説明

毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪化粧料

【課題】毛髪に使用することにより、パーマやヘアカラーなどにより引き起こされる毛髪損傷に起因する毛髪の弾力性低下及びパサツキを改善し、さらに毛髪の損傷を改善することを目的とした毛髪損傷改善剤及びそれを配合することにより毛髪損傷改善効果に優れた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】特定の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%〜60%含まれる毛髪損傷改善剤及びそれら毛髪損傷改善剤を配合したことを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の損傷を改善することを目的とする毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪化粧料に関する。詳しくは、パーマやヘアカラーなどによる毛髪損傷に起因した毛髪の弾力性低下及びパサツキを改善し、さらに毛髪の損傷も改善することを目的とする毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪損傷改善効果に優れる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、パーマネントウェーブ、ブリーチ、ヘアカラー、紫外線、ドライヤーやヘアアイロンの熱など化学的または物理的刺激により損傷を受け、枝毛、切れ毛、パサツキ、ツヤの低下などが生じる。これら毛髪の損傷は、化学的または物理的刺激により、毛髪内部、外部及び表層部の構造が変化することによるものである。即ち、毛髪の内部からはシャンプーなどの洗浄行為によって脂質やたんぱく質が流出する。また、毛髪表面では疎水膜の欠落によって親水化が生じたり、キューティクルの剥がれ、脱落が生じたりすることがある。このような損傷状態の毛髪を改善する手法として、可溶性シルクペプチド、コラーゲン、ケラチン又はコンキオリンなどのタンパク質や、アミノ酸、植物抽出物、ツバキ油やオリーブ油などの植物油、第4級アンモニウム塩、3級アミン、カチオン性ポリマー、セラミド、両親媒性アミド、シリコーンなどを配合した毛髪化粧料が提案されている。例えば、不揮発性シリコーン類及び植物抽出物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照。)、カチオン化蛋白誘導体及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献2参照。)、可溶性シルクペプチド、糖アルコール及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照。)、両親媒性アミド脂質及び三級アミンを配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。しかしながらこれらの使用では、指どおりや櫛どおり、ツヤ、うるおい感、まとまり感の付与などによりを損傷状態改善する一定の効果は見られるが、毛髪の弾力性を改善する効果は十分でないなどの問題点があった。
【0003】
一方、海浜植物に様々な効果があることも知られている。例えば、サリコルニア・ラモシッシマ、スエダ・ベラ、ベータ・マリチマ、オビオン・ポルトゥラコイド、アルメリア・マリチマ、クリスマム・マリチマム、オフリス・スフェゴード、アルテミア・ブルガリス、ムスカリス・コモサム、エリンギウム・マリチマム、サングイソルバ・マイナー、コクレアリア・オフィシナリス、フマリア・オフィシナリス、ビンセトキシカム・フロナム、ディプサクス・フロナム、ヘラクレウム・スポンディリウム、イヌラ・クリスモイズ、イヌラ・ブリタニカ、イヌラ・ビスコサなどの好塩性植物(海浜植物)の脱分化植物細胞の凍結乾燥物が、肌の脱色及びライトニング、表皮の保護及び再生などの効果を有すること(例えば、特許文献6参照。)や、海浜植物ツルナの生葉がアトピー性皮膚炎を治療する効果があること(例えば、特許文献7参照。)などが挙げられる。しかしながら、海浜植物由来成分の毛髪への作用は不明であり、毛髪損傷の改善効果を発揮するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−231348号公報
【特許文献2】特開平10−175824号公報
【特許文献3】特開2000−191446号公報
【特許文献4】特開2004−217643号公報
【特許文献5】特開2007−332035号公報
【特許文献6】特公表2007−517005号公報
【特許文献7】特開2002−205951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術を背景として、本発明の目的は、パーマやヘアカラーなどによる毛髪損傷に起因した毛髪の弾力性低下及びパサツキを改善し、さらに毛髪の損傷も改善することを目的とする毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪損傷改善効果に優れる毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、本発明の目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の海浜植物抽出物の組合せがパーマやヘアカラーなどにより引き起こされる毛髪損傷を補修し、弾力性の低下や、パサツキなどを改善することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備えている。即ち、本発明はリモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも3種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%〜60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪損傷改善剤は、パーマやヘアカラーなどによる毛髪損傷に起因した毛髪の弾力性低下及びパサツキを改善し、さらに毛髪の損傷も補修し改善することができる。またそれを配合することにより毛髪損傷改善効果に優れた毛髪化粧料となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の毛髪損傷改善剤は、海浜植物であるリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデ及びトリプレウロスペルムムマリチマの5種類のうち、少なくとも3種の海浜植物の抽出エキスを有効成分とするものである。海浜植物の使用部位は特に限定されず、また使用する海浜植物の3種以上の組み合わせとしても適宜選択すればよいが、少なくともリモニウムゲルベリ、ハマナ及びクリスマムマリチマムの3種を用いることが好ましい。さらに好ましくは、上記5種全てを含むことである。
【0011】
エキス抽出は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸などの極性有機溶媒から選択される1種または2種以上を使用して行われることが好ましい。さらには1.3−ブチレングリコールで抽出を行い、得られた抽出物は水溶性であることが好ましい。
【0012】
また、海浜植物抽出物であるリモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスには、アミノ酸、ポリフェノール、ミネラル、ビタミン及びフルクトースなどの有効成分が含まれる。本発明の毛髪損傷改善剤は、上記海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%〜60%含まれることが必要である。さらには、15%〜55%含まれることが好ましい。有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で60%を越えて含まれる場合には、処理した毛髪の吸湿性が強くなりべたつきが生じるなどの問題がある。また10%未満の場合には、十分な毛髪損傷改善効果が得られないなどの問題がある。
【0013】
本発明の毛髪損傷改善剤海浜植物抽出物の効果は、下記毛髪損傷改善パラメーターを1.10以上にするものが好ましい。毛髪損傷改善パラメーターとは下記数式(1)に示すように、毛髪損傷改善剤未処理の健康毛髪のヒステリシス比に対する毛髪損傷改善剤を処理した損傷毛髪のヒステリシス比の比で示される。このパラメーターが1.00を越えるとき毛髪損傷の改善効果が一応見られたことになるが、効果が実感されるのは1.10以上であり好ましい。
【0014】
【数1】

【0015】
これら毛髪損傷改善剤はそのまま若しくは、水やアルコールなどの溶媒に希釈して直接毛髪に使用する事も出来るが、通常の毛髪化粧料に配合して使用する事も出来る。毛髪化粧料としては、ヘアーシャンプーのような洗浄剤、塗布後洗い流して使用するヘアーリンス剤又はヘアートリートメント剤、つけっ放しで使用するトリートメント剤、ヘアーミルク、ヘアークリーム、ヘアーワックス、ヘアージェル、ヘアーローション、トリガースプレータイプ癖下直しスプレー、ノンエアゾール型フォーム及びヘアースプレーやヘアーフォームなどのエアゾール剤形のヘアースタイリング剤等があり、毛髪に使用することにより、パーマやヘアカラーなどにより引き起こされる毛髪損傷に起因する毛髪の弾力性低下、及び、パサツキを改善し、さらに毛髪の損傷を改善する。
【0016】
毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料には、通常毛髪化粧料に用いられる成分を配合する事ができる。例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、グアニジノ誘導体、三級アミン化合物などのような界面活性剤がある。
【0017】
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、硫酸塩、スルホン酸塩、トリエタノールアミン塩又はカルボン酸塩等が挙げられる。詳細には、平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩。平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩。平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸塩。平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩。平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するアルカンスルホン酸塩。平均10〜20の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩。平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。平均10〜20の炭素原子から成るアルキル基又はアルケニル基を有するα―スルホン酸脂肪酸塩又はエステル。炭素数8〜24のアシル基および遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤。炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤。炭素数8〜22の高級アルコール若しくはそのエトキシレートなどのスルホコハク酸エステル又は高級脂肪酸アミド由来のスルホコハク酸エステル。平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有したサルコシン塩。炭素数8〜20の高級脂肪酸モノエタノールアマイド若しくはジエタノールアマイド又はそれらのエトキシレートなどのスルホン酸塩。炭素数8〜20のモノグリセライドのスルホン酸塩。炭素数8〜20の高級脂肪酸と
イセチオン酸との縮合物の塩などがある。
【0018】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するα位付加型、2級アミド若しくは3級アミド型のイミダゾリン系両性界面活性剤。炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するカルボキシベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、若しくはアミドスルホベタイン系両性界面活性剤などがある。これら両性界面活性剤の対イオンとしては、アニオン性残基では、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミンを挙げることができる。又、カチオン性残基の対イオンとしては、塩素、臭素、沃素等のハロゲンイオン及びメトサルフェート等が挙げられる。
【0019】
非イオン性界面活性剤としては、平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのエチレンオキサイドを付加したポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのブチレンオキサイドを付加したポリオキシブチレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、総和で1〜30モルのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとブチレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤,下記一般式(1)で表される高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物,平均炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステル,平均炭素数10〜20の脂肪酸とグリセリンからなる脂肪酸グリセリンモノエステル,下記一般式(2)で表されるアルキルグルコシド等が挙げられる。
【0020】
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは0〜3の整数を示す。)
【0021】
[化2]
O−(RO)−(G) ……(2)
(式中、Rは炭素数6〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6の還元糖を示し、cは0〜10の数を、dは1〜10の数を表す。)
【0022】
カチオン界面活性剤、グアニジノ誘導体及び三級アミン化合物としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、N−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピ
ル]−L−アルギニン酸塩、酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGジメチルアミン、ベヘニルPGジメチルアミン等が挙げられる。三級アミン型化合物は、酸性アミノ酸、有機酸又は無機酸により中和して使用される事が好ましく、具体的には、グルタミン酸、アスパラギン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リン酸、塩酸等がある。又、カチオン性ポリマーが配合される場合がある。
【0023】
感触向上剤として、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体が配合される。カチオン性ポリマーとしては、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシセルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー、メチルビニルイミダゾリニウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジアリルジメチルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ビニルピロリドン/アルキルアミノメタクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー等が挙げられる。これらカチオン性ポリマーは2種以上を併用してもよい。
【0024】
シリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げらる。これらシリコーン誘導体は2種以上を併用してもよい。
【0025】
又、上記以外の成分として、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコールなどの高級アルコール、コレステロール及びその誘導体、蜜蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、固形パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、ラノリン誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等の油性成分、ポリカルボン酸エステル共重合体、架橋型カルボン酸/カルボン酸エステル共重合体、架橋型アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/ブタンスルホン酸アクリルアミド共重合体等の高分子化合物、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、グルタミン酸、グリシン、プロリン、アルギニン等のアミ
ノ酸及びその塩、動植物由来の抽出エキス、紫外線吸収剤、パール化剤、メチルパラベンやフェノキシエタノール等の防腐剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗フケ剤、pH調整剤、LPG、DME、窒素、炭酸ガスなどのエアゾール噴射剤、色素、香料など目的に応じて配合される。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は、すべて質量%である。
【0027】
[実施例1〜7、比較例1〜4]
表1〜表2に毛髪損傷改善剤の実施例及び比較例を示す。実施例に用いた抽出物1〜4の具体的内容は、抽出物1がリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマムの3種の海浜植物からなる含水1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物2がリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデの4種の海浜植物からなる含水1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物3がリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、トリプレウロスペルムムマリチマの4種の海浜植物からなる含水1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物4がリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデ、トリプレウロスペルムムマリチマの5種の海浜植物からなる含水1.3−ブチレングリコール抽出物である。また比較例に用いた抽出物5〜8の具体的内容は、抽出物5がトリプレウロスペルムムマリチマの含水1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物6がイヌラクリスモイデ、トリプレウロスペルムムマリチマの2種海浜植物からなる含水1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物7がリモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデ、トリプレウロスペルムムマリチマの5種の海浜植物からなる1.3−ブチレングリコール抽出物、抽出物8が紅藻エキスである。実施例及び比較例のポリフェノール及びフルクトース含有量を常法により測定した。
【0028】
<毛髪損傷改善パラメーター評価>
テクスチャーアナライザー(TA−XT plus:英弘精機株式会社製)を用いて、毛髪単繊維の弾性を測定した。毛髪を20%伸長させる仕事量、及び、戻すときに必要な仕事量からヒステリシス比を計算、以下の数式(1)に従い算出を行った。このパラメーターが1.00を越えるとき毛髪損傷の改善効果が一応あったことになるが、好ましくは1.10以上である。
【0029】
【数1】

【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
表1〜表2より比較例で示したものは実施例より毛髪損傷改善効果が劣っていた。実施例で示した本発明により得られた毛髪損傷改善剤では毛髪損傷改善パラメーターが大きくなり、損傷した毛髪を改善するものである。本発明範囲の毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料の実施例を下記に具体的に示す。実施例で用いた香料は表3で示したものを用いた。尚、評価方法はパーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に伴なう切れ毛、パサツキなどが改善されたかをアンケートにより実施した。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例8 ヘアーシャンプー
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 4.0
ラウロイルサルコシントリエタノールアミン 5.0
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム 1.0
N−ラウロイル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン40%液 2.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 5.0
コカミドメチルモノエタノールアミド 1.0
コカミドモノエタノールアミド 0.5
ラウリン酸モノイソプロパーノールアミド 0.5
エチレングリコールジステアレート 2.0
グリコシルトレハロース 0.5
高重合メチルポリシロキサン50%エマルション 1.0
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.1
カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.2
メチルパラベン 0.1
安息香酸ナトリウム 0.2
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.3
塩化ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
海藻抽出液 0.1
マリンプラセンタエキス(サケ) 0.1
カギイバラノリエキス 0.1
香料 0.5
精製水 残 量
【0035】
<調整方法>
常法によりヘアーシャンプーを調製した。
【0036】
上記ヘアーシャンプー(pH6.0)は、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0037】
実施例9 ヘアーコンディショナー
(質量%)
ステリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.5
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
ベヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
乳酸(90%) 0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.15
固形パラフィン 1.0
白色ワセリン 0.3
グリコシルトレハロース 1.0
ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル 0.2
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.5
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリ
シロキサン混合物60%エマルション 5.0
アモジメチコン 0.5
アミノポリエーテル変性シリコーン 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
マリンプラセンタエキス(サケ) 0.1
カギイバラノリエキス 0.1
香料 0.5
精製水 残 量
【0038】
<調整方法>
常法によりヘアーコンディショナーを調製した。
【0039】
上記ヘアーコンディショナー(pH4.3)は、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0040】
実施例10 ヘアートリートメント
(質量%)
ステアリルアルコール 9.0
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルトリモニウムクロリド 1.0
ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
乳酸(90%) 0.3
セバシン酸ジエチル 3.0
グリコシルトレハロース 5.0
プロピレングリコール 3.0
実施例5の損傷毛髪改善剤 1.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリシロキサン混合物 1.0
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合物50%エマルション 3.0
マリンプラセンタエキス(サケ) 0.1
カギイバラノリエキス 0.1
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.6
精製水 残 量
【0041】
<調整方法>
常法によりヘアートリートメントを調製した。
【0042】
上記ヘアートリートメント(pH4.7)は、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0043】
実施例11 つけっ放しヘアートリートメント
(質量%)
エタノール(95%) 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
トリエタノールアミン 0.25
ポリオキシプロピレンブチル(37)エーテル 1.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリシロキサン混合物 10.0
実施例3の損傷毛髪改善剤 0.6
ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油 0.5
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
香料 0.05
精製水 残 量
【0044】
<調整方法>
常法によりつけっ放しヘアートリートメントを調製した。
【0045】
上記つけっ放しヘアートリートメント(pH6.7)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0046】
実施例12 ヘアーワックス
(質量%)
ミツロウ 3.0
キャンデリラワックス 3.0
ワセリン 2.0
セトステリルアルコール 5.0
流動パラフィン 8.0
スクワラン 3.0
グリコシルトレハロース 1.0
ポリオキシエチレン(60)セチルエーテル 3.5
ポリエーテル変性シリコーン 1.0
実施例2の損傷毛髪改善剤 0.5
ジメチルポリシロキサン 1.0
メチルパラベン 0.2
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.1
精製水 残 量
【0047】
<調整方法>
常法によりヘアーワックスを調製した。
【0048】
上記ヘアーワックス(pH7.5)は、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0049】
実施例13 癖下直しスプレー
(質量%)
エタノール(95%) 8.0
1,3―ブチレングリコール 0.5
濃グリセリン 1.0
トリメチルグリシン 1.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
エチルグルコシド 1.0
グリコシルトレハロース 0.5
実施例6の損傷毛髪改善剤 0.1
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0050】
<調整方法>
常法により調製した上記組成物をトリガータイプの容器に充填し、寝癖直しスプレー(pH6.0)を作製した。
【0051】
上記癖下直しスプレーは、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0052】
実施例14 ヘアーミスト
<調整方法>
実施例10の寝癖直しスプレーを耐圧容器に充填し、最終圧力が0.8MPaとなるように窒素ガスを封入し、ヘアーミストを作製した。
【0053】
上記ヘアーミストは、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0054】
実施例15 ノンエアゾールヘアーフォーム
(質量%)
エタノール(95%) 8.0
ポリエチレングリコール#600 1.0
濃グリセリン 0.5
ジプロピレングリコール 1.0
ポリオキシエチレン(25)イソセチルエーテル 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
実施例7の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0055】
<調整方法>
上記組成物(pH5.5)を、常法により調製した後、ポンプフォーマーなどの容器に入れ、ノンエアゾールヘアーフォームを作製した。
【0056】
このノンエアゾールヘアーフォームは、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。
【0057】
実施例16 ヘアーフォーム(エアゾール)
<原液> (質量%)
エタノール(95%) 20.0
ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル
メタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩 10.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.5
ソルビトール液 1.0
グリコシルトレハロース 0.5
イソステアリルアルコール 1.0
イソステリン酸ジグリセリル 0.5
実施例1の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.15
精製水 残 量
<製品>
原液 90.0
噴射剤(液化石油ガス) 7.0
噴射剤(DME) 3.0
【0058】
<調整方法>
常法により調製した。
【0059】
上記ヘアーフォーム(pH6.7)は、連用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、パサツキを改善した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも3種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%〜60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤。
【請求項2】
下記式に定める毛髪損傷改善パラメーターが1.10以上である請求項1に記載の毛髪損傷改善剤。
【数1】

【請求項3】
請求項1または2に記載の毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料。

【公開番号】特開2012−20946(P2012−20946A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158547(P2010−158547)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】