説明

水底地盤打込み部材を用いた水域構造物

【課題】水底地盤打込み部材を用いた水域構造物を提供すること。
【解決手段】多数の水底地盤打込み部材1が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤2に打設され、前記水底地盤打込み部材1の上部から水底地盤2に向って斜め下向きに延長する多数の斜材3の上端部が、前記水底地盤打込み部材1に交差する方向に延長する中空鋼製部材からなる多数の上部梁材7にそれぞれ連結されて第1連結部を形成し、前記斜材3の下端部に杭挿通用下部筒体4が連結されて支持部材8が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤2に打設された多数の前方杭5に、それぞれ支持部材8における杭挿通用下部筒体4が挿入され、前記上部梁材7が水底地盤打込み部材1の上部および前方杭5の上部に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岸壁、横棧橋、突堤などの係留用水域構造物,護岸構造物,防波構造物,堤防構造物等に用いられる水底地盤打込み部材を用いた水域構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図27に示すように、H形鋼からなる上部梁材7Aの下側に耐圧縮斜材3Aを固定した耐圧縮支持部材8Aを用い、前方杭5の上部と水底地盤打込み部材1とに亘ってH形鋼からなる前記上部梁材7Aを配置して、鉄筋コンクリート製の連結部材41により連結する形態の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物40が知られている。また、図28に示すように、海側の複数の前方杭5または前方鋼管矢板5cの上部と水底地盤打込み部材1の上部とを、鉄筋コンクリート製の連結部材41により連結するようにした水底地盤打込み部材を用いた水域構造物40が知られている。
【0003】
また、図31の平面図に示すように、前記前方杭5の上部と水底地盤打込み部材1の上部とを、H形鋼からなる上部梁材7Aにより連結し、図29および図30に示すように、前記耐圧縮斜材3Aにおける上端部と、多数の縦リブ42およびベースプレート43を備えた前記上部梁材7Aの陸側よりの部分を、多数のボルト・ナットにより連結するようにした水域構造物40が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図32に示すように、H形鋼からなる上部梁材7Aの下フランジ44に、H形鋼からなる挿し込み部材としての埋設結合部材45を溶接により固定し、前記埋設結合部材45を、前方杭5または水底地盤打込み部材1の頭部内に挿入配置して、コンクリート等の経時硬化性材料25により埋め込み固定する形態も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、図33に示すように、H形鋼からなる挿し込み部材としての埋設結合部材45を縦向きに配置して、埋設結合部材45側の縦向きフランジ46に、H形鋼からなる上部梁材7Aの横方向の端部を溶接により固定し、前記埋設結合部材45を、前方杭5または水底地盤打込み部材1の頭部内に挿入配置して、コンクリート等の経時硬化性材料25により埋め込み固定する形態も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−228714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の水域構造物の耐圧縮斜材3と上部梁材7Aとの接合部には、次の(a)〜(c)の問題があった。
(a)ベースプレートとH形断面鋼からなる上部梁材7Aとは、上部梁材7Aの長手直角方向に多数配設されたリブを介して溶接接合されているが、リブの形状が複雑であるため、リブの加工費が嵩むという問題がある。
(b)リブはH形断面鋼の内側とベースプレートの上面に溶接する必要があるため、溶接量が多く、加工費用が嵩むとともに、加工工期が長くなるといった問題があった。
(c)リブとリブの間にボルトが配置されているため、リブ間隔はボルトの締め付け具の作業スペース分を確保しておく必要があり、ベースプレートの長さが長くなるといった問題があった。
【0008】
また、上部梁材7AにH形断面鋼を用いているので、図27に示すように、経時硬化性材料25に埋設されていない上部梁材7Aを防食しようとする場合、上部梁材7Aの断面形状がH形であるため、以下の(d)〜(f)問題があった。
(d)フランジ角部が鋭角のままだと、塗膜が薄くなるため、劣化しやすい。
(e)フランジ角部の鋭角部の面取りを行うと、面取り箇所数が多くなるため、加工コストが嵩むようになる。
(f)H形という複雑な断面形状であるため、ブラストや塗料の塗布時にロスが発生し、材料費が嵩むようになる。
【0009】
また、図32に示すように、H形鋼からなる上部梁材7Aの下フランジ44に、H形鋼からなる挿し込み部材としての埋設結合部材45を溶接により固定する、上部梁材7Aと埋設結合部材との連結構造の場合には、以下の(g)〜(i)の問題がある。
(g)H形断面鋼からなる上部梁材7Aの下フランジ44に、H形断面鋼からなる埋設結合部材45が溶接接合されているため、上部梁材7Aの下フランジ44には、埋設結合部材45からの曲げモーメントの作用で局部的に曲げ変形が発生し、耐力低下を招く恐れがある。
(h)上部梁材7Aの上下フランジ間に補強のためのリブを配置すると加工コストが嵩む。
(i)上部梁材7Aや埋設結合部材45に圧延材からなるH形鋼を使用する場合、サイズが限られているため、最適な組み合わせを得られない場合がある。このような場合には、鋼板を組み合わせて溶接しH形断面鋼を製作する必要があるが、これだと加工コストが嵩むようになる。
【0010】
図33に示すように、H形鋼からなる上部梁材7Aの横方向の端部を、H形鋼からなる挿し込み部材としての埋設結合部材45を縦向きに配置して、埋設結合部材45側の縦向きフランジ46に溶接により固定する、上部梁材7Aと埋設結合部材45との連結構造の場合は、以下の(j)〜(l)の問題がある。
(j)H形断面鋼からなる埋設結合部材45の一方の縦向きフランジ46に、H形断面鋼からなる上部梁材7Aが溶接接合されているが、埋設結合部材45の一方の縦向きフランジ46に上部梁材7Aからの曲げモーメントの作用で局部的に曲げ変形が発生し、耐力低下を招く恐れがある。
(k)埋設結合部材の左右フランジ間に補強のためのリブを配置すると加工コストが嵩むようになる。
上部梁材7Aや埋設結合部材に圧延材からなるH形鋼を使用する場合、サイズが限られている。このような場合には、鋼板を組み合わせて溶接しH形断面鋼を製作する必要があるが、このような製作方法では加工コストが嵩むようになる。
(l)上部梁材7Aや埋設結合部材45に圧延材からなるH形鋼を使用する場合、サイズが限られるため最適な組み合わせを得られない場合がある。このような場合には、鋼板を組み合わせて溶接しH形断面鋼を製作する必要があるが、これだと加工コストが嵩むようになる。
本発明は、前記の課題を有利に解消した水底地盤打込み部材を用いた水域構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物においては、多数の水底地盤打込み部材が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤(2)に打設され、前記水底地盤打込み部材の上部から水底地盤(2)に向って斜め下向きに延長する多数の斜材(3)の上端部が、前記水底地盤打込み部材に交差する方向に延長する中空鋼製部材からなる多数の上部梁材(7)にそれぞれ連結されて第1連結部(A)を形成し、前記斜材(3)の下端部に杭挿通用
下部筒体(4)が連結されて支持部材(8)が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤(2)に打設された多数の前方杭(5)に、それぞれ支持部材(8)における杭挿通用下部筒体(4)が挿入されて連結され、前記上部梁材(7)が水底地盤打込み部材の上部および前方杭(5)の上部に連結されている特徴とする。
第2発明では、第1発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記上部梁材(7)は、中空円形鋼管あるいは部材軸方向に直角な断面における角部が断面円弧状とされている中空角形鋼管であることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記斜材(3)が、中空円形鋼管であることを特徴とする。
第4発明では、第1〜3発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記上部梁材(7)の下方部に位置する第1ベースプレート(100)と上部梁材(7)の下部とは、上部梁材(7)の長手方向に配置された複数の連結鋼板(110)と溶接により連結され、斜材(3)の上端部は第2ベースプレート(101)と溶接により連結され、前記第1ベースプレート(100)と第2ベースプレート(101)とは、ボルト等の機械的手段により連結されて第1連結部(A)が形成されていることを特徴とする。
第5発明では、第4発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、第2ベースプレート(101)の幅を第1ベースプレート(100)の幅よりも若干大きくして、第1ベースプレート(100)が第2ベースプレート(101)の上面に溶接されていることを特徴とする。
第6発明では、第1〜第3発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、上部梁材(7)の下方部に位置する第1ベースプレート(100)と上部梁材(7)の下部とは、上部梁材(7)の長手方向に配置された複数の連結鋼板(110)と溶接により連結され、斜材(3)の上端部は第2ベースプレート(101)と溶接により連結され、第2ベースプレート101の幅を第1ベースプレート100の幅よりも若干大きくして、第1ベースプレート100は第2ベースプレート101の上面に溶接されることにより連結されて第1連結部(A)が形成されていることを特徴とする。
第7発明では、第4発明〜第6発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、連結鋼板(110)の所定箇所に所定形状の開口部を所定個数設けていることを特徴とする。
第8発明では、第4発明〜第7発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、斜材(3)の上部と第2ベースプレート(101)には、斜材側縦補強鋼板(13)が溶接接合されていることを特徴とする。
第9発明では、第1発明〜第8発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記上部梁材(7)が水底地盤打込み部材の上部および前方杭(5)の上部に連結されて連結部(B)を形成していることを特徴とする。
第10発明では、第9発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、中空柱状部材からなる前方杭(5)の頭部に対応する位置における上部梁材7には、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管の基端部が溶接接合されて埋設結合部材(6)が形成され、前記埋設結合部材(6)は、前記前方杭(5)の上部に内挿され、前記前方杭(5)の上部所定範囲に、前記埋設結合部材(6)を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部(B2)が形成されていることを特徴とする。
第11発明では、第9発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、中空柱状部材からなる前方杭(5)の頭部に対応する位置において、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管からなる埋設結合部材(6)の下方部が前記前方杭(5)の上部に内挿され、前記埋設結合部材(6)の上部が前記前方杭(5)よりも突出して突出部(37)を形成し、前記突出部(37)の側面に、上部梁材(7)の一端が溶接接合され、前記前方杭(5)の上部所定範囲に、前記埋設結合部材(6)を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部(B2)が形成されていることを特徴とする。
第12明では、第10発明または第11発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物
において、前記埋設結合部材(6)の所定箇所には所定形状の開口部が所定個数設けられてジベルを形成し、ジベル付きの埋設結合部材(6)とされていることを特徴とする。
第13発明では、第10〜第12発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、孔明き鋼板(35)が埋設結合部材(6)の所定箇所に溶接接合されて孔明き鋼板ジベル付きの埋設結合部材(6)とされていることを特徴とする。
第14発明では、第13明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、孔明き鋼板(35)が埋設結合部材(6)の外側に設けられて、孔明き鋼板(35)が、水底地盤打込み部材あるいは前方杭における鋼管に対して、スペーサーあるいは間隔保持材としても機能していることを特徴とする。
第15発明では、第1発明〜第14発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、構造物延長方向に多数配設された中空柱状部材からなる前方杭(5)の上部は、鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第1連結材(11)により連結されていることを特徴とする
第16発明では、第1発明〜第15発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、構造物延長方向に多数配設された水底地盤打ち込み部材(1)の上部と上部梁材(7)との第3連結部(B3)と、上部梁材(7)と斜材(3)との第1連結部(A)とは、これらを埋め込むように設けられる鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第2連結材(12)により連結されていることを特徴とする。
第17発明では、第4発明〜第16発明のいずれかの水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、第1ベースプレート(100)の所定箇所に第1開口部(K1)が設けられ、第2ベースプレート(101)の所定箇所に第2開口部(K2)が設けられ、上部梁材(7)の下部の所定箇所に第3開口部(K3)が設けられ、上部梁材7の上部に所定箇所に第4開口部(K4)が設けられていることを特徴とする。
第18発明では、第17発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記第1開口部(K1)と、第2開口部(K2)と、第3開口部(K3)と、第4開口部(K4)とは、上下方向に間隔をおいて直列に配置されていることを特徴とする。
第19発明では、第17発明または第18発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、前記第1開口部(K1)と、第2開口部(K2)と、第3開口部(K3)と、第4開口部(K4)とに亘って、コンクリート等経時硬化性材料を充填するためのコンクリート充填用ガイド管等の充填用補助部材(14)が設置されていることを特徴とする。
第20発明では、第1発明〜第19発明における水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、斜材の上部内側に底型枠が設けられて、斜材の上部の所定範囲に経時硬化性材料が充填されていることを特徴とする。
第21発明では、第1発明〜第20発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において、上部梁材(7)の内側の所定箇所には、仕切り型枠が設けられ、仕切り型枠で仕切られた上部梁材(7)の内側空間に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によると、多数の水底地盤打込み部材が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤に打設され、前記水底地盤打込み部材の上部から水底地盤に向って斜め下向きに延長する多数の斜材の上端部が、前記水底地盤打込み部材に交差する方向に延長する中空鋼製部材からなる多数の上部梁材にそれぞれ連結されて第1連結部を形成し、前記斜材の下端部に杭挿通用下部筒体が連結されて支持部材が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤に打設された多数の前方杭に、それぞれ支持部材における杭挿通用下部筒体が挿入されて連結され、前記上部梁材が水底地盤打込み部材の上部および前方杭の上部に連結されているので、中空鋼製部材からなる上部梁材を用いることにより、上部梁材の下側において斜材との連結を図る第1連結部で確実に連結することができる効果が得られる。
また、上部梁材は中空鋼製部材であるので、その外周面に重防食被覆を施した場合に、
塗膜がコーナー部で薄くなったり、剥離する恐れを回避することができ、防食性能の高い水域構造物とすることができる等の効果が得られる。
第2発明によると、前記上部梁材は、中空円形鋼管あるいは部材軸方向に直角な断面における角部が断面円弧状とされている中空角形鋼管であるので、従来のH形断面材に比べて、捻り剛性が大きく、構造部材として安定しており、かつ、防食材料で被覆する場合にも、均一の厚さに被覆することができる。
また、上部梁材の内部の所定部位に経時硬化性材料を充填することにより重量や剛性を調整することも可能であるため、設計および施工の自由度を高めることができる等の効果が得られる。
第3発明によると、前記斜材が、中空円形鋼管であるので、捻り剛性が大きく、構造部材として安定しており、かつ、防食材料で被覆する場合にも、均一の厚さに被覆することができる。
また、斜材の内部に経時硬化性材料を充填することにより、重量や剛性を調整することも可能であるため、設計および施工の自由度を高めることができる等の効果が得られる。
第4発明によると、上部梁材の下方部に位置する第1ベースプレートと上部梁材の下部とは、上部梁材の長手方向に配置された複数の連結鋼板と溶接により連結され、斜材の上端部は第2ベースプレートと溶接により連結され、前記第1ベースプレートと第2ベースプレートとは、ボルト等の機械的手段により連結されて第1連結部が形成されているので、第1ベースプレートと上部梁材の下部とは、上部梁材の長手方向に配置された複数の連結鋼板を介して溶接という簡易な手段により確実に連結され、かつ、上部梁材側の第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートとをボルト等の機械的手段により連結するだけで、上部梁材と斜材とを確実に連結一体化することができる等の効果が得られる。
また、前方杭や水底地盤打ち込み部材の施工誤差が大きい場合には、第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートをそれらのボルト孔列方向に、位置をボルト孔間隔分位置をずらして、第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートをボルト接合することにより、前方杭と水底地盤打ち込み部材の施工誤差を簡単に吸収することができる効果もある。
ボルト孔列が千鳥状に規則的に配置されている場合には、前後左右の2方向の施工誤差を吸収することができる。
第5発明によると、第2ベースプレートの幅を第1ベースプレートの幅よりも若干大きくして、第1ベースプレートが第2ベースプレートの上面に溶接されているので、斜材側の第2ベースプレートの幅を、溶接代程度、若干大きくするだけで、上部梁材側の第1ベースプレートを斜材側の第2ベースプレートに溶接により固定することで連結して、上部梁材と斜材とを一体化することができる等の効果が得られる。
また、前方杭や水底地盤打ち込み部材の施工誤差が大きい場合には、第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートをずらして溶接により連結することにより、前方杭や水底地盤打ち込み部材の施工誤差を吸収することができる。
第6発明によると、上部梁材の下方部に位置する第1ベースプレートと上部梁材の下部とは、上部梁材の長手方向に配置された複数の連結鋼板と溶接により連結され、斜材の上端部は第2ベースプレートと溶接により連結され、第2ベースプレートの幅を第1ベースプレートの幅よりも若干大きくして、第1ベースプレートは第2ベースプレートの上面に溶接されることにより連結されて第1連結部(A)が形成されているので、上部梁材とその第1ベースプレートとを連結鋼板を介して容易に一体化することができ、また、上部梁材側の第1ベースプレートを斜材側の第2ベースプレートに溶接により固定することで連結して、上部梁材と斜材とを一体化することができる等の効果が得られる。
また、前方杭や水底地盤打ち込み部材の施工誤差が大きい場合には、第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートのボルト孔の位置をずらして、ボルト接合と溶接により連結することにより施工誤差を吸収することができる。
第7発明によると、連結鋼板の所定箇所に所定形状の開口部を所定個数設けているので、連結鋼板はジベル機能を発揮する。このため、連結鋼板を埋め込むコンクリート等の経
時硬化性材料を打設する場合に、連結鋼板との一体化を確実に図ることがでる。また、連結鋼板を複数枚設置する場合に、連結鋼板に設けた開口部から、連結鋼板間に経時硬化性材料を充填することができるため、連結鋼板が複数枚ある場合でも、連結鋼板との一体化および上部梁材との一体化を確実に図ることができる等の効果が得られる。
第8発明によると、斜材の上部と第2ベースプレートには、斜材側縦補強鋼板が溶接接合されているので、斜材側縦補強鋼板を1枚または複数枚設けることにより、第2ベースプレートの剛性が高まり、また複数枚の斜材側縦補強鋼板を設ける場合には、斜材側縦補強鋼板間のスパンが短くなるから、第2ベースプレートの局部的な曲げ剛性が高まるから、不要に厚い第2ベースプレートを使用することなく、斜材と第2ベースプレートを確実に強固に固定することができ、また斜材側縦補強鋼板は、第2ベースプレート下側に配置され斜材に固定する形態になるので、コンクリート等の経時硬化性材料を打設する場合でも、従来のH型断面材の上下フランジ間に打設する場合に比べて、確実に充填することができる。
第9発明によると、前記上部梁材が水底地盤打込み部材の上部および前方杭の上部に連結されて連結部を形成しているので、波浪あるいは土圧が作用する場合に、上部梁材から連結部を介して水底地盤打込み部材および前方杭に応力を伝達したり、水底地盤打込み部材から上部梁材を介して前方杭に応力を伝達したり、あるいは上部梁材および斜材を介して前方杭に応力を伝達することができる等の効果が得られる。
第10発明によると、中空柱状部材からなる前方杭の頭部に対応する位置における上部梁材には、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管の基端部が溶接接合されて埋設結合部材が形成され、前記埋設結合部材は、前記前方杭の上部に内挿され、前記前方杭の上部所定範囲に、前記埋設結合部材を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部が形成されているので、上部梁材に、中空鋼管からなる埋設結合部材を設けて前方杭内に充填する経時硬化性材料により埋め込むだけで、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第11発明によると、中空柱状部材からなる前方杭の頭部に対応する位置において、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管からなる埋設結合部材の下方部が前記前方杭の上部に内挿され、前記埋設結合部材の上部が前記前方杭よりも突出して突出部を形成し、前記突出部の側面に、上部梁材の一端が溶接接合され、前記前方杭の上部所定範囲に、前記埋設結合部材を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されているので、埋設結合部材の上部を前方杭よりも突出させるだけで、コンクリート等の経時硬化性材料を打設して築造される構造物延長方向第1連結材等の連結材に前記突出部を埋め込むだけで、上部梁材と構造物延長方向第1連結材との一体化、あるいは突出部を介した構造物延長方向第1連結材と前方杭との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
また、前方杭の上部所定範囲に、前記埋設結合部材を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されるが、このコンクリートなどの経時硬化性材料の充填を前記埋設結合部材の上端開放部から行うことができるので、充填作業を簡単かつ確実に行うことができる。
第12発明によると、前記埋設結合部材(6)の所定箇所には所定形状の開口部が所定個数設けられてジベルを形成し、ジベル付きの埋設結合部材(6)とされているので、埋設結合部材に開口部を設けるだけで、一層強固に、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第13発明によると、孔明き鋼板が埋設結合部材の所定箇所に溶接接合されて孔開き鋼板ジベル付きの埋設結合部材としているので、埋設結合部材に孔開き鋼板を設けるだけで、一層強固に、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第14発明によると、孔明き鋼板が埋設結合部材の外側に設けられて、孔明き鋼板が、スペーサーあるいは間隔保持材としても機能しているので、孔明き鋼板を埋設結合部材の外側に設けるだけで、孔明き鋼板をジベルとして機能させることができると共に、孔開き鋼板を、埋設結合部材と水底地盤打込み部材あるいは杭との間の間隔が狭くなることを防
ぎ、コンクリート等の経時硬化性材料の充填を確実にするためのスペーサーあるいは間隔保持材としても機能させて、埋設結合部材を所定の位置に設置することができる等の効果が得られる。
第15発明によると、構造物延長方向に多数配設された中空柱状部材からなる前方杭の上部は、鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第1連結材(11)により連結されているので、前方杭の上部と構造物延長方向第1連結材との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第16発明によると、構造物延長方向に多数配設された水底地盤打ち込み部材の上部と上部梁材との第3連結部(B3)と、上部梁材と斜材との第1連結部とは、これらを埋め込むように設けられる鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第2連結材(12)により連結されているので、水底地盤打ち込み部材の上部と、上部梁材と、斜材上部と、構造物延長方向第2連結材との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第17発明によると、第1ベースプレートの所定箇所に第1開口部が設けられ、第2ベースプレートの所定箇所に第2開口部が設けられ、上部梁材の下部の所定箇所に第3開口部が設けられ、上部梁材の上部に所定箇所に第4開口部が設けられているので、充填用ガイド管等の充填用補助部材を第1開口部〜第4開口部に亘って配置して、容易に上部梁材側から斜材上部内にコンクリート等の経時硬化性材料を充填することができる等の効果が得られる。
第18発明によると、前記第1開口部と、第2開口部と、第3開口部と、第4開口部とは、上下方向に間隔をおいて直列に配置されているので、コンクリート等の経時硬化性材料を充填するための充填用ガイド管等の充填用補助部材を配置する場合に、直列に配置されている各開口部に順次挿入することで容易に配置することができるため、充填用補助部材の配置作業あるいは撤去作業が容易である等の効果が得られる。
第19発明によると、前記第1開口部と、第2開口部と、第3開口部と、第4開口部とに亘って、コンクリート等の経時硬化性材料を充填するための充填用ガイド管等の充填用補助部材が設置されているので、充填用補助部材を利用して斜材上部にコンクリート等の経時硬化性材料を充填することができる等の効果が得られる。
第20発明によると、斜材の上部内側に底型枠が設けられて、斜材の上部の所定範囲に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されているので、斜材の剛性を高め、構造物延長方向第2連結材に埋設される斜材上部の埋設される部位と埋設されない部位の境界部において、中空とする場合に比べて、急激な剛性変化がおこらないので、剛性変化の影響により応力集中が発生する恐れを回避することができる効果が得られる。
第21発明によると、上部梁材の内側の所定箇所には、仕切り型枠が設けられ、仕切り型枠で仕切られた上部梁材の内側空間に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されているので、仕切り板により仕切られた所定範囲に経時硬化性材料を充填して上部梁材の剛性を高め、また、構造物延長方向第1連結材あるいは構造物延長方向第2連結材に埋設される上部梁材の埋設される部位と埋設されない部位の境界部において、中空とする場合に比べて、急激な剛性変化がおこらないので、剛性変化の影響により応力集中が発生する恐れを回避することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物を示す概略側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の変形形態を示す縦断側面図である。
【図3】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における杭挿通用下部筒体およびこれに挿通配置されている前方杭付近の縦断正面図である。
【図4】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の正面図である。
【図5】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における陸側の水底地盤打込み部材を示す縦断正面図である。
【図6】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における上部梁材付近の横断平面図である。
【図7】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における斜材上部付近の横断平面図である。
【図8】杭挿通用下部筒体付近を拡大して示す縦断側面図である。
【図9】杭挿通用下部筒体と前方杭とのに渡って漏洩防止部材を配置固定した状態を示す側面図である。
【図10】図1または図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の耐圧縮支持フレームの上部付近を示す一部縦断側面図である。
【図11】耐圧縮支持フレームを示す概略側面図である。
【図12】図12に示す耐圧縮支持フレームの一部を拡大して示す一部切欠概略側面図である。
【図13】(a)は図12のa−a断面図、(b)は図12のb−b断面図、(c)は図12のc−c断面図、(d)は図12のd−d断面図である。
【図14】図12に示す耐圧縮支持フレームの一部を拡大して示す側面図である。
【図15】上部梁材と斜材との接合部である第1連結部を示すものであって、(a)は上部梁材の一部を切り欠いて示す平面図、(b)は側面図である。
【図16】図15に示す上部梁材と斜材との接合部の縦断背面図である。
【図17】杭挿通用下部筒体付近を拡大して示す縦断側面図である。
【図18】(a)は、図17のe−e矢視図、(b)は図17のf−f断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物を示す縦断側面図である。
【図20】図19に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の正面図である。
【図21】図19に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における陸側の水底地盤打込み部材による矢板壁を示す縦断正面図である。
【図22】図19に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における上部梁材付近の横断平面図である。
【図23】図19における耐圧縮斜材の上部付近で切断した横断平面図である。
【図24】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物において用いられる耐圧縮支持フレームの一形態を示す側面図である。
【図25】(a)は図24の一部を拡大示す一部拡大側面図、(b)は(a)における斜材上部付近の横断平面図である
【図26】(a)は、上部梁材と斜材との接合部付近の平面図、(b)は上部梁材と斜材との接合部付近の縦断背面図である。
【図27】従来の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の第1例を示す概略縦断側面図である。
【図28】従来の水域構造物の第2例を示す概略縦断側面図である。
【図29】従来の耐圧縮支持フレームにおける斜材と上部梁材との接合部を示す側面図である。
【図30】図29の正面図である。
【図31】従来の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物を示す平面図である。
【図32】上部梁材と水底地盤打ち込み部材との接合部の従来例を示す縦断側面図である。
【図33】上部梁材と水底地盤打ち込み部材との接合部の他の従来例を示す縦断側面図である。
【図34】上部梁材と斜材との接合部である第1連結部の他の形態を示すものであって、(a)は上部梁材の一部を切り欠いて示す平面図、(b)は側面図である。
【図35】上部梁材と斜材との接合部である第1連結部のさらに他の形態を示すものであって、(a)は上部梁材の一部を切り欠いて示す平面図、(b)は側面図である。
【図36】第1〜第3埋設結合部材自体に孔を設けて、孔開きジベル付きの形態とした例を示す説明図である。
【図37】埋設結合部材に孔開き鋼板ジベルを設けた代表形態を示す説明図である。
【図38】埋設結合部材にジベルを設ける他の形態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は(a)のg−g断面図である。
【図39】埋設結合部材にジベルを設ける他の形態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は(a)のh−h断面図である。
【図40】埋設結合部材にジベルを設ける他の形態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は(a)のi−i断面図である。
【図41】埋設結合部材にジベルを設ける他の形態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は(a)のj−j断面図である。
【図42】他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図43】さらに他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図44】さらに他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図45】さらに他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図46】さらに他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図47】さらに他の形態の支持フレームを使用した水域構造物を示す縦断側面図である。
【図48】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の他の変形形態を示す概略側面図である。
【図49】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物のさらに他の変形形態を示す概略側面図である。
【図50】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の他の変形形態を示す概略側面図である。
【図51】図50に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における上部梁材付近の横断平面図である。
【図52】図50に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物における斜材上部付近の横断平面図である。
【図53】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物のさらに他の変形形態を示す概略側面図である。
【図54】本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物の他の変形形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図11〜図16には、本発明の実施形態において用いられる埋設結合部材6(6a〜6c)を有する上部梁材7および耐圧縮・耐引張兼用の支持部材8を備えた耐圧縮・耐引張兼用の支持フレーム57が示されている。上部梁材7と耐圧縮・耐引張兼用の斜材3の下端側とは、支保装置9により連結されている。
【0016】
斜め下向きに延長する斜材3の上端部が、上部梁材7に連結されて第1連結部Aを形成している。前記斜材3は、前記水底地盤打込み部材1の上部から水底地盤2に向って配置され、前記上部梁材7は、後記する水底地盤打込み部材1に交差する方向に延長するように配置される。
【0017】
上部梁材7の下方部に位置する平面矩形状の鋼製第1ベースプレート100と上部梁材7の下部とは、上部梁材7の長手方向に配置された前後方向に間隔をおいた複数枚の連結鋼板110と溶接により連結されている。
また、第1ベースプレート100と内側の連結鋼板110に直角に上部梁材7を支承する円弧状上面を有する支承鋼板10が、左右方向に間隔をおいて対称に前後方向に間隔をおいて複数組、第1ベースプレート100上に配置され、第1ベースプレート100と上部
梁材7と内側の連結鋼板110に溶接により固定されて、上部梁材7の下面を安定した状態で支承するように連結一体化されている。
また、円弧状上面を有する支承鋼板10を備えているので、上部梁材7を安定した状態で支承鋼板10により支承している。
【0018】
前記斜材3の上端部は、平面矩形状で鋼製の第2ベースプレート101と溶接により連結され、前記第1ベースプレート100と第2ベースプレート101とは、ボルト等の機械的手段により連結されて第1連結部(A)が形成されている。
前記第1ベースプレート100と第2ベースプレート101の平面形態としては、平面矩形以外にも、多角形、円形、楕円形等であってもよい。
前記の第1ベースプレート100と第2ベースプレート101の左右方向の幅寸法は、斜材3の左右方向の幅寸法よりも大きくされており、平面視で、第2ベースプレート101の下側に配置される斜材側縦補強鋼板13から左右方向に離れた位置において、第2ベースプレート101に複数のボルト孔を設けることが可能になり、ボルトを締め込む場合の作業をする場合に、斜材側縦補強鋼板13が障害とならないようにされている。
【0019】
前記の連結鋼板110には、その所定箇所に所定形状の左右方向に貫通する開口孔等の開口部を所定個数設けることで、これを被覆するように設けるコンクリート等の経時硬化性材料25を含む構造物延長方向第2連結材12(図1参照)との強固な連結一体化を図ることができる。
前記の連結鋼板110に設ける開口孔としては、連結鋼板110の上下方向および前後方向に間隔をおいて複数の貫通する円形、矩形等の貫通孔を設けると、上部梁材7の下面側と第1ベースプレート100との間に、コンクリート等の経時硬化性材料25を充填されるため、空洞部が生じないのでよい。
【0020】
前記斜材3の上端部と、平面矩形状で鋼製の第2ベースプレート101とに渡って、左右方向に間隔をおいて複数枚(図示の場合は、前後方向の片側で、左右方向の中央および両端に各1枚の計3枚)の斜材側縦補強鋼板13が鉛直に配置されて、溶接により接合されて補強されている。このように、少ない枚数の斜材側縦補強鋼板13が鉛直に配置されることで、第2ベースプレート100と斜材3上部とを確実に一体化することができ、また、第2ベースプレート100から斜材側縦補強鋼板13を解して斜材3に荷重を分散して伝達することができ、さらに、コンクリート等の経時硬化性材料25により、斜材3の上部外側を埋め込む場合に、斜材側縦補強鋼板13は少ない枚数で、左右方向の両側に位置する斜材側縦補強鋼板13は、その幅寸法が下端側に向かって狭くなるように傾斜しているので、第2ベースプレート101の下側への経時硬化性材料25の充填性も向上するようにされている。
このように、斜材側縦補強鋼板13を1枚または複数枚設けることにより、第2ベースプレートの剛性が高まり、また複数枚の斜材側縦補強鋼板を設ける場合には、斜材側縦補強鋼板間のスパンが短くなるから、第2ベースプレートの局部的な曲げ剛性が高まるから、不要に厚い第2ベースプレートを使用する必要がなく、経済的である。
【0021】
前記第1ベースプレート100と第2ベースプレート101とには、斜材3の上端部直上であって、前後方向の一端側に、コンクリート等の経時硬化性材料を充填するための充填用ガイド管14などの充填用補助部材を挿通配置するための開口部K1,K2(図13d参照)が設けられて、また、上部梁材7の下端部におよび上端部に開口部K3,K4が設けられ、これらの開口部K1〜K4に渡って、上端部に張り出しフランジからなるストッパ15を有する充填用ガイド管14が縦向きに配置され、前記充填用ガイド管14の上端部は、上部梁材7およびこれに固定された筒状囲い16から突出した状態で、前記ストッパ15の下面は上部梁材7上の筒状囲い16の上面部等で適宜支持されている。
なお、前記の充填用ガイド管14以外にも、上部にホッパー部を有するガイド筒等の充
填用補助部材でもよい。
前記の充填用補助部材は、充填後、撤去してもよく、残置して経時硬化性材料25に埋め込み固定してもよい。
【0022】
前記充填用ガイド管14のストッパ15の下部は、現場等においてコンクリート等の経時硬化性材料25を充填したときに、オーバーフローした経時硬化性材料25を一時的にためるための、筒状囲い16に支持されている。筒状囲い16は上部梁材7の開口部K4の周囲に溶接等により固定されている。
【0023】
充填用ガイド管14の下端部は、斜材3の上部内に位置するように配置されている。なお、前記の充填用ガイド管14は、施工現場において、斜材3内にコンクリート等の経時硬化性材料25を充填するために、一時的に設置するものであり、斜材3内に経時硬化性材料25を充填したのち撤去され、撤去された部分の上部梁材7の上端部の開口部は、経時硬化性材料25を充填孔として用いられ、第1連結部A付近の上部梁材7内に、仕切り型枠18で仕切られた部分にコンクリート等の経時硬化性材料25が充填される。
【0024】
上部梁材7内には、第1連結部A寄りに、仕切り型枠18が固定され、また、支保装置9寄りに仕切り型枠18が固定され、さらに、上部梁材7の両端部には、蓋材を兼ねた鋼製の仕切り型枠18が溶接により固定されている(図12参照)。
上部梁材7内に設ける前記の仕切り型枠18は、構造物延長方向第1連結材11あるいは構造物延長方向第2連結材12(図1参照)を設ける幅、あるいは構造物延長方向第1連結材11間の間隔により、適宜設定される。
図12(図10)に示す形態では、構造物延長方向第1連結材11間の間隔が短い場合なので、2つの構造物延長方向第1連結材11に亘って、連続してコンクリート等の経時硬化性材料25が充填され、上部梁材7の長手方向の中間部に1つ前記仕切り型枠18が設けられ、また、構造物延長方向第2連結材12側よりに、他の1つの仕切り型枠18が設けられている。
図10において、構造物延長方向第1連結材11間の距離が長い場合には、構造物延長方向第1連結材11間に、間隔をおいて2つの仕切り型枠18を設けることにより、各構造物延長方向第1連結材11に対応し、上部梁材7の直径寸法程度、構造物延長方向第1連結材11から離れた位置に、仕切り型枠18を設けるようにし、上部梁材7の端部から軸方向に順に、上部梁材7の端部の蓋材としての仕切り型枠とこれに隣接する仕切り型枠18との間に、あるいは、次の仕切り型枠18とその次の仕切り型枠18間に、それぞれコンクリート等の経時硬化性材料25を充填するようにされ、各構造物延長方向第1連結材11から上部梁材7の直径寸法程度、離れた位置まで充填される。
【0025】
上部梁材7内における前記の仕切り型枠18と端部の仕切り型枠18との間に、コンクリート等の経時硬化性材料25を充填するために、グラウト孔19とエアー抜き孔20が適宜設けられている。
なお、斜材3内の上部の内側には、底型枠としての仕切り型枠18が設置されている。
【0026】
前記の上部梁材7内の経時硬化性材料25を充填する部分は、上部梁材7を被覆するように設ける、左右方向連結材である構造物延長方向第1連結材11あるいは構造物延長方向第2連結材12から突出する部分では、構造物延長方向第1連結材11あるいは構造物延長方向第2連結材12の前後方向の端面に近い位置で中空部とならないように経時硬化性材料25を充填して、急激な変断面とならないようにしている。
構造物延長方向第1連結材11あるいは構造物延長方向第2連結材12に埋設される上部梁材7あるいは斜材3の箇所は、埋設される部位と埋設されない部位の境界部が剛性変化の影響により応力集中が発生するため、前記のように、構造物延長方向第1連結材11あるいは構造物延長方向第2連結材12から上部梁材7の外径程度あるいは斜材3の外径
程度離れた位置まで、これらの中空部材の内部にコンクリート等の経時硬化性材料25を充填することで、境界部の剛性変化を緩和し、応力集中の発生を防止または低減し、また、上部梁材7あるいは斜材3の変形を硬化したコンクリート等の経時硬化性材料25により変形を拘束していると共に鋼・コンクリート(経時硬化性材料)の一体構造として剛性を高めている。
【0027】
図15に示すように、前記第1ベースプレート100の左右方向(上部梁材7の長手方向に直角な方向)の幅寸法は、前記第2ベースプレート101の左右方向の幅寸法よりも小さくされ、前記第1ベースプレート100の左右方向の両端部および第2ベースプレート101の左右方向の両端部には、前後方向に間隔をおいて複数のボルト挿通孔が設けられ、これらのボルト挿通孔に挿通されたボルト21およびこれにねじ込まれるナットにより、この形態では、前記第1ベースプレート100と第2ベースプレート101が一体に連結されることで、斜材3と上部梁材7との第1連結部Aを形成している。
前記第1ベースプレート100の左右方向の両端部および第2ベースプレート101の左右方向の両端部に設けられる前後方向の複数のボルト挿通孔は、前後方向に1列(図示の場合)または2列あるいは千鳥状に規則的に設けられる。図示の場合は、前後方向に一定の間隔をおいて、多数設けられているから、水底地盤打込み部材1と前方杭5の打込み位置がずれて、これらの間の前後方向の距離に短くなったり、長くなった場合に、第2ベースプレート101に対して第1ベースプレート100は、前後方向に位置を規則的に設けられているボルト挿通孔の孔ピッチの整数倍、位置をずらして、ボルト接合することになる。したがって、すべてのボルト挿通孔に渡ってボルトが設けられない場合もある。
また、前記の場合に、2列または千鳥状にボルト挿通孔が設けられている場合には、前後方向のみならず、左右方向に、前記第1ベースプレート100と第2ベースプレート101の位置調整を図って、ボルト接合することができる。
【0028】
前記の場合に、図34(a)(b)に示すように、前記第1ベースプレート100の左右方向の幅寸法は、前記第2ベースプレート101の左右方向の幅寸法よりも小さくされていることにより、第2ベースプレート101に第1ベースプレート100を載置して、第1ベースプレート100の左右方向の両側端部を第2ベースプレート101に前後方向に連続する、または断続する溶接Wにより固定するようにしてもよい。
前記のようにボルト21による連結と溶接Wによる連結とを併用すると、確実に連結一体化することができる。また、ボルト接合できなかった分、溶接Wにより補足することもできる。
なお、前記の溶接は、連続または断続した隅肉溶接でもよい。
【0029】
なお、図35(a)(b)に示すように、前記第1ベースプレート100の左右方向の両端部および第2ベースプレート101の左右方向の両端部に、前後方向に間隔をおいてボルト挿通孔を設けない場合には、第1ベースプレート100の左右方向の両側端部を、第2ベースプレート101に前後方向に連続する溶接W、または断続する溶接Wにより固定してもよい。
前記の溶接Wとしては、隅肉溶接あるいはプラグ溶接等、その他適宜の溶接でもよい。
なお、図示を省略するが、第1ベースプレート100または第2ベースプレート101のいずれか一方に複数の貫通孔を設けて、プラグ溶接(栓溶接)するようにしてもよい。
例えば、第1ベースプレート100のプラグ溶接用の孔を設け、第2ベースプレート101側にプラグ溶接用の孔を設けない形態でよい。
前記のように、水底地盤打込み部材1と前方杭5の打込み位置がずれた場合に、第1ベースプレート100と第2ベースプレート101を溶接により固定する形態では、第1ベースプレート100と第2ベースプレート101の前後方向または左右方向の位置調整を図って接合することができる。ボルト接合の場合には、ボルト孔のピッチ間隔に左右されるが、溶接による接合の場合には、位置の微調整も可能である。
なお、前記のように第1ベースプレート100と第2ベースプレート101とを溶接により固定する場合には、第1ベースプレート100と第2ベースプレート101とを位置調整した状態で重合し、クランプ等の把持金具により仮固定した状態で、、第1ベースプレート100と第2ベースプレート101とを溶接により固定し、その後、クランプ等の把持金具を撤去してもよく、残置してもよい。
【0030】
前記斜材3の下端部に杭挿通用下部筒体4が連結されて支持部材8が構成されている(図11参照)。
この形態では、前記斜材3および上部梁材7が一体に連結され、斜材3および上部梁材7は中空鋼管を用いていることから、斜材3および上部梁材7は、地震時等において、部材軸方向の圧縮力および引張力を伝達可能にされている。
中空鋼管を用いる場合、または、角形鋼管を用いる場合には、部材軸方向に直角な断面で外周面側の隅角部が、円弧状のものを用いることで、防錆塗料の塗布量を均一に図れ、鋭角な角部による防錆塗料の剥離を防止するようにしている。
斜材3および上部梁材7は、干満帯および海水等の水の飛沫を受ける部分は、重防食等の防食被覆が施されることで、防錆が図られる(図12参照)。なお、支保装置9は、杭挿通用筒状体4が前方杭5に固定された時点、あるいは水域構造物28を構築した時点において撤去される。
なお、前記の斜材3としては、中空円形鋼管が望ましい。
【0031】
この形態においては、中空鋼管等の中空鋼製部材、好ましくは、中空円形鋼管(または中空角形鋼管)からなる前記の上部梁材7の前端下部と、中間下部と、後端側下部(基端側下部)に、前記上部梁材7の外径寸法よりも小径で下端が開口している短尺鋼管がそれぞれ縦向きに配置されて、それらの上端部(基端部)が溶接により上部梁材7の下部に固定され、上部梁材7の前端下部に固定された短尺鋼管により第1埋設結合部材6(6a)が構成され、上部梁材7における前端部よりの中間下部に固定された短尺鋼管により第2埋設結合部材6(6b)が構成され、上部梁材7における後端側(基端側)の下部に固定された短尺鋼管により第3埋設結合部材6(6c)が構成されている。
【0032】
前記の第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の基端側(上端部)には、図12および図13に示すように、エアー抜き用横孔22が設けられている。
前記のエアー抜き用横孔22は、前記の各第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の内側上端部まで経時硬化性材料25の充填を確実に図るために設けられている。すなわち、前記第1埋設結合部材6(6a)が、沖側よりに位置する第2前方杭5A(図1,2,10参照)の頭部に挿入され、前記第2埋設結合部材6(6b)が、前記第2前方杭5Aよりも陸側よりに位置する第1前方杭5の頭部に挿入され、前記各第3埋設結合部材6(6c)が、前記第1前方杭5よりも陸側よりに位置する水底地盤打込み部材1の頭部に挿入されて、各第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)を埋め込むように各頭部内にコンクリート等の経時硬化性材料25を充填した場合に、各第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)内の上端付近からエアー抜きを図ることで、前記の各第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の内側上端部まで経時硬化性材料25の充填を確実に図ることが可能にされている。
【0033】
前記の第1〜第2埋設結合部材6(6a〜6b)の外径寸法は、これらを挿入する前方杭5,5aの内径寸法よりも十分小さくされ、また、前記の第3埋設結合部材6(6c)の外径寸法は、これらを挿入する水底地盤打込み部材1の内径寸法よりも十分小さくされ(例えば、半径寸法で、モルタルあるいはコンクリート等の経時硬化性材料25に混合される骨材寸法の2倍以上の寸法差を生じるようにされ)、コンクリート等の経時硬化性材料25が、第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の外側に十分回り込むようにされている。
【0034】
なお、前記の第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の所定箇所に所定形状の開口孔を所定個数設けるようにしてもよく、例えば、図36に示すように、第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の下部等に、多数の貫通孔34等の開口部を設けることで、孔開きジベル付きの第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)とすることで、強固に一体化することができる。詳細は後記する。
【0035】
また、図37に第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の代表形態として第2埋設結合部材6(6b)を示すように、鋼管からなる第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の所定箇所に孔明き鋼板35を溶接により固定することで、孔明き鋼板ジベル36を備えた第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)とすることができる。
【0036】
例えば、図示のように、鋼管からなる第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の外周面に孔明き鋼板を複数個所設けてもよく、後記するように、第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の内周面あるいは内外周面、あるいは鋼管からなる第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の管壁を内外周面側に貫通するように孔明き鋼板を設けることで、ジベル付きの第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)として、強固に連結するようにしてもよい。
【0037】
なお、第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の外周側に突出するように、孔明き鋼板を設ける場合には、孔明き鋼板ジベル36を、前方杭あるいは水底地盤打込み部材等の鋼管内周面と第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)の外周面との間の距離を所要の間隔するためのスペーサーや間隔保持材として兼用することができる。
【0038】
前記の耐圧縮・耐引張兼用の支持部材8は、鋼管からなる耐圧縮・耐引張兼用の斜材3の下端部に垂直な鋼製円筒体からなる杭挿通用下部筒体4が溶接により固着され、前記下部筒体4内の下端部にゴム製シールリング16Aが接着剤またはボルト等の機械的手段により固定され、かつ前記下部筒体4の内周面には、ずれ止め用の突起として、鋼棒等が溶接により固着されてジベル17を備えていると共に、前記下部筒体4内の上端部に、ゴム製等のスペーサー23が等角度間隔をおいて設けられ、また、前進および後退移動可能なボルトを備えた振動防止治具24が等角度間隔をおいて設けられている。
前記の振動防止治具24は、杭挿通用下部筒体4の外周面に固定されたナットに対してボルトを前進して前方杭5(5b)に当接することで、杭挿通用下部筒体4を前方杭5(5b)に対して固定し、これにより、波浪等による杭挿通用下部筒体4の横方向等の振動を防止することができる。
なお、詳細な図示を省略するが、振動防止治具24におけるナットは、杭挿通用下部筒体4に孔を設けて、前記ナットを孔とほぼ同心状に配置されて溶接により固定される。
【0039】
前記の支保装置9は、上部梁材7に取り付けられ、ボルト・ナットにより締め付け可能な分割型のバンド金具26と、そのバンド金具26に一端側をボルト・ナット等により連結される支保部材27とにより構成され、前記支保部材27の他端側は、耐圧縮・耐引張兼用の斜材3の下部上面側に固定のブラケットに固定の支軸等に着脱可能に連結される。
【0040】
なお、前記の支持フレーム57は、現場付近のヤードにおいて、適宜、地組みされてもよい。
【0041】
次に、図1〜図10を参照して、前記耐圧縮・耐引張兼用の支持フレーム57およびジベル付き前方杭5を使用した本発明の実施形態に係る水底地盤打込み部材を用いた水域構造物28を説明する。
【0042】
まず海中の水底地盤2に、多数の鋼管矢板からなる水底地盤打込み部材1が、構造物築造方向である横方向(左右方向)に間隔をおいて水底地盤2に打設されて、多数の水底地盤打込み部材1からなる壁体29が形成されている。
【0043】
図示の形態では、沖側(または陸側)に離れた位置において、横方向に間隔をおいて第1の前方杭5(5a)が、水底地盤打込み部材1の2本置きに、多数水底地盤2に打設され、また、前記第1の前方杭5から沖側に離れた位置に、前記前方杭5(5a)と同じ間隔で、横方向に間隔をおいて、多数の第2の前方杭5(5b)が打設されている。
【0044】
前記のように、水底地盤打込み部材1と、前方杭5(5a)および第2の前方杭5(5b)を打設した状態で、
各前方杭5におけるジベル用鋼棒17(図17参照)を固着した部分の外側に、耐圧縮・耐引張兼用の支持フレーム57における下部筒体4が挿入されて嵌込まれる。
また、上部梁材7が、第2の前方杭5(5b)と、前方杭5(5a)と、水底地盤打込み部材1の上部に渡って載置されることで、上部梁材7下部の第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)が、それぞれ、第2の前方杭5(5b)と、前方杭5(5a)と、水底地盤打込み部材1の頭部内に挿入される。
【0045】
また、前記の充填用ガイド管14からコンクリート等の経時硬化性材料25を充填することで、斜材3上端部内に充填され、また、前記充填用ガイド管14を取り外した後、上部梁材7のグラウト孔19より、上部梁材7内の仕切り空間内に充填される。
【0046】
なお、前方杭5(5a)および第2の前方杭5(5b)上端面の外径寸法よりも
上部横梁7の外径寸法が小さいことから、上部横梁7の左右両側における前方杭5(5a,5b)の上端開口部から各前方杭5の頭部内には、現場において予め、または上部横梁7の架設後、コンクリート等の経時硬化性材料25を充填することで、第1〜第3埋設結合部材6(6a〜6c)が、それぞれ、第2の前方杭5(5b)と、前方杭5(5a)と、水底地盤打込み部材1に挿入された状態で、経時硬化性材料25に埋め込まれ、上部梁材7と、第2の前方杭5(5b)と、前方杭5(5a)と、水底地盤打込み部材1との一体化が図られている。
【0047】
前記のように、前記の水底地盤打込み部材1と第1の前方杭5(5a)および第2の前方杭5(5b)に亘って、前記支持フレーム57における上部梁材7が載置され、前記上部梁材7下部の第1埋設結合部材6(6a)が第2の前方杭5(5b)頭部内に、第2埋設結合部材6(6b)が第1の前方杭5(5a)の頭部内に、第3埋設結合部材6(6c)が水底地盤打込み部材1の頭部内に、それぞれ配置されて、水底地盤打込み部材1と第1の前方杭5(5a)および第2の前方杭5(5b)の頭部内に充填されたコンクリート等の経時硬化性材料25に埋め込み固定されている。
前記のように、上部梁材7の埋設結合部材6(6a〜6c)が水底地盤打込み部材1の上部または前方杭5の上部に、前記埋設結合部材6を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料25が充填されて、埋め込み固定等の適宜手段にて連結されて連結部B(第2連結部B2、第3連結部B3)を形成している(図10、図36参照)。
【0048】
また、対向する斜材3の上端部と水底地盤打込み部材1の上端部とは、鋼板からなるせん断力伝達部材30が溶接により固定されて、斜材3と水底地盤打込み部材1との間でのせん断力の伝達が可能にされている。
【0049】
図9に示すように、下部筒体4と前方杭5とに亘ってグラウト漏洩防止袋31を配置して、グラウト漏洩防止袋31の両端部をそれぞれ下部筒体4と前方杭5とにワイヤー、締め付けバンド等により締め付け固定することで、下部筒体4と前方杭5との間に配置され
ているスポンジ状のゴム製シールリング16aからグラウト材(経時硬化性材料25)の漏洩を確実に防止し、周囲海域の汚濁の防止を図っている。
その状態で、下部筒体4の下部側に設けた注入口に接続されたグラウト注入ホース32(図18参照)からモルタルまたはコンクリート等の経時硬化性材料25が充填されて、下部筒体4と前方杭5との一体化(連結)が図られる。
なお、前記のグラウト注入ホース32は、斜材3に沿わせて配置することで、水上の気中から経時硬化性材料25の充填が可能にされている。
【0050】
前記の支持フレーム57における下部筒体4と前方杭5(5a)との間にモルタル等の経時硬化性材料25を充填・硬化して固定する時期と、上部梁材7における第1埋設結合部材6(6a)〜第3埋設結合部材6(6c)を前方杭5あるいは水底地盤打込み部材1の頭部内に配置して、コンクリート等の経時硬化性材料25を充填・硬化して固定する時期は、同時に行ってもよく、あるいは、下部筒体4側の経時硬化性材料25の充填・硬化による固定を先に、または上部梁材7側の経時硬化性材料25の充填・硬化による第1埋設結合部材6(6a)〜第3埋設結合部材6(6c)の固定を先に行ってもよい。
【0051】
次いで、水底地盤打込み部材1と斜材3の上部と上部梁材7の一端部の周りに、左右方向に延長する主鉄筋あるいは前後方向の鉄筋を適宜配筋すると共にコンクリート等の経時硬化性材料を打設して、左右方向に延長する構造物延長方向第2連結材12を築造する(図1参照)。
【0052】
また、前方杭5の上端部と上部梁材7の軸方向中間部の周りに、左右方向に延長する主鉄筋あるいは前後方向の鉄筋を適宜配筋すると共にコンクリート等の経時硬化性材料を打設して、左右方向に延長する構造物延長方向第1連結材11を築造する(図1参照)。
【0053】
さらに、第2の前方杭5(5a)と上部梁材7の端部の周りに、左右方向に延長する主鉄筋あるいは前後方向の鉄筋を適宜配筋すると共にコンクリート等の経時硬化性材料を打設して、左右方向に延長する構造物延長方向第1連結材11を築造する(図1参照)。
【0054】
また、構造物延長方向第2連結材12と構造物延長方向第1連結材11に渡って、および構造物延長方向第1連結材11間に渡って、場所打ちまたはプレキャスト製等の鉄筋コンクリート製の床版33を架設されている。
【0055】
前記のように、多数の水底地盤打込み部材1が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤2に打設され、前記水底地盤打込み部材1の上部から水底地盤2に向って斜め下向きに延長する多数の斜材3の上端部が、前記水底地盤打込み部材1に交差する方向に延長する上部梁材7に連結されて第1連結部Aを形成し、前記斜材3の下端部に杭挿通用下部筒体4が連結されて支持部材8が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤2に打設された多数の前方杭5に、それぞれ支持部材8における杭挿通用下部筒体4が挿入され、前記上部梁材7が水底地盤打込み部材1の上部および前方杭5の上部に連結されている水底地盤打込み部材を用いた水域構造物28とされている。
なお、図1では、壁体29の背面側には、構造物延長方向連結材12の上端レベルまで裏埋土60が充填されている。
【0056】
図2に示す水底地盤打込み部材を用いた水域構造物28の形態の場合は、図1における第2の前方杭5(5a)に代えて、部材長手方向中間部に継ぎ手を有する継ぎ手付鋼管杭(鋼管矢板)からなる第2の前方鋼管矢板5cが用いられて、継ぎ手相互が噛み合わされて水底地盤2に打設されて、前方矢板壁29aが形成されている。
前記の前方矢板壁29aは、水中に壁体上端部が位置し、その前方矢板壁29aの背面側に捨石からなる2次覆工48が施されているが、その他の構成は、図1の場合と同様で
ある。
なお、本発明を実施する場合に、水底地盤打込み部材1としては、鋼管矢板等の壁体構成部材としてもよく、左右方向に多数継手相互を噛み合わせて、壁体を構成するようにしてもよい。
【0057】
図24〜図26には、本発明の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物28に用いられる支持フレーム57の他の形態が示されている。
この形態では、縦向きに配置された中空鋼管の中間部の一側面側を基端部として上部梁材7の先端部が溶接により接合されて第2埋設結合部材6(6b)を形成している。
第2埋設結合部材6(6b)は、その上部を前方杭5(5b)よりも突出させるだけで、コンクリート等の経時硬化性材料を打設して築造される構造物延長方向第1連結材11等の連結材に前記突出部を埋め込むだけで、上部梁材7と構造物延長方向第1連結材11との一体化、あるいは突出部37を介した構造物延長方向第1連結材11と前方杭5(5b)との強固な一体化を図ることができ、第2埋設結合部材6(6b)の上部に突出部37を備えているだけで、構造物延長方向第2連結材12との結合が一層強固にすることができる。
また、上部梁材7の端部に第2埋設結合部材6を設ける形態あるいは前記の突出部37を備えた形態の第2埋設結合部材6(6b)では、図示のように、その上端部を開口している形態であると、前方杭5の上部所定範囲にコンクリート等の経時硬化性材料25を充填する場合に、第2埋設結合部材6(6b)の上端開口部から、コンクリート等の経時硬化性材料25を充填することができるため、充填作業を容易に、確実に行うことができる。
なお、前記の突出部37側に必要に応じ、貫通孔等の開口部あるいは孔開き鋼板を設けて、ジベルを形成してもよい。
前記の第2埋設結合部材6(6b)は、中空柱状部材からなる前方杭5(5b)の頭部に対応する位置に設けられている。
【0058】
また、縦向きに配置された中空鋼管の中間部の一側面側を基端部として、上部梁材7の先端部が溶接により接合されて第3埋設結合部材6(6c)を形成している。
前記の第3埋設結合部材6(6c)は、水底地盤打込み部材1の頭部に対応する位置に設けられている。
第3埋設結合部材6(6c)は、その上部を水底地盤打込み部材1よりも突出させるだけで、コンクリート等の経時硬化性材料を打設して築造される構造物延長方向第2連結材12等の連結材に前記突出部を埋め込むだけで、上部梁材と構造物延長方向第2連結材12との一体化、あるいは突出部37を介した構造物延長方向第2連結材12と水底地盤打込み部材1との強固な一体化を図ることができ、第3埋設結合部材6(6c)の上部に突出部37を備えているだけで、構造物延長方向第2連結材12との結合が一層強固にすることができる。
この形態では、斜材3の上端部に水平な鉄筋定着用プレート48aを備え、図示を省略するが、鉄筋定着用プレート48aに構造物延長方向第2連結材の鉄筋等が溶接により固定される。
構造物延長方向第2連結材12との結合が一層強固な形態にすることができ、斜材3の上端部を上部梁材7に溶接により固定している形態とされている。
【0059】
また、この形態では、斜材3の外径が、上部横梁7の外径よりも大きいため、図26に示すように、斜材3の上端面が上部梁材7の外側の両側で開口部39aを形成しているため、斜材3の上端両側の開口部37からコンクリート等の経時硬化性材料25を斜材3の上部内に充填することができる。
斜材3の外径が上部梁材7の外径と同程度か小さい場合には、前記実施形態と同様に充填用ガイド管14を上部梁材7に貫通するように配置することで、前記実施形態と同様に
斜材3上部内にコンクリート等の経時硬化性材料25を充填することができる。
なお、斜材3の上端が開口端である場合には、前記の開口部39は、斜材3の外径寸法が上部梁材7の外径寸法よりも小さい場合でも、斜材3の上端面の前後両側を上部梁材7に溶接により固定する場合には、斜材3の上端面の左右両側を上部梁材7に固定しない場合には、斜材3の上端面の左右両側部に隙間が形成されるため、開口部39が形成可能な場合もある。
【0060】
この形態では、上部梁材7から埋設結合部材6(6b,c)が突出して、突出部37を形成しているため、前記のように、上部構造物側と埋設結合部材6との結合をより強固にすることができる。
なお、前記実施形態と同様に埋設結合部材6の上下方向の下部側または上部側(突出部37)の管壁に、貫通孔または孔開き鋼板を設けてジベルとしての機能を付与してもよく、孔開き鋼板等を溶接により固定するようにしてもよい。
【0061】
図19には、前記の支持フレーム57を備え、水底地盤打込み部材を用いた水域構造物28が示されている。
この形態では、第2の前方杭5(5b)およびこれに架設固定される床版を備えていない形態が示されている。
この形態では、第2埋設結合部材6(6b)における突出部37が、鉄筋コンクリートあるいはコンクリート等の経時硬化性材料25による構造物延長方向第1連結材11に埋め込み固定されて、一体化を高めている。
また、第3埋設結合部材6(6c)における突出部37が、鉄筋コンクリートあるいはコンクリート等の経時硬化性材料25による構造物延長方向第2連結材12に埋め込み固定されて、一体化を高めている。
なお、この形態では、水底地盤打込み部材1は、鋼管矢板からなる壁体構成部材が用いられ、鋼管矢板壁と護岸壁との間に遊水室が形成されている。
【0062】
図38〜図41は、埋設結合部材6(6a〜6c)にジベルを設ける場合に第3埋設結合部材6(6c)を代表例にした代表形態を示すものである。
図38に示すように、埋設結合部材36にジベルとしての孔を設ける場合には、水底地盤打ち込み部材1または前方杭5等における鋼管内にコンクリート等の経時硬化性材料25により埋め込み固定される埋設結合部材6は、地震時等において水平力が作用する場合に、主として曲げモーメントおよびせん断力に抵抗するために必要な埋め込み長さLより下側に長さL1の余長部51を設け、その余長部51の部分の管壁に直接複数の孔52を設けて、孔開きジベル付きの埋設結合部材6とするのが好ましい。なお、埋設結合部材6の上部に複数の孔52を設けても、十分強度を有するものであれば、上部に設ける形態としてもよい。
また、図39に示すように、埋設結合部材6内に、埋設結合部材6の内径幅寸法を有し、下部に複数の孔を備えた平板状の孔開き鋼板35の上端部を埋設結合部材6の内周面に溶接により固定して、孔開きジベル付きの埋設結合部材6としてもよい。
さらに、図40に示すように、横断面十字状の孔開き部材35の上端部を埋設結合部材6の内周面に固定してもよく、あるいは、図41に示すように、埋設結合部材6の内側に、等角度等の間隔をおいて孔開き鋼板35を溶接により固定するようにしてもよい。
【0063】
図42〜図47は、本発明の水域構造物28の変形形態を示すものであり、特に、上部梁材7と、その下側に埋設結合部材6を取り付ける形態と、突出部37を備えた形態の埋設結合部材6の中間部に上部梁材7の端部を取り付ける形態と、斜材3との組み合わせ形態の変形形態である。
【0064】
図42に示す形態の水域構造物28では、第1埋設結合部材6(6a)と第2埋設結合
部材6(6b)とが第2の上部梁材7Bにより結合され、前記第2の上部梁材7Bは、基端側の上部梁材7の下端レベルに合わせて、その延長上に配置されている。
この形態では、前記の第2の上部梁材7Bおよびその先端部に固定された突出部37を有する第1埋設結合部材6(6A)を含めて一体化さらた支持フレーム57とされている。
図43に示す形態の水域構造物28では、1本ものの上部梁材7の中間下部に、第2埋設結合部材6(6b)が固定されている支持フレ−ム57を用いた形態であるが、その他の形態は前記と形態と同じである。
図44の形態では、上部梁材7の基端側の下部に、第3埋設結合部材6(6c)の上端部を固定し、第2の上部梁材7Bの先端部の下側に、第1埋設結合部材6(6a)の上端部を固定した支持フレーム57を用いた形態であるが、その他の形態は前記と形態と同じである。
図45に示す形態では、第2の上部梁材7Bの先端部と杭挿通用筒体4とを、第2の斜材3Bにより連結固定した形態で、第2の斜材3Bと杭挿通用筒体4とにより第2の支持部材8Bが形成されている。前記の第2の斜材3Bの連結固定形態は、反対側の斜材3の連結固定形態と同じである。
この形態では、斜材3および第2の斜材3Bを含めて一体化された支持フレーム57とされており、このような形態の支持フレーム57では、両方の斜材3,3Bにより杭挿通用筒体4を確実に安定した状態で支持できるため、搬送架設時の支保装置9を省略することも可能である。
図46に示す形態では、第2の上部梁材7Bの基端部と杭挿通用筒体4とを、第2の斜材3Bにより連結固定して一体化し、第2の斜材3Bの下端部に第2の杭挿通用筒体4(4B)を固定した支持フレーム57を用いた形態の水域構造物28とされている。第2の杭挿通用筒体4(4b)の形態は、前記した杭挿通用筒体4と同様であり、第2の杭挿通用筒体4(4b)と前方杭5(5b)との固定形態は、杭挿通用筒体4と前方杭5との前記した形態と同様であり、注入充填されるコンクリート等の経時硬化性材料25により一体化される。
図47に示す形態では、水底地盤打込み部材1を水域構造物28の幅方向の中央に配置した形態であり、第3埋設結合部材6(6c)の後部に第2の上部梁材7Bの先端部を固定し、第2の上部梁材7Bの先端下部と後方杭5dを挿通するための杭挿通用筒体4(4b)とを、第2の斜材3Bにより連結固定して一体化された支持フレーム57を用いた形態の水域構造物28とされている。
【0065】
前記各実施形態に示すように、支持フレーム57に設けられる埋設結合部材6(6a〜6c)は、突出部37を有する形態でも、上部梁材7または第2の上部梁材7Bの下部に固定する形態でもよい。また、上部梁材7は、1本ものでも、埋設結合部材6を介して連結される形態のものでもよい。
【0066】
水底地盤打込み部材1は、その上部内側に埋設結合部材6を埋め込み配置する形態では、鋼管杭、鋼管矢板を使用することになるが、図示を省略するが、水底地盤打込み部材1の上部内側に埋設結合部材6を埋め込み配置しない形態では、鋼矢板を使用してもよい。
【0067】
上部梁材7あるいは第2の上部梁材7Bに設けられる埋設結合部材6は、前方杭5(5b)あるいは後方杭5dあるいは水底地盤打込み部材1の上部内に配置されて、コンクリート等の経時硬化性材料25に埋め込み固定されて剛結合される。また、鉄筋コンクリート等からなる構造物延長方向第1連結材11あるいは第2連結材12に埋め込み固定された部分は、剛結合された状態になる。
【0068】
図48〜図49には、図1に示す本発明の水域構造物28の変形形態が示されている。図48に示す形態では、前方杭5(b)に変えて、部材軸方向中間部に継手を有する鋼管
矢板5cが用いられ、隣り合う鋼管矢板5cの継手相互が噛み合わされて左右方向に連続して打設されて、水中に前方壁体29cが形成されている。また、杭挿通用筒体4は水底地盤2の上方に位置されており、水底地盤2と陸側の壁体29と前方壁体29aとにより形成される凹部に中間土61が投入充填され、その中間土61上に捨石層62が形成され、その捨石層62上に杭挿通用筒体4が位置している。また、壁体29の背面には、裏埋土60が充填されている。
また、図49に示す形態では、杭挿通用筒体4は水底地盤2上に位置されており、前方壁体29a前面側の水底地盤2が浚渫されている。
図48および図49に示す形態では、杭挿通用筒体4の前方に、杭挿通用筒体4の底部よりも上端が高いレベルの前方壁体29aを設ける形態であるので、杭挿通用筒体4下部の洗掘を防止することができる。
【0069】
図50〜図52には、図1に示す本発明の水域構造物28の変形形態が示されている。この形態では、水底地盤打込み部材1は鋼管杭とされ、壁体29を形成していない形態であり、図51および図52に示すように、各前方杭5(5a,5b)と水底地盤打込み部材1とは、左右方向に同じピッチで水底地盤2に打設されている。
また、図50では、構造物延長方向連結材12と、捨石からなる1次覆工48上に築造された護岸側構造物50とに、床版33が架設固定され、護岸側構造物50背面には、裏埋土60が充填されている。
なお、この形態では、多数の水底地盤打込み部材1と護岸壁との間に遊水室が形成されている。
【0070】
図53には、図50に示す本発明の水域構造物28の変形形態が示されている。
この形態では、第2の前方杭に代えて、第2の鋼管矢板5cが用いられ、隣り合う鋼管矢板5cの継手相互が連結されて水底地盤2に打設されて、水中に上端部が位置する前方壁体29aが形成され、杭挿通用筒体4を埋め込む1次覆工48が形成されている。
【0071】
図54には、図50に示す本発明の水域構造物28の変形形態が示され、図53とは、前方鋼管矢板壁29aの前面側が浚渫されて、水底地盤2が低レベル位置にされている。
この形態は、前方壁体29a側では、水底地盤2上面レベルに傾斜した状態で捨石等からなる1次覆工48が形成され、杭挿通用筒体4を埋め込んでいると共に、護岸側構造物50の下部を埋め込んでいる。
【0072】
前記実施形態によると、多数の水底地盤打込み部材が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤に打設され、前記水底地盤打込み部材の上部から水底地盤に向って斜め下向きに延長する多数の斜材の上端部が、前記水底地盤打込み部材に交差する方向に延長する多数の中空鋼製部材からなる上部梁材に連結されて第1連結部を形成し、前記斜材の下端部に杭挿通用下部筒体が連結されて支持部材が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤に打設された多数の前方杭に、それぞれ支持部材における杭挿通用下部筒体が挿入され、前記上部梁材が水底地盤打込み部材の上部および前方杭の上部に連結されているので、中空鋼製部材からなる上部梁材を用いることにより、上部梁材の下側において斜材との連結を図る第1連結部で確実に連結することができる効果が得られる。
また、上部梁材は中空鋼製部材であるので、その外周面に重防食被覆を施した場合に、塗料がコーナー部で薄くなったり、剥離する恐れを回避することができ、防食性能の高い水域構造物とすることができる等の効果が得られる。
【0073】
また、前記上部梁材は、中空円形鋼管あるいは部材軸方向に直角な断面における角部がアール(断面円弧状)または面取りされている中空角形鋼管であると、従来のH形断面材に比べて、捻り剛性が大きく、構造部材として安定しており、かつ、防食材料で被覆する場合にも、均一の厚さに被覆することができる。
また、上部梁材の内部の所定部位に経時硬化性材料を充填することにより重量や剛性を調整することも可能であるため、設計および施工の自由度を高めることができる。
【0074】
また、斜材が、中空円形鋼管であると、捻り剛性が大きく、構造部材として安定しており、かつ、防食材料で被覆する場合にも、均一の厚さに被覆することができる。
また、斜材の内部に経時硬化性材料を充填することも可能であり、設計および施工の自由度を高めることができる等の効果が得られる。
【0075】
また、上部梁材の下方部に位置する第1ベースプレートと上部梁材の下部とは、上部梁材の長手方向に配置された複数の連結鋼板と溶接により連結され、斜材の上端部は第2ベースプレートと溶接により連結され、前記第1ベースプレートと第2ベースプレートとは、ボルト等の機械的手段により連結されて第1連結部が形成されていると、上部梁材側の第1ベースプレートと斜材側の第2ベースプレートとをボルト等の機械的手段により連結するだけで、上部梁材と斜材とを確実に連結一体化することができる等の効果が得られる。
【0076】
また、第2ベースプレートの幅を第1ベースプレートの幅よりも若干大きして、第1ベースプレートが第2ベースプレートの上面に溶接されていると、斜材側の第2ベースプレートの幅を、溶接代程度、若干大きくするだけで、上部梁材側の第1ベースプレートを斜材側の第2ベースプレートに溶接により固定することで連結して、上部梁材と斜材とを一体化することができる等の効果が得られる。
【0077】
また、上部梁材の下方部に位置する第1ベースプレートと上部梁材の下部とは、上部梁材の長手方向に配置された複数の連結鋼板と溶接により連結され、斜材の上端部は第2ベースプレートと溶接により連結され、第2ベースプレートの幅を第1ベースプレートの幅よりも若干大きくして、第1ベースプレートは第2ベースプレートの上面に溶接されることにより連結されて第1連結部(A)が形成されていると、上部梁材とその第1ベースプレートとを連結鋼板を介して容易に一体化することができ、また、上部梁材側の第1ベースプレートを斜材側の第2ベースプレートに溶接により固定することで連結して、上部梁材と斜材とを一体化することができる等の効果が得られる。
【0078】
また、連結鋼板の所定箇所に所定形状の開口部を所定個数設けていると、連結鋼板を埋め込むコンクリート等の経時硬化性材料を打設する場合に、連結鋼板との一体化を確実に図ることができ、また、連結鋼板を複数枚設置する場合に、連結鋼板に設けた開口部から、連結鋼板間に経時硬化性材料を充填することができるため、連結鋼板が複数枚ある場合でも、連結鋼板との一体化および上部梁材との一体化を確実に図ることができる等の効果が得られる。
【0079】
また、斜材の上部と第2ベースプレートには、斜材側縦補強鋼板13が溶接接合されていると、斜材と第2ベースプレートを確実に強固に固定することができ、また斜材側縦補強鋼板は、第2ベースプレート下側に配置され斜材に固定する形態になるので、コンクリート等の経時硬化性材料を打設する場合でも、従来のH型断面材の上下フランジ間に打設する場合に比べて、確実に充填することができる。
【0080】
また、前記上部梁材が水底地盤打込み部材の上部および前方杭の上部に連結されて連結部を形成していると、波浪あるいは土圧が作用する場合に、上部梁材から連結部を介して水底地盤打込み部材および前方杭に応力を伝達したり、水底地盤打込み部材から上部梁材を介して前方杭に応力を伝達したり、あるいは上部梁材および斜材を介して前方杭に応力を伝達することができる等の効果が得られる。
【0081】
また、中空柱状部材からなる前方杭の頭部に対応する位置における上部梁材には、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管の基端部が溶接接合されて埋設結合部材が形成され、前記埋設結合部材は、前記前方杭の上部に内挿され、前記前方杭の上部所定範囲に、前記埋設結合部材を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部が形成されていると、上部梁材に、中空鋼管からなる埋設結合部材を設けて前方杭内に充填する経時硬化性材料により埋め込むだけで、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0082】
また、埋設結合部材の所定箇所に所定形状の開口部を所定個数設けてジベル付きの埋設結合部材としていると、埋設結合部材に開口部を設けるだけで、一層強固に、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0083】
また、孔明き鋼板が埋設結合部材の所定箇所に溶接接合されて孔開き鋼板ジベル付きの埋設結合部材としていると、埋設結合部材に孔開き鋼板を設けるだけで、一層強固に、上部梁材と前方杭との強固な連結一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0084】
また、孔明き鋼板が埋設結合部材の外側に設けられて、孔明き鋼板が、スペーサーあるいは間隔保持材としても機能しているので、孔明き鋼板を埋設結合部材の外側に設けるだけで、孔明き鋼板をジベルとして機能させることができると共に、孔開き鋼板を、埋設結合部材と水底地盤打込み部材あるいは杭との間の間隔が狭くなることを防ぎ、コンクリート等の経時硬化性材料の充填を確実にするためのスペーサーあるいは間隔保持材としても機能させて、埋設結合部材を所定の位置に設置することができる等の効果が得られる。
【0085】
また、中空柱状部材からなる前方杭の頭部に対応する位置において、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管からなる埋設結合部材の下方部が前記前方杭の上部に内挿され、前記埋設結合部材の上部が前記前方杭よりも突出して突出部を形成し、前記突出部の側面に、上部梁材の一端が溶接接合され、前記前方杭の上部所定範囲に、前記埋設結合部材を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されていると、埋設結合部材の上部を前方杭よりも突出させるだけで、コンクリート等の経時硬化性材料を打設して築造される構造物延長方向第1連結材等の連結材に前記突出部を埋め込むだけで、上部梁材と構造物延長方向第1連結材との一体化、あるいは突出部を介した構造物延長方向第1連結材と前方杭との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0086】
また、構造物延長方向に多数配設された中空柱状部材からなる前方杭の上部は、鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第1連結材(11)により連結されていると、前方杭の上部と構造物延長方向第1連結材との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0087】
また、構造物延長方向に多数配設された水底地盤打ち込み部材1の上部と上部梁材7との第3連結部(B3)と、上部梁材と斜材との第1連結部とは、これらを埋め込むように設けられる鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第2連結材(12)により連結されていると、水底地盤打ち込み部材の上部と、上部梁材と、斜材上部と、構造物延長方向第2連結材との強固な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【0088】
また、第1ベースプレートの所定箇所に第1開口部が設けられ、第2ベースプレートの所定箇所に第2開口部が設けられ、上部梁材の下部の所定箇所に第3開口部が設けられ、上部梁材の上部に所定箇所に第4開口部が設けられていると、充填用ガイド管等の充填用補助部材を第1開口部〜第4開口部に亘って配置して、容易に上部梁材側から斜材上部内にコンクリート等の経時硬化性材料を充填することができる等の効果が得られる。
【0089】
また、前記第1開口部と、第2開口部と、第3開口部と、第4開口部とは、上下方向に間隔をおいて直列に配置されていると、コンクリート等の経時硬化性材料を充填するための充填用ガイド管等の充填用補助部材を配置する場合に、直列に配置されている各開口部に順次挿入することで容易に配置することができるため、充填用補助部材の配置作業あるいは撤去作業が容易である等の効果が得られる。
【0090】
また、前記第1開口部と、第2開口部と、第3開口部と、第4開口部とに亘って、コンクリート等の経時硬化性材料を充填するための充填用ガイド管等の充填用補助部材が設置されていると、充填用補助部材を利用して斜材上部にコンクリート等の経時硬化性材料を充填することができる等の効果が得られる。
【0091】
また、斜材の上部の所定範囲に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されているので、斜材の剛性を高め、構造物延長方向第2連結材に埋設される斜材上部の埋設される部位と埋設されない部位の境界部において、中空とする場合に比べて、急激な剛性変化がおこらないので、剛性変化の影響により応力集中が発生する恐れを回避することができる効果が得られる。
【0092】
また、上部梁材の内側の所定箇所には、仕切り型枠が設けられ、仕切り型枠で仕切られた上部梁材の内側空間に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されていると、仕切り板により仕切られた所定範囲に経時硬化性材料を充填して上部梁材の剛性を高め、また、構造物延長方向第1連結材あるいは構造物延長方向第2連結材に埋設される上部梁材の埋設される部位と埋設されない部位の境界部において、中空とする場合に比べて、急激な剛性変化がおこらないので、剛性変化の影響により応力集中が発生する恐れを回避することができる効果が得られる。
【0093】
なお、前記各実施形態のように支持フレーム57を備えた水域構造物28では、土圧や土中水圧または地震力等の外力に対して水底地盤中の前方杭5および矢板壁によって抵抗させる際に、水底地盤の軸方向支持力と横方向支持力の両方を無駄なく活用することができ、また耐圧縮・耐引張り斜材としての斜材3の鉛直線に対する傾斜角を任意に設定して、地盤条件,外力条件等に応じて前方杭5や矢板壁に発生する軸方向力を調整することができ、設計の自由度を向上させることができ、さらに矢板壁の前面に前方杭5および斜材3を密に配置することにより、魚が集まり易いという集魚効果を発揮させることができる。
【0094】
特に、斜材3の上端部を水底地盤打込部材1に交差する方向に延長する上部梁材7に連結し、前記上部梁材7を水底地盤打込部材1の上部および前方杭5の上部に結合することにより、水域構造物の強度を大きくすることができ、また、斜材3の上部と水底地盤打込部材1の上部との間にせん断力伝達部材30を設置することにより、水域構造物の強度を大きくすることができる。
特に、実施形態では、埋設結合部材6を水底地盤打ち込み部材1あるいは前方杭または前方鋼管矢板(または、後方杭または後方鋼管矢板)の上部内に配置してコンクリート等の経時硬化性材料25により埋め込み固定して、剛結合しているので、上部梁材7と水底地盤打ち込み部材1あるいは前方杭または前方鋼管矢板(または、後方杭または後方鋼管矢板)との接合部が強固な剛結合とすることができる。
なお、支持部材8と上部梁材7とを、支保装置9を介して連結することにより、上部梁材7とこれに連結された支持部材8とからなる耐圧縮・耐引張り用の支持フレーム57を吊上げ運搬する際の形態安定性を高めることができる。
【0095】
なお、本発明を実施する場合、せん断力伝達部材30としては、縦断面で中実板状部材
以外にも、縦断面で中空箱形部材としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 水底地盤打込み部材
2 水底地盤
3 斜材
4 杭挿通用下部筒体
5 前方杭
5a 前方杭
5b 前方杭
6 埋設結合部材
6a 第1埋設結合部材
6b 第2埋設結合部材
6c 第3埋設結合部材
7 上部梁材
8 支持部材
9 支保装置
10 支承鋼板
11 構造物延長方向第1連結材
12 構造物延長方向第2連結材
13 斜材側縦補強鋼板
14 充填用ガイド管
15 ストッパ
16 筒状囲い
17 ジベル(ジベル用鋼棒)
18 仕切り型枠
19 グラウト孔
20 エアー抜き孔
21 ボルト
22 エアー抜き用横孔
23 スペーサー
24 振動防止治具
25 経時硬化性材料
26 バンド金具
27 支保部材
28 水域構造物
29 壁体
30 せん断力伝達部材
31 グラウト漏洩防止袋
32 ホース
33 床版
34 貫通孔
35 孔明き鋼板
36 孔明き鋼板ジベル
37 突出部
38 ブラケット
39 つり金具
39a 開口部
40 水域構造物
41 連結部材
42 縦リブ
43 ベースプレート
44 下フランジ
45 埋設結合部材
46 縦向きフランジ
47 ボルト・ナット
48 1次覆工
48a 鉄筋定着用プレート
50 護岸構造物
57 支持フレーム
60 裏埋土
61 中間土
57 支持フレーム
100 第1ベースプレート
101 第2ベースプレート
110 連結鋼板
A 第1連結部
B 連結部
B2 第2連結部
B3 第3連結部
K1 第1開口部
K2 第2開口部
K3 第3開口部
K4 第4開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の水底地盤打込み部材(1)が適宜間隔を隔てた状態で水底地盤(2)に打設され、前記水底地盤打込み部材(1)の上部から水底地盤(2)に向って斜め下向きに延長する多数の斜材(3)の上端部が、前記水底地盤打込み部材(1)に交差する方向に延長する中空鋼製部材からなる多数の上部梁材(7)にそれぞれ連結されて第1連結部(A)を形成し、前記斜材(3)の下端部に杭挿通用下部筒体(4)が連結されて支持部材(8)が構成され、適宜間隔を隔てて配置されて水底地盤(2)に打設された多数の前方杭(5)に、それぞれ支持部材(8)における杭挿通用下部筒体(4)が挿入されて連結され、前記上部梁材(7)が水底地盤打込み部材(1)の上部および前方杭(5)の上部に連結されていることを特徴とする水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項2】
前記上部梁材(7)は、中空円形鋼管あるいは部材軸方向に直角な断面における角部が断面円弧状または面取りされている中空角形鋼管であることを特徴とする請求項1に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項3】
前記斜材(3)が、中空円形鋼管であることを特徴とする請求項1または2に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項4】
前記上部梁材(7)の下方部に位置する第1ベースプレート(100)と上部梁材(7)の下部とは、上部梁材(7)の長手方向に配置された複数の連結鋼板(110)と溶接により連結され、斜材(3)の上端部は第2ベースプレート(101)と溶接により連結され、前記第1ベースプレート(100)と第2ベースプレート(101)とは、ボルト等の機械的手段により連結されて第1連結部(A)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項5】
第2ベースプレート(101)の幅を第1ベースプレート(100)の幅よりも若干大きくして、第1ベースプレート(100)が第2ベースプレート(101)の上面に溶接されていることを特徴とする請求項4に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項6】
上部梁材(7)の下方部に位置する第1ベースプレート(100)と上部梁材(7)の下部とは、上部梁材(7)の長手方向に配置された複数の連結鋼板(110)と溶接により連結され、斜材(3)の上端部は第2ベースプレート(101)と溶接により連結され、第2ベースプレート(101)の幅を第1ベースプレート(100)の幅よりも若干大きくして、第1ベースプレート(100)は第2ベースプレート(101)の上面に溶接されることにより連結されて第1連結部(A)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項7】
連結鋼板(110)の所定箇所に所定形状の開口部を所定個数設けていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項8】
斜材(3)の上部と第2ベースプレート(101)には、斜材側縦補強鋼板(13)が溶接接合されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項9】
前記上部梁材(7)が水底地盤打込み部材(1)の上部および前方杭(5)の上部に連結されて連結部(B)を形成していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項10】
中空柱状部材からなる前方杭(5)の頭部に対応する位置における上部梁材(7)には
、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管の基端部が溶接接合されて埋設結合部材(6)が形成され、前記埋設結合部材(6)は、前記前方杭(5)の上部に内挿され、前記前方杭(5)の上部所定範囲に、前記埋設結合部材(6)を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部(B2)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項11】
中空柱状部材からなる前方杭(5)の頭部に対応する位置において、縦向きに配置された所定長さの中空鋼管からなる埋設結合部材(6)の下方部が前記前方杭(5)の上部に内挿され、前記埋設結合部材(6)の上部が前記前方杭(5)よりも突出して突出部(37)を形成し、前記突出部(37)の側面に、上部梁材(7)の一端が溶接接合され、前記前方杭(5)の上部所定範囲に、前記埋設結合部材(6)を埋め込むようにコンクリートなどの経時硬化性材料が充填されて第2連結部(B2)が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項12】
前記埋設結合部材(6)の所定箇所には所定形状の開口部が所定個数設けられてジベルを形成し、ジベル付きの埋設結合部材(6)とされていることを特徴とする請求項10または11に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項13】
孔明き鋼板(35)が埋設結合部材(6)の所定箇所に溶接接合されて孔明き鋼板ジベル付きの埋設結合部材(6)とされていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項14】
孔明き鋼板(35)が埋設結合部材(6)の外側に設けられて、孔明き鋼板(35)が、水底地盤打込み部材あるいは前方杭における鋼管に対して、スペーサーあるいは間隔保持材としても機能していることを特徴とする請求項13に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項15】
構造物延長方向に多数配設された中空柱状部材からなる前方杭(5)の上部は、鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第1連結材(11)により連結されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項16】
構造物延長方向に多数配設された水底地盤打ち込み部材(1)の上部と上部梁材(7)との第3連結部(B3)と、上部梁材(7)と斜材(3)との第1連結部(A)とは、これらを埋め込むように設けられる鉄筋コンクリートあるいは経時硬化性材料からなる構造物延長方向第2連結材(12)により連結されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項17】
第1ベースプレート(100)の所定箇所に第1開口部(K1)が設けられ、第2ベースプレート(101)の所定箇所に第2開口部(K2)が設けられ、上部梁材(7)の下部の所定箇所に第3開口部(K3)が設けられ、上部梁材7の上部に所定箇所に第4開口部(K4)が設けられていることを特徴とする請求項4〜請求項16に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項18】
前記第1開口部(K1)と、第2開口部(K2)と、第3開口部(K3)と、第4開口部(K4)とは、上下方向に間隔をおいて直列に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項19】
前記第1開口部(K1)と、第2開口部(K2)と、第3開口部(K3)と、第4開口部(K4)とに亘って、コンクリート等経時硬化性材料を充填するためのコンクリート充
填用ガイド管等の充填用補助部材(14)が設置されていることを特徴とする請求項17または18に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項20】
斜材の上部内側に底型枠が設けられて、斜材の上部の所定範囲に経時硬化性材料が充填されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。
【請求項21】
上部梁材(7)の内側の所定箇所には、仕切り型枠が設けられ、仕切り型枠で仕切られた上部梁材(7)の内側空間に、コンクリート等の経時硬化性材料が充填されていることを特徴とする請求項1〜20に記載の水底地盤打込み部材を用いた水域構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2010−248780(P2010−248780A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99050(P2009−99050)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】