説明

気体放電蛍光灯の調光回路

【課題】熱陰極を利用した気体放電蛍光灯により電気制御スイッチに接続される調光ランプのちらつき現象を解決する調光回路を提供する。
【解決手段】フィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路10は、共振ユニット11、整流器21、充電回路31及びハーフブリッジ出力ユニット41を備える。整流器21は共振ユニット11に接続され、かつ交流を直流に変換することが可能である。充電回路31は整流器21に接続される少なくとも一つの充電コンデンサーCcを有する。ハーフブリッジ出力ユニット41は互いに直列に接続するように充電回路31に接続される二つの電気制御スイッチQ1、Q2を有する。ランプ51は充電回路31に接続され、ランプ51の内部に二つのフィラメント52、53を有し、そのうちの一つのフィラメント52の一端は充電コンデンサーCcの一端に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体放電蛍光灯に関し、特にフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調光可能な気体放電蛍光灯または蛍光灯用の調光式電子安定器は通常IC(集積回路)チップと電気制御スイッチ(例えば双方向サイリスタ TRIAC)を内蔵する市販の標準調光器との組み合せによって調光を制御する。その回路は複数のコンデンサー、抵抗及びインダクタを内蔵する。気体放電蛍光灯は通常ランプとプラスチックのチャンバとの組み合せによって構成される。回路はプラスチックのチャンバの中に配置される。
【0003】
調光過程において、電気制御スイッチが起動され、導通してコンデンサーに充電を行う際、数アンペアのパルス電流を生じさせる。パルス電流はインダクタとともに作用し、非常に大きいリンギング波形を生じさせ、その負値は入力された電源電圧を超えるため、電気制御スイッチの閉鎖および導通を引き起こし、気体放電蛍光灯のちらつき現象を生じる。したがって、リンギング波形によって生じるちらつき現象を低減するのには一般の回路において一つのダンピング抵抗を直列に接続する必要がある。しかし、ダンピング抵抗は通常稼動の際に非常に大きい熱エネルギーを生じ、電源のエネルギーを消耗するため、エネルギーを浪費してしまうだけでなく、気体放電蛍光灯のプラスチックのチャンバ内の温度を上昇させてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、熱陰極を利用した気体放電蛍光灯により電気制御スイッチに接続される調光ランプのちらつき現象を解決する調光回路を提供することである。
【0005】
本発明のもう一つの目的は、プラスチックのチャンバ内の温度上昇を抑制することを可能にするフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によるフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路は、共振ユニット、整流器、充電回路及びハーフブリッジ出力ユニットを備える。そのうちの共振ユニットは互いに並列に接続する第一コンデンサーと第二コンデンサーと、第二コンデンサーに直列に接続される第一インダクタとを有する。整流器は共振ユニットに接続され、かつ交流を直流に変換することが可能である。充電回路は整流器に接続される少なくとも一つの充電コンデンサーを有する。ハーフブリッジ出力ユニットは互いに直列に接続するように充電回路に接続される二つの電気制御スイッチを有し、電気制御スイッチは制御端を有し、制御端は発振ユニットに接続される。その特徴は次の通りである。ランプは充電回路に接続され、ランプの内部に二つのフィラメントを有し、そのうちの一つのフィラメントの一端は充電コンデンサーの一端に接続される。これにより、直接フィラメントを加熱することにより、ランプが電気制御スイッチに接続されてちらつくという現象を解決することが可能なだけでなく、エネルギーのリサイクル及び温度上昇の抑制が可能であるという効果を有する。調光ランプのちらつき減少を解決する電子回路はフィラメントの一端を電源入力によって充電コンデンサーの一端に接続することにより、直接フィラメントに加熱を行い、かつエネルギーのリサイクル及び温度上昇の抑制が可能な効果を有するように設けられる電子回路である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(一実施例)
図1に示すように、本発明の一実施例による熱陰極を利用した気体放電蛍光灯の調光回路10は、図2に示す標準調光器61との組み合せにより調光機能を果たすことが可能である。フィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路10は共振ユニット11、整流器21、充電回路31、ハーフブリッジ出力ユニット41及びランプ51から構成される。
【0008】
共振ユニット11は、互いに並列に接続する第一コンデンサーC1と第二コンデンサーC2と、第二コンデンサーC2に直列に接続される第一インダクタL1とを有する
整流器21は共振ユニット11に接続され、かつ交流を直流に変換することが可能である。本実施例では、整流器21はブリッジ式整流器である。
【0009】
充電回路31は整流器21に接続される充電コンデンサーCcを有する。
ハーフブリッジ出力ユニット41は互いに直列に接続するように充電回路31に接続される二つの電気制御スイッチ(electric control switch)Q1、Q2を有する。電気制御スイッチQ1、Q2は制御端Gを有し、制御端Gは発振ユニット45に別々に接続される。本実施例では、電気制御スイッチQ1、Q2はトランジスタである。発振ユニット45は抵抗RとインダクタLを直列に繋ぐことにより構成されるRL発振回路である。
【0010】
電圧帰還器46は充電回路31に接続され、電圧帰還器46は第二インダクタL2及び互いに接続する三つのコンデンサーC3、C4、C5を有する。
本発明の特徴は次の通りである。ランプ51は充電回路31に接続され、ランプ51の内部に二つのフィラメント52、53を有し、そのうちの第一フィラメント52の一端は充電コンデンサーCcの一端に接続されるため、第一フィラメント52は充電回路31のダンピング抵抗となることが可能である。また第二フィラメント53の一端は電圧帰還器46に接続される。本実施例では、ランプ51はプラスチックのチャンバ(図中未表示)を有する気体放電蛍光灯である。本発明による回路はプラスチックのチャンバの中に配置され、ランプ51はプラスチックのチャンバに露出する。気体放電蛍光灯のプラスチックのチャンバの構造は従来の技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0011】
続いて、本発明の作動方法について説明を進める。
本発明は、使用の際に、図2に示す通り、標準調光器61に接続することが可能である。標準調光器61は共振ユニット11の電源入力端N1、N2に接続されるため、標準調光器61によってランプ51の輝度を調整することが可能である。そのうちの標準調光器61は従来の構造であるため、そのユニットと稼動原理についての説明を省略する。
【0012】
電源が入力される際、電源は共振ユニット11、整流器21、充電回路31及びハーフブリッジ出力ユニット41によって充電コンデンサーCcに充電を行い、ランプ51に電力を供給する。
調光を行う際、ランプ51を明→暗へ調整する過程において、入力されるエネルギーは徐々に下がっていくのに伴い、リンギング現象が発生し、非常に大きいリンギング波形を引き起こす。このとき第一フィラメント52はダンピング抵抗としてリンギング波形を低減することが可能である。同時にリンギング波形が第一フィラメント52に作用して発生した大量の熱エネルギーは第一フィラメント52に作用するため、熱エネルギーをリサイクル可能な効果を有する。またダンピング抵抗の代わりにフィラメントを使用すればプラスチックのチャンバ内にはダンピング抵抗が発熱するという現象がないため、プラスチックのチャンバ内の温度を正常温度範囲に維持することが可能である。
【0013】
上述した通り、本発明が達成した効果は次の通りである。
一、消耗に必要なエネルギーをリサイクルすることが可能である。ダンピング抵抗の代わりにランプのフィラメントを使用する本発明の技術により、電気制御スイッチに接続する際に生じる問題を解決し、かつ本来ダンピング抵抗に対し消耗しなければならないエネルギーを回収し、フィラメントにリサイクルすることが可能であるため、エネルギーをより効果的に利用し、環境保護の概念と一致することが可能となる。
【0014】
二、気体放電蛍光灯のプラスチックのチャンバ内の温度上昇を抑制することが可能である。本発明はダンピング抵抗の代わりにフィラメントを使用するため、回路にダンピング抵抗を配置する必要がない。従ってユニットが発熱するという問題がないだけでなく、回路の配置に用いるプラスチックのチャンバ内の温度が上昇するという問題もない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例による回路の構造図である。
【図2】本発明の一実施例における標準調光器の回路の構造図である。
【符号の説明】
【0016】
10:フィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路、11:共振ユニット、21:整流器、31:充電回路、41:ハーフブリッジ出力ユニット、45:発振ユニット、46:電圧帰還器、51:ランプ、52:第一フィラメント、53:第二フィラメント、61:標準調光器、C1:第一コンデンサー、C2:第二コンデンサー、C3、C4、C5:コンデンサー、Cc:充電コンデンサー、G:制御端、L:インダクタ、L1:第一インダクタ、L2:第二インダクタ、N1、N2:電源入力端、Q1、Q2:電気制御スイッチ、R:抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続する第一コンデンサー及び第二コンデンサーと前記第二コンデンサーに直列に接続される第一インダクタとを有する共振ユニットと、
前記共振ユニットに接続され、かつ交流を直流に変換することが可能である整流器と、
前記整流器に接続される少なくとも一つの充電コンデンサーを有する充電回路と、
互いに直列に接続するように前記充電回路に接続される二つの電気制御スイッチを有し、前記電気制御スイッチは制御端を有し、前記制御端は発振ユニットに接続されるハーフブリッジ出力ユニットと、
を備えるフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路であって、
ランプは前記充電回路に接続され、前記ランプの内部に二つのフィラメントを有し、そのうちの第一フィラメントの一端は電源入力によって前記充電コンデンサーの一端に接続されることにより、直接前記フィラメントに加熱を行い、前記ランプが前記電気制御スイッチに接続されてちらつくという現象を解決することが可能なだけでなく、エネルギーのリサイクル及び温度上昇の抑制が可能な効果を有することを特徴とするフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。
【請求項2】
フィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路は、さらに前記充電回路に接続される電圧帰還器を備え、前記ランプの第二フィラメントは一端が前記電圧帰還器に接続されることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。
【請求項3】
前記電圧帰還器は互いに直列に接続する第二インダクタと二つのコンデンサーとを有することを特徴とする請求項2に記載のフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。
【請求項4】
前記整流器はブリッジ式整流器であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。
【請求項5】
前記電気制御スイッチはトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。
【請求項6】
前記発振ユニットは抵抗とインダクタを直列に繋ぐことにより構成されるRL発振回路であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントを利用した気体放電蛍光灯の調光回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−238578(P2009−238578A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83082(P2008−83082)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(503278614)川石光電科技股▲分▼有限公司 (6)
【Fターム(参考)】