毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤並びに毛髪脱色剤及び酸化染毛剤
【課題】 製剤の保存安定性に優れると共に、毛髪の損傷を抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 （ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤とする。また、該第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤又は酸化染毛剤とする。
【解決手段】 （ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤とする。また、該第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤又は酸化染毛剤とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、毛髪脱色剤は脱色効果が優れていることから、アルカリ剤を含有する第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とを使用時に混合するニ剤式の毛髪脱色剤が主流となっている。また、染毛剤は効果が持続的であり、元の毛髪よりも明るい色調に染色が可能なことから、アルカリ剤と酸化染料を含有する第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とを使用時に混合するニ剤式の酸化染毛剤が主流となっている。
【０００３】
二剤式の毛髪脱色剤は、使用時にアルカリ剤と過酸化水素とが作用して酸素を発生させ、これにより毛髪中のメラニン色素を分解して毛髪を脱色する。また、二剤式の酸化染毛剤は、発生した酸素が毛髪中のメラニン色素を酸化分解すると共に、酸化染料を毛髪内で酸化重合することにより毛髪を染色する。
【０００４】
また、第１剤中のアルカリ剤は、過酸化水素との作用の他、毛髪表面のキューティクルを膨潤させ、染料を毛髪内部に浸透させて染毛効果を向上させるといった効果も有している。しかし、毛髪表面のケラチン蛋白はアルカリ剤によって分解され易いことから、毛髪が損傷し枝毛や断毛等が生じるといった問題を有している。
【０００５】
このような問題点を解決するために、アンモニア及びアンモニウム塩、高級脂肪酸又は高級アルコール、あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含有したクリーム状染毛剤第１剤組成物（特許文献１参照）、アルカリ剤及びシスチン又はその誘導体を含有する酸化型染毛剤用第１剤（特許文献２参照）などが報告されている。
【０００６】
しかしながら、これら第１剤は、毛髪の損傷をある程度抑制できるものの、アルカリ剤が含有されているため、系の高ｐＨの影響により、製剤の保存安定性に劣るといった問題がある。また、この安定性の問題は、系がクリーム状の場合には、より影響を受ける傾向にある。
【０００７】
【特許文献１】特公平７−９４３７２号公報
【特許文献２】特開２００２−３７０９４８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、製剤の保存安定性に優れると共に、毛髪の損傷を抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
すなわち、本発明は、
〔１〕（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔２〕前記（ａ）成分の含有量と、前記（ｂ）成分の含有量との重量比〔（ａ）：（ｂ）〕が、１：０．１〜１：１０であることを特徴とする前記〔１〕に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔３〕前記（ｄ）成分が、有機アミンであることを特徴とする前記〔１〕又は前記〔２〕に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔４〕更にカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする前記〔１〕〜〔３〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔５〕クリーム状である前記〔１〕〜〔４〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔６〕前記〔１〕〜〔５〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤、並びに
〔７〕前記〔１〕〜〔５〕のいずれかに記載の酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる酸化染毛剤、
に関する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、製剤の保存安定性に優れると共に、毛髪の損傷を抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
まず、本発明に係る毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤について説明する。本発明の毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤には、（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有する。かかる構成を有することで、本来、高ｐＨ下では加水分解を受け易く安定性に劣るポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を、安定性を担保したまま含有させることができ、第１剤自体の製剤の保存安定性に優れる。更には、毛髪への施術による毛髪の損傷を効果的に抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる。
【００１２】
（ａ）成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における、エチレンオキサイドの付加モル数は特に限定されないが、保存安定性に優れ第１剤をクリーム状に調製し易くするためには、付加モル数が５〜１００であるのが好ましく、付加モル数が１０〜５０であるのがより好ましい。
【００１３】
（ａ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の使用性及び保存安定性の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、１〜８重量％である。
【００１４】
（ｂ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルは特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等の炭素数１２〜２２の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましく用いられる。
【００１５】
これら（ｂ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、エチレンオキサイドの付加モル数は特に限定されないが、第１剤と第２剤の混合性及び第１剤の保存安定性の観点から、付加モル数２〜１００が好ましく、１０〜５０がより好ましい。
【００１６】
（ｂ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、１〜８重量％である。
【００１７】
尚、（ａ）成分と（ｂ）成分の含有比は、製剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、〔（ａ）：（ｂ）〕の重量比が１：０．１〜１：１０とするのが好ましく、１：０．２〜１：５とするのがより好ましい。
【００１８】
（ｃ）成分のシリコーン類としては、本発明の効果を発揮すれば特に限定はないが、例えば、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン誘導体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等のアルコール変性シリコーン、ジメチルシロキサン・メチル（ポリオキシエチレン）シロキサン共重合体等のポリオキシアルキレン変性シリコーン、メチルシクロポリシロキサン等の環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を例示することができ、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、パーフルオロアルキルポリオキシアルキレン変性シリコーン等のその他の変性シリコーン類であっても良い。これらのうち、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を好ましく用いることができる。
【００１９】
これら（ｃ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、（ｃ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、第１剤中、０．０１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．１〜８重量％である。
【００２０】
（ｄ）成分のアルカリ剤としては、酸化染毛剤に使用できれば特に限定されず、例えば、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機アルカリ；イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等の有機アミンなどが挙げられる。これらのうち、アルカリ剤の刺激臭を抑制する観点から、有機アミンを用いるのが好ましく、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミンが更に好ましい。
【００２１】
これら（ｄ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、（ｄ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び脱色・染毛力の効果性の観点から、また、毛髪の損傷及び皮膚刺激の抑制の観点から、第１剤中、０．０１〜２０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．１〜１０重量％である。
【００２２】
本発明にかかる第１剤を酸化染毛剤用第１剤として用いる場合、上記した成分の他、酸化染料が含有される。用いられる酸化染料としては、酸化染料前駆体やカップラーなどの酸化染毛剤に用いられる染料であれば特に限定されず、例えば、フェニレンジアミン類、トルイレンジアミン類、Ｎ−フェニルフェニレンジアミン類、アミノフェノール類、アミノニトロフェノール類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、ジアミノピリジン類等の酸化染料前駆体；レゾルシン、ｍ−アミノフェノール、ｍ−フェニレンジアミン、カテコール、ピロガロール等のカップラーなどが挙げられる。尚、酸化染料の含有量は、染毛性及び皮膚刺激等の安全性の観点から、第１剤中、０．０１〜１０重量％程度であれば良い。
【００２３】
本発明の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤には、毛髪の損傷の抑制効果を発揮させると共に、より製剤の保存安定性に優れたクリーム状の製剤を調製し易くするために、カチオン性界面活性剤を含有することができる。用いられるカチオン性界面活性剤は特に限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化オレイルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ココイルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等の第４級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤；パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジブチルアミノエチルアミド等の脂肪酸アミドアミン等が挙げられる。これらの中では、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等の第４級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が好ましい。
【００２４】
これらカチオン性界面活性剤は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、その含有量は特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び使用性の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．５〜５重量％である。
【００２５】
本発明の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤には、毛髪の損傷の抑制効果を発揮させると共に、より製剤の保存安定性に優れたクリーム状の製剤を調製し易くするために、高級アルコールを含有することができる。用いられる高級アルコールは特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数１２〜２２の高級アルコールが挙げられる。
【００２６】
これら高級アルコールは、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、その含有量は特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び使用性の観点から、第１剤中、０．１〜１５重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．５〜１０重量％である。
【００２７】
尚、第１剤には、上記した成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、油性成分、界面活性剤、多価アルコール、酸化防止剤、キレート剤、ｐＨ調整剤、増粘剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、動植物エキス、ビタミン類、着色剤、香料、水等を目的に応じて適宜含有させることができる。
【００２８】
本発明の第１剤は、上記した各成分を混合することにより得られる。得られる第１剤は、使用時の利便性の観点から、使用される日常の温度、すなわち、１〜３０℃の雰囲気下においてクリーム状であることが好ましい。
【００２９】
次に、本発明の毛髪脱色剤又は酸化染毛剤は、それぞれ上記した毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる。
【００３０】
第２剤に含有される酸化剤としては、酸化作用を発揮すれば特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属等が挙げられる。これらのうち、過酸化水素を用いるのが好ましく、通常、過酸化水素水として用いられる。
【００３１】
酸化剤の含有量は、酸化作用を発揮し毛髪の損傷を抑制する観点から、第２剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、０．５〜６重量％とするのがより好ましい。
【００３２】
尚、第２剤には、上記した酸化剤の他、油性成分、界面活性剤、高級アルコール、多価アルコール、増粘剤、キレート剤、ｐＨ調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、動植物エキス、ビタミン類、着色剤、香料、水等を目的に応じて適宜含有させることができる。
【００３３】
本発明の毛髪脱色剤は、上記した毛髪脱色剤用第１剤と前記第２剤とからなる。また、本発明の酸化染毛剤は、上記した酸化染毛剤用第１剤と前記第２剤とからなる。毛髪脱色剤又は酸化染毛剤を使用する際には、各第１剤と第２剤とを混合して使用する。混合は、第１剤と第２剤とをコーム上に採り毛髪を施術しながら混合することができ、トレー上で混合後に刷毛等で毛髪を施術することもできる。また、アプリケータ内で混合する場合、第１剤中に第２剤を添加して混合しても良く、又は第２剤中に第１剤を添加して混合しても良い。通常、使用時に流動性のある第２剤が充填されたアプリケータ内にクリーム状の第１剤を添加し、密封して振とうするだけで、容易に均一に混合することができる。
【実施例】
【００３４】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。尚、含有量は、特記しない限り「重量％」を表す。また、ポリオキシエチレンの付加モル数は、例えば、付加モル数２０モルの場合、ポリオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油の様に表記する。
【００３５】
（試料の調製）
表１及び表２に記した組成に従い、クリーム状の酸化染毛剤用第１剤をそれぞれ定法により調製した。
【００３６】
（試験例１；保存安定性の評価）
表１及び表２に記した各実施例及び比較例の試料を４０℃２ヶ月間保存し、製剤の保存安定性を下記評価基準に従い、目視で評価した。結果を表１〜２に示す。
【００３７】
＜評価基準＞
○：分離が見られなかった。
△：僅かに分離が見られた。
×：明らかな分離が見られた。
【００３８】
【表１】
【００３９】
【表２】
【００４０】
（試験例２；毛髪の風合いの評価）
下記組成の酸化染毛剤用第２剤を定法により調製し、表１〜２に記した各試料の第１剤と、重量比１：１で混合し、重さ３ｇ、長さ１０ｃｍの黒色人毛毛束に均一に塗布した後、３０℃の雰囲気下で２０分間放置した。水洗後、ドライヤーで乾燥し、毛束の風合いについて、１０名の専門パネラーにより下記評価基準に従い評価した。結果を表３に記す。
【００４１】
＜評価基準＞
○：１０名中８名以上がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
△：１０名中４〜７名がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
×：１０名中３名以下がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
【００４２】
＜酸化染毛剤用第２剤＞
モノラウリン酸デカグリセリル ０．４
ポリオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油 ０．２
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ０．２
セタノール １．２
プロピレングリコール ２．０
３５％過酸化水素水 １６．５
６０％ヒドロキシエタンジホスホン酸 ０．２
８５％リン酸 ０．０１
精製水 残部
合 計 １００．０
【００４３】
（試験例３；毛髪損傷防止効果の評価）
上記試験例２の評価後、毛束の状態を電子顕微鏡（倍率３０００倍）で観察し、毛小皮の損傷の程度について、下記評価基準に従い評価した。結果を表３に記す。
【００４４】
＜評価基準＞
○：損傷は殆ど認められなかった。
△：毛小皮に隆起、亀裂、剥離などの損傷が少し認められた。
×：毛小皮に隆起、亀裂、剥離などの損傷が明らかに認められた。
【００４５】
【表３】
【００４６】
【表４】
【００４７】
表１〜２の結果から、本発明の酸化染毛剤用第１剤は、製剤の保存安定性に優れることが分かる。また、表３〜４の結果から、本発明の酸化染毛剤用第１剤を用いて毛髪を染毛しても、毛髪の損傷は抑制され、毛髪にきしみ感がなく、風合いに優れることが分かる。
【００４８】
以下、本発明の毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤の処方例を示す。尚、配合量は「重量％」を表す。
（処方例１；酸化染毛剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（１０）硬化ヒマシ油 ７．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．５
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ３．０
ジメチルポリシロキサン ０．５
メチルフェニルポリシロキサン ０．５
モノエタノールアミン １．０
２８％アンモニア水 ７．０
炭酸アンモニウム ０．８
パラフェニレンジアミン ０．４
レゾルシン ０．３５
塩酸２，４−ジアミノフェノキシエタノール ０．０３
メタアミノフェノール ０．０５
セチルアルコール ３．０
オレイルアルコール ２．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００４９】
（処方例２；酸化染毛剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ４．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．０
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ７．０
ジメチルポリシロキサン １．０
イソプロパノールアミン ６．０
パラフェニレンジアミン ０．３
レゾルシン ０．２５
メタアミノフェノール ０．０５
ステアリルアルコール ４．０
オレイルアルコール ３．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００５０】
（処方例３；毛髪脱色剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（１０）硬化ヒマシ油 ７．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．５
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ３．０
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体 ０．５
メチルフェニルポリシロキサン ０．５
モノエタノールアミン ２．０
２８％アンモニア水 ７．０
セチルアルコール ３．０
オレイルアルコール ２．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００５１】
（処方例４；毛髪脱色剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ４．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．０
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ７．０
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体 ０．５
イソプロパノールアミン ６．０
ステアリルアルコール ４．０
オレイルアルコール ３．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【技術分野】
【０００１】
本発明は、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、毛髪脱色剤は脱色効果が優れていることから、アルカリ剤を含有する第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とを使用時に混合するニ剤式の毛髪脱色剤が主流となっている。また、染毛剤は効果が持続的であり、元の毛髪よりも明るい色調に染色が可能なことから、アルカリ剤と酸化染料を含有する第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とを使用時に混合するニ剤式の酸化染毛剤が主流となっている。
【０００３】
二剤式の毛髪脱色剤は、使用時にアルカリ剤と過酸化水素とが作用して酸素を発生させ、これにより毛髪中のメラニン色素を分解して毛髪を脱色する。また、二剤式の酸化染毛剤は、発生した酸素が毛髪中のメラニン色素を酸化分解すると共に、酸化染料を毛髪内で酸化重合することにより毛髪を染色する。
【０００４】
また、第１剤中のアルカリ剤は、過酸化水素との作用の他、毛髪表面のキューティクルを膨潤させ、染料を毛髪内部に浸透させて染毛効果を向上させるといった効果も有している。しかし、毛髪表面のケラチン蛋白はアルカリ剤によって分解され易いことから、毛髪が損傷し枝毛や断毛等が生じるといった問題を有している。
【０００５】
このような問題点を解決するために、アンモニア及びアンモニウム塩、高級脂肪酸又は高級アルコール、あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含有したクリーム状染毛剤第１剤組成物（特許文献１参照）、アルカリ剤及びシスチン又はその誘導体を含有する酸化型染毛剤用第１剤（特許文献２参照）などが報告されている。
【０００６】
しかしながら、これら第１剤は、毛髪の損傷をある程度抑制できるものの、アルカリ剤が含有されているため、系の高ｐＨの影響により、製剤の保存安定性に劣るといった問題がある。また、この安定性の問題は、系がクリーム状の場合には、より影響を受ける傾向にある。
【０００７】
【特許文献１】特公平７−９４３７２号公報
【特許文献２】特開２００２−３７０９４８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、製剤の保存安定性に優れると共に、毛髪の損傷を抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
すなわち、本発明は、
〔１〕（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔２〕前記（ａ）成分の含有量と、前記（ｂ）成分の含有量との重量比〔（ａ）：（ｂ）〕が、１：０．１〜１：１０であることを特徴とする前記〔１〕に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔３〕前記（ｄ）成分が、有機アミンであることを特徴とする前記〔１〕又は前記〔２〕に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔４〕更にカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする前記〔１〕〜〔３〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔５〕クリーム状である前記〔１〕〜〔４〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤、
〔６〕前記〔１〕〜〔５〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤、並びに
〔７〕前記〔１〕〜〔５〕のいずれかに記載の酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる酸化染毛剤、
に関する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、製剤の保存安定性に優れると共に、毛髪の損傷を抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる、毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤、並びに該第１剤を用いた毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
まず、本発明に係る毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤について説明する。本発明の毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤には、（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有する。かかる構成を有することで、本来、高ｐＨ下では加水分解を受け易く安定性に劣るポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を、安定性を担保したまま含有させることができ、第１剤自体の製剤の保存安定性に優れる。更には、毛髪への施術による毛髪の損傷を効果的に抑制し、使用後の毛髪の風合いにも優れる。
【００１２】
（ａ）成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における、エチレンオキサイドの付加モル数は特に限定されないが、保存安定性に優れ第１剤をクリーム状に調製し易くするためには、付加モル数が５〜１００であるのが好ましく、付加モル数が１０〜５０であるのがより好ましい。
【００１３】
（ａ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の使用性及び保存安定性の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、１〜８重量％である。
【００１４】
（ｂ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルは特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等の炭素数１２〜２２の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましく用いられる。
【００１５】
これら（ｂ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、エチレンオキサイドの付加モル数は特に限定されないが、第１剤と第２剤の混合性及び第１剤の保存安定性の観点から、付加モル数２〜１００が好ましく、１０〜５０がより好ましい。
【００１６】
（ｂ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、１〜８重量％である。
【００１７】
尚、（ａ）成分と（ｂ）成分の含有比は、製剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、〔（ａ）：（ｂ）〕の重量比が１：０．１〜１：１０とするのが好ましく、１：０．２〜１：５とするのがより好ましい。
【００１８】
（ｃ）成分のシリコーン類としては、本発明の効果を発揮すれば特に限定はないが、例えば、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン誘導体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等のアルコール変性シリコーン、ジメチルシロキサン・メチル（ポリオキシエチレン）シロキサン共重合体等のポリオキシアルキレン変性シリコーン、メチルシクロポリシロキサン等の環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を例示することができ、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、パーフルオロアルキルポリオキシアルキレン変性シリコーン等のその他の変性シリコーン類であっても良い。これらのうち、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を好ましく用いることができる。
【００１９】
これら（ｃ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、（ｃ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び毛髪の損傷抑制の観点から、第１剤中、０．０１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．１〜８重量％である。
【００２０】
（ｄ）成分のアルカリ剤としては、酸化染毛剤に使用できれば特に限定されず、例えば、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機アルカリ；イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等の有機アミンなどが挙げられる。これらのうち、アルカリ剤の刺激臭を抑制する観点から、有機アミンを用いるのが好ましく、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミンが更に好ましい。
【００２１】
これら（ｄ）成分は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、（ｄ）成分の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び脱色・染毛力の効果性の観点から、また、毛髪の損傷及び皮膚刺激の抑制の観点から、第１剤中、０．０１〜２０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．１〜１０重量％である。
【００２２】
本発明にかかる第１剤を酸化染毛剤用第１剤として用いる場合、上記した成分の他、酸化染料が含有される。用いられる酸化染料としては、酸化染料前駆体やカップラーなどの酸化染毛剤に用いられる染料であれば特に限定されず、例えば、フェニレンジアミン類、トルイレンジアミン類、Ｎ−フェニルフェニレンジアミン類、アミノフェノール類、アミノニトロフェノール類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、ジアミノピリジン類等の酸化染料前駆体；レゾルシン、ｍ−アミノフェノール、ｍ−フェニレンジアミン、カテコール、ピロガロール等のカップラーなどが挙げられる。尚、酸化染料の含有量は、染毛性及び皮膚刺激等の安全性の観点から、第１剤中、０．０１〜１０重量％程度であれば良い。
【００２３】
本発明の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤には、毛髪の損傷の抑制効果を発揮させると共に、より製剤の保存安定性に優れたクリーム状の製剤を調製し易くするために、カチオン性界面活性剤を含有することができる。用いられるカチオン性界面活性剤は特に限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化オレイルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ココイルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等の第４級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤；パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジブチルアミノエチルアミド等の脂肪酸アミドアミン等が挙げられる。これらの中では、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等の第４級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が好ましい。
【００２４】
これらカチオン性界面活性剤は、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、その含有量は特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び使用性の観点から、第１剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．５〜５重量％である。
【００２５】
本発明の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤には、毛髪の損傷の抑制効果を発揮させると共に、より製剤の保存安定性に優れたクリーム状の製剤を調製し易くするために、高級アルコールを含有することができる。用いられる高級アルコールは特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数１２〜２２の高級アルコールが挙げられる。
【００２６】
これら高級アルコールは、単独で又は２種以上を適宜組合わせて使用することもできる。また、その含有量は特に限定されないが、第１剤の保存安定性及び使用性の観点から、第１剤中、０．１〜１５重量％とするのが好ましく、より好ましくは、０．５〜１０重量％である。
【００２７】
尚、第１剤には、上記した成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、油性成分、界面活性剤、多価アルコール、酸化防止剤、キレート剤、ｐＨ調整剤、増粘剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、動植物エキス、ビタミン類、着色剤、香料、水等を目的に応じて適宜含有させることができる。
【００２８】
本発明の第１剤は、上記した各成分を混合することにより得られる。得られる第１剤は、使用時の利便性の観点から、使用される日常の温度、すなわち、１〜３０℃の雰囲気下においてクリーム状であることが好ましい。
【００２９】
次に、本発明の毛髪脱色剤又は酸化染毛剤は、それぞれ上記した毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる。
【００３０】
第２剤に含有される酸化剤としては、酸化作用を発揮すれば特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属等が挙げられる。これらのうち、過酸化水素を用いるのが好ましく、通常、過酸化水素水として用いられる。
【００３１】
酸化剤の含有量は、酸化作用を発揮し毛髪の損傷を抑制する観点から、第２剤中、０．１〜１０重量％とするのが好ましく、０．５〜６重量％とするのがより好ましい。
【００３２】
尚、第２剤には、上記した酸化剤の他、油性成分、界面活性剤、高級アルコール、多価アルコール、増粘剤、キレート剤、ｐＨ調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、動植物エキス、ビタミン類、着色剤、香料、水等を目的に応じて適宜含有させることができる。
【００３３】
本発明の毛髪脱色剤は、上記した毛髪脱色剤用第１剤と前記第２剤とからなる。また、本発明の酸化染毛剤は、上記した酸化染毛剤用第１剤と前記第２剤とからなる。毛髪脱色剤又は酸化染毛剤を使用する際には、各第１剤と第２剤とを混合して使用する。混合は、第１剤と第２剤とをコーム上に採り毛髪を施術しながら混合することができ、トレー上で混合後に刷毛等で毛髪を施術することもできる。また、アプリケータ内で混合する場合、第１剤中に第２剤を添加して混合しても良く、又は第２剤中に第１剤を添加して混合しても良い。通常、使用時に流動性のある第２剤が充填されたアプリケータ内にクリーム状の第１剤を添加し、密封して振とうするだけで、容易に均一に混合することができる。
【実施例】
【００３４】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。尚、含有量は、特記しない限り「重量％」を表す。また、ポリオキシエチレンの付加モル数は、例えば、付加モル数２０モルの場合、ポリオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油の様に表記する。
【００３５】
（試料の調製）
表１及び表２に記した組成に従い、クリーム状の酸化染毛剤用第１剤をそれぞれ定法により調製した。
【００３６】
（試験例１；保存安定性の評価）
表１及び表２に記した各実施例及び比較例の試料を４０℃２ヶ月間保存し、製剤の保存安定性を下記評価基準に従い、目視で評価した。結果を表１〜２に示す。
【００３７】
＜評価基準＞
○：分離が見られなかった。
△：僅かに分離が見られた。
×：明らかな分離が見られた。
【００３８】
【表１】
【００３９】
【表２】
【００４０】
（試験例２；毛髪の風合いの評価）
下記組成の酸化染毛剤用第２剤を定法により調製し、表１〜２に記した各試料の第１剤と、重量比１：１で混合し、重さ３ｇ、長さ１０ｃｍの黒色人毛毛束に均一に塗布した後、３０℃の雰囲気下で２０分間放置した。水洗後、ドライヤーで乾燥し、毛束の風合いについて、１０名の専門パネラーにより下記評価基準に従い評価した。結果を表３に記す。
【００４１】
＜評価基準＞
○：１０名中８名以上がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
△：１０名中４〜７名がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
×：１０名中３名以下がきしみ感がなく、風合いに優れると回答。
【００４２】
＜酸化染毛剤用第２剤＞
モノラウリン酸デカグリセリル ０．４
ポリオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油 ０．２
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ０．２
セタノール １．２
プロピレングリコール ２．０
３５％過酸化水素水 １６．５
６０％ヒドロキシエタンジホスホン酸 ０．２
８５％リン酸 ０．０１
精製水 残部
合 計 １００．０
【００４３】
（試験例３；毛髪損傷防止効果の評価）
上記試験例２の評価後、毛束の状態を電子顕微鏡（倍率３０００倍）で観察し、毛小皮の損傷の程度について、下記評価基準に従い評価した。結果を表３に記す。
【００４４】
＜評価基準＞
○：損傷は殆ど認められなかった。
△：毛小皮に隆起、亀裂、剥離などの損傷が少し認められた。
×：毛小皮に隆起、亀裂、剥離などの損傷が明らかに認められた。
【００４５】
【表３】
【００４６】
【表４】
【００４７】
表１〜２の結果から、本発明の酸化染毛剤用第１剤は、製剤の保存安定性に優れることが分かる。また、表３〜４の結果から、本発明の酸化染毛剤用第１剤を用いて毛髪を染毛しても、毛髪の損傷は抑制され、毛髪にきしみ感がなく、風合いに優れることが分かる。
【００４８】
以下、本発明の毛髪脱色剤用第１剤及び酸化染毛剤用第１剤の処方例を示す。尚、配合量は「重量％」を表す。
（処方例１；酸化染毛剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（１０）硬化ヒマシ油 ７．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．５
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ３．０
ジメチルポリシロキサン ０．５
メチルフェニルポリシロキサン ０．５
モノエタノールアミン １．０
２８％アンモニア水 ７．０
炭酸アンモニウム ０．８
パラフェニレンジアミン ０．４
レゾルシン ０．３５
塩酸２，４−ジアミノフェノキシエタノール ０．０３
メタアミノフェノール ０．０５
セチルアルコール ３．０
オレイルアルコール ２．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００４９】
（処方例２；酸化染毛剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ４．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．０
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ７．０
ジメチルポリシロキサン １．０
イソプロパノールアミン ６．０
パラフェニレンジアミン ０．３
レゾルシン ０．２５
メタアミノフェノール ０．０５
ステアリルアルコール ４．０
オレイルアルコール ３．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００５０】
（処方例３；毛髪脱色剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（１０）硬化ヒマシ油 ７．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．５
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ３．０
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体 ０．５
メチルフェニルポリシロキサン ０．５
モノエタノールアミン ２．０
２８％アンモニア水 ７．０
セチルアルコール ３．０
オレイルアルコール ２．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【００５１】
（処方例４；毛髪脱色剤用第１剤）
ポリオキシエチレン（４０）硬化ヒマシ油 ４．０
ポリオキシエチレン（４０）セチルエーテル ２．０
２８％塩化ステアリルトリメチルアンモニウム ７．０
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体 ０．５
イソプロパノールアミン ６．０
ステアリルアルコール ４．０
オレイルアルコール ３．０
Ｌ−システイン塩酸塩 ０．５
Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム ０．５
エデト酸二ナトリウム ０．２
精製水 残部
合 計 １００．０
【特許請求の範囲】
【請求項１】
（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項２】
前記（ａ）成分の含有量と、前記（ｂ）成分の含有量との重量比〔（ａ）：（ｂ）〕が、１：０．１〜１：１０であることを特徴とする請求項１に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項３】
前記（ｄ）成分が、有機アミンであることを特徴とする請求項１又は２に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項４】
更にカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項５】
クリーム状である請求項１〜４のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤。
【請求項７】
請求項１〜５のいずれかに記載の酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる酸化染毛剤。
【請求項１】
（ａ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（ｃ）シリコーン類、及び（ｄ）アルカリ剤を含有することを特徴とする毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項２】
前記（ａ）成分の含有量と、前記（ｂ）成分の含有量との重量比〔（ａ）：（ｂ）〕が、１：０．１〜１：１０であることを特徴とする請求項１に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項３】
前記（ｄ）成分が、有機アミンであることを特徴とする請求項１又は２に記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項４】
更にカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項５】
クリーム状である請求項１〜４のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤又は酸化染毛剤用第１剤。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれかに記載の毛髪脱色剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる毛髪脱色剤。
【請求項７】
請求項１〜５のいずれかに記載の酸化染毛剤用第１剤と、酸化剤を含有する第２剤とからなる酸化染毛剤。
【公開番号】特開２００６−３４２１２３（Ｐ２００６−３４２１２３Ａ）
【公開日】平成１８年１２月２１日（２００６．１２．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１７０８１１（Ｐ２００５−１７０８１１）
【出願日】平成１７年６月１０日（２００５．６．１０）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月２１日（２００６．１２．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月１０日（２００５．６．１０）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]