説明

毛髪化粧料

【課題】保湿感について満足のいく毛髪化粧料の提供。
【解決手段】成分(a)〜(e)を含有する洗い流さないタイプの毛髪化粧料。
(a)油剤
(b)アセロラ抽出物
(c)水
(d)低級アルコール
(e)界面活性剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗い流さないタイプの毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機カルボン酸及び特定の親水性有機溶剤に加え、更に特定の植物エキスを含有する毛髪化粧料が提案されている(特許文献1)。この毛髪化粧料は、損傷を受け、パサついて乾燥がちな髪に対し、ツヤ、まとまり、しなやかさ、弾力感を付与することができるというものである。
【0003】
一方、アセロラエキスを含有する化粧品が提案されている(特許文献2)。この文献には、アセロラエキスはL-アスコルビン酸を高濃度で含み、かつ安定性に優れていることが記載されている。しかし、これら先行文献には、保湿感について満足のいく毛髪化粧料については記載されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2007-262043号公報
【特許文献2】特開平2-200610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明は、保湿感について満足のいく毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、油剤、アセロラ抽出物、低級アルコール及び界面活性剤を含有する洗い流さないタイプの毛髪化粧料とすることにより、上記要求を満たす毛髪化粧料となることを見出した。
【0007】
本発明は、成分(a)〜(e)を含有する洗い流さないタイプの毛髪化粧料を提供するものである。
(a)油剤
(b)アセロラ抽出物
(c)水
(d)低級アルコール
(e)界面活性剤
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪化粧料は、保湿感に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔(a)油剤〕
成分(a)の油剤としては、シリコーン油、エステル油、高級アルコール、炭化水素油が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。なかでも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーンが好ましい。エステル油としては、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸エチル、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸コレステリル、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタノイン、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セレシンワックス、カルナウバロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、モクロウ、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、イソステアリン酸コレステリル等が挙げられる。高級アルコールとしては、直鎖及び分岐鎖、また飽和及び不飽和のいずれの脂肪族アルコールでもよく、炭素数は10〜22であるものが好ましく、更には炭素数14〜20、更には16〜18であるものが好ましい。具体的にはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。これらのうち、セチルアルコールが好ましい。炭化水素油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、シクロパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン(ペトロラタム)、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン等が挙げられる。
【0010】
これら成分(a)の中でもエステル油が好ましく、炭素数8〜24の好ましくは炭素数12〜20のカルボン酸と炭素数1〜20の好ましくは炭素数3〜16のアルコールとのエステルがより好ましい。ここでカルボン酸、アルコールは共に直鎖及び分岐鎖、また飽和及び不飽和のいずれであってもよい。具体的にはパルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。
【0011】
成分(a)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(a)の含有量は、毛髪をべたつかせることなくしっとりさせつつまとめる観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜20質量%が好ましく、更には0.5〜15質量%、特に1〜10質量%が好ましい。
【0012】
〔(b)アセロラ抽出物〕
成分(b)のアセロラ抽出物は、アセロラの果実を、水、親水性有機溶媒等により抽出することにより得ることができる。溶媒としては、特に水が好ましく、純水、精製水等を用いることができる。親水性有機溶剤を用いる場合は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸等から適宜選択することができる。特にメチルアルコールを用いて抽出することが好ましい。上記の親水性有機溶剤、特にメチルアルコール及びエチルアルコールは、水との混合物として用いることが好ましい。
【0013】
抽出条件は特に限定されないが、抽出溶剤の使用量は、通常、果実100重量部に対して、100〜1000重量部程度、好ましくは200〜500重量部程度である。抽出の温度範囲は、効率良く抽出を行うという観点から、0〜120℃、好ましくは20〜50℃である。抽出時間は1〜24時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。
【0014】
成分(b)の含有量は、毛髪に保湿感を与える観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.001〜5質量%が好ましく、更には0.005〜3質量%、特に0.01〜1質量%が好ましい。
【0015】
〔(c)水〕
成分(c)の水の含有量は、成分(a)、(b)、(d)及び(e)、並びにその他の任意成分の残部とされるが、本発明の毛髪化粧料中の55〜95質量%が好ましく、更には60〜90質量%、特に65〜85質量%が好ましい。
【0016】
〔(d)低級アルコール〕
成分(d)の低級アルコールとしては、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコール、具体的には、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等が挙げられる。これらのうち、エタノール、2-プロパノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0017】
成分(d)の含有量は、成分(a)の可溶化と清涼感を与える観点から、本発明の毛髪化粧料中の1〜40質量%、更には3〜30質量%、特に5〜20質量%が好ましい。
【0018】
〔(e)界面活性剤〕
成分(e)の界面活性剤は、後述する成分(g)有機溶剤の可溶化又は乳化、系の安定性及び感触向上の効果を有する。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤のいずれをも使用できる。
【0019】
カチオン界面活性剤としては、次の一般式(e1)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示し、同時に水素原子又はベンジル基となる場合、及び、炭素数1〜3の低級アルキル基となる場合を除く。An-はアニオンを示す。〕
【0022】
ここでR1及びR2は、その一方が炭素数16〜24、更には22のアルキル基、特に直鎖アルキル基であるのが好ましく、また他方は炭素数1〜3の低級アルキル基、特にメチル基であるのが好ましい。アニオンAn-としては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
【0023】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0024】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
【0025】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。
【0026】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0027】
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、感触、溶剤の可溶化又は乳化、系の安定性の観点から、成分(e)の含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%、更には0.05〜5質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0028】
〔(f)有機酸〕
【0029】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪にハリ、コシを与える観点から、更に(f)有機カルボン酸を含有することが好ましい。成分(f)の有機カルボン酸としては、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましい。具体的には、ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が、ジカルボン酸として、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸等が、トリカルボン酸としては、クエン酸等が挙げられ、酸性アミノ酸としてはグルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられる。なかでも、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸が好ましい。とりわけリンゴ酸、乳酸が好ましい。また、これら有機カルボン酸の塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
【0030】
これら成分(f)は2種以上を併用してもよく、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜30質量%が好ましく、更には0.5〜20質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。
【0031】
〔(g)有機溶剤〕
【0032】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪をしっとりさせ、かつ成分(f)を毛髪内に浸透させる観点から、更に成分(g)として芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン、アルキレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ラクトン及び環状ケトンからなる群より選ばれる親水性有機溶剤を含有することが好ましい。かかる親水性有機溶剤としては、次の(g1)〜(g5)が挙げられる。
【0033】
(g1) 一般式(g1)で表される芳香族アルコール
【0034】
【化2】

【0035】
〔式中、R3は基R4−Ph−R5−(R4;水素原子、メチル基又はメトキシ基,R5;結合手又は炭素数1〜3の飽和若しくは不飽和の二価の炭化水素基,Ph;パラフェニレン基)を示し、Y及びZは水素原子又は水酸基を示し、s、t及びuは0〜5の整数を示す。ただし、s=t=0であるときは、Zは水酸基であり、またR3は基R4−Ph−ではない。〕
【0036】
(g2) 窒素原子に炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基が結合したN-アルキルピロリドン又はN-アルキルピロリドン
【0037】
(g3) 炭素数2〜4のアルキレンカーボネート
【0038】
(g4) 数平均分子量100〜1000のポリプロピレングリコール
【0039】
(g5) 一般式(g5-a)、(g5-b)又は(g5-c)で表されるラクトン又は環状ケトン
【0040】
【化3】

【0041】
〔式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、R6及びR7は相異なる置換基を示し、v及びwは0又は1を示す。〕
【0042】
成分(g)である有機溶剤のうち、(g1)としては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール等が挙げられる。(g2)としては、N-メチルピロリドン、N-オクチルピロリドン、N-ラウリルピロリドン等が挙げられる。(g3)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。(g4)の数平均分子量100〜1000のポリプロピレングリコールとしては、数平均分子量100〜500のもの、特に重合度2〜5のものが好ましい。(g5)において、一般式(g5-a)〜(g5-c)中のR6及びR7としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基、フェニル基、スルホアルキル基、リン酸アルキル基、カルボキシアルキル基等が好ましく、なかでもγ-ラクトンの場合にはγ位、δ-ラクトンの場合にはδ位(すなわちヘテロ酸素原子の隣接メチレン)に置換した、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましい。また、化合物(g5-a)〜(g5-c)の水溶性を増大させたい場合には、R6又はR7としてスルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基等の酸性基やこれらが置換したアルキル基を有するのが好ましい。(g5)のうち、ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、δ-ヘプタノラクトン等が挙げられるが、ラクトンの安定性の点から、γ-ラクトン、特にγ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトンが好ましい。(g5)のうち、環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチルシクロヘプタノン等が挙げられる。
【0043】
特に好ましい成分(g)として、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びプロピレングリコール(数平均分子量300〜500、特に400)が挙げられる。
【0044】
また、成分(g)は、25℃で液体であることが好ましく、またClogPが−2〜3であることが必要であり、浸透促進の点から、−1〜2であることが好ましい。ここで、ClogPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度である、下式で定義されるオクタノール-水-分配係数(logP)の計算値をいい、ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその例が記載されている。
【0045】
logP=log([物質]Octanol/[物質]Water
【0046】
〔式中、[物質]Octanolは1-オクタノール相中の物質のモル濃度を、[物質]Waterは水相中の物質のモル濃度を示す。〕
【0047】
主な成分(g)のClogPを具体的に示すと、ベンジルアルコール(1.1)、2-ベンジルオキシエタノール(1.2)、2-フェニルエタノール(1.2)、1-フェノキシ-2-プロパノール(1.1)、ポリプロピレングリコール400(0.9)、炭酸プロピレン(-0.41)、γ-ブチロラクトン(-0.64)である。
【0048】
成分(g)は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜6質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0049】
更に、本発明の毛髪化粧料には、多価アルコールを含有させることができる。多価アルコールは、成分(g)の可溶化、安定分散に寄与し、また、成分(g)と相乗的に働き、毛髪の改質効果の向上やツヤを付与する。多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられ、特にグリセリンが好ましい。多価アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。
【0050】
本発明の毛髪化粧料には、更に、セットポリマーを含有させてもよい。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート(四級塩化)共重合体、ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体等のポリビニルピロリドン系高分子化合物;メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物;酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子化合物;(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物;N-メタクリロイルエチル-N,N-ジメチルアンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性アクリル系高分子化合物;アクリルアミド・アクリルエステル系四元共重合体等の塩基性アクリル系高分子化合物;カチオン性セルロース誘導体等のセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン等のキチン・キトサン誘導体などが挙げられる。
【0051】
これらのセットポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%、更には0.05〜7質量%、特に0.1〜5質量%が好ましい。
【0052】
本発明の毛髪化粧料には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;キレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物等の粘度調整剤;有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0053】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪の耐湿性を向上して、ツヤ、柔軟性、まとまり、しなやかさを付与する観点から、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが、2.5〜4.5であるのが好ましく、更にはpH2.5〜4、特にpH3〜4が好ましい。
【0054】
本発明の毛髪化粧料の形態は、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等、適宜選択できる。
【0055】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアスタイリング剤、ヘアコンディショニング剤等の洗い流さない化粧料として、ポンプスプレー、エアゾールスプレー、ポンプフォーム、エアゾールフォーム、ジェル、ローション等の剤型とすることができる。
【実施例】
【0056】
実施例1(整髪用ポンプミスト)
(質量%)
乳酸 2.8
ベンジルアルコール 0.2
ジプロピレングリコール 1.0
(e) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.25
(e) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(a) ミリスチン酸イソプロピル 0.2
(a) イソノナン酸イソトリデシル 0.2
(a) ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体*1 0.2
(a) アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体エマルション*2 0.4
(d) エタノール 12.0
(b) アセロラエキス 0.01
香料 0.05
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整
*1:信越化学工業社製,KF-6029
*2:東レ・ダウコーニング社製,SM8704C
【0057】
実施例2(整髪用ポンプミスト)
(質量%)
リンゴ酸 1.5
乳酸 2.0
2-ベンジルオキシエタノール 1.0
ジプロピレングリコール 0.5
(e) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
ポリオクタニウム-11*3 0.7
(a) トリオクタノイン 0.2
(d) エタノール 12.0
(b) アセロラエキス 0.1
香料 0.05
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整
*3:アイエスピー・ジャパン社製,ガフカット755N
【0058】
実施例3(整髪ジェル)
(質量%)
リンゴ酸 1.5
クエン酸 1.5
グリセリン 2.0
ベンジルアルコール 0.3
1,3-ブチレングリコール 1.0
ヒドロキシエチルセルロース*4 2.0
(a) パルミチン酸イソプロピル 0.5
(e) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(d) エタノール 25.0
(b) アセロラエキス 0.2
香料 0.05
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整
*4:ダイセル化学工業社製,HECダイセル SE850K
【0059】
実施例4(整髪ローション)
(質量%)
リンゴ酸 1.2
乳酸 1.0
ベンジルアルコール 0.3
ジプロピレングリコール 0.5
グリセリン 1.0
ポリエチレングリコール(Mw=400)*5 0.45
(e) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1
(a) ミリスチン酸イソプロピル 0.5
(d) エタノール 12.0
(b) アセロラエキス 0.1
香料 0.05
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整
*5:ADEKA社製,ADEKA PEG400
【0060】
実施例5(整髪用ポンプフォーム)
(質量%)
リンゴ酸 1.0
乳酸 1.5
グリセリン 1.0
ベンジルアルコール 0.2
ジプロピレングリコール 0.7
1,3-ブチレングリコール 0.3
ポリオクタニウム-11*3 0.5
(e) ポリオキシエチレントリデシルエーテル 1.0
(e) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
(a) イソノナン酸イソトリデシル 0.2
(d) エタノール 5.5
(b) アセロラエキス 0.5
香料 0.01
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整
【0061】
実施例6(ヘアクリーム)
(質量%)
(e) 塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.24
リンゴ酸 0.5
ベンジルアルコール 0.2
ジプロピレングリコール 2.0
N,N-ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン 0.2
(a) セタノール 1.6
(a) パルミチン酸イソプロピル 0.5
(a) ジメチコーン(東レ・ダウコーニング社,BY22-060) 0.5
(d) エタノール 5.5
(b) アセロラエキス 0.1
香料 0.1
pH調整剤(水酸化ナトリウム,乳酸) pH3.7に調整
(c) 水 残量
【0062】
実施例7(ヘアワックス)
(質量%)
リンゴ酸 0.1
ベンジルアルコール 0.1
グリセリン 10.0
カルボマー*6 0.1
(a) セタノール 5.0
(e) ステアリン酸グリセリル 5.0
(e) ポリソルベート60 1.0
(a) マイクロクリスタリンワックス 5.0
(a) ミツロウ 1.0
(a) ワセリン 1.0
(a) ジメチコン 2.5
(a) ミリスチン酸オクチルドデシル 0.5
(a) ポリシリコーン-9*7 0.05
(d) エタノール 5.0
(b) アセロラエキス 1.0
香料 0.05
pH調整剤(水酸化ナトリウム) pH6.5に調整
(c) 水 残量
*6:ルーブリゾール社製,カーボポール981
*7:花王社製
【0063】
実施剤8(ヘアフォーム)
(質量%)
乳酸 2.5
ベンジルアルコール 0.3
ジプロピレングリコール 1.0
グリセリン 3.0
(a) ジカプリン酸ネオペンチレングリコール 2.0
(a) PPG-34ステアレス-3 2.0
(a) パルミチン酸イソプロピル 0.5
ポリクオタニウム-11*3 0.5
セテス-20 0.5
(e) ステアルトリモニウムクロリド 0.4
(d) エタノール 14.0
(e) ラウレス-23 0.1
(b) アセロラエキス 0.2
LPG(噴射剤) 7.0
香料 0.05
(c) 水 残量
水酸化ナトリウム(pH調整剤) pH3.7に調整

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)〜(e)を含有する洗い流さないタイプの毛髪化粧料。
(a)油剤
(b)アセロラ抽出物
(c)水
(d)低級アルコール
(e)界面活性剤
【請求項2】
(a)油剤が、エステル油である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に(f)有機カルボン酸を含有し、水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2.5〜4.5である請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更に(g)芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン、アルキレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ラクトン及び環状ケトンからなる群より選ばれる親水性有機溶剤を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−179611(P2009−179611A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20808(P2008−20808)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】