説明

水溶性パウチ

本出願は、少なくとも1つの区画を含む水溶性パウチであって、前記区画が、乳白剤及び酸化防止剤を含む第1の液体組成物を含み、かつ7超の新鮮ハンターL値及び4未満のb値を有する、水溶性パウチに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性パウチ、より好ましくは、少なくとも第1の組成物を含む多区画パウチに関する。前記パウチは、洗濯清浄において用いるのに好適である。
【背景技術】
【0002】
最近、水溶性パウチの人気が高まっている。この製品は、使いやすいようにパウチにパッケージ化されている単位量の洗剤を消費者に提供し、それによって、洗剤とユーザの手とが接触する必要性を低減する。このような水溶性パウチは、典型的に、透明又は半透明のフィルムを用いて作製されるので、ユーザがパウチ内の製品を見ることができる。これは、製造業者に、消費者の嗜好に合った製品の外観を設計し、差異及び効果を示す機会を与える。多区画パウチは、更なる利点をもたらす。例えば、製造業者は、不適合である複数の成分を配合するか若しくは別の方法で単一製品にしたり、順次放出される製品を作製したりして、清浄、柔軟化、若しくは成分の適合性に対する要求を満たすことができる。
【0003】
本出願人は、消費者が、不透明、好ましくは白色の組成物の清浄及びケア性能が改善されていると考えることを知った。したがって、本出願人は、少なくとも第1の区画が、不透明であり、かつ実質的に白色である液体組成物を含む水溶性パウチ製品を設計することを試みた。
【0004】
更に、多区画パウチを設計するとき、本出願人は、消費者が、水溶性パウチ製品の外観によって、各区画がもたらす個々の効果を理解することを必要としていると知った。したがって、視覚的に異なって見えるように区画内の組成物を配合することが特に望ましい。したがって、洗剤の製造業者は、各組成物に異なる着色剤を添加してもよい。しかし、このような非常に近接する異なる色は、別の色の重なり効果によって互いを暗くしたり、調和しなかったり、単に見えなかったりする。したがって、1つの区画が一般的に白色又は黒色である組成物を含んで、別の色を見せることができる背景となることが好ましい。
【0005】
白色製品は、組成物に乳白剤を添加することによって得ることができる。しかし、本出願人らは、乳白剤は製造時点で白色の製品を生じさせるが、製品が急速に分解することを見出した。分解産物は、黄色の色相を呈し、時間と共に黄色が濃くなり続ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この問題の1つの解決策は、乳白剤の濃度を高めることである。製品の黄変を防ぐことはできないが、乳白剤の濃度によって製品の平均貯蔵寿命の間十分な白色度をもたらすことができる。しかし、本出願人らは、この効果を得るのに必要な乳白剤の濃度では、乳白剤が、水溶性フィルムの溶解、残留物の形成、及び洗浄される布地の染みに対して負の影響を与えることを見出した。
【0007】
この問題に取り組む中で、本出願人らは、乳白剤を酸化防止剤と組み合わせることによって、乳白剤の黄変作用を制御できることを見出した。この解決策は、変色を防ぐ又は低減するだけでなく、製造業者が過剰量の乳白剤を使用する必要がなくなることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、少なくとも1つの区画を含む水溶性パウチであって、前記区画が、乳白剤及び酸化防止剤を含む第1の液体組成物を含み、かつ70超の新鮮ハンターL値及び4未満のb値を有する水溶性パウチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の洗剤製品は、水溶性パウチ、より好ましくは、多区画水溶性パウチである。パウチは、水溶性フィルムと、少なくとも第1の区画と、所望により第2の区画とを含む。第1の区画は、乳白剤及び酸化防止剤を含む第1の組成物を含む。第2の区画は、第2の区画を含む。好ましくは、前記パウチは、第3の区画及び第3の組成物を含む。所望により、第2及び第3の組成物は、互いに及び第1の組成物と視覚的に異なることが好ましい。
【0011】
審美的外観の差は、多数の方法によって得られるが、本パウチの第1の区画は、不透明な液体組成物を含む。パウチの区画は同じ大きさ及び容量であってもよい。あるいは、パウチの区画は、異なる内部容積を有する異なる大きさであってもよい。また、区画は、質感が互いに異なっていてもよい。それゆえ、1つの区画には光沢がある一方で、他方はマットであってもよい。これは、多くの場合、水溶性フィルムの片面は光沢がある一方で、他方の面はマット仕上げを有するなどのように、容易に達成することができる。あるいは、区画を作製するために使用されるフィルムは、フィルムにエンボス加工する、彫り込み加工する又は印刷加工するなどの方法で処理することもできる。エンボス加工は、当該技術分野において記載される任意の好適な手段を用いて物質をフィルムに付着させることで達成することができる。彫り込み加工は、当該技術分野において利用可能な任意の好適な技術を用いて圧力をフィルムに印加することで達成することができる。印刷加工は、当該技術分野において利用可能な任意の好適なプリンタ及びプロセスを用いることで達成することができる。別の方法としては、フィルム自体を着色して、製造者が各区画について異なった色のフィルムを選択できるようにすることもできる。別の方法としては、フィルムは透明であっても半透明であってもよく、内部に含まれる組成物が着色されていてもよい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、第1の区画は、白色、緑色、青色、橙色、赤色、黄色、桃色、又は紫色からなる群より選択される任意の色、好ましくは白色に着色された不透明な製品を収容する。第2及びそれ以降の区画は、好ましくは、異なる色を有し、かつ、黄色、橙色、桃色、紫色、青色、又は緑色からなる群より選択される色、より好ましくは、緑色又は青色に着色される。1つの実施形態では、多区画パウチは、不透明かつ白色である第1の区画と、緑色又は青色の色調の色に着色される第2及び第3の区画と、を含む。
【0012】
本発明の多区画パウチの区画は、別個であることができるが、好ましくは任意の好適な様式で結合される。最も好ましくは、第2の及び所望により第3の又はそれに続く区画は、第1の区画上に重ね合わせられる。1つの実施形態では、第3の区画を第2の区画上に重ね合わせ、次に、これを第1の区画上に挟み込む配置で重ね合わせることができる。あるいは、第2及び第3の区画が、第1の区画に重ね合わせられる。しかしながら、第1の、第2の、所望により第3の、並びにそれに続く区画を、隣り合わせたもの同士で互いに接着できることも同様に予想される。区画を一続きにパックして、ミシン目線により各区画をそれぞれ分離できるようにしてもよい。それゆえ、例えば、区画中の組成物で布地を前処理又は後処理するために、エンドユーザが一続きの残りの部分から各区画を個々に切り離すことができてもよい。
【0013】
好ましい実施形態においては、本発明のパウチは1つの大きい第1の区画と2つのより小さな区画とからなる3つの区画を含む。第2の及び第3のより小さな区画は、第1のより大きな区画上に重ね合わせられる。区画の大きさ及び形状は、この配置を達成できるように選択される。
【0014】
区画の形状は同じでも異なっていても良い。好ましい実施形態においては、第2の及び所望により第3の区画は、第1の区画と異なる形状及び外形を有する。この実施形態において、第2の及び所望により第3の区画は第1の区画上の設計中に配置される。例えばこのデザインは、コンセプト又は取扱の説明に役立つように装飾的、教育的、例証的であることができ、あるいは製品の供給元を示すために使用することもできる。好ましい実施形態においては、第1の区画は、周囲が封止された2つの大きな面を有する最も大きな区画である。第2の区画は、第1の区画の1つの面の表面積の75%未満、より好ましくは50%未満をより小さく覆う。第3の区画が存在する実施形態においては、上記の構造は同様であるが、第2の及び第3の区画は、第1の区画の1つの面の表面積の60%未満、より好ましくは50未満%、更により好ましくは45未満%を覆う。
【0015】
パウチは、好ましくは、水に可溶性であるか又は分散性であるフィルム材から作製され、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルターの使用後に、本明細書で提示された方法により測定したとき、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶解度を有する。
【0016】
50グラム±0.1グラムのパウチ材料が、予め秤量された400mLビーカー中に添加され、245mL±1mLの蒸留水が加えられる。これは、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌される。次に混合物は、上に定義されたような孔径(最大20マイクロメートル)を有する折り畳み定性焼結ガラスフィルターを通して濾過される。回収した濾液からいずれかの従来法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散度%を計算することができる。
【0017】
好ましいパウチ材料は、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに成形されるポリマーである。パウチ材料は、当該技術分野において既知であるように、例えば、ポリマー材料の鋳込成形、吹込成形、押出成形、又はインフレーション(押出吹込成形)により得ることができる。
【0018】
パウチ材料として使用するために好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを包含する多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。前記ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000〜1,000,000、より好ましくは、約10,000〜300,000、更により好ましくは、約20,000〜150,000である。
【0019】
ポリマーの混合物もまた、パウチ材料として使用することができる。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的性質及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーが別のポリマーよりも高い水溶性を有し、及び/又は1つのポリマーが別のポリマーよりも高い機械強度を有する混合物が挙げられる。同様に好適なものは、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量が約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後のPVA又はそのコポリマーと、重量平均分子量が約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後のPVA又はそのコポリマーとの混合物である。同様に本明細書で好適なものは、例えば、ポリラクチドとポリビニルアルコールとを混合することによって得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと約65重%〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチド及びポリビニルアルコールのような、加水分解によって分解可能な及び水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物である。本明細書で使用するために好ましいものは、材料の溶解プロファイルを改善するために約60%〜約98%加水分解された、好ましくは約80%〜約90%加水分解されたポリマーである。
【0020】
当然のことながら、異なるフィルム材及び/又は異なる厚さのフィルムもまた、本発明の区画を作製するために選択できる。異なるフィルムを選択することにおける利益は、得られる区画が、異なる溶解度特性、すなわち放出特性を呈することができるということである。
【0021】
最も好ましいパウチ材料は、Gary、Indiana、USのChris−Craft Industrial Productsより販売されている、商品照会名Monosol M8630として既知のPVAフィルム、並びに対応する溶解度プロファイル及び変形プロファイルのPVAフィルムである。本明細書で使用するのに好適な他のフィルムとしては、Aicello社により供給される商品照会名PTフィルム若しくはK−シリーズとして知られるフィルム、又はKurarayにより供給されるVF−HPフィルムとして知られるフィルムが挙げられる。
【0022】
また、本明細書のパウチ材料は、1つ以上の添加剤成分を含むことができる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を添加することは有益であり得る。他の添加剤としては、洗浄水に送達されることになる機能的洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0023】
変形性のために、パウチ又はパウチ区画は、好ましくは区画の容積空間の約50%まで、好ましくは約40%まで、より好ましくは約30%まで、より好ましくは約20%まで、より好ましくは約10%までの容積を有する気泡を含有するであろう液体である、構成成分を含む。
【0024】
水溶性パウチを製造する方法
本発明のプロセスは任意の好適な装置及び方法を用いてなすことができる。単一区画パウチは、縦型を用いて作製されるが、好ましくは、当該技術分野において一般的に知られている横型形成充填技術を用いて作製される。好ましくはフィルムを濡らし、より好ましくは加熱して、展延性を上昇させる。更により好ましくは、方法はまた、好適な型にフィルムを引き入れるための真空の使用を含む。型の中にフィルムを引き入れる真空は、フィルムが表面の水平部分の上に置かれるとすぐに、0.2秒〜5秒間、好ましくは0.3秒〜3秒間、又は更により好ましくは0.5秒〜1.5秒間適用され得る。この真空は、好ましくは、−10kPa〜−100kPa(−100ミリバール〜−1000ミリバール)の間、又は更には−20kPa〜−60kPa(−200ミリバール〜−600ミリバール)の間の負圧を提供するようなものであるのが好ましい場合がある。
【0025】
パウチを作製する型は、必要とされるパウチ寸法に応じる任意の外形、長さ、幅及び深さであってよい。型はまた、所望するならば大きさ及び外形が互いに異なっていてもよい。例えば、最終パウチの容積が、5mL〜300mL、又は更には10mL〜150mL、又は更には20mL〜100mLであり、型の寸法がそれに応じて調節されることが好ましい場合がある。
【0026】
熱成形として一般的に既知であるプロセスで、任意の方法により、フィルムに熱を適用できる。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、又は表面上に供給してすぐに加熱要素の下あるいは熱風の中を通過させることで直接加熱できる。別の方法としては、例えば、表面を加熱するか、あるいはフィルム上に熱い物を適用することにより、フィルムを間接的に加熱することもできる。最も好ましくは、フィルムは赤外線光を用いて加熱される。好ましくは、フィルムは50℃〜120℃、又は更には60℃〜90℃の温度に加熱される。別の方法としては、フィルムはいずれかの手段により濡らすことができ、例えば、フィルムを表面上に供給する前に又は表面上においてすぐに、湿潤剤(水、フィルム材溶液、若しくはフィルム材のための可塑剤が挙げられる)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、又は表面を濡らすことにより若しくは濡れた物をフィルム上に適用することにより間接的に濡らすことができる。
【0027】
フィルムは、加熱され/濡らされるとすぐに、適切な型の中に好ましくは真空を用いて引き入れられる。成形フィルムの充填は、物品を充填(好ましくは移動)するための任意の既知の方法により実行できる。最も好ましい方法は、製品形態及び必要とされる充填速度によって決まる。好ましくは、成形フィルムはインライン充填技術により充填される。充填された開いたパウチは、次に任意の好適な方法により第2のフィルムを用いて閉じられる。好ましくは、この工程はまた、水平位置で、連続的に、一定の動作で実行される。好ましくは閉鎖は、開放パウチを覆って及びその上に第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで好ましくは、典型的には型と型との間、したがってパウチとパウチとの間の領域で第1のフィルムと第2のフィルムを共に封止することにより行われることが好ましい。
【0028】
好ましい封止方法としては、熱封止、溶媒溶接、及び溶媒封止又は湿潤封止が挙げられる。封止を形成することになる領域のみが熱又は溶剤により処理されるのが好ましい。熱又は溶剤は、いずれかの方法により、好ましくは閉鎖材料の上に、好ましくは封止を形成することになる区域の上のみに適用されることができる。溶剤若しくは湿式封止又は溶着が使用される場合、熱もまた適用されることが好ましい場合がある。好ましい湿式又は溶剤封止/溶着方法には、溶剤を型間、又は閉鎖材料上に、例えばこれをこれらの領域上に噴霧又は印刷することにより選択的に適用すること、次いで圧力をこれらの領域に適用して封止を形成することが挙げられる。例えば上記のようなシーリングロール及びベルト(任意にまた熱を提供する)が使用され得る。
【0029】
次いで、形成されたパウチを切断装置によって切断してもよい。切断は任意の既知の方法を用いて行うことができる。切断はまた、連続方式で、並びに好ましくは一定速度で及び好ましくは水平位置にある間に行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば鋭利な物品又は熱い物品であることができ、それによって後者の場合には、熱い物品はフィルム/封止領域を「焼き」落とす。
【0030】
多区画パウチの異なる区画を、サイドバイサイドスタイルで一緒に作製してもよく、連続したパウチは切断されない。あるいは、区画を別々に作製してもよい。このプロセス及び好ましい構成に従って、パウチは以下の工程を含むプロセスによって作製される。
a)(上記したように)第1の区画を形成する工程と、
b)工程(a)で形成された閉じた区画の一部又は全ての内部にくぼみを形成して、上記の第1の区画上に重ね合わせられる第2の成形区画を生成する工程と、
c)第3のフィルムを用いて、前記第2の区画を充填し、閉じる工程と、
d)前記第1の、第2の及び第3のフィルムを封止する工程と、
e)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程と、を含む。
【0031】
工程bで形成される前記くぼみは、好ましくは、工程a)で調製された区画に真空を適用することによって得られる。
【0032】
別の方法としては、本明細書に参照として組み込まれる、我々の同時係属出願欧州特許第08101442.5号に記載されるように、第2の及び所望により第3の区画を別個の工程で作製し、次いで第1の区画と組み合わせることもできる。特に好ましいプロセスは、
a)第1の形成機械上の第1のフィルムを用いて、所望により熱及び/又は真空を使用して第1の区画を形成する工程と、
b)前記第1の区画に第1の組成物を充填する工程と、
c)第2の形成機械上で第2のフィルムを変形させて、所望により熱及び真空を使用して第2の及び所望により第3の成形区画を製造する工程と、
d)第2の及び所望により第3の区画を充填する工程と、
e)第3のフィルムを用いて第2の及び所望により第3の区画を封止する工程と、
f)封止した第2の及び所望により第3の区画を、第1の区画上に配置する工程と、
g)第1の、第2の及び所望により第3の区画を封止する工程と、
h)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程と、を含む。
【0033】
第1の及び第2の形成機械は、上記のプロセスを実施するための適合性に基づいて選択される。好ましくは第1の形成機械は水平的な形成機である。好ましくは第2の形成機械は回転ドラム式形成機械であり、好ましくは第1の形成機械上に配置される。
【0034】
適切な供給ステーションの使用により、様々な異なる若しくは独特の組成物、及び/又は異なる若しくは独特の液体、ゲル又はペースト組成物を組み込む、多区画パウチが製造可能であることは更に理解されるであろう。
【0035】
洗剤組成物
本発明の第1の組成物は、液体である。「液体」とは、液体、ペースト、ワックス状、又はゲル状組成物を含むことを意味する。液体組成物は、固体を含んでもよい。固体は、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、又は1つ以上の真珠光沢ボール、又はこれらの混合物等の粉末又は粒塊を含んでもよい。このような固体要素は、洗浄を通して、又は前処理、遅延、又は順次放出成分として、技術的効果をもたらし得る。あるいはパックされた粉末は、審美的な効果も提供し得る。
【0036】
第1の区画は、主な洗浄洗剤組成物を含む。前記組成物は、乳白剤及び酸化防止剤を含む。第2及び第3の組成物は、存在する場合、好ましくは、着色剤を含み、かつ乳白剤を含まない。第1の液体組成物:第2の液体組成物又は第3の液体組成物の重量比は、存在する場合、1:1〜20:1、より好ましくは2:1〜10:1である。第2の組成物:第3の組成物の重量比は、存在する場合、1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1である。最も好ましくは、第2の組成物対第3の組成物の重量比は1:1である。
【0037】
本発明による多区画パウチの構成は、審美的な魅力という点で利益を提供する。前記構成の更なる効果は、分離しなければ不適合となる成分を分離できることである。本発明の好ましい態様では、第1の組成物は、乳白剤を含む。第2及び/又は第3の組成物は、好ましくは第1の組成物よりも暗い。
【0038】
好ましくは分離することができる他の成分としては、組成物の他の構成成分に対して感受性である増白剤が挙げられる。例えばトリフェニルメタン増白剤がpH感受性であり、pHが9を超えると組成物中で不安定になり、チアゾリウム増白剤が香料の存在下では安定でない。したがって増白剤を含有する組成物のpHは、より高いpHと香料を含む主要洗剤成分とは異なるものであり得る。同様にしてカチオン性種は明らかにアニオン性組成物とは不適合性である。したがって、例えば組成物が高濃度のアニオン性界面活性剤を含む場合、改善された洗浄性をもたらすカチオン性界面活性剤は、又は付着助剤などのポリマーは、異なる区画に別に分けられる場合がある。漂白剤系又は漂白剤系の構成要素は、主要洗剤組成物から良好に別に分けることができる他の成分であり得る。漂白剤が不安定になり及び/又は分解するので、漂白剤系は液体環境中に配合するのが難しい。
【0039】
乳白剤
本発明の第1の組成物は、乳白剤を含む。本発明に係る乳白剤は、前記組成物に溶解せず、かつ大部分の光波長を屈折、散乱、又は吸収する固体の不活性化合物である。好適な乳白剤は、それが組み込まれる系とは実質的に異なる屈折率(RI)を有する。前記組成物の色は、ハンターL、a、bカラースケールを用いて正確にかつ確実に測定することができる。ハンタースケールは、1950年代から存在し、当該技術分野においてよく認められている色測定技術である。ハンター色空間は、立方体として体系化される。L軸は、上から下に広がり;最大L値は、白色である100であり、最小値は、黒色である0である。a及びb軸は、特定の数値限度を有しないが、正のaは赤色、負のaは緑色、正のbは黄色、及び負のbは青色である(図1を参照)。デルタ値(ΔL、Δa、及びΔb)を測定することができ、これは色変化に関連する。合計色差であるΔEを計算することもできる。ΔE値は、試験サンプルと比較サンプルとのL、a及びbの差を考慮した単一の値である。ΔE値は、以下のように計算される。
、a、b及びL、a及びbを用いて、
ΔE=√(L−L+(a−a+(b−b
差閾(JND)は、2.3超のΔE値を特徴とする。JNDは、特定の感覚刺激の出発レベルと二次レベルとの、人間の目で検出可能な最小差である。
【0040】
本発明の測定は、以下の通り設定されるHunterLab色測定機器(Hunter Lab Color Quest XE)を用いて行われる;
光源:D65
観察者の角度:10°
モード:反射。
【0041】
この機器は、製造業者の指示書に従って用いられる。20mLのサンプルを、長さ10mm及び寸法55mm×57mmの所定の経路を有する光学的に透明なガラスのセル内で試験する。測定の種類は、ポートにおけるサンプルの拡散及び正反射率を測定する反射測定RSINである。前記測定は、正反射性の排出ポートの扉を閉じた状態で行う。
【0042】
新鮮ハンター色値は、調製直後の新鮮サンプルの色の尺度である。
2日間保存ハンター値は、50℃で2日間保存した後に測定されるサンプルの色を意味する。
5日間保存ハンター値は、50℃で5日間保存した後に測定されるサンプルの色を意味する。
10日間保存ハンター値は、50℃で10日間保存した後に測定されるサンプルの色を意味する。
デルタハンター値、すなわちΔEは、新鮮な状態で、並びに2、5、及び10日間保存した後に同様に測定される。これらの計算では、比較サンプル(L、a、b)は、新鮮な状態で測定された値である。
【0043】
十分な乳白剤を組成物に添加すると、70超、好ましくは72超、より好ましくは75超の新鮮ハンターL値が得られる。第1の組成物は、好ましくは70超、より好ましくは72超、最も好ましくは75超の10日間保存ハンターL値を有する。第1の組成物は、4未満、より好ましくは1未満のb値を有する。第1の区画の10日間保存後対新鮮な状態のΔEは、好ましくは7未満、より好ましくは5未満、より好ましくは2未満、最も好ましくは1未満である。
【0044】
本発明が第1及び第2の組成物と、所望により、第3の組成物とを含む多区画パウチに関する場合、第1の区画の新鮮組成物と第2又は第3の組成物との間の色のコントラストである、ΔE新鮮区画は、好ましくは35超、より好ましくは40超、最も好ましくは43超である。
【0045】
乳白剤は、スチレン/アクリレートラテックス、二酸化チタン、二酸化スズ、任意の形態の修飾TiO2、例えば、炭素修飾TiO2又は金属をドープした(例えば、白金、ロジウム)TiO2又は酸化第二スズ、オキシ塩化ビスマス又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされたTiO2/雲母、シリカでコーティングされたTiO2又は金属酸化物でコーティングされた、及びこれらの混合物からなる群より選択されることが好ましい。特に好ましいスチレン/アクリレートラテックスは、商品名AcusolとしてRohm & Haas Companyから入手可能であるものである。ラテックスは、pH約2〜約3であり、水中固形分約40%を有し、粒径約0.1〜約0.5マイクロメートルを備えることを特徴とする。特に好ましいAcusol.RTM.ポリマーとしては、Acusol.RTM、OP301(スチレン/アクリレート)ポリマー、Acusol.RTM.OP302(スチレン/アクリレート/ジビニルベンゼンコポリマー)、Acusol.RTM.OP303(スチレン/アクリルアミドコポリマー)、Acusol.RTM.OP305(スチレン/PEG−10マレイン酸塩/Nonoxynol−10マレイン酸塩/アクリレートコポリマー)及び(スチレン/アクリレート/PEG−10二マレイン酸塩コポリマー)及びこれらの混合物が挙げられる。好ましいシリーズは、1000〜1 000 000、より好ましくは2000〜500 000、最も好ましくは5000〜20 000の分子量を有する。
【0046】
乳白剤は、それが組み込まれる組成物を白色のままにするのに十分な量存在することが好ましい。乳白剤が無機乳白剤(例えば、TiO2又はその修飾物)である場合、乳白剤は、組成物の好ましくは0.001重量%〜1重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、最も好ましくは0.05重量%〜0.15重量%の濃度で存在する。
【0047】
乳白剤が有機乳白剤(例えば、スチレン/アクリレートラテックス)である場合、乳白剤は、好ましくは組成物の0.001重量%〜2.5重量%、より好ましくは1重量%〜2.2重量%、最も好ましくは1.4重量%〜1.8重量%の濃度で存在する。
【0048】
酸化防止剤
本発明の第1の組成物は、酸化防止剤を含む。また、第2及び第3の組成物も酸化防止剤を含んでもよい。理論に縛られるものではないが、本出願人らは、酸化防止剤の存在が、経時的に及び高温で酸化される傾向があり、かつ黄変を導く恐れのある配合中の反応性化合物の反応を低減するか、好ましくは停止させると考える。
【0049】
本発明に係る酸化防止剤は、他の分子の酸化を減速するか又は防ぐことができる分子である。酸化反応は、フリーラジカルを生成し得、これは、次いで、分解の連鎖反応を開始させ得る。酸化防止剤は、フリーラジカル中間体を除去し、酸化されたもの自体による他の酸化反応を阻害することにより、これら連鎖反応を終結させる。結果として、酸化防止剤は、還元剤であることが多い。酸化防止剤は、好ましくは、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、トリメトキシ安息香酸(TMBA)、α,β,λ及びδトコフェノール(ビタミンE酢酸塩)、6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸(トロロクス)、1,2,ベンズイソチアゾリン−3−オン(proxel GLX)、タンニン酸、没食子酸、Tinoguard AO−6、Tinoguard TS、アスコルビン酸、アルキル化フェノール、エトキシキン2,2,4トリメチル,1−2−ジヒドロキノリン、2,6ジ又はtert又はブチルヒドロキノン、tert、ブチル、ヒドロキシルアニソール、リグノスルホン酸、及びその塩、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ソルビン酸トコフェノール、ブチル化ヒドロキシル安息香酸、及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸、その塩及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群より選択される。好ましい酸化防止剤は、アルカリ及びアルカリ土類金属亜硫酸塩及びヒドロ亜硫酸塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム又はヒドロ亜硫酸ナトリウムからなる群より選択される酸化防止剤である。
【0050】
酸化防止剤は、好ましくは0.01%〜2%、より好ましくは0.1%〜1%、最も好ましくは0.3%〜0.5%の濃度で存在する。
【0051】
無機乳白剤が用いられる場合、乳白剤及び酸化防止剤は、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.12〜0.35の比で存在する。一方、有機乳白剤が用いられる場合、乳白剤及び酸化防止剤は、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5の比で存在する。
【0052】
補助洗剤組成物成分
本発明の組成物は、下記のものなどの1つ以上の成分を含んでよい。
【0053】
界面活性剤又は洗浄界面活性剤
好ましくは、本発明の組成物は、約1重量%〜80重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、前記第1の組成物は約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%の濃度の界面活性剤を含んでもよい。
【0054】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双極性イオン、両性、若しくはカチオン性の種類のものであってもよく、又はこれらの種類の界面活性剤の相容性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性の界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(Norris、1972年5月23日発行)、同第3,919,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)、同第4,222,905号(Cockrell、1980年9月16日発行)、及び同第4,239,659号(Murphy、1980年12月16日発行)に記載されている。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0055】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体が、いくつか異なる種類の界面活性剤であってもよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、及び好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウム塩のようなアルカリ金属石鹸、が挙げられる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウム獣脂及びココヤシ石鹸である。
【0056】
本明細書に用いるのに好適な、石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸基又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂又はココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるもののような高級アルコール(C〜C18炭素原子)の硫酸化によって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、並びにc)アルキル基が直鎖又は分枝鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載の種類のものである。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜13個である、C11〜C13 LASと略される、直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。
【0057】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、Rは、C10〜C16アルキル基又はC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、C12〜C15アルコールと、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドで縮合したものである。
【0058】
布地ケア有益剤
組成物は布地ケア有益剤も含み得る。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、その材料が適切な量で衣類/布地の上にあるときに、布地ケアに効果を与えるあらゆる材料を指し、例えば、布地柔軟化、着色保護、毛玉/毛羽削減、磨耗防止、皺防止、などの効果を衣類及び布地、特に綿及び綿が多い衣類並びに布地に対して与える。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、カチオン性界面活性剤、シリコーン、ポリオレフィンワックス、ラテックス、油性糖誘導体、カチオン性多糖類、ポリウレタン、脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。布地ケア有益剤は、組成物において存在する場合、好適には、組成物の約30重量%、より一般的には約1重量%〜約20重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%の濃度である。
【0059】
洗浄用酵素
本明細書で用いる好適な洗浄用酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含むカルボヒドラーゼ、並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、その技術分野で教示される濃度、例えば、Novo及びGenencorのような供給元によって推奨される濃度で使用することができる。組成物中の典型的な濃度は、約0.0001%〜約5%である。酵素が存在するとき、本発明の特定の実施形態では、酵素を非常に低い濃度、例えば約0.001%以下で使用することができ、又は本発明に係る強力型の洗濯洗剤製剤では、酵素をより高濃度、例えば約0.1%以上で使用することができる。「非生物学的」洗剤を好む消費者もいるため、本発明は酵素含有の実施形態と酵素を含まない実施形態の両方を含む。
【0060】
沈着助剤
本明細書で使用する場合、「付着補助剤」は、洗濯中に布地ケア有益剤の布地への付着を顕著に高める、あらゆるカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。
【0061】
好ましくは、沈着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。本発明の両性ポリマーは、やはりカチオン性の正味電荷を有し、即ち、これらのポリマー上にあるカチオン性電荷の合計が、アニオン性電荷の合計を上回る。付着増強剤の非限定的例は、陽イオン性多糖類、キトサン及びその誘導体、並びに陽イオン性合成ポリマーである。好ましいカチオン性多糖類としては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。
【0062】
レオロジー変性剤
本発明の好適な実施形態では、組成物はレオロジー変性剤を含む。レオロジー変性剤は、非ポリマー結晶性のヒドロキシ官能性材料、ポリマーレオロジー変性剤からなる群から選択され、組成物の水性液体マトリックスにずり減粘特性を付与する。結晶性、ヒドロキシ官能性材料はレオロジー変性剤であり、それはマトリックス中のその場での結晶化により組成物のマトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成する。具体的な、好適な結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤の例としては、ヒマシ油及びその誘導体が挙げられる。特に好ましいものは、硬化ヒマシ油及び水素添加ヒマシ蝋などの硬化ヒマシ油誘導体である。市販のヒマシ油系、結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤としては、Rheox,Inc.(現Elementis)製のTHIXCIN(登録商標)が挙げられる。ポリマーレオロジー変性剤は、好ましくはポリアクリレート、ポリマーゴム、その他の非ゴム多糖類、及びこれらのポリマー材料の組み合わせから選択される。好ましい高分子ゴム材料としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
ビルダー
本発明の組成物は、任意でビルダーを含んでもよい。好適なビルダーとしては、米国特許第3,923,679号、同第3,835,163号、同第4,158,635号、同第4,120,874号及び同第4,102,903号に記載されているもの等の環状化合物、特に脂環式化合物を含むポリカルボキシレートビルダーが挙げられる。特に好ましいのはクエン酸塩ビルダー、例えばクエン酸及びその可溶性の塩(特にナトリウム塩)である。
【0064】
他の好ましいビルダーとしては、エチレンジアミンジコハク酸及びその塩(エチレンジアミンジコハク酸、EDDS)、エチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩(エチレンジアミンテトラ酢酸、EDTA)、並びにジエチレントリアミンペンタ酢酸及びその塩(ジエチレントリアミンペンタアセテート、DTPA)、ゼオライトA、B又はMAPなどのアルミノケイ酸塩;脂肪酸又は塩、好ましくはそれらのナトリウム塩、好ましくはC12〜C18飽和及び/又は不飽和脂肪酸、並びにアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩(好ましくは炭酸ナトリウム)が挙げられる。
【0065】
漂白剤系
本明細書に好適な漂白剤には、塩素漂白剤及び酸素漂白剤が挙げられ、特に無機過水和物塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに制御された放出速度を提供するために任意にコーティングされた過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングについてはGB−A−1466799を参照のこと)、予備形成有機ペルオキシ酸及び有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体とのこれらの混合物、並びに/又は遷移金属含有漂白触媒(特にマンガン又はコバルト)が挙げられる。無機過水和物塩は、典型的には、組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、及びより好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書に使用するために好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体には、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;陽イオン性ペルオキシ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸前駆体、例えば、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換型アルキルペルオキシ酸前駆体(EP−A−0170386);並びにベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(EP−A−0332294及びEP−A−0482807)が挙げられる。漂白剤前駆体は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で組み込まれ、一方予備形成有機ペルオキシ酸自体は、典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書で用いるのに好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第4246612号、同第5227084号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、及びビスピリジルアミン鉄、及び関連錯体(米国特許第5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第4810410号)が挙げられる。
【0066】
香料
好ましくは、香料が本発明の洗剤組成物に組み込まれる。香料は、プレミックス液体として調製することができ、シクロデキストリンのような担体物質と連結させてもよく、あるいは封入してもよい。封入するとき、香料は、メラミン/ホルムアルデヒドコーティング中に封入されることが好ましい。本出願人らは、このような香料マイクロカプセルの存在下でさえも、本発明の系が組成物の白色度を維持し、かつ変色を防ぐか又は低減することができることを見出した。香料のアルデヒド側及びホルムアルデヒドコーティングは、組成物の変色(黄変)のリスクを更に高めるので、これは更に驚くべきことである。
【0067】
増白剤
本発明の組成物は増白剤を含んでもよい。そのような染料は、洗濯洗浄サイクル中好ましい着色効率を示し、洗濯後過度の望ましくない蓄積を示さないことがわかった。
【0068】
増白剤が、洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に対する着色効果をもたらすのに十分な量で、総洗濯用洗剤組成物中に含まれる。1つの実施形態では、多区画パウチは、組成物の約0.0001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.0001重量%〜約0.5重量%、及び更により好ましくは組成物の約0.0001重量%〜0.3重量%を構成する。
【0069】
本発明に従う好ましい市販の増白剤の例は、トリアリールメタンブルー塩基性染料;トリアリールメタンバイオレット塩基性染料;メチンブルー塩基性染料;メタンバイオレット塩基性染料;アントラキノンブルー塩基性染料;アントラキノン;バイオレット塩基性染料、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、若しくは塩基性バイオレット48;オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、若しくはナイルブルーA;キサンテン染料塩基性バイオレット10;アルコキシル化アントラキノン高分子着色剤;アルコキシル化チオフェン;トリフェニルメタン;アントラキノン;又はこれらの混合物からなる群から選択される。
【0070】
最も好ましくは、増白剤は下記の構造を特徴とする:
【化1】

式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
【0071】
溶媒系
本発明の組成物における溶媒系は水だけ、又は有機溶媒と水との混合物を含有する溶媒系であることができる。好適な有機溶媒には1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレンジグリコール、メチルプロパンジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。また、他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンのようなC〜Cアルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本発明の無水固形物実施形態の実施例のように、無くてもよいが、より典型的には約0.1%〜98%の範囲にある濃度で存在でき、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より通常的には約5%〜約25%で存在する。
【0072】
真珠光沢剤
本発明の組成物は、真珠光沢剤も含んでよい。かかる真珠光沢剤は有機又は無機であり得るが、好ましくは無機である。最も好ましくは、真珠光沢剤は、雲母、TiO2被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、又はこれらの混合物から選択される。
【0073】
その他の助剤
他の好適な洗浄補助剤の例としては、酵素安定化系;アニオン性染料のための色固定剤、アニオン性界面活性剤のための錯化剤、及びこれらの混合物を含むスカベンジング剤;蛍光増白剤又は蛍光剤;汚れ放出ポリマー;分散剤;抑泡剤;染料;着色剤;例えばトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸などの向水性物質;色スペックル;着色ビーズ、スフェア又は押出品;粘土柔軟化剤及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
組成物の調製
本明細書の組成物は一般的に配合成分を共に混合することにより調製できる。真珠光沢材料を使用する場合、混合の後の方の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、プレミックスを最初に形成することが好ましく、レオロジー変性剤は、組成物を構成するために最終的に用いられる、水及び所望により他の配合成分の一部に分散される。プレミックスは、構造化された液体を形成するこのような方法で形成される。次に、この構造化したプレミックスを、プレミックスを攪拌しながら添加することができ、水及びあらゆる任意の洗剤組成物助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗剤助剤材料を使用できる。
【0075】
二次パッケージング
好ましくは、本発明の多区画パウチは更に、外側パッケージ中にパッケージングされる。かかる外側パッケージは、例えば透明又は半透明の袋、タブ、カートン又はボトルなどの容器を透過して、あるいは部分的に透過して見ることができる。このパックは、輸送の間にパウチを保護するのに十分な強度を有する材料であるならば、プラスチック又は任意の他の好適な材料から作製できる。この種類のパックは更に、ユーザがパックを開けて、どの程度の数のパウチが残っているのか確認する必要がなくなることから、非常に有用である。あるいは、パックは透視できない外側パッケージ、恐らくパックの視覚的に典型的な内容物を表すしるし又は図柄を備える外側パッケージを有することもできる。
【0076】
洗浄プロセス
本発明のパウチは、洗濯洗浄用途に好適である。パウチは、手洗い条件又は機械洗い条件に好適である。機械洗いの場合、パウチは分与装置から送達することができ、あるいは洗濯機ドラムの中に直接投入することもできる。
【実施例】
【0077】
以下のデータは、本発明の効果の証拠を提供する。
【表1】

以下は、本発明のパウチ製品の例である。
【表2】

本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの区画を含む水溶性パウチであって、前記区画が、乳白剤及び酸化防止剤を含む第1の液体組成物を含み、且つ70超の新鮮ハンターL値及び4未満のb値を有する、水溶性パウチ。
【請求項2】
前記組成物が、70超、より好ましくは72超、より好ましくは75超の10日間保存ハンターL値を有する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
新鮮組成物と10日間保存後の組成物との色差である、10日後ΔEが、7未満、より好ましくは5未満、より好ましくは2未満、最も好ましくは1未満である、請求項1又は2に記載のパウチ。
【請求項4】
第2の区画が着色剤を含み、且つ乳白剤を含まない、2つ以上の区画を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性パウチ。
【請求項5】
前記第1の組成物及び第2の組成物が、互いに視覚的に異なり、より好ましくは、区画の新鮮組成物間の色差である新鮮区画ΔEが35超である、請求項4に記載のパウチ。
【請求項6】
前記第1の組成物が、組成物の0.001重量%〜1重量%の無機乳白剤又は0.001重量%〜2.5重量%の有機乳白剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水溶性パウチ。
【請求項7】
前記第1の組成物が0.01重量%〜2重量%の酸化防止剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載水溶性パウチ。
【請求項8】
前記乳白剤が、スチレン/アクリル酸コポリマー、二酸化チタン、二酸化スズ、任意の形態の修飾TiO2、例えば、炭素修飾TiO2又は金属でドープした(例えば、白金、ロジウム)TiO2又は酸化第二スズ、オキシ塩化ビスマス又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされたTiO2/雲母、シリカでコーティングされたTiO2又は金属酸化物でコーティングされた、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性パウチ。
【請求項9】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、トリメトキシ安息香酸(TMBA)、α,β,λ及びδトコフェノール(ビタミンE酢酸塩)、6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸(トロロクス)、1,2,ベンズイソチアゾリン−3−オン(proxel GLX)、タンニン酸、没食子酸、チノガードAO−6、チノガードTS、アスコルビン酸、アルキル化フェノール、エトキシキン2,2,4トリメチル,1−2−ジヒドロキノリン、2,6ジ又はtert又はブチルヒドロキノン、tert、ブチル、ヒドロキシルアニソール、リグノスルホン酸、及びその塩、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ソルビン酸トコフェノール、ブチル化ヒドロキシル安息香酸、及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸、その塩及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性パウチ。

【図1】
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【公表番号】特表2012−528057(P2012−528057A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513238(P2012−513238)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036307
【国際公開番号】WO2010/141301
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】