説明

水素化触媒および水素化方法

本発明は、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3プロパンジオールに水素化するのに効果的な水素化触媒を提供する。この水素化触媒は、α−アルミナ支持体、ニッケル、ルテニウム、および助触媒を含む。ニッケルは、α−アルミナ支持体上に付着され、ルテニウムおよび助触媒は、このニッケルおよびα−アルミナ支持体上に付着される。α−アルミナ支持体は触媒の少なくとも92重量%、およびニッケルは触媒の1重量%から6重量%である。また、本発明は、触媒により、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3プロパンジオールに水素化する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化触媒、水素化触媒を調製する方法、および水素化触媒を使用してアルデヒドを水素化する方法に関する。より詳細には、本発明は、水素化触媒、この調製方法、およびアルデヒドの水素化におけるこの使用に関し、ここで、この触媒は、支持体上に付着したニッケルを有し、このニッケルおよびα−アルミナ上に付着したルテニウムおよび助触媒を有するα−アルミナ支持体を含み、助触媒は、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、銀、コバルト、銅またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【背景技術】
【0002】
1,3プロパンジオール(PDO)は、多種の用途を有する化合物である。これは、フィルムとして、カーペットおよび織物用繊維として有用であるポリエステルおよびポリウレタンの製造においてモノマー単位として有用である。また、エンジン冷却液として有用である。
【0003】
PDOは、2つの主な反応を含むプロセスにおいて、エチレンオキシド(EO)から調製することができる。最初に、EOおよび合成ガス(H/CO)を、有機溶剤中で3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(HPA)に触媒的にヒドロホルミル化する。このHPAを水により溶剤から抽出して、HPAの水溶液を形成し、HPAの水溶液を次いで水素化して、PDOを形成する。
【0004】
PDOへのHPAの水素化は、水素化触媒を使用して実施される。水素化触媒は、望ましくは、いくつかの特徴を有するべきである:1)長時間にわたり高度に活性であるべきである;2)他の化合物ではなく、PDOの形成に高度に選択性である水素化を生じるべきである;3)長期の触媒寿命を有するべきである;4)PDO製品ストリーム中に放出されるべきでない;および5)好ましくは安価な成分、必要ならばできるだけ少ない高価な成分を使用して、経済的に優れているべきである。
【0005】
Hatch等、米国特許第2,434,110号によれば、HPAをPDOに水素化するとりわけ好ましい触媒は、ラネーニッケルおよびAdkinの銅−クロム酸化物である。また、Hatch等は、HPAをPDOに水素化する他の適切な触媒には、Fe、Co、Pd、Zr、Ti、Th、V、Ta、Ag、Mo、およびAlなどの金属の、触媒的に活性な化合物が含まれることを開示している。ラネーニッケルなどのスラリ触媒は、水素化反応混合物中の触媒の均一な分布の結果として、PDOへのHPAの変換において高い活性および選択性を有することが知られている。
【0006】
しかし、ラネーニッケルなどの懸濁、またはスラリ触媒は、可溶性化合物の形態においてPDO製品ストリーム中に放出されやすく、PDO製品ストリームを精製するための追加のステップを必要とする。Haas等、米国特許第6,232,511号は、ルテニウムが酸化物相上に支持されている支持ルテニウム触媒は、PDOへのHPAの水素化において有用であり、PDO製品ストリームを汚染する触媒の金属部分の問題を回避することを開示している。固定床における支持ルテニウム触媒の使用が好ましい。特に、好ましい酸化物相支持体は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、二酸化ジルコニウム、およびゼオライトなどの酸性媒体に抵抗性のある酸化物相であると開示されている。酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムは、酸抵抗性が低いと開示されている。
【0007】
支持固定床触媒は、長期触媒寿命を有するためには強い支持体材料を有する必要がある。固定された細流床配置における水素化は、小さい触媒粒径により有利となる。しかし、粒径の減少は、触媒寿命を減少させる触媒の破砕強度を減少させる。低い破砕強度を有する触媒は、時間が経つとより容易に崩壊し、触媒床を最終的には詰まらせ、この時点で触媒を変える必要がある。
【0008】
高い破砕強度を有する支持体材料は、一般にα−アルミナなどの低い気孔率を有するものである。しかし、多孔性が低い支持体は、活性触媒金属を支持するための表面が少なく、結果として低い水素化活性を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、PDOへのHPAの水素化用の触媒を提供することであり、ここで、触媒は、比較的高い破砕強度、触媒の寿命にわたり高い活性、長期触媒寿命を有し、経済的で、商業的に魅力的である支持触媒である。
【0010】
また、本発明の目的は、反応が高度の選択性においてHPAをPDOに高率で変換し、プロセスが連続的であり、HPAからのPDOの体積/時間収量が高い水素化反応においてHPAからPDOを製造するために、このような触媒を使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、α−アルミナを含む支持体;および(i)6重量%までのニッケル(ii)ルテニウム;および(iii)レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒;(ここでニッケルは支持体に接触しており、ルテニウムおよび助触媒が少なくとも部分的にニッケルに覆い重なり、非支持体金属は、触媒の8重量%以下を含む。)を含む、アルデヒドを水素化するために効果的な水素化触媒を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、触媒の存在下において、アルデヒドを水素化することを含み、ここで、触媒が、α−アルミナを含む支持体、およびニッケル、ルテニウムを含む非支持体金属、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒を含む組成物を有し、ニッケルは支持体に接触しており、ルテニウムおよび助触媒が少なくとも部分的にニッケルに覆い重なるアルデヒドを水素化する方法を提供する。好ましくはアルデヒドは、ヒドロキシアルデヒドであり、最も好ましくはアルデヒドは、1,3プロパンジオールに水素化される3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドである。
【0013】
さらなる態様において、本発明はa)α−アルミナからなる支持体上にニッケルを付着させるステップ;b)ニッケルをその上に有する支持体をか焼するステップ;c)か焼後に、支持体およびニッケル上に、ルテニウム、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒を付着させて、触媒前駆体を形成するステップ;およびd)ニッケル、ルテニウム、および触媒前駆体の助触媒を金属のゼロ酸化状態に還元して、触媒を形成するステップを含む、アルデヒドを水素化するために有用な触媒を調製する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、水素化触媒、この調製方法、およびアルデヒド、特にヒドロキシアルデヒド、およびより詳細にはHPAをPDOに水素化するために、この水素化触媒を使用方法を提供する。この触媒は、固定床触媒として特に有用である支持触媒である。この触媒はα−アルミナを有し、この触媒は、α−アルミナが高破砕強度を有するので、破砕および触媒破壊に対する優れた抵抗力を提供する。この触媒は、少なくとも3種の非支持の触媒的に活性な金属−支持体上に付着されたニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着されたルテニウムおよび助触媒を含む。下層としてニッケル、および少なくとも部分的上層としてルテニウムおよび助触媒を含むこの触媒は、驚くべきことには、長時間にわたり、高い水素化触媒活性を示す。支持体上に付着させた触媒金属の高い活性の結果として、他のHPA/PDO水素化触媒と比較して、それぞれの金属の比較的少量を、PDOへのHPAの水素化を実施するために利用することができる。この特別に配置された触媒金属の驚くべき高い活性は、α−アルミナは活性金属の限られた量を支持できるに過ぎないが、触媒に対する支持体としてα−アルミナの使用を可能にする。α−アルミナ支持触媒は、高い破砕強度を有し、持続する固定床触媒を提供する。本発明の触媒は、必要とされる触媒金属が比較的少量であり、触媒が高活性および高度の選択性を伴う長寿命を有するので、他のHPA/PDO水素化触媒に優る著しい経済的利点をもたらす。
【0015】
触媒
本発明の触媒は、非支持体触媒的活性金属ニッケル、ルテニウム、ならびにレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅、およびこれらの混合物からなる群から選択された助触媒;およびα−アルミナ相の酸化アルミニウム(Al)を含む支持体を含む。支持体は、好ましくは触媒の少なくとも92重量%を含み、さらに好ましくは触媒の少なくとも94重量%を含む。最も好ましくは、支持体は、本質的にα−アルミナからなる。
【0016】
非支持体金属は、触媒の8重量%以下、好ましくは触媒の6重量%以下、最も好ましくは触媒の5重量%以下を含む。ニッケルは、触媒の6重量%まで、さらに好ましくは触媒の1.5重量%〜3.5重量%または触媒の1重量%〜3重量%を含む。ルテニウムは、少なくとも触媒の0.1重量%を含み、さらに好ましくは触媒の0.5重量%〜3.5重量%を含み、最も好ましくは触媒の0.75重量%〜1.5重量%を含む。助触媒は、少なくとも触媒の0.1重量%を含み、さらに好ましくは触媒の0.5重量%〜3.5重量%を含み、最も好ましくは触媒の0.75重量%〜1.5重量%を含む。好ましくはニッケルの、触媒中のルテニウムプラス助触媒に対する金属重量による重量比は、1:2〜6:1であり、およびさらに好ましくは1:1〜3:1である。また、好ましくは、ルテニウムの、助触媒に対する金属重量による重量比は、1:4〜4:1である。最も好ましくはニッケルは、触媒の2.5重量%を含み、ルテニウムは、触媒の1重量%を含み、および助触媒は、触媒の1重量%を含む。最も好ましい実施形態において、助触媒は、レニウムである。
【0017】
ニッケルは支持体に接触し、ルテニウムおよび助触媒は、少なくとも部分的にニッケルに覆い重なる。ニッケルは、支持体上に付着した下層を形成し、ルテニウムおよび助触媒は、ニッケル上に少なくとも部分的に付着した上層を形成しており、支持体に付着している場合もある。少なくとも部分的にニッケルに覆い重なるルテニウムと助触媒の組合せは、予想外に、PDOへのHPAの水素化において触媒の触媒活性レベルを長期間にわたり著しく増大することが分かった。
【0018】
α−アルミナを含む触媒の支持体は、高度の機械的強度を有する。支持体は、直径500Å未満の気孔をほとんど有せず、140°接触角において水銀空隙測定法によって測定された約1400〜ほぼ1800Åの中央値気孔直径を有することができる。支持体は、好ましくは0.35ml/g〜0.45ml/gの気孔体積(Hg)を有することができる。小さな気孔のないことは、支持体が3mm〜5mmの平均長さを有する場合、支持体に比較的高い破砕強度、少なくとも2.26kg/mmをもたらし、触媒の寿命にわたり、触媒の微粒子への破壊または化学的破壊による支持体の弱化を防止する。支持体の高い破砕強度は、触媒に、固定床水素化触媒として、長触媒寿命に必要な強度を与える。
【0019】
破砕強度は、個々の触媒ペレットの平板破砕によって測定され、2枚の平板間に長さ方向に配置した場合に、触媒ペレットの平均長さ当たりの、ペレットを破砕するために必要な平均的力として記録される。平板破砕強度は、次の式により計算される:
【0020】
【数1】

【0021】
触媒の支持体は、ガンマアルミナ、エータアルミナ、デルタアルミナ、またはシータアルミナなどのα−アルミナ以外のアルミナの他の形態をほとんど含まない。アルミナの他の形態は、α−アルミナよりも実質上高い気孔率を有し、所望の機械的強度および化学的耐性をもたらさない。好ましい実施形態において、触媒の支持体は、粉体X線回折によって測定して、α−アルミナ以外のアルミナの他の形態を含まない。最も好ましい実施形態において、触媒の支持体は、実質上α−アルミナからなる。
【0022】
触媒の支持体は、支持体を細流床反応器などの固定水素化床中に配置し保持できるような形状、大きさおよび構造を有する。最も好ましくは、図1に示すように、支持体は三葉形3または円筒形5ペレットである。
【0023】
その限定された気孔率の結果として、支持体は、10m/g未満のNBET表面積を有することができ、好ましくは3m/g〜9m/gのNBET表面積を有する。一般に、支持体表面積を減少させると、支持体の機械的強度を増大させるが、触媒の活性金属成分をその上に付着させる利用可能な面積を減少させる。触媒の支持体は、一般に、α−アルミナ支持体および非支持体金属の合わせた重量(触媒の重量)に対して、非支持体金属を8重量%以下保持することができる。
【0024】
しかし、本発明の水素化触媒は、支持体上の活性金属成分が比較的少量であるにもかかわらず予期しない高い水素化活性を有する。水素化活性は、ニッケル成分および支持体を覆うルテニウムおよび助触媒金属成分の「層形成」の組合せ、および選択された活性金属成分の組合せによると考えられる。上述のように、ニッケルは支持体に直接接触し、非支持体活性金属「下層」を形成する。ルテニウムおよび助触媒の金属は、ルテニウムおよび助触媒が「上層」として作用するように、少なくとも部分的にニッケル下層上に付着される。この「層形成」は、「層化」されていない同様の活性金属成分から形成された触媒よりも、本発明の触媒に、ある期間にわたって著しくより大きな活性を与えることが分かった。
【0025】
ニッケルは、支持体を覆って完全なコーティングを形成することができず、ルテニウムおよび助触媒はニッケルまたは支持体上のいずれかに付着させることができるので、ルテニウムおよび助触媒は、ニッケル上および支持体上の両方に付着させることができることを理解されたい。また、ニッケルを完全に覆うようにルテニウムおよび助触媒を付着させることはできないことを理解されたい。したがって本明細書では、用語「上層」は、ルテニウムおよび助触媒がニッケル「下層」上だけに必ず付着させられること、またはルテニウムおよび助触媒がニッケル「下層」を全面的に覆うことを意味すると解釈すべきではない。むしろ、本明細書では、「上層」および「下層」は、ルテニウムおよび助触媒「上層」は少なくとも部分的にニッケル「下層」に覆い重なり、支持体に接触してよいことを意味すると解釈すべきである。
【0026】
また、触媒の非支持体触媒活性金属の選択された組合せは、長期間にわたり、実質的な水素化活性を提供する。助触媒金属を含むルテニウムの上層は、ニッケル下層を覆うルテニウム単独または助触媒金属単独の上層を利用する触媒と比較して、および触媒支持体上に単一層として付着された多数または単一の金属成分を含む触媒と比較して、とりわけ触媒が古くなるときに、水素化活性において著しい増大をもたらす。
【0027】
非支持体活性金属は支持体の表面積に比較して、最終触媒の表面積を実質上増大させ、これにより、水素の存在下においてアルデヒドを変換するために触媒的に相互に作用するための、支持体単独よりも大きな表面積をもたらす。好ましくは最終触媒の表面積は、支持体の表面積の1.5〜5倍、さらに好ましくは支持体の表面積の1.5〜3倍である。最終触媒の表面積は、一般にN吸着により測定して、10m/g〜25m/gの範囲、最も一般には12m/g〜20m/gの範囲である。
【0028】
非支持体金属は、支持体の気孔体積に比べて最終触媒の気孔体積および中央値気孔直径を減少させる。一般に、最終触媒の気孔体積(Hg)は、140°接触角において水銀空隙測定法により測定して、0.2cc/g〜0.35cc/gの範囲である。また、最終触媒の中央値気孔直径は、一般に1400Å〜1700Åの範囲である。
【0029】
触媒は、非支持体金属がこれらの還元された状態にあるその活性化された状態において、周囲条件において、空気中で驚くほどに安定である。好ましくは、活性化された触媒は、10℃〜30℃の温度において空気中で無期限に安定である。
【0030】
触媒は、とりわけ長期間の後に、水素化条件下でHPAを変換するための実質的触媒活性を有する。触媒は、50℃〜100℃の温度、4.0〜6.5のpH、6.89MPa〜10.68MPaの水素圧において、少なくとも50mlHPA/ml触媒.時間の率において、HPAの水素化を触媒するのに十分な初期活性を有する。好ましくは触媒は、50℃〜100℃の温度、4.0〜6.5のpH、6.89MPa〜10.68MPaの水素圧において、同じHPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、少なくとも25mlHPA/ml触媒.時間の率において、HPAの水素化を触媒するのに十分な活性を有する。さらに好ましくは、触媒は、50℃〜100℃の温度、4.0から6.5のpH、6.89MPa〜10.68MPaの水素圧において、同じHPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、少なくとも35mlHPA/ml触媒.時間の率において、HPAの水素化を触媒するのに十分な活性を有し、最も好ましくは同じHPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、このような条件下で少なくとも40mlHPA/ml触媒.時間の率において、HPAの水素化を触媒するための活性を有する。
【0031】
また、触媒は、とりわけ水素化条件に長期間曝した後に、高い破砕強度を有する。触媒は、3mm〜5mmの長さおよび0.8mm〜1.2mmの直径を有する場合、少なくとも2.26kg/mmの初期破砕強度を有することができ、さらに好ましくは少なくとも2.72kg/mmの初期破砕強度を有することができる。触媒は、3mm〜5mmの長さおよび0.8mm〜1.2mmの直径を有する場合、さらに、50℃〜100℃の温度、4.0から6.5のpH、および6.89MPa〜10.68MPaの水素圧のHPA水素化条件に79日間曝した後に、少なくとも2.04kg/mm、およびさらに好ましくは2.26kg/mmの破砕強度を有することができる。
【0032】
本発明の別の実施形態において、また触媒の非支持体金属は、ニッケルと混合または合金化され、および触媒の「下層」の一部分として支持体上に付着されたモリブデンを含むことができる。触媒の「下層」中に、ニッケルとの混合物または合金として触媒中に存在するならば、モリブデンは、好ましくは金属重量で、ニッケルに対して1:1〜1:20の重量比において触媒中に存在する。ルテニウムおよび助触媒は、モリブデンがニッケルと共に非支持体金属下層に含まれている場合には、少なくとも部分的にニッケルおよびモリブデンに覆い重なる。
【0033】
本発明の最も好ましい実施形態において、触媒は、ハロゲンを含まない。ハロゲンは、触媒の活性金属成分を含む金属塩として、触媒の調製において触媒の支持体上に付着され得る。しかし、ハロゲンは、水素化反応器の金属成分を腐食させることが知られおり、それゆえハロゲンを含む触媒を避けることが望ましい。本発明の触媒を調製するために金属塩を使用する場合、好ましくは触媒をハライド塩ではない活性金属の金属塩を使用して調製する。
【0034】
触媒を調製する方法
触媒は、先ずα−アルミナからなる支持体を調製することによって調製することができ、次いで支持体上にニッケルを付着させ、ニッケルをこの上に有する支持体をか焼し、か焼後に、ニッケルおよび支持体上にルテニウムおよび助触媒を付着させて、触媒前駆体を形成し、触媒の金属(ニッケル、ルテニウム、および助触媒)を還元して、触媒を形成する。
【0035】
α−アルミナ支持体は、押出しアルミナペレットをか焼することによって調製することができる。押出しアルミナペレットは、擬似ベーマイト沈降アルミナ粉体の水および酸との混合物を混和して、押出し可能な混合物を形成することによって製造することができる。押出し可能な混合物は、次いで付形されたダイを通して押し出されてペレットを形成し、次いでこれを乾燥させることができる。押出しペレットは、次いで少なくとも1150℃、好ましくは1250℃〜1350℃の温度において、少なくとも2時間か焼して、α−アルミナ相支持体を形成することができる。か焼は、アルミナペレットの気孔体積(HO)を0.8cc/g超から0.3〜0.5cc/gに減少させ、およびペレットのN表面積を225m/g超から10m/g未満に減少させ、一方ペレットの中央値気孔直径を約100Åから約1400〜1800Åに増大させる。好ましくは支持体として使用されるか焼α−アルミナペレットは、図1に示すように三葉形3または円筒5形を有する。
【0036】
ニッケルは、第1層すなわち下層としてα−アルミナからなる支持体上に付着される。ニッケルは、触媒が高い活性を有するようにするために支持体の表面を覆って比較的均一に分散されるべきである。ニッケルは、支持体上にニッケルの所望の量を付着させるいかなる手順によっても支持体上に付着させることができる。ニッケルを、好ましくは支持体の水吸収容量を求め、この水吸収容量に応じて支持体を、最終触媒中の所望のニッケル濃度に対応するニッケル含量を有する水性ニッケル溶液(この溶液の総量が支持体によって吸収される)により添加することによって支持体上に付着させる。ニッケル溶液は、好ましくは金属重量で、最終触媒の6重量%までの、さらに好ましくは最終触媒の1.5重量%〜3.5重量%または最終触媒の1重量%〜3重量%のニッケル濃度を実現するために調製される。最も好ましくはニッケル溶液は、金属重量で、最終触媒の2.5重量%のニッケル濃度を実現するために調製される。
【0037】
好ましくは、炭酸ニッケルが水性ニッケル溶液において使用されるが、硝酸ニッケルまたは酢酸ニッケルなどの他の水溶性ニッケル化合物も、炭酸ニッケルと共にまたは炭酸ニッケルの替わりに水性ニッケル溶液において使用することができる。ニッケルハライド塩は、水性ニッケル溶液において使用し得るが、ハライドは水素化反応器のスチール成分に対して腐食性であることが知られているので、より好ましくない。炭酸アンモニウム[(NHCO]および水酸化アンモニウムは、水溶液中のニッケルの溶解を助けるために水性ニッケル溶液中に含まれてよい。
【0038】
所望の場合には、モリブデンもまた、ニッケルおよびモリブデンの混合物または合金として、触媒と共に支持体上に付着させることができる。ニッケルとの混合物または合金として触媒中に含まれる場合、モリブデンは、好ましくは金属重量で、1:1から1:20のニッケルに対する重量比において含まれる。好ましくは、モリブデンの所望の量は、水性ニッケル溶液において水性塩基/水可溶性形態で含まれ、この水性ニッケル溶液が支持体上に添加される。好ましくは、三酸化モリブデンが、水性ニッケル/モリブデン溶液において使用されるが、ジモリブデン酸アンモニウムおよびヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物などの他の水性塩基/水可溶性モリブデン化合物も使用し得る。
【0039】
支持体を、モリブデンを含有してまたは含有せずに、ニッケルにより含浸した後に、ニッケル含浸支持体を熟成させることができる。好ましくは支持体を、室温において1時間〜3時間、最も好ましくは2時間熟成させる。
【0040】
ニッケル含浸支持体を、モリブデンを含有してまたは含有せずに、ルテニウムおよび助触媒により含浸する前に、乾燥およびか焼することができる。ニッケル含浸支持体を、25℃から250℃の温度において1時間〜4時間、最も好ましくは150℃の温度において3時間乾燥することができる。ニッケル含浸支持体が乾燥した後に、350℃から500℃の温度において30分間〜2時間、最も好ましくは483℃の温度において1時間か焼することができる。
【0041】
ルテニウムおよび助触媒を、次いで第2層すなわち上層として、乾燥され、か焼された支持体上に付着させる。ルテニウムおよび助触媒は、高度の触媒活性を確保するためにニッケル含浸支持体を覆って比較的均一に分散されるべきである。ルテニウムおよび助触媒を、ニッケル(およびニッケルと共に存在する場合にモリブデン)および支持体の両方の上に付着することができると理解されたい。というのは、ニッケルは支持体を覆って完全なコーティングを形成することができないので、ルテニウムおよび助触媒はニッケルまたは支持体上に付着させられることがあるからである。用語「上層」は、したがって、ルテニウムおよび助触媒が、必ずしもニッケル「下層」上だけに付着されることを意味すると見做すべきではない。
【0042】
ルテニウムおよび助触媒は、ルテニウムの選択された量および助触媒の第2の選択された量を支持体上に付着させるいずれの手順によってもニッケル含浸支持体上に付着させることができる。好ましくはルテニウムおよび助触媒を、ニッケル含浸支持体をこの水吸収能力により、ルテニウムおよび助触媒を水溶性形態において含む水溶液により添加することによりニッケル含浸支持体上に付着させる。ルテニウムおよび助触媒の水溶液は、好ましくはルテニウム/助触媒溶液の総量が支持体上に吸収された場合、最終触媒上の各々ルテニウムおよび助触媒の所望の量に対応して、ルテニウム含量および助触媒含量を有する。
【0043】
水性ルテニウム/助触媒の溶液は、好ましくは金属重量で、最終触媒の少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは最終触媒の0.5重量%〜3.5重量%、最も好ましくは最終触媒の0.75重量%〜1.5重量%のルテニウムの含量をもたらすために、および好ましくは金属重量で、最終触媒の少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは最終触媒の0.5重量%〜3.5重量%、最も好ましくは最終触媒の0.75重量%〜1.5重量%の助触媒の含量をもたらすために調製される。好ましくはルテニウム/助触媒の水溶液は、金属重量で、1:2〜6:1、およびさらに好ましくは1:1〜3:1の、最終触媒中のルテニウムプラス助触媒に対するニッケルの重量比をもたらすために調製される。また、好ましくはルテニウム/助触媒の水溶液は、金属重量で、1:4〜4:1の、助触媒に対するルテニウムの重量比をもたらすために調製される。最も好ましくはルテニウム/助触媒溶液は、とりわけ、ニッケルが最終触媒の2.5重量%を含む量において支持体上に付着された場合、ルテニウムが最終触媒の1重量%を含み、助触媒が最終触媒の1重量%を含むように調製される。
【0044】
好ましくは、硝酸ルテニウムニトロシルが、水性ルテニウム/支持体溶液中の水溶性ルテニウム化合物として使用される。三塩化ルテニウム、カリウムヘキサクロロウレタン、カリウムテトラオキソウレタン、四酸化ルテニウム、三塩化ヘキサアミンルテニウム、およびカリウムヘキサシアノウレタンなどの他の水溶性ルテニウム化合物を、水性ルテニウム/助触媒水溶液中の硝酸ルテニウムニトロシルと共にまたは硝酸ルテニウムニトロシルの替わりに使用することができる。しかし、ルテニウムハライドは、ハライドが水素化反応器のスチール成分に対し腐食性であることが知られているので、より好ましくない。
【0045】
助触媒は、好ましくはレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、鉄、コバルト、銀、銅、錫、またはこれらの混合物の水溶性化合物から選択される。最も好ましくは、助触媒は、水溶性レニウム化合物から選択される。特に好ましい水溶性レニウムは、過レニウム酸アンモニウム(NHReO)である。
【0046】
ニッケル含浸支持体をルテニウムおよび助触媒により含浸した後に、ルテニウム/支持体/ニッケル含浸支持体を熟成させることができる。好ましくは支持体は、室温において1時間〜3時間、最も好ましくは2時間熟成する。
【0047】
ルテニウム/助触媒/ニッケル含浸支持体を、次いで触媒前駆体を形成するために乾燥させる。ルテニウム/助触媒/ニッケル含浸支持体を、100℃〜250℃の温度において1時間〜4時間、最も好ましくは150℃において3時間乾燥させる。触媒前駆体は、この少なくとも1つがこれらのイオン性、非金属状態であってよい非支持体金属を含む。
【0048】
触媒前駆体は、次いで非支持体金属をこれらの金属の、ゼロ酸化状態に還元することによって活性化して、触媒を形成することができる。触媒前駆体を高温において水素雰囲気下で保持することによって還元して、触媒を形成することができる。好ましくは触媒前駆体を100℃〜500℃の温度において20分間〜24時間保持して、非支持体金属還元し、触媒を活性化させる。触媒は、好ましくは触媒前駆体を流れているH雰囲気下で加熱することによって活性化させる。最も好ましくは、触媒を、1分間当たり0.4℃において室温から107℃に上げた温度で加熱し、触媒前駆体を107℃において1時間保持し、1分間当たり0.9℃において107℃から288℃に温度を上げ、触媒前駆体を288℃において4時間保持し、室温に冷却させることによって、流れているH雰囲気下で活性化させる。
【0049】
活性化された触媒は、不活性雰囲気下で貯蔵するために移送され、使用に先立って液体PDO下に貯蔵される。しかし、驚くことには、活性化された触媒は、周囲条件下で、空気中で安定であることが分かった。したがって、活性化された触媒は、水素化反応器、好ましくは固定床中に不活性雰囲気下で維持されること、または不活性液体中に貯蔵されることなしに直接添加することができる。
【0050】
アルデヒドを水素化する方法
アルデヒドの水溶液は、水素化のために、本発明の触媒を含む好ましくは固定床構造の少なくとも1つの水素化反応器に供給することができる。好ましい活性化された触媒は上に記載されており、ここで触媒は、α−アルミナを含む支持体、ならびにニッケル、ルテニウム、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅、またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒を含み、ニッケルは支持体に接触し、ルテニウムおよび助触媒は少なくとも部分的にニッケルに覆い重なる。支持体、ニッケル、ルテニウム、および助触媒の好ましい量および相対的範囲は、上に記載されている。支持体の好ましい特性も上に記載されている。触媒を調製する方法も上に記載されている。好ましくは触媒は、三葉形または円筒形ペレットの形状において形成される。一実施形態において、触媒は、上記のように、ニッケルと混合されたまたは合金化されたモリブデンを含むことができる。最も好ましい実施形態において、助触媒はレニウムである。
【0051】
水素化されるべきアルデヒドは、少なくとも部分的に水に可溶性であり、水中で化学的に安定であるいずれのアルデヒドであってもよい。好ましくは、アルデヒドは、脂肪族アルデヒドであり、およびさらに好ましくはアルデヒドは、3〜12個の炭素原子を有する比較的低分子量脂肪族アルデヒドである。本発明の一実施形態において、アルデヒドは、ヒドロキシアルデヒドである。
【0052】
アルデヒドの水溶液は、水性液体の重量に基づいて、0.2重量%〜50重量%の範囲の濃度においてアルデヒドを含むことができるができ、この水性液体は好ましくは水または所望の水素化生成物と組み合わされた水である。固定床触媒の場合、好ましくは多くとも15重量%のアルデヒド濃度を有する、さらに好ましくは0.2重量%〜15重量%のアルデヒド濃度を有する、最も好ましくは多くとも8重量%のアルデヒド濃度、特に0.5重量%〜8重量%のアルデヒド濃度を有するアルデヒドの希釈溶液を使用するのが望ましい。固定床触媒ペレットを通るHの拡散が、アルデヒドを水素化する際の律速段階であり、所望の水素化生成物へのアルデヒドの水素化の選択性は、Hが存在しない状態で触媒されて、望ましくない副反応生成物が形成するのではなく、Hの存在下でアルデヒドが触媒されて、所望の生成物を形成することを確実なものとするために、アルデヒドの希釈された濃度を有する水溶液を利用することによって増大する。
【0053】
水を含めて、アルデヒドの水素化を妨げない任意の水性液体を、アルデヒドの水溶液を所望の濃度に希釈するために使用することができるが、水素化段階からの生成物ストリームの一部分などの所望の水素化生成物を含む水溶液を使用することが好ましい。このような生成物含有溶液による希釈は、システム水中の生成物を濃縮するのに役立ち、したがって、希釈剤として水単独を使用することから生じる、高コストおよび水からの希釈された生成物の回収を回避する。
【0054】
希釈された水性アルデヒド溶液中のアルデヒドを、当技術分野で知られている方法を使用して触媒の存在下で水素と反応させる。固定床水素化反応器は、本発明の触媒による工業規模の水素化を行うために好ましい。このような反応器において、液体反応混合物は、水素と一緒に固定床の触媒上を流れ、または少しずつ滴る。反応混合物中の水素の良好な分布および固定床の総体の断面にわたってガス/液体混合物の均一な分布を確実なものにするために、液体反応混合物および水素を、一緒に、触媒床の前で静的ミキサーを通過させることができる。
【0055】
水素化プロセスを1つの段階または2つ以上の逐次的段階において実施することができる。一般に、水素化は、30℃から190℃の温度で、3.44MPaから68.9MPaの水素圧において実施することができる。好ましい実施形態において、水素化は、50℃から130℃の温度、8.96MPaから10.3MPaの水素圧において最初に実施し、続いて第1段階の温度よりも高い温度、70℃〜155℃の範囲内および7.58MPa〜10.3MPaの水素圧で第2段階の水素化を実施し、次いで場合によって第3段階において第2段階の温度よりも高い温度において、120℃以上、好ましくは120℃〜190℃の温度、および6.89MPa〜10.3MPaの水素圧で水素化を実施する。最も好ましくは最初の水素化を、所望の生成物へのアルデヒドの水素化の選択性を増大させるために100℃未満の温度において実施する。アルデヒドの大部分は、第1の段階において水素化され、溶液は第2のおよび後の水素化段階においてアルデヒドの濃度が非常に希釈されているので、第2の水素化段階およびいずれの引き続く水素化段階も、選択性に悪影響を与えることなしにより高い温度において実施することができる。この好ましいプロセスにおいて、水素化は、場合によって2つ以上の別個の水素化容器中で実施される。
【0056】
1,3プロパンジオールを製造する方法
最も好ましくは、HPAが、PDOを形成するために水素化されるべきアルデヒドである。PDOは、本発明の触媒の存在下でHPAの水性溶液を水素化することによって調製することができる。
【0057】
HPAの水性溶液は、有機溶剤、典型的にはメチルt−ブチルエーテル(MTBE)中のHPAの希釈された混合物を形成するために、エチレンオキシドの触媒されたヒドロホルミル化(合成ガス,H/COとの反応)を含むプロセスによって調製することができる。有機溶剤中のHPAは水中に抽出されて、より濃縮されたHPA溶液を形成することができる。その全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,786,524号は、このようなプロセスを開示しており、ここではエチレンオキシドおよび合成ガスが、50℃〜100℃において、および3.44MPa〜34.4MPaにおいて、コバルトまたはロジウム触媒および触媒助触媒の存在下で接触し、HPAを含む製品混合物を生成する。水をHPA混合物に添加し、HPAの大部分を水中に抽出して、HPAの高い濃度を含む水相、および触媒の少なくとも一部分を含む有機相をもたらす。
【0058】
あるいは、HPAの水溶液を、その全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,015,789号に詳細に記載されているように、アクロレインの水和によって調製することができる。このプロセスにおいて、アクロレインおよび水を、1:2〜1:20、好ましくは1:3〜1:6の重量比において、30℃〜120℃、好ましくは50℃〜90℃、および0.1MPa〜2.0MPa、好ましくは0.2MPa〜0.5MPaにおいて、酸性カチオン交換樹脂の存在下で反応させて、HPAを形成する。HPAの製造の後に、HPA溶液を、好ましくは沈降または濾過によってイオン交換樹脂から分離し、反応混合物を未反応アクロレインから分離して、HPAの濃縮された水溶液をもたらす。アクロレインの分離は、減圧下で蒸留によって、好ましくは薄層蒸発器中で実施することができる。
【0059】
いかにして得られようと、HPAの水溶液を、PDOへの水素化のために、好ましくは固定床配置の、活性化された触媒を含む少なくとも1つの水素化反応器に供給することができる。好ましい活性化された触媒は、上に記載されており、触媒は、α−アルミナを含む支持体、ならびに非支持体金属ニッケル、ルテニウム、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、コバルト、鉄、銀、銅、またはこれらの混合物から選択された助触媒を含み、ここでニッケルは支持体に接触し、ルテニウムおよび助触媒は少なくとも部分的にニッケルに覆い重なる。α−アルミナ支持体、ニッケル、ルテニウム、および助触媒の好ましい量および相対的範囲は上に記載されており、またα−アルミナ支持体の好ましい特性も上に記載されている。好ましくは触媒は、三葉形または円筒形ペレットの形状において形成される。一実施形態において、触媒は、上記のようにニッケルと混合または合金化されたモリブデンを含む。最も好ましい実施形態において、助触媒はレニウムである。
【0060】
HPAの水溶液は、水性液体の重量に基づいて、0.2重量%〜50重量%の範囲の濃度のHPAを含むべきであり、この水性液体は、通常水、または水およびPDOの組合せである。固定床の場合、好ましくは多くとも15重量%HPAのHPA濃度を有する、さらに好ましくは0.2重量%〜15重量%HPA濃度を有する、最も好ましくは多くとも8重量%のHPA、特に0.5重量%〜8重量%のHPA濃度を有する、HPAの希釈された溶液を使用することが望ましい。固定床触媒ペレット通るHの拡散が、HPAをPDOに水素化する際の律速段階であり、PDOへのHPAの水素化の選択性は、触媒されて、Hが存在しない状態で望ましくない副反応生成物が形成するのではなく、Hの存在下でHPAが触媒されて、PDOを形成することを確実なものとするために、HPAの希釈された濃度を有する水溶液を利用することによって増大する。
【0061】
水を含めて、HPAの水素化を妨げないいずれの水性液体も、HPAの水溶液を所望の濃度に希釈するために使用することができるが、水素化段階からの製品ストリームの一部分などの水性PDO含有溶液を使用することが好ましい。このようなPDO含有溶液による希釈は、システム水中でPDOを濃縮するために役立ち、したがって、希釈剤として水単独を使用することから生じる、高コストおよび水からの希釈されたPDOの回収を回避する。
【0062】
希釈された水性HPA中のHPAは、当技術分野において知られている方法を使用して触媒の存在下において水素と反応させることができる。固定床水素化反応器は、本発明の触媒により工業規模において水素化を行うために好ましい。このような反応器において、液体反応混合物は、水素と一緒に固定床の触媒上を流れ、または少しづつ滴る。反応混合物中の水素の良好な分布および固定床の総体の断面にわたってガス/液体混合物の均一な分布を確実なものにするために、液体反応混合物および水素を一緒に、触媒床の前で静的ミキサーを通過させることができる。
【0063】
水素化プロセスを1つの段階または2つ以上の逐次的段階において実施することができる。一般に、水素化は、30℃から190℃の温度で、3.44MPaから68.9MPaの水素圧において実施することができる。好ましい実施形態において、水素化は、50℃から130℃の温度、8.96MPaから10.3MPaの水素圧において最初に実施し、続いて第1段階の温度よりも高い温度、70℃〜155℃の範囲内および7.56MPa〜10.3MPaの水素圧で第2段階の水素化を実施し、次いで場合によって第3段階において第2段階の温度よりも高い温度において、120℃以上、好ましくは120℃〜190℃の温度、および6.89MPa〜10.3MPaの水素圧で水素化を実施する。最も好ましくは最初の水素化を、PDOへのHPAの水素化の選択性を増大させるために100℃未満の温度において実施する。HPAの大部分は、第1の段階において水素化され、溶液は第2のおよび後の水素化段階においてHPAの濃度が非常に希釈されているので、第2の水素化段階およびいずれの引き続く水素化段階も、選択性に悪影響を与えることなしにより高い温度において実施することができる。この好ましいプロセスにおいて、水素化は、場合によって2つ以上の別個の水素化容器中で実施される。
【0064】
HPAは、より高いpHにおいてアルドール縮合生成物および重質留分副生物を形成する傾向があるので、水素化反応は、好ましくはpH6.5未満の酸性条件において実施される。好ましくは水素化は、4.0〜6.5のpHにおいて実施される。一般に、エチレンオキシドおよび合成ガスのヒドロホルミル化反応から得られるHPAの水溶液は、3−ヒドロキシプロピオン酸を含み、HPAの水溶液は酸性である。所望の場合には、HPA溶液のpHを、塩基、好ましくは水酸化物により上方に、または酸、好ましくは鉱酸により下方に、所望のpHに調整することができる。
【0065】
水素化反応は、バッチプロセスまたは連続プロセスにおいて実施することができる。HPAからのPDOの工業規模の製造には、連続プロセスを利用することが好ましい。
【0066】
本発明の触媒による本発明のPDOへHPAを水素化する方法は、特に長期間にわたり、水素化によるHPAの変換の高い程度および高い率をもたらす。HPAは、最初は水素化反応において、少なくとも50mlHPA/ml触媒.時間の率において、50℃〜160℃の温度、4.0〜6.5のpH、6.89MPa〜11.0MPaの水素圧において変換される。HPAは、触媒が長期間水素化反応条件に曝された後に、高率の活性を有する水素化反応においてさらに水素化することができる。好ましくはHPAは、少なくとも25mlHPA/ml触媒.時間の率において、50℃〜160℃の温度、4.0〜6.5のpH、6.89MPa〜11.0MPaの水素圧において、HPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、水素化される。さらに好ましくはHPAは、少なくとも35mlHPA/ml触媒.時間の率において、50℃〜160℃の温度、4.0〜6.5のpH、6.89MPa〜11.0MPaの水素圧において、HPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、水素化され、最も好ましくはHPAは、HPA水素化条件に少なくとも24時間曝した後に、このような条件下で少なくとも40mlHPA/ml触媒.時間の率において水素化される。
【実施例1】
【0067】
本発明による触媒が、α−アルミナ支持体、ニッケル、ルテニウム、およびレニウムを含んで調製され、ニッケルはα−アルミナ支持体上に付着され、ルテニウムおよびレニウムはニッケル上およびα−アルミナ支持体上に付着される。触媒は、触媒が2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含むように調製された。
【0068】
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、α−アルミナ支持体を調製した。水性ニッケル溶液を、炭酸アンモニウム3.5gを穏やかな加熱および撹拌により水酸化アンモニウム溶液(25%)15ml中に溶解してから、炭酸アンモニウム/水酸化アンモニウム溶液中に炭酸ニッケル6.8gを添加および溶解することによって調製した。溶液体積を追加の水酸化アンモニウム溶液(25%)により40mlにした。α−アルミナ支持体100gをニッケル溶液により含浸し、溶液体積の100%を吸収する。ニッケル溶液含浸支持体を、次いで室温において2時間熟成する。ニッケル含浸支持体を次いで、150℃において3時間乾燥し、次いで453℃において1時間か焼した。
【0069】
また、ルテニウムおよびレニウムの水性溶液を調製した。過レニウム酸アンモニウム1.6gを弱い加熱および撹拌により脱イオン水10ml中に溶解した。硝酸ルテニウムニトロシル3.3gを次いで添加し、加熱および撹拌により過レニウム酸アンモニウム溶液中に溶解させた。溶液体積を次いで、脱イオン水により40mlにした。か焼されたニッケル含浸支持体を次いで、ルテニウムおよびレニウムの水溶液の総体積により含浸し、室温において1時間熟成した。ニッケル/ルテニウム−レニウム含浸支持体を次いで、空気中で200℃において2時間乾燥して、触媒前駆体を形成した。
【0070】
触媒前駆体を、水素流下で、触媒前駆体を加熱することによって活性化して、触媒を形成した。触媒前駆体を0.4℃/分で周囲温度から上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において、1時間保持し、次いで、温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。
【実施例2】
【0071】
PDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、およびニッケル上およびα−アルミナ支持体上に付着されたルテニウムおよびレニウムを有する本発明による触媒により実施した。触媒は、2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0072】
触媒を実施例1に記載した手順により調製し、活性化された触媒は、活性化後に、水素化の前に液体PDO下で維持した。触媒密度0.70g/cmおよび空隙率0.42を有する触媒の21ml体積を、バッチ水素化ワイヤバスケット中に添加して、触媒添加量14.7グラムを供給し、これを次いで、不活性デンストンの1/8インチ層で覆って、触媒が水素化の間に移動することを防止した。触媒を含むバスケットを次いで、バッチ水素化反応器の冷却コイルに固定した。触媒を次いで、窒素スパージした脱イオン水で3回すすいだ。
【0073】
触媒を次いで、19バッチの水素化サイクルにかけ、それぞれのサイクルは120分間続いた。重要なことには、触媒を、バッチ間で更新または再生せず、それゆえそれぞれのバッチで触媒は逐次エージングされた。それぞれのバッチサイクルの後に、水素化反応器溶液をディップチューブを通して徐々に流出させ、次いで重量で1%n−ブタノール内部標準を含む水性HPA/PDO供給材料混合物300mlにより添加した。実施例2における19バッチの水素化サイクルに対して、水性HPA/PDOの供給材料混合物を以下の表1に示すように混合した。
【0074】
【表1】

【0075】
供給材料混合物のHPA部分のHPA含量は、PDO/HO溶液により希釈する前に5重量%と15重量%の間であった。
【0076】
充填された反応器を水素により2.07MPaに加圧し、次いでシステムから空気を除去するために3回ゆっくりとガス抜きをした。ガス抜きをした、添加された反応器を次いで、水素により5.5MPaから6.2MPaの範囲に加圧した。加圧され添加された反応器の温度を次いで、60℃に上げた。反応器の温度が60℃において安定した後に、水素圧を7.17MPaの最終反応圧に増大させた。120分間水素化反応させ、試料を0分、30分、60分、および120分において反応混合物から採取した。試料を、体積で試料のTHFに対する比、1:5において、試料とテトラヒドロフランの溶液中の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドおよび1,3プロパンジオールに対して、ついてガスクロマトグラフによって分析した。速度はHPAの消失率で決定した。
【0077】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表2に示す。また、表2は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表2は初期PDO含量および最終PDO含量を示す。
【0078】
【表2】

【0079】
図2は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図2に示すように、触媒は、バッチの全ての組にわたって、高活性においてHPAの変換に対して非常に効果的である。
【0080】
また、触媒は、PDO生成に対して良好な選択性を示した。触媒は、水素化条件下で、少なくとも100%選択性により、バッチ13〜15に対して185%および164%の初期選択性により、HPAをPDOに変換しており、ここで選択性は、パーセントとして表された消費されたHPAのモル数当たり形成されたPDOのモル数である。選択性は、PDOへの他の化合物の変換のために100%より大きい。
【実施例3】
【0081】
PDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着されたルテニウムおよびレニウムを有する本発明の触媒により実施、この時触媒は水素化の前に、乾燥され周囲条件下で空気に既に曝されていた。触媒は、2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0082】
触媒を、活性化された触媒が水素化装置中に添加される前に、周囲条件下において空気に曝されている以外は、実施例1の触媒と同様にして調製した。0.94g/cmの触媒密度および0.42の空隙率を有する活性化された触媒の21ml体積をバッチ水素化ワイヤバスケット中に乾燥添加して、19.7グラムの触媒添加材料を供給し、これを次いで、不活性デンストンの1/8インチ層で覆って、触媒が水素化の間に移動することを防止する。触媒を含むバスケットを次いで、バッチ水素化反応器の冷却コイルに固定した。触媒を次いで、窒素スパージした脱イオン水で3回すすいだ。
【0083】
触媒を次いで、19バッチの水素化サイクルにかけ、それぞれのサイクルは、水性HPA/PDOの供給材料混合物を含めて、上の実施例2において使用した同じ条件下で、120分間続けた。
【0084】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表3に示す。また、表3は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間および150:150HPA/PDO供給材料の比に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表3は、初期PDO含量および最終PDO含量を示す。
【0085】
【表3】

【0086】
図3は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図3に示すように、触媒は、バッチの全ての組にわたって、高活性率においてHPAの変換に対して非常に効果的である。
【0087】
また、触媒は、PDO生成に対して良好な選択性を示した。触媒は、水素化条件下で、少なくとも100%選択性により、195%の初期選択性およびバッチ13〜15に対して195%および143%の初期選択性により、HPAをPDOに変換しており、ここで選択性は、パーセントとして表された消費されたHPAのモル数当たり形成されたPDOのモル数である。選択性は、PDOへの他の化合物の変換のために100%より大きい。
【実施例4】
【0088】
PDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着されたルテニウムおよびレニウムを有する本発明の触媒により実施した。触媒は、実施例1〜3のニッケルよりもニッケルの高いレベルを含む。特に触媒は、5.0重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0089】
触媒を、1)α−アルミナ支持体50gを、水酸化アンモニウム溶液(25%)中に炭酸ニッケル6.75gおよび炭酸アンモニウム3.5gを含む溶液20mlにより含浸させた;および2)か焼されたニッケル含浸支持体が、脱イオン水中に過レニウム酸アンモニウム0.8gおよび三塩化ルテニウム1.5gを含む水溶液20mlにより含浸された以外、実施例1と同様にして調製した。活性化された触媒を水素化までPDO下で維持した。水素化を実施例2に述べたのと同様にして行った。
【0090】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表4に示す。また、表4は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表4は、初期PDO含量および最終POD含量を示す。
【0091】
【表4】


【0092】
図4は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図4に示すように、α−アルミナ支持体上に付着させた5%ニッケルを含み、ニッケルおよび支持体上に付着された1重量%ルテニウムおよび1重量%レニウムを含む触媒は、バッチの全ての組にわたって、高活性率におけるHPAの変換に対して効果的である。しかし、上の実施例2〜3に示すように、より少ないニッケルを利用することによって活性の匹敵する率を実現することができ、したがって、商業的観点から、より少ないニッケルを使用することが好ましいことが留意されるべきである。
【実施例5】
【0093】
PDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケルおよびモリブデン、およびニッケル/モリブデン上に付着されたルテニウムおよびレニウムを有する本発明の触媒により実施した。触媒は、2.5重量%ニッケル、1重量%モリブデン、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0094】
触媒を、1)α−アルミナ支持体50gを、水酸化アンモニウム溶液(25%)中に炭酸ニッケル3.34グラム、三酸化モリブデン(MoO)0.18グラム、および炭酸アンモニウム1.74グラムを含む溶液の20mlにより含浸し、次いでこれを乾燥させ、実施例1のようにか焼し;このか焼されたニッケル/モリブデン含浸支持体を、脱イオン水中に三塩化ルテニウム(RuCl)1.4グラムおよび過レニウム酸アンモニウム0.8グラムを含む溶液の20mlにより含浸した以外、実施例1と同様にして調製した。活性化された触媒を水素化までPDO下で維持した。触媒が、0.58g/cmの触媒密度および0.42の空隙率、および触媒の21ml体積が12.2グラムの触媒添加材料を供給した以外は水素化を実施例2に述べたのと同様にして行った。触媒バッチ順序は、60:240HPA:PDOにおいて4サイクル、150:150において12サイクルの後に60:240において4サイクルであった。前の実施例におけると同様に、サイクル13〜15は、150:150比においてであった。
【0095】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表5に示す。また、表5は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表5は、初期PDO含量および最終POD含量を示す。
【0096】
【表5】

【0097】
図5は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図5に示すように、ニッケルと混合されたモリブデンを含む触媒は、バッチの全ての組にわたって、高活性率におけるHPAの変換に対して効果的である。
【0098】
触媒は、またPDO生成に対して良好な選択性を示した。触媒は、水素化条件下で、少なくとも100%選択性により、バッチ13〜15に対して136%および147%の初期選択性によりHPAをPDOに変換しており、ここで選択性は、パーセントとして表された消費されたHPAのモル数当たり形成されたPDOのモル数である。選択性は、PDOへの他の化合物の変換により100%より大きい。
【実施例6】
【0099】
α−アルミナ支持体を、1段階においてニッケル、ルテニウム、およびレニウムにより含浸することによって調製された本発明のものではない触媒を使用して、PDOへのHPAの水素化を比較の目的で行った。触媒は、2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0100】
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、α−アルミナ支持体を調製した。水性触媒溶液を、硝酸ニッケル(Ni(NO)6.4グラム、過レニウム酸アンモニウム(NHReO)0.75グラム、および硝酸ルテニウムニトロシル(Ru(NO)(NO)1.65グラムを脱イオン水中、20mlの総体積に溶解することによって調製した。α−アルミナ支持体50グラムをこの溶液の総体積により含浸し、含浸された支持体を1時間熟成した。ニッケル/ルテニウム/レニウム含浸支持体を、次いで482℃(900°F)において1時間か焼して、触媒前駆体を形成した。
【0101】
流れている水素下で、触媒前駆体を加熱することによって触媒前駆体を活性化した。触媒前駆体を0.4℃/分で周囲温度から上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において1時間保持し、次いで温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。活性化された触媒を、水素化までPDO下に維持した。
【0102】
触媒密度0.60g/cmおよび空隙率0.42を有する活性化された触媒の21ml体積を、バッチ水素化ワイヤバスケット中に添加して、触媒添加材料12.5グラムを供給し、これを次いで、不活性デンストンの1/8インチ層で覆って、触媒が水素化の間に移動することを防止した。触媒を含むバスケットを次いで、バッチ水素化反応器の冷却コイルに固定した。触媒を次いで、窒素スパージした脱イオン水で3回すすいだ。
【0103】
触媒を次いで、19バッチの水素化サイクルにかけ、それぞれのサイクルは120分間続いた。重要なことには、触媒を、バッチ間で更新または再生せず、それゆえそれぞれのバッチで触媒はエージングされた。それぞれのバッチサイクルの後に、水素化反応器を水抜きし、次いで重量で1%n−ブタノールを含む水性HPA/PDO供給材料混合物300mlにより添加した。19バッチの水素化サイクルに対して、水性HPA/PDOの供給材料混合物を、上の表1に示すように混合した。HPA供給材料のHPA含量は、上の表1に関して上記したのと同様であった。次いで、脱水素を上の実施例2に記載したように実施した。
【0104】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表6に示す。また、表6は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表6は、初期のPDO含量および最終PDO含量を示す。
【0105】
【表6】

【0106】
図6は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチにたいして比較されている。図6に示すように、特に図2〜5と比較すると、1回の含浸においてα−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、ルテニウム、およびレニウムを有する触媒は、バッチの総セットにわたってHPAの変換において、ニッケルを最初にα−アルミナ支持体上に付着させ、次いでニッケルおよび支持体上にルテニウムおよびレニウムを付着させた、本発明により調製された触媒のように効果的ではない。
【実施例7】
【0107】
比較の目的で、PDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、第2含浸においてニッケルおよび支持体上に付着されルテニウムを有する、本発明のものではない触媒により実施した。触媒は、2.5重量%ニッケルおよび1重量%ルテニウムを含んでいるが、助触媒は含んでいなかった。
【0108】
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、乾燥したα−アルミナ支持体を調製した。水性ニッケル溶液を、炭酸アンモニウム1.7グラムおよび炭酸ニッケル3.4グラムを、水酸化アンモニウム溶液(25%)中で20mlの総体積に、適度の温度および撹拌により溶解させることによって調製した。α−アルミナ支持体50グラムを、このニッケル溶液により含浸し、溶液体積の100%を吸収させた。このニッケル溶液含浸支持体を次いで、1時間熟成した。ニッケル含浸支持体を、次いで150℃において3時間乾燥させ、次いで空気中で453℃において1時間か焼した。
【0109】
また、ルテニウムの水溶液を調製した。三塩化ルテニウム(RuCl3HO)1.5グラムを加熱および撹拌により総体積20mlに脱イオン水中で溶解した。か焼されたニッケル含浸支持体を、次いでルテニウムの水溶液の全てにより含浸し、室温において1時間熟成した。ニッケル/ルテニウム含浸支持体を、次いで空気中で200℃において2時間乾燥し、触媒前駆体を形成した。
【0110】
流れている水素下で、触媒前駆体を加熱することによって触媒前駆体を活性化した。触媒前駆体を、周囲環境から0.4℃/分で温度を上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において1時間保持し、次いで温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。活性化された触媒を、水素化までPDO下に維持した。
【0111】
触媒密度0.57g/cmおよび空隙率0.42を有する活性化された触媒の21ml体積を、バッチ水素化ワイヤバスケット中に添加して、触媒添加材料12.0グラムを供給し、これを次いで、不活性デンストンの1/8インチ層で覆って、触媒が水素化の間に移動することを防止した。触媒を含むバスケットを、次いでバッチ水素化反応器の冷却コイルに固定した。触媒を、次いで窒素スパージした脱イオン水で3回すすいだ。
【0112】
触媒を次いで、15バッチの水素化サイクルにかけ(操作は、低い触媒活性によりサイクル15の後に停止した)。それぞれのサイクルは120分間続いた。重要なことには、触媒を、バッチ間で更新または再生せず、それゆえそれぞれのバッチは触媒を逐次熟成させた。それぞれのバッチサイクルの後に、水素化反応器を水抜きし、次いで重量で1%n−ブタノールを含む水性HPA/PDO供給材料混合物300mlにより添加した。15バッチの水素化サイクルに対して、水性HPA/PDOの供給材料混合物を、上の表1に示すように混合した。HPA供給材料のHPA含量は、表1に関して上記したのと同様であった。水素化を、次いで上の実施例2に記載したように行った。
【0113】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表7に示す。また、表7は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表7は、初期PDO含量および最終PDO含量を示す。
【0114】
【表7】

【0115】
図7は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図7に示すように、特に図2〜5と比較すると、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケルを有し、次いでニッケルおよび支持体上に付着されたルテニウムを有する触媒は、ニッケルを最初にα−アルミナ支持体上に付着させ、次いでニッケルおよび支持体上にルテニウムおよびレニウムを付着させた、本発明により調製された触媒のように、バッチの全セットにわたるHPAの変換において、効果的ではない。
【実施例8】
【0116】
比較の目的でPDOへのHPAの水素化を、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、第2含浸においてニッケルおよび支持体上に付着されたレニウムを有する、本発明のものではない触媒により実施した。触媒は、5重量%ニッケルおよび2重量%レニウムを含んでいるが、ルテニウムは含んでいなかった。(添加された金属に対するNiの比は、前と同様に2.5:1であるが、より高い金属添加は、より大きい活性をもたらすはずである。)
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、乾燥したα−アルミナ支持体を調製した。水性ニッケル溶液を、炭酸アンモニウム3.5グラムおよび炭酸ニッケル6.75グラムを、水酸化アンモニウム溶液(25%)中で20mlの総体積に適度の加熱および撹拌により溶解させることによって調製した。α−アルミナ支持体50グラムを、このニッケル溶液により含浸し、溶液体積の100%を吸収させた。このニッケル溶液含浸支持体を次いで、1時間熟成した。ニッケル含浸支持体を、次いで150℃において3時間乾燥させ、次いで空気中で453℃において1時間か焼した。
【0117】
また、レニウムの水溶液を調製した。過レニウム酸アンモニウム(NHReO)1.6グラムを加熱および撹拌により総体積20mlに、脱イオン水中で溶解した。か焼されたニッケル含浸支持体を、次いでレニウムの水溶液の体積で98%により含浸し、室温において1時間熟成した。ニッケル/レニウム含浸支持体を、次いで空気中で200℃において2時間乾燥し、触媒前駆体を形成した。
【0118】
流れている水素下で、触媒前駆体を加熱することによって触媒前駆体を活性化した。触媒前駆体を、周囲環境から0.4℃/分で温度を上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において1時間保持し、次いで温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。活性化された触媒を、水素化までPDO下に維持した。
【0119】
触媒密度0.66g/cmおよび空隙率0.42を有する活性化された触媒の21ml体積を、バッチ水素化ワイヤバスケット中に添加して、触媒添加材料13.8グラムを供給し、これを次いで、不活性デンストンの1/8インチ層で覆って、触媒が水素化の間に移動することを防止した。触媒を含むバスケットを、次いでバッチ水素化反応器の冷却コイルに固定した。触媒を、次いで窒素スパージした脱イオン水で3回すすいだ。
【0120】
触媒を次いで、19バッチの水素化サイクルにかけた。それぞれのサイクルは120分間続いた。重要なことには、触媒を、バッチ間で更新または再生せず、それゆえそれぞれのバッチで触媒はエージングされた。それぞれのバッチサイクルの後に、水素化反応器を水抜きし、次いで重量で1%n−ブタノールを含む水性HPA/PDO供給材料混合物300mlにより添加した。19バッチの水素化サイクルに対して、水性HPA/PDOの供給材料混合物を、上の表1に示すように混合した。HPA供給材料のHPA含量は、表1に関して上記したのと同様であった。水素化を、次いで上の実施例2に記載したように行った。
【0121】
初期HPA含量、最終HPA含量、および触媒によって変換されたHPAの量を表8に示す。また、表8は、最初にHPA変換率およびサイクル13〜15に対する平均HPA変換率を示す(24〜30時間に対して、水素化条件に24時間曝した後の触媒活性)。最後に、表8は、初期PDO含量および最終PDO含量を示す。
【0122】
【表8】

【0123】
図8は、ある期間にわたるHPA水素化のための触媒の触媒活性のグラフ表示を提供する。黒色棒として示される、反応混合物の初期HPA濃度(重量%として)、および白色棒として示される、反応混合物の最終HPA濃度(重量%として)がそれぞれのバッチに対して比較されている。図8に示すように、特に図2〜5と比較すると、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケルを有し、次いでニッケルおよび支持体上に付着されたレニウムを有する触媒は、ニッケルを最初にα−アルミナ支持体上に付着させ、次いでニッケルおよび支持体上にルテニウムおよびレニウムを付着させた、本発明により調製された触媒のように、バッチの全セットにわたるHPAの変換において、効果的ではない。
【実施例9】
【0124】
触媒が、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着したルテニウムおよびレニウムの構造を有する、本発明の新鮮な触媒の破砕強度を測定した。触媒は、2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0125】
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、α−アルミナ支持体を調製した。水性ニッケル溶液を、炭酸アンモニウム1.77グラムを水酸化アンモニウム溶液(25%)中に適度の加熱および撹拌により溶解してから、炭酸ニッケル3.4グラムを、炭酸アンモニウム/水酸化アンモニウム溶液中で添加、溶解し、20mlの総溶液体積にすることによって調製した。α−アルミナ支持体50グラムを、このニッケル溶液により含浸し、溶液体積の100%を吸収させた。このニッケル溶液含浸支持体を次いで、室温において1時間熟成した。ニッケル含浸支持体を、次いで150℃において3時間乾燥させ、次いで空気中において453℃において1時間か焼した。
【0126】
また、ルテニウムおよびレニウムの水溶液を調製した。過レニウム酸アンモニウム0.8グラムを弱い加熱および撹拌により脱イオン水中で溶解した。三塩化ルテニウム1.5グラムを、次いで加熱および撹拌により過レニウム酸アンモニウム溶液中に添加、溶解し、20mlの総溶液体積を供給した。か焼されたニッケル含浸支持体を、次いでルテニウムおよびレニウムの水溶液の総体積により含浸し、室温において1時間熟成した。ニッケル/ルテニウム−レニウム含浸支持体を、次いで空気中で200℃において2時間乾燥し、触媒前駆体を形成した。
【0127】
流れている水素下で、触媒前駆体を加熱することによって触媒前駆体を活性化した。触媒前駆体を、周囲環境から0.4℃/分で温度を上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において1時間保持し、次いで温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。
【0128】
活性化された触媒の破砕強度を測定した。42種の触媒ペレットを無作為に選択し、粉塵、微粉、および小片を除去するために、米国標準篩No.20(ASTM)により手作業で篩った。それぞれのペレットの全長を、次いでキャリパーにより測定し、記録した。次いで、それぞれのペレットの破砕強度を、ペレットをSide Crush Measurement装置中、上部および下部水平破砕プレート間に、半径方向の配向において配置し、次いでペレットが破砕されるまで、上部および下部破砕プレートによってペレット上に徐々増加する力をかけることによって測定した。それぞれのペレットが破砕された力を記録した。触媒の破砕強度(単位長さ当たり)を、全ての個々の長さ測定値の和により割った個々のペレット破砕強度測定値の和として計算した:破砕強度=Σ(全ての個々の破砕強度測定値)/Σ(全ての個々の長さ測定値)。
【0129】
新鮮な触媒の破砕強度は、2.85kg/mmと計算された。
【実施例10】
【0130】
触媒が、α−アルミナ支持体上に付着されたニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着したルテニウムおよびレニウムの構造を有する、本発明の消耗された触媒の破砕強度を測定した。触媒は、2.5重量%ニッケルおよび1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含んでいた。
【0131】
γ−アルミナ三葉形ペレットを1275℃においてか焼して、α−アルミナ支持体を調製した。水性ニッケル溶液を、適度な加熱および撹拌により炭酸アンモニウム3.54グラムを水酸化アンモニウム溶液(25%)中に溶解してから、炭酸ニッケル6.8グラムを、炭酸アンモニウム/水酸化アンモニウム溶液中で添加、溶解し、40mlの総溶液体積にすることによって調製した。α−アルミナ支持体100グラムを、このニッケル溶液により含浸し、溶液体積の100%を吸収させた。このニッケル溶液含浸支持体を次いで、室温において1時間熟成した。ニッケル含浸支持体を、次いで150℃において3時間乾燥させ、次いで空気中において453℃において1時間か焼した。
【0132】
また、ルテニウムおよびレニウムの水溶液を調製した。過レニウム酸アンモニウム1.6グラムを弱い加熱および撹拌により脱イオン水中において溶解した。三塩化ルテニウム3.0グラムを、次いで加熱および撹拌により過レニウム酸アンモニウム溶液中に添加、溶解し、40mlの総溶液体積を供給した。か焼されたニッケル含浸支持体を、次いでルテニウムおよびレニウムの水溶液の総体積により含浸し、室温において1時間熟成した。ニッケル/ルテニウム−レニウム含浸支持体を、次いで空気中で200℃において2時間乾燥し、触媒前駆体を形成した。
【0133】
流れている水素下で、触媒前駆体を加熱することによって触媒前駆体を活性化した。触媒前駆体を、周囲環境から0.4℃/分で温度を上げることによって107℃に加熱した。触媒前駆体を107℃において1時間保持し、次いで温度を0.9℃/分において288℃に上げた。触媒前駆体を288℃において4時間保持し、次いで室温に冷却させて、活性化された触媒を供給した。
【0134】
30mlの触媒体積を有する活性化された触媒18.65グラム(乾燥基準)を21.6cmの長さを有する触媒床中に添加し、この触媒を使用して、1.62l/時間の液体毎時空間速度において、供給材料中のHPAの濃度に応じて50℃〜150℃で変化する温度および8.47MPaの水素圧において、PDOへのHPAの水素化を触媒した。操作は1897時間であり、PDOを6730グラム製造した。
【0135】
消耗された触媒を触媒床から除去し、消耗された触媒の破砕強度を測定した。44種の触媒ペレットを無作為に選択し、粉塵、微粉、および小片を除去するために、米国標準篩No.20(ASTM)により手作業で篩った。それぞれのペレットの全長を、キャリパーにより測定し、記録した。次いで、それぞれのペレットの破砕強度を、ペレットをSide Crush Measurement装置中、上部および下部水平破砕プレート間に、半径方向の配向において配置し、次いでペレットが破砕されるまで、上部および下部破砕プレートによってペレット上に徐々増加する力をかけることによって測定した。それぞれのペレットが破砕された力を記録した。触媒の破砕強度(単位長さ当たり)を、全ての個々の長さ測定値の和により割った個々のペレット破砕強度測定値の和として計算した:破砕強度=Σ(全ての個々の破砕強度測定値)/Σ(全ての個々の長さ測定値)。
【0136】
消耗された触媒の破砕強度は、2.4kg/mmと計算された。
【0137】
本発明のさらなる変形形態および変更形態は、前述のことから当分野の技術者には明らかであり、本明細書に添付の特許請求の範囲によって包含されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】三葉形の触媒ペレットおよび円筒形の触媒ペレットの概略の描写図である。
【図2】支持体上に付着した2.5重量%ニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着した1重量%ルテニウムおよび1重量%レニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された本発明の触媒の一連の、逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図3】支持体上に付着した2.5重量%ニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着した1重量%ルテニウムおよび1重量%レニウムを含み、触媒を乾燥させ、水素化の前に周囲条件において空気に曝したα−アルミナ支持体から形成された本発明の触媒の、一連の逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図4】支持体上に付着した5.0重量%ニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着した1重量%ルテニウムおよび1重量%レニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された本発明の触媒の、一連の逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図5】支持体上に付着した2.5重量%ニッケルおよび1重量%モリブデン、およびニッケル、モリブデンおよび支持体上に付着した1重量%ルテニウムおよび1重量%レニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された本発明の触媒の、一連の逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図6】支持体上に付着した2.5重量%ニッケル、1重量%ルテニウム、および1重量%レニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された本発明のものではない触媒の一連の逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図7】支持体上に付着した2.5重量%ニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着した1重量%ルテニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された本発明のものではない触媒の一連の、逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。
【図8】支持体上に付着した2.5重量%ニッケル、およびニッケルおよび支持体上に付着した1重量%レニウムを含むα−アルミナ支持体から形成された、本発明のものではない触媒の、一連の逐次バッチ反応に対するHPA水素化触媒活性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下において、アルデヒドを水素化することを含み、ここで、前記触媒が、α−アルミナを含む支持体、ならびにニッケル、ルテニウムを含む非支持体金属、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒を含む組成物を有し、前記ニッケルは前記支持体に接触しており、前記ルテニウムおよび前記助触媒が少なくとも部分的に前記ニッケルに覆い重なる、アルデヒドを水素化する方法。
【請求項2】
非支持体金属が、触媒の8重量%を超えない、請求項1の方法。
【請求項3】
触媒が、6.0重量%までのニッケルを含む、請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記触媒の前記非支持体金属がモリブデンをさらに含み、前記モリブデンが前記ニッケルと合金化され、前記ルテニウムおよび前記助触媒が少なくとも部分的に前記モリブデンおよび前記ニッケルに覆い重なる、請求項1から3のいずれかの方法。
【請求項5】
前記アルデヒドがヒドロキシアルデヒドである、請求項1から4のいずれかの方法。
【請求項6】
前記アルデヒドが3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドであり、前記3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドが1,3−プロパンジオールに水素化される、請求項5の方法。
【請求項7】
前記触媒が、50℃から190℃の温度において、4.0から6.5のpHにおいて、および6.89MPaから11.0MPaの水素圧において、水素化に少なくとも24時間触媒作用を及ぼした後に、50℃から190℃の温度において、4.0から6.5のpHにおいて、および6.89MPaから11.0MPaの水素圧において、少なくとも25ml3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド/ml触媒.時間の率において、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを水素化するために十分な活性を有する、請求項6の方法。
【請求項8】
α−アルミナを含む支持体;および
(i)6重量%までのニッケル;
(ii)ルテニウム;および
(iii)レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒;
を含む非支持体金属
を含み、ここで、ニッケルは前記支持体に接触しており、前記ルテニウムおよび前記助触媒が少なくとも部分的に前記ニッケルに覆い重なり、ならびに
ここで、前記非支持体金属が、触媒の8重量%を超えない、
水素化触媒。
【請求項9】
触媒が、ニッケル1重量%から3重量%を含む、請求項8の水素化触媒。
【請求項10】
支持体が、本質的にα−アルミナからなる、請求項8または9の水素化触媒。
【請求項11】
触媒が、少なくとも2.26kg/mmの破砕強度を有する、請求項8から10のいずれかの水素化触媒。
【請求項12】
非支持体金属がモリブデンを含み、モリブデンがニッケルと合金化され、ルテニウムおよび助触媒が少なくとも部分的に前記ニッケルおよび前記モリブデンに覆い重なる、請求項8から11のいずれかの水素化触媒。
【請求項13】
前記触媒が、50℃から190℃の温度において、4.0から6.5のpHにおいて、および6.89MPaから11.0MPaの水素圧において、水素化に少なくとも24時間触媒作用を及ぼした後に、50℃から190℃の温度において、4.0から6.5のpHにおいて、および6.89MPaから11.0MPaの圧力において、少なくとも25ml3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド/ml触媒.時間の率において、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを水素化するために有効な活性を有する、請求項8から12のいずれかの水素化触媒。
【請求項14】
a)α−アルミナからなる支持体上にニッケルを付着させるステップ;
b)前記ニッケルをその上に有する前記支持体をか焼するステップ;
c)か焼後に、前記支持体上および前記ニッケル上に、ルテニウム、およびレニウム、タングステン、モリブデン、クロム、ランタン、錫、鉄、コバルト、銀、銅またはこれらの混合物からなる群から選択された助触媒を付着させて、触媒前駆体を形成するステップ;および
d)前記触媒前駆体の前記ニッケル、ルテニウム、および助触媒を金属のゼロ酸化状態に還元して、触媒を形成するステップ
を含む触媒を調製する方法。
【請求項15】
支持体をニッケルを含む水溶液により含浸することによって、前記ニッケルを前記支持体上に付着させる、請求項14の方法。
【請求項16】
ニッケルをその上に有する支持体を、ルテニウムおよび助触媒を含む水溶液により含浸することによって、前記ルテニウムおよび前記助触媒を前記支持体上および前記ニッケル上に付着させる、請求項14または15の方法。
【請求項17】
支持体が、本質的にα−アルミナからなる、請求項14から16のいずれかの方法。
【請求項18】
金属重量で触媒の6重量%までのニッケルの濃度を供給するために十分なニッケルの濃度を支持体上に付着させる、請求項14から17のいずれかの方法。
【請求項19】
支持体上に付着されたニッケル、ルテニウム、および助触媒が、触媒の8重量%を超えない、請求項14から18のいずれかの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−538579(P2008−538579A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507960(P2008−507960)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/015257
【国際公開番号】WO2006/116193
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】