説明

水流交絡不織布およびワイパー

【課題】対象物に当てて擦ったときにヨレが生じにくく、拭き取り性が良好で柔軟な風合いを有する不織布を提供する。
【解決手段】ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維を含む繊維ウェブに、水流交絡処理を施し、繊度0.9dtex以下である極細繊維を形成するとともに、繊維同士を交絡させることにより一体化させた後、ポリブテン−1の融点よりも低い温度にて乾燥処理に付して、柔軟で緻密な不織布を提供する。この不織布は、特にワイパーとして使用するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟で且つ伸長モジュラスの大きい水流交絡不織布であって、特にワイパーを構成するのに適した水流交絡不織布を提供する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、拭き取り性の高いワイパーとして種々の不織布が提案され、実用に供されている。例えば、特開平10−280263号公報(特許文献1)には、分割型二成分系複合繊維と吸水性繊維とからなる不織布からなり、特定の面積を有する開孔が特定の配設密度で設けられた清拭材用不織布が提案されている。この不織布は、ミクロな汚れの拭き取りに優れ、吸液性が良好で、作業性も優れるとされている。
【0003】
特開平11−217757号公報(特許文献2)には、互いに非相溶性を呈するアミド系重合体とエステル系重合体とエチレン系重合体とのいずれかどうしで構成された分割型二成分系複合繊維の分割により発現した割繊短繊維と、吸水性短繊維とで構成された短繊維不織布であって、単糸繊度が0.5デニール以下で、割繊率が85%以上である、不織布が提案されている。この不織布は、柔軟性および吸水性に優れるとともに、機械的特性に優れるとされている。
【0004】
特開2005−23507号公報(特許文献3)は、熱融着性繊維が完全に溶融された互いに集合した多孔状の溶融固形物を含む表層と、耐熱繊維層とが結合されてなる不織布を提案している。同公報は、熱融着性繊維を構成する好ましい樹脂として、ポリブテン−1を挙げている。ポリブテン−1が、研磨性および拭き取り性に優れることによる。この不織布は、表層が汚れを落とす面として、ガサガサした固い表面タッチを有するので、研磨性および拭き取り性に優れた研磨用不織布として機能し得る。
【0005】
特開2004−76248号公報(特許文献4)は、隣り合うメルトブロー単繊維同士が複数本収束され、長さ方向の少なくとも一部が相互に接着した連結部を形成している、メルトブローン不織布を開示している。同公報は、単繊維を構成するための樹脂として、ポリブテン−1を例示している。この不織布は、不織布表面が硬く、がさがさした風合いを有し、耐摩耗性に優れるため、研磨剤微粒子を用いずに、汚れの拭き取り及び研磨に用いることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−280263号公報
【特許文献2】特開平11−217757号公報
【特許文献3】特開2005−23507号公報
【特許文献4】特開2004−76248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の不織布は、風合いが良好であり、ミクロな汚れの拭き取り性において優れているものの、繊維同士の交絡が悪く、ウェットな状態で使用すると、毛羽立ちが生じやすい。また、特許文献1に記載の不織布は、拭き取り性が軽い(即ち、対象物の表面での滑り性が良好で、強く擦らなくても汚れを拭き取ることができ)ものの、対象面を上滑りして、場合によっては、汚れを十分に落とすことができない。同文献においては、繊維同士を熱接着することも提案されているが、熱接着は不織布の風合いを硬くするとともに、繊維同士を固定するために、前記上滑りを生じさせて、拭き取り性を低下させることがある。
【0008】
特許文献2に記載の不織布は、高い割繊率を実現するために、水流交絡エネルギーを高くして不織布を製造する必要がある。その結果、繊維同士が過度に交絡し、不織布が緻密になりすぎて、柔軟性が低下するとともに、繊維の自由度が低下して、拭き取り性が低下することがある。
【0009】
特許文献3および特許文献4に記載の不織布は、繊維同士を熱接着させることによってガサガサした硬い部分を有し、固形化した汚れをこの硬い部分で掻き落とすようにして、拭き取りを実現する。そのため、これらの文献に記載の不織布は、柔らかい対象面上の汚れ、および小さな隅部に付着した汚れを拭き取るのに必ずしも適していない。
【0010】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、柔軟であって、繊維の自由度が高いにも関わらず、毛羽抜け及び毛羽立ちが生じにくい不織布を提供することを目的とする。さらに、本発明は、不織布を対象面にあてて滑らせたときに、適度な抵抗性を示す不織布を提供することを目的とする。特に、本発明は、このような不織布を、極細繊維が有するミクロな汚れに対する優れた拭き取り性と、対象物に強く付着した汚れを落とすための掻き取り性とを備えたワイパーとして提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、低い水圧で分割型複合繊維の割繊を行ない、割繊により生じた極細繊維を良好に交絡させることによって、上記の特性を同時に満足する不織布が得られると考えた。そこで、分割型複合繊維について検討した結果、ポリブテン−1を含む成分を構成成分とする分割型複合繊維が、上記特性を備えた不織布を与えることを見出し、本発明を案出するに至った。
【0012】
本発明は、ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維の割繊により形成された繊度0.9dtex以下である極細繊維を含み、繊維同士の交絡により一体化されている、水流交絡不織布を提供する。
【0013】
上記特定の成分を構成成分とする分割型複合繊維は、水流交絡処理の際の水圧を低くしても、容易に分割して極細繊維を発生しやすく、高い割繊率を示す。よって、この分割型複合繊維の割繊および交絡により製造される不織布は、細い繊維同士の良好な交絡によって一体化された緻密な構成を有し、毛羽抜け又は毛羽立ちが生じにくく、また、柔軟な風合いを有する。さらに、この不織布は、繊維同士の交絡によって一体化されているため、繊維の自由度が比較的高い。
【0014】
かかる構成の水流交絡不織布は、不織布を対象面にあてて滑らせたときに、不織布変形(伸び)が少ない。また、この構成の水流交絡不織布は、緻密で柔軟であるとともに、その表面が、ざらつき感を有するために、対象面を滑らせて使用するときに、対象面との間で適度な抵抗を示す。よって、この不織布をワイパーとして使用すると、拭き取り時に不織布において「よれ」(又は捩れもしくはシワ)が生じにくく、また、汚れを良好に掻き落とす。
【0015】
上記特定の分割型複合繊維の割繊により形成される極細繊維を含む水流交絡不織布は、積層形態で提供されてよい。即ち、本発明はまた、ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維の割繊により形成された繊度0.9dtex以下である極細繊維を含む繊維層と、親水性繊維を含む繊維層とが、繊維同士の交絡により一体化されている、水流交絡不織布を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の不織布は、ポリブテン−1を含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維から、極細繊維が水流交絡処理により形成され、交絡した構成を有し、緻密で、柔軟な風合いを有し、繊維の自由度が高いにもかかわらず、毛羽抜け及び毛羽立ちが生じにくい。さらに、この不織布は、対象面にあてて滑らせたときに、よれが生じにくく、また、その表面が対象面との適度な抵抗を生じさせる傾向にある。したがって、この不織布から成るワイパーは、極細繊維が有するミクロな汚れに対して優れた拭き取り性を示すとともに、対象物に強く付着した汚れを落とすことができ、かつ、拭き取り時によれが生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の水流交絡不織布は、ポリブテン−1を含む成分と、他の樹脂を含む成分とを構成成分として含む分割型複合繊維の分割により形成された極細繊維を含む。この分割型複合繊維は、水流を噴射して行う水流交絡処理に付されると、容易に分割し、かつ分割した後の極細繊維が交絡しやすいという性質を有する。まず、この特定の分割型複合繊維(以下、便宜的に分割型複合繊維Aと呼ぶ)について説明する。
【0018】
(分割型複合繊維A)
一般に、分割型複合繊維は、複数の成分から成り、繊維断面において少なくとも1つの成分が他の成分により2個以上のセグメントに区分されてなり、各セグメントの少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている繊維断面構造を有する。分割型複合繊維Aは、構成成分として、ポリブテン−1を含む成分と、他の樹脂を含む成分とを少なくとも含む繊維である。分割型複合繊維Aの分割数は、その繊度および得ようとする極細繊維の繊度に応じて決定され、例えば、好ましくは4〜30であり、より好ましくは6〜24である。
【0019】
前記分割型複合繊維Aの繊維断面構造の例を図1(a)〜(c)に示す。図に示す繊維はいずれも、2つの成分(第1成分(1)と第2成分(2))、即ち、ポリブテン−1を含む成分と他の樹脂を含む成分とで構成される。図1(a)および図1(b)に示す繊維は、割繊後の極細繊維の断面が楔形となり、不織布をワイパーとして使用する場合に、拭き取り性をより高くするので、好ましく用いられる。
【0020】
分割型複合繊維Aは、上記第1および第2成分の成分に加えて、別の成分を有してよい。即ち、分割型複合繊維Aは、3以上の成分から構成されてよい。あるいは、分割型複合繊維Aは、中空を有するものであってよい。その場合、中空が繊維断面に占める割合(即ち、中空率)は、1〜50%程度であることが好ましい。
【0021】
使用する分割型複合繊維の分割前の繊度は、1dtex以上8dtex以下の範囲内にあることが好ましい。分割前の繊度を1dtex未満にしようとすると、紡糸が不安定となり、繊維、ひいては不織布の生産性が低下する。また、分割前の繊度が小さいと、カード通過性が悪くなることがある。同様に、分割前の繊度が8dtexを越えても、紡糸が不安定になる。また、分割前の繊度が大きいと、分割後の極細繊維の繊度が大きくなり、不織布の風合いが硬くなることがあり、また、不織布をワイパーとして使用するときに、良好な拭き取り性を得られないことがある。
【0022】
ポリブテン−1として、例えば、メルトインデックス(JIS−K−7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))が、4g/10min以上30g/10min以下であり、融点(紡糸前)が、100℃以上130℃以下の範囲内にある、ポリブテン−1を使用できる。ポリブテン−1のメルトインデックスは、好ましくは4g/10min以上25g/10min以下の範囲内にあり、より好ましくは7g/10min以上20g/10min以下の範囲内にある。また、ポリブテン−1の融点は、好ましくは110℃以上127℃以下の範囲内にある。これらの物性を有するポリブテン−1は、大きい分子量を有し、具体的には、15万〜50万程度の重量平均分子量を有し、好ましくは17万〜40万程度の重量平均分子量を有し、他の樹脂との相溶性が小さいことから、分割型複合繊維の一成分として用いたときに良好な分割性をもたらす。また、ポリブテン−1は、それ自体滑りにくい樹脂であり、極細繊維として不織布中に存在すると、対象面にあてて滑らせたときに、対象面を把持するような感覚(グリップ性)を与え、不織布をワイパーとして使用するときに、拭き取り性を向上させる。
【0023】
ポリブテン−1を含む成分は、ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分であることが好ましい。ワックス成分を含むポリブテン−1は、これを紡糸するときに融着が生じにくく、また、得られる分割型複合繊維の割繊率を向上させる。ワックスの割合が小さいと、紡糸の際の融着を有効に防止できず、多いと、ポリブテン−1を含む成分の溶融粘度が小さくなりすぎ、良好な繊維が得られないことがある。また、ワックス成分は、極細繊維において滑剤としても作用するので、本発明の不織布をワイパーとして使用する場合に、グリップ性を有するポリブテン−1に適度な滑り性を付与して、拭き取りの作業性を向上させる役割を果たし得る。
【0024】
ワックス成分として、好ましくは、アマイド(酸アミド)系ワックスが用いられ、より好ましくは脂肪酸アマイドが用いられる。脂肪酸アマイドは、例えば、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、およびエルカ酸アマイドである。このうち、ステアリン酸アマイドが特に好ましく用いられる。
【0025】
ポリブテン−1を含む成分は、さらにポリプロピレンを含むことが好ましい。ポリプロピレンを含むと、不織布を同じ乾燥温度で乾燥させたときでも、より風合いの柔らかい不織布が得られる傾向にある。また、ポリプロピレンは、ポリブテン−1を含む成分から成る極細繊維が、ややもすれば柔軟になりすぎるところを、骨材として補強して、不織布のよれをより生じにくくする。さらに、ポリプロピレンは、対象面にあてて滑らせるときに不織布に滑り感を与えるので、グリップ性を有するポリブテン−1に適度な滑り性を付与して、拭き取りの作業性を向上させる役割を果たし得る。
【0026】
ポリプロピレンは、ポリブテン−1を含む成分全体の5質量%以上39.9質量%以下の割合で含まれることが好ましい。ポリプロピレンの割合が小さいと、ポリプロピレンを添加することによる効果が得られず、ポリプロピレンの割合が大きいと、繊維製造の際の延伸性、および繊維化後の繊維の割繊性が低下することがある。
【0027】
ポリブテン−1とともに分割型複合繊維を構成する他の樹脂は、特に限定されず。例えば、ポリエチレンおよびポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート、およびポリスチレンから選択される。
【0028】
ポリブテン−1とともに分割型複合繊維を構成する他の樹脂は、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、ポリブテン−1と相溶性が小さく、これらの組み合わせは良好な分割性を有する分割型複合繊維を与えることによる。ポリエステル樹脂を含む成分は、ポリエステル樹脂を50質量%以上含むことが好ましい。ポリエステル樹脂の割合が小さいと、分割型複合繊維Aの割繊率が小さくなることがある。より好ましくは、ポリエステル樹脂は70質量%以上含まれ、さらにより好ましくは80質量%以上含まれ、最も好ましくは100質量%含まれる。
【0029】
ポリエステル樹脂は、汎用されているものであってよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートおよびポリ乳酸から、1または2以上選択される。本発明の不織布は、好ましくは、ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレートを含む成分を、分割型複合繊維Aの一成分として含む。ポリエチレンテレフタレートは、最も汎用的で、かつ硬質であり、繊維化したときに、捲縮の固定性が良く、カード性に優れることによる。
【0030】
分割型複合繊維Aの割繊により形成される極細繊維は、0.9dtex以下の繊度を有する。極細繊維の繊度の下限は、好ましくは0.05dtexであり、その上限は、好ましくは0.6dtexである。極細繊維の繊度が0.9dtexを超えると、極細繊維を使用することによる効果、例えば、柔軟な風合いを得られないことがあり、あるいは、不織布をワイパーとして使用するときに、汚れの拭き取り性が低下することがある。
【0031】
(実施の形態1)
次に、実施の形態1として、単層構造の不織布について説明する。本発明の不織布は、単層構造であるときには、分割型複合繊維Aを30質量%以上含む繊維ウェブを、水流交絡処理に付したものであることが好ましい。分割型複合繊維Aの割合が30質量%未満であると、本発明の効果を得られないことがある。分割型複合繊維Aは、水流交絡処理前の繊維ウェブにおいて、より好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上含まれる。ここで、水流交絡前の繊維ウェブ中の分割型複合繊維Aの割合でもって不織布を規定しているのは、分割型複合繊維が完全に各構成成分に分割しない場合には、極細繊維の割合を決定することが困難な場合があることによる。
【0032】
単層構造の不織布は、分割型複合繊維Aに由来する繊維(即ち、その分割により形成される極細繊維または分割されていない分割型複合繊維A)以外の他の繊維を含んでよい。他の繊維として、コットン、パルプおよび麻などの天然繊維、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロースおよびキュプラなどの再生繊維、ならびに合成樹脂から成る単一繊維および複合繊維が挙げられる。合成樹脂から成る単一または複合繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンサクシネートなどのポリエステル、ナイロン6およびナイロン66などのポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ならびにアクリル系樹脂から選択される、1または複数の樹脂で構成される。
【0033】
他の繊維として、分割型複合繊維A以外の分割型複合繊維に由来する繊維(極細繊維および未分割の繊維を含む)が含まれてよい。他の分割型複合繊維は、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせから成る分割型複合繊維であることが好ましい。この分割型複合繊維を分割型複合繊維Aとともに使用すると、風合いを滑らかにすることができ、混合割合を適宜選択することにより、分割型複合繊維Aがもたらす風合いと組み合わせて、所望の風合いの不織布を提供できる。また、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせから成る分割型複合繊維に由来する繊維を含む不織布は、ワイパーとして使用するときに、拭き取りを軽くする。
【0034】
他の繊維として、親水性繊維を含むと、保水性を有する不織布を得ることができる。特に、不織布を対人ワイパーとして使用する場合には、クレンジング剤等を含浸させた状態で使用することが多いので、親水性繊維を含むことが好ましい。親水性繊維として、パルプ、コットン、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、および溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、ならびに合成繊維に親水化処理を施したもの等を挙げることができる。親水性繊維は、交絡性の点から、パルプおよびビスコースレーヨンのいずれかであることが好ましい。ビスコースレーヨンは、ステープル繊維の形態で使用することが可能であり、したがって不織布の使用中に脱落繊維を少なくできることから、特に好ましく用いられる。
【0035】
親水性繊維の繊度は、再生繊維および合成繊維である場合、その繊度は、0.5dtex以上6.6dtex以下であることが好ましく、0.5dtex以上3dtex以下であることがより好ましい。親水性繊維の繊度が小さすぎると、カード通過性が悪くなることがあり、大きすぎると、水流交絡処理により交絡しにくくなり、触感も悪くなることがある。本発明においては、繊度の異なる2種以上の親水性繊維を用いてよい。
【0036】
親水性繊維は、20質量%以上含まれることが好ましい。親水性繊維の割合が20質量%未満であると、良好な保水性を有する不織布を得られないことがある。親水性繊維は、より好ましくは30質量%以上70質量%以下の割合で含まれる。
【0037】
他の繊維として、親水性繊維以外の繊維を含む場合、その繊維の繊度が細いほど、得られる不織布は緻密となり、良好な拭き取り性および触感を有し、また、繊維同士の交絡が良好となる。具体的には、他の繊維の繊度は、特に合成繊維である場合には、0.5dtex以上3dtex以下であることが好ましい。
【0038】
単層構造の不織布の目付は、不織布の用途等に応じて適宜選択され、例えば、30g/m以上200g/m以下とすることができる。特に、不織布を、対人ワイパーとして使用する場合には、40g/m以上100g/m以下とすることが好ましい。目付が30g/m未満である不織布を対人ワイパーとして使用すると、不織布全体が保持する液体の量が少なくなり、目付が200g/mを越えると、皮膚にシートを沿わせにくくなることがある。
【0039】
本発明の不織布においては、構成繊維が水流交絡処理により、互いに絡み合い、それにより、不織布の一体性が確保されている。したがって、本発明の不織布は、繊維同士を例えば熱接着性繊維または接着剤で接着することを必要とせず、不織布における繊維の自由度は高い。繊維の自由度が高いと、不織布をワイパーとして使用する場合に、掻き取った汚れを素早く不織布内部に取り込むことが可能となる。尤も、柔軟性が特に要求されない用途においては、ポリブテン−1または他の樹脂を熱接着成分として、不織布を構成する繊維同士を熱接着させてもよい。
【0040】
ポリブテン−1は、その融点が、例えば、100〜130℃程度と比較的低い。したがって、本発明の不織布は、具体的には、ポリブテン−1の融点よりも低い温度にて乾燥処理に付されていて、ポリブテン−1で熱接着されていない構成を有していることが好ましい。
【0041】
また、本発明の不織布は、後述のように、比較的低い水圧で水流交絡処理を施した場合でも、極細繊維同士が良好に絡み合った構成となる。その結果、不織布は、MD方向の強力/MD方向の20%伸長モジュラス比(以下、この比を「強力/20%伸長モジュラス比」と呼ぶ)が比較的小さいものとなる。ここで、「20%伸長モジュラス」は、5cm幅の試料を20%伸ばすのに必要な力(N/5cm)をいう。また、「MD方向」は、不織布の機械方向を指し、タテ方向とも呼べる。
【0042】
本発明者らが、強力/20%伸長モジュラス比に着目したのは、この比が小さいほど、
不織布を対象面にあてて滑らせたときに、不織布変形(例えば、伸び)が少なく、特に拭き取り時に「よれ」(または捩れもしくはシワ)が生じにくいという、新たな知見を得たこと、ならびに、そのような比が小さい単層構造の不織布を実現するために、分割型複合繊維Aを使用し得ることを見出したことによる。また、強力/20%伸長モジュラス比を使用することにより、通常具体的に表現することが困難な分割型複合繊維の割繊率および繊維同士の交絡の状態を、特定することができる。
【0043】
本発明の不織布は、例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせから成る分割型複合繊維を用いて同様な条件で作製した不織布と比較して、その強力/20%伸長モジュラス比が、より小さいものとなる。しかしながら、この比は、分割型複合繊維Aの割合、不織布の構造(単層構造であるか、積層構造であるか)、及び不織布の製造条件等によって異なる。そのため、ここでは、単層構造の不織布について、強力/20%伸長モジュラス比を具体的に示す。
【0044】
単層構造の不織布において、その強力/20%伸長モジュラス比は、20未満とすることができ、より好ましくは15未満であり、さらにより好ましくは10未満である。強力/20%伸長モジュラス比の好ましい下限は、3であり、より好ましい下限は5である。このような強力/20%伸長モジュラス比は、特に、50g/m以上80g/m以下の目付を有し、水流交絡処理前の繊維ウェブにおいて分割型複合繊維Aの占める割合が30質量%以上、好ましくは50質量%以上である不織布において達成される。単層構造の不織布において、強力/20%伸長モジュラス比が20未満であると、不織布に外からの力が作用したとき(特に、対象面にあてて滑らせるときに)変形が生じにくく、よれ及び不織布の丸まり等が生じにくい。よって、この不織布をワイパーとして使用する場合には、ワイパーを対象物に当てたまま、よれを生じさせることなく、対象物を擦って、汚れを拭き取ることが可能となる。
【0045】
強力/20%伸長モジュラス比を20未満にすることは、例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせから成る分割型複合繊維を用いて、製造条件を適宜選択する(例えば、水流交絡処理の水圧を高くする)ことによっても可能である。しかしながら、分割型複合繊維Aに由来する繊維を含む本発明の不織布は、概して、毛羽抜けを生じにくく、対象面にあてて擦ったときに、不織布表面における毛羽立ちが抑制されたものとなる。
【0046】
また、本発明の不織布は、分割型複合繊維Aが良好に分割して、多くの極細繊維を生じさせ、極細繊維同士が良好に絡み合っているために、全体として緻密であり、したがって通気度は低くなり、また、高い柔軟性を有する。さらに、分割型複合繊維Aを使用して作製した不織布は、他の分割型複合繊維を使用して作製した不織布と比較して、ざらついた表面を与え、高いMMDを示す傾向にある。即ち、本発明の不織布は、緻密で柔軟であると同時に、例えば、手で表面をなぞったときには、抵抗感を感じるような表面を与える。そのような特性もまた、本発明の不織布を特徴づける。即ち、本発明の不織布は、不織布の表面が実質的に開孔を有しない単層構造の形態となるように製造されると、通気度が230cm/cm・sec以下であり、少なくとも一方の表面の平均摩擦係数の平均偏差(MMD)が0.28以上である不織布として特定してよいことがある。
【0047】
ここで、「不織布の表面が実質的に開孔を有しない」とは、不織布が厚さ方向で貫通する開孔を有するとしても、当該開孔は微細なものであることをいう。より具体的には、不織布表面において最大の差し渡し(開孔の輪郭上の任意の二点を結んだ線分のうち最大のもの)が1mm以上である、好ましくは0.5mm以上である開孔を有しないことをいう。
【0048】
通気度は、より好ましくは、220cm/cm・sec以下であり、さらにより好ましくは210cm/cm・sec以下である。通気度の下限は、好ましくは100cm/cm・secである。分割型複合繊維を使用した不織布の構成(目付および繊維の割合等)が同じである場合、通気度がより低いと、極細繊維がより多く存在して、より緻密であることを意味する。したがって、本発明の不織布を、例えば、ワイパーとして使用する場合には、極細繊維による効果(例えば、ミクロな汚れの拭き取り性向上)がより発揮される。
【0049】
平均摩擦係数の平均偏差(MMD)は、平均摩擦係数の変動ともいえ、表面のざらつき感を示す指標であり、その詳細は日本繊維機械学会発行「風合いの評価の標準化と解析」に記載されている。MMDが大きい不織布表面は、ざらつき感を有するために、それと接触する物との間で、抵抗を生じさせる。一般に、極細繊維不織布の表面は、太い繊維が交絡してなる不織布の表面よりも滑らかな表面を有する傾向にある。その傾向に反して、本発明の不織布は、極細繊維を多く含むにもかかわらず、MMDが0.28以上である。そのため、本発明の不織布は、全体として緻密で柔軟な風合いを有しつつ、表面においてはざらつき感があるという、独特な触感を有するものとなる。ここでいう「ざらつき感」は、太い繊維を使用して作製した表面が有するような「粗さ」とは区別され、不織布表面を構成している2種類以上の繊維の摩擦抵抗の差に起因して、適度な抵抗を感じる触感である。
【0050】
MMDが0.28以上である不織布表面は、それと接する対象面との間に適度な抵抗を生じさせて、対象物を把持する感覚(グリップ感)を使用者に与える。よって、上記特定の通気度およびMMDを有する不織布は、例えばワイパーとして使用する場合には、対象物に良好に追随して、極細繊維がミクロな汚れを取り除き、ざらついた表面が対象物に強く付着した汚れを掻き取るので、優れた拭き取り性を示す。
【0051】
(実施の形態2)
実施の形態2として、積層構造の不織布について説明する。本発明の不織布は、分割型複合繊維Aの割繊により形成される極細繊維を含む層(以下、この層を便宜的に「極細繊維層」と呼ぶ)と、親水性繊維を含む繊維層(以下、この層を便宜的に「親水性繊維層」と呼ぶ)とが積層されて一体化された、積層不織布として提供してよい。その場合、極細繊維層が、上記単層構造の不織布の特性を有して、全体として上記単層構造の不織布と同等の効果を発揮することとなる。
【0052】
極細繊維層は、上記単層構造の不織布と同様に構成することが好ましい。即ち、分割型複合繊維Aを30質量%以上含むことが好ましく、必要に応じて、他の繊維を混合してよい。尤も、不織布を対物ワイパー(例えば、自動車の車体用ワイパー、窓ガラス用ワイパー、および床用ワイパー等)として使用する場合には、親水性繊維を混合すると、ウェット状態での拭き取りが重くなることがあり、例えば、自動車の車体用ワイパーとして使用する場合には望ましくないことがある。この形態の不織布においては、親水性繊維層によって不織布全体の保液性が確保されるので、極細繊維層に親水性繊維を混合しなくてもよく、そのような用途に適している。
【0053】
極細繊維層の目付は、10g/m以上100g/m以下であることが好ましく、15g/m以上60g/m以下であることがより好ましい。目付が10g/m未満であると、不織布表面の地合が乱れることがある。100g/mを越えると、特に、極細繊維層が親水性繊維層の両面に積層される3層構造の不織布において、上下の極細繊維層が十分に交絡しないことがある。
【0054】
親水性繊維層は、不織布に吸水性および液体保持性を付与する役割をする。親水性繊維層に含まれる親水性繊維は、実施の形態1に関連して説明して例示したとおりである。親水性繊維層は、親水性繊維を好ましくは50質量%以上含み、より好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくは親水性繊維のみから成る。親水性繊維の割合が50質量%未満であると、親水性繊維層による液体保持性が不十分となることがある。
【0055】
親水性繊維層の目付は、10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、10g/m以上60g/m以下であることがより好ましい。目付が10g/m未満であると、吸水性および液体保持性が不十分となることがある。150g/mを越えると、特に、極細繊維層が親水性繊維層の両面に積層される3層構造の不織布において、上下の極細繊維層が十分に交絡しないことがある。
【0056】
親水性繊維層は、水流交絡処理の前に、パルプから成るティッシュの形態で提供されてよい。ティッシュは、不織布の地合を均一にし、また、低目付のものを使用する場合でも最終的に得られる不織布において積層構造が得られやすいことから、好ましく使用される。ティッシュの好ましい目付は、親水性繊維層のそれと同じである。
【0057】
積層形態の不織布の目付は、極細繊維層が親水性繊維層の片面にのみ配置される場合には、20g/m以上100g/m以下であることがより好ましい。極細繊維層が親水性繊維層の両面に配置される場合には、30g/m以上100g/m以下であることがより好ましい。積層不織布全体の目付が小さいと、水流交絡処理に付した後に地合が乱れて、積層構造が得られない(混綿されたような状態になる)ことがある。目付が大きすぎると、内部において分割型複合繊維が分割されないことがある。
【0058】
積層形態の不織布もまた、繊維同士の交絡によってのみ一体化され、繊維同士の接着を必要とせず、不織布における繊維の自由度は高い。また、分割型複合繊維Aを使用することにより、低い通気性を有し、少なくとも一方の不織布表面のMMDが、他の分割型複合繊維を使用した場合と比較して、高くなる傾向にある。尤も、積層形態の不織布においては、親水性繊維層の構成が、不織布全体のMD方向の強力/MD方向の20%伸長モジュラス比、通気度およびMMDに影響を及ぼし得る。そのため、本形態の不織布に関するこれらの値は、実施の形態1に関連して説明した範囲外となることもあり得る。一般に、積層構造の不織布について、これらの物性値は、単層構造の不織布のそれらよりも高くなる傾向にある。
【0059】
(製造方法)
次に、本発明の不織布を製造する方法について説明する。実施の形態1の不織布(単層)および実施の形態2の不織布(積層)も、繊維ウェブを作製して水流交絡処理を施すことにより製造される。実施の形態1の不織布の製造においては、分割型複合繊維Aを含む単層の繊維ウェブが形成される。実施の形態2の不織布の製造においては、分割型複合繊維Aを含むウェブと、親水性繊維を含む繊維ウェブとを重ね合わせて、積層繊維ウェブを作製する。繊維ウェブの形態は、パラレルウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、ならびにスパンボンドウェブ等から選択されるいずれの形態であってもよい。繊維ウェブは、水流交絡処理による交絡性を考慮すると、カードウェブであることが好ましい。
【0060】
水流交絡処理は、繊維ウェブ(または積層繊維ウェブ)を、搬送支持体の上に載置し、ウェブの片面または両面に水流を噴射して実施する。このとき、分割型複合繊維Aが割繊して極細繊維が形成されるとともに、繊維同士が交絡して、ウェブが一体化され、不織布が得られる。水流交絡処理条件は、繊維ウェブの目付および分割型複合繊維Aの所望の割繊度合、ならびに搬送支持体の速度等に応じて適宜設定することができる。例えば、孔径0.05mm以上0.5mm以下のオリフィスが、0.5mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上10MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。水圧が1MPa以下であると、繊維同士の交絡が不十分となり、得られた不織布において毛羽抜けが生じやすくなることがある。水圧が10MPaを越えると、繊維同士の交絡が強固になりすぎて、繊維の自由度が低下し、拭き取り性が低下することがある。
【0061】
水圧は、より好ましくは2MPa以上9MPa以下であり、さらにより好ましくは2MPa以上7MPa以下である。本発明の不織布は、分割型複合繊維Aを使用することにより、水圧を6Mpa以下にしても製造できる。この水圧は、他の分割型複合繊維を使用する場合と比較して低い。即ち、分割型複合繊維Aの割繊、およびこれに由来する繊維同士の交絡は、低い水圧で実現可能であるために、本発明の不織布は、強力/20%伸長モジュラス比が小さいにもかかわらず、高い自由度を有するものとなる。
【0062】
水流交絡処理は、不織布に開孔部を形成するような搬送支持体の上に繊維ウェブを載せて、実施してよい。開孔部の形成は、開孔形成に用いられている任意の搬送支持体を用いて実施してよい。
【0063】
水流交絡により得た不織布を乾燥処理に付して、本発明の不織布の製造を終了させることができる。乾燥処理は、例えば、熱風吹き付け加工機を用いて実施される。乾燥温度は、繊維の熱接着が生じないような温度であることが好ましい。例えば、分割型複合繊維Aのポリブテン−1を含む成分が、構成繊維の材料の中で最も低い融点を有する場合、乾燥温度は、その融点よりも低い温度、具体的には80℃以上120℃以下とすることが好ましい。
【0064】
本発明の不織布は、ワイパーとして好ましく使用される。前述したように、本発明の不織布から成るワイパーは、拭き取り中によれが生じにくく、また、拭き取り時(特にウェット状態にして拭き取る時)に、対象物との間で適度な抵抗を示すので、汚れの上を上滑りすることなく、汚れを確実に拭き取る。ワイパーは、対人及び対物用のいずれであってもよい。
【0065】
本発明の不織布をドライ状態でワイパーとして使用する場合、必要に応じて流動パラフィンなどを付着させてよい。また、本発明の不織布は、必要に応じて、水、アルコール、界面活性剤、または化粧料などの湿潤剤を、含浸、噴霧、またはコーティング等の方法により付着させてウェット状態にして用いることができる。ウェット状態でワイパーとして用いる場合、不織布100質量部に、湿潤剤を50質量部以上500質量部以下の範囲内で含有させることが好ましい。
【0066】
本発明の不織布の用途は、必ずしも対象面の汚れを拭い取る用途に限定されず、対象物にあてて擦ったときの耐久性が良好であること(毛羽抜けが少ない、およびよれが生じにくい等)を利用して、例えば、研磨用の基布として使用してよい。あるいは、本発明の不織布は、その柔軟性および嵩高性を利用して、クッション材として使用してよい。あるいは、本発明の不織布は、ポリブテン−1の融点以下の温度の熱水(80℃程度)に曝されたときでも、長期間にわたって耐熱性を示し、変形しにくいので、温水タンクおよび継手等に使用される各種フィルターの材料として使用してよい。
【実施例1】
【0067】
<使用した繊維>
(分割型複合繊維A1(以下、繊維A1と呼ぶ))
第1成分をポリブテン−1(メルトインデックス20、融点124℃、サンアロマー(株)性、商品名DP0401M)を88質量%、ポリプロピレンを10質量%、ワックスとしてのステアリン酸アマイド(花王(株)製)を2質量%含む樹脂成分とし、第2成分をポリエチレンテレフタレート(IV値0.64、融点256℃、東レ(株)製、商品名T−200E)とした、繊度3.3dtex、繊維長51mmの図1(b)に示すような、分割数16の分割型複合繊維を繊維A1として準備した。
【0068】
(分割型複合繊維X1(以下、繊維X1と呼ぶ))
第1成分をポリエチレンとし、第2成分をポリエチレンテレフタレートとした、図1(a)に示すような、繊度2.2dtex、繊維長51mmの図1(a)に示すような、分割数8の分割型複合繊維(商品名DFS(SH)、ダイワボウポリテック(株)製)を、繊維X1として用意した。
【0069】
(分割型複合繊維X2(以下、繊維X2と呼ぶ))
ポリプロピレンを第1成分とし、ポリエチレンテレフタレートを第2成分とする、図1(b)に示すような、分割数16の分割型複合繊維(商品名DF1、ダイワボウポリテック(株)製)を、繊維X2として用意した。繊維X1は、繊度2.2dtex、繊維長51mmのステープル繊維であった。
【0070】
(分割型複合繊維X3(以下、繊維X3と呼ぶ))
第1成分をエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量38モル%、ビニルアルコール含有量62モル%)とし、第2成分をポリプロピレン樹脂とした、繊度3.3dtex、繊維長45mmの図1(b)の繊維断面を有する16分割型複合繊維を準備した。
【0071】
(分割型複合繊維X4(以下、繊維X4と呼ぶ))
第1成分をポリエチレンテレフタレート、第2成分をナイロンとした、繊度が3.3dtex、繊維長が45mmの図1(b)の繊維断面を有する16分割型複合繊維(商品名DF5、ダイワボウポリテック(株)製)を準備した。
【0072】
(レーヨン1)
繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン(ダイワボウレーヨン(株)製 商品名CD)を用意した。
【0073】
<ティッシュ1>
パルプから成る目付17g/mのティッシュ(ハビックス(株)製)を用意した。このティッシュは、積層構造の不織布において、親水性繊維層を構成する。
これらの繊維およびティッシュを使用して、試料を作製した。
【0074】
[試料S1]
繊維A1を用いて、目付約50g/mのパラレルカードウェブを作製し、これに水流交絡処理を施した。水流交絡処理は、孔径0.13mmのオリフィスが、1mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3.0MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3.0MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。水流交絡処理により繊維A1が割繊された極細繊維が形成され、かつ繊維同士が交絡した。次いで、交絡後の繊維ウェブ(不織布)を、エアスルー熱処理機を用いて乾燥させ、本発明の単層構造の不織布を得た。乾燥温度は、100℃、乾燥時間は60秒とした。
【0075】
[試料S2]
繊維A1と繊維X1とを質量比7:3にて混綿したものを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0076】
[試料S3]
繊維A1と繊維X1とを質量比5:5にて混綿したものを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0077】
[試料S4]
繊維A1と繊維X1とを質量比3:7にて混綿したものを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0078】
[試料S5]
繊維X1(試料S5)のみを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布をそれぞれ得た。
【0079】
[試料S6−S10]
繊維A1と繊維X1の混綿比を、それぞれ試料1−試料5と同じとし、水流交絡処理の際の水圧を、一方の面については3.0MPa、他方の面を3.5Mpaとしたこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0080】
[試料S11−13]
繊維X2(試料S11)、X3(試料S12)、X4(試料S13)のみをそれぞれ用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布をそれぞれ得た。
【0081】
[試料L1] 繊維A1を用いて目付約26.5g/mのパラレルカードウェブを、2枚作製した。親水性繊維層として、ティッシュ1を用意した。ティッシュ1の両面に、繊維A1から成るウェブを配置して、三層構造の積層ウェブを作製し、これに水流交絡処理を施した。水流交絡処理は、孔径0.13mmのオリフィスが、1mm間隔で設けられたノズルを用いて、積層ウェブの一方の面に水圧3.0MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3.5MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。水流交絡処理により繊維A1が割繊された極細繊維が形成され、かつ繊維同士が交絡した。次いで、積層体を、エアスルー熱処理機を用いて乾燥させ、本発明の不織布を得た。乾燥温度は、100℃、乾燥時間は60秒とした。
【0082】
[試料L2]
繊維A1と繊維X1とを質量比5:5にて混綿したものを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料L1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、三層構造の不織布を得た。
【0083】
[試料L3]
繊維A1と繊維X1とを質量比3:7にて混綿したものを用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料L1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、三層構造の不織布を得た。
【0084】
[試料L4、L5]
繊維X1(試料L4)、繊維X2(試料L5)のみをそれぞれ用いて、パラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料L1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、三層構造の不織布をそれぞれ得た。
【0085】
[試料L6、L7]
繊維A1(試料L6)、繊維X1(試料L7)のみをそれぞれ用い、水流交絡処理の際の水圧を、一方の面については3.0MPa、他方の面を3.5Mpaとしたこと以外は、試料L1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、三層構造の不織布を得た。
【0086】
[試料SW1]
繊維A1とレーヨン1とを質量比6:4にて混綿したものを用いて、目付約60g/mのパラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0087】
[試料SW2]
繊維X1とレーヨン1とを質量比6:4にて混綿したものを用いて、目付約60g/mのパラレルカードウェブを作製したこと以外は、試料S1を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、単層構造の不織布を得た。
【0088】
各試料について、次のいずれかの物性およびワイパーとして使用した場合の拭き取り試験を評価した。
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cmあたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
【0089】
[強力、伸度、20%伸長モジュラス]
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値および伸長率を測定し、それぞれ強力および伸度とした。引張試験は、不織布の機械方向(MD方向)および横方向(CD方向)のそれぞれについて実施した。20%伸長モジュラスは、試料を20%伸長させるのに必要な強力として測定した。
【0090】
[通気度]
フラジール型試験機を用い、JIS−L−1096 8.27 A法に準じて測定した。
【0091】
[平均摩擦係数]
KES−SE−FRICTION TESTER(カトーテック(株)製)を使用して、日本繊維機械学会発行「風合いの評価の標準化と解析」に記載の手順に従い、線経0.5mmのピアノ線を1cmあたり20本巻き付けた端子を用い、試料移動速度1mm/秒、摩擦静荷重49cN(50g重)として、評価した。評価は、不織布の表面および裏面について実施した。ここで、「表面」は、最初に水流を噴射した(当てた)側の面であり、「裏面」はその反対側の面である。
【0092】
[剛軟度]
ハンドルオメータ(型式HOM−200 (株)大栄科学精器製作所製)を用いて、測定した。より具体的には、20cm×20cm(MD×CD)である試験片を、幅10mmのスリット上にスリットと直角になるようにセットし、試験片の辺から6.7cm(試験幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押しこみ、このときの抵抗値を剛軟度として評価した。下記表に示す剛軟度は、1つの試料につき、MD方向およびCD方向の剛軟度を、表面および裏面それぞれについて測定した剛軟度の算術平均値(N=3)である。
【0093】
[対物用ワイパー評価試験]
試料を20cm×60cm(CD×MD)の大きさにカットし、8ッ折りにした。それから、フクピカトリガー(商品名、(株)ソフト99コーポレーション製)を水で稀釈した50%水溶液を、試料に試料の質量の250%の量で含浸させた。このウェット状態の試料を、車のボディの塗装面で10往復させて、汚れを拭き取る作業を2回繰り返し、さらに、ボディの別の塗装面で試料を10往復させて、拭き取りの軽さ、液の出方、よれ、毛羽立ち、液残り、拭き取り性を、下記の基準に従って評価した。
【0094】
軽さ 1 重くて作業しづらい
2 少し重いが作業には問題ない
3 軽いが少し抵抗感あり。
4 軽くて、楽に拭ける。
液の出方 1 一度にたくさん出て、少ししか拭けない。
2 出方が少し多く、広い面積が拭けない。
3 適度に出ているが、拭き取り面積は少し少ない。
4 適度に出て広い面積が拭ける。
【0095】
よれ 1 拭いていてすぐによじれ出す。
2 拭いていてしばらくすると、少しよじれる。
3 拭いていて、しばらくすると少しよじれ気味になる。
4 拭いていて基布の液が乾いてくるとよじれ気味になる。
毛羽立ち 1 毛羽抜けする。
2 使用時毛羽が少し抜け気味である。
3 毛羽は立っているが使用時に抜けない。
4 毛羽立ちが少ない
【0096】
液残り 1 拭いた後の水滴が大きくなかなか乾かない。
2 拭いた後の水滴がやや大きく、乾くのに少し時間がかかる。
3 拭いた後の水滴が小さくすぐに乾く。
4 拭いた後の水滴が微小ですぐに乾く。
拭き取り性 1 きれいに拭き取れない
2 5〜6回できれいに拭き取れる
3 2〜3回できれいに拭き取れる
4 1〜2回できれいに拭き取れる
【0097】
[対人用ワイパー評価試験]
試料を、5cm×10cm(MD×CD)の大きさにカットした。ウェット状態の試料は、試料の質量の150%の量の水を試料に含浸させて評価した。拭き取り性の評価は、左手の内側の幅1cm×長さ3cmの領域に化粧料を3度重ねて塗り、試料をあてて、荷重を加えながら、3回擦って化粧料を拭き取り、試料の表面と、手に残った汚れを観察することにより実施した。化粧料は、(1)口紅、および(2)アイブロウである。風合いおよび拭き取り性の評価基準は下記のとおりであり、表に示す拭き取り性は、ドライおよびウェット状態の試料の拭き取り性の平均を表わしている。
【0098】
風合い 1:硬くて、粗い。
2:硬くて、少し粗い。
3:少し硬く、少し粗い。
4:柔らかいが、少し粗い。
5:柔らかく、粗さがない。
拭き取り性 1:ほとんど落ちていない。
2:拭き残しが目立つ。
3:汚れは基布の表面に多いが、拭き残しが少しある(少し気になる)。
4:汚れは基布の表面に多いが、拭き残しは少ない(気にならない)。
5:汚れが基布の中に移行し、拭き残しが少ない(気にならない)。
【0099】
[対人用ワイパー評価試験(疑似皮膚)]
疑似皮膚(商品名バイオスキン、ビューラックス(株)製)、縦12.5cm×横19cm、質量W1)の幅6cm×長さ17cmの領域に、ファンデーション(商品名セザンヌUV練りファンデーション、(株)セザンヌ化粧品製)をスポンジ(商品名MAKEUP SPONGE(ブロック型タイプ)、(株)ロージーローザ製)で、約0.2g均一に塗布し、質量(質量W2)を測定した。試料を9cm×15cm(MD×CD)の大きさにカットし、試料の質量の350%の量のクレンジング液(商品名ソフティモホワイトスーパークレンジング、コーセーコスメポート(株)製)を含浸させたものを、試料のMD方向と平行な折り目を付けるように2回折り、2本の指に、試料のCD方向が指と平行となるように巻き付けた。試料の同じ面で、2回拭き取りを行ない、疑似皮膚において液が乾燥した後、疑似皮膚の質量(質量W3)を測定した。
【0100】
拭き取り量=(W2−W1)−(W3−W1)
払拭率=[{(W2−W1)−(W3−W1)}/(W2−W1)]×100
の式により、拭き取り量(1回目)および払拭率(1回目)を求めた。その後、試料の異なる面が接するようにして、上記拭き取り操作を繰り返すことにより、疑似皮膚に残ったファンデーションをさらに拭き取って、2回目、3回目、4回目の拭き取り後の疑似皮膚の質量(W4、W5、W6)を求めた。上記式において、W3を、W4、W5、およびW6にそれぞれ置き換えて、2回目、3回目および4回目の拭き取り量および払拭率を求めた。
試料の評価結果を表1〜5に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
表1に示すように、同じ条件で製造した不織布を比較すると、S1〜S3のMDおよびCD方向の20%伸長モジュラスは、S5のそれらより大きく、強力/20%伸長モジュラス比は繊維Aの割合が大きいほど、小さかった。同様に、同じ条件で製造したS6〜S9とS10とを比較すると、S6〜S9の20%伸長モジュラスは、S10のそれよりも大きく、強力/20%伸長モジュラス比はより小さくなった。L1と、L4およびL5を比較しても、同様に繊維Aを含むL1が、最も大きい20%伸長モジュラスを示し、その強力/20%伸長モジュラス比は最も小さかった。S11およびS13もまた、同じ条件で製造したS1と比較して、強力/20%伸長モジュラス比が大きく、通気度が大きかった。
【0107】
繊維Aを30質量%以上含む単層構造の不織布は、S4を除いて、強力/20%伸長モジュラス比が20未満であった。S4は、S5よりも強力/20%伸長モジュラス比が大きく、その値は20を越えていたが、後述のように、通気度がS5よりも小さく、また、MMDがS5よりも大きく、その点において本発明の不織布の特徴を備えていた。
【0108】
繊維Aを含む試料S1、S3およびS4は、少なくとも一方の表面のMMDが0.28以上であり、通気度は、220cm/cm/sec以下であった。これに対し、他の分割型複合繊維から成る試料は、MMDが大きくても、通気度が大きくて緻密でない、あるいは、通気度は小さくて緻密であるが、MMDが小さくて所望のざらつき感を有しないものであった。
【0109】
対物用ワイパー評価試験の結果、繊維Aを含む試料L1〜L3はいずれも、繊維Aを含まない試料L4と比較して、よれの点で優れていることがわかった。これは、繊維Aを含む試料は、強力/20%伸長モジュラス比が小さいことによると考えられる。また、試料L1〜L3の毛羽立ちおよび拭き取り性は、試料L4のそれらと同等またはそれ以上であり、総合的に判断して、試料L4よりもワイパーとして優れていた。
【0110】
対人用ワイパー評価試験の結果、繊維Aを含む試料S1およびL6は、繊維Aを含まない試料S5およびL7と比較して、優れた拭き取り性を有していることがわかった。さらに、表には示していないが、試料S1およびL6はいずれも拭き取り試験後の試料表面にて毛羽立ちが少なかったのに対し、試料S5およびL7の表面は、毛羽立ち気味であった。
【0111】
対人用ワイパー評価試験(疑似皮膚)の結果、繊維Aを含む試料SWは、繊維Aを含まない試料SW2と比較して、1回目および2回目の払拭率が高く、所定量の化粧料を拭き取るために、ワイパーの拭き取り面を変える回数を少なくし得るものであった。また、表には示していないが、試料SW1は拭き取り試験後の試料表面にて毛羽立ちが少なかったのに対し、試料SW2の表面は、毛羽立ち気味であった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の不織布は、ポリブテン−1とワックス成分とを含む成分を構成成分とする分割型複合繊維の割繊により形成された極細繊維を含み、繊維同士が水流交絡処理によって良好に交絡していて緻密であり、低伸長モジュラスが小さく、かつその表面がざらつき感を有するので、対象物に当てて擦って使用するワイパーとして使用するのに特に適し、あるいは、研磨用の基布、クッション材、および各種フィルターとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の分割型複合繊維における繊維断面の一例を示す。
【符号の説明】
【0114】
1 第1成分
2 第2成分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維の割繊により形成された繊度0.9dtex以下である極細繊維を含み、繊維同士の交絡により一体化された、水流交絡不織布。
【請求項2】
前記分割型複合繊維を30質量%以上含む繊維ウェブを水流交絡処理に付すことにより得られたものである、請求項1に記載の水流交絡不織布。
【請求項3】
親水性繊維を20質量%以上含む、請求項1または2に記載の水流交絡不織布。
【請求項4】
ポリブテン−1を60質量%以上含み、ワックス成分を0.1質量%以上10質量%以下含む成分を構成成分として含む分割型複合繊維の割繊により形成された繊度0.9dtex以下である極細繊維を含む繊維層と、親水性繊維を含む繊維層とが、繊維同士の交絡により一体化されている、水流交絡不織布。
【請求項5】
前記ポリブテン−1を含む成分が、ポリプロピレンをさらに5質量%以上39.9質量%以下含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水流交絡不織布。
【請求項6】
前記分割型複合繊維が、前記ポリブテン−1を含む成分と、ポリエステル樹脂を含む成分とを構成成分として含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項7】
ポリブテン−1の融点よりも低い温度にて乾燥処理に付されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水流交絡不織布。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布から成る、ワイパー。

【図1】
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【公開番号】特開2007−284838(P2007−284838A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115768(P2006−115768)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000002923)大和紡績株式会社 (173)
【出願人】(300049578)ダイワボウポリテック株式会社 (120)
【Fターム(参考)】