説明

水素化

アルケンなどの化合物中の1つ以上の官能基を水素化する方法は、反応溶媒の存在下で、そしてウィルキンソン触媒などの触媒の存在下で適切に、水素源と化合物を接触させる工程を含む。反応溶媒は、C1−4フッ化炭化水素またはC1−4ヒドロフルオロカーボンエーテルであってよく、そしてジフルオロメタン、テトラフルオロメタンおよびヘプタフルオロプロパンが、好適な溶媒である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化(水素添加)に関し、より詳細には、排他的にではないが、化合物中の1つまたはそれより多くの官能基を水素化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨界域の二酸化炭素が、水素化反応での反応媒体として使用されてきたことが公知である。しかし、不利益なことに、流動体中での試薬および/または触媒の溶解性は、比較的低い可能性があり、そしてさらに、ある種の場合には、二酸化炭素それ自身は、触媒の金属−ヒドリド結合に挿入され、そしてホルメート複合体の形成を生じうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、水素化反応での二酸化炭素の使用に関連した問題に対処することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様により、C1−4フッ化炭化水素またはC1−4ヒドロフルオロカーボンエーテルから選択される反応溶媒の存在下で、水素源と化合物を接触させることを包含する、化合物中の1つまたはそれより多くの官能基を水素化する方法が提供される。
【0005】
上記ヒドロフルオロカーボンエーテルは、好適には、1つまたはそれより多くの炭素、フッ素、水素および酸素原子のみを含む。それは、10まで、好適には8まで、さらに好適には6までのフッ素原子を含みうる。それは、好適には、少なくとも2つ、さらに好適には少なくとも3つのフッ素原子を含む。それは、好ましくは、脂肪族および/または飽和のものである。ヒドロフルオロカーボンエーテルの例は、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチルメチルエーテルである。
【0006】
しかし、好ましくは、その方法は、上記ヒドロフルオロカーボンエーテルの存在下でよりむしろ上記C1−4フッ化炭化水素の存在下で行われる。
上記C1−4フッ化炭化水素は、好ましくは塩化されていない。好ましくは、それは、1つまたはそれより多くの炭素、フッ素および水素原子のみを含む。好ましくは、上記フッ化炭化水素は、C1−3、さらに好ましくは、C1−2フッ化炭化水素である。特に好ましいのは、Cフッ化炭化水素である。
【0007】
上記フッ化炭化水素は、10個まで、好ましくは8個まで、さらに好ましくは6個まで、特に4個までのフッ素原子を含みうる。好ましくは、上記フッ化炭化水素は、少なくとも2個、さらに好ましくは少なくとも3個のフッ素原子を含む。
【0008】
上記フッ化炭化水素は、好ましくは脂肪族である。それは、好ましくは飽和されたものである。
上記フッ化炭化水素は、大気圧で、20℃未満、好ましくは10℃未満、さらに好ましくは0℃未満、特に−10℃未満の融点を示しうる。沸点は、−90℃より高く、好適には−70℃より高く、さらに好適には−50℃より高くてもよい。
【0009】
フッ化炭化水素は好適には、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびヘプタフルオロプロパン、特に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンである。前述の内、テトラフルオロエタン、特に1
,1,1,2−テトラフルオロエタンが好ましい。
【0010】
反応溶媒は、反応溶媒の特性に影響を及ぼすために適切に調整されている改質剤(または助溶媒)と一緒に、上記C1−4フッ化炭化水素または上記C1−4ヒドロフルオロカーボンエーテルを包含する。上記改質剤は、別のC1−4フッ化炭化水素、または記述される型のC1−4ヒドロフルオロカーボンエーテル、または異なる型の材料でありうる。
【0011】
上記改質剤は:アルカンまたはシクロアルカンなどのC2−6炭化水素であってアルカンは好適にはエタン、n−プロパン、i−プロパン、n−ブタンおよびi−ブタンであるもの、および、炭化水素エーテル、より詳細には、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテルおよびジエチルエーテルなどのジアルキルエーテルから選択され得る。他の実施態様では、上記改質剤は、極性を有し、例えば、20℃で5より大きな比誘電率を示しうる。このような改質剤は、詳細にはN,N’−ジアルキルアミドおよびアルキルアミドであって好適にはジメチルホルムアミドおよびホルムアミドであるアミド;詳細にはジメチルスルホキシドが好適であるジアルキルスルホキシドなどのスルホキシド;好適にはメタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールなどのアルカノールの脂肪族アルコールであるアルコール;より詳細には脂肪族ケトン、例えばジアルキルケトン、さらにアセトンが特に好適であるようなケトン;詳細にはカルボン酸、さらに蟻酸および酢酸が好適であるような有機酸;例えば、無水物、さらに酢酸無水物が好適なカルボン酸誘導体;例えば、水素シアニドおよびアルキルシアニド、さらにメチルシアニドおよび液化無水水素シアニドが好適であるようなシアニド誘導体;アンモニア;二酸化イオウ、硫化水素および二硫化炭素を含めた硫黄含有分子;例えば、水素ハライド、さらには液化無水フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素が好適な無機酸;例えば、ニトロアルカンおよびニトロアリール化合物、さらにニトロメタンおよびニトロベンゼンが特に好適であるようなニトロ誘導体;から選択され得る。
【0012】
その方法で、上記水素源と反応溶媒との間の接触の間の圧力は、少なくとも50×10Pa(50バール)でありうる。それは、好ましくは、少なくとも60×10Pa(60バール)であり、そしてさらに好ましくは、少なくとも70×10Pa(70バール)である。圧力は、50〜280×10Pa(50〜280バール)の範囲にありうる。その方法では、上記接触の間の温度は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃でありうる。温度は、好ましくは150℃未満、さらに好ましくは125℃未満である。
【0013】
その方法で使用するために選択される上記C1−4フッ化炭化水素または上記C1−4ヒドロフルオロカーボンエーテルは、好ましくは臨界限界の流動体である。その方法は、上記フッ化炭化水素または上記ヒドロフルオロカーボンエーテルが、好ましくは、臨界限界の状態に近いか、またはさらに好ましくはその状態にある条件下で行われる。用語の臨界限界状態は、流動体が、それの臨界圧力および臨界温度にあるか、またはそれより上にある状態に該当する。
【0014】
好ましくは、その方法で使用される上記反応溶媒は、その方法の間に臨界状態に近いか、またはさらに好ましくは、臨界状態にある。したがって、改質剤が、上に記述されるとおり反応溶媒で使用される場合、上記改質剤は、好ましくは超臨界流動体である。このような改質剤の例は、超臨界の二酸化炭素、窒素性酸化物、硫黄ヘキサフルオライド、キセノン、クロロフルオロメタンおよびエタンが挙げられる。特に好ましい改質剤は、二酸化炭素である。60重量%までの上記改質剤が使用されうる。しかし、好ましくは50重量%またはそれ未満、さらに好ましくは25重量%またはそれ未満、特に10重量%またはそれ未満の改質剤が使用されうる。しかし、好ましい実施態様では、改質剤で、上記反応溶媒で使用されるものはない。したがって、適切には、上記反応溶媒は、記述される型の
単一溶媒から構成される。
【0015】
第一の態様の方法は、適切には、触媒の存在下で行われる。上記触媒は、好ましくは、遷移金属触媒である。ウィルキンソン(Wilkinson)触媒は、適切な触媒の例であるが、水素化反応を触媒できる他の触媒が選択されうる。有利にも、反応触媒は、比較的多量の触媒を溶解させることがで、そしてしたがって、方法の効率は、選択された触媒をわずかに可溶化できるのみである触媒が使用される場合に比較して、改善されうる。
【0016】
したがって、その方法が、異種触媒に関与する可能性がある一方で、好ましくは、上記反応溶媒中の触媒の同種の溶液が、方法に使用される。したがって、第一の態様の上記方法は、同種の水素化反応であるのが好ましい。
【0017】
上記第一の態様の方法は、広範な範囲の水素化可能な官能基を水素化に使用されうる。その方法で水素化される官能基は:アルケン(環状アルケンを含む)、環状アルカン、ラクトン、無水物、アミド、ラクタム、シッフ塩基、アルデヒド、ケトン、アルコール、ニトロ、ヒドロキシアミン、ニトリル、オキシム、イミン、アジン、ヒドラゾン、アニリン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ジアゾニウム、アゾ、ニトロソ、フェノール、エーテル、フラン、エポキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド、オゾニド、アレーン、飽和または不飽和複素環、ハライド、酸ハライド、アセタール、ケタール、およびセレンまたは硫黄含有化合物でありうる。好ましくは、官能基は、アルケン基である。したがって、好ましくは本方法で水素化される上記化合物は、アルケンである。
【0018】
上記水素源に対する関連は、水素およびそれのアイソトープを含む。しかし、好ましくは、上記源は、それのアイソトープよりむしろ水素のものである。
上記水素源には、上記水素化が起こっている装置に、圧力下で供給されうる水素ガスの源が含まれ得る。代わりに、遷移水素化方法は、有機水素源、例えば、EtN/HCOOHを使用して行われうる。
【0019】
第一の態様の方法では、水素化は、第一の容器で起こりうる。適切には、触媒は、第一の容器で供され、そしてこれは、容器に供給される水素の源と接触される。その後、反応溶媒は、適切に圧力下で、そして反応溶媒が、所望の圧力で第一の容器に圧力を加えるために適切に、好ましくは第一の容器に供給され、好ましくは、反応溶媒は、第一の容器への溶媒の通過を通して、水素化されるべき化合物を第一の容器に流し出すように配列される。その方法が、同種の触媒を含む場合、反応溶媒は、好ましくは第一の容器中で触媒を溶解させる。その後、水素化反応が開始しうる。
【0020】
本発明の第二の態様により、上記成分が、触媒、水素化反応の生成物および反応溶媒を含み、そして上記触媒および上記生成物は、上記反応溶媒中で異なる可溶性を示し;第一の容器中の第一の圧力下で反応混合物を用いて、上記第一の容器での圧力を減少させて、その結果、反応溶媒中で溶解性が最も低い反応混合物の成分を、反応混合液から大部分は分離することを包含する、反応混合物の成分を分離する方法の提供がある。
【0021】
第二の態様の発明は、好ましくは、第一の態様の方法の後に使用される。したがって、(i)1つまたはそれより多くの水素化可能な基を水素化するために、上記第一の態様により記述されるとおりの反応溶媒、および触媒の存在下で、1つまたはそれより多くの水素化可能な官能基を有する化合物を、水素源と接触させる工程、および
(ii)反応混合物の付近で圧力を減少させ、その結果、反応溶媒で溶解性が最も低い反応混合物の成分が、反応混合物から大部分は分離する工程を備える方法の提供がありうる。
【0022】
上記第二の態様で、好ましくは、上記第一の容器は、第二の溶液に繋げられ、そしてその配列は、例えば、第一および第二の容器の間に伸びる導管中の弁を開放することによって、反応溶媒(およびその中のあらゆる成分)を、第一の容器から第二の容器に移動させうるようなものである。適切には、上記移動の間に、第一の容器での圧力が減らされる。
【0023】
適切には、反応溶媒に溶解性が最も低く、したがって大部分は分離する反応混合物の成分は、上記触媒である。したがって、好ましくは、例えば、反応溶媒を第二の容器に移動させることによって、第一の容器での圧力が減らされた場合、触媒は、第一の容器に沈殿する。好ましくは、反応混合物(相当に低いレベルの触媒を適切に含むか、または実質的に触媒なし)を、圧力がPである上記第二の容器で受け取る。その後、その方法は、第二の容器での圧力を減らし、その結果、反応溶媒に溶解性が最も低い反応混合物の残余成分が、反応混合物から大部分は分離することを包含しうる。分離する反応混合物の成分は、反応体または生成物でありうる。上記方法で、好ましくは、上記第二の容器は、第三の容器につなげられ、そしてその配列は、反応溶媒(そしてそこに溶解されたあらゆる成分)が、第二の容器から第三の容器に移動されうる。適切には、移動の間に、上記第二の容器での圧力は、上記圧力Pから減らされる。
【0024】
その方法は、その中の残余成分の沈殿が、上記残余成分に反応溶媒から単離されることを可能にさせるために、第三の容器での圧力を実質的に減少させることを含みうる。
いくつかの実施態様では、未使用の反応体は、容器の内の1つに大部分は蓄積される可能性がある。これらは、必要があれば再加圧され、そして連続反応で使用するために第一の容器に戻されうる。
【0025】
ここに記述されるすべての発明の全ての態様のあらゆる特徴は、ここで必要な変更を加えて記述されるすべての発明または実施態様のいずれかの態様のあらゆる特徴と合せられうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の特定の実施態様は、ここで、実施例により、付随の図面を参照して記述される。
以下はの記載において、「HFC134a」とは、1,1,1,2−テトラフルオロエタンのことをいう。
(ウィルキンソン触媒(PhP)RhCl)
構造:
【0027】
【化1】

=925.24
融点:245〜250℃
触媒は、市販で入手可能であるか、または以下の文献に従って調整し得る。
【0028】
オズボーン,ジェイ.エイ.(Osborn,J.A.);ジャルダイン,エフ.エイチ.(Jardine,F.H.);ヤング,ジェイ.エフ.(Young,J.F.);ウィルキンソン,ジー.(Wilkinson,G.)、ジャーナル オブ ケミカル
ソサイエティ エイ(J.Chem.Soc.A)、1966年、(12)、1711〜1732頁;
ジャルダイン,エフ.エイチ..(Jardine,F.H.);オズボーン,ジェイ.エイ.(Osborn,J.A.);ウィルキンソン,ジー.(Wilkinson,G.)、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティ エイ(J.Chem.Soc.A)1966年、(10)、1574〜1578頁;および
ジャルダイン,エフ.エイチ..(Jardine,F.H.);ウィルキンソン,ジー.(Wilkinson,G.)、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティ シー(J.Chem.Soc.C.)1967年、(4)、270〜271頁
水素化反応で使用するための、図1に示される高圧装置は316ステンレス鋼から作られた3cm厚の壁を有する反応セル40を備える。反応セルは、1×10kPa(1kバール)の最大作業圧力を付加し、さらに1.5×10kPa(1.5kバール)まで付加されている。セルの本体とセル頂部の間の高圧シールは、テフロン(登録商標)で支持された標準ニトリルOリングによってもたらされる。そのセル40は、英国(U.K.)のウォルトン・リミテッド(Walton Ltd)によって供給される240V、250Wバンド加熱装置42を用いて加熱される。鉄/コンスタンタン熱電対を備えたCAL9900制御装置を使用して、温度を制御および維持(±0.5K)する。システム空気コック47を介して空気調節装置46から供給される空気駆動水圧ポンプ44を使用して、セル40に圧力を加える。UCC型PGE1001.600液柱圧力計48を使用して、圧力を監視(±2×10Pa(2バール))する。その装置は、安全のために破裂ディスク50および安全性のためのポンプ分離弁51を備えている。セル40の下流には、通気孔弁41がある。ガス状反応媒体が、気体コック54を介して容器52からセル40に供給されるように配列される。投入装置56は、セル40に試薬を供給するように配列される。
【0029】
図1の装置は、特定条件が、使用される触媒のために要求される場合に改造されうる。例えば、非対称水素化反応で、空気/水分感受性のある触媒は、現場で製造されうる。例は、Ru(II)−メチルアリル[Cod]/BINAP/HX(式中X=ClまたはBr)である。この場合には、投入装置56を、その系から取除き、そしてプロ/助−触媒をかけて、そして窒素気体下で封印されるグローブボックスに入れうる。その後、投入装置およびそれの内容物を、その系で交換しうる。HX気体のための別の入口を有する改造されたセル(現場の触媒種製造のために必要とされる)は、空気または水分をセルに与えることなく、HX気体を導入させるために使用される必要がある。(実験の開始の前に、都合により真空ポンプによる除去で、溶媒および/または水素ガスで洗い流すことによって、空気および水分は、除去される。)
図1で示される装置は、一般に、続いて水素化反応を行うときに使用されうる。反応セル40の頂部は、水素ガスの供給のために付随する入口(示されず)を備えている。触媒を、セル40に入れ、そして基質を、投入装置56にかける。セル40を、(その特定の実験のために要求される)適切な温度まで加熱し、その後、要求される量の水素ガスを充填する。
【0030】
その後、空気駆動水圧ポンプ44を用いて容器52から汲み出された反応媒体(例えば、HFCl34a)をセルに導入することによって、セルを加圧する。それが汲み上げられたときに、基質を、投入装置56から反応セルに流し出す。反応は、所望の時間、放置し、そしてその後、図2で示されるとおり、セル40の下流での多量収集容器60への減
圧によって、生成物/未反応出発材料を収集する。収集容器を、316ステンレス鋼から構築し、そして高圧からの排気が安全に達成されうるように反応セルに比べてより多くの内部容積を有する(264cmc.f.30cm)。捕捉セル寸法は、6mmの壁厚で、75mm(高さ)および60mm(内径)である。捕捉容器を反応セル40と接触させるレストリクター管62は、直径4mmの孔を有し、そしてナイロンチューブから構築されている。レストリクター管(制流管)62は、実験装備が、レクトリクター管内の生成物の沈殿を最小限にするために可能であるのと同じくらい簡潔に作成される。収集容器60は、パイプ64(内部孔4mm、内径(i.d.))を通して、通風室排気管に排出される。収集容器60で単離された生成物を、NMR(ARX250)、GC−MS(パーキン・エルマー(Perkin Elmer))およびSP4290インジケーター(スペクトラ−フィジックス(Spectra−Physics))を使用したGC(UNICAM PU4500キャピラリークロマトグラフィー)を使用して分析する。GCを使用して、生成物に転換されたスチレンに関する転換率(%)を計算した。
【0031】
(実施例1 HFC134aでのウィルキンソン触媒の溶解度)
高圧窓付セル(容積7.5cm)を使用して、視覚実験を行った。試験は、3ミリモル量のウィルキンソン触媒が、50〜280×10Pa(50〜280バール)の圧力範囲で、105℃で、超臨界HFC134aに溶解性を有することを示した。これは、スチレンの水素化について得られた結果を正当化するのに適当以上のものである。(同種の相触媒を示し、そして必要とされる触媒の量の10倍以上が、この流動体によって溶媒和されうることを示した。)
(実施例C1(比較例) 超臨界二酸化炭素でのウィルキンソン触媒の溶解性)
高圧窓付セル(容積7.5cm)で、視覚実験を行った。超臨界二酸化炭素での0.0092g(1.33ミリモル)のウィルキンソン触媒の溶解性を、圧力範囲50〜120×10Pa(50〜120バール)で、40℃で観察した。触媒の内で溶液になったものはなかった(または少なくとも注目を引く量でなかった)。
【0032】
図1に関して上で記述された装置を使用して、下の実施例2〜4までで記述されるとおり、スチレンの触媒的水素化を調査した。
(実施例2 反応の時間依存性)
投入装置56にスチレンをかけ、そして、ウィルキンソン触媒(2mg)(0.033モル%)を、直接セル40に入れた。セルを105℃まで加熱し、そしてその後、20×10Pa(20バール)のシリンダー圧を示す気体シリンダーから、水素ガス(0.02モル)を充填した。その後、反応媒体HFC134aをセルに導入することによって、セルに圧力を加えた。反応媒体がセルに流れるとき、それは、スチレンを投入装置から流し出す。選択された圧力と温度で、HFC134aは、超臨界状態にある。
【0033】
セル中の反応を、経時的に監視した。反応では、0.75cmのスチレンを、最初に使用した。記述されたものと同じ条件を使用して、様々な期間、反応を繰返した。結果は、表1に供される。
【0034】
【表1】

結果から、反応は、2時間後に平衡に達し、そして結局、連続スチレン水素化反応が、2時間(特に記述されない限り)行われたことが結論づけられた。
(実施例3 圧力依存性)
図1の装置を使用して、セルでの圧力を変化させる効果を調査した。実施例では、投入装置に、スチレンをかけ、そしてウィルキンソンの触媒(2mg、スチレン基質に関して0.033モル%)を、直接セルに入れた。セルを105℃まで加熱し、そしてその後、20×10Pa(20バール)(シリンダー圧)で、水素ガス(0.02モル)を充填した。その後、投入装置56を介して容器52からHFC134aの投入によって、セルに圧力を加えて、その結果、スチレンを、セルに流し出し、それにより、反応を出発させた。その後、反応を、2時間進行させた。HFC134aの圧力を変化させることにより、50×10Pa(50バール)と115×10Pa(115バール)の間の様々のセル圧力で、一連の実験が行われた。全ての条件について、HFC134aは、超臨界状態にあった。0.75cmのスチレンを使用した。
【0035】
本実施例で、以下の反応によって示されるとおり、2つの水素化生成物を生成した。
【0036】
【化2】

ガスクロマトグラフィーを使用して、生成物の量を評価した。しかし、微量の副次生成物(エチルシクロヘキサン)のみを生成し(不明瞭と考えられる100×10Pa(100バール)圧力の結果を除いて)、そしてしたがって、GCピークを、生成物の正確な量を決定するために取込んだ。結果は、表2で供される。質量分光測定法を使用して、副次生成物の存在を検出した。
【0037】
【表2】

70×10Pa(70バール)より低いHFC134a圧力では、変換は、相当に低いが、しかし圧力を増すに伴って増大する。70×10Pa(70バール)およびそれより上の圧力では、圧力が増大されるときに、変換は、圧力依存性を示さない。これらの結果は、試薬分子の周りに集中(局所密度増大)する点で説明されうる。図3から、378KでのHFC134aの密度は、40〜70×10Pa(40〜70バール)の圧力の間で明らかに増大するが、70×10Pa(70バール)以上では、密度増大は、劇的でなくなることが判明する。圧力と溶媒密度の変化のこの傾向は、水素化圧力依存性の変換に関連する可能性がある。
【0038】
出願人が、なんらかの理論につなげられることを意図しない一方で、低圧で、溶質(基質および触媒)の周りに密集する溶媒は、中程度であるが、しかし局所密度は、元の溶媒のものよりなお高いと思われる。これは、水素(これらの作業条件下で超臨界状態にある、T=33.19K、P=13.15×10Pa(13.15バール))を[RhCl(PPh]に拡散させて、シス−ジヒドロ複合体[RhCl(H)(PPh]を形成し、スチレンを活性化触媒種に拡散させ、そして金属結合に挿入することの両方を可能にする。圧力が、70×10Pa(70バール)まで増大されるとき、触媒の周囲への溶媒と水素分子の両方の密集が増大し、そしてジヒドロ複合体形成の速度を増大させる。それは、律速段階であるジヒドロ複合体でのオレフィンの攻撃であるが、反応速度は、さらに活性化触媒種の存在により増大される。
【0039】
70×10Pa(70バール)以上の圧力で、局所密度は、大量の溶媒のものに近くなり、そして試薬の周りに密集する溶媒は重要である。反応がここで起こる可能性がある唯一の方法は、「脱溶媒」(溶媒分子が、試薬から拡散する)続いて、溶質−溶質相互作用による。この動的脱溶媒法は、一定速度で起こることが確保された場合、それにより反応速度は、高圧で速度制限段階の熱力学によって制御される。
【0040】
(実施例4 水素移動型水素化(トランスファー水素化))
実施例3で記述されるとおり、スチレンの水素化(H(g)を使用した)は、上の反応図式により2つの生成物を与えた。代替物として、副次生成物が、1:1の基質対水素源のモル比を使用して増大されうる場合、水素移動型水素化反応は、調査する第一の研究として行われた。選択された水素源は、5:2モル比でEtN/HCOOHであった。
実施例3に示される主要生成物のみが形成された。
【0041】
本方法で、EtN/HCOOHおよびウィルキンソン触媒を、反応容器に入れ、そしてスチレンを、投入装置に入れた。その系を、先の実施例で記述されるとおり加熱および加圧し、そしてスチレンを、加圧により反応容器に流し込んだ。反応を、加圧後、2時間進行させ、そして結果は、先の実施例で記述されたとおりGC分析により得られた。生成物の同定を、質量分光測定法により行った。
【0042】
その反応で、2mgの触媒と0.75cmのスチレンを使用した。圧力の範囲についての変換率(%)は、下の表3に供される。
【0043】
【表3】

変換率(%)は低いが、副次的生成物で観察されたものはなかった。代替的触媒、例えば、プラチナまたはパラジウム触媒は、使用されるウィルキンソン触媒よりいっそう有効である可能性があると思われる。
(実施例5 ヒドロフルオロカーボン溶媒での不斉水素化)
上に記述される一般的手段を、2つの代替的基質(下で示される1および2)および2つの代替的触媒(下で示される3および4)の水素化を調査するために使用した。
【0044】
【化3】

さらに、使用される溶媒は、ジフルオロメタンおよび二酸化炭素と1,1,1,2−テトラフルオロエタンの50:50混合物であった。
【0045】
典型的実施例では、反応セルに、触媒のテトラヒドロフラン(THF)を充填した。使用されるミリグラム量の触媒が計測するのに困難であるので、そのような溶液は、測定を
より簡便にするために使用された。水素化反応の前に、THFを、真空下で除去し、その結果THFは、反応を干渉しない。セルを、所望の温度に加熱し、そして水素で加圧した。基質(1−2ミリモル)を、投入装置に入れ、そして適当な圧力で、投入装置を通してヒドロフルオロカーボンを汲み出すことによって、反応混合物に添加した。2−64時間、反応混合物を攪拌した後、セルから圧力を抜き、そして内容物を、液体窒素で冷却された冷却トラップで捕捉した。その後、冷却トラップを、ゆっくりと室温まで加温した。冷却トラップと反応セルの内容物を合せて、そしてクロロホルムに溶解させた。溶液を、GCおよびNMR光学測定法によって分析した。
【0046】
使用した試薬、選択した条件、および結果の詳細は、実施例A−0についての下の表4で供される。表中、134aは、1,1,1,2−テトラフルオロエタンに該当する;「cat」は、触媒に該当する;「catモル%」は、基質のものに比べた触媒のモル%に該当する;「Hのp/バール」は、反応セルに汲み出された水素のバールでの圧力に該当する;「p/バール」は、反応セル中のバールでの総圧力に該当する;「T/℃」は、反応装置での温度に該当する;「conv.」は、水素化生成物に変換された基質の含有率に該当する;そして「エナンチオ」は、他のエナンチオマーに比べた生成物の1つのエナンチオマーのエナンチオマー過剰率(%)に該当する。
【0047】
【表4】

(実施例6 1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)でのスチレンの水素化)
HFC227eaを、HFC134aの代わりに使用した以外は、一般に上に記述されるとおり反応を行った。この点で、0.75mLのスチレンを、投入装置に入れ、そして3mgのウィルキンソンの触媒を、反応セルに入れた。セルを、105℃まで加熱し、そして30×10Pa(30バール)の水素ガスで充填した。その後、セルを、HFC227eaで加圧し、そして反応装置中で60×10Pa(60バール)の総圧力を示し
た。加圧の間、スチレンを、溶媒ガスによって、投入装置から反応セルに流し込んだ。時間の長さを変化させて反応を行い、そして、GCを使用して、転換率(%)を測定した。結果は、下の表で供される。反応の時間依存性は、図5に示される。
【0048】
【表5】

(実施例7)
下の説明によって、触媒系を製造した。
触媒系1:
モノホス/Rh(COD)BF→ Rh[(L)(COD)]BF
「モノホス」は、2,2−O,O−(1,1−ビナフチル)−O,O−ジオキソ−N,N−ジメチルホスホリジンである。
(a)「モノホス」リガンド製造
【0049】
【化4】

(b)触媒製造
2.010gのビノールを、およそ20mLのエーテルに溶解させ、そして1.6mL
HPMTを添加した。混合物を、2.5時間、室温で攪拌した。生成物を濾過し、そしてヘキサンで洗浄して、2.298gのリガンド生成物(91%収率)を得た。全ての製造は、標準シュレンク(Shlenk)技術を使用して行われた。
【0050】
NMR(H、31P、13C)、偏光測定法および融点試験を使用して、リガンド純度を試験した。得られたデータを、文献と比較し、そしてリガンドが、純粋であり、そして触媒に適していることが分かった。
純度データ:R モノホス [α]20=−570°
融点=218〜220℃
S モルホス [α]20=+569°
融点=215〜217℃
触媒系を、通常の溶媒を使用して妥当性について試験し、そして妥当であると分かった。その後、110℃で、1.21×10−3モルのH(g)を示す超臨界HFC134a中でのイタコン酸(メチレンコハク酸)の不斉水素化を行うために使用した。圧力条件、反応の長さおよび結果は、下の表で示される。
【0051】
【化5】

(c)水素化の方法
セルを110℃に加熱した。26mgのイタコン酸、4mgのRh(COD)BFおよび8mgの(R)−モノホスを、窒素雰囲気下で、乾燥ボックスで秤量した。これらの化合物を、窒素雰囲気下で、高圧セルに移し、そしてセル中の空気を、1.3×10Pa(1.3バール)(1.21×10−3モルのHに等しい)のH(g)と交換した。HFC134aを、下の表に示される圧力まで充填した。要求された時間が、経過したとき、セルの加圧を解き、そして適切な溶媒での溶解により、化合物を収集した。変換は、NMRおよびGCによって測定された。光学異性体過剰率(%ee)を、GCを使用したキレルデックス(Chireldex)B−DMカラムで測定した。%Eeは、(R)−メチルコハク酸生成物に関して報告される。
(結果)
【0052】
【表6】

表 (R)−モノホス/Rh触媒系を使用したイタコン酸の不斉水素化についての結果
(実施例8 原位置での分離)
超臨界反応媒体での試薬、生成物および触媒の溶解性は、圧力を変化させることによって容易に、そして推定可能に制御されうる。この特性は、水素化の後の原位置での(in situ) 分離を達成するために活用されうる。さらに、分離は、反応容器中で試薬、生成物および触媒で行われうる。
【0053】
原位置での分離を行うための装置は、図4で示される。水素化反応を達成するための容器2の上流の容器/パイプ機構は、除外されるが、しかし図4での容器2は、図1での容器40と同じであることに注目すべきである。図4に関して、反応装置容器2は、パイプ4を介して容器6につなげられ、そしてそれは、順に、パイプ8を介して容器10につな
げられる。パイプ4と8での流動体の流れは、容器出口にできる限り近くに置かれる個々のコック12、14によって制御されて、パイプで沈殿する生成物の危険を減らす。試薬再利用パイプ16を、容器6と2の間でつなげる。さらに、容器10は、排気/ガス再利用パイプ18を含み、そしてそれへの流れは、コック20によって制御される。
【0054】
高圧反応(例えば、180〜200×10Pa(180〜200バール)で)が、容器2で達成された後、コック12が開放され、そして容器2は、100−120×10Pa(100−120バール)の圧力まで加圧から開放され、そしてそれは、容器2への触媒の沈殿を促進する(触媒が、溶媒中で最低の溶解性を示すことに基づいて)。試薬および生成物(溶媒中でより大きな溶解性を示す)は、溶媒中で溶液のままでいて、そして容器6に運ばれる。例えば、試薬が、生成物より、溶媒中で低い溶解性を示す場合、それにより開放中のコック14上で、試薬は、容器6で沈殿され、そして生成物は、容器10に、溶液中で運ばれる。都合により、試薬は、連続反応で使用するためにパイプ16を介して容器2に戻されうる。
【0055】
分離系は、イタコン酸(不飽和基質)およびメチルコハク酸(水素化生成物)の研究により示されうる。表5および6は、種々の圧力で、イタコン酸とメチルコハク酸の、378KでのHFC134aにおける溶解性を詳述する。
【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

したがって、イタコン酸の水素化反応について、基質および生成物が、図4に関して記
述される方法論を使用して分離されるであろうこと、さらに、触媒が、基質と生成物との両方より低い溶解性を示す場合、触媒も、分離(それにより、容器2に残る)されうると理解される。
【0058】
したがって、触媒、基質、溶媒および作業条件の選択によって、水素化反応が行われ、そして生成物が、十分に、そして有効に単離されうる。
本出願に関連して本明細書と同時に、またはそれより先に出願され、そして本明細書で公開調査のために公開され、そして全てのこのような文献および文書の内容は参照してここに組込まれる全ての文献および文書に、読者の注目が向けられる。
【0059】
本明細書で開示される特徴の全て(全ての付随の請求項、要約および図面を含め)、および/または開示されるとおりのいずれかの方法またはプロセスの段階の全ては、このような特徴および/または段階の少なくともいくつかが、相互に排他的である組合せを除いて、あらゆる組合せで合わされうる。
【0060】
本明細書で開示される各特徴(全ての付随の請求項、要約および図面を含め)は、特に明確に記述されない限り、同じ、等価または類似の目的を果す代替的特徴に交換されうる。したがって、特に明確に記述されない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の等価または類似な特徴のほんの1例にすぎない。
【0061】
本発明は、前述の実施態様の詳細に限定されない。本発明は、本明細書で開示される特徴(全ての付随の請求項、要約および図面を含め)の全ての新規のもの、または全ての新規組合せ、または開示されるとおりの全ての方法またはプロセスの段階の内の全ての新規のもの、または全ての新規組合せにまで及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】水素化反応で使用するための装置を示す概念図。
【図2】収集容器の概略を示す概念図。
【図3】378Kでの圧力に対するHFC134aの密度のグラフ。
【図4】触媒、試薬および生成物を互いに分離するための分離系の概略を示す概念図。
【図5】反応の時間依存性を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−4フッ化炭化水素またはC1−4ヒドロフルオロカーボンエーテルから選択される反応溶媒の存在下で、化合物を水素源と接触させる工程を備える、化合物中における1つ以上の官能基を水素化するための方法。
【請求項2】
前記反応溶媒が、C1−4フッ化炭化水素を含有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記C1−4フッ化炭化水素が、非塩化物である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記C1−4フッ化炭化水素は1つ以上の炭素、フッ素および水素原子のみからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記フッ化炭化水素はC1−3フッ化炭化水素である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記反応溶媒はCフッ化炭化水素を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記フッ化炭化水素は10個までのフッ素原子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記フッ化炭化水素は少なくとも2個のフッ素原子を含む請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記フッ化炭化水素は脂肪族である請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記フッ化炭化水素が、20℃より低く、そして−50℃より高い大気圧での沸点を示す請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記反応溶媒はジフルオロメタン、テトラフルオロエタンおよびヘプタフルオロプロパンから選択される請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記反応溶媒はジフルオロメタンを含有する請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記反応溶媒はテトラフルオロエタンを含有する請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記反応溶媒はヘプタフルオロプロパンを含有する請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記反応溶媒は、改質剤とともに、フッ化炭化水素またはヒドロフルオロカーボンエーテルを含有する請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記フッ化炭化水素またはヒドロフルオロカーボンエーテルが、超臨界状態に近いか、またはその状態にある条件下で行われる請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
本方法で使用される前記反応溶媒が、本方法の間に超臨界状態に近いか、または超臨界状態の状態にある、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記反応溶媒は基本的に単独溶媒から構成される請求項1〜17のいずれかに記載の方法

【請求項19】
前記方法が、触媒の存在下で行われる請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
本方法で水素化される官能基が、アルケン、環状アルカン、ラクトン、無水物、アミド、ラクタム、シッフ塩基、アルデヒド、ケトン、アルコール、ニトロ、ヒドロキシアミン、ニトリル、オキシム、イミン、アジン、ヒドラゾン、アニリン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ジアゾニウム、アゾ、ニトロソ、フェノール、エーテル、フラン、エポキシ、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド、オゾニド、アーレン、飽和または不飽和複素環、ハライド、酸ハライド、アセタール、ケタール、およびセレンまたは硫黄含有化合物から選択される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
本方法で水素化される化合物はアルケンである請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記成分は触媒、水素化反応の生成物、および反応溶媒を含み、前記触媒および前記生成物は、前記反応溶媒中で様々な溶解性を示し、第一の反応体での第一の圧力下で反応混合物を用いて、前記第一の反応体における圧力を減少させ、その結果反応溶媒中で溶解性が最も低い反応の成分が、大部分は、反応混合物から分離することを包含する、反応混合物の成分を分離する方法。
【請求項23】
(i)請求項1〜21までのいずれか1項に記載されるとおり1つまたはそれより多くの該水素化可能な基を水素化するために、反応溶媒および触媒の存在下で、1つまたはそれより多くの水素化可能な官能基を有する化合物を、水素源と接触させる工程と、
(ii)反応混合物の付近で圧力を減少させて、その結果反応溶媒中で溶解性が最も低い反応の成分が、大部分は、反応混合物から分離する工程とを備える方法。
【請求項24】
本反応溶媒で溶解性が最も低い反応混合物の成分が、前記触媒である、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−512282(P2006−512282A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−503158(P2004−503158)
【出願日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【国際出願番号】PCT/GB2003/002067
【国際公開番号】WO2003/095084
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(504177859)アドバンスト フィトニクス リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED PHYTONICS LIMITED
【Fターム(参考)】