説明

毛髪化粧料

【課題】陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによるダマや塊の発生を抑制し、または、コンプレックスによる沈殿物やダマによる白濁を抑制し、優れた製剤安定性を有するとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与することができる毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)ジアルキルスルホコハク酸塩および/またはアルキルエーテル硫酸エステル塩、(B)モノアルキル型第4級アンモニウム塩、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ならびに(D)水を含有してなる毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料において、陰イオン性界面活性剤は、毛髪に水分を浸透させ、潤いを付与する。また、陽イオン性界面活性剤は、毛髪に滑らかさ、柔らかさ等を付与し、手触り感や櫛通りを良好とする。
【0003】
しかし、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤を併用して乳化させると、組成物中でコンプレックスを形成し、ダマや塊が生じて、均一に乳化することができず、乳化安定性に劣るといった問題がある。加えて、ざらつき等が生じるため、使用感に劣るといった問題もある。したがって、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤を併用した乳化物の製剤化は、乳化安定性および使用感の観点から非常に困難であった。
【0004】
これまで、製剤の安定性を付与する試みとして、特定の陰イオン性界面活性剤、特定の水溶性高分子、非イオン性界面活性剤、シリコーン化合物およびカチオン界面活性剤を含有する毛髪洗浄剤組成物(例えば、特許文献1を参照)、特定のアニオン界面活性剤、特定のカチオン界面活性剤、特定のアルコールおよび特定の共重合体を含有する毛髪洗浄剤組成物(例えば、特許文献2を参照)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの試みによって、製剤の安定性は付与することはできるものの、特定の水溶性高分子や特定のアルコール等、他成分への依存が大きく、使用感に劣るといった問題や、使用が制限されるといった問題がある。
【0006】
一方、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤を併用して透明な化粧料とする場合も上述の如く、沈殿物やダマが発生して白濁してしまい、透明にならないといった問題がある。また、例え、透明とすることができたとしても、経時的に透明性を持続することが困難であった。
【0007】
これまで、透明な化粧料において、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤を併用する試みがなされている。例えば、モノアルキル型第4級アンモニウム型カチオン界面活性剤と、カルボン酸塩型アニオン界面活性剤と、特定のアルコール類とを含有する透明性ヘアーリンス組成物(例えば、特許文献3を参照)、陽イオン性界面活性剤と、高度にアルコキシル化された陰イオン性界面活性剤を含有する透明なヘアコンディショニング組成物(例えば、特許文献4を参照)等が提案されている。
【0008】
しかしながら、これらの試みによって、一時的に組成物中でコンプレックスの形成を抑制することはできるものの、経時的に沈殿物やダマが生じて製剤の安定性に劣るといった問題や、透明性の持続に劣るといった問題がある。
【特許文献1】特開2006−298916号公報
【特許文献2】特開2007−84482号公報
【特許文献3】特開昭62−67011号公報
【特許文献4】特開平5−194152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによるダマや塊の発生を抑制し、均一に乳化することができ、優れた乳化安定性および使用感を有するとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与することができる毛髪化粧料を提供することである。
【0010】
また、本発明の課題は、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによる沈殿物やダマによる白濁を抑制し、透明性を持続することができ、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与することができる毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明は、(A)ジアルキルスルホコハク酸塩および/またはアルキルエーテル硫酸エステル塩、(B)モノアルキル型第4級アンモニウム塩、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ならびに(D)水を含有してなる毛髪化粧料に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪化粧料を乳化物とした場合、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによるダマや塊の発生を抑制し、均一に乳化することができ、優れた乳化安定性および使用感を有するという効果を奏するとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与するという効果を奏する。
【0013】
また、本発明の毛髪化粧料を透明な化粧料とした場合、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによる沈殿物やダマによる白濁を抑制し、優れた透明性を持続するという効果を奏するとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の毛髪化粧料に用いられる(A)成分のジアルキルスルホコハク酸塩は、炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖のアルコールと、無水マレイン酸とを反応させてジエステルとした後に、硫酸化することにより得られる陰イオン性界面活性剤である。用いられるアルコールとしては、例えば、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサノール、2−メチルドデカノール等を例示することができる。また、ジアルキルスルホコハク酸塩の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低級アルカノールアミン;アンモニア等を例示することができ、なかでも、ナトリウム塩を用いることが好ましい。
【0015】
ジアルキルスルホコハク酸塩の具体例としては、例えば、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ジラウリルナトリウム等を例示することができる。
【0016】
また、アルキルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数が8〜18の直鎖または分岐鎖のアルコールに酸化エチレンを付加重合させ、硫酸化することにより得られる陰イオン性界面活性剤である。用いられるアルコールとしては、例えば、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等を例示することができる。また、酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。また、硫酸エステル塩の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低級アルカノールアミン;アンモニア等を例示することができ、中でも、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩を用いることが好ましい。
【0017】
アルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレン(1)アルキル(11,13,15)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)アルキル(11,13,15)エーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)アルキル(11〜15)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)アルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(12〜14)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(12〜15)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等を例示することができる。
【0018】
上記(A)成分は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。好適な(A)成分としては、製剤安定性の観点から、スルホコハク酸ジオクチル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩を用いることが好ましく、なかでも、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。
【0019】
本発明の成分(A)の市販品としては、例えば、「OTP-75」(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、日光ケミカルズ社製)、「エマール270J」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、潤いを付与する観点および製剤安定性の観点から、毛髪化粧料中に、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%である。
【0021】
本発明の毛髪化粧料に用いられる(B)成分のモノアルキル型第4級アンモニウム塩のアルキルとしては、炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等を例示することができる。
【0022】
(B)成分の具体例としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベへニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化アルキル(20〜22)トリメチルアンモニウム等を例示することができる。上記(B)成分は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。好適な(B)成分としては、製剤安定性の観点から、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを用いることが好ましく、なかでも、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを用いることがより好ましい。
【0023】
本発明の成分(B)の市販品としては、例えば、「アーカード16-29」(塩化セチルトリメチルアンモニウム、ライオンアクゾ社製)、「コータミン86W」(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、花王社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明の(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、滑らかさを付与する観点および製剤安定性の観点から、毛髪化粧料中に、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%である。
【0025】
本発明の毛髪化粧料に用いられる(C)成分のポリグリセリンモノアルキルエーテルとしては、例えば、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。

R−(OCH−CH(OH)−CH−OH (1)

〔式中、Rは炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0026】
一般式(1)におけるRのアルキル基の具体例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ベヘニル基、オレイル基、イソステアリル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘキサデシル基等を例示することができる。中でも、炭素数8〜14の直鎖アルキル基を用いることが好ましい。また、一般式(1)におけるnは2以上の整数であり、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜10である。
【0027】
また、(C)成分の具体例としては、例えば、デカグリセリンモノオクチルエーテル、デカグリセリンモノデシルエーテル、デカグリセリンモノラウリルエーテル、デカグリセリンモノミリスチルエーテル、オクタグリセリンモノオクチルエーテル、オクタグリセリンモノデシルエーテル、オクタグリセリンモノラウリルエーテル、オクタグリセリンモノミリスチルエーテル、ヘキサグリセリンモノオクチルエーテル、ヘキサグリセリンモノデシルエーテル、ヘキサグリセリンモノラウリルエーテル、ヘキサグリセリンモノミリスチルエーテル、テトラグリセリンモノオクチルエーテル、テトラグリセリンモノデシルエーテル、テトラグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンモノミリスチルエーテル等を例示することができる。上記(C)成分は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。好適な(C)成分としては、沈殿物、ダマや塊の発生を抑制し、優れた製剤安定性を付与する観点から、デカグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンモノラウリルエーテルを用いることが好ましい。
【0028】
本発明の成分(C)の市販品の具体例としては、サンイーサー L−4(テトラグリセリンモノラウリルエーテル:太陽化学社製)、サンイーサー L−10(デカグリセリンモノラウリルエーテル:太陽化学社製)等を例示することができる。
【0029】
本発明の(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性の観点から、毛髪化粧料中に、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%である。
【0030】
本発明の毛髪化粧料は、上記の(A)〜(C)成分以外に(D)成分として水を含むものである。かかる水の種類には特に限定がなく、一般に、精製水等を用いることができる。
【0031】
本発明の(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、溶解性の観点から、毛髪化粧料中に、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%である。
【0032】
また、本発明の毛髪化粧料を乳化物とする場合には、油剤が用いられる。用いられる油剤としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、椿油、ミンク油等の油脂;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、鯨ロウ、ラノリン等のロウ類;セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、ワセリン、スクワラン等の炭化水素油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンなどのシリコーン類等を例示することができる。これら成分は、単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。
【0033】
油剤の含有量は、特に限定されないが、通常、乳化する観点から、毛髪化粧料中に、好ましくは0.5〜60重量%、より好ましくは1〜50重量%である。
【0034】
本発明の毛髪化粧料には、必要により、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、皮膜形成剤、低級アルコール、多価アルコール、紫外線吸収剤、増粘剤、香料、色素、防腐剤、キレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、保湿剤、清涼剤、ビタミン剤、植物抽出物等を適宜、その用途、目的等に応じて添加することができる。
また、本発明の毛髪化粧料において、(A)〜(D)成分及び上記成分の残部は、エチルアルコール等のアルコールであることが好ましい。
【0035】
尚、本発明の毛髪化粧料は、製剤安定性に優れている観点から、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状、ロウ状等の種々の剤型に適用することができる。具体的には、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによるダマや塊の発生を抑制し、均一に乳化することができることから、ヘアクリーム、ヘアワックス等の毛髪用乳化化粧料、特に、整髪用乳化化粧料として好適に用いることができる。また、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによる白濁を抑制し、優れた透明性を維持することもできることから、透明液体整髪剤、所謂、寝癖直し、透明ヘアジェル等の毛髪用透明化粧料、特に、整髪用透明化粧料としても好適に用いることができる。ここで、「透明」とは、該化粧料を通して他の物体を見るとき、その色が変化せずに見える状態をいう。また、「液状」とは、流動性のある液体を含み、一般的な液体またはわずかに粘性のある液体等の状態をいう。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、各配合量は、特記しない限り重量%を表し、純量に換算した。
【0037】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い実施例1〜8および比較例1〜7の各試料を調製し、下記評価に供した。その結果をそれぞれ表1および表2に併記する。尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0038】
(試験例1:乳化の均一性および使用感の評価)
各実施例および各比較例で得られた調製直後の試料を手に取り、手のひら上で延ばした時の乳化の均一性および使用感を下記の評価基準に従って目視・官能評価した。
【0039】
<乳化の均一性および使用感の評価基準>
○:ダマや塊がなく、均一で滑らかである
△:ダマや塊が僅かに認められ、滑らかさが損なわれている
×:ダマや塊が明らかに認められ、滑らかさがなく、ざらつく
【0040】
(試験例2:乳化安定性および使用感の評価)
各実施例および各比較例で得られた試料を、120g容の広口容器に充填し、23℃、湿度60%の恒温恒湿室内に2週間保管後、試料を手に取り、手のひら上で延ばした時の乳化安定性および使用感を下記の評価基準に従って目視・官能評価した。
【0041】
<乳化安定性および使用感の評価基準>
○:ダマや塊がなく、均一で滑らかである
△:ダマや塊が僅かに認められ、滑らかさが損なわれている
×:ダマや塊が明らかに認められ、滑らかさがなく、ざらつく
【0042】
(試験例3:滑らかさおよび潤いの評価)
23℃、湿度60%の恒温恒湿下で一晩放置した毛束(長さ10cm、幅0.8cm、重量1g)に各実施例および各比較例で得られた試料を0.4g塗布後、指先でのばして毛束の厚みを均一にした。再度、上記条件下で30分間放置した後、毛束の滑らかさおよび潤いについて、評価パネル20名により、下記の評価基準に従って官能評価した。
【0043】
<滑らかさの評価基準>
○:20名中16名以上が滑らかさがあると回答
△:20名中10〜15名が滑らかさがあると回答
×:20名中9名以下が滑らかさがあると回答
【0044】
<潤いの評価基準>
○:20名中16名以上が潤いに優れると回答
△:20名中10〜15名が潤いに優れると回答
×:20名中9名以下が潤いに優れると回答
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
表1と表2に示される結果の通り、本発明の毛髪化粧料は、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによるダマや塊の発生を抑制し、均一に乳化することができ、優れた乳化安定性および使用感を有するとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与することができる。
【0048】
(試料の調製2)
表3および表4に記した組成に従い実施例9〜19および比較例8〜19の試料を調製し、下記評価に供した。その結果をそれぞれ表3および表4に併記する。尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0049】
(試験例4:性状の確認)
各実施例および各比較例で得られた試料の性状を目視にて確認し、下記性状に分類した。
【0050】
<性状の分類>
a:透明ゲル状、若しくは透明ペースト状
b:透明微粘性液状
c:透明液状
d:白濁ゲル状、若しくは白濁ペースト状
e:白濁微粘性液状
f:白濁液状
(ただし、a、dのゲル状、若しくはペースト状とは、流動性のないものを指す。)
【0051】
(試験例5:透明性の持続の評価)
各実施例および各比較例で得られた試料を、120g容の透明広口容器に充填し、23℃、湿度60%の恒温恒湿室内に2週間保管後の透明性の持続を下記の評価基準に従って目視評価した。
【0052】
<透明性の持続の評価基準>
○:製造直後と変化が認められず、透明性を維持している
△:ダマや沈殿物が僅かに認められ、微濁透明である
×:ダマや沈殿物が明らかに認められ、白濁している
【0053】
(試験例6:滑らかさおよび潤いの評価)
試験例3と同様に滑らかさおよび潤いの評価を実施した。
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
表3と表4に示される結果の通り、本発明の毛髪化粧料は、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤のコンプレックスによる沈殿物やダマによる白濁を抑制し、優れた透明性を持続することができるとともに、毛髪に優れた滑らかさと水々しい潤いを付与することができる。
【0057】
以下、本発明に係る毛髪化粧料の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0058】
(処方例1:クリーム状整髪剤)
エタノール 10.0
流動パラフィン 6.0
ワセリン 3.0
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 4.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 4.0
テトラグリセリンモノラウリルエーテル 5.0
ミリスチルアルコール 2.0
ステアリン酸 1.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
トリエタノールアミン 0.2
フェノキシエタノール 0.1
1,2−オクタンジオール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
【0059】
(処方例2:ワックス状整髪剤)
エタノール 10.0
カルナウバロウ 5.0
キャンデリラロウ 5.0
流動パラフィン 6.0
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 3.0
デカグリセリンモノラウリルエーテル 5.0
ミリスチルアルコール 2.0
ステアリン酸 1.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
プロピレンレングリコール 5.0
フェノキシエタノール 0.1
1,2−オクタンジオール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
【0060】
(処方例3:透明ゲル状整髪剤)
エタノール 20.0
ポリビニルピロリドン 5.0
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 2.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
デカグリセリンモノラウリルエーテル 2.0
マルチトール 5.0
グリセリン 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
トリエタノールアミン 0.3
フェノキシエタノール 0.1
1,2−ペンタンジオール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
【0061】
(処方例4:透明液状寝癖直し)
エタノール 10.0
N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム
−α−N−メチル・カルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル
エステル共重合体 1.0
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 4.0
テトラグリセリンモノラウリルエーテル 4.0
イソプレングリコール 4.0
フェノキシエタノール 0.1
1,2−オクタンジオール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジアルキルスルホコハク酸塩および/またはアルキルエーテル硫酸エステル塩、(B)モノアルキル型第4級アンモニウム塩、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ならびに(D)水を含有してなる毛髪化粧料。
【請求項2】
前記(A)成分がスルホコハク酸ジオクチル塩および/またはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩である、請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記(B)成分が塩化セチルトリメチルアンモニウムおよび/または塩化ステアリルトリメチルアンモニウムである、請求項1または2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記(C)成分がデカグリセリンモノラウリルエーテルおよび/またはテトラグリセリンモノラウリルエーテルである、請求項1〜3いずれか記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
乳化物である、請求項1〜4いずれか記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
透明である、請求項1〜4いずれか記載の毛髪化粧料。


【公開番号】特開2009−73787(P2009−73787A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245797(P2007−245797)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】