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)下記一般式(I)で表されるアミノ変性又はアンモニウム変性シリコーン。
【化1】

[式(I)中、R1はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基又は水酸基である。R2はそれぞれ独立して式R4Zで表される基であり、R4は炭素数3〜6のアルキレン基、Zは窒素含有基であり、下記式:
【化2】

(R5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基、R6は炭素数1〜30のアルキル基、Aは塩素原子又は臭素原子又はヨウ素原子、bは2〜6の整数である。)で表される基である。aは0〜3の整数であり、m及びnはそれぞれ正の整数で、m+nの平均値は4000〜6000、n/mの平均値は0.002〜0.03である。]
(B)下記平均組成式(II)で示される高重合オルガノポリシロキサン。
[RSiO]x (II)
[式(II)中、Rはメチル基あるいはアリール基、Rはメチル基あるいは水酸基である。xは、当該オルガノポリシロキサンが25℃で500万mPa・s以上の粘度を示す範囲のシロキサン重合度を表す正の整数である。]
(C)キシログルカン
(D)一般式(III)で表される第4級アンモニウム塩及び一般式(IV)で表される第3級アミンからなる群から選ばれる化合物。
【化3】

[式(III)中、R1,R2,R3及びR4は少なくとも1個は総炭素数8〜35の、−O−、−OCO−もしくは−COO−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、あるいは脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、残余は炭素数1〜5のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示す。X-はハロゲンイオン又は有機アニオンを示す。]
【化4】

[式(IV)中、R5は総炭素数8〜35の、−O−もしくは−CONH−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R6は炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基を示し、2個のR6は同一でも異なっていても良い。]
【請求項2】
請求項1記載の毛髪化粧料において、成分(A)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2記載の毛髪化粧料において、成分(B)が毛髪化粧料中シリコーン純分で0.01〜10.0質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の毛髪化粧料において、成分(C)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の毛髪化粧料において、成分(D)が毛髪化粧料中0.01〜10.0質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の毛髪化粧料において、さらに成分(E)として多価アルコール及び/又は糖アルコールの1種以上を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の毛髪化粧料からなるヘアコンディショナー組成物。

【公開番号】特開2008−297245(P2008−297245A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144647(P2007−144647)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】