説明

毛髪変形剤

【課題】パーマネント・ウェーブ処理後における毛髪のダメージを抑制し、処理後においても艶やかでまとまりのある、指通りのなめらかな毛髪を実現することができる毛髪変形剤を提供すること。
【解決手段】本発明の毛髪変形剤は、油性原料を85〜99.9重量%の量で含み、さらに油溶性還元剤を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪変形剤に関する。より詳しくは、還元剤を特定の油性原料に溶解したパーマネント・ウェーブ用第1剤に好適な毛髪変形剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のタンパク質成分であるケラチンには、アミノ酸の一種であるシスチンが多く含まれている。毛髪の形状を変化させるパーマネント・ウェーブは、この毛髪内のシスチンが有するジスルフィド結合を還元的に切断し、毛髪にウェーブを形成した後、酸化的にジスルフィド結合を再結合させることによって、ウェーブを固定化する施術処理である。このため、一般にパーマネント・ウェーブ剤は、還元剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とからなる。毛髪内において、こうした化学変化によって毛髪の変形処理を施すパーマネント・ウェーブは、処理後の毛髪に負担を与え、毛髪の損傷を引き起こす傾向にある。
【0003】
従来、上記パーマネント・ウェーブ用第1剤は、毛髪を膨潤させるため、または還元剤のチオール基を解離させるために、イオン交換水または蒸留水などの水を充分に含んでいた。しかし、こうした水を基剤とする第1剤では、毛髪がパサついたり、艶が失われたりしやすく、また手触りが悪化するという問題が生じていた。
【0004】
この問題を改善するため、高級アルコールなどの油性原料を配合したパーマネント・ウェーブ用第1剤が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1においても水を基剤とする第1剤しか開示されておらず、油性原料が充分に配合されたものではなかった。
【0005】
一方、特許文献2には、メルカプトラクトン類を含有したパーマネント・ウェーブ加工用薬剤が提案されている。この薬剤は、特に皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域においても高いウェーブ形成力を有するものであるが、依然として水を基剤とする薬剤であった。
【0006】
このように、従来の水を基剤とする第1剤は、パーマネント・ウェーブ処理による毛髪のダメージを充分に回避し得るものではなかったため、より毛髪のダメージ抑制効果のあるパーマネント・ウェーブ剤が求められていた。
【特許文献1】特開2003−40741号公報
【特許文献2】特開2006−199692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、油性原料を基剤とすることで、ウェーブ形成力を低下させることなく、パーマネント・ウェーブ処理後における毛髪のダメージを抑制し、処理後においても艶やかでまとまりのある、指通りのなめらかな毛髪を実現することができる毛髪変形剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、油溶性還元剤を用い、油性原料を85〜99.9重量%の量で含有する毛髪変形剤により、上記課題を解決することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、たとえば以下の事項に関する。
本発明に係る毛髪変形剤は、油性原料を85〜99.9重量%の量で含み、さらに油溶性還元剤を含むことを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明では、毛髪変形剤全量100重量%中、水を5重量%以下の量で含むことが好ましい。
また、本発明では、前記油溶性還元剤は、チオグリコール酸エステル類および/または環状メルカプト類であることが好ましく、前記チオグリコール酸エステル類はモノチオグリコール酸グリセリルであること、また前記環状メルカプト類は2−メルカプト−4−ブタノリドおよび/または2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンであることがより好ましい。
【0011】
さらに、本発明では、前記油性原料が、エステル油、トリグリセリド、非イオン界面活性剤またはアルコールを含むことが望ましい。
また、本発明では、前記油性原料が、エステル油、トリグリセリドまたは非イオン界面活性剤からなる相溶性油性原料と、相溶性油性原料以外の油性原料とを含むことを特徴とし、前記エステル油は、アジピン酸エステル類、カプリル酸エステル類、セバシン酸エステル類、乳酸エステル類、コハク酸エステル類またはイソノナン酸エステル類から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
また、本発明では、前記相溶性油性原料以外の油性原料が、炭化水素油、揮発性油、不揮発性シリコーン油または高級アルコール類から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る毛髪変形剤は、剤型が液状であり、かつ透明性を有することを特徴としている。
さらに、本発明に係る毛髪変形剤は、高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法または加熱用ロットで毛髪をワィンディングする方法に用いられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の毛髪変形剤をパーマネント・ウェーブ用第1剤として用いることにより、ウェーブ形成力を低下させることなく、パーマネント・ウェーブ施術後の毛髪に、艶、まとまり、およびなめらかさを付与することができ、従来のパーマネント・ウェーブ用第1剤では得られにくかった処理後の毛髪に対するダメージ抑制効果を確実に得ることができる。
【0015】
また、本発明の毛髪変形剤は、通常のパーマネント・ウェーブ施術に用いられるパーマネント・ウェーブ用第1剤としてのみならず、高温整髪用アイロンによる縮毛矯正施術および加熱用ロットによるホット系パーマ施術に用いられるパーマネント・ウェーブ用第1剤としても使用することができ、施術後の毛髪のダメージ抑制効果を得ることができる。
【0016】
なかでも、特に毛髪に対してダメージを与えるとされるホット系パーマ施術において、ホット系パーマネント・ウェーブ用第1剤として、好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の毛髪変形剤について具体的に説明する。
なお、本明細書で「毛髪変形剤」とは、通常のパーマネント・ウェーブ施術に用いられるパーマネント・ウェーブ用第1剤のみならず、縮毛矯正施術に用いられる縮毛矯正用第1剤もしくはその補助剤、加熱用ロットによるホット系パーマ施術に用いられるホット系パーマネント・ウェーブ用第1剤、カーリング剤およびストレート・パーマ剤等をも含む広義の意味である。
【0018】
また、以下、高温整髪用アイロンによる縮毛矯正施術を「縮毛矯正施術」と、加熱用ロットによるホット系パーマ施術を「ホット系パーマ施術」ともいう。
本発明の毛髪変形剤について、以下各成分ごとに詳細に述べる。
【0019】
<油性原料>
本発明に用いられる油性原料とは、一般に毛髪用として用いられ、かつ油性を示すすべての原料の総称であり、例えば以下に示すようなエステル油、トリグリセリド、アルコール、炭化水素類、シリコーン油、高級アルコール等のみならず、界面活性剤をも含む広義の意味である。
【0020】
前記油性原料は、エステル油、トリグリセリド、非イオン界面活性剤またはアルコールであるのが望ましい。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの油性原料であれば、本発明に用いられる還元剤を充分に溶解させることができ、本発明に係る油性原料を基剤とする毛髪変形剤を確実に実現することができる。
【0021】
前記油性原料は、本発明の毛髪変形剤全量100重量%中、通常85〜99.9重量%、好ましくは94〜99.9重量%、より好ましくは97〜99.9重量%の量で含まれているのが望ましい。油性原料の量が上記下限値未満であると、ダメージ抑制力が低下してしまい、処理後の毛髪の艶が失われ、指通りの感触が悪化し、毛髪にパサつきやきしみを生じたりする場合がある。また、上記上限値を超えると、含有される油溶性還元剤量が少なくなりすぎるため、ウェーブ形成力が低下してしまい、通常のパーマネント・ウェーブ施術において処理後の毛髪のウェーブのかかり具合が弱くなったり、あるいは縮毛矯正において癖が充分に伸びなかったりする場合がある。本発明の毛髪変形剤によれば、充分な量の油性原料を配合することができるため、毛髪に与えるダメージを軽減でき、かつ、処理後の毛髪に艶またはなめらかさを付与することができる。
【0022】
なお、本明細書において、他の油性原料との相溶性に優れた油性原料を特に、「相溶性油性原料」といい、例えばエステル油、トリグリセリド、非イオン界面活性剤およびアルコールが挙げられる。
【0023】
さらに本発明の毛髪変形剤は、前記油性原料が相溶性油性原料と、相溶性油性原料以外の油性原料の両方を含むのが好ましく、さらに前記相溶性油性原料がエステル油を含有するのが好ましい。エステル油を配合すると、相溶性油性原料以外の他の油性原料との相溶性が増加するとともに、該エステル油に対する油溶性還元剤の溶解性も高いため、2種以上の油性原料を用いてもこれらが相分離することなく、各成分が均一に溶解した毛髪変形剤を実現することができる。
【0024】
《エステル油》
本発明に用いられるエステル油は、カルボン酸とアルコールとがエステル結合したものであり、アジピン酸エステル類、カプリル酸エステル類、セバシン酸エステル類、乳酸エステル類、コハク酸エステル類またはイソノナン酸エステル類から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリル酸プロピレングリコール、乳酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニルまたはコハク酸ジエチルヘキシルから選択される少なくとも1種であるのが好ましく、なかでもアジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルまたはイソノナン酸イソノニルがより好ましい。さらに、イソノナン酸イソノニルがもっとも好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのエステル油は油性原料全量100重量%中、通常2〜100重量%、好ましく
は2〜98重量%、より好ましくは5〜85重量%の量で本発明の毛髪変形剤に含まれているのが望ましい。
【0025】
エステル油を配合すると、本発明に用いられる油溶性還元剤を充分に溶解させることができるとともに、他の油性原料との相溶性を促進させることができる。特に、後述する揮発性油または不揮発性シリコーン油との相溶性に優れるので、本発明の毛髪変形剤にさらに揮発性油または不揮発性シリコーン油を配合してこれらの特性を付与することが容易となり、より高品質な毛髪変形剤が得られる。なかでも、エステル油としてイソノナン酸イソノニルを配合すると、他の油性原料との相溶性を促進させることができるだけでなく、本発明の毛髪変形剤のウェーブ形成力を強化することができるとともに、処理後の毛髪におけるべとつき感も軽減できるという相乗効果が得られ、好適である。
【0026】
これらのエステル油は、本明細書でいう相溶性油性原料である。
《トリグリセリド》
本発明に用いられるトリグリセリドは、グリセリンと炭素数10〜24の脂肪酸とがエステル結合したものであり、植物油、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソス
テアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリルが挙げられ、なかでもトリ2-エチル
ヘキサン酸グリセリルが好ましい。
【0027】
これらのトリグリセリドは油性原料全量100重量%中、通常2〜100重量%、好ましくは2〜98重量%、より好ましくは5〜85重量%の量で本発明の毛髪変形剤に含まれているのが望ましい。
【0028】
トリグリセリドを配合すると、前記エステル油と同様、本発明に用いられる油溶性還元剤を充分に溶解させることができるとともに、他の油性原料との相溶性を促進させることができる。特に、後述する揮発性油または不揮発性シリコーン油との相溶性に優れる点も前記エステル油と同様である。
【0029】
したがって、トリグリセリドも、本明細書でいう相溶性油性原料である。
《非イオン界面活性剤》
非イオン界面活性剤も油性を示すことから、本明細書でいう油性原料である。本発明に用いられる非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられ、なかでもポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0030】
これらの非イオン界面活性剤は油性原料全量100重量%中、通常2〜100重量%、好ましくは2〜98重量%、より好ましくは5〜85重量%の量で本発明の毛髪変形剤に含まれているのが望ましい。
【0031】
これらの非イオン界面活性剤を配合すると、前記エステル油およびトリグリセリドと同様、本発明に用いられる油溶性還元剤を充分に溶解させることができるとともに、他の油性原料との相溶性を促進させることができる。特に、後述する揮発性油または不揮発性シリコーン油との相溶性に優れる点も同様である。
【0032】
したがって、非イオン界面活性剤も、本明細書でいう相溶性油性原料である。
《アルコール》
本発明に用いられるアルコールは、炭素数1〜6の、1価もしくは多価のアルコールで
あれば特に限定されないが、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、イソペンチルジオールが好ましく、なかでもイソペンチルジオールがより好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
アルコールは、本発明において用いられる油溶性還元剤を溶解させることができる点において、優れた相溶性油性原料である。
《相溶性油性原料以外の油性原料》
本発明に用いられる前記相溶性油性原料以外の油性原料としては、炭化水素油、揮発性油、不揮発性シリコーン油または高級アルコールから選択される少なくとも1種であることが好ましく、揮発性油と不揮発性シリコーン油とを組み合わせて配合するのがより好ましい。これらを配合すると、処理後の毛髪に対してより一層潤いや艶を付与することができ、他の油性原料のダメージ抑制効果にさらに相乗的効果を加えた毛髪変形剤を実現することができる。
【0034】
炭化水素油とは、後述するイソパラフィン系炭化水素等の揮発性を有する炭化水素以外の炭化水素を意味し、具体的にはα−オレフィンオリゴマー、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン粉末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられ、室温下において液状であるのが好ましい。なかでも流動パラフィンが好ましい。
【0035】
揮発性油としては、室温にて揮発するものであれば特に限定されず、具体的には、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等の沸点が100〜260℃の範囲にあるイソパラフィン系炭化水素;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロメチコン)、メチルトリストリメチルシロキシシラン等の、珪素数が2〜8の鎖状シリコーンまたは珪素数が2〜8の環状シリコーンである揮発性シリコーン油等が挙げられる。なかでも、軽質流動イソパラフィン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、シクロメチコンが好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
前記揮発性油を配合すると、本発明の毛髪変形剤のウェーブ形成力を強化することができる。したがって、従来、油性原料を基剤とするパーマネント・ウェーブ第1剤ではウェーブ形成力が弱化すると考えられていたが、これらの揮発性油を配合すれば、ウェーブ形成力が低下することのない油性原料を基剤とした毛髪変形剤が実現できる。また、処理後の毛髪におけるべとつき感も軽減できる。これらの揮発性油は油性原料全量100重量%中、通常5〜80重量%、好ましくは10〜75重量%の量で本発明の毛髪変形剤に含まれているのが望ましい。
【0037】
不揮発性シリコーン油としては、前記揮発性シリコーン油以外のシリコーン油が挙げられ、具体的には、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェン(水素)ポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ヒドロキシ末端変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体及びジメチルシロキサン・メチルステアロキ
シシロキサン共重合体等が挙げられる。なかでも、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ヒドロキシ末端変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーンが好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン等の変性シリコーン類と、これら変性シリコーン類以外の他の不揮発性シリコーン油とを組み合わせて用いると、毛髪に柔らかさとまとまり感を付与できるという効果が得られるので好適である。
【0038】
前記不揮発性シリコーン油を配合すれば、使用感に優れるとともに、処理後の毛髪に対しても、ウェーブ形成の仕上がりの良好な質感を付与することができる。
さらに、揮発性油と不揮発性シリコーン油とを組み合わせると、使用感に優れるとともに、処理後の毛髪に対し、特に毛先の指通りが良くなるという効果を得ることができる。この場合には、揮発性油の量と不揮発性シリコーン油の量が1:1〜90:1の重量比、好ましくは2:1〜80:1の重量比で本発明の毛髪変形剤に含まれているのが望ましい。
【0039】
高級アルコールとしては、炭素数12〜22の1価のアルコールであれば特に限定されず、室温下において液状であるのが好ましい。具体的には、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、オレイルアルコール等が挙げられ、室温下において液状であるのが好ましい。なかでも2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノールが好ましい。
【0040】
<油溶性還元剤>
本発明において用いられる油溶性還元剤とは、油溶性である還元剤を意味し、例えば、N−アセチルシステアミン等のアセチル基を有するシステアミン類;モノチオグリコール酸グリセリルまたはチオグリセロール(チオグリセリン)等の非環状メルカプト類;2−メルカプト−4−ブタノリドまたは2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン等の環状メルカプト類が挙げられる。なかでもモノチオグリコール酸グリセリル、2−メルカプト−4−ブタノリドまたは2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンが好ましく、2−メルカプト−4−ブタノリドまたは2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンがさらに好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。モノチオグリ
コール酸グリセリル、2−メルカプト−4−ブタノリドおよび2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンは、油溶性を有するとともに、毛髪に対するダメージが少なく、ウェーブ形成力が強いという点において優れている。特に2−メルカプト−4−ブタノリドおよび2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンはさらにウェーブ形成力が強いという点で好ましい。
したがって、従来、油性原料を基剤とするパーマネント・ウェーブ第1剤ではウェーブ形成力が弱化すると考えられていたが、これらの油溶性還元剤を用いれば、ウェーブ形成力が低下することのない油性原料を基剤とした毛髪変形剤が実現できる。
【0041】
なお、本明細書中、油溶性とは25℃下において油性原料100重量%中、1重量%以上の還元剤の量が溶解する性質を意味する。
前記油溶性還元剤は、毛髪変形剤全量100重量%中、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の量で本発明の毛髪変形剤に含まれるのが望ましい。油溶性還元剤の量が上記下限値未満であると、毛髪に充分なウェーブを形成することができず、また上記上限値を超えると、還元度合いが進行しすぎて毛髪の損傷を増大させる場合がある。
【0042】
<水>
水は、実質的に毛髪変形剤全量100重量%中、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下の量で含まれていてもよいが、水を全く含まないのがより好ましい。
【0043】
水としては、たとえば蒸留水、イオン交換水等の精製水、または水道水等が挙げられる。したがって、水を基剤とする従来の毛髪変形剤では、水分蒸発に起因して毛髪の艶が失われたり、パサつきを生じたり、手触りの感触が悪化したりしていたが、本発明の毛髪変形剤は油性原料を基剤とするので、これらの問題を改善することができる。
【0044】
<その他の成分>
なお、本発明の毛髪変形剤には、必要に応じて本発明の効果を損ねない範囲内の量で、上述した成分以外のその他の成分をさらに配合することができる。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
配合し得るその他の成分としては、例えば、
蛋白質、ポリペプチド、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸誘導体、擬似セラミドなどの毛髪保護剤;
カチオン化セルロース、カチオン化グァガム、カチオン化ポリマー、カチオン化樹脂、天然水溶性高分子類などのコンディショニング剤;
カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体などの増粘剤、オイルゲル化剤あるいはオイル増粘剤;
アスコルビン酸、エリソルビン酸、エデト酸塩、エチドロン酸塩、フェナセチン、サリチル酸などの安定化剤;
メチルパラベン、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤;
養毛剤、紫外線吸収剤、色素、パール剤、キレート剤、香料などが挙げられる。
【0046】
本発明の毛髪変形剤の剤型は、液状であり、かつ透明性を有することが望ましい。液状とは、25℃においてB型粘度計で測定した該毛髪変形剤の粘度が10000mPa・s以下であることをいう。液状であると、該毛髪変形剤を毛根から毛先まで充分に塗布しやすくなるとともに、処理後に該毛髪変形剤を洗い流す際にも毛髪内における残留量を軽減することができる。
【0047】
また、透明性とは、該毛髪変形剤をある方向から見た場合に、ある方向とは反対側を視認することができる程度に光を透過していることをいう。このため、毛髪変形剤の塗布中または塗布後においても外側から毛髪の色または状態等を視認することができ、個人差のある毛髪に対応した処理が可能となる。
【0048】
本発明の毛髪変形剤は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解等することによって製造することができる。
以下、便宜上、本発明の毛髪変形剤の使用態様について、代表的使用態様としてパーマネント・ウェーブ用第1剤を取り上げて説明するが、これに限定する趣旨ではない。
【0049】
本発明の毛髪変形剤を用いる限り、毛髪処理方法は特に限定されず、該毛髪変形剤の具体的使用方法も特に限定されるものではない。したがって、本発明に係る毛髪変形剤は、通常のパーマネント・ウェーブ施術に好適に用いられるだけでなく、高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(縮毛矯正施術)および加熱用ロットによるホット系パーマ施術(ホット系パーマ施術)にも好適に用いることができる。
【0050】
一般に、通常のパーマネント・ウェーブ施術とは、パーマネント・ウェーブ用第1剤を塗布して毛髪に所望のウェーブを形成し、放置・洗髪後、パーマネント・ウェーブ用第2剤を塗布して毛髪のウェーブを固定化する毛髪処理方法である。本発明の毛髪変形剤を前記パーマネント・ウェーブ用第1剤として用いることができる。
【0051】
高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(縮毛矯正施術)とは、縮毛矯正用第1剤を塗布して、放置・洗髪後、高温整髪用アイロンを用いて毛髪を真っ直ぐに伸ばし、縮毛矯正用第2剤を塗布して毛髪の形状を固定化する毛髪処理方法である。本発明の毛髪変形剤を前記縮毛矯正用第1剤として、またはその補助剤として用いることができる。
【0052】
補助剤として用いる場合は、縮毛矯正用第1剤を塗布して、放置・洗髪後、ドライヤーを用いて毛髪の癖を伸ばした後、本発明の毛髪変形剤を塗布して高温整髪用アイロンで処理する。その後、縮毛矯正用第2剤を塗布して毛髪の形状を固定化する。
【0053】
加熱用ロットによるホット系パーマ施術とは、まず、パーマネント・ウェーブ用第1剤を塗布して放置し、洗髪した後、タオルドライする。次に、毛髪を加熱用ロットでワィンディング(毛髪の巻き込み)して所望のウェーブを形成し、加熱用ロットを通電して加熱を開始し、放置する。その後、パーマネント・ウェーブ用第2剤を塗布して、毛髪のウェーブを固定化する毛髪処理方法である。本発明の毛髪変形剤を前記パーマネント・ウェーブ用第1剤として、またはその補助剤として用いることができる。
【0054】
ホット系パーマ施術において、本発明の毛髪変形剤をパーマネント・ウェーブ用第1剤の補助剤として用いる場合は、通常のパーマネント・ウェーブ用第1剤を塗布して放置し、洗髪する。タオルドライ後、本発明の毛髪変形剤を塗布する。その後、毛髪を加熱用ロットでワィンディング(毛髪の巻き込み)して所望のウェーブを形成し、加熱用ロットを通電して加熱を開始し、放置後、パーマネント・ウェーブ用第2剤を塗布して毛髪のウェーブを固定化する。
【0055】
本発明に係る毛髪変形剤を用いてこれらの毛髪処理方法を行なえば、処理後の毛髪に対して艶やかさや潤いを付与することができ、指通りも良く、まとまりのある毛髪を実現することができる。特に、毛髪に対してダメージを与えるとされるホット系パーマ施術に用いれば、本発明に係る毛髪変形剤の有するダメージ抑制効果を最大限に発揮できるので、好適な使用形態である。さらに前記第1剤では還元反応が不十分である場合、または毛髪
の一部を軟化したい場合にも、本発明に係る毛髪変形剤を部分的に塗布して毛髪処理を継続することができる。また、通常、ホット系パーマ施術では、パーマネント・ウェーブ用第1剤を塗布した後、その薬剤を洗い流す必要があるが、本発明に係る毛髪変形剤は洗い
流すことなく、そのまま加熱用ロットでワィンディングして加熱を始めることができるので、さらに効果的なウェーブを形成することが可能となる。
【0056】
なお、パーマネント・ウェーブ用第2剤としては、酸化剤を基剤とした公知のものを使用することができ、特に限定されないが、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過酸化水素、過ホウ素酸ナトリウムなどの酸化剤;界面活性剤;安定剤;pH調整剤;金属封鎖剤;油剤;湿潤剤、コンディショニング剤などを含んでなるものなどが挙げられる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例では、表3〜表4に記載の各成分をそれぞれ対応する配合比(重量%)とし、一般的な乳化方法を用いてパーマネント・ウェーブ用第1剤を調製した。
【0058】
実施例で用いた通常のパーマネント・ウェーブ用第2剤および通常の縮毛矯正用第2剤の成分とその配合比(重量%)を表1〜表2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
[評価方法]
評価には処理した毛髪を用い、専門テスター(美容師)により各評価項目につき以下の基準に基づいて、評価を行った。
【0062】
≪艶≫
処理した毛髪を目視することにより、艶やかさを評価した。
◎:非常に艶がある
○:艶がある
△:やや艶がある
×:艶がない
≪まとまり≫
処理した毛髪を目視することにより、毛先のまとまり具合を評価した。
【0063】
◎:非常にまとまりがある
○:まとまりがある
△:ややまとまりがある
×:まとまりがない
≪手触りのなめらかさ≫
処理した毛髪を触感することにより、毛髪の滑らかさを評価した。
【0064】
◎:非常につるつるしてなめらかである
○:つるつるしてなめらかである
△:ややつるつるしてなめらかである
×:つるつるせず、なめらかでない
≪毛先の指通り≫
処理した毛髪に手櫛を通し、毛先までの指通りの良さで評価した。
【0065】
◎:指が毛先に引っかからず、非常に指通りがよい
○:指が毛先に引っかからず、指通りがよい
△:指が毛先にやや引っかかり、指通りがよくない
×:指が毛先に引っかかり、指通りがよくない
≪ウェーブの強さ≫
処理した毛髪を目視することにより、ウェーブのかかり具合を評価した
◎:よくかかっている
○:かかっている
△:少しかかっている
×:かかっていない
≪ダメージ≫
処理した毛髪を目視することにより、パサつきを評価した。
【0066】
◎:パサつきがない
○:ほとんどパサつきがない
△:ややパサつきがある
×:パサついている
≪癖の伸び≫
処理した毛髪を目視することにより、癖の伸び具合を評価した。
【0067】
◎:よく伸びている
○:伸びている
△:あまり伸びていない
×:伸びていない
[実施例1〜6]
表1に示した成分および割合で、各成分を攪拌、混合し、毛髪変形剤を得た。
【0068】
また、同一人物であるテストパネラーから長さ25cm、重さ4gの毛髪を採取し、常法によりシャンプーで洗髪した後、タオルドライし、得られた毛髪変形剤を塗布した。次に毛髪をロットでワインディングして、15分間室温で放置した後、常法により水で洗髪した。その後、表1に記載の通常のパーマネント・ウェーブ用第2剤を塗布して7分間常温で放置し、さらに該第2剤を再塗布して7分間常温で放置した。そして毛髪を常法により水で洗髪した後、ドライヤーで乾燥させた。
【0069】
処理後の毛髪を用いて、上記評価方法により評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例1〜5]
表1に示した成分および割合で、各成分を攪拌、混合し、毛髪変形剤を得た。
実施例1〜6と同様の処理を行った毛髪を用いて、前記評価方法にしたがって評価を行った。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
実施例1と比較例1により、本発明の油性原料を基剤としたパーマネント・ウェーブ用第1剤は、従来の水を基剤とした第1剤と比べ、処理後の毛髪に充分な艶、まとまり、なめらかさを付与することができることがわかる。
【0072】
また、実施例1〜3と比較例2により、還元剤のうち、システアミンは油性原料に不溶であり、2−メルカプト−4−ブタノリド、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンおよびモノチオグリコール酸グリセリルは油性原料に溶解するので本発明の油溶性還元剤として好ましく、ウェーブ形成力の点から、特に2−メルカプト−4−ブタノリドまたは2
−メルカプト−4−ブチロチオラクトンが最適であることがわかる。
【0073】
さらに、実施例4〜6、および比較例3〜5により、油性原料の配合量は、本発明の毛髪変形剤全量100重量%中、85〜99.9重量%が好ましく、さらに94〜99.9重量%の量が好適であることがわかる。
【0074】
[実施例7〜19]
表2に示した成分および割合で、各成分を攪拌、混合し、毛髪変形剤を得た。
実施例1〜6と同様の処理を行った毛髪を用いて、前記評価方法にしたがって評価を行った。結果を表4に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
実施例7と実施例8により、毛髪変形剤に相溶性油性原料としてエステル油を配合すると、アルコールを配合した場合に比べ、処理後の毛髪により艶を付与できることがわかる。
【0077】
実施例9により、前記エステル油に加え、さらに揮発性油を配合すると、ウェーブ形成力がより強化されることがわかる。
実施例10と実施例11により、ウェーブ形成力の点から、油溶性還元剤として2−メルカプト−4−ブタノリドがより好ましいことがわかる。
【0078】
実施例12〜19により、エステル油の種類を変えて他の油性原料との相溶性を向上させ、相溶性油性原料以外の油性原料を配合することによって、より処理後の毛髪に手触りのなめらかさを付与することができることがわかる。
【0079】
さらに実施例18〜19により、揮発性油と不揮発性シリコーン油とを組み合わせて配合することで、より毛先の指通りの良さを付与することができることがわかる。
≪高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(縮毛矯正)での使用≫
実施例1、18および比較例1で得られた毛髪変形剤を用いて、高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(以下「縮毛矯正」ともいう)により毛髪を処理し、評価を行った(実施例20〜21および比較例6)。
【0080】
[実施例20〜21]
同一人物であるテストパネラーから長さ25cm、重さ4gの癖のある毛髪を採取し、常法によりシャンプーで洗髪した後、タオルドライし、実施例20では実施例1で得られた毛髪変形剤を塗布し、実施例21では実施例18により得られた毛髪変形剤を塗布した。次に15分間室温で放置した後、常法により水で洗髪した。その後、タオルドライし、ドライヤーで癖を伸ばしながら乾燥させ、常法により高温整髪用アイロンで処理した。さらに表2に記載の通常の縮毛矯正用第2剤を塗布した後、常法により水で洗髪し、ドライヤーで乾燥させた。
【0081】
処理後の毛髪を用いて、上記評価方法により評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例6]
比較例1で得られた毛髪変形剤を用いた以外、実施例20〜21と同様の処理を行った毛髪を用いて、前記評価方法にしたがって評価を行った。結果を表5に示す。
【0082】
【表5】

【0083】
≪加熱ロットで毛髪をワィンディングする方法(ホット系パーマ)での補助的な使用≫
実施例1、18および比較例1で得られた毛髪変形剤を用いて、加熱ロットで毛髪をワィンディングする方法(以下「ホット系パーマ」ともいう)により毛髪を処理し、評価を行った(実施例22〜23および比較例7)。実施例22〜23および比較例7で用いた従来の水を基剤としたホット系パーマネント・ウェーブ用第1剤の成分とその配合比(重
量%)を表6に示す。
【0084】
【表6】

【0085】
[実施例22〜23]
同一人物であるテストパネラーから長さ25cm、重さ4gの毛髪を採取し、常法によりシャンプーで洗髪した後、タオルドライし、表6に記載のホット系パーマネント・ウェーブ用第1剤を塗布した。15分間室温で放置して毛髪を充分に軟化させた後、常法により水で洗髪し、タオルドライした。その後、実施例22では実施例1で得られた毛髪変形剤を塗布し、実施例23では実施例18で得られた毛髪変形剤を塗布し、それぞれ加熱ロットで毛髪をワィンディングした。ワィンディング後、加熱ロットを通電させて90℃まで加熱し、そのまま15分間放置した。さらに加熱ロットをはずした後、表1に記載の通常のパーマネント・ウェーブ用第2剤を塗布して10分間常温で放置し、常法により水で洗髪した後、ドライヤーで乾燥させた。
【0086】
処理後の毛髪を用いて、上記評価方法により評価を行った。結果を表7に示す。
[比較例7]
比較例1で得られた毛髪変形剤を用いた以外、実施例22〜23と同様の処理を行った毛髪を用いて、前記評価方法にしたがって評価を行った。結果を表7に示す。
【0087】
【表7】

【0088】
≪高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(縮毛矯正)での補助的な使用≫
実施例1、18および比較例1で得られた毛髪変形剤を補助的に用いて、高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法(以下「縮毛矯正」ともいう)により毛髪を処理し、評価を
行った(実施例24〜25および比較例8)。実施例24〜25および比較例8で用いた従来の水を基剤とした縮毛矯正用第1剤の成分とその配合比(重量%)を表8に示す。
【0089】
【表8】

【0090】
[実施例24〜25]
同一人物であるテストパネラーから長さ25cm、重さ4gの癖のある毛髪を採取し、常法によりシャンプーで洗髪した後、タオルドライし、表8に記載の縮毛矯正用第1剤を塗布した。次に15分間室温で放置した後、常法により水で洗髪した。その後、タオルドライし、ドライヤーで丁寧に癖を伸ばしながら乾燥させた。次に、実施例24では実施例1で得られた毛髪変形剤を塗布し、実施例25では実施例18で得られた毛髪変形剤を塗布し、それぞれ常法により高温整髪用アイロンで処理した。さらに表2に記載の通常の縮毛矯正用第2剤を塗布した後、常法により水で洗髪し、ドライヤーで乾燥させた。
【0091】
処理後の毛髪を用いて、上記評価方法により評価を行った。結果を表9に示す。
[比較例8]
比較例1で得られた毛髪変形剤を用いた以外、実施例24〜25と同様の処理を行った毛髪を用いて、前記評価方法にしたがって評価を行った。結果を表9に示す。
【0092】
【表9】

【0093】
表5、7および9により、本発明の毛髪変形剤は、通常のパーマネント・ウェーブ施術に用いられるパーマネント・ウェーブ用第1剤としてのみならず、高温整髪用アイロンによる縮毛矯正施術および加熱ロットによるホット系パーマ施術に用いられるパーマネント・ウェーブ用第1剤としても使用することができ、従来の毛髪変形剤と比べ、施術後の毛
髪のダメージ効果の抑制力に優れていることがわかる。
【0094】
特に、毛髪に対してダメージを与えるとされるホット系パーマにおいて、本発明の毛髪変形剤は好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性原料を85〜99.9重量%の量で含み、さらに油溶性還元剤を含むことを特徴とする毛髪変形剤。
【請求項2】
毛髪変形剤全量100重量%中、水を5重量%以下の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の毛髪変形剤。
【請求項3】
前記油溶性還元剤が、チオグリコール酸エステル類および/または環状メルカプト類であることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪変形剤。
【請求項4】
前記チオグリコール酸エステル類がモノチオグリコール酸グリセリルであることを特徴とする請求項3に記載の毛髪変形剤。
【請求項5】
前記環状メルカプト類が2−メルカプト−4−ブタノリドおよび/または2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンであることを特徴とする請求項3に記載の毛髪変形剤。
【請求項6】
前記油性原料が、エステル油、トリグリセリド、非イオン界面活性剤またはアルコールを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の毛髪変形剤。
【請求項7】
前記油性原料が、エステル油、トリグリセリドまたは非イオン界面活性剤からなる相溶性油性原料と、相溶性油性原料以外の油性原料とを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の毛髪変形剤。
【請求項8】
前記エステル油が、アジピン酸エステル類、カプリル酸エステル類、セバシン酸エステル類、乳酸エステル類、コハク酸エステル類またはイソノナン酸エステル類から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6または7に記載の毛髪変形剤。
【請求項9】
前記相溶性油性原料以外の油性原料が、炭化水素油、揮発性油、不揮発性シリコーン油または高級アルコール類から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7または8に記載の毛髪変形剤。
【請求項10】
剤型が液状であり、かつ透明性を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の毛髪変形剤。
【請求項11】
高温整髪用アイロンで毛髪を処理する方法に用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の毛髪変形剤。
【請求項12】
加熱用ロットで毛髪をワィンディングする方法に用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の毛髪変形剤。

【公開番号】特開2008−81471(P2008−81471A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266075(P2006−266075)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】