説明

気圧式倍力装置

【課題】組立効率を向上させる気圧式倍力装置を提供する。
【解決手段】フロントシェル1にシール部材46を介して挿通される圧力導入管45を支持するブラケット55は、その他端側に、コ字状支持部57が設けられている。コ字状支持部57は、圧力導入管45の第2パイプ部51の基端部が挿入される溝部63を有するガイド部64と、該ガイド部64と平行に延び、第2パイプ部51の先端部とは反対側の接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面に当接して当該周面に向けて第2パイプ部51の先端部より作用する力を支持するようになっている第1当接部65と、該第1当接部65とガイド部64とを連結する連結部66とから構成されている。上記第1当接部により、エンジン負圧を供給するための負圧供給ホースを第2パイプ部51の先端部へスムーズに接続することができ、組立効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる気圧式倍力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1の気圧式倍力装置には、気圧式倍力装置のシェル本体と圧力導入管とを別部材として、圧力導入管が密封部材を介してシェルの開口に圧入嵌着されるものが記載されている。また、上記圧力導入管は、シェル本体に固着された基板で連結されて、回動力が作用してもその回動が阻止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−102163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の気圧式倍力装置では、圧力導入管に負圧ホースを接続する際に、密封部材の弾性により圧力導入管がシェル本体に対して傾いてしまい負圧ホースをスムーズに接続できず、車両の組立効率を低下させていた。
【0005】
本発明は、車両の組立効率を向上させることができる気圧式倍力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明のうち請求項1に記載した発明は、一端側にマスタシリンダが連結され他端側が車体に連結されるシェル本体と、該シェル本体内を定圧室と変圧室とに区画するパワーピストンと、前記定圧室に負圧を供給する圧力導入管と、前記シェル本体に固定されて該圧力導入管を支持するブラケットと、を備え、前記圧力導入管は、前記定圧室内にシール部材を介して挿入される第1パイプ部と、該第1パイプ部の軸線に対して所定角度の方向に延びて負圧供給ホースが差し込まれる第2パイプ部とを備え、前記ブラケットは、一端側が前記シェル本体の一端側に固定され、他端側に前記第2パイプ部の先端側とは反対側の前記圧力導入管の周面に当接可能で前記先端側より前記周面に向けて作用する力を支持する当接部を設けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の気圧式倍力装置では、車両の組立効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る気圧式倍力装置の軸断面図である。
【図2】図2は、図1の気圧式倍力装置の正面図である。
【図3】図3は、図2のA矢視図である。
【図4】図4は、圧力導入管がブラケットに支持された状態を示す断面図である。
【図5】図5は、ブラケットの斜視図である。
【図6】図6(a)はブラケットの正面図で、(b)はブラケットのリザーバから遠い方の側面図で、(c)はブラケットのリザーバから近い方の側面図で、(d)はブラケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図6に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る気圧式倍力装置は、図1に示すように、2つのパワーピストン7、8を備えたタンデム型で構成されており、フロントシェル1とリヤシェル2とからなるシェル本体としてのハウジング3内を、センターシェル4によりフロント側及びリヤ側の2室に区画している。フロント側の室は、ダイアフラム5を備えたパワーピストン7により定圧室9と変圧室11とに区画される。一方、リヤ側の室は、ダイアフラム6を備えたパワーピストン8により定圧室10と変圧室12とに区画される。各パワーピストン7、8は、センターシェル4及びリヤシェル2を気密的にかつ摺動可能に挿通してハウジング3外まで後端部を延ばしたバルブボディ13に支持されている。なお、リヤシェル2は、バルブボディ13の挿通部分を小径筒部2aとして構成されており、この小径筒部2aには、ハウジング3からのバルブボディ13の延出部分を覆うダストブーツ14が装着されている。
【0010】
バルブボディ13は、カップ状の本体部13aと中空軸部13bとが連設して構成されており、その本体部13aがセンターシェル4に対する摺動部として、その中空軸部13bがリヤシェル2に対する摺動部としてそれぞれ構成されている。バルブボディ13の本体部13aには、2つの定圧室9と10とを相互に連通し、且つ各定圧室9、10を中空軸部13b内に連通させる負圧通路15が設けられると共に、中空軸部13b内とリヤ側の変圧室12とを連通する第1大気通路16が設けられている。
【0011】
また、リヤ側の定圧室10内には、リヤ側の変圧室12とフロント側の変圧室11とを連通する第2大気通路17を内部に設けた複数の連通管18が配設されている。各連通管18は、その一端部がセンターシェル4に圧入固定されると共に、その他端部がリヤ側のパワーピストン8に気密的にかつ摺動可能に挿通されてリヤシェル2に近接する部位まで延ばされている。この連通管18内には、第2大気通路17を介して貫通ロッド20が挿通されており、この貫通ロッド20は、パワーピストン7に気密的にかつ摺動可能に挿通される。また、貫通ロッド20は、一端側がリヤシェル2を気密的に貫通して、車体側の固定ボルト部21として形成され、他端側がフロントシェル1を気密的に貫通して、マスタシリンダ30側の固定ボルト部22として形成される。この貫通ロッド20の固定ボルト部22は、円周方向に180度間隔で2本設けられている。なお、リヤシェル2には、これら固定ボルト部21と位相が異なった位置に、汎用のスタッドボルト23が2本立設され、これら固定ボルト部21及び各スタッドボルト23により車体側のダッシュパネル(図示略)に取り付けられる。
【0012】
バルブボディ13内には、フロント側及びリヤ側の変圧室11、12と外部(大気側)との間を、また、フロント側及びリヤ側の変圧室11、12とフロント側及びリヤ側の定圧室9、10との間の連通、遮断を切り替える弁機構25が備えられる。この弁機構25により、ブレーキペダルが踏込まれて、入力ロッド26が前進すると、バルブボディ13の中空軸部13b内が外部に開放されて、バルブボディ13の中空軸部13b内、第1大気通路16、リヤ側の変圧室12、第2大気連路17及びフロント側の変圧室11が連通されて大気が各変圧室11,12に導入される。その結果、フロント側及びリヤ側の変圧室11、12と、負圧が導入されているフロント側及びリヤ側の定圧室9、10との間に速やかに圧力差が発生し、この圧力差によりフロント側及びリヤ側のパワーピストン7、8が前進し、その推力がバルブボディ13から出力ロッド27を経てマスタシリンダ30のピストン(図示略)に出力されて、マスタシリンダ30に液圧が発生する。
【0013】
一方、ブレーキペダルへの踏力が解放され、入力ロッド26が戻しばね31によって後退すると、弁機構25により、フロント側及びリヤ側の変圧室11、12と、フロント側及びリヤ側の定圧室9、10との間の負圧通路15が開放されると共に、バルブボディ13の中空軸部13b内が外部と遮断され、フロント側及びリヤ側の定圧室9、10、負圧通路15、第1大気通路16、リヤ側の変圧室12、第2大気通路17及びフロント側の変圧室11が連通されて各定圧室9、10からの負圧が各変圧室11,12にそれぞれ導入される。その結果、各定圧室9、10と各変圧室11,12との圧力差が解消されて出力ロッド27およびマスタシリンダ30のピストン(図示略)が後退する。
【0014】
また、バルブボディ13の軸孔内には、弁機構25の構成である弁プランジャ32のリヤ側端部に連結され、該弁プランジャ32と一体に移動する反力受け部材34が摺動可能に挿入されている。バルブボディ13の本体部13aのカップ底には、ゴム等の弾性体からなるリヤクションディスク35と、出力ロッド27の基端カップ部36aとが配置されており、前記反力受け部材34がリヤクションディスク35の背面に当接可能となっている。また、バルブボディ13のカップ状の本体部13a内には、バルブボディ13を原位置に戻すための戻しばね37が配設されている。該戻しばね37は、そのフロント側の一端をフロントシェル1の凹部1aの後背部に、そのリヤ側の他端をばね受け38を介してバルブボディ13の本体部13aのカップ底にそれぞれ当接させた状態で配置されている。そして、バルブボディ13は、戻しばね37により、常時は、リヤ側(戻り方向)へ付勢されている。出力ロッド27は、その基端カップ部36aがリヤクションディスク35を包むように配置されて、戻しばね37内を前方に延び、フロントシェル1の前面に設けられた凹部1aの底部を気密的にかつ摺動可能に貫通して前方へ突出される。そして、出力ロッド27の先端部が、該凹部1a内に配置されたマスタシリンダ30のシリンダ本体部40内のピストンロッドに連結されるようになる。
【0015】
図1及び図2に示すように、マスタシリンダ30は、フロントシェル1の凹部1aに先端部が収容され、内部にピストンロッドを有するシリンダ本体部40と、該シリンダ本体部40の周りから突設され、フロントシェル1の前面から立設された2本の固定ボルト部22が挿通される貫通孔を有するフランジ部41と、シリンダ本体部40に対して所定角度の方向に延びるリザーバ42とから構成される。そして、マスタシリンダ30は、フロントシェル1の前面にフランジ部41が当接されると共に、フランジ部41の各貫通孔に固定ボルト部22がそれぞれ挿入され、ナット43により固定される。なお、後で詳述するが、図2及び図4に示すように、マスタシリンダ30のフランジ部41の圧力導入管45に近い一方の貫通孔には、ブラケット55のフランジ部56の当接部60に設けた貫通孔61aが連通して、固定用ボルト部22とナット43によりマスタシリンダ30のフランジ部41とブラケット55のフランジ部56とが共にフロントシェル1に固定される。
【0016】
図4に示すように、圧力導入管45がフロントシェル1にシール部材46を介して挿入され、フロント側の定圧室9に臨む。圧力導入管45は、第1パイプ部50と、第2パイプ部51と、接続管部52とからなり、樹脂製で一体成形されている。第1パイプ部50は、フロントシェル1にシール部材46を介して挿入されるようになっている。第2パイプ部51は、上記第1パイプ部50の軸線に対して所定の角度の方向(本実施の形態では略直交する径方向)に延び、エンジン負圧を供給するための負圧供給ホース(図示略)と接続されるようになっている。具体的には、第2パイプ部51が負圧供給ホース内に差し込まれるようになっている。接続管部52は、これら第1パイプ部50と第2パイプ部51とを接続するようになっている。接続管部52は、小径管部52aと大径管部52bとからなり、その軸方向が第1パイプ部50の軸方向と一致する。第1パイプ部50が小径管部52aの端面から軸方向に突設されると共に、第2パイプ部51が小径管部52aと大径管部52bとを跨る周面から径方向に突設される。接続管部52における第2パイプ部51の反対側には、小径管部52aの周面から突出して、大径管部52bの周面と同じ周面を有する突部52cが設けられている。なお、本実施の形態では、大径管部52bおよび突部52cの各周面は、円周面となっているが、後述の第1当接部65との当接を考慮して平坦面とするようにしてもよい。また、第2パイプ部51が延出する第1パイプ部50の軸線に対する所定の角度の方向とは、第1パイプ部50の軸線に直交する径方向の他に、第1パイプ部50の軸線に対して第2パイプ部51の軸線が90度未満または90度を超えた角度で傾いた状態での径方向へ延出する方向を含むものである。
【0017】
圧力導入管45は、図2及び図4に示すように、フロントシェル1に一端が固定されるブラケット55により支持される。ブラケット55は、その一端側に設けたフランジ部56がマスタシリンダ30のフランジ部41が固定される各固定ボルト部22、22のうち圧力導入管45に近い一方の固定ボルト部22によりマスタシリンダ30のフランジ部41と共にフロントシェル1に固定される。圧力導入管45は、ブラケット55により、外力が作用した場合でも、その姿勢を保持できるように支持される。
【0018】
ブラケット55は、図3〜図6に示すように、板材を折り曲げて形成されている。ブラケット55は、フロントシェル1の前面に配置されるマスタシリンダ30のフランジ部41に当接してマスタシリンダ30とともにフロントシェル1に固定されるL字状のフランジ部56と圧力導入管45を支持するコ字状支持部57とが、所定幅の連結部58により連結されて構成される。フランジ部56は、図4及び図5に示すように、フロントシェル1の前面に配置されるマスタシリンダ30のフランジ部41に当接する当接部60を備えている。該当接部60には、貫通孔61a、61bが形成される。これら貫通孔61a、61bの径は相違しており、大径の貫通孔61aにフロントシェル1から立設される固定ボルト部22が挿通されて、ブラケット55がマスタシリンダ30とともにフロントシェル1に固定される。なお、フランジ部56の当接部60に設けた小径の貫通孔61bは、電気系配線を係止するために使用される。
【0019】
コ字状支持部57は、図4及び図5に示すように、ガイド部64と第1当接部65と連結部66とから略コ字状に形成されて構成されている。ガイド部64は、矩形状に形成され、圧力導入管45の第2パイプ部51の基端部が挿入されるコ字状またはU字状(本実施の形態ではコ字状)の溝部63を有している。第1当接部65は、矩形状に形成され、ガイド部64と平行に延びて第2パイプ部51の先端部とは反対側の接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面に当接して当該周面に向けて第2パイプ部51の先端部より作用する力を支持するようになっている。連結部66は、矩形状に形成され、ガイド部64と第1当接部65とを連結している。ここで、本実施の形態においては、第1当接部65が接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面に当接しているように構成しているが、第2パイプ部51の先端部から力が作用したときにこの力を支持することができれば、第1当接部65と接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面との間に隙間を設けるようにしてもよい。また、第1当接部65は、第2パイプ部51の先端部とは正反対(第2パイプ部51の軸線の延長線上)の接続管部52の周面に当接するようになっているが、第2パイプ部51の先端部より作用する力を支持することができれば、第2パイプ部51の軸線の延長線上からずれて位置する接続管部52の周面部位が第1当接部65に当接するようにしてもよい。
【0020】
また、コ字状支持部57の連結部66の両端部には、ガイド部64及び第1当接部65と同じ方向に延び、第2パイプ部51を径方向両側から支持する支持部として、接続管部52の大径管部52bの周面にそれぞれ当接される第2当接部67a、67bが形成される。これら第2当接部67a、67bは、図6(b)及び(c)に示すように、その高さは略同じで、ガイド部64及び第1当接部65の高さの略半分程度である。各第2当接部67a、67bのうち、ブラケット55がフロントシェル1に固定された際にマスタシリンダ30のリザーバ42に近い側の第2当接部67aは、図6(c)から解るように、連結部66の長さより若干短く形成され、半円状から連続して該半円形の半径よりも短い幅長の矩形状で第1当接部65まで延びている。一方、マスタシリンダ30のリザーバ42から遠い側の第2当接部67bは、図6(b)から解るように、ガイド部64側にやや寄った位置で矩形状に形成される。なお、コ字状支持部57の連結部66には、図5及び図6(a)に示すように、長手方向に沿って長孔68が形成される。
【0021】
そして、上記ブラケット55をフロントシェル1に取付る際には、図4に示すように、ブラケット55のフランジ部56の当接部60に設けた大径の貫通孔61aに、マスタシリンダ30のフランジ部41から延びる固定ボルト部22を挿通していき、フロントシェル1の前面に配置されたマスタシリンダ30のフランジ部41に、ブラケット55の一端側に設けたフランジ部56の当接部60を当接させる。これと同時に、第1パイプ部50がフロントシェル1内にシール部材46を介して挿入された圧力導入管45の接続管部52を、ブラケット55の他端側に設けたコ字状支持部57内にセットする。すなわち、接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面をコ字状支持部57の第1当接部65に当接させながら、第2パイプ部51の基端部をコ字状支持部57のガイド部64の溝部63に挿入する。その結果、接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面がコ字状支持部57の第1当接部65に当接されると共に、接続管部52の大径管部52bの周面が各第2当接部67a、67bそれぞれに当接される。最終的に、固定ボルト部22にナット43を螺着し、ブラケット55の一端側のフランジ部56をフロントシェル1に固定する。
【0022】
これにより、圧力導入管45はブラケット55によって第1パイプ部50を中心とする回動が規制され、しかも、第2パイプ部51の先端部にエンジン負圧を供給するための負圧供給ホースを差し込む際、接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面がコ字状支持部57の第1当接部65に当接して前記第2パイプ部51の先端部より前記周面に向けて作用する力を支持しているため、第2パイプ部51がフロントシェル1に対して傾いてしまうことがなく、スムーズに負圧供給ホースを第2パイプ部51に接続することができる。
【0023】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る気圧式倍力装置には、フロントシェル1内の定圧室9にシール部材46を介して挿入される圧力導入管45を、該圧力導入管45に外力が作用した場合でも、その姿勢を保持できるように支持するブラケット55が備えられている。すなわち、ブラケット55は、その他端側に、第2パイプ部51の先端部と反対側の、接続管部52の大径管部52b及び突部52cの周面と当接される第1当接部65を設けている。これにより、圧力導入管45の第2パイプ部51の先端部に、エンジン負圧を供給するための負圧供給ホースを接続する際、第2パイプ部51がフロントシェル1に対して傾くことなく、スムーズに負圧供給ホースを第2パイプ部51の接続することができるので、組立効率を向上させることができる。
【0024】
また、ブラケット55には、第1当接部65と平行に延びて圧力導入管45の第2パイプ部51の基端部が挿入される溝部63を有するガイド部64と、ガイド部64と第1当接部65とを連結する連結部66とからなるコ字状支持部57を形成しているので、圧力導入管45の第1パイプ部50を中心とする回動が規制されて、スムーズに負圧供給ホースを第2パイプ部51の接続することができ、組立効率を向上させることができる。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係る気圧式倍力装置では、ブラケット55に設けたコ字状支持部57の連結部66の両端部に、ガイド部64及び第1当接部65と同じ方向に延び、接続管部52の大径管部52bの周面にそれぞれ当接される第2当接部67a、67bが形成されるので、圧力導入管45に外力が作用した場合でも、圧力導入管45がブラケット55のコ字状支持部57内でその姿勢が崩れるのを抑制することができる。
【0026】
さらに、本発明の実施の形態に係る気圧式倍力装置では、ブラケット55はマスタシリンダ30を固定する固定ボルト部22を利用して、マスタシリンダ30と共にフロントシェル1に固定されるので、ブラケット55用の固定ボルト部を新規に形成する必要がなく効率的である。
【0027】
なお、本発明の実施の形態は、2つのパワーピストンを備えたタンデム型の気圧式倍力装置に適用されたが、当然ながら、1つのパワーピストンを備えたシングル型の気圧式倍力装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 フロントシェル,2 リヤシェル,3 ハウジング(シェル本体),4 センターシェル,7、8 パワーピストン,9 フロント側の定圧室,10 リヤ側の定圧室,11 フロント側の変圧室,12 リヤ側の変圧室,30 マスタシリンダ,45 圧力導入管,46 シール部材,50 第1パイプ部,51 第2パイプ部,52 接続管部,52a 小径管部,52b 大径管部,52c 突部,55 ブラケット,56 フランジ部,57 コ字状支持部,63 溝部,64 ガイド部,65 第1当接部(当接部),67a、67b 第2当接部(支持部),66 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にマスタシリンダが連結され他端側が車体に連結されるシェル本体と、該シェル本体内を定圧室と変圧室とに区画するパワーピストンと、前記定圧室に負圧を供給する圧力導入管と、前記シェル本体に固定されて該圧力導入管を支持するブラケットと、を備え、
前記圧力導入管は、前記定圧室内にシール部材を介して挿入される第1パイプ部と、該第1パイプ部の軸線に対して所定角度の方向に延びて負圧供給ホースが差し込まれる第2パイプ部とを備え、
前記ブラケットは、一端側が前記シェル本体の一端側に固定され、他端側に前記第2パイプ部の先端側とは反対側の前記圧力導入管の周面に当接可能で前記先端部より前記周面に向けて作用する力を支持する当接部を設けたことを特徴とする気圧式倍力装置。
【請求項2】
前記ブラケットの他端側には、前記当接部と平行に延びて前記圧力導入管の第2パイプ部が挿入される溝部を有するガイド部と、該ガイド部と前記当接部とを連結する連結部とからなるコ字状支持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の気圧式倍力装置。
【請求項3】
前記コ字状支持部の連結部の両側には、前記ガイド部及び当接部と同じ方向に延び、前記第2パイプ部を径方向両側から支持する支持部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の気圧式倍力装置。
【請求項4】
前記ブラケットの一端側は、前記シェル本体の一端側に前記マスタシリンダと共に固定されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の気圧式倍力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241372(P2010−241372A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94943(P2009−94943)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】