汚泥処理装置及び汚泥処理方法
【課題】 汚泥原液中のフロックの凝集状態を撮影して、凝集剤の添加量及び凝集剤撹拌機の回転数を調整する汚泥処理装置及び汚泥処理方法を提供する。
【解決手段】 汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを撮像する撮像部11と、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部18と、変換部18が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部13と、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部14と、比較部14による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を制御する制御部15と、比較部14による比較結果に応じて、警報を発する出力部16とを備える。
【解決手段】 汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを撮像する撮像部11と、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部18と、変換部18が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部13と、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部14と、比較部14による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を制御する制御部15と、比較部14による比較結果に応じて、警報を発する出力部16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水汚泥、下水汚泥及び産業排水汚泥等の汚泥原液中に含まれるフロックの凝集状態に基づいて、凝集剤添加率及び撹拌機の回転数を制御する汚泥処理装置及び汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理プロセスより発生する汚泥の凝集処理は汚泥を効率良く処理するための前段プロセスであり、汚泥に凝集剤を添加して脱水に適した凝集を行う工程である。この凝集処理工程による汚泥の凝集状態が良好であると、脱水後の汚泥の含水率の低減を図ることができる。このため、汚泥の凝集状態を計測し、適量の凝集剤を添加して極力良好な凝集状態を実現することが脱水処理においては重要である。
【0003】
従来、上水汚泥、下水汚泥及び産業排水汚泥等のように懸濁物質を含有する汚泥原液は、凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成させることで、脱水汚泥の含水率の低減を図っている。汚泥原液中の懸濁物質の凝集状態を制御するために、凝集混和槽中の懸濁物質の凝集状態すなわち懸濁物質を凝集させたフロック(凝集フロック)を撮影し、撮影画像を2値化して得られたフロックの割合によって懸濁物質の凝集状態を解析し、凝集剤の添加率を制御する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。ここで、汚泥原液は汚泥の種類によって、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増減に対する、凝集フロックの総面積及び脱水機で脱水処理した脱水ケーキのケーキ水分との関係に関する挙動が異なる。当該従来の凝集剤添加率の制御方法では、図8に示すような特性を示す汚泥原液に対する凝集剤添加率の制御が可能となる。すなわち、凝集剤添加率に対する制御の前提として、凝集フロック単一の大きさは凝集剤の添加量と比例し、凝集フロックが大きい程、撮像画像の間隙部が増大する。そのため、1画像内の凝集フロックの総面積は凝集剤の添加量と反比例する。この傾向は、特に撮影画像の輝度信号を基に2値化する場合に顕著になる。また、ケーキ水分は凝集剤添加率に一概に比例することはなく、最適な凝集剤添加率で凝集フロックを生成させると、脱水後のケーキ水分も下がる。したがって、当該従来の凝集剤添加率の制御の一例を示すと、図8に示すように凝集剤添加率が0.6%付近においてケーキ水分が最も下がるので、このときの凝集剤添加率0.6%を基準の凝集剤添加率としたとき、ア)運転中に測定したフロックの面積が55000以上であれば、現在の凝集剤添加率は基準の凝集剤添加率よりも左にあると考えられ、凝集剤添加率を増加させることで、最適な凝集剤添加率である基準の凝集剤添加率に近づけるよう制御できる。また、イ)運転中に測定したフロック面積が55000以下であれば、現在の凝集剤添加率は基準の凝集剤添加率よりも右にあると考えられ、凝集剤添加率を減少させることで、最適な凝集剤添加率である基準の凝集剤添加率に近づけるよう制御できる。
【0004】
しかしながら、汚泥原液の種類によっては、凝集フロックの総面積及び脱水機で脱水処理した脱水ケーキのケーキ水分との関係に関して図9に示すような挙動を取るものもある。すなわち、1画像内の凝集フロックの総面積は凝集剤の添加量と反比例しない汚泥原液である。
【0005】
このような汚泥原液に対しては、従来の凝集剤添加率の制御方法を用いても、凝集剤添加率の制御は不可能である。すなわち、図9に示すように、凝集剤の添加率0.6%付近がケーキ水分が最も下がるので、このときの凝集剤添加率を基準の凝集剤添加率として、運転中に測定したフロックの面積が56000である場合、基準の凝集剤添加率に近づけるには凝集剤添加率を増加させるか減少させるかの判断ができないため、凝集剤添加率の制御ができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4238983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明は、汚泥原液中の凝集フロックの凝集状態を高精度に測定し、凝集剤の添加量及び凝集混和槽の撹拌強度を制御及び異常運転を防止する汚泥処理装置及び汚泥処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置に関する。すなわち、本発明の様態に係る汚泥処理装置は、(イ)汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像する撮像部と、(ロ)撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、(ハ)変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの総面積である凝集フロック測定面積を算出する算出部と、(ニ)脱水機の運転開始後に算出した凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部と、(ホ)比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び撹拌機の回転数を制御する制御部と、(ヘ)比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部とを備え、算出部は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分の凝集フロック測定面積の平均値である凝集フロック平均面積を算出し、凝集フロック平均面積に基づいて凝集フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【0009】
本発明の別の様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置に関する。すなわち、本発明の別の様態に係る汚泥処理装置は、(イ)汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像する撮像部と、(ロ)撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、(ハ)変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び凝集フロックの数を算出し、凝集フロック測定面積を画像に表示された凝集フロックの数で除した単フロック面積を算出する算出部と、(ニ)脱水機の運転開始後に算出した単フロック面積である単フロック測定面積と単フロック基準面積とを比較する比較部と、(ホ)比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び撹拌機の回転数を制御する制御部と、(へ)比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部とを備え、算出部は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の単フロック面積を算出し、複数回分の単フロック面積の平均値である単フロック平均面積を算出し、単フロック平均面積に基づいて単フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【0010】
本発明のさらに別の様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置を制御する汚泥処理方法に関する。すなわち、本発明のさらに別の様態に係る汚泥処理方法は、(イ)撮像部が、汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像するステップと、(ロ)変換部が、撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成するステップと、(ハ)算出部が、変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの総面積である凝集フロック測定面積を算出するステップと、(ニ)比較部が、脱水機の運転開始後に算出した凝集フロック測定面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較するステップと、(ホ)制御部が、比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び凝集剤撹拌機の回転数を制御するステップと、(ヘ)出力部が、比較部による比較結果に応じて、警報を発するステップとを含み、算出部が算出するステップは、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分の凝集フロック測定面積の平均値である凝集フロック平均面積を算出し、凝集フロック平均面積に基づいて凝集フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汚泥原液中の凝集フロックの凝集状態を高精度に測定し、凝集剤の添加量及び凝集混和槽の撹拌強度を制御及び異常運転を防止する汚泥処理装置及び汚泥処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理装置の概略図である。
【図3】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理装置の概略図である。
【図4】本発明の第1〜3の実施の形態に係る輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出フローチャート図である。
【図5】本発明の第1〜3の実施の形態に係る階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出フローチャート図である。
【図6】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図7】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図8】本発明の第1〜3の実施の形態に係る従来の汚泥原液の特性を示すグラフ図である。
【図9】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の輝度基準による特性を示すグラフ図である。
【図10】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図11】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図12】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のグラフ図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のグラフ図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理方法のブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法のブロック図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な構成は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの構成の異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
また、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(第1の実施の形態)
<汚泥処理装置の機能構成>
本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図1に示すように、汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを撮像する撮像部11と、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部12と、変換部18が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部13と、脱水機35の運転開始後に算出した凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部14と、比較部14による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を制御する制御部15と、比較部14による比較結果に応じて、警報を発する出力部16とを備える。
【0016】
本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、図9に示すような汚泥性状を有する汚泥原液を制御する。従来の汚泥原液の制御に関する汚泥性状は、図8に示すように、凝集剤添加率の増加と共に、凝集フロック測定面積は減少する。しかし、図9に示す汚泥原液の汚泥性状は、凝集剤添加率0.6%、凝集フロック測定面積55000pixelを中心に増減関係が逆転する。ここで、凝集フロック測定面積は、凝集フロックの画像の画素数である。
【0017】
撮像部11は、図2示す検視窓34を通して検視装置45の内部を撮像し、画像として出力する。検視装置45は、脱水機35に連結した汚泥原液供給管33に配設され、検視窓34を任意の位置に備える。撮像部11は、図2に示すテレビカメラ31、CCDカメラ等を採用可能である。
【0018】
変換部12は、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する。また、変換部12は、階調変換部18及び輝度変換部19によって構成される。階調変換部18は、凝集フロックの画像を画像が有する階調情報に基づいて2値化する。また、輝度変換部19は、画像が有する輝度情報に基づいて凝集フロックの画像を2値化する。階調変換部18が変換した2値画像を「階調2値画像」、輝度変換部19が変換した2値画像を「輝度2値画像」という。
【0019】
算出部13は、変換部12が2値化したデータから、「凝集フロック測定面積」を算出する。ここで、「凝集フロック測定面積」とは、変換部12が変換した凝集フロックの2値画像に基づいて、算出部13が算出した画像に表示される凝集フロックの面積である。特に、画像に表示された凝集フロック全体の面積を「凝集フロック総面積」という。また、算出部13が算出した画像に表示される凝集フロックの数で「凝集フロック総面積」を除した、単位凝集フロック当たりの面積を「凝集フロック単面積」という。「凝集フロック測定面積」は、「凝集フロック総面積」、「凝集フロック単面積」のいずれも適用可能である。
【0020】
また算出部13は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分における凝集フロック測定面積の平均値である「凝集フロック平均面積」を算出し、「凝集フロック平均面積」に基づいて「凝集フロック基準面積」を算出する。ここで、脱水機35の運転開始後に撮像した「輝度2値画像」に表示される凝集フロックの面積を「輝度凝集フロック測定面積」、「階調2値画像」に表示される凝集フロックの面積を「階調凝集フロック測定面積」とする。また、同一の凝集剤添加率に対して予め設定した回数分の輝度凝集フロック測定面積の平均値を「輝度凝集フロック平均面積」、同様にして階調凝集フロック測定面積の平均値を「階調凝集フロック平均面積」とする。
【0021】
算出部13は、「初期の凝集剤添加率近傍」において「予め設定された割合」で互いに異なる複数の凝集剤添加率それぞれに対して輝度凝集フロック平均面積を算出し、算出された複数の輝度凝集フロック平均面積の中で最小の値となる面積を「輝度凝集フロック基準面積」とする。「初期の凝集剤添加率近傍」とは、初期凝集剤添加率RP[0]の±0.3%の範囲内の程度を指す。「予め設定された割合」とは、隣り合う凝集剤添加率の値の差であり、0.01%〜0.1%程度を指す。例えば、「初期凝集剤添加率」を含め、「初期凝集剤添加率」の前後0.02%、0.04%及び0.06%だけ増減させた全7段階において、それぞれの段階における凝集フロック平均面積を算出部13が算出する。凝集剤添加率の各段階において平均する際のサンプル数は、汚泥原液の種類やユーザによる経験、算出速度に応じて適宜決定される。サンプルとなる凝集フロックの画像は、凝集剤添加率の各段階において、撮像部11が10〜60秒の間隔で撮像する。撮像した画像を基に算出部13がサンプルとなる各凝集フロックの面積を算出する。算出結果に基づいて7つの凝集フロック平均面積が得られる。得られた凝集フロック平均面積の中で最も値の小さいものを「凝集フロック基準面積」と定義する。
【0022】
また、算出部13が基準凝集剤添加率近傍における第1の凝集剤添加率の値を予め試験的に算出している場合には、算出部13は基準凝集剤添加率近傍の値における第1の凝集剤添加率に対する凝集フロック平均面積と、予め設定した第1の凝集財添加率とは異なる第2の凝集剤添加率における凝集フロック平均面積とを比較して、大きさが小さい方の凝集フロック平均面積に対する凝集剤添加率を決定する。さらに、算出部13は、決定した凝集剤添加率の値から凝集剤添加率近傍における複数の凝集剤添加率に対する凝集フロック平均面積をそれぞれ算出及び比較し、凝集フロック平均面積が最小となる凝集財添加率を決定する。このような過程を凝集フロック平均面積が最小値として収束するまで繰り返し、収束した凝集フロック平均面積の値を凝集フロック基準面積とすることもできる。
【0023】
なお、「基準凝集剤添加率」とは、「凝集フロック基準面積」が算出された際の凝集剤添加率である。本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100が算出する「基準凝集剤添加率」は「輝度凝集フロック基準面積」が該当する。また、「基準凝集剤添加率」において撮像される「階調2値画像」から算出される凝集フロック測定面積を「階調凝集フロック基準面積」とする。さらに、「初期凝集剤添加率」とは、一定の条件下で定められた任意の凝集剤添加率であり、過去に汚泥処理装置100を運転して得られ、蓄積された経験値に基づいて決定する。
【0024】
比較部14は、「凝集フロック測定面積」及び「凝集フロック基準面積」を比較する。本発明の第1の実施の形態に係る比較部14は、算出部13が階調2値画像を基に算出する「階調凝集フロック測定面積」と輝度凝集フロック基準面積算出時の凝集剤添加率である基準凝集剤添加率における階調2値画像を基に算出部13が算出する「階調凝集フロック基準面積」とを比較する。
【0025】
制御部15は、比較部14による「階調凝集フロック測定面積」と「階調凝集フロック基準面積」との比較結果に基づいて、図2に示す凝集剤供給ポンプ29による凝集剤の添加量を制御する。また、制御部15は、比較部14による比較結果に基づいて、凝集混和層25が備える凝集剤撹拌機21の回転数を制御する。
【0026】
以下、詳細を図9〜12を参照して説明する。図9に示すように、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が処理する汚泥原液について、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増加に伴い画像が含む輝度情報を基に輝度変換部19が変換した輝度2値画像より算出部13が算出した輝度凝集フロック測定面積は減少し、特定の凝集剤添加率を閾値として、閾値以上の凝集剤添加率の増加に伴い輝度凝集フロック測定面積は増大する。また、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が処理する汚泥原液について、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増加に伴い脱水機35で処理した脱水ケーキのケーキ水分は減少し、特定の凝集剤添加率を超えた段階で、凝集剤添加率の増加に伴いケーキ水分は増大する。なお、輝度凝集フロック測定面積が最小の値を取る際に対応する凝集剤添加率と、ケーキ水分が最小の値を取る際に対応する凝集剤添加率とはほぼ同一の値となる。すなわち、ケーキ水分が最小となる最適な状態に汚泥原液を処理するためには、汚泥処理装置100の運転中に測定される凝集剤添加率が基準凝集剤添加率と同一である必要がある。しかし、汚泥処理装置100の運転中に汚泥性状は変化するため、凝集剤の添加量が一定であっても測定される輝度凝集フロック測定面積は変化する。そのため、高品質の処理を実現するためには運転中に測定される輝度凝集フロック測定面積を最小値に近づける制御が必要になる。なお、算出部13が算出する輝度凝集フロック測定面積は凝集フロック全体の総面積でも、単位凝集フロック当たりの面積である輝度凝集フロック単面積でも同様の特性を示す。
【0027】
ここで、図10は、汚泥原液の画像が含む階調情報を基に算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積と凝集剤添加率によって示される図9と同様の汚泥原液の特性を示す。図10に示すように、凝集剤添加率の増加に伴って、階調凝集フロック測定面積は単純に増加する。そのため、基準凝集剤添加率に対応する階調凝集フロック基準面積と階調凝集フロック測定面積との大きさを比較することで、運転中の凝集剤添加率を簡単及び迅速に基本凝集剤添加率へ近づける制御が可能となる。すなわち、図10において、階調凝集フロック測定面積>階調凝集フロック基準面積の場合、凝集剤添加率を減少させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることが可能となる。また、階調凝集フロック測定面積<階調凝集フロック基準面積の場合、凝集剤添加率を増加させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることが可能となる。
【0028】
ところが、図9に示すように、輝度情報を基にした輝度基準の汚泥原液の特性では、特定の輝度凝集フロック測定面積の値、例えば56000付近における輝度凝集フロック測定面積の値に対応する凝集剤添加率の値が2種類存在するため、輝度凝集フロック測定面積と輝度凝集フロック基準面積との大きさの比較だけで、基準凝集剤添加率に近づけるために運転中の凝集剤添加率を増加させるか減少させるかを判断することは不可能となる。
【0029】
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る制御部15は、「階調凝集フロック測定面積」と「階調凝集フロック基準面積」とを比較する。なお、図10は凝集フロックの総面積に対する汚泥原液の特性を示すグラフであるが、図11及び12に示すように、凝集フロック総面積を凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積である輝度凝集フロック単面積でも同様のグラフ形状を示すため、本発明の第1の実施の形態に係る制御部15は同様の制御が可能である。
【0030】
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、撮像部11が撮像した画像に含まれる階調情報に基づいて算出した、基準凝集剤添加率に対応する階調凝集フロック基準面積と、汚泥処理装置100の運転中に測定し階調情報に基づいて算出した階調凝集フロック測定面積とを比較することで、迅速容易に汚泥原液の最適な処理を実施することが可能となる。
【0031】
つぎに、図9に示す特性を示す汚泥原液を処理する際に、制御部15は、比較部14による比較結果として、階調凝集フロック測定面積>階調凝集フロック基準面積で、且つ、算出部13が算出し、式(1)で表される「誤差率」が「予め定めた特定の値」(以下において、「誤差既定値」という。)を超える際に、凝集剤の添加量を減少させ、ひいては凝集剤添加率が減少するように凝集剤供給ポンプ29を制御する。すなわち、この際に制御部15は、凝集剤添加率が「予め設定した値」だけ減少するように凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させる。ここで、「誤差率」は階調凝集フロック基準面積に対する階調凝集フロック測定面積の差分の割合である。階調凝集フロック基準面積に対する階調凝集フロック測定面積の誤差率ε、階調凝集フロック測定面積をgFAm、階調凝集フロック基準面積をgFAとすると次式が成り立つ。
ε={(gFAm−gFA)/gFA}×100 ・・・(1)
【0032】
また、誤差率が誤差既定値以下の場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を維持して、引き続き凝集剤添加率を維持する。ここで、「予め設定した値」とは、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積に近づく際の調整幅であり、それまでの経験値により、0.05%と設定することも可能であり、0.01%と設定することも可能である。
【0033】
さらに、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで、凝集剤添加率が予め設定した値だけ増加するよう制御する。階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させることで、凝集剤添加率が予め設定した値だけ減少するよう制御する。
【0034】
ここで、「誤差既定値」とは、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積との差分に関する値である。また、実際の機器等における精度によって生じる誤差として無視できる程度の大きさの値であり、基準凝集添加率の決定に対して現実的に影響を及ぼさない程度の微小な値である。
【0035】
つづいて、制御部15が凝集剤添加率を減少させる制御を実施した後、減少後の凝集剤添加率が予め設定した最小凝集剤添加率以下である場合、後に詳述する出力部16が警報を出力する。また、減少後の凝集剤添加率が最小凝集剤添加率よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させることで凝集剤添加率が更に減少するよう制御する。制御部15が凝集剤添加率を増加させる制御を実施した後、増加後の凝集剤添加率が予め設定した最大凝集剤添加率以上である場合、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、凝集剤添加率が更に減少するよう制御し、増加後の凝集剤添加率が最大凝集剤添加率よりも小さい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで増加後の凝集剤添加率が更に増加するよう制御する。
【0036】
また、誤差率が誤差既定値以下の場合は、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を維持し、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることも可能である。階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15が凝集剤撹拌機21の回転数を増加させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることも可能である。
【0037】
出力部16は一定の条件下において、汚泥処理装置100に異常が発生した際に、汚泥処理装置100のユーザに対し、異常状態の情報を提供する。ここで、「一定の条件」とは、凝集フロック基準面積及び凝集フロック測定面積の差が異常値に達した場合とすることも可能であり、あるいは凝集フロック基準面積に対する凝集フロック測定面積の誤差率と誤差既定値との差が異常値に達した場合とすることも可能である。ここで、「異常値」とは、汚泥処理装置100の処理の中で、汚泥処理装置100本来の仕様において、取り扱いに熟練したユーザが明らかに異常な状態が発生したと判断可能な際の各種値を指す。
【0038】
出力方法及び出力形式は汚泥処理装置100のユーザに注意喚起を呼びかけるものが適する。例えば、映像信号を出力して表示部に画像及び文字を表示することも可能であり、音声信号を出力して音声を出力することも可能である。
【0039】
記憶装置17は、算出部13が算出する凝集フロック測定面積、凝集フロック基準面積、基準凝集剤添加率、誤差率及び誤差既定値、比較部14が比較した比較結果等を格納し、必要に応じて制御部15等に供給する。
【0040】
本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100の図1に示す記憶装置17には、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16の管理を支援するプログラムが記憶されるとともに、ユーザの指示に基づいて図示しないユーザインタフェース手段が入力した凝集剤の添加量、凝集混和槽25における凝集剤撹拌機21の撹拌強度等が記憶される。また、撮像部11が撮像し出力した凝集フロックの画像、その画像を変換部12が2値化したデータも記憶される。さらに、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16等によるデータ演算処理の管理に関するプログラムが汚泥処理装置100の図示しない中央演算処理装置に読み込まれ実行されることによって、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16等が汚泥処理装置100に実装される。
【0041】
<汚泥処理装置の機器構成>
本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100の機器構成は、図2及び図3に示すように、懸濁物質を含有する汚泥原液を貯留し、撹拌機26を配設した汚泥貯留槽22と、圧入管24から凝集混和槽25の槽底に一定量の汚泥原液を圧入する汚泥原液供給ポンプ23と、撹拌機26を配設し、凝集剤が貯留している高分子溶解槽27と、高分子溶解槽27から圧入管24の汚泥原液に0.3〜1.0%の範囲で可変容量の凝集剤を添加する凝集剤供給ポンプ29と、汚泥原液供給ポンプ23が供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプ29が供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽25と、撹拌機モータ30に連結し、凝集混和槽25で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機21と、凝集混和槽25で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管33を通して供給される脱水機35とを備える。なお、凝集混和槽25に配設される凝集剤撹拌機21は、汚泥原液と凝集剤を通常40rpmの速度で撹拌し、段階的に3〜5rpmの増速と減速が可能である。
【0042】
また、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、凝集混和槽25の凝集剤が添加された汚泥原液を凝集剤撹拌機21が撹拌することで汚泥原液中に含まれる懸濁物質の凝集フロックを形成させ、脱水機35が汚泥原液供給管33より供給される汚泥原液から形成された凝集フロックを分離して排出する。また、汚泥処理装置100は、凝集フロックを含む汚泥原液をタンク圧で脱水機35に供給する汚泥原液供給管33と、検視装置45とを備える。
【0043】
さらに、図4に示すように、検視装置45が有する検視窓34を通して検視装置1の内部を撮像し、画像として出力する撮像テレビカメラ31と、画像を2値化して凝集フロック測定面積等を算出する演算装置44と、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較し、比較結果に応じた制御信号を出力し制御信号の特性に応じて、凝集剤供給ポンプ29、凝集剤撹拌機21及び異常信号装置43を制御するシーケンサー比例制御装置42とを備える。
【0044】
凝集混和槽25には形成した凝集フロックを含む汚泥原液を脱水機35のスクリュープレス32に供給する汚泥原液供給管33が連結している。なお、本発明の実施の形態では、脱水機35にスクリュープレス32を使用しているが、周知の脱水機、例えば遠心脱水機、ベルト式脱水機等でも使用可能である。汚泥原液供給ポンプ23による凝集混和槽25への圧入圧を利用して、凝集混和槽25のタンク圧で汚泥原液をスクリュープレス32に圧入し、凝集した懸濁物質である凝集フロックが脈動により壊れないようにしている。汚泥原液供給管33には凝集フロックの状況を撮像する可能にする検視窓34が設けられている。検視窓34は、円形でも多角形でも可能である。汚泥原液供給管33に配設された検視窓34から10〜40cm離れた位置にテレビカメラ31が配置される。図1に示す撮像部11に該当するテレビカメラ31は、汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを15〜30秒間に1回撮影し、その輝度信号をデジタル信号に変換する。電気信号の輝度情報はコントローラ37に送信され、、コントローラ37が凝集フロックの画像を演算装置44に伝送する。テレビカメラ31から伝送される凝集フロック群の画像輝度情報は、図3に示す演算装置44の画像ボード38に記憶される。この画像情報は2値化回路39より輝度レベルに応じて2値化される。
【0045】
2値化された凝集フロック群の画像情報は演算回路40に入力されて、凝集フロック測定面積及び凝集フロック基準面積等が算出される。演算装置44から信号変換機41に送信された凝集フロックの面積情報は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、シーケンサー比例制御装置42に送信される。シーケンサー比例制御装置42は、予め入力された汚泥原液中の懸濁物質量の変動と濃度の変動に対する凝集剤添加率の関係情報を基に、凝集フロックの各種面積を比較、比較結果に基づいて、凝集剤撹拌機21の回転数、凝集剤供給ポンプ29及び異常信号装置43を制御する。
【0046】
凝集フロック測定面積が過大であった場合は、凝集剤の添加率を減少させて、あるいは凝集剤撹拌機21の回転数を増加させることで、シーケンサー比例制御装置42は凝集フロック測定面積を凝集フロック基準面積に近づける。また、凝集フロック測定面積が微小であった場合は、凝集剤の添加率を増加させて、あるいは凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、シーケンサー比例制御装置42は凝集フロック測定面積を凝集フロック基準面積に近づける。
【0047】
<輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出方法>
つぎに、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置が、凝集フロックの画像が含む輝度情報に基づいて凝集フロック測定面積を算出することで基準凝集剤添加率を決定する方法について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
ここで、「初期凝集剤添加率」をRP[0]、「初期輝度凝集フロック面積」をbFA[0]、「凝集剤添加率差分」をα、「第n凝集剤添加率」をRP[n]、「第n輝度凝集フロック面積」をbFA[n]、「基準凝集剤添加率」をRP、「輝度凝集フロック基準面積」をbFA、「第n輝度凝集フロック平均面積」をave(bFA[n])、「平均面積算出時サンプリング回数」をaとする。ただし、「第n輝度凝集フロック平均面積」とは、第n凝集剤添加率におけるサンプリング回数分の輝度凝集フロック測定面積の平均値であり、次式が成り立つ。
【0049】
α=RP[n+1]−RP[n]、α=0.01〜0.1 ・・・(2)
bFA=min{ave(bFA[n])}、n=0〜n ・・・(4)
また、式(4)は、初期輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[0])、第1輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[1])、・・・、第n輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[n])の中の最小値が「凝集フロック基準面積」であることを示す。
【0050】
(イ)図4(a)に示すステップS101において、撮像部11が撮像した凝集剤添加率RP[0]〜RP[n]における凝集フロックの画像を輝度変換部19が、画像が含む輝度情報に基づいて(輝度基準により)輝度2値画像に変換し、算出部13が変換された輝度二値画像から輝度凝集フロック測定面積bFA[0]〜bFA[n]をそれぞれ算出する。このとき算出部13は同一の凝集剤添加率RP[n]において輝度凝集フロック測定面積bFA[n]をa回算出する。ここで、「a」は、予め設定された任意の値であり、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。算出部13は、n=0〜nそれぞれにおいて、輝度凝集フロック測定面積bFA[n]のa回分の算出を繰り返す。また、「n」は、1から予め設定された任意の値までの変数であり、ステップS101からステップS105までは1からnまでインクリメントを1として処理を繰り返す。「n」も「a」同様、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。
【0051】
(ロ)ステップS102において、算出部13は、凝集剤添加率RP[0]〜RP[n]における輝度凝集フロック測定面積のa回分の平均値ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])をそれぞれ算出する。ステップS103において、算出部13は、n=0〜nにおいてそれぞれ算出した平均値ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])から最小値を判定し、ステップS104において、算出部13は、判定した最小値を凝集フロック基準面積bFAと定める。ステップS105において、算出部13は、bFAに該当する凝集フロック基準面積を算出した際の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率と認定する。
【0052】
つぎに、図4(b)は、図4(a)に対応して、輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出方法におけるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0053】
ルーチンR11−1〜11−2は、同一の凝集剤添加率RP[n]において、a回繰り返して輝度凝集フロック測定面積を算出する繰り返し処理のサブルーチンである。ルーチンR12−1〜12−2は、輝度凝集フロック平均面積を異なる凝集剤添加率RP[0],・・・,RP[n]それぞれにおいて繰り返し算出する、繰り返し処理のサブルーチンである。
【0054】
ステップS11において、撮像部11は、汚泥原液を撮像する。ステップS12において、輝度変換部19は、撮像部11が撮像した画像を輝度基準で輝度2値画像に変換する。ステップ13において、算出部13は輝度2値画像から輝度凝集フロック測定面積bFA[n]を算出する。ルーチンR11−1〜11−2において、算出部13は、bFA[n]をa回算出する。ステップS14において、算出部13は、a回におけるbFA[n]の平均値である、輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[n])を算出する。
【0055】
ルーチンR12−1〜12−2において、算出部13は、n=0〜nにおいてそれぞれ輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[n])を算出する。ステップS15において、算出部13は、輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])の中から最小値を判定し、最小値min{bFA[n]}を輝度凝集フロック基準面積bFAに定める。ステップS16において、算出部13は、bFAを算出した際の凝集添加率を基準凝集剤添加率と認定する。
<階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出方法>
つぎに、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置が、凝集フロックの大きさを制御する方法について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
ここで、「階調凝集フロック基準面積」をgFA、「第i階調凝集フロック測定面積」をgFA[i]、「第i階調凝集フロック平均面積」をave(gFA[i])、「平均面積算出時サンプリング回数」をbとする。ただし、「第i階調凝集フロック平均面積」とは、第i凝集剤添加率におけるサンプリング回数分の階調凝集フロック測定面積の平均値であり、次式が成り立つ。
【0057】
gFA=ave(gFA[i])}、i=0〜n ・・・(6)
【0058】
なお、以下の処理の説明における凝集フロックの面積は、凝集フロック全体の面積である総面積として述べているが、凝集フロックの総面積を凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積である単面積を使用して処理を実施することが可能である。
【0059】
(イ)図5(a)に示すステップS201において、撮像部11が撮像した基準凝集剤添加率RPにおける凝集フロックの画像を階調変換部18が、画像が含む階調情報に基づいて(階調基準により)階調2値画像に変換し、算出部13が変換された階調二値画像から階調凝集フロック測定面積gFA[i]を算出する。このとき算出部13は基準凝集剤添加率RPにおいて階調凝集フロック測定面積gFA[i]をb回算出する。ここで、「b」は、予め設定された任意の値であり、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。また、「i」は、1からnまでの任意の値であり、図4(b)のステップS16に示すように基準凝集剤添加率となる際に決定した値である。
【0060】
(ロ)ステップS202において、算出部13は、基準凝集剤添加率RPにおける階調凝集フロック測定面積のb回分の平均値ave(gFA[i])を算出する。ステップS203において、算出部13は、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を階調凝集フロック基準面積gFAと定める。
【0061】
つぎに、図5(b)は、図5(a)に対応して、階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出方法におけるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0062】
ルーチンR21−1〜21−2は、基準凝集剤添加率RPにおいて、b回繰り返して階調凝集フロック測定面積を算出する繰り返し処理のサブルーチンである。
【0063】
(イ)ステップS21において、撮像部11は、汚泥原液を撮像する。ステップS12において、階調変換部18は、撮像部11が撮像した画像を階調基準で階調2値画像に変換する。ステップ23において、算出部13は階調2値画像から階調凝集フロック測定面積gFA[i]を算出する。ルーチンR21−1〜21−2において、算出部13は、gFA[i]をb回算出する。ステップS24において、算出部13は、b回におけるgFA[i]の平均値である、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を算出する。
【0064】
(ロ)ステップS25において、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を階調凝集フロック基準面積に定める
<汚泥処理装置による凝集フロック制御方法>
つぎに、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100が、凝集フロックの大きさを制御する方法について、図6及び図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
(イ)ステップS301において、ユーザの指示に基づき、図1に示す記憶装置17は、図示しないインターフェース部が入力した初期設定値を記憶する。本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が凝集フロックの大きさを制御する際に使用する初期設定値は、初期汚泥原液流量Qs[0]、初期汚泥原液濃度D[0]、初期凝集剤添加率RP[0]、最大凝集剤添加率RPmax、最小凝集剤添加率RPmin、初期撹拌回転数AR[0]、最大撹拌回転数ARmax、最小撹拌回転数ARmin等である。ここで、凝集剤撹拌機21の撹拌回転数ARは汚泥処理装置100が正常に運転していれば、下限がARmin、上限がARmaxの許容撹拌回転数の範囲内で変移する。そのため、許容撹拌回転数の範囲外、すなわち、AR<ARmin及びAR>ARmaxとなるとき、汚泥処理装置100は何らかの異常が発生していると判断可能である。
【0066】
(ロ)ステップS302において、脱水機35は、汚泥処理のため運転を開始する。ステップS303において、図1に示す撮像部11(図2に示すテレビカメラ31)が、汚泥原液供給管33を通過する汚泥原液に含まれる凝集フロックを検視窓34を通して撮像し、変換部12が有する輝度変換部19は撮像画像を輝度2値画像に2値化変換し、算出部13が輝度2値画像に基づいて輝度凝集フロック基準面積bFAを算出する。ステップS304において、算出部13は、輝度凝集フロック基準面積bFAに基づいて基準凝集剤添加率RPを算出する。ステップS305において、算出部13は、基準凝集剤添加率RPに基づいて階調凝集フロック基準面積gFAを算出する。ステップS306において、算出部13は、任意の凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n]を算出する。
【0067】
(ハ)ステップS307において、比較部14は、階調凝集フロック測定面積の階調凝集フロック基準面積に対する誤差率と誤差規定値βとを比較する。ここでは、ステップS306において算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積gFA[n]を適用され、FA[n]の誤差率は(gFA[n]−gFA)×100/gFAと表される。gFAに対するgFA[n]の誤差率がβ以下の場合、ステップS308において、制御部15は、凝集剤添加率を維持するよう図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、汚泥処理装置100の運転を継続する。gFA[n]の誤差率がβよりも大きい場合、ステップS309において、比較部14は、凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n]と階調凝集フロック基準面積gFAとを比較する。gFA[n]がgFA以下の場合、ステップS310において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29に指示をする。
【0068】
(ニ)つづいて、図7に示すステップS311において、比較部14は、ステップS310で増加を指示した後の凝集剤添加率RP[n+1]と、図1に示す記憶装置17が記憶する最大凝集剤添加率RPmaxとを比較する。RP[n+1]がRPmaxよりも小さい場合、ステップS312において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n]からRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、ステップS313において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出し、図6に示すステップS307に移行し、比較部14は、gFAに対するgFA[n+1]の誤差率とβとを比較する。ステップS311において、RP[n+1]がRPmax以上の場合、ステップS314において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数を減少させるよう指示する。
【0069】
(ホ)つづいて、ステップS315において、比較部14は、凝集剤撹拌機21の回転数である撹拌回転数ARと、最大撹拌回転数ARmax及び最小撹拌回転数ARminとを比較し、ARがARmin以下またはARmax以上であるとき、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲外の際には、ステップS316において、出力部16は、ステップS315時の撹拌回転数ARが異常値であるとして警報を出力し、図6に示すステップS303に移行する。なお、警報は音声又は映像等でも良く、それらの組み合わせでも良い。
【0070】
(ヘ)ステップS315において、撹拌回転数ARがARminより大きく、ARmaxより小さい場合、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲内の際には、ステップS317において、制御部15は、凝集剤添加率RP[n]がRP[n+1]になるように撹拌機回転数ARを予め設定した任意の回転数に変更するよう図2に示す撹拌機モータ30を制御する。つづいて、ステップS318において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出する。ステップS319において、比較部14は、算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]の階調凝集フロック基準面積gFAに対する誤差率と誤差既定値βとを比較する。
【0071】
(ト)ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率が−βよりも小さい場合、ステップS320において、凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]とRP[n+2]においける階調凝集フロック測定面積gFA[n+2]とを比較する。ステップS320において、gFA[n+1]がgFA[n+2]よりも小さい場合、ステップS314に移行し、gFA[n+1]がgFA[n+2]以上の場合、図6に示すステップS303に移行する。ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率がβよりも大きい場合、ステップS321において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数が増加するように図2に示す撹拌機モータ30に指示をし、ステップS315に移行する。
【0072】
(チ)ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率の大きさがβ以下の場合、ステップS322において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数が維持するように撹拌機モータ30を制御し、図6に示すステップS306に移行する。つぎに、図6に示すステップS309において、gFA[n]がgFAよりも大きい場合、ステップS323において、制御部15は、凝集剤添加率がPR[n−1]に減少するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29に指示する。つづいて、ステップS324において、比較部14は、ステップS323における減少後の凝集剤添加率RP[n−1]と図1に示す記憶装置17が記憶する最小凝集剤添加率RPminとを比較する。RP[n−1]がRPmin以下の場合、ステップS325において、図1に示す出力部16は警報を出力し、ステップS303に移行する。
【0073】
(リ)ステップS324において、RP[n−1]がRPminよりも大きい場合、ステップS326において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n−1]に減少するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御する。つづいて、ステップS327において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n−1]における階調凝集剤添加率gFA[n−1]を算出後、ステップS307に移行し、ステップS307において、比較部14は、gFAに対するgFA[n−1]の誤差率とβとを比較する。
【0074】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、迅速容易に最適な水分の汚泥ケーキを生成すべく凝集剤添加率を制御し、最適な汚泥処理を実施することが可能である。最適な汚泥処理を実施するためには、汚泥ケーキが最適な水分量を維持するように汚泥原液の凝集剤添加率が基準凝集剤添加率を維持する必要がある。基準凝集剤添加率を維持するためには、凝集フロック測定面積が凝集フロック基準面積を維持する必要がある。
【0075】
すなわち、図8に示す単純右肩下がりのグラフの性状である汚泥において、基準凝集剤添加率を制御する際には、凝集フロック測定面積が60000であれば、凝集フロック基準面積の55000に近づけるために、凝集剤添加率が減少するよう制御する。凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させ、凝集剤の供給量を増やすことで、汚泥原液中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づける制御が可能である。
【0076】
また、凝集フロック測定面積が52000であれば、凝集フロック基準面積の55000に近づけるために、凝集剤添加率が減少するよう制御する。凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させ、凝集剤の供給量を減らすことで、汚泥原液中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づける制御が可能である。しかし、図9に示す性状の汚泥において、凝集フロック測定面積が57000付近では、該当する凝集剤添加率の値が基準凝集剤添加率を挟んで複数存在するため、単純に凝集剤の添加量を増減を決定することは不可能である。
【0077】
しかしながら、輝度基準により凝集フロック測定面積を算出した図9に対し、階調基準により凝集フロック測定面積を算出すると、図10に示すように、凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率が一対一で対応する単純な関係で示される。そのため、階調基準により算出した凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積との関係を検討することで、迅速及び容易に基準凝集剤添加率を維持するような制御を実施することができる。
【0078】
つぎに、図10及び図11は共に濃淡基準により算出した凝集フロック測定面積と凝集剤添加率との関係を示す。ただし、図10が画像に表示された凝集フロック全体の面積である凝集フロック総面積と凝集剤添加率との関係を示しているのに対し、図11は画像に表示される凝集フロックの数で凝集フロック総面積を除した、単位凝集フロック当たりの面積である凝集フロック単面積と凝集剤添加率との関係を示す。図11及び図12に示すように、凝集フロック単面積も凝集フロック総面積と同様に凝集剤添加率の増加に伴って単純に増加するため、凝集フロック単面積を凝集フロック測定面積に適用しても、適切な凝集剤添加率の制御は可能となる。
【0079】
(第1の実施の形態の変形例)
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置は、図13に示すように、図7とは、ステップS411、S415及びS419において異なる。また、図13に示すステップS412〜S414、S416〜S418及びS420〜S424は、図7に示すステップS312〜S316及びS318〜S322と同様である。
【0080】
すなわち、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置100は、図13に示すステップS411において、
(イ)比較部14は、図6に示すステップS310で増加を指示した後の凝集剤添加率RP[n+1]と、「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」とを比較する。ここで、「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」とは、最大凝集剤添加率RPmax以下の値であり、図1に示す制御部15が図2に示す凝集撹拌機21を回転させる際の閾値である。最大凝集剤添加率RPmaxと同様に汚泥処理装置100の運転に際して予め設定される値であり、図1に示す記憶装置17が記憶する。「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」は、従来の処理における経験値を考慮して設定され、最大凝集剤添加率RPmaxの70〜100%程度の値が適切であるが、汚泥性状及び汚泥処理装置100の性能等によって適宜柔軟に変更可能である。
【0081】
(ロ)ステップS411において、RP[n+1]がRParよりも小さい場合、ステップS412において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n]からRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、ステップS413において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出し、図6に示すステップS307に移行し、比較部14は、gFAに対するgFA[n+1]の誤差率とβとを比較する。
【0082】
(ハ)ステップS411において、RP[n+1]がRPar以上の場合、ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]と最大凝集剤添加率RPmaxとを比較する。ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]が最大凝集剤添加率RPmax以上の際、ステップS415において、出力部16は、ステップS414時の凝集剤添加率RP[n+1]が異常値であるとして警報を出力し、図6に示すステップS303に移行する。
【0083】
(ニ)ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]が最大凝集剤添加率RPmaxよりも小さい場合、ステップS416において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数を減少させるよう指示する。ステップS417において、比較部14は、撹拌回転数ARがARminより大きく、ARmaxより小さい場合、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲内の際には、ステップS419において、凝集剤添加率がRP[n+1]からRP[n+2]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させ、且つ、撹拌機回転数ARを予め設定した任意の回転数に変更するよう図2に示す撹拌機モータ30を制御する。
【0084】
ここで、ステップS419において、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を同時に制御するが、それぞれの制御は個別に実施され、制御方法等において互いに関連する因果関係はない。また、汚泥性状等によって、それぞれの制御方法は大きく異なる。すなわち、処理対象の汚泥性状によって、凝集剤添加率が0,2%増加するよう凝集剤供給ポンプ29の回転数を制御し、且つ凝集撹拌機21の回転数を5%減少するよう制御することもでき、凝集剤添加率が0,1%増加するよう凝集剤供給ポンプ29の回転数を制御し、且つ凝集撹拌機21の回転数を3%減少するよう制御することもできる。
【0085】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置は、凝集剤添加率を、凝集剤供給ポンプ29及び凝集撹拌機21を併用して制御することで、いずれか一方のみで制御するよりも、迅速に調整及び制御を実施することが可能になる。また、凝集剤供給ポンプ29の回転数及び凝集撹拌機21の回転数という2つのパラメータにより制御することで、制御時における微調整が容易に実現できる。さらに、同時に凝集撹拌機21を使用することで、凝集剤供給ポンプ29が大量に使用していた高価な凝集剤添加率の使用量を減量させることができ、処理運転に際して大幅なコスト削減を実現できる。
【0086】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置は、性状の変動する汚泥に対して汚泥処理を実施する。一方、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、性状が一定である汚泥に対して処理を実施する。汚泥性状の変動によって基準凝集剤添加率及び凝集フロック基準面積は変動するが、より適切及び正確な汚泥処理を実施するためには、逐次変動する基準凝集剤添加率に対して、汚泥処理装置100運転中における凝集剤添加率を制御する必要がある。
【0087】
そのため、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、汚泥性状が変動する毎に新たな基準凝集剤添加率を算出し、算出された新たな基準凝集剤添加率に対して凝集剤添加率の制御を実施する。ここで、汚泥性状の変動は、一定期間前後に測定した基準凝集剤添加率それぞれに対する凝集フロック測定面積の差と、予め設定した「汚泥性状変動許容値」との比較で判断する。
【0088】
すなわち、一定期間前後に測定した基準凝集剤添加率それぞれにおける凝集フロック測定面積の差が、「汚泥性状変動許容値」より大きければ汚泥性状は変化したとして、一定期間後における基準凝集剤添加率を新たな基準凝集剤添加率として採用し、「汚泥性状変動許容値」以下であれば、一定期間前における基準凝集剤添加率をそのまま採用する。「汚泥性状変動許容値」は、基準凝集剤添加率が変化したにも関わらず、当初の一定の値で汚泥処理を実行した際に、処理結果に及ぼす影響の程度で決定する。
【0089】
ここで、「一定期間」の前に測定した凝集フロック測定面積をFA[n]、「一定期間」の後に測定した凝集フロック測定面積をFA[n+1]、汚泥性状変動許容値をχとすると、│FA[n+1]−FA[n]│≦χの場合、汚泥性状の変動は発生していない判断し、│FA[n+1]−FA[n]│>χの場合、汚泥性状の変動が発生したと判断し、その際の基準凝集剤添加率を算出し、新たな基準凝集剤添加率として設定する。また、凝集フロック測定面積をFA[n]は輝度凝集フロック測定面積bFA[n]でも階調凝集フロック測定面積をgFA[n]でも適用可能である。
【0090】
さらにまた、「一定期間」とは、汚泥性状が変動することが予想される一定の長さを有する時間帯であり、汚泥処理環境によって3時間の場合もあれば1日の場合もある。汚泥処理装置100は、トラブルの発生及びメンテナンス等により運転の中断を余儀なくされるケース以外は、汚泥処理の運転を継続する。そのため、汚泥処理装置100は、運転中に「一定期間」の間隔で継続して汚泥性状の変動を検査する。
【0091】
このようにして、汚泥性状の変動が発生する度に、基準凝集剤添加率は再設定される。
【0092】
汚泥性状の変動による基準凝集剤添加率の再設定例を図14及び図15を用いて説明する。
【0093】
まず、図14は、実線で表される凝集剤添加率及び凝集フロック測定面積の関係を示す汚泥性状から、破線で表される汚泥性状に変動した状態を示す。実線で表されるように、汚泥性状変動前において、凝集フロック測定面積が最小となる基準凝集剤添加率は、輝度凝集フロック測定面積が最小となるbFA[n]に対応するRPである。しかし、破線で表されるように、汚泥性状変動後においてはRPに対応する輝度凝集フロック測定面積はbFA[n+1]となり、汚泥性状変動前における輝度凝集フロック測定面積の最小値から変化する。汚泥性状変動後における輝度凝集フロック測定面積の最小値はbFA’[n]であり、したがって、bFA’[n]に対応する基準凝集剤添加率はRP’となる。
【0094】
ここで、│FA[n+1]−FA[n]│≦χであり、汚泥性状変動後の汚泥処理に影響を与えない差分であれば基準凝集剤添加率はRPを維持して運転処理を継続することができるが、│FA[n+1]−FA[n]│>χであり、凝集剤添加率がRPの状態を維持することで、汚泥のケーキ水分を適切な状態に処理できない場合はRP’を新たな基準凝集剤添加率とすることで、汚泥性状変動後における適切な運転処理を継続することが可能となる。
【0095】
つづいて、│FA[n+1]−FA[n]│>χであり、汚泥性状が変動した際に、新たな基準凝集剤添加率に近づけるためには、凝集剤添加率を増加させるか減少させるかが問題となる。図14に示す階調凝集剤添加率に着目すると、基準凝集剤添加率RPにおいて、階調凝集フロック測定面積は実線のgFA[n]から破線のgFA[n+1]へと変化しており、階調凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率がお互いに一意に決まる単純増加の関係から、gFA[n+1]≧gFA[n]の際にはbFA’[n]−bFA[n]≦0となることが明らかである。そのため、gFA[n+1]≧gFA[n]の際には、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少し、凝集剤添加率を減少させることで、新たな基準凝集剤添加率に近づけるよう制御する。
【0096】
同様にして、図15では、汚泥性状変動前後で、階調凝集フロック測定面積はgFA[n]からgFA[n+1]に、gFA[n+1]≦gFA[n]の状態で変化する。その際、bFA’[n]−bFA[n]≧0となることが明らかである。そのため、gFA[n+1]≦gFA[n]の際には、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加し、凝集剤添加率を増加させることで、新たな基準凝集剤添加率に近づけるように制御する。
【0097】
すなわち、図14及び15に示すように、汚泥性状変動前後で制御部15は、階調凝集フロック測定面積がgFA[n+1]≧gFA[n]の際に、凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少し、gFA[n+1]≦gFA[n]の際に、凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで、適切な一定の基準凝集剤添加率を維持するべく制御することができ、最適な汚泥処理を実施することが可能となることがわかる。
【0098】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置が、汚泥性状の変動が発生する際において、基準凝集剤添加率の算出方法について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0099】
(イ)ステップS501において、算出部13は、基準凝集剤添加率における輝度凝集フロック測定面積を一定間隔で算出する。ステップS502において、算出部13は、一定間隔の前後における輝度凝集フロック測定面積それぞれの差を算出する。ステップS503において、比較部14は、ステップ502において算出した差と汚泥性状変動許容値とを比較する。
【0100】
(ロ)ステップS504において、差が汚泥性状変動許容値以上であれば、比較部14は、汚泥性状の変動が発生したと判断し、ステップS505において、算出部13は、ステップS502における一定間隔後の輝度凝集フロック測定面積に対応する基準凝集剤添加率を新たな基準凝集剤添加率として設定する。ステップS504において、差が汚泥性状変動許容値よりも小さければ、比較部14は、汚泥性状の変動はないと判断し、ステップS502に移行する。
【0101】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置は、一定以上における汚泥性状の変動によって、最適な汚泥処理に影響が出る場合、新たな基準凝集剤添加率を再設定することで、最適な汚泥処理を実施することができる。また、汚泥性状の変動前後における階調凝集フロック測定面積の比較から、迅速容易に凝集剤供給ポンプ29の回転数に関する増減を判断することが可能となる。
【0102】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図17に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置に、更に近似部131及び微分解析部132を備える。図17に示すように、近似部131及び微分解析部132は、算出部13を構成する。
【0103】
近似部131は、輝度凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率の関係を示すグラフを近似式をとして関数化する。
【0104】
微分解析部132は、近似部131が関数化した数式から、極小値を算出する。図9に示すように、下に凸の曲線を描く輝度凝集フロック測定面積のグラフは、極小値が最小値となる。したがって、近似部131が近似した数式から、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率を算出することで、基準凝集剤添加率を求めることができる。
【0105】
汚泥性状の変動に伴って、近似部131が近似した数式から微分解析部132が極小値を再算出することで、新たな基準凝集剤添加率を決定することが可能となる。
【0106】
つぎに、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置が、基準凝集剤添加率を算出する方法について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0107】
ステップS601において、近似部131は、輝度凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率の関係を示すグラフを関数による近似式化を実施する。ステップS602において、微分解析部132は、ステップS601における近似式から極小値を算出する。ステップS603において、微分解析部132は、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率をステップS601で求めた近似式から算出する。ステップS604において、制御部15は、ステップS603で算出した凝集剤添加率を基準凝集剤添加率として設定する。
【0108】
ここで、性状変動が発生した際に新たに設定する基準凝集剤添加率においても、ステップS601〜604を適用することができる。すなわち、図16に示すステップS505において、図4に示す方法適用する代わりに図18に示す方法を適用することが可能である。
【0109】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法は、本発明の第1の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法と比較して処理数が少なく、また、本発明の第2の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法と比較して階調凝集フロック測定面積を算出する負荷を削減することができるため、迅速容易に基準凝集剤添加率を算出することが可能となる。
【0110】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図19に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置に、更に移動式算出部133を備える。図19に示すように、近似部131、微分解析部132及び移動式算出部133は、算出部13を構成する。
【0111】
本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法では、汚泥性状変動前後において、近似部131が近似した輝度凝集フロック測定面積−凝集剤添加率曲線が平行移動したと仮定する。本発明の第4の実施の形態に適用する仮定は、経験的データの蓄積から検討し、汚泥処理を実施する上で明らかに妥当である。
【0112】
移動式算出部133は、近似部131が近似したグラフy=f(x)が汚泥性状変動後に平行移動したグラフをy−b=f(x−a)と仮定する。また、移動式算出133は、汚泥性状変動後における任意の2点を平行移動後の数式に適用することで、a及びbを算出する。
【0113】
つぎに、本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理装置が、汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率を算出する方法について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。
【0114】
ステップS701において、汚泥性状変動前に近似部131が近似したグラフが、汚泥性状変動後に平行移動したとして、移動式算出部133は、平行移動後のグラフを算出する。ステップS702において、微分解析部132は、ステップS701における近似式から極小値を算出する。ステップS703において、微分解析部132は、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率をステップS701で求めた近似式から算出する。ステップS704において、制御部15は、ステップS703で算出した凝集剤添加率を基準凝集剤添加率として設定する。
【0115】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態に係る汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率の算出方法は、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率の算出方法と比較して、汚泥性状変動後に近似部131が再度、輝度凝集フロック測定面積−凝集剤添加率の近似式を算出する必要がないため、算出処理の負荷を軽減することができる。
【0116】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0117】
100,200,300…汚泥処理装置
11…撮像部
12…変換部
13…算出部
14…比較部
15…制御部
16…出力部
17…記憶装置
18…階調変換部
19…輝度変換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水汚泥、下水汚泥及び産業排水汚泥等の汚泥原液中に含まれるフロックの凝集状態に基づいて、凝集剤添加率及び撹拌機の回転数を制御する汚泥処理装置及び汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理プロセスより発生する汚泥の凝集処理は汚泥を効率良く処理するための前段プロセスであり、汚泥に凝集剤を添加して脱水に適した凝集を行う工程である。この凝集処理工程による汚泥の凝集状態が良好であると、脱水後の汚泥の含水率の低減を図ることができる。このため、汚泥の凝集状態を計測し、適量の凝集剤を添加して極力良好な凝集状態を実現することが脱水処理においては重要である。
【0003】
従来、上水汚泥、下水汚泥及び産業排水汚泥等のように懸濁物質を含有する汚泥原液は、凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成させることで、脱水汚泥の含水率の低減を図っている。汚泥原液中の懸濁物質の凝集状態を制御するために、凝集混和槽中の懸濁物質の凝集状態すなわち懸濁物質を凝集させたフロック(凝集フロック)を撮影し、撮影画像を2値化して得られたフロックの割合によって懸濁物質の凝集状態を解析し、凝集剤の添加率を制御する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。ここで、汚泥原液は汚泥の種類によって、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増減に対する、凝集フロックの総面積及び脱水機で脱水処理した脱水ケーキのケーキ水分との関係に関する挙動が異なる。当該従来の凝集剤添加率の制御方法では、図8に示すような特性を示す汚泥原液に対する凝集剤添加率の制御が可能となる。すなわち、凝集剤添加率に対する制御の前提として、凝集フロック単一の大きさは凝集剤の添加量と比例し、凝集フロックが大きい程、撮像画像の間隙部が増大する。そのため、1画像内の凝集フロックの総面積は凝集剤の添加量と反比例する。この傾向は、特に撮影画像の輝度信号を基に2値化する場合に顕著になる。また、ケーキ水分は凝集剤添加率に一概に比例することはなく、最適な凝集剤添加率で凝集フロックを生成させると、脱水後のケーキ水分も下がる。したがって、当該従来の凝集剤添加率の制御の一例を示すと、図8に示すように凝集剤添加率が0.6%付近においてケーキ水分が最も下がるので、このときの凝集剤添加率0.6%を基準の凝集剤添加率としたとき、ア)運転中に測定したフロックの面積が55000以上であれば、現在の凝集剤添加率は基準の凝集剤添加率よりも左にあると考えられ、凝集剤添加率を増加させることで、最適な凝集剤添加率である基準の凝集剤添加率に近づけるよう制御できる。また、イ)運転中に測定したフロック面積が55000以下であれば、現在の凝集剤添加率は基準の凝集剤添加率よりも右にあると考えられ、凝集剤添加率を減少させることで、最適な凝集剤添加率である基準の凝集剤添加率に近づけるよう制御できる。
【0004】
しかしながら、汚泥原液の種類によっては、凝集フロックの総面積及び脱水機で脱水処理した脱水ケーキのケーキ水分との関係に関して図9に示すような挙動を取るものもある。すなわち、1画像内の凝集フロックの総面積は凝集剤の添加量と反比例しない汚泥原液である。
【0005】
このような汚泥原液に対しては、従来の凝集剤添加率の制御方法を用いても、凝集剤添加率の制御は不可能である。すなわち、図9に示すように、凝集剤の添加率0.6%付近がケーキ水分が最も下がるので、このときの凝集剤添加率を基準の凝集剤添加率として、運転中に測定したフロックの面積が56000である場合、基準の凝集剤添加率に近づけるには凝集剤添加率を増加させるか減少させるかの判断ができないため、凝集剤添加率の制御ができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4238983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明は、汚泥原液中の凝集フロックの凝集状態を高精度に測定し、凝集剤の添加量及び凝集混和槽の撹拌強度を制御及び異常運転を防止する汚泥処理装置及び汚泥処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置に関する。すなわち、本発明の様態に係る汚泥処理装置は、(イ)汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像する撮像部と、(ロ)撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、(ハ)変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの総面積である凝集フロック測定面積を算出する算出部と、(ニ)脱水機の運転開始後に算出した凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部と、(ホ)比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び撹拌機の回転数を制御する制御部と、(ヘ)比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部とを備え、算出部は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分の凝集フロック測定面積の平均値である凝集フロック平均面積を算出し、凝集フロック平均面積に基づいて凝集フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【0009】
本発明の別の様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置に関する。すなわち、本発明の別の様態に係る汚泥処理装置は、(イ)汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像する撮像部と、(ロ)撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、(ハ)変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び凝集フロックの数を算出し、凝集フロック測定面積を画像に表示された凝集フロックの数で除した単フロック面積を算出する算出部と、(ニ)脱水機の運転開始後に算出した単フロック面積である単フロック測定面積と単フロック基準面積とを比較する比較部と、(ホ)比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び撹拌機の回転数を制御する制御部と、(へ)比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部とを備え、算出部は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の単フロック面積を算出し、複数回分の単フロック面積の平均値である単フロック平均面積を算出し、単フロック平均面積に基づいて単フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【0010】
本発明のさらに別の様態は、汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、凝集混和槽で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置を制御する汚泥処理方法に関する。すなわち、本発明のさらに別の様態に係る汚泥処理方法は、(イ)撮像部が、汚泥原液供給管を通過する凝集フロックを撮像するステップと、(ロ)変換部が、撮像部が撮像した凝集フロックの画像の輝度信号を電気信号に変換し、電気信号から画像を2値化し、2値画像を生成するステップと、(ハ)算出部が、変換部が生成した2値画像に表示された凝集フロックの総面積である凝集フロック測定面積を算出するステップと、(ニ)比較部が、脱水機の運転開始後に算出した凝集フロック測定面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較するステップと、(ホ)制御部が、比較部による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ及び凝集剤撹拌機の回転数を制御するステップと、(ヘ)出力部が、比較部による比較結果に応じて、警報を発するステップとを含み、算出部が算出するステップは、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分の凝集フロック測定面積の平均値である凝集フロック平均面積を算出し、凝集フロック平均面積に基づいて凝集フロック基準面積を算出することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汚泥原液中の凝集フロックの凝集状態を高精度に測定し、凝集剤の添加量及び凝集混和槽の撹拌強度を制御及び異常運転を防止する汚泥処理装置及び汚泥処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理装置の概略図である。
【図3】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理装置の概略図である。
【図4】本発明の第1〜3の実施の形態に係る輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出フローチャート図である。
【図5】本発明の第1〜3の実施の形態に係る階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出フローチャート図である。
【図6】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図7】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図8】本発明の第1〜3の実施の形態に係る従来の汚泥原液の特性を示すグラフ図である。
【図9】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の輝度基準による特性を示すグラフ図である。
【図10】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図11】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図12】本発明の第1〜3の実施の形態に係る汚泥原液の階調基準による特性を示すグラフ図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のグラフ図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のグラフ図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理方法のブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法のブロック図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な構成は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの構成の異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
また、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(第1の実施の形態)
<汚泥処理装置の機能構成>
本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図1に示すように、汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを撮像する撮像部11と、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部12と、変換部18が生成した2値画像に表示された凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部13と、脱水機35の運転開始後に算出した凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較する比較部14と、比較部14による比較結果に応じて、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を制御する制御部15と、比較部14による比較結果に応じて、警報を発する出力部16とを備える。
【0016】
本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、図9に示すような汚泥性状を有する汚泥原液を制御する。従来の汚泥原液の制御に関する汚泥性状は、図8に示すように、凝集剤添加率の増加と共に、凝集フロック測定面積は減少する。しかし、図9に示す汚泥原液の汚泥性状は、凝集剤添加率0.6%、凝集フロック測定面積55000pixelを中心に増減関係が逆転する。ここで、凝集フロック測定面積は、凝集フロックの画像の画素数である。
【0017】
撮像部11は、図2示す検視窓34を通して検視装置45の内部を撮像し、画像として出力する。検視装置45は、脱水機35に連結した汚泥原液供給管33に配設され、検視窓34を任意の位置に備える。撮像部11は、図2に示すテレビカメラ31、CCDカメラ等を採用可能である。
【0018】
変換部12は、撮像部11が撮像した凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する。また、変換部12は、階調変換部18及び輝度変換部19によって構成される。階調変換部18は、凝集フロックの画像を画像が有する階調情報に基づいて2値化する。また、輝度変換部19は、画像が有する輝度情報に基づいて凝集フロックの画像を2値化する。階調変換部18が変換した2値画像を「階調2値画像」、輝度変換部19が変換した2値画像を「輝度2値画像」という。
【0019】
算出部13は、変換部12が2値化したデータから、「凝集フロック測定面積」を算出する。ここで、「凝集フロック測定面積」とは、変換部12が変換した凝集フロックの2値画像に基づいて、算出部13が算出した画像に表示される凝集フロックの面積である。特に、画像に表示された凝集フロック全体の面積を「凝集フロック総面積」という。また、算出部13が算出した画像に表示される凝集フロックの数で「凝集フロック総面積」を除した、単位凝集フロック当たりの面積を「凝集フロック単面積」という。「凝集フロック測定面積」は、「凝集フロック総面積」、「凝集フロック単面積」のいずれも適用可能である。
【0020】
また算出部13は、予め同一の凝集剤添加率において複数回分の凝集フロック測定面積を算出し、複数回分における凝集フロック測定面積の平均値である「凝集フロック平均面積」を算出し、「凝集フロック平均面積」に基づいて「凝集フロック基準面積」を算出する。ここで、脱水機35の運転開始後に撮像した「輝度2値画像」に表示される凝集フロックの面積を「輝度凝集フロック測定面積」、「階調2値画像」に表示される凝集フロックの面積を「階調凝集フロック測定面積」とする。また、同一の凝集剤添加率に対して予め設定した回数分の輝度凝集フロック測定面積の平均値を「輝度凝集フロック平均面積」、同様にして階調凝集フロック測定面積の平均値を「階調凝集フロック平均面積」とする。
【0021】
算出部13は、「初期の凝集剤添加率近傍」において「予め設定された割合」で互いに異なる複数の凝集剤添加率それぞれに対して輝度凝集フロック平均面積を算出し、算出された複数の輝度凝集フロック平均面積の中で最小の値となる面積を「輝度凝集フロック基準面積」とする。「初期の凝集剤添加率近傍」とは、初期凝集剤添加率RP[0]の±0.3%の範囲内の程度を指す。「予め設定された割合」とは、隣り合う凝集剤添加率の値の差であり、0.01%〜0.1%程度を指す。例えば、「初期凝集剤添加率」を含め、「初期凝集剤添加率」の前後0.02%、0.04%及び0.06%だけ増減させた全7段階において、それぞれの段階における凝集フロック平均面積を算出部13が算出する。凝集剤添加率の各段階において平均する際のサンプル数は、汚泥原液の種類やユーザによる経験、算出速度に応じて適宜決定される。サンプルとなる凝集フロックの画像は、凝集剤添加率の各段階において、撮像部11が10〜60秒の間隔で撮像する。撮像した画像を基に算出部13がサンプルとなる各凝集フロックの面積を算出する。算出結果に基づいて7つの凝集フロック平均面積が得られる。得られた凝集フロック平均面積の中で最も値の小さいものを「凝集フロック基準面積」と定義する。
【0022】
また、算出部13が基準凝集剤添加率近傍における第1の凝集剤添加率の値を予め試験的に算出している場合には、算出部13は基準凝集剤添加率近傍の値における第1の凝集剤添加率に対する凝集フロック平均面積と、予め設定した第1の凝集財添加率とは異なる第2の凝集剤添加率における凝集フロック平均面積とを比較して、大きさが小さい方の凝集フロック平均面積に対する凝集剤添加率を決定する。さらに、算出部13は、決定した凝集剤添加率の値から凝集剤添加率近傍における複数の凝集剤添加率に対する凝集フロック平均面積をそれぞれ算出及び比較し、凝集フロック平均面積が最小となる凝集財添加率を決定する。このような過程を凝集フロック平均面積が最小値として収束するまで繰り返し、収束した凝集フロック平均面積の値を凝集フロック基準面積とすることもできる。
【0023】
なお、「基準凝集剤添加率」とは、「凝集フロック基準面積」が算出された際の凝集剤添加率である。本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100が算出する「基準凝集剤添加率」は「輝度凝集フロック基準面積」が該当する。また、「基準凝集剤添加率」において撮像される「階調2値画像」から算出される凝集フロック測定面積を「階調凝集フロック基準面積」とする。さらに、「初期凝集剤添加率」とは、一定の条件下で定められた任意の凝集剤添加率であり、過去に汚泥処理装置100を運転して得られ、蓄積された経験値に基づいて決定する。
【0024】
比較部14は、「凝集フロック測定面積」及び「凝集フロック基準面積」を比較する。本発明の第1の実施の形態に係る比較部14は、算出部13が階調2値画像を基に算出する「階調凝集フロック測定面積」と輝度凝集フロック基準面積算出時の凝集剤添加率である基準凝集剤添加率における階調2値画像を基に算出部13が算出する「階調凝集フロック基準面積」とを比較する。
【0025】
制御部15は、比較部14による「階調凝集フロック測定面積」と「階調凝集フロック基準面積」との比較結果に基づいて、図2に示す凝集剤供給ポンプ29による凝集剤の添加量を制御する。また、制御部15は、比較部14による比較結果に基づいて、凝集混和層25が備える凝集剤撹拌機21の回転数を制御する。
【0026】
以下、詳細を図9〜12を参照して説明する。図9に示すように、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が処理する汚泥原液について、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増加に伴い画像が含む輝度情報を基に輝度変換部19が変換した輝度2値画像より算出部13が算出した輝度凝集フロック測定面積は減少し、特定の凝集剤添加率を閾値として、閾値以上の凝集剤添加率の増加に伴い輝度凝集フロック測定面積は増大する。また、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が処理する汚泥原液について、汚泥原液に添加する凝集剤の添加率の増加に伴い脱水機35で処理した脱水ケーキのケーキ水分は減少し、特定の凝集剤添加率を超えた段階で、凝集剤添加率の増加に伴いケーキ水分は増大する。なお、輝度凝集フロック測定面積が最小の値を取る際に対応する凝集剤添加率と、ケーキ水分が最小の値を取る際に対応する凝集剤添加率とはほぼ同一の値となる。すなわち、ケーキ水分が最小となる最適な状態に汚泥原液を処理するためには、汚泥処理装置100の運転中に測定される凝集剤添加率が基準凝集剤添加率と同一である必要がある。しかし、汚泥処理装置100の運転中に汚泥性状は変化するため、凝集剤の添加量が一定であっても測定される輝度凝集フロック測定面積は変化する。そのため、高品質の処理を実現するためには運転中に測定される輝度凝集フロック測定面積を最小値に近づける制御が必要になる。なお、算出部13が算出する輝度凝集フロック測定面積は凝集フロック全体の総面積でも、単位凝集フロック当たりの面積である輝度凝集フロック単面積でも同様の特性を示す。
【0027】
ここで、図10は、汚泥原液の画像が含む階調情報を基に算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積と凝集剤添加率によって示される図9と同様の汚泥原液の特性を示す。図10に示すように、凝集剤添加率の増加に伴って、階調凝集フロック測定面積は単純に増加する。そのため、基準凝集剤添加率に対応する階調凝集フロック基準面積と階調凝集フロック測定面積との大きさを比較することで、運転中の凝集剤添加率を簡単及び迅速に基本凝集剤添加率へ近づける制御が可能となる。すなわち、図10において、階調凝集フロック測定面積>階調凝集フロック基準面積の場合、凝集剤添加率を減少させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることが可能となる。また、階調凝集フロック測定面積<階調凝集フロック基準面積の場合、凝集剤添加率を増加させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることが可能となる。
【0028】
ところが、図9に示すように、輝度情報を基にした輝度基準の汚泥原液の特性では、特定の輝度凝集フロック測定面積の値、例えば56000付近における輝度凝集フロック測定面積の値に対応する凝集剤添加率の値が2種類存在するため、輝度凝集フロック測定面積と輝度凝集フロック基準面積との大きさの比較だけで、基準凝集剤添加率に近づけるために運転中の凝集剤添加率を増加させるか減少させるかを判断することは不可能となる。
【0029】
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る制御部15は、「階調凝集フロック測定面積」と「階調凝集フロック基準面積」とを比較する。なお、図10は凝集フロックの総面積に対する汚泥原液の特性を示すグラフであるが、図11及び12に示すように、凝集フロック総面積を凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積である輝度凝集フロック単面積でも同様のグラフ形状を示すため、本発明の第1の実施の形態に係る制御部15は同様の制御が可能である。
【0030】
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、撮像部11が撮像した画像に含まれる階調情報に基づいて算出した、基準凝集剤添加率に対応する階調凝集フロック基準面積と、汚泥処理装置100の運転中に測定し階調情報に基づいて算出した階調凝集フロック測定面積とを比較することで、迅速容易に汚泥原液の最適な処理を実施することが可能となる。
【0031】
つぎに、図9に示す特性を示す汚泥原液を処理する際に、制御部15は、比較部14による比較結果として、階調凝集フロック測定面積>階調凝集フロック基準面積で、且つ、算出部13が算出し、式(1)で表される「誤差率」が「予め定めた特定の値」(以下において、「誤差既定値」という。)を超える際に、凝集剤の添加量を減少させ、ひいては凝集剤添加率が減少するように凝集剤供給ポンプ29を制御する。すなわち、この際に制御部15は、凝集剤添加率が「予め設定した値」だけ減少するように凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させる。ここで、「誤差率」は階調凝集フロック基準面積に対する階調凝集フロック測定面積の差分の割合である。階調凝集フロック基準面積に対する階調凝集フロック測定面積の誤差率ε、階調凝集フロック測定面積をgFAm、階調凝集フロック基準面積をgFAとすると次式が成り立つ。
ε={(gFAm−gFA)/gFA}×100 ・・・(1)
【0032】
また、誤差率が誤差既定値以下の場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を維持して、引き続き凝集剤添加率を維持する。ここで、「予め設定した値」とは、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積に近づく際の調整幅であり、それまでの経験値により、0.05%と設定することも可能であり、0.01%と設定することも可能である。
【0033】
さらに、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで、凝集剤添加率が予め設定した値だけ増加するよう制御する。階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させることで、凝集剤添加率が予め設定した値だけ減少するよう制御する。
【0034】
ここで、「誤差既定値」とは、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積との差分に関する値である。また、実際の機器等における精度によって生じる誤差として無視できる程度の大きさの値であり、基準凝集添加率の決定に対して現実的に影響を及ぼさない程度の微小な値である。
【0035】
つづいて、制御部15が凝集剤添加率を減少させる制御を実施した後、減少後の凝集剤添加率が予め設定した最小凝集剤添加率以下である場合、後に詳述する出力部16が警報を出力する。また、減少後の凝集剤添加率が最小凝集剤添加率よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させることで凝集剤添加率が更に減少するよう制御する。制御部15が凝集剤添加率を増加させる制御を実施した後、増加後の凝集剤添加率が予め設定した最大凝集剤添加率以上である場合、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、凝集剤添加率が更に減少するよう制御し、増加後の凝集剤添加率が最大凝集剤添加率よりも小さい場合は、制御部15は凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで増加後の凝集剤添加率が更に増加するよう制御する。
【0036】
また、誤差率が誤差既定値以下の場合は、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を維持し、階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15は凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることも可能である。階調凝集フロック測定面積が階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ誤差率が誤差既定値よりも大きい場合は、制御部15が凝集剤撹拌機21の回転数を増加させることで運転中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づけることも可能である。
【0037】
出力部16は一定の条件下において、汚泥処理装置100に異常が発生した際に、汚泥処理装置100のユーザに対し、異常状態の情報を提供する。ここで、「一定の条件」とは、凝集フロック基準面積及び凝集フロック測定面積の差が異常値に達した場合とすることも可能であり、あるいは凝集フロック基準面積に対する凝集フロック測定面積の誤差率と誤差既定値との差が異常値に達した場合とすることも可能である。ここで、「異常値」とは、汚泥処理装置100の処理の中で、汚泥処理装置100本来の仕様において、取り扱いに熟練したユーザが明らかに異常な状態が発生したと判断可能な際の各種値を指す。
【0038】
出力方法及び出力形式は汚泥処理装置100のユーザに注意喚起を呼びかけるものが適する。例えば、映像信号を出力して表示部に画像及び文字を表示することも可能であり、音声信号を出力して音声を出力することも可能である。
【0039】
記憶装置17は、算出部13が算出する凝集フロック測定面積、凝集フロック基準面積、基準凝集剤添加率、誤差率及び誤差既定値、比較部14が比較した比較結果等を格納し、必要に応じて制御部15等に供給する。
【0040】
本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100の図1に示す記憶装置17には、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16の管理を支援するプログラムが記憶されるとともに、ユーザの指示に基づいて図示しないユーザインタフェース手段が入力した凝集剤の添加量、凝集混和槽25における凝集剤撹拌機21の撹拌強度等が記憶される。また、撮像部11が撮像し出力した凝集フロックの画像、その画像を変換部12が2値化したデータも記憶される。さらに、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16等によるデータ演算処理の管理に関するプログラムが汚泥処理装置100の図示しない中央演算処理装置に読み込まれ実行されることによって、撮像部11、変換部12、算出部13、比較部14、制御部15及び出力部16等が汚泥処理装置100に実装される。
【0041】
<汚泥処理装置の機器構成>
本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100の機器構成は、図2及び図3に示すように、懸濁物質を含有する汚泥原液を貯留し、撹拌機26を配設した汚泥貯留槽22と、圧入管24から凝集混和槽25の槽底に一定量の汚泥原液を圧入する汚泥原液供給ポンプ23と、撹拌機26を配設し、凝集剤が貯留している高分子溶解槽27と、高分子溶解槽27から圧入管24の汚泥原液に0.3〜1.0%の範囲で可変容量の凝集剤を添加する凝集剤供給ポンプ29と、汚泥原液供給ポンプ23が供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプ29が供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽25と、撹拌機モータ30に連結し、凝集混和槽25で汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機21と、凝集混和槽25で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む汚泥原液が汚泥原液供給管33を通して供給される脱水機35とを備える。なお、凝集混和槽25に配設される凝集剤撹拌機21は、汚泥原液と凝集剤を通常40rpmの速度で撹拌し、段階的に3〜5rpmの増速と減速が可能である。
【0042】
また、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、凝集混和槽25の凝集剤が添加された汚泥原液を凝集剤撹拌機21が撹拌することで汚泥原液中に含まれる懸濁物質の凝集フロックを形成させ、脱水機35が汚泥原液供給管33より供給される汚泥原液から形成された凝集フロックを分離して排出する。また、汚泥処理装置100は、凝集フロックを含む汚泥原液をタンク圧で脱水機35に供給する汚泥原液供給管33と、検視装置45とを備える。
【0043】
さらに、図4に示すように、検視装置45が有する検視窓34を通して検視装置1の内部を撮像し、画像として出力する撮像テレビカメラ31と、画像を2値化して凝集フロック測定面積等を算出する演算装置44と、凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積とを比較し、比較結果に応じた制御信号を出力し制御信号の特性に応じて、凝集剤供給ポンプ29、凝集剤撹拌機21及び異常信号装置43を制御するシーケンサー比例制御装置42とを備える。
【0044】
凝集混和槽25には形成した凝集フロックを含む汚泥原液を脱水機35のスクリュープレス32に供給する汚泥原液供給管33が連結している。なお、本発明の実施の形態では、脱水機35にスクリュープレス32を使用しているが、周知の脱水機、例えば遠心脱水機、ベルト式脱水機等でも使用可能である。汚泥原液供給ポンプ23による凝集混和槽25への圧入圧を利用して、凝集混和槽25のタンク圧で汚泥原液をスクリュープレス32に圧入し、凝集した懸濁物質である凝集フロックが脈動により壊れないようにしている。汚泥原液供給管33には凝集フロックの状況を撮像する可能にする検視窓34が設けられている。検視窓34は、円形でも多角形でも可能である。汚泥原液供給管33に配設された検視窓34から10〜40cm離れた位置にテレビカメラ31が配置される。図1に示す撮像部11に該当するテレビカメラ31は、汚泥原液供給管33を通過する凝集フロックを15〜30秒間に1回撮影し、その輝度信号をデジタル信号に変換する。電気信号の輝度情報はコントローラ37に送信され、、コントローラ37が凝集フロックの画像を演算装置44に伝送する。テレビカメラ31から伝送される凝集フロック群の画像輝度情報は、図3に示す演算装置44の画像ボード38に記憶される。この画像情報は2値化回路39より輝度レベルに応じて2値化される。
【0045】
2値化された凝集フロック群の画像情報は演算回路40に入力されて、凝集フロック測定面積及び凝集フロック基準面積等が算出される。演算装置44から信号変換機41に送信された凝集フロックの面積情報は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、シーケンサー比例制御装置42に送信される。シーケンサー比例制御装置42は、予め入力された汚泥原液中の懸濁物質量の変動と濃度の変動に対する凝集剤添加率の関係情報を基に、凝集フロックの各種面積を比較、比較結果に基づいて、凝集剤撹拌機21の回転数、凝集剤供給ポンプ29及び異常信号装置43を制御する。
【0046】
凝集フロック測定面積が過大であった場合は、凝集剤の添加率を減少させて、あるいは凝集剤撹拌機21の回転数を増加させることで、シーケンサー比例制御装置42は凝集フロック測定面積を凝集フロック基準面積に近づける。また、凝集フロック測定面積が微小であった場合は、凝集剤の添加率を増加させて、あるいは凝集剤撹拌機21の回転数を減少させることで、シーケンサー比例制御装置42は凝集フロック測定面積を凝集フロック基準面積に近づける。
【0047】
<輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出方法>
つぎに、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置が、凝集フロックの画像が含む輝度情報に基づいて凝集フロック測定面積を算出することで基準凝集剤添加率を決定する方法について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
ここで、「初期凝集剤添加率」をRP[0]、「初期輝度凝集フロック面積」をbFA[0]、「凝集剤添加率差分」をα、「第n凝集剤添加率」をRP[n]、「第n輝度凝集フロック面積」をbFA[n]、「基準凝集剤添加率」をRP、「輝度凝集フロック基準面積」をbFA、「第n輝度凝集フロック平均面積」をave(bFA[n])、「平均面積算出時サンプリング回数」をaとする。ただし、「第n輝度凝集フロック平均面積」とは、第n凝集剤添加率におけるサンプリング回数分の輝度凝集フロック測定面積の平均値であり、次式が成り立つ。
【0049】
α=RP[n+1]−RP[n]、α=0.01〜0.1 ・・・(2)
bFA=min{ave(bFA[n])}、n=0〜n ・・・(4)
また、式(4)は、初期輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[0])、第1輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[1])、・・・、第n輝度凝集フロック平均面積の値ave(bFA[n])の中の最小値が「凝集フロック基準面積」であることを示す。
【0050】
(イ)図4(a)に示すステップS101において、撮像部11が撮像した凝集剤添加率RP[0]〜RP[n]における凝集フロックの画像を輝度変換部19が、画像が含む輝度情報に基づいて(輝度基準により)輝度2値画像に変換し、算出部13が変換された輝度二値画像から輝度凝集フロック測定面積bFA[0]〜bFA[n]をそれぞれ算出する。このとき算出部13は同一の凝集剤添加率RP[n]において輝度凝集フロック測定面積bFA[n]をa回算出する。ここで、「a」は、予め設定された任意の値であり、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。算出部13は、n=0〜nそれぞれにおいて、輝度凝集フロック測定面積bFA[n]のa回分の算出を繰り返す。また、「n」は、1から予め設定された任意の値までの変数であり、ステップS101からステップS105までは1からnまでインクリメントを1として処理を繰り返す。「n」も「a」同様、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。
【0051】
(ロ)ステップS102において、算出部13は、凝集剤添加率RP[0]〜RP[n]における輝度凝集フロック測定面積のa回分の平均値ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])をそれぞれ算出する。ステップS103において、算出部13は、n=0〜nにおいてそれぞれ算出した平均値ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])から最小値を判定し、ステップS104において、算出部13は、判定した最小値を凝集フロック基準面積bFAと定める。ステップS105において、算出部13は、bFAに該当する凝集フロック基準面積を算出した際の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率と認定する。
【0052】
つぎに、図4(b)は、図4(a)に対応して、輝度基準二値化変換による基準凝集剤添加率の算出方法におけるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0053】
ルーチンR11−1〜11−2は、同一の凝集剤添加率RP[n]において、a回繰り返して輝度凝集フロック測定面積を算出する繰り返し処理のサブルーチンである。ルーチンR12−1〜12−2は、輝度凝集フロック平均面積を異なる凝集剤添加率RP[0],・・・,RP[n]それぞれにおいて繰り返し算出する、繰り返し処理のサブルーチンである。
【0054】
ステップS11において、撮像部11は、汚泥原液を撮像する。ステップS12において、輝度変換部19は、撮像部11が撮像した画像を輝度基準で輝度2値画像に変換する。ステップ13において、算出部13は輝度2値画像から輝度凝集フロック測定面積bFA[n]を算出する。ルーチンR11−1〜11−2において、算出部13は、bFA[n]をa回算出する。ステップS14において、算出部13は、a回におけるbFA[n]の平均値である、輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[n])を算出する。
【0055】
ルーチンR12−1〜12−2において、算出部13は、n=0〜nにおいてそれぞれ輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[n])を算出する。ステップS15において、算出部13は、輝度凝集フロック平均面積ave(bFA[0])〜ave(bFA[n])の中から最小値を判定し、最小値min{bFA[n]}を輝度凝集フロック基準面積bFAに定める。ステップS16において、算出部13は、bFAを算出した際の凝集添加率を基準凝集剤添加率と認定する。
<階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出方法>
つぎに、本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置が、凝集フロックの大きさを制御する方法について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
ここで、「階調凝集フロック基準面積」をgFA、「第i階調凝集フロック測定面積」をgFA[i]、「第i階調凝集フロック平均面積」をave(gFA[i])、「平均面積算出時サンプリング回数」をbとする。ただし、「第i階調凝集フロック平均面積」とは、第i凝集剤添加率におけるサンプリング回数分の階調凝集フロック測定面積の平均値であり、次式が成り立つ。
【0057】
gFA=ave(gFA[i])}、i=0〜n ・・・(6)
【0058】
なお、以下の処理の説明における凝集フロックの面積は、凝集フロック全体の面積である総面積として述べているが、凝集フロックの総面積を凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積である単面積を使用して処理を実施することが可能である。
【0059】
(イ)図5(a)に示すステップS201において、撮像部11が撮像した基準凝集剤添加率RPにおける凝集フロックの画像を階調変換部18が、画像が含む階調情報に基づいて(階調基準により)階調2値画像に変換し、算出部13が変換された階調二値画像から階調凝集フロック測定面積gFA[i]を算出する。このとき算出部13は基準凝集剤添加率RPにおいて階調凝集フロック測定面積gFA[i]をb回算出する。ここで、「b」は、予め設定された任意の値であり、汚泥処理装置100の計算負荷及び計算速度等に関する能力、算出結果の精度等によって最適な値が経験的に設定される。また、「i」は、1からnまでの任意の値であり、図4(b)のステップS16に示すように基準凝集剤添加率となる際に決定した値である。
【0060】
(ロ)ステップS202において、算出部13は、基準凝集剤添加率RPにおける階調凝集フロック測定面積のb回分の平均値ave(gFA[i])を算出する。ステップS203において、算出部13は、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を階調凝集フロック基準面積gFAと定める。
【0061】
つぎに、図5(b)は、図5(a)に対応して、階調基準二値化変換による階調凝集フロック基準面積の算出方法におけるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0062】
ルーチンR21−1〜21−2は、基準凝集剤添加率RPにおいて、b回繰り返して階調凝集フロック測定面積を算出する繰り返し処理のサブルーチンである。
【0063】
(イ)ステップS21において、撮像部11は、汚泥原液を撮像する。ステップS12において、階調変換部18は、撮像部11が撮像した画像を階調基準で階調2値画像に変換する。ステップ23において、算出部13は階調2値画像から階調凝集フロック測定面積gFA[i]を算出する。ルーチンR21−1〜21−2において、算出部13は、gFA[i]をb回算出する。ステップS24において、算出部13は、b回におけるgFA[i]の平均値である、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を算出する。
【0064】
(ロ)ステップS25において、階調凝集フロック平均面積ave(gFA[i])を階調凝集フロック基準面積に定める
<汚泥処理装置による凝集フロック制御方法>
つぎに、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置100が、凝集フロックの大きさを制御する方法について、図6及び図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
(イ)ステップS301において、ユーザの指示に基づき、図1に示す記憶装置17は、図示しないインターフェース部が入力した初期設定値を記憶する。本発明の実施の形態に係る汚泥処理装置100が凝集フロックの大きさを制御する際に使用する初期設定値は、初期汚泥原液流量Qs[0]、初期汚泥原液濃度D[0]、初期凝集剤添加率RP[0]、最大凝集剤添加率RPmax、最小凝集剤添加率RPmin、初期撹拌回転数AR[0]、最大撹拌回転数ARmax、最小撹拌回転数ARmin等である。ここで、凝集剤撹拌機21の撹拌回転数ARは汚泥処理装置100が正常に運転していれば、下限がARmin、上限がARmaxの許容撹拌回転数の範囲内で変移する。そのため、許容撹拌回転数の範囲外、すなわち、AR<ARmin及びAR>ARmaxとなるとき、汚泥処理装置100は何らかの異常が発生していると判断可能である。
【0066】
(ロ)ステップS302において、脱水機35は、汚泥処理のため運転を開始する。ステップS303において、図1に示す撮像部11(図2に示すテレビカメラ31)が、汚泥原液供給管33を通過する汚泥原液に含まれる凝集フロックを検視窓34を通して撮像し、変換部12が有する輝度変換部19は撮像画像を輝度2値画像に2値化変換し、算出部13が輝度2値画像に基づいて輝度凝集フロック基準面積bFAを算出する。ステップS304において、算出部13は、輝度凝集フロック基準面積bFAに基づいて基準凝集剤添加率RPを算出する。ステップS305において、算出部13は、基準凝集剤添加率RPに基づいて階調凝集フロック基準面積gFAを算出する。ステップS306において、算出部13は、任意の凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n]を算出する。
【0067】
(ハ)ステップS307において、比較部14は、階調凝集フロック測定面積の階調凝集フロック基準面積に対する誤差率と誤差規定値βとを比較する。ここでは、ステップS306において算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積gFA[n]を適用され、FA[n]の誤差率は(gFA[n]−gFA)×100/gFAと表される。gFAに対するgFA[n]の誤差率がβ以下の場合、ステップS308において、制御部15は、凝集剤添加率を維持するよう図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、汚泥処理装置100の運転を継続する。gFA[n]の誤差率がβよりも大きい場合、ステップS309において、比較部14は、凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n]と階調凝集フロック基準面積gFAとを比較する。gFA[n]がgFA以下の場合、ステップS310において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29に指示をする。
【0068】
(ニ)つづいて、図7に示すステップS311において、比較部14は、ステップS310で増加を指示した後の凝集剤添加率RP[n+1]と、図1に示す記憶装置17が記憶する最大凝集剤添加率RPmaxとを比較する。RP[n+1]がRPmaxよりも小さい場合、ステップS312において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n]からRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、ステップS313において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出し、図6に示すステップS307に移行し、比較部14は、gFAに対するgFA[n+1]の誤差率とβとを比較する。ステップS311において、RP[n+1]がRPmax以上の場合、ステップS314において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数を減少させるよう指示する。
【0069】
(ホ)つづいて、ステップS315において、比較部14は、凝集剤撹拌機21の回転数である撹拌回転数ARと、最大撹拌回転数ARmax及び最小撹拌回転数ARminとを比較し、ARがARmin以下またはARmax以上であるとき、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲外の際には、ステップS316において、出力部16は、ステップS315時の撹拌回転数ARが異常値であるとして警報を出力し、図6に示すステップS303に移行する。なお、警報は音声又は映像等でも良く、それらの組み合わせでも良い。
【0070】
(ヘ)ステップS315において、撹拌回転数ARがARminより大きく、ARmaxより小さい場合、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲内の際には、ステップS317において、制御部15は、凝集剤添加率RP[n]がRP[n+1]になるように撹拌機回転数ARを予め設定した任意の回転数に変更するよう図2に示す撹拌機モータ30を制御する。つづいて、ステップS318において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出する。ステップS319において、比較部14は、算出部13が算出した階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]の階調凝集フロック基準面積gFAに対する誤差率と誤差既定値βとを比較する。
【0071】
(ト)ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率が−βよりも小さい場合、ステップS320において、凝集剤添加率RP[n]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]とRP[n+2]においける階調凝集フロック測定面積gFA[n+2]とを比較する。ステップS320において、gFA[n+1]がgFA[n+2]よりも小さい場合、ステップS314に移行し、gFA[n+1]がgFA[n+2]以上の場合、図6に示すステップS303に移行する。ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率がβよりも大きい場合、ステップS321において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数が増加するように図2に示す撹拌機モータ30に指示をし、ステップS315に移行する。
【0072】
(チ)ステップS319において、gFA[n+1]のgFAに対する誤差率の大きさがβ以下の場合、ステップS322において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数が維持するように撹拌機モータ30を制御し、図6に示すステップS306に移行する。つぎに、図6に示すステップS309において、gFA[n]がgFAよりも大きい場合、ステップS323において、制御部15は、凝集剤添加率がPR[n−1]に減少するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29に指示する。つづいて、ステップS324において、比較部14は、ステップS323における減少後の凝集剤添加率RP[n−1]と図1に示す記憶装置17が記憶する最小凝集剤添加率RPminとを比較する。RP[n−1]がRPmin以下の場合、ステップS325において、図1に示す出力部16は警報を出力し、ステップS303に移行する。
【0073】
(リ)ステップS324において、RP[n−1]がRPminよりも大きい場合、ステップS326において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n−1]に減少するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御する。つづいて、ステップS327において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n−1]における階調凝集剤添加率gFA[n−1]を算出後、ステップS307に移行し、ステップS307において、比較部14は、gFAに対するgFA[n−1]の誤差率とβとを比較する。
【0074】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、迅速容易に最適な水分の汚泥ケーキを生成すべく凝集剤添加率を制御し、最適な汚泥処理を実施することが可能である。最適な汚泥処理を実施するためには、汚泥ケーキが最適な水分量を維持するように汚泥原液の凝集剤添加率が基準凝集剤添加率を維持する必要がある。基準凝集剤添加率を維持するためには、凝集フロック測定面積が凝集フロック基準面積を維持する必要がある。
【0075】
すなわち、図8に示す単純右肩下がりのグラフの性状である汚泥において、基準凝集剤添加率を制御する際には、凝集フロック測定面積が60000であれば、凝集フロック基準面積の55000に近づけるために、凝集剤添加率が減少するよう制御する。凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させ、凝集剤の供給量を増やすことで、汚泥原液中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づける制御が可能である。
【0076】
また、凝集フロック測定面積が52000であれば、凝集フロック基準面積の55000に近づけるために、凝集剤添加率が減少するよう制御する。凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少させ、凝集剤の供給量を減らすことで、汚泥原液中の凝集剤添加率を基準凝集剤添加率に近づける制御が可能である。しかし、図9に示す性状の汚泥において、凝集フロック測定面積が57000付近では、該当する凝集剤添加率の値が基準凝集剤添加率を挟んで複数存在するため、単純に凝集剤の添加量を増減を決定することは不可能である。
【0077】
しかしながら、輝度基準により凝集フロック測定面積を算出した図9に対し、階調基準により凝集フロック測定面積を算出すると、図10に示すように、凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率が一対一で対応する単純な関係で示される。そのため、階調基準により算出した凝集フロック測定面積と凝集フロック基準面積との関係を検討することで、迅速及び容易に基準凝集剤添加率を維持するような制御を実施することができる。
【0078】
つぎに、図10及び図11は共に濃淡基準により算出した凝集フロック測定面積と凝集剤添加率との関係を示す。ただし、図10が画像に表示された凝集フロック全体の面積である凝集フロック総面積と凝集剤添加率との関係を示しているのに対し、図11は画像に表示される凝集フロックの数で凝集フロック総面積を除した、単位凝集フロック当たりの面積である凝集フロック単面積と凝集剤添加率との関係を示す。図11及び図12に示すように、凝集フロック単面積も凝集フロック総面積と同様に凝集剤添加率の増加に伴って単純に増加するため、凝集フロック単面積を凝集フロック測定面積に適用しても、適切な凝集剤添加率の制御は可能となる。
【0079】
(第1の実施の形態の変形例)
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置は、図13に示すように、図7とは、ステップS411、S415及びS419において異なる。また、図13に示すステップS412〜S414、S416〜S418及びS420〜S424は、図7に示すステップS312〜S316及びS318〜S322と同様である。
【0080】
すなわち、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置100は、図13に示すステップS411において、
(イ)比較部14は、図6に示すステップS310で増加を指示した後の凝集剤添加率RP[n+1]と、「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」とを比較する。ここで、「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」とは、最大凝集剤添加率RPmax以下の値であり、図1に示す制御部15が図2に示す凝集撹拌機21を回転させる際の閾値である。最大凝集剤添加率RPmaxと同様に汚泥処理装置100の運転に際して予め設定される値であり、図1に示す記憶装置17が記憶する。「凝集剤添加率撹拌基準値RPar」は、従来の処理における経験値を考慮して設定され、最大凝集剤添加率RPmaxの70〜100%程度の値が適切であるが、汚泥性状及び汚泥処理装置100の性能等によって適宜柔軟に変更可能である。
【0081】
(ロ)ステップS411において、RP[n+1]がRParよりも小さい場合、ステップS412において、制御部15は、凝集剤添加率がRP[n]からRP[n+1]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29を制御し、ステップS413において、算出部13は、凝集剤添加率RP[n+1]における階調凝集フロック測定面積gFA[n+1]を算出し、図6に示すステップS307に移行し、比較部14は、gFAに対するgFA[n+1]の誤差率とβとを比較する。
【0082】
(ハ)ステップS411において、RP[n+1]がRPar以上の場合、ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]と最大凝集剤添加率RPmaxとを比較する。ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]が最大凝集剤添加率RPmax以上の際、ステップS415において、出力部16は、ステップS414時の凝集剤添加率RP[n+1]が異常値であるとして警報を出力し、図6に示すステップS303に移行する。
【0083】
(ニ)ステップS414において、凝集剤添加率RP[n+1]が最大凝集剤添加率RPmaxよりも小さい場合、ステップS416において、制御部15は、凝集剤撹拌機21の回転数を減少させるよう指示する。ステップS417において、比較部14は、撹拌回転数ARがARminより大きく、ARmaxより小さい場合、すなわち、撹拌回転数ARが許容撹拌回転数の範囲内の際には、ステップS419において、凝集剤添加率がRP[n+1]からRP[n+2]に増加するように図2に示す凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させ、且つ、撹拌機回転数ARを予め設定した任意の回転数に変更するよう図2に示す撹拌機モータ30を制御する。
【0084】
ここで、ステップS419において、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29及び凝集剤撹拌機21の回転数を同時に制御するが、それぞれの制御は個別に実施され、制御方法等において互いに関連する因果関係はない。また、汚泥性状等によって、それぞれの制御方法は大きく異なる。すなわち、処理対象の汚泥性状によって、凝集剤添加率が0,2%増加するよう凝集剤供給ポンプ29の回転数を制御し、且つ凝集撹拌機21の回転数を5%減少するよう制御することもでき、凝集剤添加率が0,1%増加するよう凝集剤供給ポンプ29の回転数を制御し、且つ凝集撹拌機21の回転数を3%減少するよう制御することもできる。
【0085】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る汚泥処理装置は、凝集剤添加率を、凝集剤供給ポンプ29及び凝集撹拌機21を併用して制御することで、いずれか一方のみで制御するよりも、迅速に調整及び制御を実施することが可能になる。また、凝集剤供給ポンプ29の回転数及び凝集撹拌機21の回転数という2つのパラメータにより制御することで、制御時における微調整が容易に実現できる。さらに、同時に凝集撹拌機21を使用することで、凝集剤供給ポンプ29が大量に使用していた高価な凝集剤添加率の使用量を減量させることができ、処理運転に際して大幅なコスト削減を実現できる。
【0086】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置は、性状の変動する汚泥に対して汚泥処理を実施する。一方、本発明の第1の実施の形態に係る汚泥処理装置は、性状が一定である汚泥に対して処理を実施する。汚泥性状の変動によって基準凝集剤添加率及び凝集フロック基準面積は変動するが、より適切及び正確な汚泥処理を実施するためには、逐次変動する基準凝集剤添加率に対して、汚泥処理装置100運転中における凝集剤添加率を制御する必要がある。
【0087】
そのため、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置100は、汚泥性状が変動する毎に新たな基準凝集剤添加率を算出し、算出された新たな基準凝集剤添加率に対して凝集剤添加率の制御を実施する。ここで、汚泥性状の変動は、一定期間前後に測定した基準凝集剤添加率それぞれに対する凝集フロック測定面積の差と、予め設定した「汚泥性状変動許容値」との比較で判断する。
【0088】
すなわち、一定期間前後に測定した基準凝集剤添加率それぞれにおける凝集フロック測定面積の差が、「汚泥性状変動許容値」より大きければ汚泥性状は変化したとして、一定期間後における基準凝集剤添加率を新たな基準凝集剤添加率として採用し、「汚泥性状変動許容値」以下であれば、一定期間前における基準凝集剤添加率をそのまま採用する。「汚泥性状変動許容値」は、基準凝集剤添加率が変化したにも関わらず、当初の一定の値で汚泥処理を実行した際に、処理結果に及ぼす影響の程度で決定する。
【0089】
ここで、「一定期間」の前に測定した凝集フロック測定面積をFA[n]、「一定期間」の後に測定した凝集フロック測定面積をFA[n+1]、汚泥性状変動許容値をχとすると、│FA[n+1]−FA[n]│≦χの場合、汚泥性状の変動は発生していない判断し、│FA[n+1]−FA[n]│>χの場合、汚泥性状の変動が発生したと判断し、その際の基準凝集剤添加率を算出し、新たな基準凝集剤添加率として設定する。また、凝集フロック測定面積をFA[n]は輝度凝集フロック測定面積bFA[n]でも階調凝集フロック測定面積をgFA[n]でも適用可能である。
【0090】
さらにまた、「一定期間」とは、汚泥性状が変動することが予想される一定の長さを有する時間帯であり、汚泥処理環境によって3時間の場合もあれば1日の場合もある。汚泥処理装置100は、トラブルの発生及びメンテナンス等により運転の中断を余儀なくされるケース以外は、汚泥処理の運転を継続する。そのため、汚泥処理装置100は、運転中に「一定期間」の間隔で継続して汚泥性状の変動を検査する。
【0091】
このようにして、汚泥性状の変動が発生する度に、基準凝集剤添加率は再設定される。
【0092】
汚泥性状の変動による基準凝集剤添加率の再設定例を図14及び図15を用いて説明する。
【0093】
まず、図14は、実線で表される凝集剤添加率及び凝集フロック測定面積の関係を示す汚泥性状から、破線で表される汚泥性状に変動した状態を示す。実線で表されるように、汚泥性状変動前において、凝集フロック測定面積が最小となる基準凝集剤添加率は、輝度凝集フロック測定面積が最小となるbFA[n]に対応するRPである。しかし、破線で表されるように、汚泥性状変動後においてはRPに対応する輝度凝集フロック測定面積はbFA[n+1]となり、汚泥性状変動前における輝度凝集フロック測定面積の最小値から変化する。汚泥性状変動後における輝度凝集フロック測定面積の最小値はbFA’[n]であり、したがって、bFA’[n]に対応する基準凝集剤添加率はRP’となる。
【0094】
ここで、│FA[n+1]−FA[n]│≦χであり、汚泥性状変動後の汚泥処理に影響を与えない差分であれば基準凝集剤添加率はRPを維持して運転処理を継続することができるが、│FA[n+1]−FA[n]│>χであり、凝集剤添加率がRPの状態を維持することで、汚泥のケーキ水分を適切な状態に処理できない場合はRP’を新たな基準凝集剤添加率とすることで、汚泥性状変動後における適切な運転処理を継続することが可能となる。
【0095】
つづいて、│FA[n+1]−FA[n]│>χであり、汚泥性状が変動した際に、新たな基準凝集剤添加率に近づけるためには、凝集剤添加率を増加させるか減少させるかが問題となる。図14に示す階調凝集剤添加率に着目すると、基準凝集剤添加率RPにおいて、階調凝集フロック測定面積は実線のgFA[n]から破線のgFA[n+1]へと変化しており、階調凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率がお互いに一意に決まる単純増加の関係から、gFA[n+1]≧gFA[n]の際にはbFA’[n]−bFA[n]≦0となることが明らかである。そのため、gFA[n+1]≧gFA[n]の際には、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少し、凝集剤添加率を減少させることで、新たな基準凝集剤添加率に近づけるよう制御する。
【0096】
同様にして、図15では、汚泥性状変動前後で、階調凝集フロック測定面積はgFA[n]からgFA[n+1]に、gFA[n+1]≦gFA[n]の状態で変化する。その際、bFA’[n]−bFA[n]≧0となることが明らかである。そのため、gFA[n+1]≦gFA[n]の際には、制御部15は、凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加し、凝集剤添加率を増加させることで、新たな基準凝集剤添加率に近づけるように制御する。
【0097】
すなわち、図14及び15に示すように、汚泥性状変動前後で制御部15は、階調凝集フロック測定面積がgFA[n+1]≧gFA[n]の際に、凝集剤供給ポンプ29の回転数を減少し、gFA[n+1]≦gFA[n]の際に、凝集剤供給ポンプ29の回転数を増加させることで、適切な一定の基準凝集剤添加率を維持するべく制御することができ、最適な汚泥処理を実施することが可能となることがわかる。
【0098】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置が、汚泥性状の変動が発生する際において、基準凝集剤添加率の算出方法について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0099】
(イ)ステップS501において、算出部13は、基準凝集剤添加率における輝度凝集フロック測定面積を一定間隔で算出する。ステップS502において、算出部13は、一定間隔の前後における輝度凝集フロック測定面積それぞれの差を算出する。ステップS503において、比較部14は、ステップ502において算出した差と汚泥性状変動許容値とを比較する。
【0100】
(ロ)ステップS504において、差が汚泥性状変動許容値以上であれば、比較部14は、汚泥性状の変動が発生したと判断し、ステップS505において、算出部13は、ステップS502における一定間隔後の輝度凝集フロック測定面積に対応する基準凝集剤添加率を新たな基準凝集剤添加率として設定する。ステップS504において、差が汚泥性状変動許容値よりも小さければ、比較部14は、汚泥性状の変動はないと判断し、ステップS502に移行する。
【0101】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置は、一定以上における汚泥性状の変動によって、最適な汚泥処理に影響が出る場合、新たな基準凝集剤添加率を再設定することで、最適な汚泥処理を実施することができる。また、汚泥性状の変動前後における階調凝集フロック測定面積の比較から、迅速容易に凝集剤供給ポンプ29の回転数に関する増減を判断することが可能となる。
【0102】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図17に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る汚泥処理装置に、更に近似部131及び微分解析部132を備える。図17に示すように、近似部131及び微分解析部132は、算出部13を構成する。
【0103】
近似部131は、輝度凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率の関係を示すグラフを近似式をとして関数化する。
【0104】
微分解析部132は、近似部131が関数化した数式から、極小値を算出する。図9に示すように、下に凸の曲線を描く輝度凝集フロック測定面積のグラフは、極小値が最小値となる。したがって、近似部131が近似した数式から、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率を算出することで、基準凝集剤添加率を求めることができる。
【0105】
汚泥性状の変動に伴って、近似部131が近似した数式から微分解析部132が極小値を再算出することで、新たな基準凝集剤添加率を決定することが可能となる。
【0106】
つぎに、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置が、基準凝集剤添加率を算出する方法について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0107】
ステップS601において、近似部131は、輝度凝集フロック測定面積及び凝集剤添加率の関係を示すグラフを関数による近似式化を実施する。ステップS602において、微分解析部132は、ステップS601における近似式から極小値を算出する。ステップS603において、微分解析部132は、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率をステップS601で求めた近似式から算出する。ステップS604において、制御部15は、ステップS603で算出した凝集剤添加率を基準凝集剤添加率として設定する。
【0108】
ここで、性状変動が発生した際に新たに設定する基準凝集剤添加率においても、ステップS601〜604を適用することができる。すなわち、図16に示すステップS505において、図4に示す方法適用する代わりに図18に示す方法を適用することが可能である。
【0109】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法は、本発明の第1の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法と比較して処理数が少なく、また、本発明の第2の実施の形態に係る基準凝集剤添加率の算出方法と比較して階調凝集フロック測定面積を算出する負荷を削減することができるため、迅速容易に基準凝集剤添加率を算出することが可能となる。
【0110】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理装置は、図19に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥処理装置に、更に移動式算出部133を備える。図19に示すように、近似部131、微分解析部132及び移動式算出部133は、算出部13を構成する。
【0111】
本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理方法では、汚泥性状変動前後において、近似部131が近似した輝度凝集フロック測定面積−凝集剤添加率曲線が平行移動したと仮定する。本発明の第4の実施の形態に適用する仮定は、経験的データの蓄積から検討し、汚泥処理を実施する上で明らかに妥当である。
【0112】
移動式算出部133は、近似部131が近似したグラフy=f(x)が汚泥性状変動後に平行移動したグラフをy−b=f(x−a)と仮定する。また、移動式算出133は、汚泥性状変動後における任意の2点を平行移動後の数式に適用することで、a及びbを算出する。
【0113】
つぎに、本発明の第4の実施の形態に係る汚泥処理装置が、汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率を算出する方法について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。
【0114】
ステップS701において、汚泥性状変動前に近似部131が近似したグラフが、汚泥性状変動後に平行移動したとして、移動式算出部133は、平行移動後のグラフを算出する。ステップS702において、微分解析部132は、ステップS701における近似式から極小値を算出する。ステップS703において、微分解析部132は、極小値となる輝度凝集フロック測定面積に対応する凝集剤添加率をステップS701で求めた近似式から算出する。ステップS704において、制御部15は、ステップS703で算出した凝集剤添加率を基準凝集剤添加率として設定する。
【0115】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態に係る汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率の算出方法は、本発明の第3の実施の形態に係る汚泥性状変動後の新たな基準凝集剤添加率の算出方法と比較して、汚泥性状変動後に近似部131が再度、輝度凝集フロック測定面積−凝集剤添加率の近似式を算出する必要がないため、算出処理の負荷を軽減することができる。
【0116】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0117】
100,200,300…汚泥処理装置
11…撮像部
12…変換部
13…算出部
14…比較部
15…制御部
16…出力部
17…記憶装置
18…階調変換部
19…輝度変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、前記凝集混和槽で前記汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、前記凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む前記汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置であって、
前記汚泥原液供給管を通過する前記凝集フロックを撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、
前記変換部が生成した前記2値画像に表示された前記凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部と、
前記凝集フロック測定面積と前記凝集フロック基準面積とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に応じて、前記凝集剤供給ポンプ及び前記凝集剤撹拌機の回転数を制御する制御部と、
前記比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部
とを備えることを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項2】
前記変換部は、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を、前記画像が有する階調の情報に基づいて2値化し、階調2値画像を生成する階調変換部と、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を、前記画像が有する輝度の情報に基づいて2値化し、輝度2値画像を生成する輝度変換部
とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理装置。
【請求項3】
前記算出部が、前記輝度2値画像に表示された凝集フロックの面積である輝度凝集フロック測定面積に関し、同一の凝集剤添加率に対して予め設定した回数分算出される前記複数の輝度凝集フロック測定面積の平均値である輝度凝集フロック平均面積において、前記初期の凝集剤添加率近傍の予め設定された割合で互いに異なる複数の凝集剤添加率それぞれに対して前記輝度凝集フロック平均面積を算出し、
前記輝度2値画像を基に算出される際の凝集フロック基準面積である輝度凝集フロック基準面積は、前記複数の輝度凝集フロック平均面積のうち最小値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥処理装置。
【請求項4】
前記比較部が比較する前記凝集フロック測定面積は、前記算出部が前記階調2値画像を基に算出する階調凝集フロック測定面積であり、前記比較部が比較する前記凝集フロック基準面積は、前記輝度凝集フロック基準面積に対応する凝集剤添加率である基準凝集剤添加率において、前記算出部が前記階調2値画像を基に算出する階調凝集フロック基準面積であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記階調凝集フロック基準面積に対する前記階調凝集フロック測定面積の誤差率を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項6】
前記誤差率が予め設定した特定の値である誤差既定値以下の場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を維持して前記凝集剤添加率を維持し、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を下げることで前記凝集剤添加率を予め設定した値だけ減少させ、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を上げることで前記凝集剤添加率を予め設定した値だけ増加させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項7】
前記制御部が前記凝集剤添加率を減少させる際に、減少後の凝集剤添加率が予め設定した最小凝集剤添加率以下の場合は出力部が警報を発し、前記減少後の凝集剤添加率が前記最小凝集剤添加率よりも大きい場合は前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を下げ、
前記制御部が前記凝集剤添加率を増加させる際に、前記増加後の凝集剤添加率が予め設定した凝集剤添加率撹拌基準値よりも小さい場合は前記凝集剤供給ポンプの回転数を上げ、前記増加後の凝集剤添加率が前記凝集剤添加率撹拌基準値以上、且つ前記最大凝集剤添加率よりも小さい場合は前記制御部が更に前記凝集剤撹拌機の回転数を下げる
ことを特徴とする請求項6に記載の汚泥処理装置。
【請求項8】
前記制御部が前記凝集剤添加率を増加させる際に、前記増加後の凝集剤添加率が前記最大凝集剤添加率以上の場合は、出力部が警報を発することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項9】
前記誤差率が予め設定した特定の値である誤差既定値以下の場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を維持し、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を減少させ、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を増加させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記凝集剤撹拌機の前記回転数が予め設定した最大回転数以上及び最小回転数以下になった場合、警報を発することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項11】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項12】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積を前記画像に表示された凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積であり、
前記算出部は、前記画像に表示された凝集フロックの数、前記単位凝集フロック当たりの面積を更に算出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項13】
汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、前記凝集混和槽で前記汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、前記凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む前記汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置を制御する汚泥処理方法であって、
撮像部が、前記汚泥原液供給管を通過する前記凝集フロックを撮像するステップと、
変換部が、前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成するステップと、
算出部が、前記変換部が生成した前記2値画像に表示された前記凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出するステップと、
比較部が、前記凝集フロック測定面積と前記凝集フロック基準面積とを比較するステップと、
制御部が、前記比較部による比較結果に応じて、前記凝集剤供給ポンプ及び前記凝集剤撹拌機の回転数を制御するステップと、
出力部が、前記比較部による比較結果に応じて、警報を発するステップ
とを含むことを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項14】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積であることを特徴とする請求項13に記載の汚泥処理方法。
【請求項15】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積を前記画像に表示された凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積であり、
前記算出部は、前記画像に表示された凝集フロックの数、前記単位凝集フロック当たりの面積を更に算出することを特徴とする請求項13に記載の汚泥処理方法。
【請求項1】
汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、前記凝集混和槽で前記汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、前記凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む前記汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置であって、
前記汚泥原液供給管を通過する前記凝集フロックを撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成する変換部と、
前記変換部が生成した前記2値画像に表示された前記凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積及び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出する算出部と、
前記凝集フロック測定面積と前記凝集フロック基準面積とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に応じて、前記凝集剤供給ポンプ及び前記凝集剤撹拌機の回転数を制御する制御部と、
前記比較部による比較結果に応じて、警報を発する出力部
とを備えることを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項2】
前記変換部は、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を、前記画像が有する階調の情報に基づいて2値化し、階調2値画像を生成する階調変換部と、
前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を、前記画像が有する輝度の情報に基づいて2値化し、輝度2値画像を生成する輝度変換部
とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理装置。
【請求項3】
前記算出部が、前記輝度2値画像に表示された凝集フロックの面積である輝度凝集フロック測定面積に関し、同一の凝集剤添加率に対して予め設定した回数分算出される前記複数の輝度凝集フロック測定面積の平均値である輝度凝集フロック平均面積において、前記初期の凝集剤添加率近傍の予め設定された割合で互いに異なる複数の凝集剤添加率それぞれに対して前記輝度凝集フロック平均面積を算出し、
前記輝度2値画像を基に算出される際の凝集フロック基準面積である輝度凝集フロック基準面積は、前記複数の輝度凝集フロック平均面積のうち最小値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥処理装置。
【請求項4】
前記比較部が比較する前記凝集フロック測定面積は、前記算出部が前記階調2値画像を基に算出する階調凝集フロック測定面積であり、前記比較部が比較する前記凝集フロック基準面積は、前記輝度凝集フロック基準面積に対応する凝集剤添加率である基準凝集剤添加率において、前記算出部が前記階調2値画像を基に算出する階調凝集フロック基準面積であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記階調凝集フロック基準面積に対する前記階調凝集フロック測定面積の誤差率を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項6】
前記誤差率が予め設定した特定の値である誤差既定値以下の場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を維持して前記凝集剤添加率を維持し、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を下げることで前記凝集剤添加率を予め設定した値だけ減少させ、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を上げることで前記凝集剤添加率を予め設定した値だけ増加させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項7】
前記制御部が前記凝集剤添加率を減少させる際に、減少後の凝集剤添加率が予め設定した最小凝集剤添加率以下の場合は出力部が警報を発し、前記減少後の凝集剤添加率が前記最小凝集剤添加率よりも大きい場合は前記制御部が前記凝集剤供給ポンプの回転数を下げ、
前記制御部が前記凝集剤添加率を増加させる際に、前記増加後の凝集剤添加率が予め設定した凝集剤添加率撹拌基準値よりも小さい場合は前記凝集剤供給ポンプの回転数を上げ、前記増加後の凝集剤添加率が前記凝集剤添加率撹拌基準値以上、且つ前記最大凝集剤添加率よりも小さい場合は前記制御部が更に前記凝集剤撹拌機の回転数を下げる
ことを特徴とする請求項6に記載の汚泥処理装置。
【請求項8】
前記制御部が前記凝集剤添加率を増加させる際に、前記増加後の凝集剤添加率が前記最大凝集剤添加率以上の場合は、出力部が警報を発することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項9】
前記誤差率が予め設定した特定の値である誤差既定値以下の場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を維持し、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも小さく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を減少させ、
前記階調凝集フロック測定面積が前記階調凝集フロック基準面積よりも大きく、且つ前記誤差率が前記誤差既定値よりも大きい場合は、前記制御部が前記凝集剤撹拌機の回転数を増加させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記凝集剤撹拌機の前記回転数が予め設定した最大回転数以上及び最小回転数以下になった場合、警報を発することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項11】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項12】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積を前記画像に表示された凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積であり、
前記算出部は、前記画像に表示された凝集フロックの数、前記単位凝集フロック当たりの面積を更に算出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の汚泥処理装置。
【請求項13】
汚泥原液供給ポンプが供給する汚泥原液及び凝集剤供給ポンプが供給する凝集剤を貯槽する凝集混和槽と、前記凝集混和槽で前記汚泥原液及び凝集剤を撹拌する凝集剤撹拌機と、前記凝集混和槽で形成した懸濁物質である凝集フロックを含む前記汚泥原液が汚泥原液供給管を通して供給される脱水機とを有する汚泥処理装置を制御する汚泥処理方法であって、
撮像部が、前記汚泥原液供給管を通過する前記凝集フロックを撮像するステップと、
変換部が、前記撮像部が撮像した前記凝集フロックの画像を2値化し、2値画像を生成するステップと、
算出部が、前記変換部が生成した前記2値画像に表示された前記凝集フロックの面積である凝集フロック測定面積び予め設定した初期の凝集剤添加率に基づいて凝集フロック基準面積を算出するステップと、
比較部が、前記凝集フロック測定面積と前記凝集フロック基準面積とを比較するステップと、
制御部が、前記比較部による比較結果に応じて、前記凝集剤供給ポンプ及び前記凝集剤撹拌機の回転数を制御するステップと、
出力部が、前記比較部による比較結果に応じて、警報を発するステップ
とを含むことを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項14】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積であることを特徴とする請求項13に記載の汚泥処理方法。
【請求項15】
前記凝集フロック測定面積は、前記画像に表示された前記凝集フロック全体の総面積を前記画像に表示された凝集フロックの数で除した単位凝集フロック当たりの面積であり、
前記算出部は、前記画像に表示された凝集フロックの数、前記単位凝集フロック当たりの面積を更に算出することを特徴とする請求項13に記載の汚泥処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−189321(P2011−189321A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59637(P2010−59637)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
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