説明

水溶性マグネシウム化合物を含む洗浄組成物およびその使用方法

本発明は、水溶性マグネシウム化合物を用いた洗浄組成物および方法に関する。このような組成物は、スケールの低減、すすぎ、硬質表面の洗浄、器物洗浄および腐食抑制に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年5月2日に、PCT国際特許出願として、米国以外の全ての指定国に対して米国企業、エコラボインクを出願人として、また米国を指定国とする場合のみに、キムアールスミス(Kim R. Smith)、マイケルイーベッセ(Michael E. Besse)、ブレンダ(Brenda) Tjelta、リザエムサンダース(Lisa M. Sanders)およびキースイーオルソン(Keith E. Olson)(全て米国市民である)を出願人として出願しており、また2007年5月4日に出願した米国仮出願番号第60/927575号への優先権を主張するものであり、その開示をここに参照により組み込む。
【0002】
また、本願は「水不溶性の処理剤(Conversion Agents)を含む洗浄組成物ならびにその製造方法および使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2454USU1)、「硬質表面の洗浄において不溶性水酸化物をその場で作るためおよび自動器物洗機での使用のための組成物ならびに製造および使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2437USU1)、「水処理システムおよびダウンストリーム洗浄方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2428USU1)、「洗浄剤としての水溶性マグネシウム化合物およびその使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2372USU1)、「液体食品の加熱処理における付着防止のためのMG++化学物質および方法ならびに工業的方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2400USU1)、「硬水イオンおよびグルコン酸塩を含む組成物ならびに腐食および食刻(etch)の低減のためのその使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第163.2365USU1)、「硬水イオンおよびケイ酸塩を含む組成物ならびに腐食および食刻(etch)の低減のためのその使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第163.2487USU1)、「硬水イオンおよびイオン析出防止剤(threshold agent)を含む組成物ならびに腐食および食刻(etch)の低減のためのその使用方法」の名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第163.2406USU1)および「自動皿洗機での使用のための器物洗組成物および使用方法」名称の、米国出願番号第(空欄)号(代理人整理番号第2378USU1)に関係しており、これら全ては共通してエコラボインク(Ecolab Inc.)に譲渡され、本願と同日の2008年5月2日に出願されており、また全てをここに参照により全ての目的のために組み込む。
【0003】
本発明は水溶性マグネシウム化合物を用いた組成物および方法に関する。本組成物は実質的にキレート剤、イオン析出防止剤(threshold agent)または金属イオン封鎖剤を含まないことができる。この方法および組成物は、マグネシウムイオンを水中のカルシウムイオンに対して所定の比率、例えばモル量のマグネシウムイオンがモル量のカルシウムイオンと同じかまたは過剰であるように提供することができる。これらの組成物は、スケールの低減、すすぎ、硬質表面の洗浄、および器物洗浄に用いることができる。これらの組成物はまた、衣類洗濯過程で蓄積される灰分(ash)を低減するのに用いることができる。
【背景技術】
【0004】
水の硬度の水準は多くのシステムにおいて有害な影響を有する可能性がある。例えば、硬水が単独で、または洗浄組成物とともに表面に接触した場合には、その接触表面に硬水スケールの析出を起こす可能性がある。通常は、硬水とは、カルシウムおよびマグネシウムイオンの合計値を、炭酸カルシウムのppm単位で表して約100ppmを超えて有する水を称している。しばしば、硬水中のカルシウムとマグネシウムのモル比は、約2:1または約3:1である。大抵の場所では硬水を有しているが、水の硬度はその場所々々で変わる傾向にある。
【0005】
水の硬度は多くの方法で対処されてきている。最近水を軟水化するのに用いられている1つの方法は、イオン交換を経るものであり、例えば水の軟水化装置中の樹脂床に結合したナトリウムで、水にナトリウムを加えて水中のカルシウムおよびマグネシウムイオンを交換する。カルシウムおよびマグネシウムは軟水化装置中の樹脂に付着する。樹脂が飽和した場合には、大量の、水中に溶解した塩化ナトリウムを用いてこれを再生する必要がある。このナトリウムはカルシウムおよびマグネシウムを置換し、それは加えられた塩化ナトリムからの塩素とともに塩水溶液中に流し出される。水の軟水化装置が再生された場合には、非常に大量の塩素を含む廃棄物の流れを生じ、システム、例えば下水設備に負担を発生させ、その中で塩素は処理され、飲料水用および農業のような、多くの下流の水の再使用用途が含まれる。
【0006】
硬水はまた、洗剤の効果を低下させることが知られている。これに対抗する1つの方法として、キレート剤または金属イオン封鎖剤を洗剤組成物中に加えることが挙げられ、硬度を処理するのに十分な量を硬水と混合することが意図される。しかしながら、多くの例では、水の硬度は組成物のキレート化能力を超えている。その結果、遊離のカルシウムイオンが組成物の活性成分を攻撃するのに用いられ、腐食または析出を発生させ、または他の有害な影響、例えば乏しい洗浄有効性または石灰スケールの蓄積を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある態様では、本発明は、硬水中のカルシウムイオンの望ましくない影響に対抗するための水溶性マグネシウムを使用する方法および組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様では、水溶性マグネシウム塩が、洗浄組成物中で、慣用のビルダー、キレート剤、金属イオン封鎖剤(sequestrant)およびイオン析出防止剤(threshold agent)の実質的な量の置き換えとして用いられる。
【0009】
ある態様では、本発明の組成物は、慣用のビルダー、キレート剤、金属イオン封鎖剤またはイオン析出防止剤(threshold agent)の相当量もしくは全ての置き換えとして水溶性マグネシウム化合物を含んでいる。本組成物は、実質的にキレート剤、イオン析出防止剤(threshold agent)または金属イオン封鎖剤を含まなくてもよい。この方法および組成物では、マグネシウムイオンを水中のカルシウムイオンに対する所定の比率で与えることができ、例えばモル量のマグネシウムイオンがモル量のカルシウムイオンと同じかまたはそれより過剰である。水溶性マグネシウム塩が、カルシウムイオンとともに水溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでいることが好ましい。そのような組成物は、スケールの低減、すすぎ、硬質表面の洗浄、洗濯および器物洗浄に用いることができる。
【0010】
本発明は目的物の洗浄方法に関する。本方法は、硬水の斑点付着(spotting)、スケール付着、洗濯における灰分の蓄積、または堆積物(deposits)を低減することができる。本方法は、目的物を、水、水溶性マグネシウム塩ならびに、場合によっては、アルカリ源、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分、を含む水性組成物と接触させることを含んでいる。1つの態様では、本方法は水溶性マグネシウム化合物を慣用のビルダー、キレート剤、金属イオン封鎖剤またはイオン析出防止剤(threshold agent)の置き換えもしくは部分的な置き換えとして用いる。本方法は、キレート剤、イオン析出防止剤(threshold agent)または金属イオン封鎖剤を実質的に含まない水性組成物を用いることができる。本方法は水中のカルシウムイオンに対して所定の比率のマグネシウムイオンを用いることができ、例えばモル量のマグネシウムイオンがモル量のカルシウムイオンと同じかまたはそれより過剰である。水溶性マグネシウム塩が、カルシウムイオンとともに水溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでいることが好ましい。
【0011】
本発明はまた洗浄組成物を含んでいる。本洗浄組成物は、水溶性マグネシウム塩および目的物を洗浄するのに有用な多くの他の成分のいずれかを含んでいる。例えば、本組成物は水溶性マグネシウム塩、アルカリ源、水、界面活性剤などを含むことができる。1つの態様では、本組成物は約1〜約60質量%の水溶性マグネシウム塩、約0〜約60質量%のアルカリ源、約0〜約90質量%の水、約0〜約20質量%の界面活性剤、および約0〜約7質量%のビルダーを含むことができる。
【0012】
1つの態様では、本組成物は慣用のビルダー、キレート剤、金属イオン封鎖剤またはイオン析出防止剤(threshold agent)の置き換え、もしくは部分的な置き換えとして水溶性マグネシウム化合物を含んでいる。本組成物は水中のカルシウムイオンに対して所定の比率のマグネシウムイオンを含むことができ、例えばモル量のマグネシウムイオンがモル量のカルシウムイオンと同じかまたはそれより過剰である。水溶性マグネシウム塩が、カルシウムイオンとともに水溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物は、スケールの低減、洗浄、硬質表面の洗浄、洗濯および器物洗いに用いることができる。また本発明の方法は、硬水の斑点付着(spotting)、スケール付着、洗濯における灰分の蓄積、または堆積物(deposits)を低減することができる。
【0014】
図1〜6のそれぞれはx、yおよびz軸を有する。このx軸はカルシウムの、ビルダー、例えばSTPP、もしくは水溶性マグネシウム化合物に対するモル比の尺度である。y軸は、試料を通した光の透過率の水準の尺度であり、0%は光が透過せず、また100%は全ての光線が透過する。当初は透明な試料中に、微粒子の形成が起こる結果、完全なもしくは部分的な透過率の減少が発生する。有効なビルダーは析出を防止するか、または低減し、透明な試料をもたらす。z軸は試験温度の尺度であり、20〜60℃の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、種々の温度で、また一定のpH8で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのSTPPの性能のプロットである。
【図2】図2は、種々の温度で、また一定のpH8で、種々の水準のカルシウムの存在における、塩化マグネシウムの析出を防ぐ性能のプロットである。
【図3】図3は、種々の温度で、また一定のpH10で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのSTPPの性能のプロットである。
【図4】図4は、種々の温度で、また一定のpH10で、種々の水準のカルシウムの存在における、塩化マグネシウムの析出を防ぐ性能のプロットである。
【図5】図5は、種々の温度で、また一定のpH12で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのSTPPの性能のプロットである。
【図6】図6は、種々の温度で、また一定のpH12で、種々の水準のカルシウムの存在における、塩化マグネシウムの析出を防ぐ性能のプロットである。
【図7】図7は、種々の温度で、また一定のpH8で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのクエン酸ナトリウムの性能のプロットである。
【図8】図8は、種々の温度で、また一定のpH10で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのクエン酸ナトリウムの性能のプロットである。
【図9】図9は、種々の温度で、また一定のpH12で、種々の水準のカルシウムの存在における、ビルダーとしてのクエン酸ナトリウムの性能のプロットである。
【図10】図10は、水溶性水酸化アルカリ金属、例えば水酸化ナトリウムの硬水イオン(例えば、Ca2+およびMg2+)の析出への影響を調べるために行なった実験の結果を示している。
【図11】図11は、水溶性炭酸アルカリ金属、例えば炭酸ナトリウムの硬水イオン(例えば、Ca2+およびMg2+)の析出への影響を調べるために行なった実験の結果を示している。
【図12】図12は、水溶性水酸化アルカリ金属、例えば水酸化ナトリウムおよび水溶性炭酸アルカリ金属、例えば炭酸ナトリウムの硬水イオン(例えば、Ca2+およびMg2+)の析出への影響を調べるために行なった実験の結果を示している。
【図13】図13は、2つのグラスの写真であり、1方は塩化マグネシウムとともに、他方は硫酸マグネシウムとともに、皿洗機中に100サイクル付したものである。マグネシウムとカルシウムとのモル比は1:1である。
【図14】図14は、2つのグラスの写真である。左側のグラスは慣用のマグネシウムを含まない器物洗洗剤を用いて洗浄した。右側のグラスは配合Aを含むマグネシウム塩を用いて洗浄した。左側のグラスには、暗い垂直の染料の縞が見える。
【図15】図15は、カップの写真を示している。このカップの左側は慣用のマグネシウムを含まない器物洗洗剤を用いて洗浄した。このカップの右側は配合Aを含むマグネシウム塩を用いて洗浄した。カップの両側は等しくきれいに見える。
【図16】図16は、器物洗洗剤で洗浄され、そして次いで実施例4に記載したようにすすぎを行なった2つのグラスを示す写真であり、そしてすすぎ水に硬水イオン(Mg2+)を加えることで、器物洗浄後にグラス上の硬水からのスケールの形成が低減されることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明がより容易に理解されるように幾つかの用語を先ず定義する。
ここで用いられる用語「キレート剤」および「金属イオン封鎖剤」は、特定のモル比で硬水イオン(洗浄水、洗浄されるよごれおよび基材からの)と錯体(可溶でも不溶でも)を形成する化合物を指している。水溶性錯体を形成することのできるキレート剤としては、トリポリリン酸ナトリウム、EDTA、DTPA、NATA、クエン酸塩などが挙げられる。不溶性錯体を形成することができる金属イオン封鎖剤としては、三リン酸ナトリウム、ゼオライトAなどが挙げられる。ここで用いられる用語「キレート剤」および「金属イオン封鎖剤」は、同義語である。
【0017】
ここで用いられる「キレート剤を含まない」または「キレート剤を実質的に含まない」は、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤を含まないか、または限られた量のキレート剤もしくは金属イオン封鎖剤のみが添加されている、組成物、混合物もしくは成分を指している。キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤が存在するならば、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤の量は約7質量%未満でなくてはならない。幾つかの態様では、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤のそのような量は約2質量%未満である。他の態様では、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤のそのような量は約0.5質量%未満である。更に他の態様では、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤のそのような量は約0.1質量%未満である。
【0018】
ここで用いられる用語「有効な量のキレート剤がない」は、キレート剤もしくは金属イオン封鎖剤を、水の硬度に測定可能なほどには影響しない量しか含まない組成物、混合物もしくは成分を指している。
【0019】
ここで用いられる用語「水溶性の」は、1質量%超の濃度で水中に溶解することができる化合物を指している。
【0020】
ここで用いられる用語「僅かに溶解性の」または「僅かに水溶性の」は、0.1〜1.0質量%の濃度までしか水中に溶解することができない化合物を指している。
【0021】
ここで用いられる用語「水に不溶性の」は、0.1質量%未満の濃度しか水中に溶解することができない化合物を指している。例えば、酸化マグネシウムは不溶性であると考えられ、それは酸化マグネシウムが冷水中に約0.00062、また温水中に0.00860の水への溶解度(質量%)を有しているからである。本発明の方法で用いられる他の不溶性の化合物としては、例えば水酸化マグネシウム(冷水中に0.00090、温水中に0.00400の水への溶解度を持つ)、アラゴナイト(冷水中に0.00153、温水中に0.00190の水への溶解度を持つ)およびカルサイト(冷水中に0.00140、温水中に0.00180の水への溶解度を持つ)が挙げられる。
【0022】
ここで用いられる用語「イオン析出防止剤(threshold agent)」は、硬水イオンが溶液から結晶化するのを妨げるが、しかしながら硬水イオンと特定の錯体を形成することは要しない化合物を指している。このことがイオン析出防止剤(threshold agent)をキレート剤または金属イオン封鎖剤と区別する。イオン析出防止剤(threshold agent)としてはポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0023】
ここで用いられる用語「イオン析出防止剤(threshold agent)を含まない」または「イオン析出防止剤(threshold agent)を実質的に含まない」は、イオン析出防止剤(threshold agent)を含まないか、または限られた量のイオン析出防止剤(threshold agent)のみが添加されている、組成物、混合物もしくは成分を指している。イオン析出防止剤(threshold agent)が存在するならば、イオン析出防止剤(threshold agent)の量は約7質量%未満でなくてはならない。幾つかの態様では、イオン析出防止剤(threshold agent)のそのような量は約2質量%未満である。他の態様では、イオン析出防止剤(threshold agent)のそのような量は約0.5質量%未満である。更に他の態様では、イオン析出防止剤(threshold agent)のそのような量は約0.1質量%未満である。
【0024】
ここで用いられる用語「再付着防止剤」は、汚れの組成物が、洗浄される目的物上に再付着せずに水中に懸濁し続けていることを援ける化合物を指している。
【0025】
ここで用いられる「リン酸塩を含まない」または「リン酸塩を実質的に含まない」は、リン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物を含まないか、またはリン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物が添加されていない、組成物、混合物もしくは成分を指している。リン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物が、リン酸塩を含まない組成物、混合物もしくは成分の汚染を通して存在するならば、リン酸塩の量は約1.0質量%未満でなくてはならない。幾つかの態様では、リン酸塩の量は約0.5質量%未満である。他の態様では、リン酸塩の量は約0.1質量%未満である。更に他の態様では、リン酸塩の量は約0.01質量%未満である。
【0026】
ここで用いられる「リンを含まない」または「リンを実質的に含まない」は、リンもしくはリン含有化合物を含まないか、またはリンもしくはリン含有化合物が添加されていない、組成物、混合物もしくは成分を指している。リンもしくはリン含有化合物が、リンを含まない組成物、混合物もしくは成分の汚染を通して存在するならば、リンの量は約1.0質量%未満でなくてはならない。幾つかの態様では、リンの量は約0.5質量%未満である。他の態様では、リンの量は約0.1質量%未満である。更に他の態様では、リンの量は約0.01質量%未満である。
【0027】
「洗浄」は、汚れの除去、漂白、微生物個体群の低減、またはそれらの組み合わせの実行、または支援を意味する。
ここで用いられる用語「器物(ware)」は、食事および料理用品などの品目、および他の硬質表面、例えばシャワー、流し、トイレ、浴槽、カウンタートップ、窓、鏡、運搬用車両、および床、を意味している。ここで用いられる「器物洗浄」は、器物の洗浄(washing)、洗浄(cleaning)およびすすぎ(rinsing)を指している。
【0028】
ここで用いられる用語「硬質表面」としては、シャワー、流し、トイレ、浴槽、カウンタートップ、窓、鏡、運搬用車両、床などが挙げられる。
【0029】
ここで用いられる表現「健康管理表面」は、健康管理活動の一部として用いられる機器、装置、カート、ケージ、家具、構造体、建物などの表面を指している。健康管理表面の例としては、医療もしくは歯科用機器、医療もしくは歯科用装置、オートクレーブおよび滅菌器、患者の健康状態を監視するために用いられる電子装置、および床、壁もしくは健康管理が生じる構造体の備品の表面が挙げられる。健康管理表面は、病院の部屋、手術室、分娩室、霊安室および臨床診断室の中に見出される。これらの表面は、「硬質表面」(例えば壁、床、便器(bed-pans)など)、または布帛表面、例えば編物、織物および不織表面(例えば手術衣、カーテン、ベッド用リネン、包帯など)、または患者介護装置(例えば呼吸装置、診断装置、シャント、身体用スコープ、車椅子、ベッドなど)、または手術用および診断用装置として代表されるものであることができる。健康管理表面は、動物の健康管理に用いられる物品および表面を含んでいる。
【0030】
ここで用いられる用語「機器」は、本発明の方法によって処理された水を用いた洗浄から利益を得ることのできる種々の医療用もしくは歯科用機器または装置を指す。
【0031】
ここで用いられる表現「医療用機器」、「歯科用機器」、「医療用装置」、「歯科用装置」、「医療用設備」または「歯科用設備」は、医学または歯学において用いられる機器、装置(devices)、用具、器具、装置(apparatus)および設備を指している。このような機器、装置および設備は、本発明によって処理された水を用いて、低温滅菌、浸漬もしくは洗浄、そして次いで高温滅菌することができ、またはそれを用いた洗浄によって別のやり方で利益を受けることができる。これらの種々の機器、装置および設備としは、診断機器、トレイ、パン、容器、棚、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば骨用のこぎりおよびその刃)、止血鉗子、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり、ニッパー、ドリル、ドリルビット、石目やすり、掘削器具(burrs)、拡張器(spreaders)、遮断器(breakers)、挺子(elevators)、クランプ、持針器、キャリヤ(carriers)、クリップ(clips)、鉤(hooks)、切骨器(gouges)、キュレット(curettes)、開創器(retractors)、ストレイトナー(straightener)、搾孔鋏(punches)、摘出器(extractors)、へら(scoops)、角膜切開刀(keratomes)、へら(spatulas)、エクスプレッサー(expressors)、トロカール(trocars)、拡張器(dilators)、ケージ(cages)、ガラス製品、管類(tubing)、カテーテル、カニューレ、栓子(plugs)、ステント、観察器械(scopes)(例えば、内視鏡、聴診器および関節鏡(arthoscopes))および関連する装置など、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0032】
ここで用いられる固体洗浄組成物は、固体、例えば粉体、フレーク、顆粒、ペレット、錠剤、薬用ドロップ(lozenge)、パック(puck)、ブリケット(briquette)、レンガ状のもの、固体の塊(a solid block)、単位用量の形態で、または当業者に知られている他の固体形態である洗浄組成物を指している。用語「固体」は、固体洗剤組成物の予想される貯蔵および使用条件下の洗剤組成物の状態を指している。通常は、洗剤組成物は、約37.8℃(100°F)以下および約48.9℃(120°F)超の温度に暴露された場合には固体の形態に留まると予想される。
【0033】
処理された組成物を表すのに用いられる用語「固体」によって、硬化された組成物は認知できるほどは流れないこと、また軽度の応力もしくは圧力または単なる重力の下ではその形状を実質的に保つことを意味しており、例えば、型から取り外した時の型の形状、押出機から押出しで形成された物品の形状などである。固体の成型された組成物の硬さの度合いは、融解固体ブロックの硬さ(これは比較的に密度が高くまた硬くて、例えばコンクリートのようである)から、順応性があり、またスポンジ様(コーキング材と同様の)であることを特徴とする硬さまでの範囲にあることができる。
【0034】
ここで用いられる「質量%(wt%)」、「質量パーセント」、「質量%」などは同義語であり、これらはその物質の質量を組成物の全体の質量で割り算して100を掛けた物質の濃度を表している。
【0035】
ここで用いられる用語「約」は、本発明の組成物中の成分の量を修正しており、または本発明の方法に用いられて、発生する可能性がある数量の変化を表す、その変化は例えば、現実の世界で濃縮液もしくは使用溶液を作るのに用いられる通常の測定および液体取扱い手順を通して、それらの手順における不注意な間違いを通して、組成物を作るのに用いられる成分の製造、出所もしくは純度の違いを通してなどによる。約という用語はまた、特定の初期の混合物からもたらされる組成物の異なる平衡状態によって異なる量をも包含する。用語「約」によって修正されてもいなくても、請求項はその量の均等物を含んでいる。
【0036】
組成物および使用方法
本発明は、水溶性マグネシウム化合物を含む洗浄組成物およびその使用方法に関する。幾つかの態様では、硬水イオンMg2+を含む洗浄組成物は、硬水のある種の有害な効果を低減する有益な効果を有することができる。予想外にも、1つの態様では、水と硬水イオンMg2+の組成物が、カルシウム塩の析出を防ぐのに、慣用のキレート剤または金属イオン封鎖剤(トリポリリン酸ナトリウム(STPP))と同様に機能する。本組成物および方法は、ビルダー、キレート剤、金属イオン封鎖剤またはイオン析出防止剤(threshold agent)の置換もしくは部分的な置換として水溶性マグネシウム塩を含むことができる。
【0037】
幾つかの態様では、本洗浄組成物は、添加された金属イオン封鎖剤、キレート剤もしくはイオン析出防止剤(threshold agent)を含まないか、または実質的に含まない。1つの態様では、この水性組成物は1質量%未満のリンおよび/または1質量%未満のリン酸塩を含んでいる。慣用の洗浄剤組成物は、硬水イオンによって引き起こされる問題を低減するのにキレート剤を含んでいる。本組成物は、予想外にも、硬水イオンによって引き起こされる問題を低減するのに硬水イオンマグネシウムの水溶性塩を含んでいる。
【0038】
水溶性マグネシウムを含む本発明の洗浄組成物は、水中のカルシウムイオンに対して所定の比率でマグネシウムイオンを与える。本発明の組成物は、石灰スケールの低減、すすぎ、硬質表面の洗浄、器物洗浄などに有利に用いることができる。例えば、いくつかの態様では、本発明の組成物は、カルシウムイオンのモル量と同じか、またはそれより過剰のモル量のマグネシウムイオンを与える。幾つかの態様では、マグネシウムイオンとカルシウムイオンは、1:1のモル比であることができ、または本組成物はより多い量のマグネシウムを含んでいることもできる。他の態様では、マグネシウムイオンとカルシウムイオンは約1.5:1〜約6:1のモル比であることができる。
【0039】
他の態様では、本発明の洗浄組成物は、水溶性カルシウム塩のアニオンを含む水溶性マグネシウム塩を含んでいる。このような組成物は、石灰スケールの低減、すすぎ、硬質表面の洗浄、器物洗浄などに用いる場合に、水に不溶性のカルシウム塩のアニオンを備えたマグネシウム塩よりもより効果的であることが見出された。硫酸塩はマグネシウムと水溶性塩を形成するが、しかしながらそのカルシウム塩は水に難溶性である。幾つかの態様では、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンの両方と水溶性塩を形成するアニオンとしては塩化物および酢酸塩が挙げられる。幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩は、不溶性カルシウム塩を形成するアニオンを含み、また本水溶性組成物は、使用のための希釈で、カルシウムイオンのモル量の2倍と等しいかまたはそれより多いモル量のマグネシウムイオンを含んでいる。
【0040】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、例えばキレート剤、金属イオン封鎖剤、ビルダーもしくはイオン析出防止剤(threshold agent)の有効量を欠くか、またはそれらを実質的に含まない。他の態様では、本発明の組成物は、界面活性剤および被覆剤(sheeting agent)およびそれらの混合物を含むことができる。
【0041】
この水性組成物は、洗浄組成物に有用な様々な追加の成分のいずれかを含むことができる。これらの成分の幾つかは本願中に記載されている。1つの態様では、この水性組成物はまた、審美的補助剤、例えば染料、香料、抗菌剤、漂白剤、還元剤、界面活性剤を含んでいる。
【0042】
幾つかの態様では、本発明の洗浄組成物は、水溶性マグネシウム塩、アルカリ源、水、界面活性剤を含んでおり、また場合によってはキレート剤およびイオン析出防止剤(threshold agent)を実質的に含まない。幾つかの態様では、この洗浄組成物は、約1〜約60質量%の水溶性マグネシウム塩、約0〜約60質量%のアルカリ源、約0〜約90質量%の水、約0〜約20質量%の界面活性剤、場合によっては約0〜約7質量%のキレート剤もしくはイオン析出防止剤(threshold agent)を含んでいる。
【0043】
このような組成物は、例えば、水溶性マグネシウム塩、水不溶性マグネシウム化合物、アルカリ源、および水を含むことができる。1つの態様では、この洗浄組成物は、約1〜約60質量%の水溶性マグネシウム塩、約0〜約30質量%の水不溶性マグネシウム化合物、約0〜約60質量%のアルカリ源、約0〜約90質量%の水を含んでいる。この組成物はキレート剤を実質的に含まないか、または含まないことができる。
【0044】
この組成物は、水中のカルシウムに対して所定の比率でマグネシウム化合物を含むことができる。このマグネシウム化合物は、好ましくはカルシウムと水溶性塩を形成するアニオンを含む水溶性マグネシウム塩であることができる。マグネシウムおよびカルシウムの両方と水溶性塩を形成するアニオンとしては、塩化物および酢酸塩が挙げられる。硫酸塩はマグネシウムと水溶性塩を形成するが、しかしながらそのカルシウム塩は水に不溶性である。この組成物は、例えば、キレート剤、金属イオン封鎖剤、ビルダー、イオン析出防止剤(threshold agent)、界面活性剤、および被覆剤(sheeting agent)の有効量を欠くか、またはそれらを実質的に含まない。
【0045】
器物洗組成物
幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の洗浄組成物は器物洗組成物であることができる。表1に、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の好ましい器物洗組成物の成分が記載されている。
【0046】
【表1】

【0047】
幾つかの態様では、この器物洗洗剤組成物は、洗浄剤、アルカリ源、および水溶性マグネシウム塩を含んでいる。この洗浄剤は洗浄力のある量の界面活性剤を含むことができる。アルカリ源は、約0.5質量%の濃度で測定した場合に約8以上のpHを有する使用組成物を与えるのに有効な量で与えられる。この器物洗洗剤組成物は、約20:1以上の希釈水対洗剤組成物の希釈比で、希釈用の水と混合するように配合することができる。使用組成物を与えるための希釈の前の器物洗組成物は、器物洗組成物濃縮物またはより単純に濃縮物を呼ぶことができる。この濃縮物は、液体または固体を含む種々の形態で供給することができる。ペーストおよびゲルは液体の一種であると考えることができる。粉末、凝集体、ペレット、錠剤、およびブロックは固体の一種であると考えることができる。
【0048】
この器物洗組成物は、自動皿洗機または器物洗機の中以外の環境における洗浄にも利用可能である。例えば、この組成物は、グラス、皿などを流しの中で洗浄するための、鍋釜類洗浄剤として用いることができる。
【0049】
硬質表面洗浄剤
幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の洗浄組成物は、硬質表面洗浄組成物であることができる。表2に、水溶性マグネシウム塩を含む好ましい硬質表面洗浄剤の成分が記載されている。
【0050】
【表2】

【0051】
硬質表面洗浄剤は、水で希釈されて、硬質表面を洗浄するのに用いることができる使用組成物を与えるように構成することができる。硬質表面の例としては、建築上の表面、例えば、壁、シャワー、床、流し、鏡、窓、およびカウンタートップ;運搬用車両、例えば車、トラック、バス、列車、および航空機;外科もしくは歯科用機器;食品加工設備;および洗浄設備、例えば皿洗機または洗濯機が挙げられるが、これらには限定されない。
【0052】
固体洗浄組成物
幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の洗浄組成物は、固体洗浄組成物であることができる。表3に、水溶性マグネシウム塩を含む固体洗浄組成物の成分が記載されている。
【0053】
【表3】

【0054】
シャワー洗浄組成物
幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の洗浄組成物は、シャワー洗浄組成物であることができる。シャワー洗浄組成物は、シャワー表面、例えば配管備品、壁、ガラスシャワードアなどに用いることができる。表4に、水溶性マグネシウム塩を含むシャワー洗浄組成物の成分が記載されている。
【0055】
【表4】

【0056】
シャワー洗浄剤組成物は、約6〜約10、または約7〜約8のpHで配合することができる。この配合物は使用の前に水で希釈することができる。通常は、シャワーの洗浄の最終的な用途用に適切なように、濃縮物は、洗浄溶液のガロン当たりに1オンス以上の比で希釈されるが、しかしながら幾つかの用途では、例えばひどい汚れの水準に遭遇した場合には、この濃縮物は希釈なしでの最終的な使用に適切である。
【0057】
すすぎ剤組成物
幾つかの態様では、水溶性マグネシウム塩を含む本発明の洗浄組成物はすすぎ剤組成物であることができる。表5に、水溶性マグネシウム塩を含むすすぎ剤組成物の成分が記載されている。
【0058】
【表5】

【0059】
幾つかの態様では、本発明の組成物は水溶性マグネシウム塩を含んでいる。幾つかの態様では、本発明の組成物は、キレート剤、イオン析出防止剤(threshold agent)および/または金属イオン封鎖剤を含まないか、または実質的に含まない。幾つかの態様では、本発明の組成物は、アルカリ源、界面活性剤およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる成分を含んでいる。
【0060】
水溶性マグネシウム塩
好ましい水溶性マグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、臭化マグネシウム、臭素酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クロム酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、ヨウ素酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、それらの水和物、およびそれらの混合物からなる群から選ばれるものが挙げられる。それらの塩は水和塩または無水塩として与えることができる。
【0061】
好ましい水溶性マグネシウム化合物としては、カルシウムともまた可溶性塩を形成するアニオンとのマグネシウム塩を含んでいる。そのような塩としては、酢酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、臭化マグネシウム、臭素酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クロム酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、それらの水和物、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる塩が挙げられる。これらの塩は水和塩または無水塩として与えることができる。
【0062】
食品への直接の接触用にGRASとして承認された水溶性マグネシウム化合物としては、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムが挙げられる。
【0063】
アルカリ源
幾つかの態様では、本発明の組成物は更に1種またはそれ以上のアルカリ源を含んでいる。このアルカリ源は、物品の洗浄を促進し、またこの組成物の汚れの除去性能を改善するように選ぶことができる。通常は、1種またはそれ以上のアルカリ源の有効な量は、約8以上のpHを有する使用組成物を与える量であると考えるべきである。使用組成物が約8〜約10の範囲のpHを有する場合には、この組成物は少しアルカリ性であると考えることができ、またpHが約12超である場合には、その使用組成物は苛性であると考えることができる。通常は、使用組成物を少しアルカリ性の洗浄組成物として供給することが望ましく、それはそれが苛性に基づく使用組成物よりもより安全であると考えられるからである。
【0064】
この洗浄組成物は、好ましいアルカリ源として、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むことができる。用いることができる好ましい金属炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸リチウム、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。用いることができる好ましいアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。アルカリ金属の水酸化物は、固体ビーズの形態で、水溶液中に溶解して、またはそれらの組み合わせで組成物に加えることができる。アルカリ金属の水酸化物は、顆粒にした固体、または約12〜100米国メッシュの範囲の粒子径の構成を有するビーズの形態の固体として、または水溶液、例えば50質量%および73質量%の溶液として、商業的に入手可能である。
【0065】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、約5質量%以上、約10質量%以上、または約15質量%以上の量でアルカリ源を含んでいる。この洗浄組成物は、約10〜約95質量%、約20〜約75質量%、または約25〜約65質量%のアルカリ源を含むことができる。これらの範囲および値の範囲にある全ての範囲および値は本発明に包含されることが理解されなければならない。
【0066】
幾つかの態様では、アルカリ源は、約60質量%未満の量で供給することができる。更に、アルカリ源は、約40質量%未満、約30質量%未満、または約20質量%未満の水準で供給することができる。幾つかの態様では、固体洗浄組成物は、約8よりも低いpHで有効な使用組成物を供給することができることが期待される。このような組成物では、アルカリ源は省略され、また所望のpHの使用組成物を与えるために、更なるpH調整剤を用いることができる。従って、このアルカリ源は任意選択成分として特徴付けることができることが理解されなければならない。
【0067】
第二のアルカリ源
本発明の組成物はまた、上記のアルカリ源と区別される第二のアルカリ源を含むことができる。この第二のアルカリ源は、全体の組成物の約0〜約75質量%、約0.1〜約70質量%、約1〜約25質量%、約20〜約60質量%、または約30〜約70質量%含むことができる。
【0068】
第二のアルカリ源としては、例えば、無機のアルカリ源、例えばアルカリ金属の水酸化物もしくはケイ酸塩などを挙げることができる。好ましいアルキル金属の水酸化物としては、例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムの水酸化物が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物は、例えば固体ビーズの形態で、水溶液に溶解して、またはそれらの組み合わせ、を含む様々な形態で組成物へ加えることができる。有用なアルカリ金属ケイ酸塩の例としては、ナトリウム、カリウムまたはリチウムのケイ酸塩(MO:SiO比が1:1.8〜5:1で、Mはアルカリ金属を表す)またはメタケイ酸塩が挙げられる。
【0069】
他のアルカリ源としては、金属ホウ酸塩、例えばナトリウムもしくはカリウムのホウ酸塩、エタノールアミンおよびアミン、および他の同様のアルカリ源が挙げられる。
【0070】
ビルダー
幾つかの態様では、本発明の組成物は約0〜約5質量%、約0〜約4質量%、または約0〜約2質量%のビルダーを含む。他の態様では、本発明の組成物は実質的にビルダーを含まない。本洗浄組成物中にビルダーを含むのであれば、それはマグネシウムへのキレート定数に対して、カルシウムへより大きなキレート定数を有するビルダーである。ゼオライト3Aがこの種のビルダーの例である。このようなビルダーの目的は、使用溶液中で、Mg/Caのモル比を増加させることであることができる。このことで、固体組成物中の成分として用いられるマグネシウム化合物の量を低減することができる。
【0071】
イオン析出防止剤(threshold agent)
幾つかの態様では、本発明の組成物は約0〜約5質量%、約0〜約4質量%、または約0〜約2質量%のイオン析出防止剤(threshold agent)を含んでいる。他の態様では、本発明の組成物は、実質的にイオン析出防止剤(threshold agent)を含まない。本洗浄組成物中にイオン析出防止剤(threshold agent)を含む場合には、炭酸カルシウムのアラゴナイト形態ではなく、炭酸カルシウムのカルサイト形態の結晶成長を抑制するか、またはかなりの程度抑制するイオン析出防止剤(threshold agent)であることが好ましい。
【0072】
キレート剤または金属イオン封鎖剤
本組成物は、添加された金属イオン封鎖剤またはキレート剤を実質的に含まないか、または、更には添加された金属イオン封鎖剤またはキレート剤を含まなくてよい。キレート剤または金属イオン封鎖剤としては、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミノカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩などが挙げられる。
【0073】
キレート剤または金属イオン封鎖剤の無効量は、水の硬度および濃縮物の希釈度で変わる。1つの態様では、17グレインの硬水では、キレート剤または金属イオン封鎖剤の使用組成物中での無効量は、約15質量%未満である可能性がある。これは1000ppmの濃度で用いられる洗剤およびキレート剤/金属イオン封鎖剤としてのSTPPを基にしている。この15質量%のSTPPは、存在する約25%の硬水イオンをキレート化するであろう。キレート剤または金属イオン封鎖剤の有効な水準は、化合物の化学構造およびそれを含む配合の希釈率に依存することが、当業者には理解されるであろう。
【0074】
通常の器物洗い濃縮液は、約500倍〜約2000倍に希釈され、その結果、その濃縮液中のキレート剤または金属イオン封鎖剤の15質量%未満である無効量をもたらす。1つの態様では、無効量は5質量%未満である。1つの態様では、無効量は1質量%未満である。
【0075】

本組成物の成分について、ここで用いられる水は、都市水道水システムまたは私設水道システム、例えば公共水道供給または井戸から得られる飲用水である。この水は硬水、水道用水、井戸水、都市水道システムによって供給される水、私設水道システムによって供給される水、処理水、またはシステムもしくは井戸からの直接の水であることができる。1つの態様では、本方法は、例えば今日用いられており、また機能させるためには塩化ナトリウムでの周期的な再生が必要である重合体水軟化剤床を必要としない。通常は、硬水とは、約100ppmを超えるカルシウムおよびマグネシウムイオンの水準を有する水を指す。しばしば、硬水中のカルシウムとマグネシウムのモル比は約2:1または約3:1である。大抵の場所には硬水があるものの、水の硬度は場所々々で異なる傾向にある。
【0076】
有機界面活性剤または洗浄剤
幾つかの態様では、本組成物は、少なくとも1種の洗浄剤を含むことができ、それは界面活性剤または界面活性剤系であることができる。アニオン、ノニオン、カチオンおよび両性イオン界面活性を含む、種々の界面活性剤を洗剤組成物中に用いることができ、それらは多くの供給源から商業的に入手可能である。好ましいノニオン界面活性剤としては、低泡性ノニオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤についての議論は、カーク−オスマー(Kirk-Othmer)、エンサイクロ(登録商標)ペディアオブケミカルテクノロジー、第3版、第8巻、p.900〜912を参照のこと。
【0077】
ノニオン界面活性剤は、本固体組成物中で有用であり、界面活性剤分子の部分としてポリアルキレンオキシドを有するものが挙げられる。そのようなノニオン界面活性剤としては、例えば塩素、ベンジル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、その他アルキルでキャップされた脂肪族アルコールのポリエチレンおよび/またはポリプロピレングリコールエーテル;ポリアルキレンオキシドを含まないノニオン、例えばアルキルポリグリコシド;ソルビタンおよびスクロースエステルおよびそれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;カルボン酸エステル、例えば脂肪酸のグリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、エトキシル化およびグリコールエステルなど;カルボン酸アミン、例えばジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなど;およびトマーコーポレイション(Tomah Corporation)から商業的に入手可能なエトキシル化アミンおよびエーテルアミン、などのノニオン化合物が挙げられる。シリコーン界面活性剤、例えばABIL B8852(ゴールドシュミット(Goldschmidt))もまた用いることができる。
【0078】
ポリアルキレンオキシドポリマー部分を有する更なる好ましいノニオン界面活性剤としては、1〜約20のエチレンオキシド基(例えば約9〜約20のエチレンオキシド基)を有するC〜C24のアルコールエトキシレート(例えば、C〜C14のアルコールエトキシレート)のノニオン界面活性剤;1〜約100のエチレンオキシド基(例えば、約12〜約20のエチレンオキシド基を有するC〜C24アルキルフェノールエトキシレート(例えば、C〜C10のアルキルフェノールエトキシレート);1〜約20のグリコシド基(例えば、約9〜約20のグリコシド基)を有するC〜C24のアルキルポリグリコシド(例えば、C〜C20のアルキルポリグリコシド);C〜C24脂肪酸エステルエトキシレート、プロポキシレートもしくはグリセリド;およびC〜C24のモノもしくはジアルカノールアミドが挙げられる。
【0079】
具体的なアルコールアルコキシレートとしては、アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレートなど;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテルなど;およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、例えばプルロニック(PLURONIC)の商標(ビーエイエスエフ−ワイアンドット(BASF-Wyandotte))で商業的に入手可能なもの、を含むポリアルキレンオキシドブロック共重合体などが挙げられる。
【0080】
好ましいノニオン界面活性剤としては、低泡性ノニオン界面活性剤が挙げられる。好ましい低泡性界面活性剤としては第二級エトキシレート、例えばテルギトール(TERGITOL)(商標)の商標名、例えばテルギトール(TERGITOL)(商標)15−S−7(ユニオンカーバイド(Union Carbide)、テルギトール15−S−3、テルギトール15−S−9などで販売されているものが挙げられる。低泡性ノニオン界面活性剤の他の好ましい分類としては、アルキルまたはベンジルキャップされたポリオキシアルキレン誘導体およびポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体が挙げられる。
【0081】
消泡剤としての使用に有用なノニオン界面活性剤は、平均で12モルのエチレンオキシドが縮合したノニルフェノールであり、これは平均30モルのプロピレンオキシドを含む疎水性部分で末端がキャップされている。ケイ素含有消泡剤はまた、よく知られており、そして本発明の組成物および方法において用いることができる。
【0082】
好ましい両性の界面活性剤としては、下記の式を有するアミンオキシド化合物が挙げられる。
【0083】
【化1】

【0084】
ここでR、R’、R’’およびR’’’はそれぞれC〜C24のアルキル、アリールまたはアラルキル基であり、それらは場合によっては1種またはそれ以上のP、O、SもしくはNのヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0085】
好ましい両性の界面活性剤の他の分類としては、下記の式を有するベタイン化合物が挙げられる。
【0086】
【化2】

【0087】
ここでR、R’、R’’およびR’’’はそれぞれC〜C24のアルキル、アリールまたはアラルキル基であり、それらは場合によっては1種またはそれ以上のP、O、SもしくはNのヘテロ原子を含んでいてもよく、またnは約1〜約10である。
【0088】
好ましい界面活性剤としては、食品等級界面活性剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ならびにプルロニック(Pluronic)(商標)の商標名で販売されているエチレンオキシド/プロピレンオキシド誘導体が挙げられる。好ましい界面活性剤としては、間接もしくは直接食品添加物または物質として適合する界面活性剤、特には連邦規制基準(CFR)の表題21−食品および薬品、パート170〜186(これはここに参照により組み込まれる)に記載されている界面活性剤が挙げられる。
【0089】
本洗浄組成物に好ましいアニオン界面活性剤としては、例えばカルボキシレート、例えばアルキルカルボキシレート(カルボン酸塩)およびポリアルコキシカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレートなど;スルホナート、例えばアルキルスルホナート、アルキルベンゼンスルホナート、アルキルアリールスルホナート、スルホン化脂肪酸エステルなど;スルファート、例えば硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキルスルファート、スルホサクシネート、アルキルエーテルスルファートなど;およびホスファートエステル、例えばアルキルホスファートエステルなど、が挙げられる。好ましいアニオンとしては、ナトリウムアルキルアリールスルホナート、アルファオレフィンスルホナート、および脂肪族アルコールスルファートが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤の例としては、ナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸、カリウムラウレス−7スルファート、およびナトリウムテトラデセニルスルホナートが挙げられる。
【0090】
この界面活性剤は、約0〜20質量%、約0.1〜約10質量%、約0.2〜約5質量%の範囲で存在することができる。
【0091】
更なる成分
幾つかの態様では、本発明の組成物はまた、更なる成分を含んでいる。本発明の組成物と用いるのに好ましい更なる成分としては、洗剤ポリマー、すすぎ補助組成物、柔軟化剤、酸性源、防食剤、洗剤充填剤、消泡剤、再付着防止剤、抗菌剤、審美的促進剤、例えば染料、着臭剤、香料、光学的光沢剤、滑剤組成物、漂白剤、酵素、発泡剤、アルカリ源への活性剤、カルシウム塩、および/または他の同様の添加剤もしくは機能性成分、が挙げられるが、これらには限定されない。
【0092】
更なる成分は、作られる組成物の種類およびその組成物の意図する最終的用途によって変わる。幾つかの態様では、本組成物は添加剤として、1種またはそれ以上の洗浄酵素、洗浄ポリマー、抗菌剤、アルカリ源への活性剤またはそれらの混合物を含んでいる。
【0093】
pH調整剤
pH調整剤は、有機もしくは無機のアルカリ源またはpH緩衝剤であることができる。限定されない例として、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカノールアミン、有機弱酸の塩などが挙げられる。好ましいpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム(アラゴナイト形態で)、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましいpH調整剤としては、酢酸塩、ギ酸塩、グルコン酸などが挙げられる。好ましいpH調整剤は、使用溶液のpHにおいて、極めて小さいカルシウム金属イオン封鎖能力を有しているか、もしくはそれが無い。
【0094】
このpH調整剤は、約0〜約60質量%、約0.5〜約25質量%、約1〜約20質量%の量で存在することができる。
【0095】
加工助剤
加工助剤は、洗剤組成物の生成過程を向上させる物質である。加工助剤は乾燥剤として作用することができ、固化速度を調整し、配合中の水和水の移動を変え、または固化するマトリックス自体として機能することさえできる。加工助剤は、配合における他の機能性といくらか重複する可能性がある。限定されない例として、シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、尿素、ポリエチレングリコール、固体界面活性剤、炭酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水などが挙げられる。どの加工助剤が好ましいかは、もちろん製造手順および具体的な洗剤組成物によって変わる。
【0096】
この加工助剤は、約1〜約70質量%、約2〜約50質量%、約3〜約30質量%の量で存在することができる。
【0097】
活性酸素化合物
活性酸素化合物は活性酸素源を供給するように作用するが、しかしながら固化剤の少なくとも一部を形成するようにも作用することができる。この活性酸素化合物は、無機または有機であることができ、またそれらの混合物であることができる。活性酸素化合物の幾つかの例としては、過酸素化合物、および結合剤の形成に用いるのに好ましい過酸素化合物付加物が挙げられる。
【0098】
多くの活性酸素化合物は過酸素化合物である。通常知られているいずれの過酸素化合物も、また例えば結合剤の一部として機能する過酸素化合物も用いることができる。好ましい過酸素化合物の例としては、無機および有機化酸素化合物、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0099】
この活性酸素化合物は、本固体組成物中に、約0〜約25質量%の過酸素化合物、および過酸素化合物付加物として、約2〜約15質量%の過酸素化合物、および過酸素化合物付加物として、約5質量%〜約12質量%の過酸素化合物、および過酸素化合物付加物の量であることができる。
【0100】
無機活性酸素化合物
無機活性酸素化合物の例としては、以下の種類の化合物またはこれらの化合物の原料、またはこれらの種類の化合物を含む、もしくはそれらと付加物を形成するアルカリ金属塩:過酸化水素;1族(IA)活性酸素化合物、例えば過酸化リチウム、過酸化ナトリウムなど;2族(IIA)活性酸素化合物、例えば過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウムなど;12族(IIB)活性酸素化合物、例えば過酸化亜鉛など;13族(IIIA)活性酸素化合物、例えばホウ素化合物、例えば過ホウ酸塩、例えば式Na[Br(O(OH)]・6HOの過ホウ酸ナトリウム六水和物(過ホウ酸ナトリウム四水和物と称され、また以前はNaBO・4HOと書かれていた);式NaBr(O[(OH)]・4HOのペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物(また、過ホウ酸三水和物と称され、また以前はNaBO・3HOと書かれていた);式Na[B(O(OH)]のペルオキソホウ酸ナトリウム(また、過ホウ酸ナトリウム一水和物と称され、また以前はNaBO・HOと書かれていた)など;例えば、過ホウ酸塩;14族(IVA)活性酸素化合物、例えば過ケイ酸塩および過酸炭酸塩(これらはまた過炭酸塩とも称され)、例えばアルカリ金属の過ケイ酸塩または過炭酸塩であるものなど;例えば過炭酸塩、例えば過ケイ酸塩;15族(VA)活性酸素化合物、例えばペルオキシ亜硝酸およびその塩;ペルオキシリン酸およびそれらの塩、例えばペルリン酸塩など;例えばペルリン酸塩;16族(VIA)活性酸素化合物、例えばペルオキシ硫酸、およびそれらの塩、例えばペルオキソ一硫酸およびペルオキソ二硫酸、およびそれらの塩、例えば過硫酸塩、例えば過硫酸ナトリウムなど;例えば過硫酸塩;VIIa族活性酸素化合物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム、過塩素酸カリウムなど、が挙げられる。
【0101】
他の無機活性酸素化合物としては、遷移金属過酸化物、および他の同様の過酸素(peroxygen)化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0102】
特定の態様では、本発明の組成物および方法は、上記に挙げた特定の無機活性酸素化合物を用いる。好ましい無機活性酸素化合物としては、過酸化水素、過酸化水素付加物、IIIA族活性酸素化合物、VIA族活性酸素化合物、VA族活性酸素化合物、VIIA族活性酸素化合物またはそれらの混合物が挙げられる。そのような無機活性酸素化合物の例としては、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、ペルリン酸塩、過ケイ酸塩またはそれらの混合物が挙げられる。過酸化水素は、無機活性酸素化合物の例を与える。過酸化水素は、過酸化水素および水の混合物として、例えば水溶液の液体の過酸化水素として処方することができる。溶液の混合物は、約5〜約40質量%の過酸化水素または5〜50質量%の過酸化水素を含むことができる。
【0103】
1つの態様では、無機活性酸素化合物は過酸化水素付加物を含んでいる。例えば、無機活性酸素化合物は過酸化水素、過酸化水素付加物、またはそれらの混合物を含むことができる。種々の過酸化水素付加物のいずれもが、本組成物および方法での使用に好ましい。例えば、好ましい過酸化水素付加物としては、過炭酸塩、過酸化尿素、ペルアセチルボラート、Hの付加物、およびポリビニルピロリドン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、それらの混合物など、が挙げられる。好ましい過酸化水素付加物としては過炭酸塩、過酸化尿素、ペルアセチルボラート、Hの付加物、およびポリビニルピロリドンそれらの混合物が挙げられる。好ましい過酸化水素付加物としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、それらの混合物、例えば過炭酸ナトリウム、が挙げられる。
【0104】
有機活性酸素化合物
種々の有機活性酸素化合物のいずれも、本発明の組成物および方法において用いることができる。例えば、有機活性酸素化合物は、ペルオキシカルボン酸、例えばモノ−もしくはジ−ペルオキシカルボン酸、それらの種類の化合物を含むアルカリ金属塩、またはそのような化合物の付加物であることができる。好ましいペルオキシカルボン酸としては、C〜C24のペルオキシカルボン酸、C〜C24のペルオキシカルボン酸の塩、C〜C24のペルオキシカルボン酸のエステル、ジペルオキシカルボン酸、ジペルオキシカルボン酸の塩、ジペルオキシカルボン酸のエステル、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0105】
好ましいペルオキシカルボン酸としては、C〜C10のペルオキシカルボン酸、C〜C10のペルオキシカルボン酸の塩、C〜C10のペルオキシカルボン酸のエステル、またはそれらの混合物、ペルオキシカルボン酸の付加物、例えばペルオキシアセチルボラートが挙げられる。好ましいジペルオキシカルボン酸としては、C〜C10の脂肪族ジペルオキシカルボン酸、C〜C10の脂肪族ジペルオキシカルボン酸の塩、またはC〜C10の脂肪族ジペルオキシカルボン酸のエステル、またはそれらの混合物、例えばペルグルタル酸のナトリウム塩、過コハク酸のナトリウム塩、ペルアジピン酸のナトリウム塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0106】
有機活性酸素化合物としては、有機部分を含む他の酸が挙げられる。好ましい有機活性酸素化合物としては、ペルホスホン酸、ペルホスホン酸塩、ペルホスホン酸エステル、またはそれらの混合物もしくはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
活性酸素化合物付加物
活性酸素化合物付加物としては、通常知られているもの、および例えば活性酸素の供給源として、および固化組成物の一部として機能することができるものが挙げられる。過酸化水素付加物またはペルオキシヒドラートが好ましい。アルカリ付加物の供給源の幾つかの例としては、以下のアルカリ金属過炭酸塩、例えば過炭酸ナトリウム(炭酸ナトリウムペルオキシヒドラート)、過炭酸カリウム、過炭酸ルビジウム、過炭酸セシウムなど;炭酸アンモニウムペルオキシヒドラートなど;尿素ペルオキシヒドラート、ペルオキシアセチルボラート;Hポリビニルピロリドンの付加物など、および上記のいずれかの混合物が挙げられる。
【0108】
抗菌剤
抗菌剤は、固体機能性物質中で用いることができ、単独でもしくは他の成分と組み合わせて、市販の製品の材料系、表面等の微生物汚染および劣化を低減もしくは防止するように作用する化学物質組成物である。幾つかの態様では、これらの物質は、フェノール類、ハロゲン化合物、第4級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アナリド類(analides)、有機硫黄および硫黄−窒素化合物ならびに各種の化合物を含む具体的な分類に分れる。
【0109】
本発明の態様である組成物の形成において用いられるアルカリ源はまた、抗菌剤としても作用し、また殺菌作用を与えもすることができることもまた理解されなければならない。実際、幾つかの態様では、アルカリ源の抗菌剤として作用する能力によって、組成物中における二次的な抗菌剤の必要性を低減させる。例えば、過炭酸組成物は優れた抗菌性作用を与えることが示されている。それでもなお、幾つかの態様では付加的な抗菌剤が組み込まれる。
【0110】
与えられた抗菌剤は、化学物質組成および濃度によって、微生物の数の更なる増殖を単に制限するか、または微生物個体群の全てもしくは一部を破壊する可能性がある。用語「微生物(microbes)」および「微生物(microorganisms)」は、典型的には主として細菌、ウイルス、酵母、胞子、および真菌微生物(microorganisms)を指している。使用にあたっては、この抗菌剤は、通常は固体機能性材料に形成され、これは、場合によっては例えば水流を用いて希釈および分散された場合には、水性の殺菌剤(disinfectant)または殺菌剤組成物(sanitizer)を形成し、これは種々の表面への接触が可能であり、微生物個体群の成長の阻止、またはその一部の死滅をもたらす。微生物個体群の対数で3の減少は殺菌剤組成物をもたらす。抗菌剤は、例えばその安定性を改善するために、カプセルに包むことができる。
【0111】
一般的な抗菌剤としては、フェノール性抗菌剤、例えばペンタクロロフェノール、オルトフェニルフェノール、クロロ−p−ベンジルフェノール、p−クロロ−m−キシレノール。ハロゲン含有抗菌剤としては、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ナトリウムジクロロイソシアネート(無水または二水和物)、ヨウ素−ポリ(ビニルピロリジノン)錯体、臭素化合物、例えば2-ブロモ-2-ニトロプロパン−1,3−ジオール、および第4級抗菌剤、例えば塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、二ヨウ化塩化コリン(choline diiodochloride)、テトラメチルホスホニウムトリブロミドが挙げられる。他の抗菌剤組成物、例えばヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジチオカルバメート、例えばナトリウムジメチルジチオカルバメート、および種々の他の物質が、その抗菌性能について従来技術において知られている。幾つかの態様では、抗菌成分、例えばTAEDを、本組成物中に0.001〜75質量%、約0.01〜20質量%、または約0.05〜約10質量%の範囲で含むことができる。
【0112】
もしも組成物中に存在するのであれば、付加的な抗菌剤は、本組成物の約0.01〜約15質量%、0.05〜約10質量%、または約0.1〜約5質量%であることができる。使用溶液中では、この付加的な抗菌剤は、本組成物の約0.001〜約5質量%、約0.01〜約2質量%、または約0.05〜約0.5質量%であることができる。
【0113】
活性剤
幾つかの態様では、この組成物の抗菌活性または漂白活性は、この組成物が使用状態に置かれた場合に、活性酸素と反応して活性化成分を形成する物質の添加によって促進することができる。例えば、幾つかの態様では、過酸または過酸の塩が形成される。例えば、幾つかの態様では、テトラアセチルエチレンジアミンがこの組成物中に含まれていてよく、これは活性酸素と反応して、そして抗菌剤として作用する過酸または過酸の塩を形成する。活性酸素活性剤の他の例としては、遷移金属およびそれらの化合物、カルボキシル基部分、ニトリル部分もしくはエステル部分を含む化合物、または当技術分野で知られている他の同様の化合物が挙げられる。1つの態様では、活性剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン;遷移金属;カルボキシル基部分、ニトリル部分、アミン部分もしくはエステル部分を含む化合物;またはそれらの混合物が挙げられる。
【0114】
幾つかの態様では、活性剤成分は、本組成物の0.001〜75質量%、約0.01〜約20質量%、または約0.05〜約10質量%含むことができる。
【0115】
1つの態様では、アルカリ源のためのこの活性剤は、活性酸素と結合して抗菌剤を形成する。
【0116】
固体組成物は、通常はアルカリ源の活性剤が存在していたとしても安定のままである。多くの組成物では、活性剤はアルカリ源と反応し、またアルカリ源を不安定化させ、またはその形態を変えることが期待される。対照的に、本発明の態様では、この組成物は固体のままであり、もしもアルカリ源がこの活性剤と反応したとするならばそうなるであろう、膨潤、ひび割れ、または肥大することがない。
【0117】
1つの態様では、本組成物は固体ブロックを含み、また活性酸素のための活性剤物質は、固体ブロックに結合されている。この活性剤は、固体洗浄組成物どうしを結合させる種々の方法のいずれかによって、固体ブロックに結合させることができる。例えば、この活性剤は、固体ブロックに結合された、貼り付けられた、接着された、または他の方法で付着された固体の形態であることができる。あるいは、この固体活性剤は、このブロックの周りに、および包み込むように形成することができる。更なる例として、この固体活性剤は、この洗浄剤組成物の容器もしくは包装によって、例えばプラスチックもしくは収縮ラップまたはフィルムによって、この固体ブロックに結合されていてもよい。
【0118】
すすぎ補助機能性物質
本発明の機能性物質としては、本発明の錯体を用いて作られた固体中の他の所望の成分と組み合わせて湿潤剤もしくは被覆剤を含む、配合されたすすぎ補助組成物が挙げられる。本発明のこのすすぎ補助成分としては、水溶性もしくは分散性の低泡性有機物質を挙げることができ、これはすすぎ水の表面張力を低減して、被覆作用を促進し、またすすぎが完了した後に玉になった水によって引き起こされる斑点や筋を防ぐことができる。これはしばしば器物洗い過程において用いられる。このような被覆剤は通常は、特有の曇り点を有する有機界面活性剤様の物質である。この界面活性剤すすぎもしくは被覆剤の曇り点は、界面活性剤の1質量%水溶液が温められた時に曇った状態に変わる温度として定義される。
【0119】
商業的な器物洗い機では、2種類の一般的なすすぎサイクルがあり、第1の種類は、通常は殺菌すすぎサイクルと考えられ、約180°F、約80℃またはそれ以上の温度のすすぎ水を用いる。第2の種類の非殺菌機械では、通常は約125°F、約50℃またはそれ以上の温度のより低温の非殺菌すすぎが用いられる。これらの用途において有用な界面活性剤は、利用できる高温の用水よりも高い曇り点を有する水性のすすぎ液である。従って、本発明の界面活性剤について測定される最も低い有用な曇り点は、約40℃である。この曇り点はまた、使用場所の温水温度および、すすぎサイクルの温度と種類によって、60℃以上、70℃以上、80℃以上などであることができる。
【0120】
好ましい被覆剤としては、通常は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドから調製されたポリエーテル化合物、またはホモポリマーもしくはブロックもしくはヘテロ共重合体構造の混合物、が挙げられる。このようなポリエーテル化合物は、ポリアルキレンオキシドポリマー、ポリオキシアルキレンポリマーまたはポリアルキレングリコールポリマーとして知られている。このような被覆剤は、その分子に界面活性剤の性質を与えるために、比較的に疎水性の領域および比較的に親水性の領域が要求される。このような被覆剤は、約500〜15000の範囲の分子量を有している。ポリマー分子中に、少なくとも1つのポリ(PO)ブロックおよび少なくとも1つのポリ(EO)ブロックを含む、特定の種類の(PO)(EO)ポリマーすすぎ補助剤が有用であることが見出された。この分子中に更なるポリ(EO)、ポリ(PO)もしくはランダムに重合された領域のブロックが形成されていてもよい。
【0121】
特に有用なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック共重合体は、ポリオキシプロピレン単位の中心ブロックおよび、この中心ブロックのそれぞれの側にポリオキシエチレン単位のブロックを含む共重合体である。そのようなポリマーは下記に示す式を有している:
(EO)−(PO)−(EO)
ここで、nは20〜60の整数、それぞれの端部は独立して10〜130の整数である。他の有用なブロック共重合体は、ポリオキシエチレン単位の中心ブロックおよび、この中心ブロックのそれぞれの側にポリオキシプロピレンブロックを有するブロック共重合体である。そのような共重合体は、以下の式を有している:
(PO)−(EO)−(PO)
ここで、mは15〜175の整数、そしてそれぞれの端部は独立して約10〜30の整数である。本発明の固体機能性物質は、被覆剤もしくは湿潤剤の溶解性の維持を援けるヒドロトロープをしばしば用いることができる。ヒドロトロープは、水溶液を改質して有機物質への改善された溶解性を与えるのに用いることができる。好ましいヒドロトロープは、低分子量の芳香族スルホナート物質、例えばキシレンスルホナートおよびジアルキルジフェニルオキシドスルホナート物質である。
【0122】
1つの態様では、本発明による組成物は、すすぎサイクル中に個別のすすぎ剤を用いることなく、器物洗いにおいて所望のすすぎ特性を与える。例えば、すすぎに軟水だけを用いる場合には、洗浄サイクルでこのような組成物を用いて良好なすすぎが起こる。
【0123】
このすすぎ補助機能性物質は、本固体組成物中に、約0〜約75質量%、約2〜約50質量%、または約5質量%〜約40質量%の量で存在することができる。
【0124】
付加的な漂白剤
基材の色を薄くするまたは白くするための発明の配合中で用いられる付加的な漂白剤としては、洗浄過程において遭遇する通常の条件下で、活性なハロゲン種、例えばCl、Br、I、ClO、BrO、IO、−OCl、−OBrおよび/または−OI、を遊離させることができる漂白化合物が挙げられる。本洗浄組成物中で用いられる好ましい漂白剤としては、例えば塩素含有化合物、例えば亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、クロラミンが挙げられる。好ましいハロゲンを遊離する化合物としては、アルカリ金属ジクロロイソシアヌレート、塩素化三ナトリウムホスファート、アルカリ金属の次亜塩素酸塩、アルカリ金属の亜塩素酸塩、モノクロラミンおよびジクロラミンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。カプセル化された塩素源もまた、この組成物中の塩素源の安定性を促進するのに用いることができる(例えば、米国特許番号第4618914号および第4830773号を参照。これらの開示を参照により組み込む)。漂白剤はまた、更なる過酸素もしくは活性酸素源、例えば過酸化水素、過ホウ酸塩、例えば過ホウ酸ナトリウムの一水和物および四水和物、炭酸ナトリウムペルオキシヒドラート、ホスファートペルオキシヒドラート、およびペルモノ硫酸カリウムであることができ、活性剤、場合によっては例えば上記で議論したテトラアセチルエチレンジアミンなどを伴っても伴わなくてもよい。
【0125】
洗浄組成物は、安定化されたアルカリ源から既に得られる上記の漂白剤の少量、しかしながら有効な更なる量、例えば約0〜10質量%、または約1〜6質量%を含むことができる。本固体組成物は、漂白剤を約0〜約60質量%、約1〜約20質量%、約3〜約8質量%、または約3〜約6質量%の量で含むことができる。
【0126】
硬化剤
本洗剤組成物はまた、ビルダーに加えて、またはビルダーの形態で、硬化剤を含むことができる。硬化剤は、この組成物の均一な固化に著しく寄与する、有機もしくは無機の、化合物もしくは化合物系である。この硬化剤は、この組成物の洗浄剤および他の活性成分と相溶性があり、また処理された洗剤組成物に有効な量の硬度および/または水溶性を与えることができなければならない。この硬化剤はまた、使用の間に洗剤組成物からの洗浄剤の均一な溶解が得られるように、混合そして固化された時に洗浄剤および他の成分と均一なマトリックスを形成することができなければならない。
【0127】
本洗剤組成物中に含まれる硬化剤の量は、調製される洗剤組成物の種類、洗剤組成物の成分、洗剤組成物の意図される用途、使用の間に時間をかけて洗剤組成物へ適用される分配溶液の量、分配溶液の温度、分配溶液の硬度、洗剤組成物の物理的な大きさ、他の成分の濃度、およびこの組成物中の洗浄剤の濃度、を含むが、これらには限定されない因子によって、変わる可能性がある。この固体洗剤組成物中に含まれる硬化剤の量は、洗浄剤および他の成分と結合し、連続的な混合条件、および硬化剤の溶融温度、もしくはそれ以下の温度で、均一な混合物を形成するのに有効でなければならない。
【0128】
この硬化剤はまた、洗浄剤および他の成分とマトリックスを形成することができ、それらは、約30℃〜約50℃、好ましく約35℃〜約45℃の周囲温度で、混合が停止された後に、固体の形態へと固化し、そしてこの混合系から、約1分間〜約3時間、好ましくは約2分間〜約2時間、そして好ましくは約5分間〜約1時間の内に、この混合物が分配される。外部供給源からの最小限の量の熱がこの混合物に適用され、この混合物の処理を促進する。この洗剤組成物中に含まれる硬化剤の量は、所望の硬度および、水性媒体中に置かれた時に、使用の間に固化された組成物からの洗浄剤の所望の分配速度を得るための、処理された組成物の制御された溶解度の所望の比率を与えるのに有効でなければならない。
【0129】
この硬化剤は、有機または無機硬化剤であることができる。好ましい有機硬化剤はポリエチレングリコール(PEG)化合物である。ポリエチレングリコール硬化剤を含む洗剤組成物の固化速度は、少なくとも部分的には、この組成物へ加えられるポリエチレングリコールの量および分子量によって変わる可能性がある。好ましいポリエチレングリコールの例としては、一般式H(OCHCHOH(nは15超、より好ましくは約30〜約1700)の固体のポリエチレングリコールであるが、これらには限定されない。通常は、ポリエチレングリコールは、自由流動性の粉末またはフレークの形態の固体であり、約1000〜100000の分子量を有し、好ましくは約1450以上〜約20000、より好ましくは、約1450〜約8000の範囲の分子量を有する。このポリエチレングリコールは、約1質量%〜約75質量%、そして好ましくは約3質量%〜約15質量%の濃度で存在している。好ましいポリエチレングリコール化合物としては、特にPEG4000、PEG1450、およびPEG8000が挙げられ、PEG4000およびPEG8000が最も好ましいが、これらには限定されない。商業的に入手可能な固体のポリエチレングリコールとしては、テキサス州ヒューストンのユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)から入手可能なカーボワックス(CARBOWAX)が挙げられるが、これには限定されない。
【0130】
好ましい無機の硬化剤は、硫酸塩、酢酸塩および重炭酸塩を含むが、これらには限定されない、水和可能な無機塩である。例示的な態様では、無機の硬化剤は、約50質量%以下、好ましくは約5質量%〜約25質量%、そしてより好ましくは約5質量%〜約15質量%の濃度で存在する。
【0131】
尿素粒子もまた洗剤組成物中で硬化剤として用いることができる。この組成物の固化速度は、少なくとも部分的には、この洗剤組成物に加えられる尿素の量、粒子径および形状を含む因子によって変わるが、これらの因子には限定されない。例えば、尿素の粒子形態は、少量の、しかしながら有効量の水のみならず、洗剤および他の成分とも結合していることができる。尿素の量および粒子径は、尿素および他の成分を溶融段階まで溶融するために、外部の供給源から熱を加えることなしで、洗剤および他の成分と結合するのに有効なものである。この固体洗剤組成物中に含まれる尿素の量は、この組成物に所望の硬度を与え、また水性媒体中に置かれた時にこの組成物に所望の溶解速度を与えて、使用の間にこの固化された組成物からの洗浄剤の所望の分配速度を与えるのに有効でなければならない。例としての態様では、この洗剤組成物は約5質量%〜約90質量%の範囲の尿素、好ましくは約8質量%〜約40質量%の範囲の尿素、そして更に好ましくは約10質量%〜約30質量%の範囲の尿素を含んでいる。
【0132】
この尿素は、顆粒化されたビースまたは粉末の形態であることができる。顆粒化された尿素は通常は商業的な供給源から、米国メッシュの約8〜15の範囲の粒径の混合物として、例えばアルカディアンソハイオ社(Arcadian Sohio Company)の窒素化学物質部門から入手可能である。尿素の顆粒化された形態は、好ましくは湿式粉砕機、例えば単軸もしくは2軸押出機、テレダイン(Teledyne)混合機、ロス(Ross)乳化機などを用いて、粒径を約50米国メッシュ〜約125米国メッシュ、好ましくは約75〜100米国メッシュに低減するために粉砕される。
【0133】
第2の硬化剤/溶解度調整剤
本組成物は、少量のしかしながら有効量の第二の硬化剤、例えばアミド、例えばステアリン酸モノエタノールアミドまたはらラウリン酸ジエタノールアミド、またはアルキルアミドなど;固体ポリエチレングリコールまたは固体EO/POブロック共重合体など;酸もしくはアルカリ処理過程を経て水溶性にされたデンプン;冷却によって固化する性質を加熱された組成物に与える種々の無機物など、を含んでいる。このような化合物もまた、使用の間の水性媒体中のこの組成物の溶解度を変えて、それによりこの洗浄剤および/または他の活性成分は、長期間に亘ってこの固体組成物から分配されることが可能となる。この組成物は、第2の硬化剤を、約0〜約20質量%または約10〜約15質量%の量で含むことができる。
【0134】
洗剤充填剤
洗剤組成物は有効量の1種またはそれ以上の洗剤充填剤を含んでいてもよく、洗剤充填剤はそれ自体は洗浄剤としては機能しないが、しかしながら洗浄剤と協同してこの組成物の全体の処理可能性を促進する。本洗浄組成物での使用に好ましい充填剤の例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、砂糖、C〜C10アルキレングリコール、例えばプロピレングリコールなどが挙げられる。充填剤、例えば砂糖(例えばスクロース)は、崩壊剤として作用することによって固体組成物の溶解を援けることができる。洗剤充填剤は、約50質量%以下、約1〜約20質量%、約3〜約15質量%、約1〜30質量%、または約1.5〜約25質量%の量で含まれることができる。
【0135】
消泡剤
泡の安定性を低減するための消泡剤の有効量もまた、本洗浄組成物中に含まれていてよい。この洗浄組成物は約0〜10質量%の消泡剤、例えば約0.001〜3質量%を含むことができる。この消泡剤は、約0.0001%〜約10質量%、約0.001%〜約5質量%、または約0.01%〜約1.0質量%の量で供給することができる。
【0136】
本組成物中に用いるのに好ましい消泡剤の例とてしては、シリコーン化合物例えばポリジメチルシロキサン中に分散されたシリカ、EO/POブロック共重合体、アルコールアルコキシレート、脂肪族アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸セッケン、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエステル、アルキルリン酸エステル、例えばリン酸モノステアリルなどが挙げられる。消泡剤の議論は、例えばマーチン(Martin)らの米国特許第3048548号、ブルーナ(Brunelle)らの米国特許第3334147号、およびルー(Rue)らの米国特許第3442242号に見出すことができ、それらの議論をここに参照により組み込む。
【0137】
再付着防止剤
洗浄剤組成物はまた、洗浄溶液中の汚れの懸濁の維持を促進し、また取り除かれたよごれが洗浄されている基材上に再付着するのを防止することを可能にする、再付着防止剤を含んでいてもよい。好ましい再付着防止剤の例としては、脂肪酸アミド、フッ化炭素界面活性剤、リン酸エステル複合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。洗浄組成物は、約0〜約10質量%、例えば約1〜約5質量%の再付着防止剤を含むことができる。
【0138】
光学的光沢剤
光学的光沢剤はまた、蛍光増白剤または蛍光光沢剤とも称され、布帛基材中の黄色い色合いに光学的補償を与える。光学的光沢剤で、黄変は、黄色の範囲に応じた領域に存在する光学的光沢剤から発せられる光によって置換される。この光学的光沢剤によって供給される紫から青の光は、その場所から反射される他の光と組み合わされて実質的に完全なもしくは改善された輝く白色の概観を与える。この付加的な光は、この光沢剤によって蛍光をとおして生成される。光学的光沢剤は、275〜400nmの紫外領域で光を吸収し、また紫外の400〜500nmのスペクトルの青色の光を発する。
【0139】
光学的光沢剤の族に属する蛍光化合物は通常は芳香族または芳香族ヘテロ環物質であり、しばしば縮合環系を含んでいる。これらの化合物の重要な特徴は、芳香族環に結合した共役二重結合の分断されていない鎖の存在である。このような共役した二重結合の数は、この分子の蛍光部分の平面性に加えて置換基によって決まる。大抵の光沢剤化合物は、スチルベンもしくは4,4’−ジアミノスチルベン、ビフェニル、5員のヘテロ環(トリアゾール、オキサゾール、イミダゾールなど)、または6員のヘテロ環(クマリン、ナフタールアミド(naphthalamides)、トリアジンなど)の誘導体である。洗剤組成物中に使用するための光学的光沢剤の選択は、多くの因子、例えば洗剤の種類、洗剤組成物中に存在する他の成分の性質、洗浄水の温度、攪拌の程度、および桶(tub)の大きさに対する洗われる物質の比率による。この光沢剤の選択はまた、洗浄される物質の種類、例えば綿、合成品などによる。大抵の洗濯洗剤製品は種々の布帛を洗浄するのに用いられるので、この洗剤組成物は種々の布帛に有効な光沢剤の混合物を含まなければならない。このような光沢剤混合物の個々の成分は相溶性であることが、もちろんのこと必要である。
【0140】
本発明で有用な光学的光沢剤は商業的に入手可能であり、また当業者によって理解されるであろう。本発明において有用であることができる市販の光学的光沢剤は、下位群に分類することができ、下位群としては、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5員および6員へテロ環および他の様々な化学物質の誘導体が挙げられるが、しかしながら必ずしもそれらには限定されない。これらの種類の光沢剤の例は、エム・ザラディニック(M. Zahradnik)、「蛍光光沢剤の製造および用途」、ニューヨーク、ジョーン・ウイリーアンドサンズ(John Wiley & Sons)発行、1982年に開示されており、その開示をここに参照によって組み込む。
【0141】
本発明において有効であることができるスチルベン誘導体としては、ビス(トリアジニル)アミノ−スチルベンの誘導体;スチルベンのビスアシルアミノ誘導体;スチルベンのトリアゾール誘導体;スチルベンのオキサジアゾール誘導体;スチルベンのオキサゾール誘導体;およびスチルベンのスチリル誘導体が挙げられるが、しかしながら必ずしもこれらには限定されない。
【0142】
洗濯洗剤または殺菌組成物用には、好ましい光学的光沢剤としてはスチルベン誘導体が挙げられ、それらは1質量%以下の濃度で用いることができる。
【0143】
安定剤
本固体洗剤組成物はまた安定剤を含むことができる。安定な安定剤の例としては、ホウ酸塩、カルシウム/マグネシウムイオン、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、しかしながらこれらには限定されない。この組成物は安定剤を含んでいなくてもよいが、しかしながらこの組成物が安定剤を含む場合には、この組成物の安定性の所望の水準を与える量で安定剤を含むことができる。安定剤の好ましい範囲は、約20質量%以下、約0.5〜約15質量%、または約2〜約10質量%含んでいる。
【0144】
分散剤
本固体洗剤組成物はまた分散剤を含むことができる。この固体洗剤組成物中に用いることができる好ましい分散剤の例としては、マレイン酸/オレフィン共重合体、ポリアクリル酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、しかしながらこれらには限定されない。本組成物は分散剤を含んでいる必要はないが、しかしながら分散剤が含まれる場合には、所望の分散性能を与える量で含むことができる。本組成物中の分散剤の好ましい範囲は、約20質量%以下、約0.5〜約15質量%、または約2〜約9質量%であることができる。
【0145】
酵素
この固体洗剤組成物中に含むことができる酵素としては、デンプンおよび/またはタンパク質染みの除去を援ける酵素が挙げられる。好ましい種類の酵素としては、プロテアーゼ、アルファアミラーゼ、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。用いることができる好ましいプロテアーゼとしては、Bacillus licheniformix、Bacillus lenus, Bacillus alcalophilus、およびBacillus amyloliquefacinsから誘導されたプロテアーゼが挙げられるが、これらには限定されない。好ましいアルファアミラーゼとしては、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、およびBacillus licheniformisが含まれる。この組成物は酵素を含んでいる必要はないが、しかしながらこの組成物が酵素を含む場合には、この固体洗剤組成物が使用組成物として供給された場合に、所望の酵素活性を与える量で含むことができる。この組成物中の酵素の好ましい範囲は、約15質量%以下、約0.5〜約10質量%、または約1〜約5質量%を含んでいる。
【0146】
増粘剤
この固体洗剤組成物はレオロジー調整剤もしくは増粘剤を含んでいてもよい。このレオロジー調整剤は以下の機能:この組成物の粘度を増加させること;スプレーノズルを通して分配された場合に液体使用溶液の粒子径を増大させること;使用溶液に表面への垂直塗着(vertical cling)を与えること;使用溶液中での粒子の懸濁を与えること;または使用溶液の蒸発速度を低下させること、を提供することができる。
【0147】
レオロジー調整剤は擬塑性である使用組成物を与えることができ、言い換えれば使用組成物もしくは物質は、(剪断モードで)撹乱されなければ、高粘度を維持する。しかしながら、剪断を受けると、物質の粘度は実質的に、しかしながら可逆的に低下する。剪断作用が取り除かれた後は、粘度は戻る。これらの特性は、この物質のスプレーヘッドを通した適用を可能にする。ノズルを通して噴霧された場合には、この物質は、圧力の影響下で、供給管からスプレーヘッドへと引き込まれるときに剪断を受け、またポンプ作動噴霧機中のポンプの作用によって剪断される。いずれの場合にも、汚れた表面にこの物質を適用するのに用いられるスプレー装置を用いて、この物質の実質的な量が適用できるような点まで粘度を低下させることができる。しかしながら、一旦この物質が汚れた表面上に止まったら、この物質は高粘度を取り戻すことができて、この物質が汚れの上の場所に留まることを確実にする。1つの態様では、この物質は表面に適用することができ、この物質の実質的な被覆をもたらし、そのことで洗浄成分を十分な濃度で供給し、硬化された、もしくは固まった(baked-on)汚れの持ち上げおよび除去をもたらす。垂直または傾いた表面上の汚れと接触していても、この増粘剤は、洗浄剤の他の成分と連動して、重力の影響下でのこの物質の滴り、垂れ、下落または他の動きを最小限にする。この物質は、この物質の粘度が、この物質の膜の実質的な量が、汚れと少なくとも1分間、5分間またはそれ以上接触したままであるのに十分なように配合されなければならない。
【0148】
好ましい増粘剤もしくはレオロジー調整剤の例はポリマー増粘剤であり、ポリマーまたは天然ポリマーまたは植物もしくは動物源から誘導されたゴムを含むが、これらには限定されない。このような物質は、多糖、例えば実質的に増粘能力を有する大きな多糖分子であることができる。増粘剤もしくはレオロジー調整剤はまた、粘度(clays)を含んでいてもよい。
【0149】
実質的に可溶性のポリマー増粘剤を、使用組成物の増大された粘度または増大された伝導性を与えるのに用いることができる。本発明の水性組成物用のポリマー増粘剤の例としては、カルボキシル化ビニルポリマー、例えばポリアクリル酸およびそれらのナトリウム塩、エトキシ化セルロース、ポリアクリルアミド増粘剤、架橋された、キサンタン組成物、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン生成物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、および水への溶解度の実質的な特定の比率を有している他の同様の水性の増粘剤が挙げられるが、それらには限定されない。好ましい商業的に入手可能な増粘剤としては、ペンシルベニア州のフィラデルフィアのロームアンドハース社(Rohm & Haas Company)から入手可能なアキュゾール(Acusol)、およびノースカロライナ州シャーロットのビーエフグッドリッチ(B. F. Goodrich)から入手可能なカーボポール(Carbopol)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0150】
好ましいポリマー増粘剤としては、多糖が挙げられるが、それらには限定されない。商業的に入手可能な多糖の例としては、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のメルク(Merck)のケルコ(Kelco)部門から入手可能なジウタン(Diutan)が挙げられるが、これには限定されない。この固体洗剤組成物中で用いるための増粘剤としては、更にポリビニルアルコール増粘剤、例えば完全に加水分解されたもの(98.5モル超のアセテートが−OH基で置換されている)が挙げられる。
【0151】
好ましい多糖の例としては、キサンタンが挙げられるが、これらには限定されない。このようなキサンタンポリマーは、その高い水溶性および大きな増粘力のために好ましい。キサンタンは、Xanthomonas campestrasの細胞外の多糖である。キサンタンは、トウモロコシ糖またはコーンシロップ副生成物に基づく発酵によって作ることができる。キサンタンは、セルロース中に見られのと同様の、ポリベータ−(1−4)−D−グルコピラノシル骨格鎖を含んでいる。キサンタンゴムおよびその誘導体の水性分散液は、新規な、そして優れたレオロジー特性を示す。このゴムの低濃度は、比較的に高い粘度を有し、そのことがこれを経済的に用いることを可能にしている。キサンタンゴム溶液は、高い擬塑性を示し、すなわち広い濃度範囲に亘って、迅速なシアシニング(shear thinning)が発生し、これは通常は瞬時に可逆的であると理解されている。剪断を受けていない物質は、pHと無関係、そして広い範囲に亘って温度に無関係であると思われる。好ましいキサンタンとしては架橋されたキサンタン物質が挙げられる。キサンタンポリマーは、種々の知られている、大きな多糖分子のヒドロキシル官能価と反応性である共有結合反応性架橋剤で架橋することができ、また二価の、三価の、もしくは多価の金属イオンを用いても架橋することができる。このような架橋されたキサンタンゲルは米国特許第4782901号に開示されており、これをここに参照により組み込む。キサンタン物質用の好ましい架橋剤としては、金属カチオン、例えばAl+3、Fe+3、Sb+3、Zr+4および他の遷移金属が挙げられるが、これらには限定されない。商業的に入手可能な好ましいキサンタンの例としては、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のメルク(Merck)のケルコ(Kelco)部門から入手可能なケルトロール(KELTROL)(登録商標)、ケルザン(KELZAN)(登録商標)AR、ケルザン(KELZAN)(登録商標)D35、ケルザン(KELZAN)(登録商標)S、ケルザン(KELZAN)(登録商標)XZが挙げられるが、これらには限定されない。知られている有機架橋剤もまた用いることができる。好ましい架橋されたキサンタンはケルザン(KELZAN)(登録商標)ARであり、これは擬塑性の使用溶液を与え、これは噴霧されたときに、大きな粒径の霧またはエアロゾルを生成することができる。
【0152】
増粘剤は本固形組成物中に、約0〜約10質量%、約0.5〜約5質量%、または約1質量%〜約3質量%の量で存在することができる。
【0153】
染料/着臭剤
種々の染料、香料を含む着臭剤、および他の審美的促進剤もまた本組成物中に含むことができる。染料は本組成物の外観を変えるのに含むことができ、例としては、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical Corp.)、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keystone Analine and Chemical)、Metanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red(Capitol Color and Chemical)、Fluorescein(Capitol Color and Chemical)、Acid Green 25(Ciba-Geigy)などである。
【0154】
本組成物中に含まれていてもよい香料(fragrances)または香料(perfumes)としては、例えばテルペノイド、例えばシトロネロール、アルデヒド、例えばアミル桂皮アルデヒド、ジャスミン、例えばC1S−ジャスミンまたはジャスマル、バニリンなどが挙げられる。
【0155】
染料または着臭剤は、本固体組成物中に、約0〜約4質量%、約0.1〜約1質量%の量で存在することができる。
【0156】
補助剤および他の添加剤成分は、製造される組成物の種類およびその組成物の意図される最終的な用途によって変わる。特定の態様では、本組成物は、添加剤として、1種またはそれ以上の洗浄酵素、洗剤ポリマー、抗菌剤、アルカリ源への活性剤、またはそれらの混合物を含んでいる。
【0157】
使用組成物
水溶性マグネシウム塩を含む本発明の組成物は、濃縮物または使用溶液の形態で供給することができる。通常は、濃縮物は水で希釈することが意図されている組成物を指し、所望の洗浄、すすぎなどを提供するために目的物に接触する使用溶液を与える。1つの態様では、本組成物が濃縮物として供給された場合には、この濃縮物は、約100パーツパーミリオン(ppm)〜約5000ppmの範囲の、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物を含んでいる。この使用溶液は更なる機能性成分を、洗浄、すすぎなどのための好ましい水準で含むことができる。1つの態様では、この使用溶液は更なる機能性成分を、約0〜約0.75質量%で含むことができる。
【0158】
使用溶液は、濃縮物から、この濃縮物を水で、所望の洗浄性能を有する使用溶液を与える希釈比率で希釈することによって調製することができる。例示的な態様では、この濃縮物は、希釈剤と濃縮物の質量比で約20以上:1、または約20:1〜約2000:1で希釈することができる。1つの態様では、本洗浄組成物が使用溶液として供給される場合には、この使用溶液は約0.1〜約200ppmの、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物を含むか、または約1〜約100ppmの、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物を含んでいる。1つの態様では、この使用溶液は、約3〜約75ppmの、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物を含んでいる。
【0159】
この濃縮物は、使用溶液を供給するために使用場所において水で希釈することができる。本洗剤組成物が自動器物洗機または皿洗機中で使用される場合には、この使用場所は自動器物洗機の内部であろうことが予期される。例えば、洗剤組成物が住居用器物洗機中で用いられる場合には、この組成物はこの器物洗機の洗剤区画中に配置することができる。機械によっては、この洗剤は単位用量の形態または複数回使用の形態で供給することができる。より大型の器物洗機では、大量の洗剤組成物が、区画中に供給され、その区画が各洗浄サイクルのための洗剤組成物の単一用量の放出を可能にする。このような区画は器物洗機の一部として、または器物洗機に結合した別個の構造として供給することができる。例えば、本洗剤組成物のブロックがホッパー中に供給され、そして器物洗機中に導入され、そこで水が、このブロックの表面に対して噴霧されて、液体の濃縮液を供給することができる。
【0160】
本洗剤組成物はまた、スプレー型の分配器から分配することもできる。簡単には、スプレー型分配器は、水のスプレーを洗剤組成物の暴露された表面に当てて、洗剤組成物の一部を溶解し、そして次に直ちにこの使用溶液を分配器の外の貯蔵容器か、または直接使用地点に向かわせる。用いられる時には、この生成物は包装(例えばフィルム)を取り除かれ、そして分配器中に挿入される。水の噴霧は、固体洗剤組成物の形状に合った形状のノズルによって行なうことができる。また、分配器の筐体は、間違った洗剤組成物の導入および分配を防ぐために、洗剤組成物の形状に厳密に適合させてもよい。
【0161】
固体洗浄組成物
幾つかの態様では、本発明はまた水溶性マグネシウム塩を含む固体洗浄組成物に関する。例えば、本発明は、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物の成型された固体ブロックを含んでいる。更なる例として、本発明は水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物の圧縮された固体ブロックまたはパック(puk)を含んでいる。
【0162】
本発明によれば、水溶性マグネシウム塩を含む固体洗浄組成物は、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物の粉末もしくは結晶形態を準備すること;水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物のこの粉末もしくは結晶形態を溶融すること;水溶性マグネシウム塩を含む溶融した洗浄組成物を型内に移送すること;およびこの溶融した組成物を冷却してこれを固化すること、を含む方法によって調製することができる。
【0163】
本発明によれば、水溶性マグネシウム塩を含む固体洗浄組成物は、水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物の粉末もしくは結晶形態を準備すること;このカルシウムマグネシウムグルコン酸塩を緩やかに圧縮して固体を形成すること(例えば、ブロックまたはパック(puk))を含む方法によって調製することができる。
【0164】
ここでの開示の中で用いられる固体洗浄またはすすぎ組成物は、種々の形態を包含しており、例えば、固体、ペレット、ブロックおよび錠剤、を含むが粉末は含まない。この用語「固体」は、固体洗浄組成物の貯蔵およびの使用の、予期される条件下での洗剤組成物の状態を指していることが理解されなければならない。通常は、本洗剤組成物は、約37.8℃(100°F)以下、または48.9℃(120°F)超の温度で供給される場合には固体に留まるであろうことが予期される。
【0165】
特定の態様では、固体洗浄組成物は単位用量の形態で供給される。単位用量は、単位の全体が、単一の洗浄サイクルの間に使用されるような大きさの固体洗浄組成物単位を指している。固体洗浄組成物が単位用量で供給された場合には、単位用量は約1g〜約50gの質量を有することができる。他の態様では、本組成物は、約50g〜250g、約100g以上、または約40g〜約11000gの大きさを有する固体、ペレット、または錠剤であることができる。
【0166】
他の態様では、固体洗浄組成物は複数回使用の固体、例えばブロックまたは複数のペレットの形態で供給され、そして複数の洗浄サイクルのための水性洗剤組成物を発生させるために繰り返し用いることができる。特定の態様では、固体洗浄組成物は、約5g〜10kgの質量を有する固体として供給される。特定の態様では、固体洗浄組成物の複数回使用の形態は、約1〜10kgの質量を有することができる。更なる態様では、固体洗浄組成物の複数回使用の形態は、約5kg〜約8kgの質量を有することができる。他の態様では、固体洗浄組成物の複数回使用の形態は、約5g〜約1kg、または約5g〜500gの質量を有することができる。
【0167】
包装システム
幾つかの態様では、本固体組成物は包装することができる。包装容器(receptacle)または容器(container)は硬くても、または柔軟でもよく、また本発明によって生成された組成物を収容するのに好ましいいずれかの材料、例えば、ガラス、金属、プラスチックフィルムもしくはシート、厚紙、厚紙複合材、紙などで構成することができる。
【0168】
有利には、この組成物は周囲温度で、もしくは周囲温度付近で処理されるために、処理された混合物の温度は低く、この混合物は、直接に容器もしくは他の包装システム中で、この材料を構造的に損傷することなしに形成することができる。この結果として、溶融状態の下で処理および分配される組成物用に用いられる材料に比べて、広範囲の材料がこの容器を作るのに用いることができる。
【0169】
本組成物を収容するのに用いられる好ましい容器は、柔軟な、易開封性のフィルム材料から作られる。
【0170】
処理された組成物の分配
本発明による固体洗浄組成物は、通常知られているいずれかの好ましい方法によって分配することができる。洗浄またはすすぎ組成物は、米国特許第4826661号、第4690305号、第4687121号、第4426362号および米国再発行特許第Re32763号および32818号中に開示されたようにスプレー型分配器から分配することができ、これらの特許の開示をここに参照により組み込む。簡単には、スプレー型分配器は、水のスプレーを固体組成物の暴露された表面に当てて、この組成物の一部を溶解し、そして次に直ちにこの組成物を含む濃縮溶液を分配器の外の貯蔵容器か、または直接使用地点に向かわせることによって機能する。用いられる時には、この生成物は包装(例えば)フィルムから取り外され、そしてこの分配器中へ挿入される。水の噴霧は、この固体の形状に適合した形状のノズルによって行なうことができる。また、分配器の筐体は、間違った洗浄剤の導入および分配を防ぐために、分配システム中の洗浄剤形状に厳密に適合させてもよい。この水性濃縮液は通常は使用場所に向かわせられる。
【0171】
1つの態様では、本組成物は、断続的にまたは連続的に水中に浸漬することによって分配することができる。本組成物は次いで、例えば制御された、もしくは所定の速度で溶解することができる。この速度は、溶解された洗浄剤の濃度を、洗浄に有効であるように維持するのに有効であることができる。
【0172】
1つの態様では、本組成物は、固体組成物から固体を擦り取り、そしてこの剥離物を水と接触することによって分配することができる。この剥離物は水に加えられて、洗浄に有効な溶解された洗浄剤の濃縮液を与えることができる。
【0173】
本組成物の使用方法
本発明の洗浄組成物は、広範囲な工業、家庭、健康管理、車両管理、および他の同様の用途において用いることができると考えられる。幾つかの例としては、表面殺菌剤、器物洗浄、洗濯洗浄、洗濯殺菌、車両洗浄、床洗浄、表面洗浄、予浸(pre-soaks)、定置洗浄、および広範囲な同様の用途が挙げられる。
【0174】
幾つかの態様では、本方法は、今日用いられている、機能するためには塩化ナトリウムでの周期的な再生を要するようなポリマーの水軟水化床で処理されていない水を用いる。
【0175】
幾つかの態様では、本発明は、水、水溶性マグネシウム塩、ならびにアルカリ源および界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分、を含む水性組成物に、目的物を接触させることを含む、目的物の洗浄方法に関する。この組成物はキレート剤および/またはイオン析出防止剤(threshold Agents)を実質的に含まないことができる。
【0176】
接触の間に、この水性組成物はマグネシウムイオンを、カルシウムイオンのモル量より過剰なモル量で含んでいることができる。この方法はまた、受け入れ可能な量の硬水の斑点付着(spotting)、スケール付着(scaling)、または堆積を備えた目的物を回収することを含むことができる。ここで用いられる、器物洗浄試験における硬水の斑点付着の受け入れ可能な量とは、1〜2の評定は良好、3の評定は境界で、そして4〜5は不合格の結果となる試験方法を指している。下記の表に用いた評定システムをまとめた。
【0177】
評定 斑点 膜
1 斑点なし 膜なし
2 グラスの1/4に斑点 微量/僅かに知覚できる
3 グラスの1/2に斑点 極めて少量の膜
4 グラスの3/4に斑点 中程度の膜
5 グラス全体に斑点 大量の膜
【0178】
本方法は、硬水の種々の有害な効果のいずれをも低減することができる。1つの態様では、本方法はカルシウム塩の析出(precipitation)を低減することができる。1つの態様では、本方法はスケール付着(scaling)を低減することができる。
【0179】
1つの態様では、過剰のカルシウムイオンを含む水性組成物は、約50ppm以上のカルシウムイオン、例えばカルシウムイオンによる硬度の約71mg/L(5グレイン/ガロン)を含んでいる。この方法の1つの態様では、加えるとは、カルシウムイオンの質量%の約半分のマグネシウムイオンの総質量%を得るように、水溶性マグネシウム化合物を加えることを含んでいる。例えば、水の硬度として5グレインのカルシウムイオンを含む水に対して、約2グレイン以上の総マグネシウムイオン。本発明の1つの態様では、加えるとは、カルシウムと可溶性の塩を形成するアニオンを含む水溶性マグネシウム化合物(例えばMgCl)を、カルシウムイオンの質量%の約半分よりも多いマグネシウムイオンの総質量%を得る(これは約1:1のモル比である)ように加えることを含んでいる。この方法の1つの態様では、加えるとは、カルシウムと不溶性の塩を形成するアニオンを含む水溶性マグネシウム化合物(例えばMgSO)を、概ねカルシウムイオンの質量%のマグネシウムイオンの総質量%を得る(これは約1:2のモル比である)ように加えることを含んでいる。
【0180】
接触させることとしては、組成物を適用する多くの方法のいずれか、例えば本組成物を噴霧すること、本組成物中に目的物を浸漬すること、またはそれらの組み合わせ、を挙げることができる。本組成物は、台所、浴室、工場、病院、歯科医院、および食品工場を含む種々の場所において適用することができ、また平滑な、不規則なまたは多孔質の局所分布を有する種々の硬質表面に適用することができる。本発明の組成物の使用濃縮物は、目的物に洗浄組成物を適用するためのいずれかの慣用の方法または装置によって目的物に適用するか、もしくは接触させることができる。例えば、目的物は、本組成物または本組成物から作られた溶液で拭き取る、噴霧する、および/またはその中に浸漬することができる。本組成物は、表面上に噴霧するか、または拭うことができ、この組成物は表面上を流れさせるか、または表面を本組成物中に浸すことができる。接触は、手動でも、機械によるものでもよい。
【0181】
洗剤組成物と処理された水を含む使用溶液組成物で処理する、すなわち洗浄することができる物品の例としては、動力車の外装、繊維製品、食品に接触する物品、定置洗浄(clean-in-place (CIP))設備、健康管理表面および硬質表面が挙げられるが、これらには限定されない。動力車の外装の例としては、自動車、トラック、トレーラー、バスなどが挙げられ、これらは商業的な車両洗浄装置中で通常洗浄される。繊維製品の例としては、通常は用語「洗濯」の範囲内であると考えられる製品であり、そして布、タオル、シーツなどが挙げられるが、それらには限定されない。更に、繊維製品としてはカーテンが挙げられる。食品に接触する物品の例としては、皿、グラス、食器、ボール、調理物品、食品貯蔵物品などが挙げられるが、それらには限定されない。CIP設備の例としては、管、タンク、熱交換器、弁、分配回路(distribution circuits)、ポンプなどが挙げられるが、それらには限定されない。健康管理表面の例としては、医療または歯科装置もしくは機器が挙げられるが、それらには限定されない。硬質表面の例としては、床、カウンター、ガラス、壁などが挙げられるが、それらには限定されない。硬質表面としてはまた、皿洗機および洗濯機の内部が挙げられる。通常は、硬質表面には、洗浄産業において環境表面と称される硬質表面を含むことができる。このような硬質表面は、例えばセラミック、金属、ガラス、木材または硬質プラスチックを含む種々の物質から作ることができる。
【0182】
本発明は、以下の例を参照することによってよりよく理解される。これらの例は本発明の具体的な実施態様の典型であることを意図しており、そして本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0183】
実施例1:水溶性マグネシウム化合物が硬水からのカルシウム塩の析出を低減する
この実施例は水への硬水イオン(Mg2+)の添加が、慣用のキレート剤または金属イオン封鎖剤(トリポリリン酸ナトリウム(STPP))と同様に、カルシウム塩の析出の防止に作用することを示している。
【0184】
水中の沈殿物の形成は、この水を通した可視光の透過率を低減する。100%の透過率は、沈殿物が形成されないことを示し、一方で0%の透過率は、多くの沈殿物が形成されたためにもはや光が試料を通さないことを示している。透過率は、MgCl(本発明)またはSTPP(比較例)のいずれかを含む水について、約8、約10、および約12のpHで、また約20℃、約45℃、および約70℃の温度で測定した。これらの温度は、室温(20℃)、通常の洗濯温度(45℃)および通常の自動器物洗機の温度(70℃)を反映させようとして選択した。この結果を図1〜6および以下の表中に報告する。
【0185】
図1〜6のグラフのそれれぞれは、x、yおよびz軸を有している。x軸はカルシウムの、ビルダー、例えばSTPPもしくは水溶性マグネシウム化合物に対するモル比の尺度である。y軸は、試料を通した光透過率の水準の尺度であり、0%は光が透過せず、また100%は全ての光線が透過する。完全な、または部分的な透過率の減少は、当初は透明な試料中で微粒子の形成があった結果として起こっている。有効なビルダーは沈殿を防止または減少させ、透明な試料をもたらす。z軸は試験温度の尺度であり、20〜60℃の範囲である。
【0186】
図1は比較例を示している。図1は、種々の水準のカルシウムの存在での、種々の温度における、また一定のpH8での、STPPのビルダーとしての性能のプロットであり、そしてSTPPのビルダーとしての性能へのCa/ビルダー比および温度の影響を示している。図1のデータは、下記の表(表6)に与えられている。全体的に、図1のプロットは、STPPが良好なキレート剤であり、また予期されるようにカルシウムイオンの濃度が増加し、また温度が上昇すると、STPPのカルシウムイオンをキレート化する効果は減少し、試料の透過率の減少に反映されている。
【0187】
【表6】

【0188】
図2は本発明を説明している。図2は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度における、また一定のpH8での、塩化マグネシウムの沈殿を防止する性能のプロットである。図2のデータは下記の表(表7)に与えられている。このグラフは、マグネシウムの水溶性塩(例えば塩化マグネシウム)が予想に反して、中性のpHにおいてさえ、硬水の沈殿の抑制をすることができることを示している。全体的に、図2のプロットは、塩化マグネシウムが良好なキレート剤であり、またカルシウムイオンの濃度が増加し、そして温度が上昇すると、塩化マグネシウムはカルシウムイオンをキレート化する効果が減少し、試料の透過率の減少に反映されている。図2に示された結果は、驚くべきことに比較例の図1に示した結果と一致している。
【0189】
【表7】

【0190】
図3は比較例を示すプロットである。図3は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度における、また一定のpH10での、STPPのビルダーとしての性能を示している。図3のデータは下記の表(表8)に与えられている。このグラフとpH8(図1)で得られた結果との比較は、アルカリ性が増大すると高温、特に約60℃ではビルダーとしての性能が低下することを示している。
【0191】
【表8】

【0192】
図4は本発明を説明するプロットである。図4は、種々の水準のカルシウムで、種々の温度における、また一定のpH10での、塩化マグネシウムの沈殿を防止する性能を示している。図4のデータは下記の表(表9)に与えられている。このグラフは、マグネシウムの水溶性塩(例えば塩化マグネシウム)は予想に反して、塩基性のpHにおいてさえも、硬水の沈殿の抑制をすることができることを示している。アルカリ性の増大は、pH8(図2)と比べて、カルシウムの沈殿の度合いに著しい影響を与えなかった。このことは予想外のことである。
【0193】
【表9】

【0194】
図5は比較例を示すプロットである。図5は、種々の水準のカルシウムで、種々の温度における、また一定のpH12での、STPPのビルダーとしての性能を示している。図5のデータは下記の表(表10)に与えられている。このグラフは、STPPが、Ca/STPPのモル比が4以上において、カルシウムの沈殿の抑制の作用を終了しており、光透過率が約20%に低下することを示している。ここでも、高い温度はSTPP系を水の硬度により影響を受けるようにさせている。
【0195】
【表10】

【0196】
図6は本発明を説明している。図6のデータは下記の表(表11)に示されている。図6は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度における、そして一定のpH12での、塩化マグネシウムの沈殿を抑制する性能のプロットを示している。このグラフト図5との比較により、非常にアルカリ性の条件下で、水溶性マグネシウム化合物、例えば塩化マグネシウムは水の硬度の抑制においてSTPPに匹敵することを示している。
【0197】
【表11】

【0198】
図1〜6に見ることができるように、塩化マグネシウムは、大抵の条件下で、STPPの水を軟水化する能力に、匹敵するか、または勝っている。能力に匹敵するか、または勝っているとは、塩化マグネシウムは、例えば大抵のカルシウムとビルダーのモル比において、STPPによって得られる水準に匹敵するか、またはそれ以下の水準まで石灰スケールを低減すること(透過率のパーセントによって反映される)を意味している。特に、pH値が8および10における塩化マグネシウムの性能は、全ての温度値において、STPPの性能に勝っている。
【0199】
pH値が12では、塩化マグネシウムは約80%の透過率から始まっているが、しかしながらSTPPに比べて小さな勾配を有している。この小さな勾配は、カルシウム/ビルダー比の増加に伴い、硬水の沈殿がよりよく抑制されていることを示している。
【0200】
クエン酸ナトリウムと水溶性マグネシウム塩とから得られたデータを下記の表および図7〜9に示した。
【0201】
【表12】

【0202】
【表13】

【0203】
【表14】

【0204】
図7は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度において、そして一定のpH8でのクエン酸ナトリウムのビルダーとしての性能のプロットであり、またSTPPのビルダーとしての性能へのCa/ビルダー比および温度の影響を示している。
【0205】
図8は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度において、そして一定のpH10でのクエン酸ナトリウムのビルダーとしての性能のプロットである。このグラフとpH8(図7)で得られた結果との比較は、高い温度、特に約60℃においては、アルカリ性の増大はビルダーとしての性能を低減することを示している。
【0206】
図9は、種々の水準のカルシウムの存在で、種々の温度において、そして一定のpH12でのクエン酸ナトリウムのビルダーとしての性能のプロットである。このグラフは、クエン酸ナトリウムは大抵の条件下で有効なビルダーであるが、しかしながら高いpHおよび温度によって悪影響を受けることが示されている。ここでも、高い温度はクエン酸ナトリウム系を水の硬度により影響を受けるようにさせている。
【0207】
図10〜12は、MgClの存在下で、組成物がまた塩化カルシウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含む場合の、カルシウムの沈殿の水準を測定するために実施した実験の結果を示している。
【0208】
図10は、水溶性アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウムの硬水イオン(例えばCa2+およびMg2+)の沈殿への影響を測定するために実施した実験の結果を示している。表15は、成分組成とそれぞれの組成物の透明度の等級を示している。
【0209】
【表15】

【0210】
図10は、水溶性マグネシウム塩(例えばMgCl)、水溶性カルシウム塩(例えばCaCl)、およびアルカリ源(例えば水酸化ナトリウム)の濃度の関数として透明度を示した三角図を示している。この三角図は、表1.10からのデータを、ミネソタ州ミネアポリスのスタットイーズ(Stat Ease)から入手可能な統計プログラム、デザインエキスパート、バージョン6.0.11に入れることによって作られた。このグラフは、水酸化ナトリウムの存在は、試験条件下で著しい硬水の沈殿を起こさなかったことを示している。
【0211】
図11は、水溶性アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムの硬水イオン(例えばCa2+およびMg2+)の沈殿への影響を測定するために実施された実験の結果を示している。表16は、成分組成とそれぞれの組成物の透明度の等級を示している。
【0212】
【表16】

【0213】
図11は、水溶性マグネシウム塩(例えばMgCl)、水溶性カルシウム塩(例えばCaCl)、およびアルカリ源(例えば炭酸ナトリウム)の濃度の関数として透明度を示した三角図を示している。この三角図は、表16からのデータを、ミネソタ州ミネアポリスのスタットイーズ(Stat Ease)から入手可能な統計プログラム、デザインエキスパート、バージョン6.0.11に入れることによって作られた。このグラフは、炭酸ナトリウムの存在は、試験条件下で著しい硬水の沈殿を起こしたことを示している。
【0214】
図12は、水溶性アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムおよび水溶性アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムの硬水イオン(例えばCa2+およびMg2+)の沈殿への影響を測定するために実施された実験の結果を示している。表17は、成分組成とそれぞれの組成物の透明度の等級を示している。
【0215】
【表17】

【0216】
図12は、水溶性マグネシウム塩(例えばMgCl)、水溶性カルシウム塩(例えばCaCl)、およびアルカリ源(例えば炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム)の濃度の関数として透明度を示した三角図を示している。この三角図は、表17からのデータを、ミネソタ州ミネアポリスのスタットイーズ(Stat Ease)から入手可能な統計プログラム、デザインエキスパート、バージョン6.0.11に入れることによって作られた。このグラフは、炭酸ナトリウムの存在は、試験条件下で著しい硬水の沈殿を起こしたことを示している。
【0217】
図12と図10および11との比較は、水溶性アルカリ金属水酸化物に加えて水溶性アルカリ金属炭酸塩との組み合わせた存在は、予想に反して、硬水の沈殿の発生においてはそれぞれのアルカリ源単独よりも悪いことを示している。
【0218】
図1〜9に見られるように、塩化マグネシウムは、大抵の条件下で、STPPの水を軟水化する能力に匹敵するか、またはそれより勝っている。能力に匹敵するか、または勝っているとは、塩化マグネシウムは、例えば大抵のカルシウムとビルダーのモル比において、STPPによって得られる水準に匹敵するか、またはそれ以下の水準までスケールを低減すること(透過率のパーセントによって反映される)を意味している。特に、pH値が8および10における塩化マグネシウムの性能は、全ての温度値において、STPPの性能に勝っている。
【0219】
pH値が12では、塩化マグネシウムは約80%の透過率から始まっているが、しかしながらSTPPに比べて小さな勾配を有している。この小さな勾配は、カルシウム/ビルダー比の増加に伴い、硬水の沈殿がよりよく抑制されていることを示している。
【0220】
MgClの存在下で、組成物がまた塩化カルシウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含む場合の、カルシウムの沈殿の水準を測定するために実施した実験の結果が図10〜12に示されている。これらの図は、マグネシウム化合物(例えばMgCl)がキレート剤のヒドロキシアシッドおよびそれらの塩と相乗的に機能することを示している。特に、これらの3つは、MgClがカルシウムが沈殿することを防止し、また他のビルダーを組み合わされた場合には硬水の沈殿を低減する相乗効果を与えることを図示している。これらのグラフ中の相乗効果は、個々の成分の重み付け算術平均から予想されるよりも大きな透過率を有する点であるように思われる。
【0221】
図12の図10および11との比較は、比率がモルMg≧モルCa(これは概略0.5Mg化合物質量≧Ca化合物の質量に相当する)で、そして70%以上のアルカリ(炭酸ナトリウムのように)の場合は、硬水の沈殿が最も悪い領域であることを示しているが、ここではアルカリは炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物である。混合アルカリ系では、MgとCaの比率は、両方が存在しさえしていれば、結果には著しくは影響しなかった。硬水の存在における沈殿の防止または低減のより大きな効果は、(Mg+Ca)の質量の合計の比率が、組み合わされたアルカリの総量の約1/3以下であったことである。
【0222】
実施例2:溶解性カルシウム塩のアニオンを含む溶解性マグネシウム塩が、低比率において、器物洗浄における硬水からのスケールの形成を低減した
驚くべきことに、水溶性カルシウム塩を形成するアニオンを与える水溶性マグネシウム塩(MgCl)が、水に不溶性のカルシウム塩のアニオンを与えるマグネシウム塩(MgSO)よりも、Ca2+に対するMg2+の低い比率において、硬水からの石灰スケールの形成を低減した。
【0223】
第1のグラスおよび第2のグラスを、皿洗機に100サイクル掛けたが、皿洗機中で17グレインの硬水を、単独のすすぎ剤として投入した水溶性マグネシウム化合物、塩化マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムとともに用いた。この水溶性マグネシウム化合物は、マグネシウムイオンとカルシウムイオンのモル比1:1で投入した。この洗浄サイクルのいずれにも洗剤は用いなかった。
【0224】
図13中の結果は、添加されたマグネシウムイオン源としての2つの水溶性マグネシウム化合物源ですすぎを行なったグラスを比較している。塩化マグネシウムと塩化カルシウムは両方とも可溶性である。しかしながら、硫酸マグネシウムは可溶であるが、硫酸カルシウムはほんの少しだけ可溶である。異なるマグネシウム化合物の水への溶解度が表18に示してある。
【0225】
【表18】

【0226】
興味深いことに、塩化マグネシウムは、硫酸マグネシウムよりも低濃度において硬水からの石灰スケールの形成を効果的に低減した。
【0227】
類似のカルシウム塩が水溶性である、塩化マグネシウムのようなマグネシウム化合物は、類似のカルシウム塩が水に不溶性である、マグネシウム化合物よりも、硬水スケールの防止により有効であることが見出された。図13は、両方の塩について、総マグネシウムイオン対カルシウムイオンのモル比が1:1において、このことを示している。
【0228】
実施例3:水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物は器物洗浄においてタンパク質汚れを除去した
驚くべきことに、硬水イオン(Mg2+)のリンを含まない器物洗い組成物への添加は、慣用のマグネシウム塩を含まない、リンを含む器物洗い洗剤に比べて、同等またはより良好な洗浄性能をもたらした。
【0229】
第1のグラス(H)は牛乳で汚し、そして240mg/L(17gpg)の硬水中の1000ppmの配合Aで、160℃で洗浄した。第2のグラス(I)を牛乳で汚し、そして240mg/L(17gpg)の硬水中の1000ppmの比較とした慣用の器物洗い洗剤で、160℃で洗浄した。汚しと洗いの順序をそれぞれのグラスについて10回繰り返した。
【0230】
このグラスを次いで、クマシーブルー(Comassie Blue)染料で処理したが、この染料はタンパク質を青に染色する。この処理したグラスの青色の強度は、表面上に残っているタンパク質(すなわち牛乳)の水準に正比例した。このグラスを白色の粉末で満たし(青色に対してより大きなコントラストを与えるため)、目視で検査し、そして写真を撮った。
【0231】
【表19】

【0232】
2つ目の実験では、コーヒーおよびクリーム(これはタンパク質を含んでいる)で激しく汚したコーヒーカップの第1の側面(J)を、17グレインの硬水中に器物洗い洗剤1000ppmの溶液中に、周囲温度で30秒間放置した。このコーヒーカップの第2の側面(K)を、17グレインの硬水中に配合A1000ppmの溶液中に、周囲温度で30秒間浸漬した。このカップのこの2つの側面の間の部分は洗剤で処理しなかった。このカップはクマシーブルー(Comassie Blue)染料では染色しなかった。このカップを目視で検査し、そして写真を撮った。
【0233】
図14はこの2つのグラスの写真を示している。慣用のマグネシウムを含まない器物洗い洗剤を用いて洗浄したグラスは左側であり、また配合Aを含むマグネシウム塩を用いて洗浄したグラスは右側である。図14に示されたように、左側のグラスの下部に、暗い垂直の染料の筋が見える。マグネシウム塩を含む、リンを含まない洗剤は、このような筋がない。従って、本発明の組成物は、リンを含むマグネシウムを含まない慣用の器物洗い洗剤よりもより多くのタンパク質を除去することが判った。
【0234】
図15はこのカップの写真を示している。このカップの左側が、慣用のマグネシウムを含まない器物洗い洗剤を用いて洗浄された。このカップの右側が、配合Aを含むマグネシウム塩を用いて洗浄された。図15に示されるように、このカップのこの2つの側面は等しくきれいに見える。マグネシウム塩含む、リンを含まない洗剤は、マグネシウムを含まないリンを含む慣用の器物洗い洗剤と同様に洗浄した。
【0235】
実施例4:水溶性マグネシウム化合物を含む水での器物洗いまたはすすぎは、硬水からのスケールの形成を低減させた
驚くべきことに、すすぎ水への硬水イオン(Mg2+)の添加は、器物洗いの後のグラス上への硬水からのスケールの形成を低減した。
【0236】
第1のグラスおよび第2のグラスを、器物洗い洗剤(1000ppm)で繰り返し洗浄した(100サイクル)。第1のグラスは、240mg/L(17グレインパーガロン(gpg))の水の硬度の水中に塩化マグネシウムを含む器物洗い洗剤(配合A、実施例3)で洗浄し、そして17グレイン硬度の水ですすぎをおこなったが、17グレイン硬度はCaCOとして計算される約300ppmのCaおよびCaCOとして計算される約100ppmのMgに相当する。第2のグラスを、5gpgの硬度の水中に塩化マグネシウムを含む器物洗剤(配合A)で洗浄し、そして約48ppmのマグネシウム化合物をも含む5グレイン硬度の水ですすぎを行なった。このすすぎ水は、マグネシウム化合物以外はいかなる添加剤(例えばすすぎ補助剤)も含んでいなかった。
【0237】
器物洗い洗剤で洗浄し、すすぎを行い、そして乾燥した後に、この2つのグラス(図16)は同程度の透明度を示した。通常は、17グレインの硬水中で洗浄し、次いで水ですすぎを行なった場合には、軟水中(図16の左側のグラス)よりもより多くの斑点があるガラス製品をもたらすと予想される。5グレインの硬水中で洗浄し、次いで水ですすぎを行なった場合には、通常は透明なガラス製品をもたらし、このことは図16(右側のグラス)で確認される。この実験では、塩化マグネシウムを含む洗剤で洗浄し、および/またはマグネシウムイオンを含む水ですすぎを行なった場合は、硬水、例えば17グレインの硬水を用いた場合に通常観察される曇りが低減されるか、またはなくなった。低水準のマグネシウムイオンは、種々の水準の水の硬度において形成されるスケールの低減に有効であった。
【0238】
実施例5:水溶性マグネシウム塩を含む洗浄組成物は硬水からの汚れを斑点なしに取り除いた
驚くべきことに、界面活性剤への硬水イオン(Mg2+)の添加は、硬水での洗浄からの斑点が低減された硬質表面洗浄剤をもたらす。
【0239】
被覆剤として0.1%の反転(reverse)EO−PO共重合体、およびスケール抑制のために0.005%の塩化マグネシウムを含んだシャワー洗浄剤を調製した。黒色のセラミックタイルの半分を、マグネシウム塩を含む硬質表面洗浄剤で洗浄した。残り半分の一部を、マグネシウム塩を欠いた同じ組成物、すなわち0.1%の反転(reverse)EO−PO共重合体で洗浄した。残りの半分の他の部分は処理せずに残した。次いでこのタイルを17グレインの硬水ですすぎを行い、そして空気で乾燥させた。このタイルの水の斑点を目視で検査した。
【0240】
マグネシウム塩を含んだ硬質表面洗浄剤で処理した側には水の斑点は観察されなかった。慣用の洗浄剤(すなわち界面活性剤)で洗浄された部分およびタイルの洗浄されていない部分には、たくさんの水の斑点が見られた。
【0241】
実施例6:水溶性マグネシウム化合物はガラス洗浄剤による筋を低減した
驚くべきことに、硬水イオン(Mg2+)を含むガラス洗浄剤は、筋が低減されたガラスに洗浄した。
【0242】
配合Bの市販のガラス洗浄剤を、17グレインの硬水中で1:16に希釈し、そして窓を洗浄するのに用いた。1:16の希釈で、この配合Bのガラス洗浄剤は、17グレインの硬水に対抗するのに十分なビルダーが不足している。同じ窓の他の部分を、配合Bの1:16の希釈液で洗浄したが、この使用組成物はまた200ppmの塩化マグネシウムを含んでいた。
【0243】
【表20】

【0244】
この配合に水溶性マグネシウムを添加することで、ガラス上の筋が非常に低減されることが観察された。
【0245】
実施例7:ビルダーを含まない洗剤組成物中での水溶性マグネシウム化合物の使用
ビルダーを含む知られている慣用の洗浄組成物、すなわちエコラボインク(Ecolab Inc.)から商業的に入手可能なソリッドパワー(Solid Power)(登録商標)の効果を調べるために10サイクルの試験を行ない、この時、このビルダーを水溶性マグネシウム塩、例えばMgClで置き換えた。評価は、牛乳/グリースで汚されたグラスを、71℃(160°F)の温度で水で洗浄することを含んでいた。
【0246】
洗浄されたグラスの全てを、斑点、および残った汚れの膜についても目視で採点し、「1」は完全にきれいなグラス、そして「5」は斑点もしくは残った汚れの膜で全体的に覆われている。下記の表にグラスの等級の尺度をまとめた。
【0247】
【表21】

【0248】
結果を下記の表に示した。慣用の洗浄組成物もまた対照として用いた。
【0249】
【表22】

【0250】
この表から解るように、慣用のビルダーの代わりに水溶性マグネシウム化合物を含む本組成物は、ビルダーを含む慣用の洗剤よりも、洗浄において、大きいとは言わないまでも等しい結果を得た。
【0251】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容が違うように明確に指示していない限り、複数の対象も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物への言及は、2種またはそれ以上の化合物の混合物をも含んでいる。また、用語「または」は通常は、その内容が違うように明確に指示していない限り、「および/または」を含む意味で用いられていることに注意しなければならない。
【0252】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる用語「構成する」は、特定の課題を実行する、または特定の構成を採用するために構築または構成されたシステム、装置、または他の構造を表現していることに注意しなければならない。この用語「構成する」は、他の同様な言葉とともに、例えば、配置および構成する、構築および配置する、適用および構成する、適用する、構築する、製造および配置する、などのように、代替可能なように用いられる。
【0253】
この明細書中に全ての文献および特許出願は、本発明が属する技術分野の通常の技術水準を示すものである。全ての文献および特許出願は、それぞれの個別の文献または特許出願が具体的にそして個別に参照によって示されたのと同じ範囲で、ここに参照により組み込まれる。
【0254】
本発明を種々の具体的および好ましい態様および技術を参照して説明してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲の内に留まりながら、多くの変化および修正をなし得ることが理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器物の洗浄方法であって、器物を、水、水溶性マグネシウム塩、ならびにアルカリ源、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分、を含む組成物と接触させること(この水性組成物は接触の間に、マグネシウムイオンをカルシウムイオンのモル量と同じか、もしくはそれより過剰のモル量で含んでいる);および硬水斑点が容認可能な量であるこの器物を回収すること、を含む方法。
【請求項2】
前記の組成物がキレート剤を実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の組成物がイオン析出防止剤を実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記の組成物が接触の間にマグネシウムイオンを、カルシウムイオンの質量%の1/2以上の質量%で含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記の水溶性マグネシウム塩が可溶性カルシウム塩を形成するアニオンを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記のアルカリ源が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記のアルカリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸リチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記のアルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記の界面活性剤が、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性、またはそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記の界面活性剤がノニオン低泡性界面活性剤である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
硬水斑点の容認可能な量が、斑点のある表面の約4分の1以下を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記の水溶性マグネシウム塩が、難溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでおり、また前記の水性組成物が、接触の間にマグネシウムイオンを、カルシウムイオンのモル量の2倍以上のモル量で含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記の水溶性マグネシウム塩が、酢酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、臭化マグネシウム、臭素酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クロム酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、ヨウ素酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、それらの水和物、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
接触することが、器物のすすぎを行なうこと、または予浸をすることからなる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
接触することが、医療用機器のすすぎを行なうこと、または予浸をすることからなる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
カルシウム塩の沈殿を低減させることまたはスケールを低減させることまたは固体の堆積を低減させることを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記の組成物が、接触の間に、マグネシウムイオンを、カルシウムに対するマグネシウムのモル比が1以上で含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記の組成物が1質量%未満のリンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記の組成物が1質量%未満のリン酸塩を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
硬質表面の洗浄方法であって、硬質表面を、水、水溶性マグネシウム塩、ならびにアルカリ源、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分、を含む組成物と接触させること(この水性組成物は接触の間に、マグネシウムイオンをカルシウムイオンのモル量と同じか、もしくはそれより過剰のモル量で含んでいる);および硬水斑点が容認可能な量である硬質表面を得ること、を含む方法。
【請求項21】
前記の硬質表面が、セラミックタイル、窓、台所の硬質表面、すすぎ用器物、予浸用器物、医療用機器、車両、セラミックタイルおよび浴室表面からなる群から選ばれる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記の水溶性マグネシウム塩が可溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記の水溶性マグネシウム塩が、酢酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、臭化マグネシウム、臭素酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クロム酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、ヨウ素酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、それらの水和物、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記の水溶性マグネシウム塩が、難溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでおり、また前記の水性組成物が、接触の間にマグネシウムイオンを、カルシウムイオンのモル量の2倍以上のモル量で含んでいる、請求項20記載の方法。
【請求項25】
硬水斑点の容認可能な量が、斑点のある表面の約4分の1以下を含む、請求項20記載の方法。
【請求項26】
カルシウム塩の沈殿を低減させることまたはスケールを低減させることまたは固体の堆積を低減させることを更に含む、請求項20記載の方法。
【請求項27】
前記の水性組成物が、接触の間に、マグネシウムイオンを、カルシウムに対するマグネシウムのモル比が1以上で含む、請求項20記載の方法。
【請求項28】
器物を洗浄する方法であって、器物を自動器物洗機中で、水、水溶性マグネシウム塩、ならびにアルカリ源、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた成分、から本質的になる水性組成物と接触させること(この水性組成物は接触の間に、マグネシウムイオンをカルシウムイオンのモル量と同じか、もしくはそれより過剰のモル量で含んでいる);および硬水斑点が容認可能な量であるこの器物を回収すること、を含む方法。
【請求項29】
前記の水溶性マグネシウム塩が可溶性カルシウム塩を形成するアニオンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記の水溶性マグネシウム塩が、酢酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、臭化マグネシウム、臭素酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クロム酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、ヨウ素酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、それらの水和物、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記の水溶性マグネシウム塩が、難溶性のカルシウム塩を形成するアニオンを含んでおり、また前記の水性組成物が、接触の間にマグネシウムイオンを、カルシウムイオンのモル量の2倍以上のモル量で含んでいる、請求項28記載の方法。
【請求項32】
硬水斑点の容認可能な量が、斑点のある表面の約4分の1以下を含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
カルシウム塩の沈殿を低減させることまたはスケールを低減させることまたは固体の堆積を低減させることを更に含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記の水性組成物が、接触の間に、マグネシウムイオンを、カルシウムに対するマグネシウムのモル比が1以上で含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
約1〜約60質量%の水溶性マグネシウム塩、
約0〜約60質量%のアルカリ源、
約0〜約90質量%の水、および
約0〜約20質量%の界面活性剤、を含む洗浄剤組成物。
【請求項36】
前記の組成物が実質的にキレート剤を含まない、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
前記の組成物が約1〜約7%のキレート剤を更に含む、請求項35記載の組成物。
【請求項38】
前記の水性組成物が実質的にイオン析出防止剤を含まない、請求項35記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−526187(P2010−526187A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506697(P2010−506697)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062564
【国際公開番号】WO2008/137790
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】