説明

水力発電装置

【課題】河川の水量に左右されることなく、水車に常時充分な回転力を付与し、少ない水量の下でも安定的な発電を行える水力発電装置を提供する。
【解決手段】上段側からの流水を集中させながら落水する落水部20と落水部20の下端に連設され落水を水車25に落下させる落水路21と落水路21に連設され落水路21からの落水を下流に放水する放水路36とを有し、落水部20は想定上限水位と想定下限水位とにより規定される貯水領域を有し、落水路21は水車25の上方に水量調整板41を有し、水量調整板41により落水路21の開口幅を調整することにより、貯水量が想定上限水位と想定下限水位との間で調整される水力発電装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大小様々な河川の水流エネルギーを利用して発電することが可能な水力発電装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の水流エネルギーを利用した水力発電装置は、特許文献等で種々散見される中、本発明者は、実用新案登録第3160002号に係る水力発電装置を既に提案している。この水力発電装置10は、図15に示すように、川床に上下の段差のある自然河川の下段部の川床に河川の両岸に連なって設置されるもので、河川上段部の水流をその天井面上に流して導水路となすために同装置の天井部を河川上段部の川床と同一平面にして設置されている。
【0003】
そして、前記水力発電装置10は、落水部20、水車25、発電室30および落水誘導ブロック壁35により構成されている。落水部20は、底部中央に落水路21を有し、この落水路21に向けてV字型、より的確には逆ハの字状に落水斜面22が形成されている。水車25は落水斜面22下に設置されており、落水斜面22からの落水を受けて回転し、その回転運動を発電室30に伝達するものである。
【0004】
発電室30は、側面にメンテナンスなどのための出入口を有するものとされ、落水部20の上流側に連設され、水車25の回転運動を伝達して発電する発電装置を備えている。また、落水誘導ブロック壁35は、落水を水車25に誘導するもので、落水部20の下流側に連設されており、その下部には落水路21と連通する放水路36が形成されている。
【0005】
前記水力発電装置10によると、河川の水流すべてが落水部20に入り、落水斜面22により水流が集中させられ、それにより水流が強められて水車25に運ばれることで、水車25を回転させる。これにより、水流のエネルギーが回転運動に変換され、水車25の回転運動が発電室30内の水車25の回転軸に配設された動輪(駆動輪)(図示せず。)を回転させ、この回転運動が回転伝達ベルト(図示せず。)を経て発電機(図示せず。)の回転軸に配設された動輪(従動輪)に伝わり、発電機を作動させることとなる。これで、河川の水量が少ない場合でも水流のほぼ100%を発電に利用することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、水量が少ない場合でも発電に利用できるとはいえ、河川の水量に依存するところが大きく、少ない水量では水車に充分な回転力を付与できず、その結果、発電量の低下を招くという課題があることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3160002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、河川の水量に左右されることなく、水車に常時充分な回転力を付与し、少ない水量の下でも安定的な発電を行える水力発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水力発電装置は、川床に上下の段差のある河川または用水路の下段部に設置される水力発電装置であって、前記上段側からの流水を集中させながら落水する落水部と、前記落水部の下端に連設され前記落水を水車に落下させる落水路と、前記落水路に連設され同落水路からの同落水を下流に放水する放水路とを有し、前記落水部は、想定上限水位と想定下限水位とにより規定される貯水領域を有し、前記落水路は、前記水車の上方に駆動源を具える水量調整板を有し、前記駆動源は、前記水量調整板を水平方向に進退自在に駆動するものとされ、前記貯水領域の貯水量は、前記水量調整板により前記落水路の開口幅を調整することにより、想定上限水位と想定下限水位との間で調整されることを特徴とする。
【0010】
本発明の水力発電装置においては、落水路が片側または両側に水量調整板を有するものとされる。
【0011】
また、本発明の水力発電装置においては、落水部と落水路と放水路との組が、複数組川幅方向に並列配置されてもよい。
【0012】
さらに、本発明の水力発電装置においては、対向配置された一対の水車を落水路に有し、前記落水路の前記対向配置された一対の水車の中間部上方に落水を分流させる分流板を有し、前記分流板に対向配置された一対の水量調整板を前記落水路に有するようにされてもよい。
【0013】
さらに、本発明の水力発電装置においては、上段側に連設され流水を落水部に導水する導水路を有するようにされてもよい。
【0014】
さらに、本発明の水力発電装置においては、落水部の上部にゴミ捕捉部材が配設されてなるのが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の水力発電装置においては、ゴミ捕捉部材の上方に落水部を閉塞する閉塞板が配設されてなるのが好ましい。その場合、閉塞板が川岸の一方に配設されてもよく、閉塞板が川岸の両方に配設されてもよく、あるいは閉塞板が導水路の下方に配設されてもよい。閉塞板が導水路の下方に配設されるときには、閉塞板が二重とされてなるのがさらに好ましい。
【0016】
さらに、本発明の水力発電装置においては、水量調整板が弁とされてなるのが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の水力発電装置においては、対向配置された一対の水車を落水路に有し、前記落水路の前記対向配置された一対の水車の上方において落水を分流させ、前記分流された分流路のそれぞれに弁を介装してなるようにされてもよい。
【0018】
さらに、本発明の水力発電装置においては、弁が電動弁とされてなるのが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の水力発電装置においては、落水路の川の流れに直交方向の幅が、水量調整板の駆動源が川幅内に配設されるよう調整されてなるのが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の水力発電装置においては、想定上限水位を検出する上限水位センサと、想定下限水位を検出する下限センサと、前記上限水位センサおよび下限センサからの信号に応答して水量調整板の駆動源を制御するコンピュータとを備えてなるのが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の水力発電装置においては、水車の回転軸に駆動輪が配設され、前記動輪が発電機の回転軸に配設された前記駆動輪より小径の従動輪とベルト掛けされてなるのが好ましい。
【0022】
さらに、本発明の水力発電装置においては、駆動源が手動操作可能とされてもよい。
【0023】
さらに、本発明の水力発電装置においては、導水路に開口を有する魚道が付設されてもよい。その場合、魚道の導水路側の開口部下部が、導水路底面より下方とされてなるのが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の水力発電装置においては、導水路に開口を有する取水路が付設されてもよい。その場合、取水路の導水路側の開口部下部が、導水路底面より下方とされてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、前記の如く構成されているので、段差を有する河川や用水路の落差を利用して水量が少ない場合でも安定した発電がなし得るという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る水力発電装置の概略図である。
【図2】同実施形態の変形例の概略図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る水力発電装置の概略図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る水力発電装置の要部概略図である。
【図5】同実施形態の変形例の要部概略図である。
【図6】本発明の実施形態4に係る水力発電装置の要部概略図である。
【図7】本発明の実施形態5に係る水力発電装置の要部概略図である。
【図8】本発明の実施形態6に係る水力発電装置の要部断面図である。
【図9】同概略平面図である。
【図10】本発明の実施形態7に係る水力発電装置のフロー図である。
【図11】同実施形態の変形例のフロー図である。
【図12】本発明の実施形態8に係る水力発電装置の平面図である。
【図13】同正面図である。
【図14】本発明の変形例の概略図である。
【図15】特許文献1の提案に係る水力発電装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0028】
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る水力発電装置を概略図で示す。なお、水力発電装置10の全体構造は従来技術に準ずるので、同一符号を付して同装置の図示説明は省略する。図中、符号20は落水部、符号21は落水路、符号22は落水斜面、符号25は水車、符号30は発電室、符号31は発電室内の動輪(駆動輪)、符号32は回転伝達ベルト、符号33は発電機をそれぞれ示す。
【0029】
本実施形態の水力発電装置10の特徴は、落水斜面22と落水路21との境目に水量調整板41を配設したところにある。水量調整板41は、落水路21の開口を河川の両岸から開閉するもので、駆動源42によって水平方向にスライドし、そのスライド量も可変となっている。水量調整板41は、また、その開閉量の調整により、落水部20における想定上限水位と想定下限水位とにより規定される貯水領域に貯水することができ、その貯水量と水車25への放水量を調整することで、水車25への常時の放水が可能となる。特に河川の水量が少ない場合には、水量調整板41を閉塞方向に作動させることで、落水部20の貯水量を増加させることができる。
【0030】
貯水量が増加すれば水面が上昇し、それにともなって圧力水頭も上昇するので、水車25に伝達されるエネルギーが増大する。その結果、発電量が増大する。それ故、落水部20の水位を可能なかぎり高水位としながら、入水量と落水量との均衡を保つようにすることが高出力発電を行うためのキーポイントとであり、本実施形態ではそうなるよう水量調整板41の開度の調整がなされる。
【0031】
なお、水量調整板41は、その一方を所望開閉量で停止させておき、他方だけを作動させることも可能である。これを発展させて、図2に示すように、水量調整板41を片側だけとすることも可能である。
また、本実施形態では水車25が一基の場合につき説明したが、設置間隔を狭めにした一対の水車25,25に適用することも可能である。さらに、本実施形態は、用水路にも適用することができる。
【0032】
落水斜面22には、落水部20の前記想定上限水位を検知する上限水位センサ43と前記想定下限水位を検知する下限水位センサ44がそれぞれ配置され、これら水位センサ43,44と水量調整板41の駆動源42とはコンピュータ45に接続されている。このコンピュータ45は、落水部20での各水位センサ43,44による貯水量の水位変化に応じて、水量調整板41の開閉動作を自動的に制御するものである。
なお、上限水位センサ43と下限水位センサ44の配置間隔は任意に設定され、配置間隔の広狭により、コンピュータ45を介した水量調整板41を動かす駆動源42の作動の時間的間隔が決定される。
【0033】
本実施形態によると、いま、水量調整板41を所定量閉じて(または開けて)、開いた落水路21の開口から放水して水車25を回転させている状態で、水量調整板41を狭めていくと、放水量よりも河川からの落水量が多くなり、やがて落水部20の貯水領域に貯水され、貯水量が増加する。この状態が継続されると、落水部20の貯水量は、水車25への放水を継続しつつ漸増していき、その水位が上限水位センサ43に達すると、上限水位センサ43がこれを検知する。すると、コンピュータ45が駆動源42を作動させ、水量調整板41を開放方向にスライドさせる。これにより、水車25への放水量が増加し、落水部20における貯水領域の貯水量が低下する。そして、貯水量の水位が下限水位センサ44に達したときには、下限水位センサ44がこれを検知し、コンピュータ45は再び駆動源42を作動させ、今度は水量調整板41を閉塞方向に作動させる。
【0034】
以上のような一連の動作中、水車25には河川の流量に左右されずに放水が行われているので、安定した発電が可能となる。なお、コンピュータ制御を行わない場合は、駆動源42を手動操作可能とし、落水部20における貯水領域の貯水量を目視し、駆動源42を手動操作することで、水車25への継続的な放水が可能となり、コンピュータ制御の場合と同様に安定した発電が可能となる。
【0035】
実施形態2
図3に、本発明の実施形態2を示す。実施形態1と異なる構成は、適用される水車25を一対とし、これらを適度な間隔を保ったうえで配設し、落水路21の開口中央に、この落水路21を横切る分流板46を設置したことにある。そして、水量調整板41,41は、分流板46により分けられた落水路21の分流開口47,47を、分流板46に対して両岸から水平方向にそれぞれ進退させてスライド開閉させ、落水部20の貯水量と水車25への放水量を分流調整するものである。これにより、分流開口47,47のそれぞれから一対の水車25,25のそれぞれに、水量調整板41,41の開閉量に応じた放水をロスなく的確に行うことができる。
【0036】
なお、水量調整板41についても、その一方を所望開閉量で停止させておき、他方だけを作動させることが可能である。その他の構成および作用は実施形態1と同様とされている。また、本実施形態も用水路に適用可能である。
【0037】
実施形態3
図4に、本発明の実施形態3に係る水力発電装置10の要部を示す。実施形態3は実施形態1を改変してなるものであって、落水路21の川の流れに直交方向の幅を調整し、駆動源42を含む水量調整板41が川幅内に収まるようにしてなるものである。なお、川幅にゆとりがあれば、水量調整板41は片側のみとすることもできる(図5参照)。
【0038】
本実施形態はかかる構成とされているところから、川岸に対する土木工事が不要または僅少となり、施工コストが著しく低減されるとともに、施工期間も著しく短縮される。
なお、実施形態3のその余の構成および作用は実施形態1と同様とされている。
【0039】
実施形態4
図6に、本発明の実施形態4に係る水力発電装置10の要部を示す。実施形態4は実施形態1を改変してなるものであって、落水部20にゴミなどを取るゴミ捕捉網板6と、大雨などの際や保守・点検の際に落水部20を閉塞する閉塞板8を設けてなるものである。
図6に示すように、ゴミ捕捉網板6は、落水部20の上部に形成された段部20aに配設され、閉塞板8は、ゴミ捕捉網板6の上方に配設される。
【0040】
閉塞板8は、図6に示すように、川岸の一側に配設され、一方の川岸から他方の川岸に対して進退するようにされている。なお、閉塞板8を進退させる機構については特に限定はないが、例えば、図6に概略的に示すように、閉塞板8の進退範囲に亘ってレールRを敷設し、閉塞板8がそのレールR上を走行するようにしてもよい。
本実施形態はかかる構成とされているところから、落水路21に木片などのゴミが落下するのが防止される。また、大雨などの際に多量の水が水車25に落水して水車25が破損することも防止される。
【0041】
実施形態5
図7に、本発明の実施形態5に係る水力発電装置10の要部を示す。実施形態5は実施形態4を改変してなるものであって、閉塞板8を川の両岸に進退自在に設置してなるものである。
【0042】
本実施形態はかかる構成とされているところから、大雨などの際に落水部20の閉塞が迅速になし得る。また、個々の閉塞板8の長さを短くできるので、川岸に平坦部が少ない場所にも閉塞板8を配設することができる。
【0043】
実施形態6
図8よび図9に、本発明の実施形態6に係る水力発電装置10の要部を示す。実施形態6は実施形態4を改変してなるものであって、閉塞板8を発電室30の天井部30aに設置し、川の流れ方向に沿って閉塞板8を進退させるものである。なお、閉塞板8を進退させる機構は、例えば水量調整板41を進退させる駆動源42と同種のものとされる。
本実施形態はかかる構成とされているところから、閉塞板8を設けるための川岸に対する特段の土木工事が不要となり、施工期間の短縮および施工コストの低減が図られる。また、閉塞板8の進退量が実施形態4,5に比して著しく少ないので、より迅速な開閉がなし得る。
【0044】
なお、図8に二点鎖線で示すように、発電室30の屋上にも閉塞板8Aを進退自在に設けて閉塞板8を二重とし、大雨などの際や保守・点検の際に落水部20を完全に閉塞できるようにされてもよい。
【0045】
実施形態7
図10に、本発明の実施形態7に係る水力発電装置10をフロー図で示す。実施形態7は、実施形態1を改変してなるものであって、水量調整板41を電動仕切弁Vとして落水路21に介装したものである。図10に示すように、電動仕切弁VのモータMはコンピュータ45に接続され、コンピュータ45により弁Vの開閉動作が自動的になされるようにされている。
【0046】
このように、本実施形態では水量調整板41として電動仕切弁Vを落水路21に介装しているので、実施形態1構成の簡素化が図られるとともに、耐圧性も向上する。
【0047】
なお、実施形態7のその余の構成は、実施形態1と同様とされている。
【0048】
本実施形態はかかる構成とされているので、構成の簡素化および操作の利便性が向上される。
【0049】
また、本実施形態では弁Vを電動弁としているが、手動弁とすることもできる。
【0050】
さらに、図11に示すように、水車25が二台とされている場合には、落水路21を分岐させてその各々に電動弁Vまたは手動弁Vを介装するようにしてもよい。
【0051】
実施形態8
図12および図13に、本発明の実施形態8に係る水力発電装置10の要部を示す。実施形態8は実施形態6を改変してなるものであって、下段の下流側から発電室30の屋上に連通する魚道60および発電室30の屋上から田んぼへの用水のための取水路70を設けてなるものとされる。
【0052】
魚道60の発電室30の屋上側(導水路側)の開口部には、魚道60を遮断するための扉61が昇降自在に設けられている。この場合、図13に示すように、魚道60の屋上側(導水路側)の開口部下部は、発電室30の屋上、つまり導水路底面より下方とされるのが、水が確実に魚道60に供給されるので好ましい。
【0053】
取水路70の発電室30の屋上側(導水路側)の開口部には、取水路70を遮断するための扉71が昇降自在に設けられている。この場合、図13に示すように、取水路70の屋上側(導水路側)の開口部下部は、発電室30の屋上、つまり導水路底面より下方とされるのが、水が確実に取水路70に供給されるので好ましい。
【0054】
なお、実施形態8のその余の構成は、実施形態6と同様とされている。
【0055】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0056】
本実施形態では、導水路を形成する発電室30の天井部30aが河川上段の川床と同一平面とされているが、天井部30aの位置は前記に限定されるものではなく、河川上段の川床より高くならないようにされていればよい。
【0057】
また、実施形態1では、水量調整板41は落水斜面22と落水路21との境目に配設されているが、水量調整板41の配設位置は前記に限定されるものではなく、境目下方であって水車25上方の適宜位置とされてもよい。
【0058】
さらに、実施形態1では、落水斜面22は直線状とされているが、落水斜面22は曲線により形成されてもよい。
【0059】
さらに、実施形態4では、ゴミ取りにゴミ捕捉網板6が用いられているが、ゴミ取りは前記に限定されるものではなく、適宜とでき、例えばゴミ捕捉格子とすることもできる。
【0060】
さらに、本実施形態では、水力発電装置一基を河川や用水路の下段部に川幅いっぱいに配設するようにしているが、川幅が広い場合には、複数基を川幅方向に並列配置するようにしてもよい(図14参照)。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明による水力発電装置では、全国的に無数にある、もともと段差のある河川の川床や勾配が充分で段差を作り出すことが可能な川床を主に利用することから、この水力発電装置が全国規模で適用されれば、電気エネルギーの自給はもちろんのこと、この水力発電装置の建設に携わる産業が活性化されるものと期待される。
【符号の説明】
【0062】
6 ゴミ捕捉網板
8,8A 閉塞板
10 水力発電装置
20 落水部
20a 段部
21 落水路
22 落水斜面
25 水車
30 発電室
30a 天井部
33 発電機
35 誘導ブロック壁
36 放水路
41 水量調整板
42 駆動源
43 上限水位センサ
44 下限水位センサ
45 コンピュータ
46 分流板
47 分流開口
60 魚道
61 扉
70 取水路
71 扉
R レール
V 弁、電動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
川床に上下の段差のある河川または用水路の下段部に設置される水力発電装置であって、
前記上段側からの流水を集中させながら落水する落水部と、前記落水部の下端に連設され前記落水を水車に落下させる落水路と、前記落水路に連設され同落水路からの同落水を下流に放水する放水路とを有し、
前記落水部は、想定上限水位と想定下限水位とにより規定される貯水領域を有し、
前記落水路は、前記水車の上方に駆動源を具える水量調整板を有し、
前記駆動源は、前記水量調整板を水平方向に進退自在に駆動するものとされ、
前記貯水領域の貯水量は、前記水量調整板により前記落水路の開口幅を調整することにより、想定上限水位と想定下限水位との間で調整される
ことを特徴とする水力発電装置。
【請求項2】
落水路が片側または両側に水量調整板を有してなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項3】
落水部と落水路と放水路との組が、複数組川幅方向に並列配置されてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項4】
対向配置された一対の水車を落水路に有し、
前記落水路の前記対向配置された一対の水車の中間部上方に落水を分流させる分流板を有し、
前記分流板に対向配置された一対の水量調整板を前記落水路に有してなる
ことを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項5】
上段側に連設され流水を落水部に導水する導水路を有することを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項6】
落水部の上部にゴミ捕捉部材が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項7】
ゴミ捕捉部材の上方に落水部を閉塞する閉塞板が進退自在に配設されてなることを特徴とする請求項6記載の水力発電装置。
【請求項8】
閉塞板が川岸の一方または両方に配設されてなることを特徴とする請求項7記載の水力発電装置。
【請求項9】
閉塞板が導水路の下方に配設されてなることを特徴とする請求項7記載の水力発電装置。
【請求項10】
閉塞板が二重とされてなることを特徴とする請求項9記載の水力発電装置。
【請求項11】
水量調整板が弁とされてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項12】
対向配置された一対の水車を落水路に有し、
前記落水路の前記対向配置された一対の水車の上方において落水を分流させ、
前記分流された分流路のそれぞれに弁を介装してなる
ことを特徴とする請求項11記載の水力発電装置。
【請求項13】
弁が電動弁とされてなることを特徴とする請求項11または12記載の水力発電装置。
【請求項14】
落水路の川の流れに直交方向の幅が、水量調整板の駆動源が川幅内に配設されるよう調整されてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項15】
想定上限水位を検出する上限水位センサと、想定下限水位を検出する下限センサと、前記上限水位センサおよび下限センサからの信号に応答して水量調整板の駆動源を制御するコンピュータとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項16】
水車の回転軸に駆動輪が配設され、前記動輪が発電機の回転軸に配設された前記駆動輪より小径の従動輪とベルト掛けされてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項17】
駆動源が手動操作可能とされてなることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項18】
導水路に開口を有する魚道が付設されてなることを特徴とする請求項5記載の水力発電装置。
【請求項19】
魚道の導水路側の開口部下部が、導水路底面より下方とされてなることを特徴とする請求項18記載の水力発電装置。
【請求項20】
導水路に開口を有する取水路が付設されてなることを特徴とする請求項5記載の水力発電装置。
【請求項21】
取水路の導水路側の開口部下部が、導水路底面より下方とされてなることを特徴とする請求項20記載の水力発電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−32766(P2013−32766A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27886(P2012−27886)
【出願日】平成24年2月12日(2012.2.12)
【出願人】(508077702)
【Fターム(参考)】