説明

水田作業車

【課題】水田作業車において、右又は左のマーカーが自動的に作用姿勢に操作される機能及び作業装置が自動的に作業状態に操作される機能を備えた場合、両方の機能を適切に作動及び停止状態に設定することができるように構成する。
【解決手段】マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が作動する作動状態と、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が停止する停止状態とを設定するもので、人為的に操作される単一の人為操作具46を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の水田作業車における水田での旋回の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業車の一例である乗用型田植機では、一回の作業行程が終了して機体が畦際に達すると、苗植付装置(作業装置に相当)に動力を伝達する植付クラッチを遮断状態に操作し(非作業状態に相当)、苗植付装置を田面から上昇させて(非作業状態に相当)、旋回を行う(略Uターンするような旋回)。旋回が終了すると、苗植付装置を田面に下降させ(作業状態に相当)、植付クラッチを伝動状態に操作して(作業状態に相当)、次の作業行程に入る。
【0003】
例えば特許文献1では、乗用型田植機において、右及び左の後輪の回転数を検出する右及び左の回転数センサー(特許文献1の図2及び図6の50)が備えられており、機体が畦際に達して旋回が開始されると、旋回中心側の回転数センサーにより機体の走行距離の検出(積算)が開始される(特許文献1の図7のステップS101,S102)。
【0004】
機体の走行距離が設定距離に達すると旋回が終了したと判断されて、苗植付装置が田面に自動的に下降し(特許文献1の図8のステップS14)(作業状態に相当)、植付クラッチ(特許文献1の図6の26)が自動的に伝動状態に操作されて(特許文献1の図8のステップS20)(非作業状態に相当)、苗植付装置による苗の植え付けが自動的に開始される。これにより、旋回の終了時に運転者が昇降レバー等によって、苗植付装置を田面に下降させたり植付クラッチを伝動状態に操作しなくてもよいようにしている。
【0005】
特許文献1では、田面に接地して次の作業行程の指標を田面に形成する作用姿勢と田面から上方の格納姿勢とに操作自在な右及び左のマーカー(特許文献1の図1及び図6の19)を備えている。
この場合、特許文献2では、右及び左のマーカーに対して、オートマーカー手段(マーカー操作手段に相当)を備えており、オートマーカー手段は以下のように作動する。
【0006】
例えば、左のマーカーが作用姿勢に操作され、右のマーカーが格納姿勢に操作された状態で、作業装置を田面から上昇させると、左のマーカーが格納姿勢に操作される(右のマーカーも格納姿勢に維持される)。次に旋回が終了して作業装置を田面に下降させると、左のマーカーが格納姿勢に維持された状態で、右のマーカーが作用姿勢に操作される。これにより、作業装置を田面に下降させた際に、運転者が操作レバーを操作することによって、右又は左のマーカーを作用姿勢に操作するようなことを行う必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−230302号公報
【特許文献2】特開2004−187637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水田作業車において、作業装置の昇降に伴って右又は左のマーカーが自動的に作用姿勢に操作される機能、及び、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置が自動的に作業状態に操作される機能を備えた場合、両方の機能を適切に作動及び停止状態に設定することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、水田作業車において次のように構成することにある。
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作自在に構成し、
田面に接地して次の作業行程の指標を田面に形成する作用姿勢と田面から上方の格納姿勢とに操作自在な右及び左のマーカーを備えて、
前記作業装置の田面からの上昇に伴って、作用姿勢の前記右又は左のマーカーを格納姿勢に操作し、前記作業装置の田面への下降に伴って、前記作業装置の田面からの上昇に伴って格納姿勢に操作された前記右又は左のマーカーとは反対側のマーカーを作用姿勢に操作するマーカー操作手段を備え、
機体の旋回開始に伴って機体の旋回行程の位置を検出する機体位置検出手段と、前記機体位置検出手段の検出に基づいて旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段と、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて前記作業装置を作業状態に操作する作業装置操作手段とを備えて、
前記マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が作動する作動状態と、前記マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が停止する停止状態とを設定するもので、人為的に操作される単一の人為操作具を備える。
【0010】
本発明の第2特徴は、水田作業車において次のように構成することにある。
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作自在に構成し、
田面に接地して次の作業行程の指標を田面に形成する作用姿勢と田面から上方の格納姿勢とに操作自在な右及び左のマーカーを備えて、
前記作業装置の田面からの上昇に伴って、作用姿勢の前記右又は左のマーカーを格納姿勢に操作し、前記作業装置の田面への下降に伴って、前記作業装置の田面からの上昇に伴って格納姿勢に操作された前記右又は左のマーカーとは反対側のマーカーを作用姿勢に操作するマーカー操作手段を備え、
機体の旋回開始に伴って機体の旋回行程の位置を検出する機体位置検出手段と、前記機体位置検出手段の検出に基づいて旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段と、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて前記作業装置を作業状態に操作する作業装置操作手段とを備えて、
前記マーカー操作手段を作動及び停止状態に操作するもので人為的に操作される第1人為操作具と、前記作業装置操作手段を作動及び停止状態に操作するもので人為的に操作される第2人為操作具とを備え、
前記第1及び第2人為操作具の一方が作動状態に操作されると、これに連動して前記第1及び第2人為操作具の他方が作動状態に操作され、前記第1及び第2人為操作具の一方が停止状態に操作されると、これに連動して前記第1及び第2人為操作具の他方が停止状態に操作されるように、前記第1及び第2人為操作具を連係する。
【0011】
(作用)
[I]−1
水田作業車の一例である乗用型田植機では、例えば平面視で四角形の水田において、図6及び図7に示すような作業形態を採用することがある。
例えば、最初に図6に示す位置K1に機体を位置させて、苗植付装置5を田面に下降させ、左のマーカー19を作用姿勢(右のマーカー19は格納姿勢)に操作する。この状態において、植付クラッチを遮断状態に操作して畦Bに沿って走行し、左のマーカー19により作業行程L01の指標を田面に形成する(空作業行程LA1)。空作業行程LA1において植付クラッチを伝動状態に操作しないのに、苗植付装置5を田面に下降させて走行するのは、前輪及び後輪の通過跡を苗植付装置5のフロートによって消す為である。
【0012】
例えば図6に示すように、空作業行程LA1から機体が畦際に達すると、苗植付装置5を田面から上昇させて旋回LL1を行い(左のマーカー19が格納姿勢に操作される)、苗植付装置5を田面に下降させ、植付クラッチを伝動状態に操作して、作業行程L01に入る。作業行程L01において、右のマーカー19を作用姿勢に操作し(左のマーカー19は格納姿勢)、空作業行程LA1において田面に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付けを行いながら、右のマーカー19により次の作業行程L02の指標を田面に形成する。
【0013】
例えば図6に示すように、作業行程L01から機体が畦際に達すると、植付クラッチを遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面から上昇させて旋回LL2を行い(右のマーカー19が格納姿勢に操作される)、苗植付装置5を田面に下降させ、植付クラッチを伝動状態に操作して、次の作業行程L02に入る。作業行程L02において、左のマーカー19を作用姿勢に操作し(右のマーカー19は格納姿勢)、前回の作業行程L01において田面に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付けを行いながら、左のマーカー19により次の作業行程L03の指標を田面に形成する。
【0014】
[I]−2
例えば図6及び図7に示すように、複数回の作業行程L01,L02,L03,L04,L05及び旋回LL1,LL2,LL3,LL4,LL5を行うと、4つの畦Bに沿って苗の植え付けられていない部分が形成される。この状態において作業行程L05から機体が畦際に達すると、植付クラッチを遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面から上昇させて旋回LL6を行い、K2に示す位置に機体を位置させる。
K2に示す位置において、苗植付装置5を田面に下降させ、植付クラッチを伝動状態に操作して、回り作業行程LB1に入る。回り作業行程LB1において、機体の左側に畦Bが存在し、機体の右側に作業行程L05で植え付けられた苗が存在するので、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作しておく。
【0015】
例えば図7に示すように、回り作業行程LB1から機体が畦際に達すると、植付クラッチを遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面から上昇させて90度の旋回及び後進を行うことにより、位置K3に機体を位置させ、苗植付装置5を田面に下降させ、植付クラッチを伝動状態に操作して、回り作業行程LB2に入る。回り作業行程LB2において、前回の回り作業行程LB1と同様に、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作しておく。
【0016】
例えば図7に示すように、同様にして2回の回り作業行程LB3,LB4(苗植付装置5を田面に下降させ、植付クラッチを伝動状態に操作して、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作)を行う。回り作業行程LB3は図6に示す空作業行程LA1を逆方向に走行することになり、回り作業行程LB4を終了すると、機体は旋回LL6を行った位置に達する。この後、旋回LL6を行った位置の近傍の水田の出口から機体を出す。
以上のように、例えば図6及び図7に示すような平面視で四角形の水田において、1回の空作業行程LA1、複数回の作業行程L01〜L05及び4回の回り作業行程LB1〜LB4を行うことにより、水田の全ての部分に苗の植え付けを行うことができる。
【0017】
[I]−3
前項[I]−1に記載のように、例えば図6に示すような平面視で四角形の水田において、空作業行程LA1から作業行程L01に入る場合、旋回LL1は略Uターンするような一般的(定型的)な旋回であり、旋回LL1において格納姿勢に操作されたマーカー19とは反対側のマーカー19を、作業行程L01において作用姿勢に操作する(空作業行程LA1では左のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L01では右のマーカー19を作用姿勢に操作する)。
同様に作業行程から次の作業行程に入る場合、旋回LL2〜LL5は略Uターンするような一般的(定型的)な旋回であり、旋回LL2〜LL5において格納姿勢に操作されたマーカーとは反対側のマーカーを、次の作業行程において作用姿勢に操作する。
【0018】
これにより、空作業行程から作業行程に入る場合、及び、作業行程から次の作業行程に入る場合において、作業装置が自動的に作業状態に操作されるようにすることは適切であり、作業装置の上昇に伴って格納姿勢に操作された右又は左のマーカーとは反対側のマーカーが自動的に作用姿勢に操作されるようにすることは適切である。
このことについて言い換えると、マーカー操作手段を作動状態に設定し、作業装置操作手段を停止状態に設定することは適切ではなく、同様にマーカー操作手段を停止状態に設定し、作業装置操作手段を作動状態に設定することは適切ではない。
【0019】
本発明の第1特徴によると、単一の人為操作具により、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が作動する作動状態を設定することができる。
本発明の第2特徴によると、第1人為操作具によりマーカー操作手段を作動状態に設定すると、これに連動して第2人為操作具が操作されて、作業装置操作手段が作動状態に設定される。第2人為操作具により作業装置操作手段を作動状態に設定すると、これに連動して第1人為操作具が操作されて、マーカー操作手段が作動状態に設定される。
【0020】
従って、本発明の第1及び第2特徴によると、空作業行程から作業行程に入る場合、及び作業行程から次の作業行程に入る場合において、運転者は人為操作具(第1人為操作具)(第2人為操作具)を操作することにより、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が作動する作動状態を設定することができるのであり、一つの人為操作具を操作してマーカー操作手段を作動状態に設定し、次に別の人為操作具を操作して作業装置操作手段を作動状態に設定するようなことを行う必要がない。
【0021】
本発明の第1及び第2特徴によると、人為操作具(第1及び第2人為操作具)を操作することにより、マーカー操作手段を作動状態に設定し、作業装置操作手段を停止状態に設定することはできず、マーカー操作手段を停止状態に設定し、作業装置操作手段を作動状態に設定することはできない。これにより、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の一方が作動状態で、他方が停止状態と言うような適切ではない状態は生じない。
【0022】
[I]−4
前項[I]−1に対して、前項[I]−2に記載のように、例えば図7に示すように、回り作業行程LB1から次の回り作業行程LB2に入る場合、回り作業行程LB2から次の回り作業行程LB3に入る場合、回り作業行程LB3から次の回り作業行程LB4に入る場合、90度の旋回及び後進を行うことがあり、空作業行程LA1から作業行程L01に入る場合の旋回LL1や、作業行程L01から次の作業行程L02に入る場合の旋回LL2〜LL5とは異なる旋回となっている。
回り作業行程KB1〜LB4から次の回り作業行程LB1〜LB4に入る場合、右又は左のマーカー19を作用姿勢に操作することはなく、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作している。
【0023】
これにより、回り作業行程から次の回り作業行程に入る場合、作業装置が自動的に作業状態に操作されるようにすることは適切ではなく、作業装置の上昇に伴って格納姿勢に操作された右又は左のマーカーとは反対側のマーカーが自動的に作用姿勢に操作されるようにすることは適切ではない。
このことについて言い換えると、マーカー操作手段を作動状態に設定し、作業装置操作手段を停止状態に設定することは適切ではなく、同様にマーカー操作手段を停止状態に設定し、作業装置操作手段を作動状態に設定することは適切ではない。
【0024】
本発明の第1特徴によると、単一の人為操作具により、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が停止する停止状態を設定することができる。
本発明の第2特徴によると、第1人為操作具によりマーカー操作手段を停止状態に設定すると、これに連動して第2人為操作具が操作されて、作業装置操作手段が停止状態に設定される。第2人為操作具により作業装置操作手段を停止状態に設定すると、これに連動して第1人為操作具が操作されて、マーカー操作手段が停止状態に設定される。
【0025】
従って、本発明の第1及び第2特徴によると、回り作業行程から次の回り作業行程に入る場合において、運転者は人為操作具(第1人為操作具)(第2人為操作具)を操作することにより、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が停止する停止状態を設定することができるのであり、一つの人為操作具を操作してマーカー操作手段を停止状態に設定し、次に別の人為操作具を操作して作業装置操作手段を停止状態に設定するようなことを行う必要がない。
【0026】
本発明の第1及び第2特徴によると、人為操作具(第1及び第2人為操作具)を操作することにより、マーカー操作手段を作動状態に設定し、作業装置操作手段を停止状態に設定することはできず、マーカー操作手段を停止状態に設定し、作業装置操作手段を作動状態に設定することはできない。これにより、マーカー操作手段及び作業装置操作手段の一方が作動状態で、他方が停止状態と言うような適切ではない状態は生じない。
【0027】
(発明の効果)
本発明の第1及び第2特徴によると、マーカー操作手段(作業装置の昇降に伴って右又は左のマーカーが自動的に作用姿勢に操作される機能)、及び作業装置操作手段(旋回終了位置の検出に基づいて作業装置が自動的に作業状態に操作される機能)を備えた場合、マーカー操作手段及び作業装置操作手段を適切に作動及び停止状態に設定することができるようになって、水田作業車の操作性を向上させることができた。
【0028】
[II]
本発明の第3特徴は、第1又は第2特徴の水田作業車において次のように構成することにある。
機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、前輪の直進位置からの操向角度を検出する操向角度検出手段とを備え、
前記機体の走行距離と前輪の直進位置からの操向角度とにより、機体の旋回半径と、機体の旋回中心に対して機体が移動した移動角度とを検出し、前記機体の旋回半径と移動角度とに基づいて三角関数により、前記旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置を検出して、前記旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置を前記機体の旋回行程の位置として検出するように、前記機体位置検出手段を構成する。
【0029】
(作用)
前項[I]−1,3において、機体の旋回開始に伴って機体の旋回行程の位置を検出する構成としては、旋回開始からの機体の走行距離を検出して、機体の旋回行程の位置とするように構成することがある。この構成は、水田作業車の畦際での旋回が同じような旋回(定型的な旋回)であるとの考え方に基づいており、旋回開始からの機体の走行距離により機体の旋回行程の位置が導き出されるとの考え方である。
しかしながら、運転者の操縦の違いにより畦際での旋回が想定よりも大きくなったり小さくなったりすると、前述の構成では「定型的な旋回」と言う前提条件が崩れるので、旋回開始からの機体の走行距離だけでは、機体の旋回行程の位置が精度良く検出することができない。
【0030】
本発明の第3特徴によると、機体の走行距離と前輪の直進位置からの操向角度とを使用しており、機体の走行距離に対して前輪の直進位置からの操向角度を加味することによって、機体がどの方向にどれたけ進行したのかを検出することができる。機体がどの方向にどれだけ進行したのかを検出することができれば、畦際での旋回が想定よりも大きくなったり小さくなったりしても、これに関係なく、旋回開始前(例えば図8のL01参照)の機体の進行方向(例えば図8の(+Y)(−Y)参照)における機体の位置(例えば図9(b)のY1参照)を検出することができる。
【0031】
例えば図9(a)(b)に示すように、機体の走行距離Gと前輪1の直進位置A1からの操向角度Aとによって、機体の旋回半径Rと、機体の旋回中心Cに対して機体が移動した移動角度θとを検出することができる(例えば、前輪1及び後輪2のホイルベースWや前輪1の直進位置A1からの操向角度A等に基づいて、機体の旋回中心C及び旋回半径Rを検出し、機体の旋回中心C及び旋回半径Rと機体の走行距離Gとに基づいて、機体の移動角度θを検出する)。機体の旋回半径と移動角度とを検出することにより、旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置を、三角関数により精度よく検出することができる(例えば図9(b)において、R*SIN(θ)によりY1を検出する)。
【0032】
これにより、本発明の第3特徴によると、畦際での旋回が想定よりも大きくなったり小さくなったりしても、これに関係なく、旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置を、機体の旋回行程の位置として精度良く検出することができるのであり、機体の旋回行程の位置に基づいて旋回終了位置を精度良く検出することができる。
【0033】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置を、機体の旋回行程の位置として検出することにより、旋回終了位置を精度良く検出することができ、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置を適切に作業状態に操作することができるようになって、水田作業車の作業性能を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】右及び左の前輪の操向操作系、右及び左の前輪、右及び左の後輪への伝動系を示す平面図である。
【図3】制御装置に備えられた機体位置検出手段、旋回開始位置検出手段、旋回終了位置検出手段、マーカー操作手段、作業装置操作手段、旋回方向検出手段、記憶手段、自動昇降制御手段、設定スイッチの制御系を示す図である。
【図4】畦際での旋回の制御の前半の流れを示す図である。
【図5】畦際での旋回の制御の後半の流れを示す図である。
【図6】水田での乗用型田植機の作業形態(空作業行程及び作業行程)を示す平面図である。
【図7】水田での乗用型田植機の作業形態(回り作業行程)を示す平面図である。
【図8】畦際での旋回の状態を示す平面図である。
【図9】(a)はホイルベース、前輪の直進位置からの操向角度、機体の旋回中心、機体の旋回半径を検出する状態を示す平面図である。(b)は機体の旋回半径及び移動角度により作業行程の機体の進行方向での機体の位置を検出する状態を示す平面図である。
【図10】発明を実施するための第1別形態において、制御装置に備えられた機体位置検出手段、旋回開始位置検出手段、旋回終了位置検出手段、マーカー操作手段、作業装置操作手段、旋回方向検出手段、記憶手段、自動昇降制御手段、設定スイッチの制御系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部にリンク機構3が昇降自在に支持されて、リンク機構3を昇降駆動する単動型の油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、水田作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。水田は一般に下方の硬い耕盤G1の上に泥や水の層が形成されて、泥や水の層の最上面が田面G2となっており、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2は耕盤G1に接地して走行する。
【0036】
図1に示すように、苗植付装置5は、3個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の左右に回転駆動自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、複数のフロート9、苗のせ台10等を備えて、6条植型式に構成されている。運転座席13の後側に、粉粒状の肥料を貯留するホッパー14及び2条単位の3個の繰り出し部15(作業装置に相当)が備えられて、運転座席13の下側にブロア16が備えられている。フロート9に作溝器17が備えられて、繰り出し部15と作溝器17とに亘ってホース18が接続されている。
【0037】
図1及び図3に示すように、右及び左のマーカー19が苗植付装置5の右及び左側部に備えられており、田面G2に接地して指標を形成する作用姿勢(図1参照)、及び田面G2から上方に離れた格納姿勢(図3参照)に操作自在に構成されている。右及び左のマーカー19は上下に揺動自在に苗植付装置5に支持されたアーム部19aと、アーム部19aの先端部に自由回転自在に支持された回転体19bとを備えて構成されており、右及び左のマーカー19を作用姿勢及び格納姿勢に操作する電動モータ21が備えられて、制御装置23により電動モータ21が操作される。
【0038】
[2]
次に、右及び左の前輪1への伝動系について説明する。
図2に示すように、エンジン31の動力が伝動ベルト32を介して静油圧式無段変速装置33及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。静油圧式無段変速装置33は中立位置から前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、図1に示すように、操縦ハンドル20の左横側に備えられた変速レバー45により静油圧式無段変速装置33を操作する。
【0039】
図2に示すように、ミッションケース34の下部の縦軸芯P2周りに、平面視台形状の操向部材41が揺動自在に支持されて、操縦ハンドル20により操向部材41が揺動操作されるように構成されており、操向部材41と右及び左の前輪1とに亘ってタイロッド42が接続されている。これにより、操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1(操向部材41)を直進位置A1から、右及び左の操向限度A3に亘って操向操作することができる。
【0040】
図1及び図2に示すように、ミッションケース34の後部と機体フレーム66とに亘って補強用の右及び左のフレーム49が連結されている。左のフレーム49の機体内方側にポテンショメータ47(操向角度検出手段に相当)が固定されて、操向部材41とポテンショメータ47の検出アーム47aとに亘って連係ロッド48が接続されている。
【0041】
図2及び図3に示すように、ポテンショメータ47により操向部材41の位置が検出され、ポテンショメータ47の検出値が制御装置23に入力されており、ポテンショメータ47の検出値によって、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが検出される。
【0042】
[3]
次に、右及び左の後輪2への伝動系について説明する。
図2に示すように、ミッションケース34の副変速装置の動力が伝動軸36、後車軸ケース37の入力軸38、入力軸38に固定されたベベルギヤ38a、ベベルギヤ38aに咬合するベベルギヤ39a、ベベルギヤ39aが固定された伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ40、右及び左の車軸65を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0043】
図2に示すように、右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板型式に構成されて、伝動状態に付勢されている。右及び左のサイドクラッチ40を遮断状態に操作する右及び左の操作軸43が、後車軸ケース37に下向きに支持されて、操向部材41と右及び左の操作軸43とに亘り右及び左の操作ロッド44が接続されている。右及び左の操作ロッド44において右及び左の操作軸43との接続部分に、融通としての長孔44aが備えられている。
【0044】
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲で操向操作されていると、右及び左の操作ロッド44の長孔44aの融通によって、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、機体は前進(後進)する。
【0045】
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側に操向操作されると、右の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて右の操作ロッド44が引き操作されて、右の操作軸43により右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は右に旋回する。
【0046】
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が左の設定角度A2を越えて左の操向限度A3側に操向操作されると、左の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて左の操作ロッド44が引き操作されて、左の操作軸43により左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は左に旋回する。
【0047】
図2及び図3に示すように、右及び左の回転数センサー50(走行距離検出手段に相当)が後車軸ケース37に備えられて、右及び左の回転数センサー50により右及び左のサイドクラッチ40の伝動下手側の回転数を検出するように構成されており、右及び左の回転数センサー50の検出値が制御装置23に入力されている。これにより、右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態及び遮断状態に関係なく、右及び左の回転数センサー50により右及び左の後輪2の回転数が検出される。
【0048】
[4]
次に、苗植付装置5及び繰り出し部15への伝動系について説明する。
図1及び図3に示すように、静油圧式無段変速装置33と副変速装置との間から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達される。静油圧式無段変速装置33と副変速装置との間から分岐した動力が、施肥クラッチ27及び駆動ロッド30を介して繰り出し部15に伝達されており、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられている。
【0049】
図1及び図3に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面G2に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
【0050】
図1及び図3に示すように、施肥クラッチ27が伝動状態に操作されると、ホッパー14から肥料が所定量ずつ繰り出し部15によって繰り出され、ブロア16の送風により肥料がホース18を通って作溝器17に供給されるのであり、作溝器17を介して肥料が田面G2に供給される。施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部15が停止して、田面G2への肥料の供給が停止する。
【0051】
[5]
次に、苗植付装置5の自動昇降制御手段61について説明する。
図3に示すように、自動昇降制御手段61が制御装置23に備えられている。苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ22が備えられており、ポテンショメータ22の検出値が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央のフロート9が田面G2に接地追従するのであり、ポテンショメータ22の検出値により苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出することによって、田面G2(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0052】
図3に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が備えられており、制御装置23により制御弁24が操作される。制御弁24により油圧シリンダ4に作動油が供給されると、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、制御弁24により油圧シリンダ4から作動油が排出されると、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。
【0053】
図3に示すように、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さ(田面G2(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さ)に基づいて、苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、制御弁24が操作され、油圧シリンダ4が伸縮作動して、苗植付装置5が自動的に昇降する(以上、自動昇降制御手段61の作動状態)。
【0054】
[6]
次に、昇降レバー11について説明する。
図1及び図3に示すように、運転座席13の右横側に昇降レバー11が備えられ、昇降レバー11は自動位置、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作及び保持自在に構成されており、昇降レバー11の操作位置が制御装置23に入力されている。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ29が備えられて、ポテンショメータ29の検出値が制御装置23に入力されており、機体に対するリンク機構3の上下角度を検出することによって、機体に対する苗植付装置5の高さを検出することができる。
【0055】
図3に示すように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作した状態(昇降レバー11を自動位置に操作していない状態)において、以下の説明のように制御装置23により、制御弁24及び電動モータ21,28が操作されて、油圧シリンダ4、植付及び施肥クラッチ26,27、右及び左のマーカー19が操作される。この場合、後述する[7]に記載の操作レバー12の上昇位置U及び下降位置Dの機能は作動せず、操作レバー12の右及び左マーカー位置R,Lの機能だけが作動する。
【0056】
図3に示すように、昇降レバー11を上昇位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作されて、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。昇降レバー11を上昇位置に操作した状態で、苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
【0057】
図3に示すように、昇降レバー11を下降位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が田面G2に接地すると自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)。
【0058】
図3に示すように、昇降レバー11を中立位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が停止する。
このように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置及び下降位置に操作することによって、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
図3に示すように、昇降レバー11を植付位置に操作すると、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、自動昇降制御手段61が作動し、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
【0059】
[7]
次に、操作レバー12について説明する。
図1及び図3に示すように、操縦ハンドル20の下側の右横側に操作レバー12が備えられ、操作レバー12が右の横外方に延出されている。操作レバー12は中立位置Nから上方の上昇位置U、下方の下降位置D、後方の右マーカー位置R及び前方の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー12の操作位置が制御装置23に入力されている。
【0060】
昇降レバー11を自動位置に操作した状態において、以下の説明ように、操作レバー12の操作に基づいて、制御装置23により制御弁24及び電動モータ21,28が操作されて、油圧シリンダ4、植付及び施肥クラッチ26,27、右及び左のマーカー19が操作される。
【0061】
図3に示すように、操作レバー12を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御手段61が停止し、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、後述するように右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
【0062】
図3に示すように、操作レバー12を下降位置Dに操作すると(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作すると)、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が田面G2に接地すると、自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)。
【0063】
前述のように、操作レバー12を下降位置Dに操作した後(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作した後)、操作レバー12を再び下降位置Dに操作すると(再び下降位置Dに操作して中立位置Nに操作すると)、自動昇降制御手段61が作動した状態で、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
【0064】
図3に示すように、ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも低い状態において、以下のような操作が行われる。
右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第1設定時間(比較的短い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作される。
右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第2設定時間(第1設定時間よりも長い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作される。
【0065】
図3に示すように、苗植付装置5が上昇して、ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも高くなると、作用姿勢の右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される。ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも高い状態では、前述のように操作レバー12を右及び左マーカー位置R,Lに操作しても、これに関係なく右及び左のマーカー19が格納姿勢に維持される。
【0066】
[8]
次に、乗用型田植機の作業形態について説明する。
例えば図6及び図7に示すように、平面視で四角形の水田において、乗用型田植機は以下のような作業形態を採用することがある。
【0067】
例えば、最初に図6に示す位置K1に機体を位置させて、苗植付装置5を田面G2に下降させ、左のマーカー19を作用姿勢(右のマーカー19は格納姿勢)に操作する。この状態において、植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態に操作して畦Bに沿って走行し、左のマーカー19により次の作業行程L01の指標を田面に形成する(空作業行程LA1)。空作業行程LA1において、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作しないのに、苗植付装置5を田面G2に下降させて走行するのは、前輪1及び後輪2の通過跡を苗植付装置5のフロート9によって消す為である。
【0068】
図6に示すように、空作業行程LA1から機体が畦際に達すると、苗植付装置5を田面G2から上昇させて、旋回LL1(左方向)を行い、苗植付装置5を田面G2に下降させて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作して、作業行程L01に入る。作業行程L01において、左のマーカー19を格納姿勢に操作し、右のマーカー19を作用姿勢に操作して、空作業行程LA1において田面G2に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付け及び田面G2への肥料の供給を行いながら、右のマーカー19により次の作業行程L02の指標を田面G2に形成する。
【0069】
図6に示すように作業行程L01から機体が畦際に達すると、植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面G2から上昇させて、旋回LL2(右方向)を行い、苗植付装置5を田面G2に下降させて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作して、作業行程L02に入る。作業行程L02において、右のマーカー19を格納姿勢に操作し、左のマーカー19を作用姿勢に操作して、作業行程L01において田面G2に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付け及び田面G2への肥料の供給を行いながら、左のマーカー19により次の作業行程L03の指標を田面G2に形成する。
【0070】
図6及び図7に示すように、複数回の作業行程L01,L02,L03,L04,L05及び旋回LL1(左方向),LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)を行うと、畦Bに沿って苗の植え付け及び肥料の供給が行われていない部分が形成される。この状態において、作業行程L05から機体が畦際に達すると、植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面G2から上昇させて、旋回LL6(右方向)を行い、K2に示す位置に機体を位置させる。
【0071】
K2に示す位置において、苗植付装置5を田面G2に下降させて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作して、回り作業行程LB1に入る。回り作業行程LB1において、機体の左側に畦Bが存在し、機体の右側に作業行程L05で植え付けられた苗が存在するので、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作しておく。
【0072】
図7に示すように、回り作業行程LB1から機体が畦際に達すると、植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態に操作し、苗植付装置5田面G2からを上昇させて、90度の旋回及び後進を行うことにより、位置K3に機体を位置させ、苗植付装置5を田面G2に下降させて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作して、次の回り作業行程LB2に入る。回り作業行程LB2において、回り作業行程LB1と同様に、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作しておく。
【0073】
この後に、図7に示すように、同様にして2回の回り作業行程LB3,LB4(苗植付装置5を田面G2に下降させて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作し、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作)を行う。回り作業行程LB3は図6に示す空作業行程LA1を逆方向に走行することになり、回り作業行程LB4を終了すると、機体は旋回LL6(右方向)を行った位置に達する。この後、旋回LL6(右方向)を行った位置の近傍の水田の出口から機体を出す。
【0074】
以上のように、例えば図6及び図7に示すような平面視で四角形の水田において、1回の空作業行程LA1、複数回の作業行程L01〜L05及び4回の回り作業行程LB1〜LB4を行うことにより、水田の全ての部分に苗の植え付け及び田面G2への肥料の供給を行うことができる。
【0075】
[9]
次に、旋回でマーカー操作手段54及び作業装置操作手段55について説明する。
作業装置操作手段55は、後述する[16]に記載のように、旋回終了位置検出手段53の検出に基づいて、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動状態に操作するものである(旋回終了位置検出手段53の検出に基づいて作業装置5を作業状態に操作する状態に相当)。
【0076】
マーカー操作手段54は、後述する[13][16]に記載のように、苗植付装置5の田面G2からの上昇に伴って、作用姿勢の右又は左のマーカー19を格納姿勢に操作し、畦際での旋回を行った場合、苗植付装置5の田面G2への下降に伴って、機体の旋回方向とは反対側の右又は左のマーカー19を作用姿勢に操作するものである。
【0077】
前述のマーカー操作手段54について言い換えれば、図6の作業行程L01に示すように、例えば右のマーカー19を作用姿勢に操作した状態(左のマーカー19は格納姿勢)で機体が畦際に達すると、苗植付装置5の田面G2からの上昇に伴って、右のマーカー19を格納姿勢に操作し、旋回LL2(右方向)を行って次の作業行程L02に入るのであり、機体の旋回方向(右方向)とは反対側の左のマーカー19を作用姿勢に操作する。
【0078】
図6に示す作業行程L01,L02及び旋回LL2(右方向)に例えて言えば、マーカー操作手段54は、苗植付装置5の田面G2からの上昇に伴って、作用姿勢の右のマーカー19を格納姿勢に操作し、苗植付装置5の田面G2への下降に伴って、苗植付装置5の田面G2からの上昇に伴って格納姿勢に操作された右のマーカー19とは反対側の左のマーカー19を作用姿勢に操作するものである。
【0079】
これによって、機体の旋回方向とは反対側の右又は左のマーカー19を作用姿勢に操作することと、苗植付装置5(作業装置)の田面G2からの上昇に伴って格納姿勢に操作された右又は左のマーカー19とは反対側のマーカー19を作用姿勢に操作することとは、同義である。
【0080】
[10]
次に、前項[8]、図6及び図7に示す空作業行程LA1、作業行程L01〜L05、回り作業行程LB1〜LB4に関して、どのような状態において、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55を作動状態とすべきかについて説明する。
【0081】
図3に示すように、人為的に操作自在な単一の設定スイッチ46(人為操作具に相当)が操縦ハンドル20の近傍に備えられ、設定スイッチ46が作動位置及び停止位置に操作自在に構成されており、設定スイッチ46の操作位置が制御装置23に入力されている。設定スイッチ46を作動位置に操作すると、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が作動する作動状態が設定されるのであり、設定スイッチ46を停止位置に操作すると、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が停止する停止状態が設定される。従って、設定スイッチ46により、マーカー操作手段54が作動状態で作業装置操作手段55が停止状態と言う状態は設定できない。同様に、設定スイッチ46により、マーカー操作手段54が停止状態で作業装置操作手段55が作動状態と言う状態は設定できない。
【0082】
前項[8]の記載及び図6に示すように、空作業行程LA1から作業行程L01に入る場合、旋回LL1(左方向)は略Uターンするような一般的(定型的)な旋回であり、旋回LL1(左方向)において格納姿勢に操作された左のマーカー19とは反対側の右のマーカー19を、作業行程L01において作用姿勢に操作する(空作業行程LA1では左のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L01では右のマーカー19を作用姿勢に操作する)。
【0083】
前項[8]の記載及び図6に示すように、作業行程L01から次の作業行程L02に入る場合、作業行程L02から次の作業行程L03に入る場合、作業行程L03から次の作業行程L04に入る場合、作業行程L04から次の作業行程L05に入る場合、旋回LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)は、略Uターンするような一般的(定型的)な旋回である。
【0084】
前項[8]の記載及び図6に示すように、作業行程L01から次の作業行程L02に入る場合、作業行程L02から次の作業行程L03に入る場合、作業行程L03から次の作業行程L04に入る場合、作業行程L04から次の作業行程L05に入る場合、旋回LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)において格納姿勢に操作されたマーカー19とは反対側のマーカー19を、次の作業行程L01〜L05において作用姿勢に操作する。
【0085】
前項[8]の記載及び図6に示すように、作業行程L01では右のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L02では左のマーカー19を作用姿勢に操作する。作業行程L02では左のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L03では右のマーカー19を作用姿勢に操作する。
作業行程L03では右のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L04では左のマーカー19を作用姿勢に操作する。作業行程L04では左のマーカー19を作用姿勢に操作していたのに対し、作業行程L05では右のマーカー19を作用姿勢に操作する(但し、図6及び図7に示すように、作業行程L05では次に回り作業行程LB1に入るので、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作することもある)。
【0086】
これにより、空作業行程LA1から作業行程L01に入る場合、及び、作業行程L01〜L05から次の作業行程L01〜L05に入る場合において、マーカー操作手段54が作動する作動状態を設定することは適切であり、作業装置操作手段55が作動する作動状態を設定することは適切である。従って、運転者は設定スイッチ46を作動位置に操作して、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が作動する作動状態を設定すればよい。
【0087】
[11]
次に、前項[8]、図6及び図7に示す空作業行程LA1、作業行程L01〜L05、回り作業行程LB1〜LB4に関して、どのような状態において、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55を停止状態とすべきかについて説明する。
【0088】
前項[8]の記載、図6及び図7に示すように、回り作業行程LB1から次の回り作業行程LB2に入る場合、回り作業行程LB2から次の回り作業行程LB3に入る場合、回り作業行程LB3から次の回り作業行程LB4に入る場合に、90度の旋回及び後進を行うことがあり、空作業行程LA1から作業行程L01に入る場合の旋回LL1(左方向)や、作業行程L01〜L05から次の作業行程L01〜L05に入る場合の旋回LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)とは異なる旋回となっている。
回り作業行程KB1〜LB4から次の回り作業行程LB1〜LB4に入る場合、右又は左のマーカー19を作用姿勢に操作することはなく、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作している。
【0089】
これにより、回り作業行程LB1〜LB4から次の回り作業行程LB1〜LB4に入る場合、マーカー操作手段54が作動する作動状態を設定することは適切ではなく、作業装置操作手段55が作動する作動状態を設定することは適切ではない。従って、運転者は設定スイッチ46を停止位置に操作して、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が停止する停止状態を設定すればよい。
【0090】
前項[8]の記載、図6及び図7に示すように、作業行程L05から回り作業行程LB1に入る場合、旋回LL6(右方向)は略Uターンするような一般的(定型的)な旋回である。しかし、回り作業行程LB1において、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作する。
これにより、作業行程L05から回り作業行程LB1に入る場合、運転者は設定スイッチ46を停止位置に操作して、マーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が停止する停止状態を設定すればよい。
【0091】
[12]
次に、前項[9][10][11]に記載のマーカー操作手段54及び作業装置操作手段55の両方が作動する作動状態について説明する。
図3に示すように、制御装置23に、機体位置検出手段51、旋回開始位置検出手段52、旋回終了位置検出手段53、マーカー操作手段54、作業装置操作手段55、旋回方向検出手段56及び記憶手段57が備えられている。表示ランプ64が操縦ハンドル20の近傍に備えられており、ブザー67が備えられている。
【0092】
昇降レバー11が自動位置に操作され、設定スイッチ46が作動位置に操作されている状態において、機体位置検出手段51、旋回開始位置検出手段52、旋回終了位置検出手段53、マーカー操作手段54、作業装置操作手段55、旋回方向検出手段56、記憶手段57、表示ランプ64及びブザー67が、以下の[13]〜[16]に記載のように作動する。
【0093】
図3に示すように、機体位置検出手段51は、空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1(旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置に相当)を検出するものである(これについて言い換えると、旋回開始前の機体の進行方向における機体の座標を検出するものである)。以下の[13]〜[16]に記載のようにして、機体位置検出手段51により、空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1が検出される。
【0094】
6条植型式の苗植付装置5を備えた乗用型田植機において、図6に示すような旋回LL1(左方向),LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)は、図8に示すように、前半の旋回行程L1及び後半の旋回行程L2で構成されている。作業行程L01,L02の間に行われる旋回LL2(右方向)を代表にして、前半の旋回行程L1及び後半の旋回行程L2について、以下の[13]〜[16]において説明する。
【0095】
[13]
次に、前半の旋回行程L1について、図4及び図8に基づいて説明する。
設定スイッチ46を作動位置に操作すると(ステップS1)、表示ランプ64が点灯し(ステップS2)、設定スイッチ46を停止位置に操作すると(ステップS1)、表示ランプ64が消灯する(ステップS3)。図6に示す位置K1に機体を位置させ、苗植付装置5を田面G2に下降させて、空作業行程LA1を開始する場合、前項[7]に記載のように、運転者は操作レバー12により左のマーカー19を作用姿勢に操作する。
【0096】
作業行程L01において、昇降レバー11が自動位置に操作され、設定スイッチ46が作動位置に操作されている(ステップS1)。苗植付装置5が田面G2に下降した状態(作業装置の作業状態に相当)、自動昇降制御手段61の作動状態、植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態(作業装置の作業状態に相当)、右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態、右のマーカー19が作用姿勢に操作された状態となっており、左のマーカー19が格納姿勢に操作され、表示ランプ64が点灯している(ステップS2)。
図6に示すように、空作業行程LA1と作業行程L01との間において、旋回LL1(左方向)が行われたことにより、記憶手段57に「機体の旋回方向(左方向)」が記憶されている(ステップS13)。
【0097】
前述の状態で機体が畦際に達すると、運転者は操作レバー12を上昇位置Uに操作する(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作する)(ステップS4)。操作レバー12を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)(ステップS4)、ブザー67が間欠的に作動し(ステップS5)、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて(ステップS6)(作業装置の非作業状態に相当)、自動昇降制御手段61が停止する(ステップS7)。
【0098】
油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が田面G2から上昇し(ステップS8)(作業装置の非作業状態に相当)、マーカー操作手段54により、右のマーカー19が格納姿勢に操作される(ステップS9)(作業装置5の田面G2からの上昇に伴って、作用姿勢の右又は左のマーカー19を格納姿勢に操作する状態に相当)。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
【0099】
[14]
次に、前項[13]に引き続いて前半の旋回行程L1について、図4及び図8に基づいて説明する。
操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことによる操作信号が制御装置23に入力されると(作業行程L01からの旋回開始に相当)、旋回開始位置検出手段52により、作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1が「0(原点)」に設定され、「0(原点)」が旋回開始位置E1として検出(設定)される(ステップS101)。これと同時に、「0(原点)」が旋回終了位置E3として検出(設定)される(ステップS102)。
【0100】
運転者は操作レバー12を上昇位置Uに操作すると略同時に、操縦ハンドル20を操作し、右及び左の前輪1(操向部材41)を旋回方向に操向操作して、前半の旋回行程L1に入る。右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて右(左)の操向限度A3側に操向操作されると(ステップS10)、前項[2]に記載のように、旋回外側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態で、旋回中心側のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される(ステップS11)。
【0101】
ステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)が行われると、機体位置検出手段51により、下記の式1に基づいて作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1の検出が開始される(ステップS103)。
式1:Y1=R*SIN(θ)
R:機体の旋回半径
θ:旋回開始位置E1からの機体の移動角度
【0102】
図9(a)に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが決まると、機体の旋回中心Cが右及び左の後輪2の車軸65(図2参照)の延長線に位置していると判断され、前輪1及び後輪2のホイルベースW(右及び左の前輪1の車軸と右及び左の後輪2の車軸65(図2参照)との間隔)と、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて、機体の旋回中心Cが検出される。機体の旋回中心Cが検出されると、機体の左右中央と機体の旋回中心Cとの距離が機体の旋回半径Rとして検出される。
【0103】
図9(a)(b)に示すように、機体の旋回中心C及び旋回半径Rが検出された状態において、旋回中心側の回転数センサー50のパルス(旋回中心側の後輪2の回転数)により、機体の走行距離Gが検出され(機体の旋回半径Rに対する円弧部分に相当)、機体の旋回中心C及び旋回半径Rと機体の走行距離Gとに基づいて、機体の移動角度θが検出される。以上のように、機体の旋回半径R及び移動角度θにより、式1に基づいて作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1が検出される(ステップS103)。
これにより、機体の移動角度θが0度(旋回開始位置E1)〜90度(境界位置E2)の範囲では、作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1は、旋回開始位置E1から(+Y)に離れていく状態となる。
【0104】
[15]
次に、前項[14]に引き続いて前半の旋回行程L1について、図4及び図8に基づいて説明する。
ステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)が行われると、旋回開始位置E1から旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が検出(積算)され、この値と右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて、機体の旋回角度F1が「0」から検出(積算)される(ステップS104)。
【0105】
この場合、旋回開始位置E1(作業行程L01)での機体の向きに対して、現在の機体の向きがどのような角度であるのかが、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)と、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて検出され、この検出値が機体の旋回角度F1として検出(積算)される(ステップS104)。
【0106】
機体の旋回角度F1が90度であれば、旋回開始位置E1(作業行程L01)での機体の向きに対して、機体の向きが真横に向いた状態であり、機体の旋回角度F1が180度であれば、旋回開始位置E1(作業行程L01)での機体の向きに対して、機体の向きが反対に向いた状態(作業行程L02)である。
【0107】
右及び左の前輪1(操向部材41)が旋回方向に操向操作された状態で、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が大きくなると(積算されると)、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)の増加分だけ機体の旋回角度F1は大きくなったと検出(積算)される。逆に右及び左の前輪1(操向部材41)が直進位置A1に操向操作された状態で、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が大きくなっても(積算されても)、機体は直進しただけで機体の旋回角度F1は変化していないと検出(積算)される。
【0108】
[16]
次に、後半の旋回行程L2について、図4,5,8に基づいて説明する。
機体の旋回角度F1が90度(境界位置E2)を越えると、機体が後半の旋回行程L2に入ったと判断される。前半の旋回行程L1における機体の向きに対して、後半の旋回行程L2の向きは逆向きになるので、作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1は、旋回開始位置E1(旋回終了位置E3)に接近していく状態となる。
【0109】
この場合、機体の旋回角度F1が設定旋回角度FA1(例えば100度〜150度)に達すると(ステップS12)、畦際での旋回が通常どおりに行われていると判断され、ポテンショメータ47の検出値に基づいて、機体の旋回方向が旋回方向検出手段56により検出され、検出された機体の旋回方向が記憶手段57に記憶(更新)される(ステップS13)。旋回LL2(右方向)においては、記憶手段57に「機体の旋回方向(右方向)」と記憶(更新)される。
【0110】
後半の旋回行程L2の後半に入ると、運転者は操縦ハンドル20を操作して右及び左の前輪1(操向部材41)を右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1に操作する(ステップS14)。これにより、旋回中心側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて(ステップS15)、機体は直進状態に入る。機体が直進状態に入ると、式1による演算は行われず、右及び左の回転数センサー50のパルス(右及び左の後輪2の回転数)の平均値(マイナスの値)が、作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1として検出される。
【0111】
右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操作されたことが、ポテンショメータ47により検出されると(ステップS14)、植付及び施肥クラッチ26,27の遮断状態を維持して、苗植付装置5が自動的に下降する(ステップS16)。
【0112】
苗植付装置5の下降により、ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さ(前項[7]参照)よりも低くなると、マーカー操作手段54により、記憶手段57に記憶されている「機体の旋回方向(右方向)」とは反対側の左のマーカー19が作用姿勢に操作される(ステップS17)(作業装置5の田面G2への下降に伴って、作業装置5の田面G2からの上昇に伴って格納姿勢に操作された右又は左のマーカー19とは反対側のマーカー19を作用姿勢に操作する状態に相当)。
【0113】
苗植付装置5の下降により中央のフロート9が田面G2に接地すると、自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(ステップS18)(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)。
【0114】
作業行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1が旋回終了位置E3に到達したことが、旋回終了位置検出手段53により検出されると(ステップS19)、作業装置操作手段55により植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作され(ステップS20)(旋回終了位置検出手段53の検出に基づいて作業装置5,15を作業状態に操作する状態に相当)。
これにより、ブザー67が停止するのであり(ステップS21)、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)による苗の植え付け、及び繰り出し部15による田面G2への肥料の供給が開始されて、次の作業行程L02に入る。
【0115】
[17]
次に、図6に示す作業行程L01〜L05の途中において、苗植付装置5を田面G2から上昇させ田面G2に下降させた状態について説明する。
例えば、図6に示す作業行程L01の途中において(右のマーカー19が作用姿勢に操作され、左のマーカー19が格納姿勢に操作されている)、苗植付装置5(苗のせ台10)への苗の補給の為に、機体を一時停止させて、植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面G2から上昇させたとする。
【0116】
この場合、マーカー操作手段54により、右のマーカー18が格納姿勢に操作される。図6に示すように、空作業行程LA1と作業行程L01との間において、旋回LL1(左方向)が行われたことにより、記憶手段57に「機体の旋回方向(左方向)」が記憶されている(ステップS13)。
【0117】
次に苗植付装置5(苗のせ台10)への苗の補給を終了して、苗植付装置5を田面G2に下降させると、マーカー操作手段54により、記憶手段57に記憶されている「機体の旋回方向(左方向)」とは反対側の右のマーカー19が作用姿勢に操作される。記憶手段57に「機体の旋回方向(左方向)」が記憶されている限り、苗植付装置5の田面G2からの上昇及び田面G2への下降を行っても、マーカー操作手段54により、記憶手段57に記憶されている「機体の旋回方向(左方向)」とは反対側の右のマーカー19が作用姿勢に操作される。
【0118】
これにより、作業行程L01〜L05の途中において、苗植付装置5(苗のせ台10)への苗の補給の為に、苗植付装置5を田面G2から上方に上昇させ田面G2に下降させても、右又は左のマーカー19の作用及び格納姿勢に変化はなく、右及び左のマーカー19の作用及び格納姿勢が苗植付装置5の田面G2からの上昇前と入れ換わってしまうような状態は生じない。
【0119】
[発明を実施するための第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]の設定スイッチ46に代えて、以下のように構成してもよい。
図10に示すように、人為的に操作自在な第1設定スイッチ68(第1人為操作具に相当)、及び第2設定スイッチ69(第2人為操作具に相当)が、操縦ハンドル20の近傍に備えられ、第1及び第2設定スイッチ68,69の操作位置が制御装置23に入力されている。
【0120】
図10に示すように第1設定スイッチ68を作動位置に操作すると、マーカー操作手段54が作動する作動状態が設定されて、第1設定スイッチ68を停止位置に操作すると、マーカー操作手段54が停止する停止状態が設定される。第2設定スイッチ69を作動位置に操作すると、作業装置操作手段55が作動する作動状態が設定されて、第2設定スイッチ69を停止位置に操作すると、作業装置操作手段55が停止する停止状態が設定される。
【0121】
この場合、第1及び第2設定スイッチ68,69の一方を停止位置から作動位置に操作すると、これに連動して第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が停止位置から作動状態に操作されるように、第1及び第2設定スイッチ68,69が連係されている(第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が作動位置に操作されていると、第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が作動位置に維持される)。
【0122】
第1及び第2設定スイッチ68,69の一方を作動位置から停止位置に操作すると、これに連動して第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が作動位置から停止位置に操作されるように、第1及び第2設定スイッチ68,69が連係されている(第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が停止位置に操作されていると、第1及び第2設定スイッチ68,69の他方が停止位置に維持される)。
【0123】
前述の第1設定スイッチ68を廃止し、第1設定スイッチ68の機能を操作レバー12に備えてもよい。この場合、操作レバー12を、上昇位置Uや右及び左マーカー位置R,Lに比較的長い設定時間(第2設定時間)以上に亘って操作(保持)するごとに、マーカー操作手段54が作動する作動状態及び停止する停止状態が、交互に設定されるように構成する。
【0124】
[発明を実施するための第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態]において、記憶手段57に機体の旋回方向を記憶するのではなく、マーカー操作手段54及び記憶手段57が以下のように作動するように構成してもよい。
【0125】
苗植付装置5の田面G2からの上昇に伴って、作用姿勢の右又は左のマーカー19を格納姿勢に操作すると、格納姿勢に操作された右又は左のマーカー19を記憶手段57に記憶する。苗植付装置5の田面G2への下降に伴って、記憶手段57に記憶された右又は左のマーカー19とは反対側の右又は左のマーカー19を作用姿勢に操作する(作業装置5の田面G2からの上昇に伴って格納姿勢に操作された右又は左のマーカー19とは反対側のマーカー19を作用姿勢に操作する状態に相当)。
【0126】
[発明を実施するための第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態][発明を実施するための第2別形態]の図4のステップS103において、式1に基づいて、空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)における機体の位置Y1を検出するように、機体位置検出手段51を構成するのではなく、機体位置検出手段51、旋回開始位置検出手段52及び旋回終了位置検出手段53を、以下のように構成してもよい。
【0127】
操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことによる操作信号が制御装置23に入力されると(ステップS4)、旋回中心側の回転数センサー50の検出値の積算を開始し(旋回位置検出手段51に相当)、これとは別に、旋回中心側の回転数センサー50の検出値の積算を開始した時点(旋回開始位置E1に相当)を、原点とし(旋回開始位置検出手段52に相当)、原点に対して設定値(旋回終了位置E3に相当)を設定する。
図6に示す旋回LL1(左方向),LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)、旋回LL6(右方向)は、全て同じような機体の旋回半径及び機体の走行距離であると認識され、旋回中心側の回転数センサー50の検出値が機体の位置を表す値として認識されており、前述の設定値が事前に設定されている。
【0128】
旋回中心側の回転数センサー50の検出値(積算値)が前述の設定値に達する前に、右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操作されるのであり、これにより旋回中心側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作され、苗植付装置5が自動的に下降する。
次に旋回中心側の回転数センサー50の検出値(積算値)が前述の設定値に達すると、旋回終了位置E3に達したと判断されて(旋回終了位置検出手段53に相当)、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
【0129】
[発明を実施するための第4別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態][発明を実施するための第2別形態]において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが変化するごとに、機体の旋回中心C及び旋回半径R、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行うのではなく、これに代えて以下のように構成してもよい。
【0130】
図8に示す前半の旋回行程L1(後半の旋回行程L2)において、10度(所定の角度範囲に相当)の範囲を備えた9個の領域(0度〜10度の領域、10度〜20度の領域、20度〜30度の領域、30度〜40度の領域、40度〜50度の領域、50度〜60度の領域、60度〜70度の領域、70度〜80度の領域、80度〜90度の領域)に分けて、9個の領域の各々に一つの機体の旋回半径R(領域の中央の角度に対応する機体の旋回半径R)を設定する。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが5度の場合の機体の旋回半径R(図9(a)(b)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
【0131】
右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが0度〜10度の領域に存在すると、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが変化しても、これに関係なく0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rを使用し、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
【0132】
10度〜20度・・・において、前述の同様に10度〜20度・・・の領域の一つの機体の旋回半径Rを使用して、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
【0133】
[発明を実施するための第5別形態]
前述の[発明を実施するための第4別形態]に代えて以下のように構成してもよい。
図8に示す前半の旋回行程L1(後半の旋回行程L2)において、10度(所定の角度範囲に相当)の範囲を備えた9個の領域(0度〜10度の領域、10度〜20度の領域、20度〜30度の領域、30度〜40度の領域、40度〜50度の領域、50度〜60度の領域、60度〜70度の領域、70度〜80度の領域、80度〜90度の領域)に分けて、9個の領域の各々に一つの機体の旋回半径R(領域の最大の角度に対応する機体の旋回半径R)を設定する。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが10度の場合の機体の旋回半径R(図9(a)(b)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
【0134】
右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが、0度(直進位置A1)から0度〜10度の領域に入っても、空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行わない。右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが10度に達すると、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径R及び10度により、式1に基づいて空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
【0135】
10度〜20度・・・において、前述の同様に10度〜20度・・・の領域の機体の旋回半径Rを使用して、20度、30度・・・において、10度〜20度・・・の領域の一つの機体の旋回半径・・・により、式1に基づいて空作業行程LA1、作業行程L01〜L05の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
【0136】
[発明を実施するための第6別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態]〜[発明を実施するための第5別形態]において、以下のように構成してもよい。
操作レバー12が上昇位置Uに操作される前に、右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて操向操作されると、旋回中心側のサイドクラッチ40が遮断状態に操作されるのと同時に、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に自動的に操作されて、苗植付装置5が田面G2から自動的に上昇するように構成してもよい。
【0137】
この場合、右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて操向操作されたことがポテンショメータ47により検出されると、旋回位置検出手段52により旋回開始と判断されて、旋回開始位置E1が検出(設定)され、機体位置検出手段51が作動を開始するように構成する。
【0138】
[発明を実施するための第7別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態]〜[発明を実施するための第6別形態]において、以下のように構成してもよい。
例えば溝切り器等の作業装置のように、作業装置に動力を伝達する作業クラッチを備えない場合、作業装置を田面G2から上昇させた状態を非作業状態とし、作業装置を田面G2に下降させた状態を作業状態とするように構成してもよい。
【0139】
このように構成すると、操作レバー12が上昇位置Uに操作されるか、又は右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて操向操作されることにより、作業装置が田面G2から上昇し(非作業状態)、旋回終了位置E3の検出に基づいて作業装置が田面G2に下降するように構成する(作業状態)。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、機体の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)を昇降駆動自在に連結可能に構成されたトラクタや、機体の前部に刈取部(作業装置に相当)を昇降駆動自在に支持したコンバイン等の作業車にも適用できる。GPSにより機体位置検出手段51を構成することも可能である。ホッパー14において粉粒状の肥料に代えて、液状の肥料や、粉粒状や液状の薬剤や種籾等を入れた作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0141】
1 前輪
5,15 作業装置
19 マーカー
46 人為操作具
47 操向角度検出手段
50 走行距離検出手段
51 機体位置検出手段
53 旋回終了位置検出手段
54 マーカー操作手段
55 作業装置操作手段
68 第1人為操作具
69 第2人為操作具
A 操向角度
A1 直進位置
C 機体の旋回中心
E3 旋回終了位置
G 機体の走行距離
G2 田面
L1,L2 機体の旋回行程
L01〜L05 作業行程
R 機体の旋回半径
Y1 機体の旋回行程の位置
Y1 旋回開始前の機体の進行方向における機体の位置
+Y,−Y 機体の進行方向
θ 機体の移動角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作自在に構成し、
田面に接地して次の作業行程の指標を田面に形成する作用姿勢と田面から上方の格納姿勢とに操作自在な右及び左のマーカーを備えて、
前記作業装置の田面からの上昇に伴って、作用姿勢の前記右又は左のマーカーを格納姿勢に操作し、次の作業行程への移行に伴って、前記作業装置の田面からの上昇に伴って格納姿勢に操作された前記右又は左のマーカーとは反対側のマーカーを作用姿勢に操作するマーカー操作手段と、
機体の旋回終了に基づいて非作業状態の前記作業装置を作業状態に操作する作業装置操作手段とを備え、
前記マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が作動する作動状態と、前記マーカー操作手段及び作業装置操作手段の両方が停止する停止状態とを設定するもので、人為的に操作される単一の人為操作具を備えている水田作業車。
【請求項2】
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作自在に構成し、
田面に接地して次の作業行程の指標を田面に形成する作用姿勢と田面から上方の格納姿勢とに操作自在な右及び左のマーカーを備えて、
前記作業装置の田面からの上昇に伴って、作用姿勢の前記右又は左のマーカーを格納姿勢に操作し、次の作業行程への移行に伴って、前記作業装置の田面からの上昇に伴って格納姿勢に操作された前記右又は左のマーカーとは反対側のマーカーを作用姿勢に操作するマーカー操作手段と、
機体の旋回終了に基づいて非作業状態の前記作業装置を作業状態に操作する作業装置操作手段とを備え、
前記マーカー操作手段を作動及び停止状態に操作するもので人為的に操作される第1人為操作具と、前記作業装置操作手段を作動及び停止状態に操作するもので人為的に操作される第2人為操作具とを備え、
前記第1及び第2人為操作具の一方が作動状態に操作されると、これに連動して前記第1及び第2人為操作具の他方が作動状態に操作され、前記第1及び第2人為操作具の一方が停止状態に操作されると、これに連動して前記第1及び第2人為操作具の他方が停止状態に操作されるように、前記第1及び第2人為操作具を連係している水田作業車。
【請求項3】
前記右及び左のマーカーを格納姿勢及び作業姿勢に操作するもので人為的に操作される操作レバーを備えている請求項1又は2に記載の水田作業車。
【請求項4】
右の後輪に動力を伝達する右のサイドクラッチと、左の後輪に動力を伝達する左のサイドクラッチとを備えて、機体の旋回開始に伴って旋回中心側の前記サイドクラッチが遮断状態に操作されるように構成し、
遮断状態に操作された旋回中心側の前記サイドクラッチが伝動状態に操作されてから機体が所定距離だけ走行すると、機体の旋回終了とするように構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の水田作業車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−196227(P2012−196227A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139996(P2012−139996)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2009−67581(P2009−67581)の分割
【原出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】