説明

水槽用エアポンプ

【課題】ポンプケース内のポンプユニットからの加圧エアを複数本のエアパイプに、エア量を無段に調節して送給することができ、各エアパイプに送給されるエア量の調節を簡単容易に行なうことができる。
【解決手段】水槽用エアポンプであって、ポンプケース1の前部に設けられるエア調節器2に、ポンプユニットの吐出側に連通する複数のエア調節パイプ11を並列して設けると共にそれらのエア調節パイプ11の通路断面積をそれぞれ無段に調節し得る調節ローラ7を設け、複数のエア調節パイプ11の出口には、エアパイプ17をそれぞれ接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金魚、熱帯魚、海水魚等の観賞魚の飼育、育成に使用される水槽に用いられる水槽用エアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水槽用エアポンプは、駆動源として電磁石を用いたポンプユニットを密閉状ポンプケース内に収容し、ポンプケースの前面に、ポンプユニットの吐出側に連なるエア吐出口を開口し、このエア吐出口にエアパイプを接続したものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2628130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の水槽用エアポンプにおいて、エア吐出口からのエアを複数箇所に分配供給する場合には、エア吐出口に、各分岐部に開閉弁を設けた分岐パイプを接続し、各開閉弁を開閉制御して複数の分岐パイプに加圧エアを分配供給するするようにされているが、かかる従来のものでは、吐出エア量の調節が面倒であるばかりでなく、開閉弁を設けた分岐パイプを別途に用意する必要があり、部品点数が増してコスト高になるという問題があった。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な操作により、吐出エア量を無段に調節して分配供給できるようにして、前記従来の問題を解決した、新規な水槽用エアポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的達成のため、本請求項1の発明は、水槽内に加圧エアを送給するための水槽用エアポンプであって、
ポンプユニットを収容したポンプケースの前部にエア調節器を設け、このエア調節器には、ポンプユニットの吐出側に連通する複数のエア調節パイプを並列して設けると共にそれらのエア調節パイプの通路断面積をそれぞれ無段に調節し得る調節子を設け、複数のエア調節パイプの出口には、エアパイプをそれぞれ接続してなることを特徴としている。
【0006】
前記目的達成のため、本請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記調節子は、エア調節器の上部にその少なくとも一部が露出しており、エア調節器の外部から個別に転動かつスライド調節可能であり、前記エア調節パイプを個別に無段に狭搾し得るようにされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
前記請求項各項の発明によれば、エア調節器には、ポンプユニットの吐出側に連通する複数のエア調節パイプを並列して設けると共にそれらのエア調節パイプの通路断面積をそれぞれ無段に調節し得る調節子を設け、複数のエア調節パイプの出口には、エアパイプをそれぞれ接続したので、ポンプユニットからの加圧エアを複数本のエアパイプに、エア量を無段に調節して送給することができ、特に、各エアパイプに送られるエア量の調節を調節子により簡単容易に行なうことができると共にその調節子の位置により、各エアパイプに送給されるエアの流量を容易に判別することができる。また、エア量調節用の開閉弁を別途に設ける必要がない。
【0008】
また、請求項2項の発明によれば、複数本のエアパイプに送給されるエアの流量調節を、指先で簡単容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
まず、図1〜7を参照して本発明の第1実施例について説明するに、図1は、水槽用エアポンプの斜視図、図2は、図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3は、図1の3矢視拡大図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、図3の5−5線に沿う断面図、図6は、図3の6−6線に沿う断面図、図7は、第1実施例の一使用例を示す図である。
【0011】
図1において、全体を符号Pで示されるエアポンプのポンプケース1内には、電磁石によって作動される従来公知のポンプユニット(図示せず)が収容される。ポンプケース1の前面には、後に詳述するエア調節器2が固定されており、また、その後面には、前記電磁石に通電するための電気コード3が接続される。
【0012】
つぎに、図2〜7を参照して前記エア調節器2の構造について詳細に説明するに、このエア調節器2の調節器本体4は、硬質の合成樹脂剤により構成されて、ポンプケース1の前面に複数のビス5をもって固定されている。この調節器本体4は、上面の平坦な半円状部分を備え、その上面にポンプケース1の長手方向に沿う長孔よりなる3つの調節孔6・・が相互に平行に並設されており、それらの調節孔6・・内に、後述する調節子として調節ローラ7・・が回転かつスライド移動可能に収容される。
【0013】
図5〜7に示すように、調節器本体4内には、ポンプユニットの吐出側に連通するエアチャンバ8が形成されるとともにこのエアチャンバ8に連通する3つの調節室9・・が並列して区画形成されており、それら3つの調節室9・・内には、断面凹状のパイプ受部材10・・がそれぞれ固定されており、これらのパイプ受部材10・・の底壁10aは、図5,6に示すように、調節器本体4の基端側(ポンプケーシング1側)から先端側に向かって下り勾配の傾斜面に形成されている。3つのパイプ受部材10・・内には、調節器本体4を前後方向に延びる3本のエア調節パイプ11・・がそれぞれ収容されており、それらのエア調節パイプ11・・の基端は前記エアチャンバ8に連通され、またそれらの先端は調節器本体4の前壁に設けた3つのエア吐出口12・・にそれぞれ連通されている。そして、3本のエア調節パイプ11・・の底面は、パイプ受部材10・・の傾斜した底壁10a・・上に支持されていて、エア調節器本体4内を、その基部から先部に向かって下り勾配に傾斜されている。
【0014】
3つのパイプ受部材10・・の上面は、調節器本体4の平坦な上面に開口した3つの調節孔6・・にそれぞれ連通されている。図4〜6に示すように、3つのパイプ受け部材10・・の対向内側面には、その長手方向に沿って対をなすガイド溝14・・がそれぞれ形成されており、それらのガイド溝14・・に、調節ローラ7・・のローラ軸16・・がスライド移動可能でかつ回転自在に支持されている。調節ローラ7・・の上部は、前記調節器本体4の上面に形成した調節孔6・・から外方に露出しており、操作者が、外部から回転およびスライド移動操作できるようにされている。調節ローラ7・・の外周面にはギザ7a・・が形成されていて、その回転およびスライド移動操作がし易くされている。
【0015】
図5に示すように、調節ローラ7が調節器本体4の前端部にあるとき、エア調節パイプ11は、この調節ローラ7と底壁10aとの間にあって潰されることがなくエア調節パイプ7の通路断面積は絞られることはないが、、調節ローラ7を回転しつつ後方(図5右方)にスライド移動すると、エア調節パイプ11は、この調節ローラ7と底壁10aとの間で漸次潰されてその通路断面積が、漸次に絞られるようになっており、図6に示すように、調節ローラ7が後端部に至れば、エア調節パイプ11は完全に潰されて閉じるようにされている。したがって、調節ローラ7を回転しつつ前後にスライド移動することにより、エア調節パイプ11を流れるエア流量を無段に調節し、またエアの流れを止めることができる。
【0016】
調節器本体4の前面の3つのエア吐出口12・・には、それぞれエアパイプ17・・が接続される。
【0017】
つぎに、この実施例の作用について説明すると、ポンプケース1内のポンプユニットの稼働によれば、加圧エアは、エアチャンバ8内に送給され、そこから3本のエア調節パイプ11・・を通ってそれらに接続されるエアパイプ17・・に分配供給される。
【0018】
ところで、3本のエア調節パイプ11・・にそれぞれ対応する調節ローラ7・・を、前述のように個別に回転、スライド移動調節することにより、それらのエア調節パイプ11・・の通路断面積を無段に調節し、また閉鎖することができ、3本のエアパイプに供給されるエア流量を無段の調節し、また閉じることができる。
【0019】
図7には、この第1実施例の一使用例が示される。
【0020】
この使用例によれば、エアポンプの3本のエア調節パイプ11・・にそれぞれ接続される3本のエアパイプ17・・のうちの1本のエアパイプ17は、一方の水槽V1内のエアポンプ式濾過器F1に、他の2本のエアパイプ17,17は、他方の水槽V2内の、エアポンプ式濾過器F2およびエアストンSに接続される。エアパイプ17・・に対応する調節ローラ7・・の個々の回転、スライド移動調節により、前記濾過器F1,F2およびエアストンSへのエアの供給流量を無段に調節することができる。
【0021】
つぎに、図8(A)を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0022】
図8(A)は水槽用エアポンプの斜視図であり、ポンプケーシング1の前面に固定されるエア調節器2には、前記第1実施例と同じ構造の2本のエア調節パイプ11,11が並列して設けられ、これらのエア調節パイプ11,11は、2本のエアパイプ17,17にそれぞれ接続され、ポンプユニットからの加圧エアは、その流量を無段に調節されて2本のエアパイプ17,17の分配供給される。
【0023】
つぎに、図8(B)を参照して本発明の第3実施例について説明する。
【0024】
図8(B)は水槽用エアポンプの斜視図であり、ポンプケーシング1の前面に固定されるエア調節器2には、前記第1実施例と同じ構造の4本のエア調節パイプ11・・・が並列して設けられ、これらのエア調節パイプ11・・・は、4本のエアパイプ17・・・にそれぞれ接続され、ポンプユニットからの加圧エアは、その流量を無段に調節されて4本のエアパイプ17・・・の分配供給される。
【0025】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0026】
たとえば、前記実施例では、エア調節器に2〜4本のエア調節パイプを設けた場合について説明したが、エア調節器に5本以上のエア調節パイプを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例にかかる水槽用エアポンプの斜視図
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図
【図3】図1の3矢視拡大図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】図3の5−5線に沿う断面図
【図6】図3の6−6線に沿う断面図
【図7】第1実施例の一使用例を示す図
【図8(A)】本発明の第2実施例にかかる水槽用エアポンプの斜視図
【図8(B)】本発明の第3実施例にかかる水槽用エアポンプの斜視図
【符号の説明】
【0028】
1・・・・・・・・・・・ポンプケース
2・・・・・・・・・・・エア調節器
7・・・・・・・・・・・調節子(調節ローラ)
11・・・・・・・・・・・エア調節パイプ
17・・・・・・・・・・・エアパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に加圧エアを送給するための水槽用エアポンプであって、
ポンプユニットを収容したポンプケース(1)の前部にエア調節器(2)を設け、このエア調節器(2)には、ポンプユニットの吐出側に連通する複数のエア調節パイプ(11)を並列して設けると共にそれらのエア調節パイプ(11)の通路断面積をそれぞれ無段に調節し得る調節子(7)を設け、複数のエア調節パイプ(11)の出口には、エアパイプ(17)をそれぞれ接続してなることを特徴とする、水槽用エアポンプ。
【請求項2】
前記調節子(7)は、エア調節器(2)の上部にその少なくとも一部が露出しており、エア調節器(2)の外部から個別に転動かつスライド調節可能であり、前記エア調節パイプ(11)を個別に無段に狭搾し得るようにされていることを特徴とする、前記請求項1記載の水槽用エアポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(A)】
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【図8(B)】
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【公開番号】特開2008−303727(P2008−303727A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149069(P2007−149069)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(592011457)
【Fターム(参考)】