説明

水性ポリマー分散液の製造法

水性ポリマー分散液の製造法であって、その際に最初に不飽和モノマーを適当な触媒により重合させ、その後にこうして得られた、未反応の残留モノマーの全体量または部分量で膨潤されているポリマーに最後の工程で表面活性剤および水を添加し、この場合も最後の工程で得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されていない、水性ポリマー分散液の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ポリマー分散液の製造法であって、その際に最初に不飽和モノマーを適当な触媒により重合させる、水性ポリマー分散液の製造法に関し、この方法は、その後にこうして得られた、未反応の残留モノマーの全体量または部分量で膨潤されているポリマーに最後の工程で表面活性剤および水を添加し、この場合も最後の工程で得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されていないことによって特徴付けられる。
【0002】
更に、本発明は、本発明による方法により得られる水性ポリマー分散液ならびに種々の使用範囲内での該水性ポリマー分散液の使用に関する。
【0003】
水性ポリマー分散液を製造する場合には、しばしば粘稠なポリマーを水中に分散させるため、およびポリマー分散液の小さな粒径を達成させるために、水とポリマーと乳化剤とからなる混合物に剪断力を作用させなければならない場合に困難が生じる。殊に、脂肪族オレフィンからのポリマーの場合には、なかんずくポリオレフィンの高い粘度に帰因しうる、水中での分散の際の重大な問題が生じる。
【0004】
Eckersley他の刊行物(Am, Chem. Soc,m Div. Polymer Chemistry, 1977, 38 (2), 第630頁および第631頁参照)の記載から、水中でのポリオレフィンからの分散液の製造は、公知であり、この場合には、最初にポリマー粒子を溶剤中に溶解し、引続き水中で乳化させる。この方法の場合には、なかんずくポリオレフィンの製造後に重合されていない残留モノマーを除去し、分散工程の後に使用された溶剤を同様に分離することが必要とされる。ポリオレフィンの単離、引続く他の付加的な分散工程は、費用がかかり、付加的な出費と関係している。
【0005】
更に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19821746号明細書には、水中でのグラフトされたゴムからの分散液の製造法が記載されている。この場合には、最初にエチレンと別のα−オレフィンおよびジシクロペンタジエンとのコポリマーからのゴムが小さな断片に切断され、引続きさらにこの断片は、先に水中に懸濁された別のモノマーとグラフトされる。この場合、水中での懸濁は、ゴム粒子を分散させる状態にはない撹拌機により行なわれる。この懸濁液は、次に初めて別のモノマー、殊にスチレン中で膨潤され、最終的に前記の別のモノマーとグラフトされる。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19821746号明細書の記載からは、なかんずく水性分散液をかかるポリマーから製造することも明らかではないし、できるだけ小さい分散されたポリマー粒子を生じることも明らかではない。更に、このドイツ連邦共和国特許出願公開明細書に記載の方法は、工業的にまさに費用がかかる。
【0006】
従って、本発明の課題は、記載された欠点をなくし、水性ポリマー分散液を製造するための新規方法を多大な費用なしに得ることができ、さらに、小さな粒径を有するポリマー分散液を提供することを可能にする、水性ポリマー分散液を製造するための新規方法を開発するという課題に基づくものであった。
【0007】
それによれば、水性ポリマー分散液を製造するための冒頭に定義された方法を見出すことであった。更に、本発明は、紙の適用、塗料、粘着原料、形状フォーム、カーペット裏面被覆または製薬学的適用のための水性分散液の使用にも関係している。また、同様に本発明によるポリマー分散液は、ポリマー配合物中で、例えば所謂耐衝撃性改良剤として使用されてもよい。
【0008】
好ましい実施態様は、なかんずく従属請求項から認めることができる。
【0009】
水性ポリマー分散液を不飽和モノマーから製造するための本発明による方法の場合には、この水性ポリマー分散液は、最初に適当な触媒により重合に掛けられる。
【0010】
このために適した触媒は、ポリオレフィンを製造するための工業的に公知の触媒、本質的には、担持されていてもよい不均一触媒または均一触媒である。
【0011】
不飽和モノマーを重合させるための不均一触媒の場合には、なかんずくチーグラー触媒、チーグラー・ナッタ触媒ならびにフィリップス触媒(Phillipskatalysatoren)を挙げることができる。チーグラー触媒は、チタン含有固体成分a)とともに、なお活性成分としての有機アルミニウム化合物の形の助触媒を有する。チーグラー・ナッタ触媒は、前記成分a)およびb)とともに、なお電子供与体化合物c)、殊に脂肪族シラン化合物を所謂ステレオ変性剤として含有する。殊に、エチレンの重合に使用されるフィリップス触媒は、本質的にシリカゲル上に塗布されている酸化クロム(VI)を基礎とする。
【0012】
適当な均一触媒は、なかんずく周期律表の第7〜10族の遷移金属の有機金属化合物であり、この有機金属化合物は、場合によっては架橋されていてもよく、助触媒と一緒に使用されてもよく、それによって最終的に中性ないしカチオン作用を有する化合物が生成する。
【0013】
この種の均一触媒は、なかんずく刊行物のM.K. Leclerc, R.M. Waymouth, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1998, 37, 第922頁以降またはW. Spalek, F. Kueber, A. Winter, J. Rohrmann, B. Bachmann, M. Aulberg, V. Dolle, E.F. Paulus, Organometallics, 1994, 13, 第954頁以降またはSoga, Chemical Reviews 2000. 第100巻, No. 4の記載から公知である。
【0014】
本発明による方法の1つの実施態様において、不飽和モノマーを重合させるための触媒として三座のビスイミンキレート配位子を含有する有機金属化合物を使用することができる。前記化合物およびその製造は、例えばこの個所についての教示が表現的に指摘されているWO 01/07491およびその中で引用された刊行物中に記載されている。この有機金属化合物は、本質的な構造要素として三座のビスイミンキレート配位子を有する。この三座配位子は、例えば2,6−ジアセチルピリジンから、第1アミン、例えば2,6−ジブロムアニリン、2,6−ジクロルアニリン、2,6−ジブロム−4−メチルフェニルアミンまたは2,6−ジ−クロル−4−メチルフェニルアミンとの反応によって得ることができる(J. Org. Chem. 1967, 32, 3246参照)。
【0015】
三座のビスイミンキレート配位子を含有する好ましい有機金属化合物は、次の通りである:
2,6−ビス[1−(2,6−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン−鉄(II)クロリド、
2,6−ビス[1−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン−鉄(II)クロリド、
2,6−ビス[1−(2,6−ジブロモフェニルイミノ)エチル]ピリジン−鉄(II)クロリド、
2,6−ビス[1−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン−鉄(II)クロリドまたは相応する−鉄(II)ブロミド錯体または−コバルト(II)クロリド錯体。
【0016】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、オレフィンゴムを重合させるための触媒として、ジイミン−パラジウム錯体を使用することができる。この化合物およびその製造は、例えばこの個所についての教示が表現的に指摘されているWO 00/77060およびその中で引用された刊行物中に記載されている。
【0017】
好ましいジイミン−パラジウム錯体は、次の通りである:
[ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン]パラジウム−アセトニトリル−メチル−(テトラキス(3,5−ビス−(トリフルオルメチル)フェニル)ボレート)、
[ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン]パラジウム−ジエチレン−メチル−(テトラキス(3,5−ビス−(トリフルオルメチル)フェニル)ボレート)、
[ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン]パラジウム−η1−O−メチルカルボキシプロピル−(テトラキス(3,5−ビス−(トリフルオルメチル)フェニル)ボレート)、
[ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−1,3−ブタジエン]パラジウム−η1−O−メチルカルボキシプロピル−(テトラキス(3,5−ビス−(トリフルオルメチル)フェニル)ボレート)、
[ビス−N,N′−(1−ナフチル)−1,4−ジアザ−2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン]パラジウム−η1−O−メチルカルボキシプロピル−(テトラキス(3,5−ビス−(トリフルオルメチル)フェニル)ボレート)、
ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン]パラジウム−メチルクロリドまたは
ビス−N,N′−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,4−ジアザ−1,3−ブタジエン]パラジウム−メチル−クロリド。
【0018】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、オレフィンゴムを重合させるための触媒として、ジルコノセン錯体(Zirconocen-Komplexe)を使用することができる。前記化合物およびその製造は、例えばこの個所についての教示が表現的に指摘されているWO 00/22010およびその中で引用された刊行物中に記載されている。
【0019】
好ましいジルコノセン錯体は、次の通りである:
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリドおよび
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(インデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(シクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)−ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−3−第三ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−3−第三ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−2−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−2−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−2−第三ブチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジエチルシランジイルビス(−2−メチルインデニル)−ジルコニウムジブロミド、
ジメチルシランジイルビス(−3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−2−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(−2−メチルベンジルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチルルベンジルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチルベンジルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチルベンジルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルベンジルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−エチルベンジルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、
(2−イソプロピル−4−(4−第三ブチルフェニル)インデニル)(2−メチル−4−(4−第三ブチルフェニル)インデニル)ジメチルシリルジルコニウムジクロリドおよび
相応するジメチルジルコニウム化合物。
【0020】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、オレフィンゴムを重合させるための触媒として2個のO原子、2個のN原子または1個のO原子および1個のN原子により結合された、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wまたは希土類金属の有機金属キレート錯体を使用することができる。この化合物およびその製造は、例えばこの個所についての教示が表現的に指摘されているWO 00/71593およびその中で引用された刊行物中に記載されている。
【0021】
この種の好ましいキレート錯体は、次の通りである:
ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジノナト)チタン(IV)ジイソプロポキシドおよびビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジノナト)チタン(IV)ジクロリド。
【0022】
また、本発明による方法の範囲内で、助触媒を使用してもよく;適当な助触媒は、公知である。好ましいのは、イオン結合されたハロゲンを含有しない助触媒が使用される。例示的には、開鎖状または環状のアルモキサン化合物、例えばメチルアルモキサン(MAO)、ボラン、有利に弗素またはフルオロアルキル基で置換されたフェノールボラン、例えばトリス(ペンタフルオルフェニル)ボランまたはボレート、例えば配位結合されていない対イオンを有するテトラキス(ペンタフルオルフェン)ボレート、有利にN,N−ジメチルアニリニウムが適当である。更に、適当な助触媒は、なかんずくホスファンまたはホスホランである。
【0023】
触媒は、一般に不飽和モノマーに対する触媒の金属に対して1:100000〜1:1000のモル比で使用される。
【0024】
触媒と助触媒とのモル比は、一般に1:0.01〜1:10000、殊に1:0.1〜1:1000であり、助触媒としての有機アルミニウム化合物の場合には、有利に1:10〜1:10000、特に有利に1:20〜1:2000、殊に1:30〜1:1000である。助触媒としての硼素化合物の場合には、触媒と助触媒とのモル比は、有利に1:0.9〜1:2である。
【0025】
本発明による方法において使用される触媒は、担持されていてもよい。担体としては、殊に無機酸化物、例えば珪素、アルミニウム、チタンまたは周期律表の第I主族もしくは第II主族の金属の酸化物を使用することができる。特に好ましい酸化物としては、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムとともになかんずく酸化ケイ素(シリカゲル)が使用される。この種の担体物質は、通常、1〜1000μm、殊に5〜200μmの平均粒径を有する。
【0026】
本発明による方法において不飽和モノマーとしては、なかんずく脂肪族オレフィンが適している。それと共に、不飽和モノマーとしては、ビニル芳香族モノマーならびにアクリル酸、メタクリル酸またはその誘導体が使用されてもよい。
【0027】
本発明の範囲内で脂肪族オレフィンとしては、2〜26個の炭素原子および好ましくは末端の二重結合を有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素がこれに該当する。適当なα−オレフィンは、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンもしくは4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセンもしくは5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ドデカデセン、1−ヘキサデセンまたは1−エイコセンである。
【0028】
本発明による方法によりα−オレフィンを単独重合させるためには、好ましくはエテンおよびプロパンならびに同様に有利に1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが使用される。
【0029】
α−オレフィンを共重合させる場合には、前記のα−オレフィンからの任意の二成分系混合物、三成分系混合物または高級混合物を使用することができる。二成分系重合混合物は、例えば出発モノマーとしてエテンおよびプロペン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンを含有することができる。同様に、プロペンおよび1−ブテン、イソブテン、1−ペンテンまたは1−ヘキセンならびに1−ブテンとイソブテン、1−ペンテンまたは1−ヘキセンとの混合物を基礎とする二成分系混合物も適当である。
【0030】
二成分系出発混合物の中で特に適当であるのは、エテン/プロペン、エテン/1−ブテン、エテン/1−ペンテン、エテン/1−ヘキセンおよび1−オクテンである。
【0031】
適当な三成分系出発混合物は、例えばエテンおよびプロペンならびに1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンから構成されている。同様に適当なのは、エテンと1−ブテンとの混合物であり、ならびに第3のコモノマーとしては、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが適当である。三成分系α−オレフィン混合物の中で好ましいのは、エテン、プロペンおよび1−ブテンからなる混合物ならびにエテン、プロペンおよび1−ヘキセンからなる混合物である。
【0032】
また、前記の脂肪族オレフィンは、2個以上の共役二重結合または非共役二重結合を含有する、別のモノマーとの混合物として使用されてもよい。脂肪族オレフィンの全質量に対する前記混合物中での別のモノマーの含量は、50質量%まで、有利に15質量%まで、特に有利に10質量%まで、殊に7質量%までであることができる。このような別のモノマーは、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピペリレン、シクロ−ジエン、例えば1,5−シクロオクタジエンまたはこれらの混合物である。好ましくは、この混合物中での別のモノマーとしては、非共役二重結合を有するジエンがこれに該当し;この場合には、1個の二重結合は、オレフィンゴム中への重合導入に利用され、第2の二重結合は、場合によっては後の処理工程にとって望ましいグラフト反応のために、そのまま維持される。
【0033】
本発明による方法のためのビニル芳香族モノマーとしては、例えばスチロール、α−メチルスチロール、p−メチルスチロール、エチルスチロール、第三ブチルスチロール、ビニルトルオールまたは1,1−ジフェニルエチレンまたはこれらの混合物が適当である。特に好ましいのは、スチロールである。
【0034】
更に、適当な不飽和モノマーは、なかんずくアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、殊にこれらの無水物、アミド、ニトリルまたはエステルである。この場合には、殊にC1〜C30−アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、有利にn−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレートまたはn−ブチルメタクリレートならびにこの種のモノマーの混合物を挙げることができる。
【0035】
本発明による方法において使用されるモノマーは、有利に100℃未満、特に有利に70℃未満、殊に40℃未満の沸点を有する。
【0036】
本発明による方法は、なかんずく適当な触媒を用いる重合によって得ることができたポリマーが未反応の残留モノマーの全体量または部分量で膨潤されていることを示す。ポリマーが膨潤されている除去されていない残留モノマーの含量は、ポリマーの量に対して、有利に2質量%を上廻り、有利に5質量%を上廻り、殊に10質量%を上廻る。重合されていない残留モノマーの存在は、なかんずく得られたポリマーの粘度の減少を生じる。
【0037】
不飽和モノマーの重合は、前記モノマーそれ自体中で行なうことができるかまたは前記モノマーと適当な溶剤との混合物中で行なうことができる。溶剤としては、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、ベンゾール、アルキルベンゾール、例えばトルオール、キシロール、エチルベンゾールもしくはデカリンまたは適当な混合物が適している。更に、溶剤成分を使用する場合には、一般に、全部の溶剤量に対する不飽和モノマーの含量は、80〜100質量%、有利に85〜100質量%の範囲にある。
【0038】
重合は、有利に0〜150℃、殊に10〜120℃の温度で実施される。また、重合は、適当な調節剤、例えば水素または水素化アルミニウム、例えば水素化アルミニウムジブチルで制御されていてもよい。
【0039】
未反応の残留モノマーの全体量または部分量で膨潤されているポリマーの製造に続いて、本発明による方法によれば、最後の工程で得られた膨潤物には、表面活性剤および水が添加され、この場合も最後の工程で得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されていない。
【0040】
適当な表面活性剤は、保護コロイドと共に、殊に有利に使用される乳化剤である。
【0041】
乳化剤としては、例えば長鎖状脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキル化されたアリールスルホネートまたはアルキル化されたビフェニルエーテルスルホネートが使用される。更に、乳化剤としては、酸化アルキレン、殊に酸化エチレンまたは酸化プロピレンと脂肪アルコール、脂肪酸またはフェノールもしくはアルキルフェノールとの反応生成物がこれに該当する。好ましくは、ポリマーの量に対して前記物質が特に0.1〜30質量%、殊に0.3〜25質量%使用される。
【0042】
また、最後の工程において、得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されず、即ちポリマーの量に対して、除去されない残留モノマーの含量は、なお2質量%を上廻り、殊になお5質量%を上廻り、特に10質量%を上廻る。
【0043】
ポリマー分散液の製造は、原則的に1つの工程または複数の工程で行なうことができる。この場合には、ポリマー分散液を機械的剪断を用いて製造することが望ましい。こうして、ポリマー分散液の粒径を相応して調節することができる。
【0044】
この種のポリマー分散液は、通常、0.01〜5000μm、有利に1000μm未満、殊に100μm未満の平均粒径(D 50 質量平均)を有する。D 50 質量平均は、粒子の50質量%がこの値を上廻る直径を有し、粒子の50質量%がこの値を下廻る直径を有するような直径を表わす。
【0045】
機械的剪断は、なかんずく所謂ウルトラターラックス(Ultraturrax)、高速回転型撹拌機または超音波棒により行なうことができる。
【0046】
また、第1の工程をポリマー分散液の製造のために適当な超音波装置(ウルトラターラックス、超音波棒)または高速回転型撹拌機の存在で実施し、その後に第2の工程で高圧型ホモジナイザーを使用することも可能である。
【0047】
不飽和モノマーから得られたポリマーのガラス温度は、通常、−100〜+100℃の範囲内、殊に−90〜+90℃の範囲内にある。
【0048】
更に、本発明による方法は、不飽和モノマーから得られたポリマーがなお第2の重合工程に掛けられ、その際にポリマーには、他のモノマーがグラフトされるような方法に変形されてもよい。ポリマーにグラフトされるこの種の他のモノマーは、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点または得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以後にポリマーに添加されてよい。好ましくは、他のモノマーは、前記時点前に添加され、この場合には、第2の工程の添加された他のモノマーは、さらに溶剤としても機能する。
【0049】
ポリマーにグラフトされてよい適当な他のモノマーは、殊にビニル芳香族モノマー、アクリルニトリルまたはアクリル酸、メタクリル酸ならびにこれらの誘導体である。
【0050】
本発明による方法のためのビニル芳香族モノマーとしては、例えばスチロール、α−メチルスチロール、p−メチルスチロール、エチルスチロール、第三ブチルスチロール、ビニルトルオールまたは1,1−ジフェニルエチレンまたはこれらの混合物が適当である。特に好ましいのは、スチロールおよびα−メチルスチロールである。
【0051】
更に、モノマーとしては、なかんずくアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、殊にこれらの無水物、アミド、ニトリルまたはエステルが使用されてよい。この場合には、殊にC1〜C30−アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、有利にn−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレートまたはn−ブチルメタクリレートならびにこの種のモノマーの混合物を挙げることができる。更に、適当な化合物は、なかんずくグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミドである。
【0052】
更に、ポリマーにグラフトされるモノマーは、第1の重合工程の不飽和モノマーと同様に、なかんずくポリマーの粘度を減少させるという課題を有している。更に、モノマーは、既にポリマーの生成中に存在していてもよいし、重合の終結後に添加されてもよい。モノマーが既にポリマーの形成中に存在している場合には、このモノマーは、溶液中でのポリマーの分散を支持する。更に、モノマーを、不飽和モノマーがなお除去されていない時点でグラフトのためにポリマーに供給することは、望ましい。
【0053】
水性ポリマー分散液から得ることができるポリマー粒子を耐衝撃性改良剤として使用する場合には、他のモノマー(グラフトモノマー)としてスチロール、アクリルニトリルまたはメチルメタクリレートを使用することは、望ましい。水性ポリマー分散液を塗装のための被覆物として使用する場合には、この水性ポリマー分散液に適当な架橋剤、例えばアクリルアミド−N−アルキルオール、メタクリルアミド−N−アルキルオール、例えばアクリルアミド−メチロールメチルエーテル、N−メチロール−アクリルアミド、メタクリルアミド−メチロールメチルエーテル、ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエンまたはブタンジオールジアクリレートを添加することは、好ましい。更に、このために適しているのは、カチオン、例えばCa2+またはMg2+で架橋されていてよい無水物基または酸性エポキシ基である。
【0054】
また、不飽和モノマーと同様に、他のモノマー(グラフトモノマー)は、一面で得られたポリマーの粘度を減少させ、他面、小さな粒径を得ることができるようにするために使用されてもよい。
【0055】
グラフトモノマーの量は、不飽和モノマーとグラフトモノマーとの全体量に対して0〜90質量%の範囲内、殊に0〜60質量%の範囲内、特に有利に0〜50質量%の範囲内にある。
【0056】
グラフト反応は、通常、ラジカル的に実施される。ラジカル重合は、例えばスチロールについては熱的に開始されてもよいし、適当なラジカル開始剤を用いて開始されてもよい。
【0057】
ラジカル開始剤としては、過酸化物、例えば過酸化ジアシル、過酸化ジアルキル、過酸化ジアリール、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシケタール、ペルオキソスルフェート、ヒドロペルオキシドまたはアゾ化合物がこれに該当する。好ましくは、ジベンゾイルペルオキシド、1,1−ジ−第三ブチルペルオキソ−シクロヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジラウリル、アゾビスイソブチロニトリルならびに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムが使用される。
【0058】
助剤として、分子量調節剤、例えば二量体α−メチルスチロール、メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタンまたは第三ドデシルメルカプタン、連鎖枝分かれ剤(Kettenverzweigungsmittel)、安定剤または離型剤が添加されてよい。
【0059】
グラフト反応は、通常、5〜150℃、殊に10〜100℃、特に有利に20〜90℃の温度で行なわれる。
【0060】
膨潤および表面活性剤の添加の間、温度を0〜300℃、殊に10〜250℃、特に有利に20〜220℃に調節することは、望ましい。
【0061】
ポリマーをモノマーと一緒に安定した分散液中に導入するために、普通の装置、例えば回転子−固定子機構(IKA社、StauffenのUltra-TurraxまたはDisparx)、Cavitron社またはSupaton社の類似の装置または米国特許第5816700号明細書に記載されたような装置を使用することができる。更に、このためには、適当な強力混合型インラインミキサー、異なる混合帯域および輸送帯域を有する高速回転型一軸混合装置(ドイツ連邦共和国特許出願公開第3903007号明細書)または同旋回転型二軸機構ならびに高圧型ホモジナイザーが適当である。
【0062】
また、本発明による方法は、圧力が水中でのポリマーの分散の終結後に分散前の場合と同様に高いように構成されていてもよい。また、ポリマーにグラフトされる他のモノマーを、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前に添加することも望ましい。
【0063】
更に、本発明による方法により得られる膨潤物には、界面活性剤ならびに他のポリマー、充填剤、助剤および顔料と一緒に水が添加される。
【0064】
また、水性ポリマー分散液に付加的にポリマーとこのポリマー上にグラフトされるモノマーとの間の形態を変化させる相容性助剤を添加することも可能である。また、相容性助剤は、他のポリマー、充填剤、助剤および顔料の分布および形態にプラスの影響を及ぼしうる。
【0065】
本発明による方法は、多大な費用なしに簡単に実施することができ、なかんずく小さな粒径を有するポリマー分散液を製造することを可能にする。更に、なかんずく、とにかく入手することが極めて困難である、ポリオレフィンの水性分散液の製造に適している。
【0066】
本発明による方法により得られる同様の本発明による水性ポリマー分散液は、有利に0.01〜20μm、殊に0.03〜15μm、特に有利に5μm未満の平均粒径(D 50 質量平均)を有する。この水性ポリマー分散液をフィルムまたは耐衝撃性改良剤として使用する場合には、この水性ポリマー分散液は、有利に2μm未満の平均粒径、殊に1μm未満の平均粒径を有している。
【0067】
粒径は、光散乱法により測定することができる。1つの概要は、D. Distler (編者)"Waessrige Polymerdispersionen", Wiley-VCH Verlag, 第1版, 1999, 第4章に見出される。
【0068】
特に好ましくは、本発明による水性ポリマー分散液は、ポリマーとしてエチレンのコポリマーを含有する。
【0069】
本発明により得られる水性ポリマー分散液は、数多くの使用、例えば紙の適用、例えば紙の塗被または表面サイズ施行、さらに塗料およびラッカー、建築用化学薬品、粘着原料、形状フォーム、織物塗布および皮革塗布、カーペット裏面被覆、マットレスまたは製薬学的適用に有利に使用することができる。得られたポリマー分散液は、艶消剤として使用されてもよい。また、得られたポリマー分散液を別のポリマーと一緒に使用することも可能である。
【0070】
実施例
A.エテン/プロペン溶液ポリマーの製造
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド10mgを無水で酸素不含のトルオール10ml(Aldrich社)に振盪管中でアルゴン保護ガスの下で溶解し、室温でMAO溶液16ml(メチルアルミノキサン、トルオール中で10%、Aldrich社)を添加し、5分間攪拌した。
【0071】
ヒーターおよび機械的撹拌機を備えた、加熱され不活性化された特殊鋼製オートクレーブ(0.3 l)に室温でプロペン30gを注入した。その後に、エテンを20バールの圧力になるまで圧縮した。混合物を5分間攪拌した後、触媒溶液をHPLCポンプで2分間オートクレーブ中に輸送した。この混合物を50℃に加熱し、2時間後に室温に冷却した。常圧への放圧の際に、なおプロペンで膨潤された粘稠なポリマーを得ることができる。
【0072】
B.ポリエチレン−コプロピレン分散液の製造
工程Aから得られた膨潤されたコポリマーをターラックス(Turrax)(IKA社)を備えた500mlのフラスコ中に移した。このコポリマーに室温で水100mlとDisponil FES 77 6g(Henkel社の乳化剤)とからなる混合物を10分間、強力に攪拌しながら添加した。生成された懸濁液の粒径を光学顕微鏡下で測定し、この場合この粒径は、約10μmであった。その後に、懸濁液を室温で3回高圧型ホモジナイザー(Niro Soavi社の型NS 1001 L Panda)により均質化した。13%の固体含量を有する水性分散液を得ることができた。コポリマー分散液の平均粒径を動的光散乱によって220nmで測定した。分散液を45μmのフィルター目開きを介して濾過することにより、0.2%の凝集物含量を生じた。この分散液は、数週間に亘って乳化も沈殿もすることなく安定である。
【0073】
C.ポリプロピレン分散液の製造
ジルコニウム錯体1 5mg(製造:B. Rieger他, Z. Naturforsch., Part B 1994, 49, 451.)を振盪管中でアルゴン保護ガスの下で室温でMAOのトルオール溶液5ml(メチルアルミノキサン、10% Aldrich GmbH社)に溶解し、20℃で5分間攪拌した。
【0074】
ヒーター、油充填された加熱/冷却ジャケットおよび機械的撹拌機を備えた、加熱され不活性化された特殊鋼製オートクレーブ(1.2 l)に室温でプロペン200gおよびイソブタン200gを注入した。混合物を40℃に加熱した後に、HPLCポンプにつき触媒溶液を1分間、オートクレーブ中に計量供給した。40℃で5時間後、二酸化炭素を20バールにまで圧縮することによって、反応を終結させた。
【0075】
機械的撹拌機を備えた鋼製の第2の攪拌型容器(2.5 l)中に水500g中のn−ドデシルベンゾールスルホネートナトリウム塩25gおよびDisponil FES 77 100g(水中30%、Cognis社)の溶液を装入し、80℃に温度調節した。上昇管を介して、ポリプロピレン溶液を大型の攪拌容器中で窒素過圧により周囲から圧縮し、2000rpmで乳化した。粗大な乳濁液から、動的混合装置(15000rpm、型MT5000、Kinematica社)および80℃での高圧型ホモジナイザー(Nitro Soavi社の型NS 1001 L Panda)に連続的に通過させることによって、微細乳濁液を製造し、この微細乳濁液を鋼製容器(5 l)中に導入した。この混合物を常圧に放圧した後、分散液から組み込まれたフリットを介しての窒素の導入によって残留イソブタンを除去した。固体含量23%を有する分散液を得ることができた。平均粒径は、290nmであった。5gを室温でポリエチレン製シャーレ中で乾燥させることによって、弾性のポリプロピレンフィルムを得ることができた。乾燥されたフィルムからGPC1回につき180000g/molの質量平均分子量の分子量を測定した(多分散性1.9)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリマー分散液の製造法であって、その際に最初に不飽和モノマーを適当な触媒により重合させる、水性ポリマー分散液の製造法において、その後にこうして得られた、未反応の残留モノマーの全体量または部分量で膨潤されているポリマーに最後の工程で表面活性剤および水を添加し、この場合も最後の工程で得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されていないことを特徴とする、水性ポリマー分散液の製造法。
【請求項2】
不飽和モノマーとして100℃未満の沸点を有するようなモノマーを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
不飽和モノマーとして脂肪族オレフィンを使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
不飽和モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸またはその誘導体を使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
水性ポリマー分散液を膨潤の間または膨潤の後になお機械的剪断に掛ける、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ポリマーの製造を有機金属化合物により行なう、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
得られたポリマーを他の重合工程に掛け、その際にポリマーに他のモノマーをグラフトする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーにグラフトされる他のモノマーを、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前に添加する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
得られる膨潤物に表面活性剤ならびに他のポリマー、充填剤、助剤および顔料と一緒に水が添加される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
得られる膨潤物に表面活性剤ならびにポリマーと別の同様に添加することができる物質との間の形態を改善する相容性助剤と一緒に水が添加される、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
得られたポリマーとグラフトされたモノマーとの間の形態を変化させるような相容性助剤が選択される、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ポリマーにグラフトされる他のモノマーとしてビニル芳香族モノマー、アクリルニトリルまたはメチルメタクリレートが使用される、請求項7から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
相容性助剤を、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前にかまたはその時点に添加する、請求項7から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により得ることができる水性ポリマー分散液。
【請求項15】
水性ポリマー分散液が5μm未満の粒径を有する、請求項14記載の水性ポリマー分散液。
【請求項16】
水性ポリマー分散液がポリマーとしてポリエチレンを含有する、請求項14または15記載の水性ポリマー分散液。
【請求項17】
紙の適用、例えば紙の塗被または表面サイズ施行、塗料、粘着原料、形状フォーム、例えばマットレス、織物塗布および皮革塗布、カーペット裏面被覆または製薬学的適用のための請求項14から16までのいずれか1項に記載の水性ポリマー分散液の使用。
【請求項18】
水性ポリマー分散液を別のポリマーと一緒に使用する、請求項17記載の水性ポリマー分散液の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01〜20μmの平均粒径(D50 質量平均)を有する水性ポリマー分散液の製造法において、第1工程で不飽和モノマーを、適当な触媒により、得られたポリマーがポリマー量に対して2質量%を上廻る未反応の残留モノマーで膨潤されているように重合させ、これに引続く工程でこのポリマーに表面活性剤および水を添加し、この場合も最後の工程で得られたポリマーは、完全には残留モノマーと分離されていないことを特徴とする、水性ポリマー分散液の製造法。
【請求項2】
不飽和モノマーとして100℃未満の沸点を有するようなモノマーを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
不飽和モノマーとして脂肪族オレフィンを使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
不飽和モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸またはその誘導体を使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
水性ポリマー分散液を膨潤の間または膨潤の後になお機械的剪断に掛ける、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ポリマーの製造を有機金属化合物により行なう、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
得られたポリマーを他の重合工程に掛け、その際にポリマーに他のモノマーをグラフトする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーにグラフトされる他のモノマーを、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前に添加する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
得られる膨潤物に表面活性剤ならびに他のポリマー、充填剤、助剤および顔料と一緒に水が添加される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
得られる膨潤物に表面活性剤ならびにポリマーと別の同様に添加することができる物質との間の形態を改善する相容性助剤と一緒に水が添加される、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
得られたポリマーとグラフトされたモノマーとの間の形態を変化させるような相容性助剤が選択される、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ポリマーにグラフトされる他のモノマーとしてビニル芳香族モノマー、アクリルニトリルまたはメチルメタクリレートが使用される、請求項7から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
相容性助剤を、得られる膨潤物に表面活性剤と一緒に水が添加される時点以前にかまたはその時点に添加する、請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−511629(P2006−511629A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−514757(P2004−514757)
【出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006406
【国際公開番号】WO2004/000917
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】