説明

水位検知装置及び加熱調理器

【課題】水タンクの水位を精度良く測定することを可能にした水位検出装置及びそれを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備えた水タンク7のうち、反射透過部に向けて光を発光する発光手段21及び反射透過部を通して受光し、光量に応じた信号を生成して出力する受光手段22を備えた水位検知手段8と、水位検知手段8からの信号に基づいて水タンクに貯留されている水の水位を判定する制御・信号処理回路24とを備える。水位検知手段8を高さ方向に沿って複数個設け、高さ方向に隣接する水位検知手段8a〜8cの発光手段21と受光手段22とを左右反対に設置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水タンク内の水位を検出する水位検知装置及びこの水位検知装置を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク内の水位を検出する水位検知装置として、例えば「インクタンクのプリズム20は液室に液体が存在しないときには外部から入射した光を外部へ反射するが、液室に液体が存在する場合は外部から入射した光を外部へ反射しない機能を有し、かつ、一辺40mmの正方形断面をもち厚さ1.7mmの直方体の光学特性をJIS K7136に従った規格で測定したときに全光線透過率が80%以上でありヘイズ値は75%以上85%以下であることと同等の光学特性を有する。」というものが提案されている(例えば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2005−41183号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1において提案されている水位検知装置は、その用途が印刷機のインク残量を検知するためのものであり、インクの枯渇を検知できれば良く、1つの容器に対して複数の水位検知装置を設ける必要が無い。
一方、炊飯器で発生する蒸気を水タンクに導いて冷却水中に放散させることで復水させるようにしたものに適用される水位検知装置においては、蒸気冷却に不可欠な水量の初期水位と容量を超える前の満水位などの複数の水位を検知する必要があり、上記の特許文献1の水位検知装置をそのまま適用することができなかった。また、取り外し、水の補充・廃棄の容易さという観点から水タンクの寸法を、蒸気回収性能を満たす範囲で最小の寸法としたいという要請がある。しかし、容量を小さくすることで検知する複数の水位位置が近くなり、光学式水位検知装置の場合LEDなどの汎用的な発光手段を用いると隣の発光手段の発した光を誤って受光してしまい、誤検知するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、水タンクの水位を精度良く測定することを可能にした水位検知装置及びそれを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水位検知装置は、液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備えたタンクのうち、前記反射透過部に向けて光を発光する発光手段、及び前記反射透過部を通して受光し、光量に応じた信号を生成して出力する受光手段を備えた水位検知手段と、前記水位検知手段からの信号に基づいて水タンクに貯留されている水の水位を判定する水位判定手段とを備え、前記水位検知手段を高さ方向に沿って複数個設け、高さ方向に隣接する水位検知手段の前記発光手段と前記受光手段とを左右反対に設置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の水位検知手段を高さ方向に沿って複数個設け、高さ方向に隣接する水位検知手段の発光手段と受光手段とを左右反対に設置しており、このため、水位検知手段相互の光が干渉が避けられ、迷光による出力増加が低下し、誤検知が抑制されるので、水位の検知精度が向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の内部構成を側面から見た状態を示す側面図である。
この加熱調理器100は、被加熱物(米や水等)を入れた内鍋を誘導加熱コイル等の加熱手段で加熱することで被加熱物を炊きあげ、そのとき発生する蒸気を水槽で回収する。なお、図1を含めて以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0009】
加熱調理器100は、上面が蓋体3に開閉自在に覆われ、炊飯釜2及び水タンク7を着脱自在に収納される本体1と、調理される被加熱物が入れられ、本体1の内部に着脱自在に収納される炊飯釜2と、本体1の後方上部に軸支されたヒンジ部(図示省略)を介して本体1の上面を開閉自在に覆う蓋体3と、蓋体3の内側に着脱自在に取り付けられ、炊飯釜2の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋4と、炊飯釜2を加熱する誘導加熱コイル等の加熱体5と、所定量の水が貯留され、蒸気を冷却して復水することで蒸気を回収する水タンク7と、炊飯釜2と水タンク7とを連結し、蒸気を導通させる蒸気パイプ6とから構成されている。
【0010】
本体1は、上面が開口形成されており、内部に炊飯釜2及び水タンク7の他に加熱体5も収納する。炊飯釜2は、上面が開口形成されており、この開口部が内蓋4で覆われることで内部が密閉状態になる。蓋体3は、ユーザにより開閉スイッチ等(図示省略)が操作されることで、本体1の上面を開閉自在に覆うものである。また、蓋体3には、蒸気パイプ6が着脱自在に装着されるようになっている。内蓋4は、調理時に炊飯釜2の上部開口部を閉塞し、炊飯釜2の内部を密閉するものである。加熱体5は、炊飯釜2の底面側に配設されており、通電制御されることで炊飯釜2を加熱して調理したり保温したりするものである。
【0011】
蒸気パイプ6は、一端(紙面右側端部)が内蓋4の略中央部に、他端(紙面左側端部)が水タンク7の内部に挿入されている蒸気導入パイプ13に接続され、炊飯釜2と水タンク7とを連結している。水タンク7は、内部に所定量の水が貯留され、蒸気パイプ6を介して流通した蒸気を冷却して回収する。この水タンク7は、炊飯釜2が収納されている位置の脇に収納されるようになっている。また、水タンク7は、上面が開口形成されており、この開口部を着脱自在に覆うタンク蓋12を有している。さらに、タンク蓋12には、蒸気導入パイプ13が貫通するように固着されている。
【0012】
蒸気導入パイプ13は、タンク蓋12が水タンク7に装着された状態において、一端(上端)が蒸気パイプ6に着脱自在に接続され、他端(下端)が水タンク7内部下側に位置するようになっている。つまり、蓋体3が開けられたとき蒸気パイプ6が蒸気導入パイプ13から離れ、蓋体3が閉じられたときに蒸気パイプ6が蒸気導入パイプ13に接続されるようになっている。蒸気パイプ6及び蒸気導入パイプ13は、炊飯時に発生した蒸気を水タンク7内に導く蒸気案内路として機能するものであり、水タンク7は、蒸気導入パイプ13を介して流入した蒸気を水で結露させ、回収水9として貯留するものであり、これらで蒸気回収装置を構成している。
【0013】
また、本体1内には、水タンク7の水位を判定するとともに加熱体5の通電制御を行う判定制御手段11と、水タンク7内に貯留されている回収水9の水位を検知する水位検知手段(水位検知センサ)8とが設けられている。判定制御手段11は、本体1の底面であって、加熱体5の下側に配置され、水位検知手段8から出力される信号に基づいて水位を判定し、その判定結果に基づいて加熱体5への通電を制御するものである。水位検知手段8は、水タンク7の側面に対向して設けられており、水タンク7の回収水9の水位が予め設定されている水位に達しているかどうかを検知するものである。この水位検知手段8は、3つの水位をそれぞれ検出するように発光素子及び受光素子の組が3組設けられており(詳細は後述する)、その出力信号を判定制御手段11に出力し、判定制御手段11は水位検知手段8の出力に基づいて回収水9の水位が或る設定された水位に達しているかどうかを判定する。このように水位検知手段8及び判定制御手段11は本発明の水位検知装置20を構成しており、その詳細を図2に基づいて説明する。
【0014】
図2は水位検知装置20の構成を示したブロック図である。
この水位検知装置20においては、上記のように水位検知手段8及び判定制御手段11から構成されている。水位検知手段8は、水タンク7を介して発光及び受光する発光手段21及び受光手段22を備えている(この両者の配置の詳細は図3等において詳細に説明する)。なお、本実施の形態1において、発光手段21及び受光手段22は、発光素子と受光素子の組が高さ方向に3組設けられている。
また、判定制御手段11は、水位検知装置20の構成として、受光手段22の出力を増幅する増幅器23と、増幅器23の出力を信号処理する制御・信号処理回路24とを備えている。この制御・信号処理回路24は、本発明の水位判定手段に相当するものであり、例えばマイコン等によって構成される。
また、この水位検知手段8は、更に、制御・信号処理回路24により演算結果を表示する表示機25を備えている。表示機25は、例えばランプや液晶ディスプレイから構成されており蓋体3のように水タンクよりも上方に位置する部位に設置され、水タンク7を出し入れした際に水が零れるようなことがあってもその水がかからないようにしてある。
【0015】
このような構成の水位検知装置20において、制御・信号処理回路24は、発光手段21に対して発光指令信号を供給するとともに、受光手段22に対して受光命令信号を出力する。これによって、発光手段21は発光し、受光手段22は水タンク7を介して受光する。発光手段21及び受光手段22が設置されている部位に対応する位置に水タンク7に回収水がある場合とない場合とでは、受光手段22の受光量は異なったものとなる(水がある場合には受光量小、水がない場合には受光量大)。受光手段22の出力は、増幅器23で増幅された後に制御・信号処理回路24に供給される。制御・信号処理回路24は、増幅器23からの信号が所定の水位レベルに相当するものであるかどうかを判定し、例えばその水位に応じて炊飯を停止し、或いは回収水9の排水を促すメッセージを表示してユーザーに報知する。この報知についてはブザー等を設けてそれを鳴動させるようにしてもよい。
【0016】
図3は、水位検知手段8及び増幅器23の回路図(制御・信号処理回路を除く)である。
発光手段21は、発光ダイオード(以下、発光素子ともいう)21a〜21cから構成されており、受光手段22はフォトトランジスタ(以下、受光素子ともいう)22a〜22cから構成されている。発光ダイオード21a〜21cにはそれぞれスイッチング素子26a〜26cが直列に接続されており、このスイッチング素子26a〜26cは制御・信号処理回路24からの発光命令信号(この場合には受光命令信号を兼ねている)Out1〜Out3によりオンオフ制御される。また、増幅器23は、オペアンプ23a等から構成されている。例えば発光命令信号Out1がスイッチング素子26aに供給されると、スイッチング素子26aがオンして発光ダイオード21aに電流が流れ、発光ダイオード21aが発光して水タンク7に向かって投光し、その反射光をフォトトランジスタ22aが受光し、そのフォトトランジスタ22aのエミッタ電位が増幅器23で増幅されて制御・信号処理回路24に供給される。制御・信号処理回路24での処理は上述のとおりである。発光ダイオード21b、21c及びフォトトランジスタ22b、22cにおいても上記の例と同様に処理される。
【0017】
次に、上記の水位検知装置20の水位検知手段8の取付け構造について説明する。
【0018】
図4は、水タンク7と水位検知手段8との関係を示した説明図であり(但し、同図においては本体1の筐体部分の図示は省略されている)、図4はその横断面図である。
水タンク7は、光を透過する材料(例えばポリスチレン等)から構成されており、その側面(水タンク7の長手方向の側面の本体1側の側面)の一部には凹部71が形成されている。凹部71は、水タンク7の高さ方向に沿って所定の深さとなるように構成されており(平面視で台形)、2つの屈曲部(入射面、出射面)71a、71bと、それを結ぶ伝達部71cとを備えている。この凹部71は本発明の反射透過部72として機能する。なお、反射透過部72は上記の形態に限定されるものではなく、例えば平面視で3角形状であってもよい。
水タンク7は、このように構成されており、水タンク7の外側の屈曲部71aに投光した際に、水タンク7の内側において水の有無による(水と空気の)屈折率の違いを利用して光が反射又は透過して光路が変化するよう形成されており、水がない場合には屈曲部71bから反射光が得られる。この凹部71の形状の一例として、タンク厚2.0mm、屈曲部角度45°(内側)、10°(外側)、伝達部距離20mm、伝達部厚さ3.0mmで構成する。
【0019】
水タンク7の凹部71に対向し、且つ測定水位に対応する位置に、水位検知手段8(8a〜8c)が配置されている。水位検知手段8は、発光素子21a〜21c及び受光素子22a〜22cの3組が基板31(図5参照)に取り付けられており、各組を必要に応じて水位検知手段8a、8b、8cと称する。水位検知手段8a、8b、8cは、その上下方向に隣り会う発光素子と受光素子を左右反対に設置している。例えば、水位検知手段8aは、図3の左側に受光素子22aが配置され、発光素子21aが右側に配置されている。水位検知手段8bは、図3の左側に発光素子21bが配置され、受光素子22bが右側に配置されている。水位検知手段8cは、図3の左側に受光素子22cが配置され、発光素子21cが右側に配置されている。
【0020】
図5は水位検知手段8の取付け構造を示した図である。ここでは、水位検知手段8aについて説明する。
水位検知手段8a(例えば発光素子21a及び受光素子22a)と水タンク7との間に介在する本体1の筐体1aには、窓部材33、34が設けられている。この窓部材33、34は、例えば発光素子21aおよび受光素子22aの水位検知に用いる光の波長帯域において光を80%以上透過し、それ以外の波長、特に可視光域の波長帯域において光の透過率を20%以下とした窓材が用いられる。このような窓部材33,34を用いることにより、ユーザーから本体1内部に設置した水位検知手段8が見えず意匠性を高められる。
【0021】
また、水位検知手段8と筐体1aとの間には支持具35が介在しており、この支持具35は水位検知手段8を支持するとともに筐体1aに取り付ける役割をしている。支持具35には、発光素子21a及び受光素子22aに対向する位置に開口部36a、37aが形成されている。開口部36a、37aは円錐台の形状をなしており、円錐台の直径が大の方は例えば発光素子21a及び受光素子22aをそれぞれ覆う程度の大きさであり、筐体1a側に行くに従って小さくなるように形成されている。そして、開口部36a、37aの内壁や、窓部材33、34の周辺には、カーボンブラックなどの炭素材料からなる、光を吸収する部材や塗料を塗布する。以下の説明においては、塗料を塗布する例について説明し、それを光吸収塗膜51と称するものとする。このように光吸収塗膜51を開口部36a、37aの内壁や、窓部材33、34の周辺に設けることにより、光路周辺の部材の検知のため以外の光が当たる箇所での反射光を抑制して迷光を低減し、誤検知を低減している。
【0022】
次に、図5に基づいて水位検知手段8及び水タンク7における光の反射及び透過について説明する。
発光素子21aは制御・信号処理回路24からの発光命令信号を受信すると発光し、それは支持具33の開口部36a及び窓部材33を介して屈曲部71aに入射し、水タンク7内に回収水9がないときには、屈曲部71aの内面で反射して伝達部71cを介して屈曲部71bに到達し、屈曲部71bの内面で反射して屈曲部71bから外に出る。その屈曲部71bからの反射光は、窓部材34及び支持具33の開口部37aを介して受光素子22aが受光し、増幅器23を介して制御・信号処理回路24に送信する。なお、水タンク7内に回収水9があるときには、発光素子21aからの赤外光は、屈曲部71a、71bで透過し、受光素子22aの受光量は少なく、それによって回収水9がそのレベルに達していることが把握される。
【0023】
以上のように本実施の形態1においては、水位検知手段8a、8b、8cを高さ方向に沿って複数個設け、高さ方向に隣接する水位検知手段の発光手段21a〜21cと受光手段22a〜22cとを左右反対に設置しており、隣接する受光手段が同じ発光素子からの光を受光するとういう構成もなくなり、このため、水位検知手段8a、8b、8c相互の光が干渉が避けられ、迷光による出力増加が低下し、誤検知が抑制される。
また、本実施の形態1においては、上記の水位検知装置20を加熱調理器100に組み込んでおり、上記のように水タンク7の水位を精度良く検知することができ、このため、その水位に基づいた適切な制御が可能になっている。
【0024】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る水位検知装置の構成図である。本実施の形態2は、上記の実施の形態1とは、各水位検知手段8a、8b、8cの波長帯域がそれぞれ異なるという点において相違する。
【0025】
図7は、本実施の形態2の発光素子21a〜21cの発光特性の例を示した図である。
例えば発光素子21aは440nm、発光素子21bは900nm、発光素子21cは1200nmで、それぞれ相対発光出力がピーク値を示し、そして、半値幅が±20nm以下の先鋭度が高い発光素子を用いている。
本実施の形態2においては、このように各水位検知手段8a、8b、8cに異なる波長の光を用いているので、互いの光信号の干渉が低減し、迷光による誤検知が抑制されている。
【0026】
なお、波長特性が分離していない発光素子を用いる場合は、例えば図8のように素子全面又は発光素子と受光素子との間の光路中に光学フィルターを設け、重畳している波長の光をカットして、図7に示されるものと同様に、水タンク7に投光される光の波長帯域を分離するようにしても同様な効果が得られる。
【0027】
実施の形態3.
図9は水位検知装置20の動作を示すフローチャートであり、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図9の処理は上記の実施の形態1及び実施の形態2に共通して適用される。また、次の説明で用いられる水位A、水位B及び水位Cは、水位A>水位B>水位C、という関係にあり、水位Aはオーバーフローのおそれがある水位、水位Bは許容範囲の水位、水位Cは蒸気を復水するための最低の水位である。
【0028】
(S11:水位A検知)
まず、水位Aを検知する。制御・信号処理回路24が水位検知手段8aのスイッチング素子26aに発光命令信号Out1を供給すると、スイッチング素子26aがオンし、発光ダイオード21aに電流が供給されて発光し、フォトトランジスタ22bは水タンク7からの反射光を受光し、その受光量は計測する水位Aに水があるかどうかに応じて異なったものとなり、フォトトランジスタ22bのエミッタ電位は受光量に応じた電位となり、その電位は増幅器23で増幅された後に制御・信号処理回路24に供給される。制御・信号処理回路24はその入力された信号に基づいて水位Aに水があるかどうかを判定する(S11)。
【0029】
(S12:水位B検知)
次に、水位Bを検知するが、これも水位A検知と同様にして処理される。制御・信号処理回路24が水位検知手段8bのスイッチング素子26bに発光命令信号Out2を供給すると、スイッチング素子26bがオンし、発光ダイオード21bに電流が供給されて発光し、フォトトランジスタ22bは水タンク7からの反射光を受光し、その受光量は計測する水位Bに水があるかどうかに応じて異なったものとなり、フォトトランジスタ22bのエミッタ電位は受光量に応じた電位となり、その電位は増幅器23で増幅された後に制御・信号処理回路24に供給される。制御・信号処理回路24はその入力された信号に基づいて水位Bに水があるかどうかを判定する(S12)。
【0030】
(S13:水位C検知)
次に、水位Cを検知するが、これも水位A検知と同様にして処理される。制御・信号処理回路24が水位検知手段8bのスイッチング素子26cに発光命令信号Out3を供給すると、スイッチング素子26cがオンし、発光ダイオード21cに電流が供給されて発光し、フォトトランジスタ22cは水タンク7からの反射光を受光し、その受光量は計測する水位Cに水があるかどうかに応じて異なったものとなり、フォトトランジスタ22cのエミッタ電位は受光量に応じた電位となり、その電位は増幅器23で増幅された後に制御・信号処理回路24に供給される。制御・信号処理回路24はその入力された信号に基づいて水位Cに水があるかどうかを判定する(S13)。
【0031】
(S14〜S16:判定)
制御・信号処理回路24は、上記の水位A〜水位Cの検知に基づいて、炊飯可能な水位にあるかどうかを判定する(S14)。例えば、水位が水位C〜水位Bの間にある場合(水位Cを検知し、水位Bを検知していない状態)には炊飯可能であるとして、加熱体5に通電して炊飯を開始する(S15)。それ以外の場合には、表示機25にエラー表示をさせる(S16)。
【0032】
以上のように本実施の形態3においては、水位検知手段8a、8b、8cを時系列に択一的に動作をさせるようにしたので、水位検知手段8a、8b、8cの光の干渉を避けることができ、この点からも水タンクの水位を精度良く検出することができる。
【0033】
なお、本発明は上記の実施の形態1〜実施の形態3に限定されるものでなく、これらの実施の形態を適宜組み合わせて水位検知装置又は加熱調理器を構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の内部構成を側面から見た状態を示す側面図である。
【図2】水位検知装置の構成を示したブロック図である。
【図3】水位検知装置の回路図である。
【図4】水タンクと水位検知手段との関係を示した説明図である。
【図5】図3の横断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る水位検知手段の説明図である。
【図7】発光手段の波長と相対発光出力との関係を示した特性図である。
【図8】光学フィルターの波長特性及びフィルター透過後の相対発光出力を示す特性図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る水位検知装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 本体、 1a 筐体、 2 炊飯釜、 3 蓋体、 4 内蓋、 5 加熱体、 6 蒸気パイプ、 7 水タンク、8(8a〜8c) 水位検知手段、 9 回収水、11 判定制御手段、12 タンク蓋、13 蒸気導入パイプ、20 水位検知装置、21 発光手段、21a 発光素子、22 受光手段、22a 受光素子、 23 増幅器、24 制御・信号処理回路、25 表示機、31 基板、33、34 窓部材、35 支持具、36a、37a 開口部、
51 光吸収塗膜、52 膜、71 凹部、 71a 屈曲部、71b 屈曲部、71c 伝達部、72 反射透過部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備えた水タンクのうち、前記反射透過部に向けて光を発光する発光手段、及び前記反射透過部を通して受光し、光量に応じた信号を生成して出力する受光手段を備えた水位検知手段と、
前記水位検知手段からの信号に基づいて水タンクに貯留されている水の水位を判定する水位判定手段と
を備え、
前記水位検知手段を高さ方向に沿って複数個設け、高さ方向に隣接する前記水位検知手段の前記発光手段と前記受光手段とを左右反対に設置したことを特徴とする水位検知装置。
【請求項2】
前記複数の水位検知手段は、それぞれ異なる波長帯域の光を用いて水位を検知することを特徴とする請求項1記載の水位検知装置。
【請求項3】
前記複数の水位検知手段の各発光手段は、それぞれ異なる波長帯域の光を発光することを特徴とする請求項2記載の水位検知装置。
【請求項4】
前記複数の水位検知手段は、
前記発光手段の光をそれぞれ異なる波長帯域のみ通過させる光フィルタを
備えたことを特徴とする請求項2記載の水位検知装置。
【請求項5】
前記複数の水位検知手段は、時系列に選択されて駆動されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の水位検知装置。
【請求項6】
液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備えたタンクのうち、前記反射透過部に向けて光を発光する発光手段、及び前記反射透過部を通して受光し、光量に応じた信号を生成して出力する受光手段を備えた水位検知手段と、
前記水位検知手段からの信号に基づいて水タンクに貯留されている水の水位を判定する水位判定手段と
を備え、
前記水位検知手段を高さ方向に沿って複数個設け、
前記複数の水位検知手段は、それぞれ異なる波長帯域の光を用いて水位を検知することを特徴とする水位検知装置。
【請求項7】
液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備えたタンクのうち、前記反射透過部に向けて光を発光する発光手段、及び前記反射透過部を通して受光し、光量に応じた信号を生成して出力する受光手段を備えた水位検知手段と、
前記水位検知手段からの信号に基づいて水タンクに貯留されている水の水位を判定する水位判定手段とを備え、
前記水位検知手段を高さ方向に沿って複数個設け、
前記複数の水位検知手段は、時系列に選択されて駆動されることを特徴とする水位検知装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の水位検知装置を備えたことを特徴とする水位検知装置。
【請求項9】
炊飯釜を収納する本体と、
前記本体を開閉自在に覆う蓋体と、
液体の有無によって光の反射量及び透過量が変化する反射透過部を備え、前記本体に着脱自在取り付けられる水タンクと、
前記本体側で発生した蒸気を前記水タンクに導いて復水させる蒸気導入手段と、
請求項1〜7の何れに記載の水位検知装置と
を備えたことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−42196(P2010−42196A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209799(P2008−209799)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】