説明

水性顔料着色被覆剤、その製造方法及び塗料の多層被覆の製造のためのその使用

本発明は、物理的、熱的及び物理的、又は熱的に硬化可能であり、A)結合剤として、飽和の、不飽和の、及び/又はオレフィン性不飽和化合物でグラフトされた、物理的に硬化しうる、熱的に自己架橋する、及び/又は熱的に外的架橋される、イオン的に及び/又は非イオン的に安定化されたポリウレタンから選択される少なくとも1つのポリウレタンと、B)PVD(物理蒸着)法で生成された少なくとも1つの葉片形状金属効果顔料とを含有し、B)の含有量が、被覆剤組成物の結合剤の総含有量に対して10質量%未満を構成し、結合剤の総含有量が、被覆剤組成物に対して12質量%未満を構成する、水性被覆剤組成物に関する。更に本発明は、組成物の製造方法及び特に被覆の製造におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性顔料着色被覆組成物、その製造及び多層塗料系、より詳細には特に強く際立っている明/暗挙動を有するもの(金属フロップ、フロップ又はフリップフロップとも呼ばれる)の製造における使用に関する。
【0002】
長い歴史を有する水性又は溶媒型被覆材料、特に下塗材料及びそれらを使用して製造された多層被覆効果塗料は、良好な性能特性を示す。
【0003】
しかし、市場において継続的に高まっている技術的、特に審美的要件、とりわけ自動車製造業者及び彼らの顧客により課せられる要件によって、現在達成された技術的及び審美的レベルを超える開発を継続的に進めていくことが必要となっている。曲線的な要素が際立っている現代的な車体製作設計は、強いフリップフロップ効果を有する塗料仕上と十分に調和が取れている。金属を模倣する効果を作り出すという要望は、ナノメーター範囲の厚さの極めて薄いアルミニウム葉片を使用することで実現可能となり、例えばEP0826745A2に記載されている。
【0004】
とりわけ、特に強く際立っている明/暗挙動を示す下塗系の製造を可能にする、新たな被覆組成物の必要性が存在する。しかし同時に、既知の下塗材料及びそれらから製造される下塗系により達成される利点が失われるべきではなく、むしろ、少なくとも同じ程度、好ましくはより大きい程度で保持されるべきである。
【0005】
したがって、対応する効果下塗系及び適切であれば有色下塗系も、濁りを示すべきではなく、良好な均展、また非常に良好な全体的な外観を有するべきである。更に下塗は膜欠陥、明/暗陰影(曇り)及びゲル斑点が存在するべきではない。更に、得られる被覆は、光学的欠陥を示すべきではなく、クリアコートに対して十分な接着力を有するべきである。
【0006】
被覆組成物は、更に、良好な保存安定性により特徴付けられるべきであり、それは、被覆組成物それ自体の特性において、又はこれらの被覆材料から製造された被覆が40℃で(28日間)保存されたときの特性において有意な劣化がないことを意味する。同時に、被覆組成物のレオロジー特性の劣化、特に粘度の上昇、ゲル斑点の形成及び金属フロップの損傷があってはならない。
【0007】
慣用的に、従来技術の水性下塗材料は、製造が容易であり、保存が安定しており、輸送可能である。これらは、適用、技術的特性(接着力、長期耐候性)、保存安定性、循環安定性及び外観に関して典型的な自動車用仕上塗の要件を満たしている。
【0008】
EP1591492A1は、例えば、水性又は溶媒系でありえ、比較的高割合の金属顔料−好ましくは結合剤の総含有量に基づいて12質量%〜20質量%を含有する、金属顔料を含む下塗材料を記載している。しかしEP1591492A1の焦点は、最大水分安定性の系を提供することである。
【0009】
WO2006/017197A1は、特殊効果仕上塗の製造方法を開示しているが、効果被覆剤材料を製造するために、比較的低割合の葉片形状金属顔料を相対的に高量の結合剤及び相対的に高割合の固体と組み合わせて使用しており、葉片形状金属顔料は、被覆材料において、少なくとも1つの更なる追加的な特殊効果顔料を伴っている。
【0010】
それでも、現在まで、例えば車輪リムの仕上塗に使用される種類の溶媒系下塗材料の金属明/暗挙動(フリップフロップ)を、効果顔料を含む従来技術の水性下塗材料を使用した場合、達成するには程遠い。
【0011】
フリップフロップ効果を達成するために重要な要素には、金属塗料の製造における顔料としてのPVDアルミニウム葉片の使用だけでなく、水性塗料系における更なる成分の量との正確な調和も含まれる。
【0012】
ポリアクリレート及びポリエステル結合剤とアミノ樹脂架橋剤に基づき、PVD法により生成された葉片形状アルミニウム効果顔料(EckartのMetalure(登録商標))を含む水性被覆材料が知られているが、依然としてそれらに課せられている全ての要件を満たすことはできていない。
【0013】
したがって、本発明が基づいている目的は、金属顔料を含み、製造が容易であり、現在の水性ビヒクル塗料の要件を全て満たす、新たな物理的、熱的及び物理的、並びに熱的に硬化しうる組成物を提供することである。加えて、これらは際立ったフリップフロップ効果を有するべきである。
【0014】
被覆材料は、特に、多層被覆塗料系の効果下塗及び有色効果下塗を製造する、水性下塗材料として適しているべきである。この文脈において、優れた適用挙動及び顕著な均展性を示すべきである。
【0015】
極めて薄い被覆及び相対的に低い金属顔料濃度であっても、効果下塗及び有色効果下塗は、高い隠蔽力、顕著な被覆間接着力、特に高い凝縮抵抗性、等方性の顔料分散、特に強く際立っている明/暗挙動(金属フロップ)、また、非常に高い金属光輝及び非常に高い光沢を示すべきである。同時に、明/暗挙陰影(曇り)及びゲル斑点のような膜欠陥が存在するべきではない。全体としては、クロムによく似た鏡効果を示すべきであり、着色作用がある場合、特に、きらきらする効果(ぎらぎらする効果)が最小限の上品で自然色の効果を有するべきである。
【0016】
上記の要件は、物理的にのみ、熱的及び物理的に、又は熱的にのみ硬化可能であり、下記:
A)結合剤として、飽和の、不飽和の、及び/又はオレフィン性不飽和化合物でグラフトされた、物理的に硬化しうる、熱的に自己架橋する、及び/又は熱的に外的架橋される、イオン的に及び/又は非イオン的に安定化されたポリウレタンから選択される少なくとも1つのポリウレタン、並びに
B)PVD(物理蒸着)法で生成された少なくとも1つの葉片形状金属顔料
を含み、
B)の量が、被覆組成物の結合剤の総含有量に基づいて10質量%未満であり、結合剤の総含有量が、組成物に基づいて12質量%未満である
水性被覆組成物を提供することによって満たされることが見出された。
【0017】
本発明の被覆組成物は、下記において「本発明の組成物」とも呼ばれる。
【0018】
本発明は、更に、被覆組成物成分の混合及び得られた混合物の均質化を含む、本発明の被覆組成物を製造する方法を提供する。この方法は、下記において「本発明の方法」と呼ばれる。
【0019】
本発明は、特に、本発明の組成物の使用及び被覆材料として、より好ましくは塗料として、好ましくは下塗材料として、本発明の方法により製造される本発明の組成物の使用を、追加的に提供する。この使用は、「本発明による使用」と呼ばれる。
【0020】
本発明の追加的な主題は、記載から分かる。
【0021】
従来技術を考えてみると、本発明が基づいている目的を本発明の組成物、本発明の方法及び本発明による使用によって達成できることは、当業者には驚くべきことであり、予測不能であった。
【0022】
特に驚くべきことは、温度が急激に変動しても、本発明の組成物が保存安定性及び輸送可能性を有することであった。ガスが発生することもない。長時間の剪断の後であっても、組成物は金属顔料又は他の構成成分の沈降を示さなかった。
【0023】
被覆材料は、多層被覆塗料系の効果下塗又は有色効果下塗を製造する水性下塗材料として非常に適している。この用途において、これらは優れた適用挙動及び顕著な均展性を示した。
【0024】
相対的に薄い被覆及び相対的に低い金属顔料濃度であっても、効果下塗及び有色効果下塗は、高い隠蔽力、顕著な被覆間接着力、特に高い凝縮抵抗性、等方性の顔料分布、特に強く際立っている明/暗挙動(金属フロップ)、非常に高い金属光輝及び非常に高い光沢を示す。同時に、明/暗挙陰影(曇り)及びゲル斑点のような膜欠陥は存在しない。全体としては、まさに、クロムに似た鏡効果を示し、着色作用がある場合、特に、きらきらする効果(ぎらぎらする効果)が最小限の上品で自然色の効果を有する。
【0025】
本発明の組成物は、結合剤として少なくとも1つのポリウレタン(A)を含む。
【0026】
ポリウレタン(A)は、飽和の、不飽和の、及び/又はオレフィン性不飽和化合物でグラフトされた、物理的に硬化しうる、熱的に自己架橋する、及び/又は熱的に外的架橋される、イオン的に及び/又は非イオン的に安定化されたポリウレタンから選択される。
【0027】
「物理的に硬化しうる」、「熱的に自己架橋する」及び「熱的に外的架橋される」特性について、並びにこれらの特性の基礎になる物理的前提条件について、ドイツ国特許出願DE10010416A1、第3頁11行目から30行目、第5頁33行目から41行目及び第5頁47行目から第8頁6行目に参照されている。そこに提示されている(メタ)アクリレート(コ)ポリマーに関する説明は、本明細書においても準用して適用される。
【0028】
好ましくは、ポリウレタン(A)は熱的に外的架橋される、熱架橋又は硬化は、ポリウレタン(A)の物理的硬化により更に補助することができる。
【0029】
ポリウレタン(A)を、オレフィン性不飽和化合物でグラフトすることもできる。この種類のグラフトポリウレタンを製造するのに使用されるグラフト塩基は、特に好ましくは不飽和−好ましくはオレフィン性不飽和−ポリウレタン(A)である。とりわけ好ましくは、オレフィン性不飽和ポリウレタン(A)は、末端及び側部に、特に側部にオレフィン性不飽和基を含む。
【0030】
とりわけ好ましくは、ポリウレタン(A)はイオン的に、とりわけアニオン的に安定化される。特にカルボキシレートがこの目的のために使用される。
【0031】
適切なポリウレタン(A)の例は、ドイツ国特許出願:
− DE4009858A1、第6欄18行目から第10欄23行目、
− DE4437535A1、第2頁27行目から第6頁22行目、
− DE19914896A1、第4欄26行目から第11欄5行目、
− DE10043405C1、第5欄、段落「0030」
− DE19948004A1、第3頁14行目から第13頁48行目
− DE10053890A1、第3欄、段落「0016」から第18欄、段落「0123」、又は
−DE10223652A1、第3欄、段落「0019」から第16欄、段落「0101」
により既知である。
【0032】
ポリウレタン結合剤(A)の量は、PVD法により生成される葉片形状金属顔料(B)の本発明の組成物における質量が、本発明の組成物における結合剤の総量に基づいて、10質量%未満、好ましくは3質量%〜10質量%未満、より好ましくは4質量%〜9質量%、特に好ましくは6質量%〜8質量%であるように設定される。本発明の組成物の結合剤の総質量は、本明細書において、ポリウレタン結合剤(A)の割合及び例えばポリエステル樹脂又はポリアクリレート樹脂のような更なる結合剤から構成される。本発明の組成物の結合剤の総含有量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、好ましくは12質量%未満、より好ましくは10質量%未満、特に好ましくは5質量%〜9質量%、とりわけ好ましくは7質量%〜9質量%である。
【0033】
結合剤の総質量に基づいて、結合剤(A)の量は、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、さらには30質量%超である。
【0034】
本発明の組成物は、PVD(物理蒸着)法で生成される少なくとも1つの葉片形状金属顔料(B)を含む。好ましくは、PVD法で生成される1つの葉片形状金属顔料(B)しか存在しない。
【0035】
特に、葉片形状金属顔料(B)は、アルミニウム効果顔料である。
【0036】
PVD法は、薄層を生成する真空被覆法であり、金属、より好ましくはアルミニウムを純粋に物理的な技術により先にガス相に変換し、次に基材に付着させる。(Roempp Online,Georg Thieme Verlag,2004,"PVD method"を参照のこと)。
【0037】
好ましくは、金属を高真空下で蒸着により一時的な基材に適用して金属層(B′)を得る。一時的な基材は、好ましくはポリマーフィルムである。特に好ましくは、一時的な基材は、金属層(B′)が付着する非粘着性層又は剥離層を含む。
【0038】
次に金属層(B′)を、好ましくは非極性有機溶媒により一時的な基材から剥がすことにより取り外し、その後、得られた金属葉片(B″)を、好ましくはそれらを含有する分散体で撹拌することにより剪断に付し、葉片形状金属顔料(B)を得る。
【0039】
葉片形状金属顔料(B)は、好ましくは20〜80nm、より好ましくは30〜50nmの厚さを有する。
【0040】
葉片形状金属顔料(B)は、好ましくは20〜50μm、より好ましくは20〜45μmの最大粒径を有する。
【0041】
葉片形状金属顔料(B)、より好ましくは、アルミニウム効果顔料(B)は、それ自体既知の製品であり、例えばEckartにより商品名Metalure(登録商標)、Silvershine(登録商標)又はHydroshine(登録商標)で販売されている。
【0042】
本発明の組成物における葉片形状金属顔料(B)の量は、上記のように導かれ、特に結合剤の総含有量に基づいて導かれる。本発明の組成物の全体に基づいて,(B)の量は、好ましくは0.3質量%〜0.9質量%、より好ましくは0.4質量%〜0.7質量%である。
【0043】
本発明の組成物は水性であり、すなわちこれらは水を含み、上記構成成分(A)及び(B)が分散体又はエマルションに存在する。しかし、水の他に、主要な「溶媒」として、水性被覆材料に典型的な量の有機溶媒が存在しうる。しかし、可能な限り有機溶媒の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて18質量%を超えるべきではない。有機溶媒の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、好ましくは15質量%未満、より好ましくは7質量%〜13質量%の範囲、特に好ましくは8質量%〜12質量%である。
【0044】
不揮発性構成成分の総量である総固形分は、それぞれの場合に本発明の組成物の総質量に基づいて、典型的には14質量%未満、より好ましくは8質量%〜13質量%、特に好ましくは9質量%〜12質量%である。総固形分は、例えば組成物を120℃で2時間乾燥することにより決定できる。
【0045】
本発明の組成物は、少なくとも1つの更なる成分(C)を更に含むことができる。外的架橋されるポリウレタン(A)を使用する場合、(C)は架橋剤である。しかし、また(C)に含まれるものは、適切であればポリウレタン結合剤(A)に加えて存在する、例えばポリエステル樹脂又はポリ(メタ)アクリル酸樹脂若しくはポリ(メタ)アクリレート樹脂のような、更なるポリウレタン非含有結合剤である。
【0046】
適切な架橋剤(C)の例は、ドイツ国特許出願DE19948004A1、第14頁32行目から第16頁14行目により既知である。これらは、好ましくはそれに規定されている量で使用される。
【0047】
本発明の組成物は、特に、少なくとも1つの慣用で既知の被覆添加剤を、添加剤(C)として有効量で更に含むことができる。適切な被覆添加剤(C)の例は、ドイツ国特許出願DE19948004A1、第16頁15行目から第17頁5行目により知られている。他の添加剤(C)には、例えば、染料又は有色顔料が含まれ、これらは有機又は無機である。
【0048】
成分(C)は、成分(B)以外の効果顔料を含むこともできる。しかし、更なる効果顔料の存在は、最大金属フロップの目的の達成にとって必要ではなく、達成される目的を妨げることすらあるため、(B)以外は更なる効果顔料を含有しない本発明の組成物が好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、好ましくは本発明の方法を用いて製造される。この方法は、上記構成成分(A)及び(B)、並びに所望であれば(C)を、水性媒質、より好ましくは水に分散し、次に得られた混合物を均質化することを含む。この方法の観点からは、本発明の方法は特殊性がなく、むしろ、慣用で既知の混合技術及び混合槽、溶解槽、混合ミル、配合機、静止混合機又は押出機のような混合装置を使用して実施することができる。
【0050】
本発明の方法において、葉片形状金属顔料(B)は、好ましくは顔料ペーストの形態で使用される。特に、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第3頁、段落「0019」から第5頁、段落「0031」に記載の顔料ペーストの形態で使用され、少なくとも1つの葉片形状金属顔料(B)を、前記出願に記載の効果顔料に代わって又は加えて含む。
【0051】
本発明の組成物、本発明の方法を用いて製造される組成物、とりわけ本発明の方法により製造される本発明の組成物の多様な特定の利点のために、これらを多数の最終用途に用いることができる。
【0052】
好ましくは、これらは単一被覆又は多層被覆を製造する、特に多層被覆の効果被覆を製造する被覆材料として使用される。特に好ましくは、これらはその文脈において、多層被覆塗料系の、特に自動車用、とりわけ高級自動車用の多層被覆塗料系の効果下塗を、また有色効果下塗を製造する水性下塗材料として使用される。
【0053】
とりわけ好ましくは、多層被覆塗料系は、ウエット・オン・ウエット法により製造され、下記:
(1)少なくとも1つの水性下塗材料を下塗又は非下塗基材に適用して、少なくとも1つの水性下塗膜(1)を得ること、
(2)少なくとも1つのクリアコート材料を水性下塗膜(1)に適用して、少なくとも1つのクリアコート膜(2)を得ること、及び
(3)少なくとも水性下塗膜(1)とクリアコート膜(2)を一緒に硬化して、下塗(1)及びクリアコート(2)を得ること
を含む。
【0054】
そのようなウエット・オン・ウエット法の例は、ドイツ国特許出願DE19948004A1、第17頁37行目から第19頁22行目により既知である。
一つの特定の好ましい実施態様において、多層被覆塗料系は、上記工程(1)に使用された下塗り基材をプライマーで下塗りされた基材にすることにより得ることができ、プライマーは、静電被覆法(ESTA被覆)により適用される。
好ましくは2つのプライマー被覆がESTAを用いて連続的に適用される。プライマー被覆は、好ましくはそれぞれ10〜25μmの乾燥膜厚を有する。
好ましくは2つのプライマー被覆が適用される場合、好ましくはそれぞれ10〜25μmの乾燥膜厚を有し、より好ましくはそれぞれ15〜20μmの乾燥膜厚を有する。ウエット・オン・ウエット多層被覆塗装手順の一つの好ましい実施態様において、PVD金属効果顔料を含む本発明の被覆材料組成物が、1回、好ましくは2回、それぞれの場合に2〜8μm、より好ましくは2〜6μm、特に好ましくは3〜5μmの乾燥膜厚で続いて適用される。好ましい実施態様の工程(2)で適用されるクリアコート材料は、好ましくは1つの被覆で、より好ましくはESTAにより、好ましくは25〜50μm、より好ましくは30〜45μm、極めて好ましくは35〜40μmの乾燥膜厚で適用される。
【0055】
したがって、この方法で製造される好ましい本発明の多層被覆塗料系は、1又は2つ、好ましくは2つのプライマー被覆を、それぞれ10〜25μm、より好ましくはそれぞれ15〜20μmの乾燥膜厚で有し、また、1又は2つ、好ましくは2つの本発明の被覆材料組成物の被覆膜が、単一プライマー被覆又は最終プライマー被覆に、それぞれの場合に2〜8μm、より好ましくはそれぞれ3〜5μmの乾燥膜厚で適用され、最後に、クリアコート上塗が、好ましくは25〜50μm、より好ましくは30〜45μm、極めて好ましくは35〜40μmの乾燥膜厚で適用される。用いられるクリアコート材料は、特に好ましくは2成分(2K)クリアコート材料である。従来の塗料仕上と比較して、この特に好ましい多層被覆塗料系は、有意に低い被覆厚さを有し、同時に、優れた特性を保持している。また、より少ない作業工程で得ることができ、塗料消費の観点からより好ましい。
【0056】
得られた本発明の効果被覆及び有色効果被覆、より好ましくは本発明の多層被覆塗料系は、フロップ指数FLX-Rite=24、とりわけ=26を有し、それぞれの場合、X−Rite社の式:
FLX-Rite=2.69(L*15(−L*110(1.11/(L*45(0.86
を使用して計算される。
【0057】
驚くべきことに、本発明のそれぞれの有色効果被覆、より好ましくは本発明の多層被覆塗料系は、溶媒に基づいた塗料系と比較して、もはや明/暗陰影(曇り)の事例を示さない。
【0058】
全体として、本発明の効果被覆(水性下塗材料V1及びV2)、より好ましくは本発明の多層被覆塗料系は、性能特性の優れたプロフィールを有し、機械的特性、光学的特性、耐食性、被覆間接着力及び基材接着に関して著しく良好に釣り合いが取れている。特に注目すべきは、優れた全体的な外観及び特に強く際立っている視角依存性明/暗挙動(金属フロップ)であり、これは、本発明の下塗には膜欠陥がないことに起因する。金属フロップは際立っているので、クロムに似た鏡効果を得ることができる。さらに、本発明の有色効果被覆、より好ましくは本発明の多層被覆塗料系は、きらきらする効果(ぎらぎらする効果)が最小限の特に審美的に魅力のある上品で自然色の効果を示す。
【0059】
本発明の組成物の結合剤総割合と比べて非常に低い割合の、PVD法により生成される葉片形状金属顔料によって、例えば曇りのような、溶媒に基づいた系の欠点を示す塗料系を用いることなく、溶媒に基づいた系に実質的に匹敵する金属フロップを示す被覆組成物が得られることは、特に驚くべきことであった。同様に驚くべきことは、この成功が、組成物の総質量に基づいて12質量%未満、典型的には10質量%未満の結合剤の非常に低い絶対総割合及び固体の非常に低い総割合にもかかわらず、本発明の組成物によって生じるという事実である。
【0060】
最良の結果は、本発明の組成物が、結合剤総含有量、ポリウレタン結合剤(A)の量、総固形分、PVD法により生成される葉片形状金属顔料(B)の量、溶媒含有量及び特に(B)と結合剤総含有量との質量比について、前記又は上記に規定されている好ましい及び/又は特に好ましい範囲を含む場合に得られる。
【0061】
したがって、典型的な特に好ましい本発明の組成物は、例えば、
・ 結合剤総質量に基づいて6質量%〜8質量%及び/又は本発明の組成物の総質量に基づいて0.4質量%〜0.7質量%の割合の、PVD法により生成される葉片形状金属顔料(B)と、
・ 本発明の組成物の総質量に基づいて7質量%〜9質量%の総量の結合剤とを含有し、適切な場合、下記の基準、例えば:
・ 結合剤総含有量に基づいて少なくとも30質量%のポリウレタン結合剤(B)の含有量、
・ 9質量%〜12質量%の総固形分(不揮発性構成成分、120℃、2時間)及び
・ 組成物の総質量に基づいて8質量%〜12質量%の有機溶媒含有量
の1つ以上を含む。
【0062】
典型的な特に好ましい組成物において規定されたそれぞれの範囲は、当然のことながら、本発明の範囲内で拡大することができる。したがって、それぞれ個別の記述された範囲を、記載において規定された更なる本発明の範囲に代えることができるか、又は本発明の本質を変えることなく、規定された上限若しくは下限の1つを含めることによって限定してもよい。しかし、最良の結果は、特に被覆の金属フロップに関して、特に好ましい範囲が観察されたときに予測される。
【0063】
8つの異なる下塗材料を比較のために系として使用し、水性下塗材料V1及びV2は、本発明のものであり、更なる水性下塗材料V3〜V8は比較の役割を果たす。水性下塗材料V1〜V3は、11質量%未満の比較的低い総固形分を有し、結合剤総質量に基づいた顔料(B)(EckartのHydroshine WS3001)の量は、4質量%(V1)、7質量%(V2)及び10質量%(V3)である。水性下塗材料V4〜V6は、比較の役割を果たし、14質量%を超える総固形分を有し、結合剤総質量に基づいた顔料(B)(EckartのHydroshine WS3001)の量は、4質量%(V4)、7質量%(V5)及び10質量%(V6)である。比較水性下塗材料V7は、固形分18質量%超及び顔料含有量2.7質量%を有するEckartのHydrolux型の1ドル硬貨アルミニウム顔料を使用して製造した。比較被覆材料V8は、総結合剤に基づいて固形分10質量%未満及び正確に設定した顔料含有量8質量%を有するEckartのMetalure L55700型のPVDアルミニウム顔料を使用して製造した。
【0064】
被覆系V1〜V8の製造
水性下塗材料V1:
撹拌容器に、26質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、10質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、1.7質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と2.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、1.0質量部のブチルグリコール、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.1質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、1.6質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、1.5質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、0.2質量部の市販のフリーラジカルスカベンジャーTinuvin 123、0.7質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.3質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、43.3質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、3.7質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び3.7質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V1を得た。
適用には、水性下塗材料V1を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で30〜40mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0065】
水性下塗材料V2:
撹拌容器に、26質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、10質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、1.7質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と2.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、1.0質量部のブチルグリコール、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.1質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、1.6質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、1.5質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、0.2質量部の市販のフリーラジカルスカベンジャーTinuvin 123、0.7質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.3質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、39.5質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、5.6質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び5.6質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V2を得た。
適用には、水性下塗材料V2を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で30〜40mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0066】
水性下塗材料V3(比較例):
撹拌容器に、26質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、10質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、1.7質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と2.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、1.0質量部のブチルグリコール、1.0質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.1質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、1.6質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、1.5質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、0.2質量部の市販のフリーラジカルスカベンジャーTinuvin 123、0.7質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.3質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、33.7質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、8.5質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び8.5質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V3を得た。
適用には、水性下塗材料V3を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で30〜40mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0067】
水性下塗材料V4(比較例):
撹拌容器に、24質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、19質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、3.2質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と1.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D. Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、2.0質量部のブチルグリコール、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.2質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、3.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、1.2質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.5質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、29.0質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、5.0質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び5.0質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V4を得た。
適用には、水性下塗材料V4を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で40〜50mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0068】
水性下塗材料V5(比較例):
撹拌容器に、24質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、19質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、3.2質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と1.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、2.0質量部のブチルグリコール、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.2質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、3.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、1.2質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.5質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、21.0質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、9.0質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び9.0質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V5を得た。
適用には、水性下塗材料V5を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で40〜50mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0069】
水性下塗材料V6(比較例):
撹拌容器に、24質量部の増粘剤(ナトリウムマグネシウムフィロケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)を投入した。これに、撹拌しながら、19質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)を加えた。続いて、3.2質量部の市販の水希釈性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)327)と1.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、2.0質量部のブチルグリコール、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)及び0.2質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、3.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、0.9質量部の市販の湿潤剤Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)、1.2質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.5質量部の市販の非結合増粘剤Viscalex(登録商標)HV30(ドイツ国特許出願DE10043405C1、第11欄、段落「0075」の(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸に基づいたメタクリレートコポリマー)を加え、また、21.0質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、13.0質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Hydroshine(登録商標)WS3001)のペースト及び13.0質量部の、ドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落「0053」のViscalex(登録商標)HV30、有機アミン、Surfynol(登録商標)100、Cognisの非イオン性界面活性剤Hydropalat(登録商標)3037及び水から構成される混合物と混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V6を得た。
適用には、水性下塗材料V6を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水性溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で40〜50mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0070】
水性下塗材料V7(比較例):
撹拌容器に、23.2質量部のLaponite(登録商標)RDを投入した。これに、撹拌しながら、20.5質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄10行目から35行目、"C.Preparation of an aqueous polyurethane resin dispersion"のポリウレタン分散体を加えた。続いて、3.7質量部のCymel(登録商標)327と1.0質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin disperson"の水性ポリエステル樹脂分散体、2.0質量部のブチルグリコール及び0.2質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)の混合物を、撹拌しながら加えた。得られた混合物を、3.7質量部の、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁55行目から第8頁23行目、"D.Preparaton of the inventive polyurethan−modified polyacrylate"のポリウレタン改質ポリアクリレート樹脂と混合した。得られた混合物に、撹拌しながら、1.0質量部のプロピレングリコール(数平均分子量:900ダルトン)、2.3質量部のイソブタノール、3.0質量部の2−エチルヘキサノール、2.1質量部のn−プロポキシプロパノール、1.6質量部のブトキシプロパノール、1.0質量部の改質ポリジメチルシロキサン、0.66質量部の、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤Nopco(登録商標)DSX 1550の50%濃度溶液及び0.65質量部の市販の増粘剤Viscalex(登録商標)HV30を加え、また、20質量部の水を少量ずつ加えた。得られた混合物を、3.6質量部のEckartのAlu−Hydrolux(登録商標)612、0.5質量部のEckartのAlu−Hydrolux(登録商標)2154、3.4質量部の、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄37行目から59行目、"D.Preparation of an aqueous polyester resin dispersion"のポリエステル樹脂分散体、4.0質量部のブチルグリコール及び0.5質量部のジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)と撹拌しながら混合した。
得られた混合物を均質化して、水性下塗材料V7を得た。
水性下塗材料V7を、10%濃度ジメチルエタノールアミン水溶液及び脱イオン水により、pHを7.8〜8.2、適用粘度を23℃で90〜100mPas及び剪断速度を1000s-1に調整した。
【0071】
溶媒型被覆材料V8(比較例):
撹拌容器に、22.2質量部のCAB溶液を投入した。これに、撹拌しながら、2.8質量部のポリエステル樹脂分散体を加えた。得られた混合物に、撹拌しながら、2.8質量部の市販のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂(Maprenal(登録商標)MF900)及び6.2質量部の、PVD法により生成した葉片形状アルミニウム効果顔料(B)(EckartのAlu−Metalure(登録商標)L55700)を加えた。続いて、撹拌しながら、8.3質量部のブチルグリコールアセテート、2.6質量部のブチルアセテート、11.5質量部のソルベントナフサ、10.6質量部のジアセトンアルコール及び33質量部のメトキシプロピルアセテートを加えた。
得られた混合物を均質化して、溶媒型塗材料V8を得た。
適用には、溶媒型下塗材料V8を、ブチルアセテートにより、適用粘度を20〜30秒(23℃でフォードカップ4)に調整した。
【0072】
多層被覆塗料系1〜8の製造
多層被覆塗料系1〜8は、下塗材料V1〜V8を使用して製造した。
【0073】
多層被覆塗料系1:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V1を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系1を得た。
【0074】
多層被覆塗料系2:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V2を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系2を得た。
【0075】
多層被覆塗料系3:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V3を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系3を得た。
【0076】
多層被覆塗料系4:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V4を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系4を得た。
【0077】
多層被覆塗料系5:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V5を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系5を得た。
【0078】
多層被覆塗料系6:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V6を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系6を得た。
【0079】
多層被覆塗料系7:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で30分間焼き付けた。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗材料V6を2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚8〜10μmに相当するように、ESTAを用いて実施した(ベル回転速度:45000分-1;ESTA指向性空気:120Nl/分;電圧:65kV;間隔:0.25m;塗料放出量:170ml/分)。第2の適用は、乾燥膜厚4〜6μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.32m;塗料流出量:540Nl/分;噴霧器空気量:300Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:395Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。水性下塗膜を、第1及び第2適用の後、それぞれ2分間気化させた。続いてそれらを80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。続いて、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、130℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系7を得た。
【0080】
多層被覆塗料系8:
慣用で既知の陰極付着及び焼付電気塗装により既に被覆されている30×70cmの寸法の金属車体製作用パネルを、BASF Coating AGの市販の水系表面仕上で被覆し、その後、得られた表面仕上膜を20℃及び相対湿度65%で5分間気化させ、強制空気炉により140℃で20分間焼き付けた。溶媒型下塗材料V8を、40〜50℃に温めた表面仕上被覆パネルに2回の噴霧経路で適用した。第1の適用は、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、空気圧により実施した(間隔:0.5m;塗料流出量:300Nl/分;噴霧器空気量:320Nl/分;噴霧器空気圧:4.8bar;ホーン空気量:380Nl/分;ホーン空気圧:5.2bar)。次に第1の適用を20℃及び相対湿度65%で2分間気化させた。第2の適用も同様に、乾燥膜厚2〜3μmに相当するように、上記条件下で空気圧により実施した。続いて水性下塗膜を80℃で10分間乾燥した。車体製作用パネルを20℃に冷却した後、水性下塗膜を、BASF Coating AGの市販の2成分クリアコート材料で、乾燥膜厚40μmに相当するように、上塗りした。その後、表面仕上膜、水性下塗膜及びクリアコート膜を、一緒に、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートを紙ヤスリでこすり落とした後、PPGの市販の掻き抵抗性2成分クリアコート材料を適用し、140℃で30分間焼き付けて、多層被覆塗料系8を得た。
【0081】
多層被覆塗料系1〜8の比較:
多層被覆塗料系1〜8を、X−Rite分光光度計(例えば、MA48 Multi−Angle Spectrophotometer)を用いた測定に付した。視角15°、45°及び110°により多層被覆塗料系において決定した明度値から、下記式:
FLX-Rite=2.69(L*15(−L*110(1.11/(L*45(0.86
に従って、いわゆるX−Riteフロップ指数を計算することが可能である。
【0082】
PVDアルミニウム顔料に基づいた水性下塗材料を有する多層被覆塗料系2の結果は、FLX-Rite=26であり、それは、実質的に、FLX-Rite=27を有するPVDアルミニウム顔料に基づく溶媒型下塗材料を有する多層被覆塗料系8のレベルである。多層被覆塗料系4〜6は、結合剤含有量に対する顔料は類似しているが、総固形分はかなり高く、有意に低いフロップ値を示す。多層被覆塗料系7は、1ドル硬貨アルミニウム顔料に基づく水性下塗材料を有し、FLX-Riteが11であり、群を抜いて最低値を示す。
したがって、多層被覆塗料系2の場合は、金属フロップは、比較実験3〜7の多層被覆塗料系3〜7の場合よりもかなり強く際立っていた。辛うじてまだ許容範囲であるフロップ値は、多層被覆塗料系1により示されている。多層被覆塗料系2は、何よりも、著しく低減した総固体が注目される。加えて、結合剤に対する顔料の量の7%は、まさに好ましい範囲の5%〜9%内に位置している。
【0083】
加えて、多層被覆塗料系1〜8を、明/暗陰影(曇り)に関して2〜3mの間隔から分散光により垂直視角(80°)及び傾斜視角(40°)で検査し、等級付けした(等級1:眼に見える曇りなし、から等級5:極めて著しく明白な曇り)。多層被覆塗料系1〜3は、垂直及び傾斜視角により等級2を得た。これは、有意な曇りが見えなかったことを意味する。等級3の多層被覆塗料系4〜6は、参照塗料系6と同じレベルであった。等級5の多層被覆塗料系8は、有意に劣った曇りパターンを示した。
【0084】
一連の水性下塗材料1〜8の循環安定性をシミュレートするために、水性下塗材料それぞれからの750mlを、市販の慣用の1リットル塗料缶の中に導入し、らせん撹拌機により室温で20日間撹拌した。周囲速度は0.1m/秒であった。20日後であっても、缶の底に粒子の堆積はなかった。したがって、水性下塗材料は、ゲル斑点のない多層被覆効果塗料系を製造するのに極めて適している。
【0085】
第1表は、得られたX−Riteフロップ指数及び明/暗陰影(曇り)の形成の鍵となる明度値L*15°の概要を示す。更に、測定は、DIN67530に従って光沢及び濁り(20°)、Byk/Gardner Wave走査+装置(長波=LW;短波=SW)を使用して均展、及び一定凝縮耐候試験(SKK)より、また4000時間のWOM耐候試験により引き起こされる色相偏差mdE′について行った。結果を同様に第1表に示す。
【0086】
第1表:被覆系1〜8及び一連の多層被覆塗料系1〜8の主な技術及び性能特性
【表1】

【0087】
第1表にまとめた結果は、V1及びV2の本発明の多層被覆塗料系の優れたフロップ効果を明示している。その結果、非常に上品な外観を有する金属有色効果が得られた。これは、特に、総個体を11質量%未満に低減し、顔料含有量を0.6質量%未満に低減することにより(V2)、またアルミニウム含有量を、結合剤総割合の7質量%にすることにより(V2)達成された。
曇りは実質的に観察されなかった(等級2)。光沢、濁り及び均展も同様に優れていた。
本発明の多層被覆塗料系は、長時間の耐候試験の後、色相及び付着色が安定している。
したがって、本発明の多層被覆塗料系は、1ドル硬貨アルミニウム顔料を有する、水に基づいた比較被覆系V7のように、自動車産業の下塗材料に課せられている全ての技術要件を満たした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)結合剤として、飽和の、不飽和の、及び/又はオレフィン性不飽和化合物でグラフトされた、物理的に硬化しうる、熱的に自己架橋する、及び/又は熱的に外的架橋される、イオン的に及び/又は非イオン的に安定化されたポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1つのポリウレタンと、
B)PVD(物理蒸着)法で生成された少なくとも1つの葉片形状金属顔料と
を含み、
B)の量が、被覆組成物の結合剤の総含有量に基づいて10質量%未満であり、結合剤の総含有量が、組成物に基づいて12質量%未満である
物理的、熱的及び物理的、又は熱的に硬化しうる水性被覆組成物。
【請求項2】
葉片形状金属顔料(B)がアルミニウム効果顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
葉片形状金属顔料(B)が20〜80nmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
葉片形状金属顔料(B)が20〜50μmの最大粒径を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
葉片形状金属顔料(B)が、金属を高真空下で一時的な基材上に蒸着すること及び得られた金属層(B′)を一時的な基材から取り外すことにより製造される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
一時的な基材がポリマーフィルムである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
一時的な基材が非粘着性層又は剥離層を含む、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
金属層(B′)を一時的な基材から剥がすことにより取り外し、その後、得られた金属葉片(B″)を剪断して、葉片形状金属顔料(B)を得る、請求項5から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物における結合剤総割合が10質量%未満である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の結合剤総含有量に基づいて、B)の量が、4質量%〜9質量%である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
結合剤総含有量に基づいて、A)の量が、少なくとも25質量%である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に基づいて、B)の量が、0.3〜0.9質量%である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の総固形分が7質量%〜14質量%である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の溶媒含有量が15質量%以下である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の物理的、熱的及び物理的、又は熱的に硬化しうる金属顔料を含む水性組成物を製造する方法であって、少なくとも1つのポリウレタン(A)及び少なくとも1つの葉片形状金属顔料(B)を水性媒質に分散し、得られた混合物を均質化することを含む方法。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の物理的、熱的及び物理的、又は熱的に硬化しうる金属顔料を含む水性組成物、又は請求項15に記載の方法により製造される物理的、熱的及び物理的、又は熱的に硬化しうる金属顔料を含む水性組成物を、被覆材料として若しくは被覆を製造するために用いる使用。
【請求項17】
被覆材料が、単一被覆及び多層被覆の効果被覆又は有色効果被覆を製造するのに用いられる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
被覆材料が、多層塗料系の効果下塗又は有色効果下塗を製造するのに用いられる水性下塗である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
多層被覆塗料系がウエット・オン・ウエット法により製造され、下記:
(1)少なくとも1つの水性下塗材料を下塗又は非下塗基材に適用して、少なくとも1つの水性下塗膜(1)を得ること、
(2)少なくとも1つのクリアコート材料を水性下塗膜(1)に適用して、少なくとも1つのクリアコート膜(2)を得ること、及び
(3)少なくとも水性下塗膜(1)とクリアコート膜(2)を一緒に硬化して、下塗(1)及びクリアコート(2)を得ること
を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
効果被覆及び有色効果被覆が、X−Rite社の式:
FLX-Rite=2.69(L*15(−L*110(1.11/(L*45(0.86
を使用して計算されるフロップ指数FLX-Rite=24を有する、請求項16から19までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
基材が2つのプライマー被覆により下塗りされている基材であり;
プライマーが静電被覆方法により2被覆工程で適用され、2つのプライマー被覆それぞれの乾燥膜厚が10〜25μmであり;
水性下塗膜(1)が2被覆工程で適用され、2つの水性下塗膜それぞれの乾燥膜厚が2〜6μmであり;
クリアコート膜(2)が、乾燥膜厚30〜45μmで、静電被覆方法により1被覆工程で適用される
請求項19に記載の使用。
【請求項22】
請求項19及び21のいずれか1項に記載のウエット・オン・ウエット法により得られる、多層被覆塗料系。

【公表番号】特表2010−527406(P2010−527406A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508725(P2010−508725)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003937
【国際公開番号】WO2008/141768
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】