説明

水中油型乳化化粧料

【課題】非極性油剤が比較的多く配合される水中油型乳化化粧料において、外観及び安定性に優れる水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】水中油型乳化化粧料において、(A)非極性油剤、例えば粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサンを15〜40質量%、(B)一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルを1〜10質量%、
−(OCHCH−O−R…(1)
(式中、R、Rはそれぞれ炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖状炭化水素基で、かつ炭化水素中の任意の水素原子が水酸基に置換されていてもよい基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。またnは20〜100の整数をあらわす)、(C)アミノ変性シリコーン、及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤、並びに(D)水を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に毛髪に適用するために好適な水中油型乳化化粧料に関し、さらに詳しくは、化粧料自体の外観及び安定性、並びに毛髪に塗布する場合の塗布感、塗布後に得られる毛髪の感触の向上効果おいて特に優れた性能を発揮する水中油型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外相が水相で内相が油性成分である水中油型乳化化粧料が知られている。水中油型乳化化粧料は、例えば使用感の調整の容易性、及び手指からの洗い流しやすさ等の効果を有する。そのため、水中油型乳化化粧料は、例えば毛髪化粧料組成物に適用されている。ところで、従来より化粧料に配合される油性成分として、非極性油剤、例えばシリコーン油、及びイソパラフィンが知られている。非極性油剤は、べたつきが少なく、使用感に優れるという効果を有する。しかしながら、非極性油剤は、乳化化粧料において保存安定性が悪いという問題があった。一方、非極性油剤の安定性を向上させるために、単に乳化成分の配合量を多くするのみでは、粒子が細かくなりすぎるため、乳化化粧料の外観がツヤのないクリームとなり美観を損なうという問題があった。また、べたつき感が増大するため使用感、並びに例えば毛髪に塗布する場合の塗布感及び塗布後の感触も損なうという問題があった。
【0003】
そこで、従来より、特許文献1,2に開示される乳化化粧料が知られている。特許文献1は、増粘性高分子、例えばカルボキシビニルポリマー及びポリアクリルアミドを配合することにより、油性成分を分散させる構成について開示する。この構成により、非極性油剤の十分な保存安定性を得ることができる。特許文献2は、シリコーン油をシリコーン系界面活性剤と非イオン界面活性剤を用いて乳化させる構成について開示する。それにより、外観の良好な乳化化粧料を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−91401号公報
【特許文献2】特開平10−120524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示される乳化化粧料は、外観が水っぽく、増粘性分子が有するチキソロピー性に基づく塗布感の悪さ、及び塗布後に皮膜形成が生じることによる塗布後の感触の低下といった問題が生じていた。特許文献2に開示される乳化化粧料は、水中油型の剤型において非極性油剤の配合量を増加させると保存安定性が低下するという問題があった。そのため、非極性油剤によって得られる効果、例えば感触の向上効果が十分に得られないという問題があった。
【0005】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、特定の非イオン性界面活性剤及び油性成分を使用することにより、外観の良好性を維持しながら、多量の非極性油剤を安定に配合することができることを見出したことによりなされたものである。その目的とするところは、非極性油剤が比較的多く配合される水中油型乳化化粧料において、外観及び安定性に優れる水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料は、下記の(A)〜(D)の各成分を含有することを特徴とする。(A)粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及び炭素数30以下のイソパラフィンから選ばれる少なくとも一種の非極性油剤を15〜40質量%。(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルを1〜10質量%。
−(OCHCH−O−R…(1)
(式中、R、Rはそれぞれ炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖状炭化水素基で、かつ炭化水素中の任意の水素原子が水酸基に置換されていてもよい基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。またnは20〜100の整数をあらわす)
(C)アミノ変性シリコーン、及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤。(D)水。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料において、前記(A)成分の含有量と(B)成分の含有量は、質量比で(B)/(A)=0.05〜0.6である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非極性油剤が比較的多く配合される水中油型乳化化粧料において、外観及び安定性に優れる水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の水中油型乳化化粧料を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、(A)粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及び炭素数30以下のイソパラフィンから選ばれる少なくとも一種の非極性油剤を15〜40質量%、(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルを1〜10質量%、
−(OCHCH−O−R…(1)
(式中、R、Rはそれぞれ炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖状炭化水素基で、かつ炭化水素中の任意の水素原子が水酸基に置換されていてもよい基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。またnは20〜100の整数をあらわす)、(C)アミノ変性シリコーン及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤、並びに(D)水を含有し、水中油型乳化物の形態を有している。
【0010】
粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及び炭素数30以下のイソパラフィンから選ばれる少なくとも一種の非極性油剤は、使用感の向上、例えば使用時におけるべたつきの低減のために配合される。また、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、塗布感及び使用後の感触を向上させるために配合される。炭素数30以下のイソパラフィンとしては、例えば揮発性イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、及びイソブテンが挙げられる。水中油型乳化化粧料中における非極性油剤の配合量は、15〜40質量%であり、好ましくは15〜30質量%である。配合量が15質量%未満であると使用感、塗布感及び塗布後の感触を向上させることができない。一方、配合量が40質量%を超えると特に水中油型乳化化粧料の安定性及び外観が低下するおそれがある。
【0011】
一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルは、非イオン性界面活性剤の一種であり、非極性油剤が比較的多く配合される水中油型乳化化粧料の外観及び安定性向上のために配合される。また、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、塗布感を向上させるために配合される。一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルとしては、例えばポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ジラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ジミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ミリスチルラウリルジエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ジセチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)セチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ジステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)ジオレイルエーテル、及びセテアレス(平均重合度=50〜100)ミリスチルグリコールが挙げられる。これらのポリオキシエチレンジアルキルエーテルは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0012】
水中油型乳化化粧料中における一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルの配合量は、1〜10質量%であり、好ましくは1〜6質量%である。配合量が1質量%未満であると外観、安定性及び塗布感を向上させることができない。一方、配合量が10質量%を超えると外観、塗布感及び塗布後の感触が低下するおそれがある。
【0013】
また、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量は、質量比で(B)/(A)=0.05〜0.6の範囲にあることが好ましく、0.1〜0.35の範囲にあることがより好ましい。質量比を(B)/(A)=0.05〜0.6の範囲に規定することにより、使用感をより向上させることができる。また、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、塗布感及び感触をより向上させることができる。
【0014】
アミノ変性シリコーン及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤は、水中油型乳化化粧料の外観を向上させるために配合される。また、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、塗布感を向上させるために配合される。アミノ変性シリコーンは、下記の一般式(2)で表される1分子中に少なくとも1個のアミノアルキル基を有するオルガノシロキサンの重合体を示すものである。
【0015】
【化1】

(式中、R3はメチル基又はヒドロキシル基を表し、R4はメチル基、ヒドロキシル基又はR5を表す。R5はR6Zで表されるアミノ基又はアンモニウム基を有する置換基を表し、a及びbはそれぞれ分子量に依存する整数を表し、a+bが50〜20000である。また、R6は炭素数3〜6の2価の炭化水素基を表す。Zは−NR72、−N+73-、−NR7(CH2cNR72、−NR7(CH2c+73-、及び−NR7(CH2cNR7C=O(R8)からなる群より選ばれる1価の基を表す。ここで、R7は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R8は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Aはハロゲン原子を表し、cは2〜6の整数を表す。)
上記の一般式(2)で表されるアミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。これらのアミノ変性シリコーンは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0016】
高級脂肪酸エステルは、炭素数8以上の脂肪酸のモノエステル、ジエステル、及びトリエステルのいずれであってもよい。また、合成品及び天然品のいずれも使用することができる。高級脂肪酸エステルとしては、例えばミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、及びマカデミアナッツ油が挙げられる。
【0017】
水中油型乳化化粧料中におけるアミノ変性シリコーン及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤の配合量は、好ましくは0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。配合量が0.01質量%未満であると外観及び塗布感を向上させることができない。一方、配合量が10質量%を超えると毛髪がべたついた感触となり、好ましくない。
【0018】
水は、各成分の溶媒又は分散媒として使用される。水は上記成分とともに適量配合されて、化粧料を水中油型に乳化させる。
水中油型乳化化粧料は、本願発明の効果を損なわない範囲内において、例えば水溶性高分子化合物、上記以外の油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
【0019】
水溶性高分子化合物としては、例えばアラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、及びポリクオタニウム−10が挙げられる。架橋ポリアクリル酸としては、例えばカルボキシビニルポリマー(カルボマー)が挙げられる。
【0020】
油性成分は、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、毛髪にうるおい感を付与する。油性成分としては、例えば(C)成分以外のロウ類、高級アルコール、(A)成分以外の炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、(C)成分以外のエステル類、(A)及び(C)成分以外のシリコーン類が挙げられる。
【0021】
(C)成分以外のロウ類としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、及びラノリンが挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0022】
(A)成分以外の炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ミネラルオイル(流動パラフィン)、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0023】
(C)成分以外のエステル類としては、乳酸セチル、酢酸ラノリン、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジイソプロピル、及びコハク酸ジオクチルが挙げられる。
(A)及び(C)成分以外のシリコーン類としては、例えば粘度が100mm/sを越えるジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えばPEG−12ジメチコンが挙げられる。これらの油性成分の具体例は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0024】
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、及び1,3−ブチレングリコール(BG)が挙げられる。
【0025】
界面活性剤は、組成物の乳化剤又は組成物中の各成分の可溶化剤として組成物の安定性をさらに向上させるために配合してもよい。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤及び上記以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、例えばラウレス硫酸ナトリウムが挙げられる。N−アシルアミノ酸型界面活性剤としては、例えばN−ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウムが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0026】
カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩、ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、及びアルキロイルアミドプロピルジメチルアミンが挙げられる。アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及び塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。これらの界面活性剤のカチオン基の対イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アルキル硫酸イオン、及びサッカリンが挙げられる。
【0027】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0028】
(B)成分以外の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルアミンオキサイドが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えばラウレス、セテス、ステアレス、及びパレスが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例は、単独で使用されてもよく、二種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0029】
糖類としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン(TEA)、及びアルギニンが挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸が挙げられる。
【0030】
本実施形態の水中油型乳化化粧料によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、非極性油剤が比較的多く配合される水中油型乳化化粧料において、一般式(1)で表わされる非イオン性界面活性剤、並びにアミノ変性シリコーン及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤を併用した。したがって、水中油型乳化化粧料の外観及び安定性、並びに毛髪に適用する場合の塗布感及び感触を向上させることができる。
【0031】
(2)本実施形態では、粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及び炭素数30以下のイソパラフィンから選ばれる少なくとも一種の非極性油剤を15〜40質量%を配合した。したがって、使用感、並びに毛髪に適用する場合の塗布感及び感触を向上させることができる。
【0032】
(3)本実施形態において、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量は、質量比で(B)/(A)=0.05〜0.6の範囲にあることが好ましい。それにより、使用感をより向上させることができる。また、水中油型乳化化粧料が毛髪に適用される場合、塗布感及び感触をより向上させることができる。
【0033】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、水中油型乳化化粧料を構成する各成分を全て配合する1剤式として構成した。しかしながら、各成分を分離して複数剤式に構成し、使用直前にそれらを混合するよう構成してもよい。
【0034】
・上記実施形態において、適用形態としては特に限定されず、例えばヘアクリーム、ハンドクリーム、及びフェイスクリームが挙げられる。
・上記実施形態において、塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜使用することができる。例えば毛髪に適用する場合、コーム又は刷毛を用いた塗布方法、手櫛による塗布方法、スプレー(噴霧)による塗布方法を挙げることができる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
表1及び表2に示す各成分を混合し、ヘアクリームを調製した。そのヘアクリームについて、外観及び安定性、並びに毛髪に適用した際の塗布感及び感触について評価を行なった。それらの評価結果を表1,2に示す。なお、表1,2における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。また、表中における(A)〜(D)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中におけるa,bの表記は、本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。
【0036】
<外観>
各実施例及び比較例のヘアクリームについて、パネラー20名が目視にてツヤのある美観を生じさせるか否かを評価することにより、外観を判断した。パネラー20人中、美観を生じさせると評価した人数が18人以上の場合を「優れる」とし、11人〜17人の場合を「良好」とし、4人〜10人の場合を「やや悪い」とし、4人未満の場合を「悪い」とした。
【0037】
<安定性>
各実施例及び比較例のヘアクリームについて、ガラス瓶に入れ、50℃の恒温漕中で1ヶ月間保存した後にヘアクリームの分離状態を目視にて評価することにより安定性が良いか否かを判断した。分離が全く認められないもの「優れる」、分離がほとんど認められないもの「良好」、分離がやや認められるもの「やや悪い」、分離がかなり認められるもの「悪い」とした。
【0038】
<塗布感>
各実施例及び比較例のヘアクリームについて、パネラー20名が手で毛髪に塗布する際の感触について判断した。使用時の感触がしっとりとしてコクがある場合を「優れる」、少しさらっとしている場合を「良好」、べたつきがある場合を「やや悪い」、水っぽい場合を「悪い」とした。
【0039】
<感触>
各実施例及び比較例のヘアクリームを毛束に刷毛を用いて塗布し、30℃で30分放置することにより各ヘアクリーム処理毛束を得た。
【0040】
20名のパネラーが毛束に指を通し、ざらつき感があるか否かで評価し、ざらつきがないと評価した人数が18人以上の場合を「優れる」とし、11人〜17人の場合を「良好」とし、4人〜10人の場合を「やや悪い」とし、4人未満の場合を「悪い」とした。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

表1に示されるように、(A)〜(D)を含有する実施例1〜12では、外観、安定性、塗布感、及び感触のいずれの評価も「優れる」又は「良好」であることが確認された。特に、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量が、質量比で(B)/(A)=0.05〜0.6の範囲にある実施例1〜10は、上記いずれの評価も「優れる」であった。
【0043】
一方、表2に示されるように(A)非極性油剤を含有しない比較例1では、ヘアクリームの外観が低下する結果となった。また、比較例1では毛髪に適用した際の塗布感及び感触が「悪い」結果となった。(A)非極性油剤の代わりに別の油剤を使用した比較例2〜4は、いずれの評価も低いことがわかる。また、(A)非極性油剤の配合量が15質量%未満の比較例5は、外観、塗布感及び感触の向上効果は得られないことがわかる。また、(A)非極性油剤の配合量が40質量%を越える比較例6は、外観、安定性及び塗布感が低下することがわかる。
【0044】
(B)成分を含有しない比較例7は、ヘアクリームの外観及び安定性が低下する結果となった。また、比較例7では塗布感が「やや悪い」結果となった。(B)成分の代わりに別の界面活性剤を使用した比較例8〜11は、ヘアクリームの外観及び安定性の改善効果は認められなかった。(B)成分の配合量が1質量%未満の比較例12は、ヘアクリームの外観及び安定性の向上効果は得られないことがわかる。(B)成分の配合量が10質量%を越える比較例13は、ヘアクリームの外観及び塗布感が低下することがわかる。
【0045】
(C)成分を含有しない比較例14,15は、外観及び塗布感が低下する結果となった。(B)成分の代わりにカルボキシビニルポリマーを配合した比較例16は、外観、塗布感、及び感触の向上効果は得られないことがわかる。(B)成分の代わりにセタノールの配合量を増加させた比較例17は、いずれの効果も得られないことがわかる。
【0046】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルは、ポリオキシエチレン(平均重合度=50〜100)セチルステアリルジエーテル、及びセテアレス(平均重合度=50〜100)ミリスチルグリコールから選ばれる少なくとも一種である前記水中油型乳化化粧料。
【0047】
(b)前記アミノ変性シリコーンは、アミノプロピルジメチコン、及びモジメチコンから選ばれる少なくとも一種である前記水中油型乳化化粧料。
(c)前記高級脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル及びマカデミアナッツ油から選ばれる少なくとも一種である前記水中油型乳化化粧料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)の各成分を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
(A)粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及び炭素数30以下のイソパラフィンから選ばれる少なくとも一種の非極性油剤を15〜40質量%。
(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテルを1〜10質量%。
−(OCHCH−O−R…(1)
(式中、R、Rはそれぞれ炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖状炭化水素基で、かつ炭化水素中の任意の水素原子が水酸基に置換されていてもよい基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。またnは20〜100の整数をあらわす)
(C)アミノ変性シリコーン、及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の極性油剤。
(D)水。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量と(B)成分の含有量は、質量比で(B)/(A)=0.05〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。

【公開番号】特開2009−179588(P2009−179588A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19523(P2008−19523)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】