説明

水素ベースの燃料および構造要素を生成する圧力および熱の伝達機構を有する反応容器、ならびに関連するシステムおよび方法

水素ベースの燃料および構造要素を生成する圧力および熱の伝達機構を有する反応容器、ならびに関連するシステムおよび方法。特定の実施形態による代表的反応器システムは、第1の反応領域および第1の反応領域内に熱を導くように配置された熱経路と、第1の反応領域に結合された反応体供給源と、第1の反応領域を循環的に加圧するように結合された第1のアクチュエータとを備える。このシステムは、第1の反応領域と流体連通した第2の反応領域と、第1の反応領域と第2の反応領域の間に結合されて、第1の反応領域と第2の反応領域の間の流速を制御する弁と、第2の反応領域に流体連通した状態で結合されて、第2の反応領域を循環的に加圧する第2のアクチュエータとをさらに備え得る。第1の反応領域を出た第1の生成物から、第1の反応領域に入る反応体に熱を導くように、第1の熱交換器が配置されており、第2の反応領域を出た第2の生成物から、第1の反応領域に入る反応体に熱を導くように、第2の熱交換器が配置されている。第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータにはコントローラが結合されており、このコントローラは、実行されたときに、第2の反応領域からの第2の生成物の流速に少なくとも部分的に基づいて、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを、調整された態様で制御する命令でプログラムされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、圧力および熱の伝達機構を有する化学反応容器であって、水素ベースの燃料および構造要素を生成するための化学反応容器、ならびにそれに関連するシステムおよび方法に関する。特定の実施形態において、該反応容器は、広く様々な原料油から清浄燃焼性水素ベース燃料を生成するために使用することができ、水素ベースの燃料を形成するとき放出される炭素および/または他の元素から構造構築ブロックを生成することができる。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本発明は、2010年2月13日出願の米国特許出願第61/304,403号明細書[名称「FULL SPECTRUM ENERGY AND RESOURCE INDEPENDENCE」]の優先権および特典を主張する。同出願は参照により全体を本明細書に援用する。前述の出願および/または参照により本明細書に援用されるいずれの他の資料も本明細書に示された開示と矛盾する場合には、本明細書の開示が優先する。
【0003】
太陽エネルギー、風、波、落下水、バイオマスをベースとした供給源などの再生可能エネルギー供給源は、重要なエネルギー供給源として極めて大きな可能性を有するが、現時点では、広く採用されるのを妨げる様々な問題を抱えている。たとえば、発電への再生可能エネルギー供給源の使用は、その供給源の利用可能性に依存しており、それは間欠的であり得る。中でも、太陽エネルギーは陽光の利用可能性によって制約され(すなわち日中のみ)、風エネルギーは風の変動性によって制約され、落下水エネルギーは渇水によって制約され、バイオマスエネルギーは季節的変化によって制約される。これらおよび他の要因の結果として、再生可能供給源からの、捕捉されまたは捕捉されなかった多量のエネルギーが、無駄になりやすい。
【0004】
エネルギーの捕捉および保存に関する前述の非効率性が、それら非効率性がしばしばエネルギー生成の高コスト化をもたらすので、世界の多くの地域向けに発展し得るエネルギー供給体へ再生可能エネルギー供給源が拡張することを制約している。したがって、少なくとも部分的には、化石燃料に関連する技術開発を支援する政府の助成金および他のプログラムが、その種の燃料を使用することを一見好都合で見かけ上費用が掛からないとするので、世界は、主要なエネルギー供給源として石油および他の化石燃料に頼り続ける。同時に、使い果たされた資源に対する代替コスト、ならびに環境劣化、健康への影響、および化石燃料使用による他の副産物についてのコストは、これら燃料から生じるエネルギーの購入価格に含まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能エネルギーを継続的に生成することに現時点で関連する前述および他の欠点を考慮すると、上記供給源により製品および燃料を製造することに関する効率および商業的成立性を改善する必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.概要
相互に接続された発熱反応および吸熱反応を化学反応器内で実施する装置、システムおよび方法のいくつかの例が以下に説明される。この相互接続は、反応器内の領域間および成分間の圧力差および/または温度差に基づくことができる。そのような反応器は、水素燃料および/または他の有用な最終生成物を生成するために使用することができる。したがって、反応器は清浄燃焼性燃料を生成することができ、ポリマーおよび炭素複合材料を含む耐久財に使用するために、炭素および/または他の成分を再利用することができる。以下の説明は、当業者がそれら例を実施し、製作し、使用することを可能にするために十分なように、下記の例の多くの特定の細部を示すが、以下に説明されるいくつかの細部および利点は、本技術の特定の例を実施するために必要ないこともある。さらに、本技術は、特許請求の範囲には包含されるが、ここでは詳細には説明されていない別の例も含み得る。
【0007】
この明細書を通して「一例」、「例」、「一実施形態」、または「実施形態」という言及は、その例に関連して説明されている特定の特徴、構造、プロセス、または特性が、本技術の少なくとも1つの例に含まれていることを意味する。したがって、この明細書を通して様々な箇所で語句「一例では」、「例では」、「一実施形態」、または「実施形態」が現れたとき、必ずしもすべてが同じ例を指す訳ではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つまたは複数の例において任意の適切な態様で組み合わせることができる。本明細書で示される見出しは、単に便宜的なものであり、特許請求の範囲に記載された技術の範囲または趣旨を限定または説明するものではない。
【0008】
以下に説明される本技術のいくつかの実施形態は、プログラマブルコンピュータまたはコントローラによって実行されるルーチンを含めて、コンピュータで実行可能な命令の形態を取ることができる。当業者は、本技術が、以下に示され説明されるもの以外のコンピュータまたはコントローラシステム上でも実施することができることを理解するであろう。本技術は、以下に説明される1つまたは複数のコンピュータで実行可能な命令を実行するように固有にプログラムされ、構成され、または構築された専用コンピュータ、コントローラ、またはデータプロセッサで具体化することができる。したがって、本明細書に全般的に使用されている用語「コンピュータ」および「コントローラ」は、あらゆるデータプロセッサを指し、インターネット機器、ハンドヘルドデバイス、多重プロセッサシステム、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス(programmable consumer electronics)、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなどを含み得る。本技術はまた、タスクまたはモジュールが、通信ネットワークを介してリンクされているリモートプロセッシングデバイス(remote processing device)によって実行される分散環境で実施することもできる。以下に説明される本技術の態様は、磁気もしくは光学的可読コンピュータディスクまたは磁気もしくは光学的リムーバブルコンピュータディスク、あるいはネットワーク上で電子的に分散された媒体を含めて、コンピュータ可読媒体上に記憶しまたは分散処理することができる。特定の実施形態では、本技術の態様に特有のデータ構造、およびデータ伝送もまた、本技術の範囲に包含される。本技術は、特定のステップを実施するためにコンピュータ可読媒体をプログラムする方法、ならびにそれらステップを実行する方法を共に包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本技術の実施形態に従って構成された太陽加熱方式の反応容器の部分的に概略化された部分断面図である。
【図2】相互に作用する吸熱反応領域および発熱反応領域を有する本開示の実施形態による反応器の部分的に概略化された断面図である。
【図3】熱伝達特性および圧力変動特性を有する本技術の実施形態による化学プロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
2.代表的反応器および関連する方法
図1は、相互に作用する吸熱化学反応および発熱化学反応を実施するように構成された本技術の実施形態によるシステム100の部分的に概略化された部分断面図である。システム100は、複数の反応領域を有する反応容器101を備えることができ、図1ではそれらの反応領域が、第1の反応領域110および第2の反応領域120として示されている。システム100は、両方の反応領域にエネルギーを供給する機構、たとえば適切な熱供給源、たとえば第1の反応領域110内に太陽エネルギー106を導くように配置された太陽エネルギー集中装置103を備える。この実施形態では、反応容器101および太陽エネルギー集中装置103が架台102に取り付けられ、架台102は、複数の自由度で移動(たとえば直交する2軸を軸に回転)して日中の全期間を通じて太陽エネルギーを捕捉するように、太陽エネルギー集中装置103を配置することができる。
【0011】
システム100は、メタン供給源153a、二酸化炭素供給源153bおよび水素供給源154を含む、反応体および他の化学成分の供給源をさらに備え得る。特定の実施形態では、メタノールを生成するために、メタンおよび二酸化炭素が反応容器101に供給される。メタノールは、車両燃料および他の燃料の貯蔵および輸送目的に対して非常に有用なより高密度でかつ/またはより汎用性の高い水素担体を示している。水素貯蔵タンク108に水素を貯蔵することができる。後により詳細に説明するが、この水素を使用して、第2の反応領域120を加圧し、かつ/またはエンジン104および発電機105に電力を供給することができる。発電機105は、システム100の全体に電力を供給することができる。他の実施形態では、エンジン104および/または発電機105をシステム100の他の部分から離して配置することができ、エンジン104および/または発電機105は、システム100以外の装置に電力を供給することができる。そのような場合、この水素は、輸送管路または他の輸送装置を経由してエンジン104に供給することができる。システム100は、十分な太陽エネルギーがなくても(たとえば夜間でも)第1の反応領域110および第2の反応領域120において反応が継続し得るようにする機構をさらに備え得る。このことについては後に図2を参照してより詳細に説明する。システム100は、システム100の様々なセンサ、変換器および/または他の要素のうちの任意の要素から入力信号191を受け取り、それらの要素から情報を受け取ったことに応答して、システム100の動作パラメータを調整するための制御信号192を送出するコントローラ190をさらに備え得る。代表的閉ループ制御配置についても、後に図2および3を参照してより詳細に説明する。
【0012】
図2は、反応容器101を含むシステム100の特定の構成要素の部分的に概略化された断面図である。反応容器101は、入射太陽放射106をたとえば太陽エネルギー透過面107を通して受け取るように図2の右上部の近くに(たとえば第1の反応器部分に)配置された第1の反応領域110を含む。反応容器101内には第2の反応領域120も配置されており、第2の反応領域120はたとえば第2の反応器部分に配置されて、第1の反応領域110から生成物を受け取り、最終生成物、たとえばメタノールを生成する。反応体供給源153は反応容器101に反応体を供給し、生成物収集器123は、結果として生じた最終生成物を収集する。第1の反応領域110への反応体の送達を制御し、システム100内の他の物質の流れを制御するために、反応体供給源153には調整システム150が結合されており、調整システム150は、弁151または他の調整器および対応するアクチュエータ152を備え得る。他の実施形態では、それらの弁の代わりにまたはそれらの弁に加えて、他の機構、たとえばポンプを使用することができる。
【0013】
特定の実施形態では、反応体供給源153が、メタン供給源153aおよび二酸化炭素供給源153bを含む。メタン供給源153aは、対応するアクチュエータ152aを有する第1の反応体弁151aに結合されており、二酸化炭素供給源153bは、対応するアクチュエータ152bを有する第2の反応体弁151bに結合されている。反応体は反応容器101に入り、矢印Aによって示されているように、第2の反応領域120および第1の反応領域110の周囲に沿って上方へ運ばれる。反応容器101内を移動しているときに、反応体は、第1の反応領域110および第2の反応領域120から、ならびに第1の反応領域110から第2の反応領域120へ移動している生成物から、熱を受け取ることができる。これについては後により詳細に説明する。反応体は、第1の反応体ポート111から第1の反応領域110に入る。第1の反応領域110で、反応体は以下の反応を受け得る。
CH+CO+熱→2CO+2H [式1]
【0014】
特定の実施形態では、前述の吸熱反応が、約900℃の温度、最大約1,500psi(10,340kPa)の圧力で実施される。他の実施形態では、第1の反応領域110において、他の反応体を用いた反応を他の温度で実施することができる。第1の反応領域110は、適切な様々な触媒のうちの任意の触媒、たとえばニッケル/アルミニウム酸化物触媒を含み得る。特定の実施形態では、触媒の反応部位への反応体の送達を支援するために、(反応体を導入すること、反応を経ること、および第1の反応領域110から生成物を取り出すことによって生じる全般的な圧力変化に加えて、)反応体および/または第1の反応領域110を音圧変動にさらすことができる。これらのどの実施形態でも、第1の反応領域110で生成された生成物(たとえば一酸化炭素および水素)は、第1の生成物ポート112から第1の反応領域110を出、第1の熱交換器140aに入る。それらの第1の生成物は、第1の流路141に沿って第1の熱交換器140a内を移動し、第2の流路142に沿って移動している入来反応体に熱を伝達する。したがって、第1の熱交換器140aにおいて、および第1の反応領域110の外側に沿ってまたは第1の反応領域110の外側の周りに通すことによって、入来反応体を予熱することができる。特定の実施形態では、第1の熱交換器140aの1つまたは複数の表面が、1つの周波数の放射を吸収し、別の波長の放射を再放射する元素または材料を含み得る。適切な材料および配置のさらなる詳細は、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、共願の米国特許出願[整理番号69545.8603]明細書[名称「CHEMICAL REACTORS WITH RE-RADIATING SURFACES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」](に開示されている。
【0015】
第1の生成物は、第2の反応体ポート121および逆止め弁156または他の流れ阻止機構を経由して第2の反応領域120に入る。逆止め弁156は、第1の生成物の圧力が第2の反応領域120内の圧力を上回ったときに、第2の反応領域120内への第1の生成物の一方向流れを可能にするように構成されている。他の実施形態では、逆止め弁156の代わりに、第1の生成物を第2の反応領域120へ運ぶ他の機構、たとえばピストンまたはポンプを使用することができる。
【0016】
第2の反応領域120において、第1の反応領域110からの第1の生成物はたとえば下式のような発熱反応を受ける。
2CO+2H+2’H→CHOH+熱 [式2]
【0017】
前述の発熱反応は、約250℃の温度で実施することができ、多くの場合に、第1の反応領域110での吸熱反応の圧力よりも高い圧力で実施することができる。第2の反応領域120の圧力を増大させるため、システム100は、弁151cおよび対応するアクチュエータ152cを経由して第2の反応領域120に供給される追加成分供給源154(たとえば水素の供給源)を備え得る。この追加成分(たとえば水素。式2ではこれが2’Hによって示されている)は、式2に示した反応に消費物として関与するか否かにかかわらず、第2の反応領域を加圧することができる。具体的には、この追加の水素は、第2の反応領域120の圧力を高めるために、1,500psi(10,340kPa)を超える圧力レベル、たとえば最大約5,000psi(34,480kPa)以上の圧力レベルで供給することができる。代表的実施形態では、この追加の水素を、メタンまたは他の反応体を使用した別個の解離反応で生成することができる。たとえば、この水素は、第1の反応領域110および第2の反応領域120における反応とは無関係の以下のような別個の吸熱反応で生成することができる。
CH+熱→C+2H [式3]
【0018】
第2の反応領域120を加圧するための水素を生成することに加えて、前述の反応は、ポリマー、炭素ベースの自己組織化構造、たとえばグラフェン、炭素複合材料および/または他の材料を含む適切な様々な最終生成物のうちの任意の最終生成物を生成する際に構築ブロックとして機能するのに適した炭素を生成し得る。適切な生成物の他の例は、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、共願の米国特許出願[整理番号69545.8701US]明細書[名称「ARCHITECTURAL CONSTRUCT HAVING FOR EXAMPLE A PLURALITY OF ARCHITECTURAL CRYSTALS」]に出ている。
【0019】
適切な触媒、たとえば銅、亜鉛、アルミニウムおよび/または前述の元素のうちの1種もしくは数種の元素を含む化合物、を用いて、第2の反応領域120における反応を容易することができる。第2の反応領域120での反応の結果生じた生成物(たとえばメタノール)は生成物収集器123に収集される。したがって、メタノールは、第2の生成物ポート122から第2の反応領域120を出、第2の熱交換器140bを通過する。第2の熱交換器140bで、メタノールは、第3の流路143に沿って移動し、第4の流路144に沿って第1の反応領域110に供給される入来成分に熱を伝達する。したがって、2つの熱交換器140a、140bは、第1の反応領域および第2の反応領域で発生した熱を保存し、再利用することによって、反応容器101内で生じる反応の全体的な効率を増大させることができる。
【0020】
特定の実施形態では、図1を参照して上で説明した太陽エネルギー集中装置103を経由して、第1の反応領域110にエネルギーが供給される。したがって、太陽エネルギー収集装置103によって第1の反応領域110に供給されるエネルギーは断続的である。システム100は、十分な太陽エネルギーがなくても反応が継続し得るようにする補助エネルギー供給源を備え得る。具体的には、システム100は補助熱供給源155を備え得る。たとえば、補助熱供給源155は、(たとえば一酸化炭素を供給する)燃焼反応体供給源155aおよび(たとえば酸素を供給する)酸化剤供給源155bを備え得る。反応体供給源155aおよび酸化剤供給源155bからの流れは、対応する弁151d、151eおよび対応するアクチュエータ152d、152eによって制御される。動作時、この反応体および酸化剤は、対応する導管157a、157bを経由して反応容器101に送達される。矢印Bによって示されているように燃焼領域130に到達する前に、反応容器101内で反応体および酸化剤を予熱することができる。この燃焼反応体および酸化剤は燃焼領域130で燃焼して第1の反応領域110に熱を供給し、したがって十分な太陽エネルギーがない場合に第1の反応領域110内で吸熱反応が生じることを支援する。この燃焼の結果、二酸化炭素も生じ、したがって二酸化炭素供給源153bから二酸化炭素を供給する必要性が低下する。コントローラ190は、この2次的な熱供給源155をいつ作動させ、いつ止めるかを、たとえば熱センサまたは光センサに応答して制御することができる。
【0021】
他の実施形態では、酸化剤供給源155bによって供給された酸素を、燃焼領域130においてメタンと直接に反応させて、二酸化炭素および水素を生成することができる。これによっても、第1の反応領域110において必要な二酸化炭素の量を減らすことができる。
【0022】
前述のとおり、式1は吸熱反応を表し、式2は発熱反応を表す。さらに、式1の順方向への進行は比較的に低圧の環境によって支援され、式2の順方向への進行は比較的に高圧の環境によって支援される。本技術は、メタノールまたは他の最終生成物の生成速度を向上させる(たとえば最適化する)ために、2つの反応領域内で生成される熱および圧力ならびに必要な熱および圧力を、相互依存的な態様で制御することを含む。図3は、これを達成する一般的な方法を識別し、次いで特定の実施形態の詳細をさらに説明する。次に図2および3を参照すると、前述のシステム100を用いて実施することができる全体プロセス300は、水素化合物を含む反応体を第1の反応領域110に導くステップを含む(プロセス部分301)。たとえば、この水素化合物は前述のメタンを含み得る。他の実施形態では、水素化合物が、他の炭化水素、または炭素を必ずしも含まない他の含水素化合物(たとえば窒素化合物)を含み得る。プロセス部分302では、第1の反応領域110の圧力を第1のサイクルに従って循環的に変化させる。たとえば、第1の反応領域110内の圧力は、第1の反応領域110内に反応体を導く圧力および/または流速を調整することによって、ならびに結果として生じた生成物が第1の反応領域110を出る速度によって、調整することができる。プロセス部分303は、第1の反応領域内に熱を導いて反応体を加熱するステップを含む。第1の反応領域110に熱を加えると第1の反応領域110内の圧力も上昇し、したがって、第1の反応領域110に加えられる熱は追加の圧力制御変量を表す。プロセス部分304は、水素化合物を解離させて第1の生成物を吸熱反応で生成するステップを含む。代表的実施形態では、この吸熱反応が、式1を参照して上で説明した反応を含み、他の実施形態では、この反応が、異なる生成物および/または反応体を含み得、それでもその反応は依然として熱を吸収する。
【0023】
プロセス部分305では、第1の生成物を第2の反応領域120に移し、その間に、第1の生成物から、第1の反応領域110へ移動している反応体に熱を伝達する。前述の熱伝達プロセスはたとえば、図2を参照して上で説明した第1の熱交換器140aによって実施することができる。プロセス部分306では、第2の反応領域120の圧力を第2のサイクルに従って循環的に変化させる。たとえば、第2の反応領域120内の圧力は、第2の反応領域120に入る第1の生成物の流れを調整することによって、および追加成分供給源154から第2の反応領域120に入る水素(または他の追加成分)の流れを調整することによって、調整することができる。プロセス部分307は、第2の反応領域120において、水素ベースの燃料と構造構築ブロックのうちの少なくとも一方を含む第2の生成物を発熱反応で生成するステップを含む。たとえば、上式2は、第2の反応領域120でメタノールを形成することを含む。他の実施形態では、第2の反応領域120で他のプロセスを実施して、水素ベースの他の燃料を生成することができる。他の実施形態では、結果として生じる生成物が構造構築ブロック、たとえば炭素、ホウ素、窒素または他の元素から形成された構築ブロックを含み得る。代表的反応体、生成物およびプロセスは、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、以下の共願の米国特許出願にさらに詳細に記載されている:米国特許出願[整理番号69545.8601US]明細書[名称「CHEMICAL PROCESSES AND REACTORS FOR EFFICIENTLY PRODUCING HYDROGEN FUELS AND STRUCTURAL MATERIALS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、米国特許出願[整理番号69545.9002]明細書[名称「CARBON-BASED DURABLE GOODS AND RENEWABLE FUEL FROM BIOMASS WASTE DISSOCIATION」]、および米国特許出願[整理番号69545.8701US]明細書[名称「ARCHITECTURAL CONSTRUCT HAVING FOR EXAMPLE A PLURALITY OF ARCHITECTURAL CRYSTALS」]。プロセス部分308は、たとえば図2を参照して上で説明した第2の熱交換器140bを介して、第2の生成物から、第1の反応領域へ移動している反応体に熱を伝達するステップを含む。
【0024】
以下に概要を示す詳細な諸ステップは、他の特定の実施形態によるシステム100の動作を識別する。
1.加圧下で、第1の反応領域110にメタンおよび二酸化炭素を供給するステップ。代表的実施形態では、第1の反応領域110内の圧力が、約50psi(344.8kPa)と約1500psi(10,340kPa)の間を循環する。
2.第1の反応領域110内の温度を上昇させて吸熱反応を進行させるステップ。
3.第1の反応領域110において水素および一酸化炭素(第1の生成物)を生成するステップ。水素および一酸化炭素が生成されると第1の反応領域110内の圧力は増大し、それによって反応速度は低下する。反応速度が低下すると、第1の反応領域110は加熱し続ける。
4.第1の反応領域110内の圧力が第2の反応領域120内の圧力を上回ったときに、水素および一酸化炭素を導いて第2の反応領域120に流入させるステップ。このステップにより、第1の反応領域110内の圧力は低下する。
5.一酸化炭素および水素が第2の反応領域120に移動するときに、これらの成分から、第1の反応領域110へ流れているメタンおよび二酸化炭素に熱を伝達するステップ。
6.第1の反応領域110内の圧力が低下すると第1の反応領域110内の吸熱反応の速度は増大し、水素および一酸化炭素が第2の反応領域120に送達される速度も増大する。これにより第2の反応領域120内の圧力は増大する。
7.別個の水素供給源を用いて第2の反応領域120をさらに加圧するステップ。水素はたとえば、化学量論的平衡を超える可能性がある量で供給される。
8.第2の反応領域120内の圧力は、第1の反応領域110からの水素および一酸化炭素がもはや第2の反応領域120に入らない程度まで増大する。
9.第2の反応領域120において一酸化炭素と水素を結合させてメタノールを生成するステップ。この発熱反応の速度は圧力とともに増大する。
10.時々に第2の反応領域120からメタノールを放出し、それによって第2の反応領域120内の圧力を低下させて、反応床を再活性化するステップ。圧力を解放すると反応速度は低下する。したがって、一般に第2の反応領域120の圧力はより高い圧力にあるが、第2の反応領域120の圧力は、たとえば約50psi(344.8kPa)の低い弁とたとえば約5,000psi(34,480kPa)以上の高い弁との間を循環することができる。
11.第2の反応領域120を出たメタノールから、第1の反応領域110へ流れているメタンおよび二酸化炭素に熱を伝達するステップ。
12.第2の反応領域120内の圧力が第1の反応領域110内の圧力よりも低くなったら、ステップ4に戻る。
13.第1の反応領域110および第2の反応領域120内の圧力を制御して、メタノールの生成を向上させる(たとえば最大化する)ステップ。
【0025】
図1〜3を参照して上で説明したシステムおよびプロセスの実施形態の1つの特徴は、反応に関与する化学成分間で熱を内部的に伝達することを含むことである。この配置の利点は、発熱反応で生成される熱および吸熱反応に必要な熱を再利用することによって全体の熱損失が低減し、それによってプロセスの全体的な熱力学的効率が高まることである。これによって、高品質の清浄燃焼性水素ベース燃料および/または耐久財を生産するために再利用することができる構築ブロック成分(たとえば炭素)を生成するコストが低減すると予想される。このような耐久財は、水素ベースの燃料を生成するコストを低減させ得る追加の収入の流れを表す。
【0026】
前述の実施形態のうちの少なくとも一部の実施形態の他の特徴は、吸熱反応および発熱反応に関与する諸成分の圧力および流速を制御して、高圧によって高まる反応速度および低圧によって高まる反応速度を利用することができることである。反応間の圧力差および温度差を引き起こすような態様で諸成分の流れを結合することによって、最終生成物(たとえば特定の例ではメタノール)の全体的な生成速度を向上させる(たとえば最適化しかつ/または最大化する)ことができる。このプロセスは、前述のコントローラ190によって、システムの全体に及ぶ感知された値に基づいて自動的にまたは自律的に実行されて、生成物生成のリアルタイム制御を提供することができる。
【0027】
本技術の特定の実施形態が例示のために本明細書に説明されてきたが、本技術から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが、上記から、理解されるであろう。たとえば、利用可能な太陽エネルギーを効率的に利用するように前述のパラメータを調整することに加えて、太陽エネルギーの変化速度を考慮し、かつ/または第1の反応領域110および/もしくは第2の反応領域120内の触媒の寿命を最大化するために、パラメータを調整することもできる。以上では、特定の炭化水素(たとえばメタン)に関連して実施形態を論じたが、他の炭化水素(たとえばガソリン、プロパン、ブタン、ディーゼル燃料、灯油、バンカー燃料および/または他の炭化水素)も適切であり得る。他の実施形態において、反応体は、炭素ベースの他の水素供与体または炭素以外の元素を含む含水素化合物を含み得る。たとえば、このプロセスは、空気または他の供給源から窒素を取り出すステップ、およびその窒素を水素と結合させてアンモニアを生成するステップを含み得る。他の実施形態において、このシステムは、第1の反応領域および/または第2の反応領域内の圧力を循環的に変化させなくても動作することができる。たとえば、第1の反応領域は比較的に低圧で機能し、第2の反応領域は比較的に高圧で機能し得る。そのような場合、ポンプ、ピストンまたは他の装置によって第1の生成物に仕事を加えて、第1の生成物を第2の反応領域に導くことができる。このような場合の他の態様では、超音波エネルギーを第1の反応領域および/または第2の反応領域で使用して、反応体を装填し、生成物を取り出すことができる。
【0028】
反応器に対する適切な投入物を生成する目的には様々な供給源を使用することができる。たとえば、醸造所、製パン所、発電所、コークス化操作および/もしくはか焼操作、ならびに/またはその他によって生成された炭水化物および二酸化炭素を反応器に供給することができる。これらのどの実施形態にも当てはまるこのプロセスの1つの特徴は、たとえば従来の燃料用として現在使用されている既存の燃料タンクに貯蔵することができる程度まで、水素の密度が増大することである。前述のプロセス中に取り出された炭素を用いて形成することができる他の適切な生成物は、たとえば摩擦低減、熱伝導率増大および/もしくは光学目的のダイヤモンド状のめっき、グラフェン結晶形成、肉眼で見える繊維、スクロール(scroll)および他の形材、ポリマー用の着色剤および添加剤、ならびに/またはドープされた半導体材料を含み得る。
【0029】
特定の実施形態に関連して説明された本技術のいくつかの態様は、他の実施形態において組み合わされ、または削除され得る。たとえば、図2に示したタイプの複数の反応器によって、相互の反応体として機能する異なる生成物を生成することができる。他の実施形態では、図2に関連して上で説明した反応器の特定の詳細および上に列挙したステップを省き、または変更することができる。さらに、本技術のいくつかの実施形態に伴う利点が、それら実施形態に関連して説明されているが、他の実施形態もそのような利点を示し得、また、本開示の範囲に包含されるためにすべての実施形態がそのような利点を必ずしも示す必要はない。したがって、本開示および関連する技術は、本明細書に明らかに示しまたは説明されていない他の実施形態を包含することができる。
【0030】
参照によって本明細書にこれまで援用されなかった範囲まで、本出願は、以下の資料のそれぞれの内容を、それら全体として参照により援用する。すなわち、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,553号明細書[名称「SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED PRODUCTION OF RENEWABLE ENERGY, MATERIALS RESOURCES, AND NUTRIENT REGIMES」]、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,553号明細書[名称「SYSTEMS AND METHODS FOR SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED FULL SPECTRUM PRODUCTION OF RENEWABLE ENERGY」]、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,554号明細書[名称「SYSTEMS AND METHODS FOR SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED FULL SPECTRUM PRODUCTION OF RENEWABLE MATERIAL RESOURCES USING SOLAR THERMAL」]、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,502号明細書[名称「ENERGY SYSTEM FOR DWELLING SUPPORT」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8505.US00]明細書[名称「DELIVERY SYSTEMS WITH IN-LINE SELECTIVE EXTRACTION DEVICES AND ASSOCIATED METHODS OF OPERATION」]、2010年8月16日出願の米国特許出願第61/401,699号明細書[名称「COMPREHENSIVE COST MODELING OF AUTOGENOUS SYSTEMS AND PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF ENERGY, MATERIAL RESOURCES AND NUTRIENT REGIMES」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8601.US00]明細書[名称「CHEMICAL PROCESSES AND REACTORS FOR EFFICIENTLY PRODUCING HYDROGEN FUELS AND STRUCTURAL MATERIALS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8602.US00]明細書[名称「REACTOR VESSELS WITH TRANSMISSIVE SURFACES FOR PRODUCING HYDROGEN-BASED FUELS AND STRUCTURAL ELEMENTS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8603.US00]明細書[名称「CHEMICAL REACTORS WITH RE-RADIATING SURFACES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8604.US00]明細書[名称「THERMAL TRANSFER DEVICE AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8605.US00]明細書[名称「CHEMICAL REACTORS WITH ANNULARLY POSITIONED DELIVERY AND REMOVAL DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8606.US00]明細書[名称「REACTORS FOR CONDUCTING THERMOCHEMICAL PROCESSES WITH SOLAR HEAT INPUT, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8608.US00]明細書[名称「INDUCTION FOR THERMOCHEMICAL PROCESS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8611.US00]明細書[名称「COUPLED THERMOCHEMICAL REACTORS AND ENGINES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」]、2010年9月22日出願の米国特許出願第61/385,508号明細書[名称「REDUCING AND HARVESTING DRAG ENERGY ON MOBILE ENGINES USING THERMAL CHEMICAL REGENERATION」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8701.US00]明細書[名称「ARCHITECTURAL CONSTRUCT HAVING FOR EXAMPLE A PLURALITY OF ARCHITECTURAL CRYSTALS」]、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/806,634号[名称「METHODS AND APPARATUSES FOR DETECTION OF PROPERTIES OF FLUID CONVEYANCE SYSTEMS」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8801.US01]明細書[名称「METHODS, DEVICES, AND SYSTEMS FOR DETECTING PROPERTIES OF TARGET SAMPLES」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9002.US00]明細書[名称「SYSTEM FOR PROCESSING BIOMASS INTO HYDROCARBONS, ALCOHOL VAPORS, HYDROGEN, CARBON, ETC.」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9004.US00]明細書[名称「CARBON RECYCLING AND REINVESTMENT USING THERMOCHEMICAL REGENERATION」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9006.US00]明細書[名称「OXYGENATED FUEL」]、2009年8月27日出願の米国特許出願第61/237,419号[名称「CARBON SEQUESTRATION」]、2009年8月27日出願の米国特許出願第61/237,425号[名称「OXYGENATED FUEL PRODUCTION」]、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9102.US00]明細書[名称「MULTI-PURPOSE RENEWABLE FUEL FOR ISOLATING CONTAMINANTS AND STORING ENERGY」]、2010年12月8日出願の米国特許出願第61/421,189号[名称「LIQUID FUELS FROM HYDROGEN, OXIDES OF CARBON, AND/OR NITROGEN; AND PRODUCTION OF CARBON FOR MANUFACTURING DURABLE GOODS」]、および2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9105.US00]明細書[名称「ENGINEERED FUEL STORAGE, RESPECIATION AND TRANSPORT」]である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の反応領域および前記第1の反応領域内に熱を導くように配置された熱経路と、
前記第1の反応領域に結合された反応体供給源と、
前記第1の反応領域に流体連通した状態で結合されて、前記第1の反応領域を循環的に加圧する第1のアクチュエータと、
前記第1の反応領域と流体連通した第2の反応領域と、
前記第1の反応領域と前記第2の反応領域の間に結合されて、前記第1の反応領域と前記第2の反応領域の間の流速を制御する機構と、
前記第2の反応領域に流体連通した状態で結合されて、前記第2の反応領域を循環的に加圧する第2のアクチュエータと、
前記第1の反応領域を出た第1の生成物から、前記第1の反応領域に入る反応体に熱を導くように配置された第1の熱交換器と、
前記第2の反応領域を出た第2の生成物から、前記第1の反応領域に入る前記反応体に熱を導くように配置された第2の熱交換器と、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに結合されたコントローラであって、実行されたときに、前記第2の反応領域からの前記第2の生成物の流速に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを、調整された態様で制御する命令でプログラムされたコントローラと、
を備えることを特徴とする化学反応器システム。
【請求項2】
前記第1の熱交換器は、前記第1の反応領域および前記第2の反応領域と流体連通した状態に配置されており、
前記第1の熱交換器は、前記第1の反応領域から前記第2の反応領域内へ生成物を導くように配置された第1の流路と、
前記第1の流路と熱連通し、前記反応体供給源と前記第1の反応領域の間に結合された第2の流路と、
を有し、
前記第2の熱交換器は、前記第2の反応領域と流体連通した状態に配置されており、前記第2の熱交換器は、
前記第2の反応器から生成物を導くように配置された第3の流路と、
前記第3の流路と熱連通し、前記反応体供給源と前記第1の反応領域の間に結合された第4の流路と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、実行されたときに、
前記第1の反応領域を循環的に加圧するよう前記第1のアクチュエータに指示し、
前記第2の反応領域を、前記第1の反応領域の加圧と相互に関連した態様で循環的に加圧するよう第2のアクチュエータに指示する、
命令でプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱経路は、太陽エネルギーを透過させることができる反応器表面を含み、
前記システムは、前記反応器表面を透過するよう太陽放射を導くように配置された太陽エネルギー収集装置をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の反応領域に結合された2次熱供給源をさらに備え、
前記コントローラは、前記2次熱供給源に結合されて、前記第1の反応領域への低い太陽エネルギー投入量が示されたことに応答して前記2次熱供給源を作動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記機構は逆止め弁を備え、
前記逆止め弁は、前記第1の反応領域内の圧力が前記第2の反応領域内の圧力よりも大きいときに前記第1の生成物を前記第2の反応領域に入れ、前記第2の反応領域内の圧力が前記第1の反応領域内の圧力よりも大きいときに前記第1の反応領域と前記第2の反応領域の間の流体連通を妨げるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
第1の反応器部分であって、
第1の反応体ポート、
第1の生成物ポート、
前記第1の反応体ポートおよび前記第1の生成物ポートと流体連通した第1の反応領域、ならびに
前記第1の反応領域内に太陽放射を導くように配置された太陽放射経路、
を有する第1の反応器部分と、
前記第1の反応体ポートに結合されたメタンおよび二酸化炭素の供給源と、
前記第1の反応体ポートに流体連通した状態で結合されて、前記メタンおよび前記二酸化炭素を循環的に加圧する少なくとも1つの第1のアクチュエータと、
第2の反応器部分であって、
前記第1の生成物ポートに結合された第2の反応体ポート、
第2の生成物ポート、ならびに
前記第2の反応体ポートおよび前記第2の生成物ポートと流体連通した第2の反応領域を有する第2の反応器部分と、
前記第1の反応領域および前記第2の反応領域と流体連通した状態に配置された逆止め弁と、
前記第2の反応領域に結合された水素の供給源と、
前記水素の供給源に流体連通した状態で結合されて、前記第2の反応領域に送達される前記水素を循環的に加圧する第2のアクチュエータと、
前記第1の生成物ポートおよび前記第2の反応体ポートと流体連通した状態に配置された第1の熱交換器であって、
前記第1の反応器部分から前記第2の反応器部分内へ生成物を導くように配置された第1の流路、ならびに
前記第1の流路と熱連通し、前記第1の反応体ポートと前記メタンおよび二酸化炭素の供給源との間に結合された第2の流路、
を有する第1の熱交換器と、
前記第2の生成物ポートと流体連通した状態に配置された第2の熱交換器であって、
前記第2の反応器部分から生成物を導くように配置された第3の流路、
前記第3の流路と熱連通し、前記第1の反応体ポートと前記メタンおよび二酸化炭素の供給源との間に結合された第4の流路、
を有する第2の熱交換器と、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに動作可能に結合されたコントローラであって、実行されたときに、メタノール生成速度に対応する入力に基づいて、前記メタノール生成速度を増大させるように前記アクチュエータを作動させる命令でプログラムされたコントローラと、
を備えることを特徴とする化学反応器システム。
【請求項8】
前記太陽放射経路に沿って太陽放射を導くように配置された太陽エネルギー集中装置と、
前記第1の反応領域に動作可能に結合された2次熱供給源と、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1の反応領域への太陽エネルギーの低い投入量に対応する入力に少なくとも部分的に基づいて、前記2次熱供給源を自動的に作動させる、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
水素化合物を処理する方法であって、
水素化合物を含む反応体を第1の反応領域に導くステップと、
前記第1の反応領域の圧力を第1のサイクルに従って循環的に変化させるステップと、
前記第1の反応領域内に熱を導いて前記反応体を加熱するステップと、
前記水素化合物を解離させて、第1の生成物を吸熱反応で生成するステップと、
前記第1の生成物を第2の反応領域に移し、その間に、前記第1の生成物から、前記第1の反応領域へ移動している反応体に熱を伝達するステップと、
前記第2の反応領域の圧力を第2のサイクルに従って循環的に変化させるステップと、
前記第2の反応領域で、水素ベースの燃料と構造構築ブロックのうちの少なくとも一方を含む第2の生成物を発熱反応で生成するステップと、
前記第2の生成物から、前記第1の反応領域へ移動している前記反応体に熱を伝達するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1の反応領域の前記圧力を循環的に変化させるステップは、前記第2の反応領域で前記第2の生成物が生成される速度に応じて実行されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のサイクルの高圧部分で、前記第1の反応領域に熱を集める速度を増大させるステップと、
前記第1のサイクルの低圧部分で、前記吸熱反応の速度を増大させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のサイクルの高圧部分で、前記発熱反応の速度を増大させるステップと、
前記第2のサイクルの低圧部分で、前記解離生成物を前記第2の反応領域へ移す速度を増大させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
反応体を導くステップはメタンおよび二酸化炭素を導くステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
第1の生成物を生成するステップは水素および一酸化炭素を生成するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
熱を導くステップは太陽放射を導くステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
太陽放射を導くステップは、日中に太陽放射を導くステップを含み、熱を導くステップは、日中以外の時間に太陽放射以外の熱を導くステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の反応領域の圧力を循環的に変化させるステップは、前記第1の生成物中に存在する成分の追加の量を導くステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記成分の追加の量を導くステップは、前記発熱反応を化学量論的に平衡させるのに十分な量を超える量の前記成分の追加の量を導くステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応領域内の圧力を制御することによって前記吸熱反応の速度を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の反応領域で前記第2の生成物が生成される速度に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の反応領域および前記第2の反応領域内の圧力を、調整された態様で制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項21】
炭化水素を処理する方法であって、
(a)制御された圧力下で、第1の反応領域にメタンおよび二酸化炭素を導くステップと、
(b)前記第1の反応領域内の温度を上昇させて、前記第1の反応領域の前記圧力をさらに増大させるステップと、
(c)前記第1の反応領域の前記メタンを吸熱反応で解離させて、水素および一酸化炭素を生成するステップと、
(d)前記第1の反応領域内の前記圧力が前記第2の反応領域内の圧力を上回ったときに、前記水素および一酸化炭素を導いて前記第2の反応領域へ流入させ、それによって前記第1の反応領域内の前記圧力を低下させ、前記第1の反応領域における反応速度を増大させ、前記第2の反応領域内の前記圧力を増大させるステップと、
(e)(1)前記第2の反応領域へ移動している前記一酸化炭素および水素から、(2)前記第1の反応領域へ流れているメタンおよび二酸化炭素に熱を伝達するステップと、
(f)前記第1の反応領域から受け取ったものではない追加の水素を用いて前記第2の反応領域をさらに加圧するステップと、
(g)前記第2の反応領域内の前記圧力を前記第1の反応領域内の前記圧力よりも高くして、前記第1の反応領域内の水素および一酸化炭素が前記第2の反応領域に入ることを妨げるステップと、
(h)前記第2の反応領域において、一酸化炭素と水素を結合させて、圧力増大の関数として速度が増大する発熱反応でメタノールを生成するステップと、
(i)前記第2の反応領域から前記メタノールを放出して、前記第2の反応領域の前記圧力および前記第2の反応領域における反応速度を低減させるステップと、
(j)前記第2の反応領域を出た前記メタノールから、前記第1の反応領域へ流れているメタンおよび二酸化炭素に熱を伝達するステップと、
(k)前記第2の反応領域内の前記圧力が前記第1の反応領域内の前記圧力よりも低くなったときに、プロセス(d)〜(k)を繰り返すステップと、
(l)前記第2の反応領域から前記メタノールが放出される速度に少なくとも部分的に基づいて変化するように、前記第1の反応領域および前記第2の反応領域内の前記圧力を制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記第1の反応領域内での前記吸熱反応とは別の反応でメタンから水素を解離させることによって前記追加の水素を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
太陽放射を導くステップは日中に実行され、前記方法は、日中以外の時間に太陽放射以外からの熱を前記第1の反応領域に導くステップをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
熱を導くステップは一酸化炭素を酸化するステップを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の反応領域での前記吸熱反応を、ニッケルアルミナ触媒の存在下で実施するステップをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記吸熱反応を実行するステップは、前記吸熱反応を、約900℃の温度および最大約1500psi(10,340kPa)の圧力で実行するステップを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記発熱反応を実行するステップは、前記発熱反応を、約250℃の温度および最大約5000psi(34,480kPa)の圧力で実行するステップを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−519508(P2013−519508A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553078(P2012−553078)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024772
【国際公開番号】WO2011/100696
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511201174)マクアリスター テクノロジーズ エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】